説明

殺菌装置

【課題】 回転圧縮要素(圧縮機)の吐出圧力を高くせずにすむようにした殺菌装置を提供する。
【解決手段】 高圧側が超臨界圧力となる冷凍サイクルから構成されたヒートポンプ10を備え、同ヒートポンプ10の放熱部12に接続され、前記ヒートポンプ10の放熱を利用して殺菌対象流体を殺菌処理する殺菌処理手段を有してなる殺菌装置1において、前記冷凍サイクルの高圧側は、第一および第二の圧縮機11aおよび11bと、これら両圧縮機11aおよび11bの間に前記殺菌対象流体を加熱する補助熱交換器16aおよび冷媒間熱交換器16bを備え、これら補助熱交換器16aおよび冷媒間熱交換器16bの間に備えた膨張手段17とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌装置に係わり、より詳細には、牛乳や酒などの被加熱流体を加熱し殺菌を行うための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の図3に示すような殺菌装置21’において、22’はヒートポンプであり、当該ヒートポンプ22’には、圧縮機11’として密閉容器内に図示しない電動要素と、第一および第二の回転圧縮要素24’、26’を備えた内部中間圧型多段(2段)圧縮式ロータリコンプレッサが用いられている。そして、このヒートポンプ22’は、圧縮機11’の第二の回転圧縮要素26’と、放熱部12’と、電動膨張弁13’と、吸熱部14’とが順次接続されることにより、環状の冷凍サイクルを構成している。ここで、放熱部12’は、牛乳や酒などの流体や水耕栽培等に用いられる養液が循環する加熱部5’と交熱的に設けられるとともに、吸熱部14’は、同じく流体や養液が循環する冷却部9’と交熱的に設けられている。なお、前記ヒートポンプ22’内には、冷媒として地球環境にやさしく、可燃性および毒性等の低い自然冷媒である二酸化炭素(CO2)が充填されている。また、中間熱交換器25’には通風用の送風機29’が設けられている。
【0003】
図3において、27’は加熱部5’から流出した流体や養液の温度を検出する温度センサであり、当該温度センサ27’の出力に基づき、圧縮機11’の運転制御が行なわれる。28’は圧縮機11’の第二の回転圧縮要素26’から吐出された冷媒の温度を検出する温度センサであり、当該温度センサ28’の出力に基づき、送風機29’の運転制御が行なわれる。17’は冷却部9’から流出した流体や養液の温度を検出する温度センサであり、当該温度センサ17’の出力に基づき、電動膨張弁13’の弁開度の制御が行なわれる。
【0004】
以上の構成により、冷媒の圧縮過程について説明する。圧縮機11’に流入した冷媒は第一の回転圧縮要素24’で圧縮され、中間熱交換器25’で一旦冷却され、第二の回転圧縮要素26’で圧縮されて圧縮機11’から流出するようになっている。
【0005】
圧縮機11’から流出した冷媒は、放熱部12’で殺菌対象流体(被加熱流体)を加熱することで冷却され、電動膨張弁13’による膨張過程を経たのち、吸熱部14’で殺菌対象流体(養液)を冷却することで冷媒が再度加熱されて第一の回転圧縮要素24’に流入する。
【0006】
ここで、第一の回転圧縮要素24’の過程は図4のp−h線図におけるb’−c’過程、中間熱交換器25’の過程はc’−d’過程、第二の回転圧縮要素26’の過程はd’−e’過程で示すことができる。また、放熱部12’の過程は図4のp−h線図におけるe’−f’過程、膨張弁13’の過程はf’−a’過程となる。また、吸熱部14’の過程はa’−b’過程となる。
【0007】
次に、殺菌対象流体(養液)の流れについて説明する。殺菌対象流体(養液)は養液槽2’からポンプ3’によって流路4’に流出し、加熱部5’で加熱され殺菌されたのち、貯留部7’に一旦貯留され、冷却部9’に送られ冷却されて養液槽2’に流入する。
【0008】
ここで、第一の回転圧縮要素24’から吐出される冷媒は、中間熱交換器25’により放熱させるため、圧縮機11’での第一の回転圧縮要素24’と第二の回転圧縮要素26’との熱量バランスを取ることができるようになる。また、中間熱交換器25’で第一の回転圧縮要素24’から吐出される冷媒を放熱させ冷媒温度を低下させることにより、第二の回転圧縮要素26’に吸い込まれる冷媒密度を高くすることができて、圧縮効率の改善をはかることができるようになる。
【0009】
しかしながら、上記構成でなる殺菌装置においては、中間熱交換器25’で第一の回転圧縮要素24’の吐出される冷媒の放熱を行っているため(図4、c’−d’)、所要の殺菌処理温度(+86℃)を得るためにエンタルピの低い状態から再圧縮をする必要がある(図4、d’−e’)。そのため、放熱を行わなかった場合に比べて、必要な吐出温度(+86℃)を得るためには第二の回転圧縮要素26’における吐出圧力を図4のp−h線図におけるP2まで高める必要があった。
【0010】
そのため、高めた吐出圧力に耐えることができるように、第二の回転圧縮要素26’の機械的強度を増強したり、配管類を含む装置全体の耐圧強度を増強する必要が生じることになって、これらの質量が大きくなったりコスト高になってしまうという問題点を有していた。
【特許文献1】特開2004−216104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、第一および第二の圧縮機間で放熱を行なっても、圧縮機の吐出圧力を高くすることなく必要な殺菌処理温度を得ることができるようにした殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示す特徴を備えている。
【0013】
冷凍サイクルから構成されたヒートポンプを備え、同ヒートポンプの放熱部に接続され、前記ヒートポンプの放熱を利用して殺菌対象流体を殺菌処理する殺菌処理手段を備えた殺菌装置において、
前記冷凍サイクルの高圧側は、第一および第二の圧縮機と、これら両圧縮機の間に前記殺菌対象流体を加熱する補助熱交換器および冷媒間熱交換器を備え、これら補助熱交換器および冷媒間熱交換器の間に備えた膨張手段とで構成したことを特徴としている。
【0014】
また、前記殺菌処理手段の下流側に配置されるとともに、前記ヒートポンプの吸熱側に接続され、同ヒートポンプの吸熱を利用して前記殺菌対象流体を冷却する冷却手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第一および第二の圧縮機間で放熱を行なっても、同圧縮機の吐出圧力を高くすることなく必要な殺菌処理温度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明を適用した一実施例の殺菌装置の概略構成図であり、図2は本発明を適用した一実施例の殺菌装置の圧力−比エンタルピ線図(p−h線図)である。
【0018】
本実施例における殺菌装置1は、例えば牛乳や酒などの被加熱流体(殺菌対象流体)の殺菌を行なうプラントとして加熱殺菌処理を行なうものである。図1において、2は本実施例における殺菌対象としての被加熱流体を貯留した貯留槽であり、この貯留槽2には、ポンプ3が介設された流路4を介して補助熱交換器16a、加熱部5、貯留部7(なお、これら加熱部5及び貯留部7により殺菌処理手段を構成するものとする。)および冷却部9(冷却手段)が順次接続され、被加熱流体が循環する構成になっている。
【0019】
また、図1において、10はヒートポンプであり、冷媒配管15を介して第一の圧縮機11aおよび第二の圧縮機11bと、これら両圧縮機11aおよび11bの間に被加熱流体を加熱する予備加熱用の補助熱交換器16aおよび冷媒間熱交換器16bを備え、これら補助熱交換器16aおよび冷媒間熱交換器11bの間に備えた膨張弁17からなる膨張手段と、放熱部12と、電動膨張弁13と、吸熱部14とが順次接続されて環状の冷凍サイクルを構成し、前記膨張弁17は制御装置20に接続して制御されるようになっている。
【0020】
ここで、前記放熱部12を流れる冷媒は、被加熱流体が循環する加熱部5と対向流となるように設けられている。また、前記吸熱部14は被加熱流体が循環する前記冷却部9と熱交換するように設けられている。なお、前記第一の圧縮機11aおよび前記第二の圧縮機11bは、密閉容器内に電動要素とそれにより駆動される回転圧縮要素とを収納してなるロータリコンプレッサである。
【0021】
また、本実施例では、前記ヒートポンプ10内には冷媒として二酸化炭素(CO2)が充填されている。さらに、前記加熱部5から流出した被加熱流体の温度を検出する温度センサ6が設けられており、同温度センサ6の出力に基づいて、前記第一の圧縮機11aおよび前記第二の圧縮機11bの運転制御が行なわれる。また、前記冷却部9から流出した被加熱流体の温度を検出する温度センサ8が設けられており、同温度センサ8の出力に基づいて前記電動膨張弁13の弁開度の制御が行なわれる。
【0022】
以上の構成により、図1および図2に基づいて、本実施例における殺菌装置の動作について説明する。冷媒は前記第一の圧縮機11aで圧縮され、前記補助熱交換器16aにおける冷媒放熱路16a1を流通することで被加熱流体の吸熱路16a2を流通する被加熱流体と熱交換することにより一旦放熱し、前記膨張弁17を経たのち、前記冷媒間熱交換器16bにおける冷媒吸熱路16b1を流通することで放熱路16b2を流通する冷媒と熱交換することにより吸熱(蒸発)したのち、前記第二の圧縮機11bで圧縮されるようになっている。
【0023】
次に、冷媒は前記放熱部12で前記加熱部5の被加熱流体に熱を放熱することで冷却され、また、前記冷媒間熱交換器16bにおける放熱路16b2を流通することでも前記冷媒吸熱路16b1を流通する被加熱流体と熱交換することにより熱を放熱し、その後、前記電動膨張弁13による膨張過程を経たのち、前記吸熱部14で前記冷却部9の被加熱流体から熱を吸熱して前記第一の圧縮機11aに流入する。
【0024】
前記補助熱交換器16aにおける冷媒放熱路16a1の出口には冷媒温度を検知する温度センサ18が設けられ、前記冷媒間熱交換器16bにおける冷媒吸熱路16b1の出口には冷媒温度を検知する温度センサ19が設けられ、前記温度センサ18および前記冷媒間熱交換器16bの間には前記膨張弁17が設けられるとともに、これらは前記制御部20に接続された構成になっている。
【0025】
ここで、前記第一の圧縮機11aの過程は図2のp−h線図におけるb−c過程、前記補助熱交換器16aの過程はc−d過程、前記膨張弁17の過程はd−e過程、前記冷媒間熱交換器16bにおける冷媒級熱路16b1の過程はe−f過程、前記第二の圧縮機11bの過程はf−g過程、前記放熱部12の過程はg−h’過程、前記放熱部12通過後の前記冷媒間熱交換器16bにおける放熱路16b2の過程はh’−h過程、前記電動膨張弁13の過程はh−a過程となる。また、前記吸熱部14の過程はa−b過程となる。
【0026】
そして、図2のp−h線図に示すg−h過程における圧力P1は、図4のp−h線図に示すe’−f’過程における圧力P2よりも低い圧力であって、P1<P2の関係を有する圧力差があることから、図2のp−h線図に示すf−g過程における前記第二の圧縮機11bの吐出圧力P1を、図4のp−h線図に示すd’−e’過程における第二回転圧縮要素26’の吐出圧力P2よりも低圧に抑えることができる。
【0027】
これにより、前記補助熱交換器16aで冷媒の放熱をしても、あまり前記第二の圧縮機11bの吐出圧力を上げずに済むようになり、同第二の圧縮機11bの機械的強度や、前記放熱部12に連なる配管類の耐圧強度の増強を抑えることが可能になって、これらの質量が大きくならないようにするとともに、コスト高になってしまわないようにした殺菌装置となる。
【0028】
熱回収された冷媒が前記第二の圧縮機11bに吸い込まれるように構成したことで、同第二の圧縮機11bの圧縮性能を抑えて吐出圧力を抑えることが可能になり、上述した背景技術のように、第二の回転圧縮要素26’の機械的強度を増強したり、放熱器12’に連なる配管類の耐圧強度を増強する必要がなくなり、これらの質量が大きくなったりコスト高になってしまうという問題点を解決できる。
【0029】
なお、前記膨張弁17の開度は、前記補助熱交換器16aの冷媒放熱路16a1出口および前記冷媒間熱交換器16bの冷媒吸熱路16b1出口の冷媒温度に基づいて制御されているが、さらに、前記第一の圧縮機11aの入口圧力、同第一の圧縮機11aの入口温度および前記補助熱交換器16aの入口温度の計測結果を制御に用いることで、前記第一の圧縮機11aに吸入される冷媒の状態が変化しても、前記第二の圧縮機11bに流入する冷媒のエントロピを前記第一の圧縮機11aにおける冷媒のエントロピと同程度にしやすくなる。
【0030】
前記第二の圧縮機11bから吐出された冷媒は前記放熱部12に流入し、そこで同放熱部12と熱交換するように配設された前記加熱部5を流通する被加熱流体と熱交換することにより放熱する。なお、ここで本発明における前記ヒートポンプ10は、高圧側が超臨界圧力となる。
【0031】
そして、前記放熱部12にて放熱された高圧側の冷媒は、前記冷媒間熱交換器16bに流入してさらに放熱されたのち前記電動膨張弁13に至る。なお、前記電動膨張弁13の入口では冷媒は未だ臨界状態であるが、同電動膨張弁13における圧力低下により、ガスと液体の二相混合体とされ、その状態で前記吸熱部14内に流入する。そこで冷媒は蒸発し、前記吸熱部14と熱交換するように配設された前記冷却部9を流通する被加熱流体と熱交換することにより気体の状態となり、再び前記第一の圧縮機11a内に吸い込まれることになる。
【0032】
前記放熱部12にて放熱された高圧側の冷媒は、前記冷媒間熱交換器16bに流入してさらに放熱されることで、前記吸熱部14と熱交換するように配設された前記冷却部9を流通する被加熱流体と熱交換する際、同冷却部9における被加熱流体をより効果的に冷却できるようになっている。なお、前記冷却部9に図1に破線で示す冷却用のファンFを設けることで、更に効率よく冷却できるようになる。
【0033】
次に、被加熱流体の流れについて説明する。被加熱流体は前記貯留槽2から前記ポンプ3によって前記流路4に流出し、前記補助熱交換器16aで一旦予備加熱され、前記加熱部5で加熱され殺菌されたのち、前記貯留部7に一旦貯留され、前記冷却部9に流入して前記吸熱部14を流通する冷媒と熱交換することにより冷却されて利用側に供給されるようになっている。こうした被加熱流体の流れは、後述するステップA〜ステップCを経ることで、殺菌処理され、貯留され、冷却されて利用側に供給されることになる。
【0034】
より詳細には、前記貯留槽2内の被加熱流体は、例えば、2l/minの割合で前記ポンプ3により前記流路4に流出し、前記補助熱交換器16aにおける吸熱路16a2で冷媒放熱路16a1を流通する冷媒と熱交換することにより予備加熱されたのち前記加熱部5に流入する。前記加熱部5では上述したとおり前記ヒートポンプ10の放熱部12を流通する冷媒と熱交換することにより、被加熱流体は所定の殺菌処理温度、例えば+86℃にまで昇温される(ステップA、殺菌処理)。このとき、前記放熱部12における被加熱流体の加熱温度は、前記加熱部5から流出した被加熱流体の温度を検出する温度センサ6に基づき前記第一の圧縮機11aを運転制御することによってより精度よく制御される。
【0035】
ここで、前記放熱部12から前記加熱部5に与えられる熱は、超臨界圧力にまで圧縮された凝縮することのない高温冷媒によるものであるため、前記加熱部5の入口から出口まで略均一の割合で被加熱流体を昇温させることができる。そのため、従来のように放熱部(凝縮器)において冷媒が液化する場合に比して、冷媒と被加熱流体との温度差が加熱部の入口から出口に渡って略均一化され、熱交換時のエネルギロスが少なくなり、効率的な加熱殺菌を実現することができるようになる。
【0036】
そして、前記加熱部5にて加熱された被加熱流体は、その後、前記貯留部7に流入し、ここで例えば約15分間貯留される(ステップB、貯留)。これにより、被加熱流体を本実施例では一定の温度、例えば約+86℃で15分加熱処理することが可能となり、確実に殺菌時間を確保して加熱殺菌の効果を高めることができる。なお、この貯留部7は、例えば被加熱流体を30l貯留することが可能な容量を有するタンクである。
【0037】
前記貯留部7から流出した被加熱流体(温度は+86℃程)は次に冷却部9内に流入し、上述したように、前記ヒートポンプ10の吸熱部14で蒸発する冷媒と熱交換することにより、被加熱流体からは熱が奪われ、その温度は所定の温度、例えば+5℃にまで下げられる(ステップC、冷却)。このとき、前記冷却部9における吸熱部14を流通する冷媒による被加熱流体の冷却作用は、同冷却部9から流出した被加熱流体の温度を検出する前記温度センサ8に基づき、前記電動膨張弁13の弁開度を制御することで精度よく制御される。
【0038】
また、上述したように、前記冷却部9に前記ファンFを設けることで上記の被加熱流体を冷却する構成以外に、前記冷却部9内に流入した被加熱流体の冷却を補助する冷却補助手段として、図1に破線で示すチラー回路21を用いるようにしてもよい。これにより、冷却専用としての前記チラー回路21を備えたことで、高温の被加熱流体を充分に冷却できるようになる。
【0039】
このようにして、所定温度(+5℃)にまで冷却された状態で被加熱流体は利用側に供給される。これにより、被加熱流体は前記ヒートポンプ10の放熱部12から放熱される熱を利用して加熱殺菌され、また、加熱殺菌された後の被加熱流体は、前記ヒートポンプ10の吸熱部14の吸熱作用を利用して効率的に冷却される。これにより、省エネルギ型の殺菌装置1を提供できるようになる。また、前記ヒートポンプ10は、被加熱流体を利用して前記放熱部12における冷媒の冷却、および前記吸熱部14における冷媒の蒸発を促進することができるため、被加熱流体の加熱殺菌による室内温度の上昇を抑制することができ、例えば夏季であっても格別な空調装置による冷房運転を回避することができるようになる。
【0040】
また、本発明において用いられる前記ヒートポンプ10には、高圧側が超臨界圧力となる冷凍サイクルにより構成されるとともに、冷媒には二酸化炭素が用いられているため、前記放熱部12における冷媒温度を通常の冷凍サイクルよりも高く、例えば約+86℃とすることができ、より一層、被加熱流体の殺菌効果を向上させることができる。
【0041】
また、本発明による殺菌装置であれば、例えば約+86℃前後で予備加熱を行なったのち、+120℃〜+150℃で被加熱流体の殺菌処理を行なうことも可能になって、これにより、超高温瞬間殺菌法に用いることもできるようになる。
【0042】
また、二酸化炭素はオゾン破壊を生じない物質であるため、ノンフロン化を実現することができ、温暖化係数もフロン系冷媒の千分の一以下とすることができる。また、二酸化炭素は他の冷媒に比して著しく入手しやすいことから利便性も向上する。
【0043】
更に、上述したように、前記ヒートポンプ10の放熱部12における急激な加熱と、前記吸熱部14における急激な冷却により、被加熱流体中の菌などに急激な温度変化によるストレスを与えることができるようになり、より一層高い殺菌効果を得ることができるようになる。
【0044】
なお、被加熱流体が前記貯留槽2に返送されるように構成した場合には、前記ポンプ3により再び前記補助熱交換器16aから前記加熱部5、前記貯留部7および前記冷却部9へと繰り返し循環される。このような循環サイクルが構成されることにより、被加熱流体を繰り返し加熱殺菌処理し、その後冷却することができるようになる。これにより、被加熱流体の殺菌効率は一層向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明を適用した一実施例の殺菌装置の概略構成図である。
【図2】本発明を適用した一実施例の殺菌装置の圧力−比エンタルピ線図(p−h線図)である。
【図3】従来例による殺菌装置の概略構成図である。
【図4】従来例による殺菌装置の圧力−比エンタルピ線図(p−h線図)である。
【符号の説明】
【0046】
1 殺菌装置
2 貯留槽
3 ポンプ
4 吸熱部
5 加熱部
6 温度センサ
7 貯留部
8 温度センサ
9 冷却部
10 ヒートポンプ
11a 圧縮機
11b 圧縮機
12 放熱部
13 電動膨張弁
14 吸熱部
15 冷媒配管
16a 補助熱交換器
16a1 冷媒放熱路
16a2 吸熱路
16b 冷媒間熱交換器
16b1 冷媒吸熱路
16b2 放熱路
17 膨張弁
18 温度センサ
19 温度センサ
20 制御装置
21 チラー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルから構成されたヒートポンプを備え、同ヒートポンプの放熱部に接続され、前記ヒートポンプの放熱を利用して殺菌対象流体を殺菌処理する殺菌処理手段を備えた殺菌装置において、
前記冷凍サイクルの高圧側は、第一および第二の圧縮機と、これら両圧縮機の間に前記殺菌対象流体を加熱する補助熱交換器および冷媒間熱交換器を備え、これら補助熱交換器および冷媒間熱交換器の間に備えた膨張手段とで構成したことを特徴とする殺菌装置。
【請求項2】
前記殺菌処理手段の下流側に配置されるとともに、前記ヒートポンプの吸熱側に接続され、同ヒートポンプの吸熱を利用して前記殺菌対象流体を冷却する冷却手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−229202(P2008−229202A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75899(P2007−75899)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】