説明

毛髪化粧料

【課題】抗フケ、抗カユミ及びデオドラント効果を付与することができ、更にべたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れ、且つ安全性が高く皮膚に対して温和な作用を示す毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】下記(A)〜(C)成分を含有する毛髪化粧料。
(A)下記一般式(I)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン
−(OCHCH(OH)CH−N(R・X …(I)
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)
(B)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール
(C)抗菌剤及びカチオン性殺菌剤から選ばれる少なくとも1種

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関し、詳しくは抗フケ、抗カユミ及びデオドラント効果を有し、更にべたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れた毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
洗髪後の毛髪の感触として、しなやかでしっとりした仕上がり感を向上させるためにリンス、コンディショナー、トリートメント等の毛髪化粧料が使用されている。これらの毛髪化粧料には毛髪の感触を良好にするために、主成分として第4級アンモニウム塩が配合することが一般的であり、更に効果感を上げるためにセチルアルコールなどの高級アルコールやシリコーンなどの油性成分を配合した乳液状やクリーム状の製剤が主に使用されている。しかしながら、これらは決して毛髪に十分な滑らか感やしっとり感を付与するとは言えず、また毛髪や頭皮に対する刺激の低減も十分でないことが知られている。
【0003】
また、頭皮に関する悩みとしてフケ、カユミがある。これを抑えるために、抗菌剤や殺菌剤を配合した毛髪化粧料が数多く検討されている。第4級アンモニウム塩と抗菌剤又はカチオン性殺菌剤とを併用することは公知であるが、毛髪に塗布してから洗い流すすすぎ時、またタオルドライ時、更に乾燥までの工程に渡って、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を付与できるという使用感と、抗フケ、抗カユミ及びデオドラント効果を満足する化粧料は得られていない。
【0004】
近年、新たな第4級アンモニウム塩や特定のアミドアミン化合物が、毛髪に滑らか感や柔軟性を付与出来ることが見いだされており、例えば、アミドアミン化合物を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献1〜3参照。)、や新たな第4級アンモニウム塩を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。また、これらの第4級アンモニウム塩や特定のアミドアミン化合物は、皮膚等に対して温和な作用を示し、使用後のカユミが少ない毛髪化粧料を提供できることも知られている。しかしながら、これらの技術は、高級アルコールや油性成分を配合した場合に、ゲルの形成やエマルションの構造に課題があり、毛髪や頭皮に親和性の高い構造を作りにくい。そのため、毛髪や頭皮に対する残留性や収着性が少なく、例えば、抗菌剤や殺菌剤を配合してもその効果が発揮されず、フケ、カユミの防止やデオドラント効果は充分でなく、更に洗髪した翌日には毛髪や頭皮の保湿性が低下しており、髪がパサついて違和感のある手触りとなりなどの問題点を有し、特に冬場の低湿度環境下においては、パサツキが激しく生じ、滑らかさやしっとり感の効果が持続しないなど、十分満足できるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−183136号公報
【特許文献2】特表2002−500173号公報
【特許文献3】特開2004−331639号公報
【特許文献4】特開2008−056666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、抗フケ、抗カユミ及びデオドラント効果を付与することができ、更にべたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れ、且つ安全性が高く皮膚に対して温和な作用を示す毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような状況に鑑み、鋭意研究した結果、特定のヒドロキシエーテル型カチオンを選択し、高級アルコールと、抗菌剤及び/又はカチオン性殺菌剤を併用することで、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記(A)〜(C)成分を含有する毛髪化粧料を提供する。
(A)下記一般式(I)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン
−(OCHCH(OH)CH−N(R・X …(I)
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)
(B)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール
(C)抗菌剤及びカチオン性殺菌剤から選ばれる少なくとも1種
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪化粧料は、抗フケ、抗カユミ及びデオドラント効果を付与することができ、更にべたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れた効果を付与でき、且つ安全性が高く皮膚に対して温和な作用を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明における(A)成分のヒドロキシエーテル型カチオンは、例えば下記一般式(I)
−(OCHCH(OH)CH−N(R・X …(I)
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)で表され、具体例を示すと、ラウリルPGトリモニウムクロリド、ミリスチルPGトリモニウムクロリド、パルミチルPGトリモニウムクロリド、セチルPGトリモニウムクロリド、セトステアリルPGトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、アラキルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、カルナービルPGトリモニウムクロリド、オレイルPGトリモニウムクロリド、エライジルPGトリモニウムクロリド、リノレイルPGトリモニウムクロリド、リノレニルPGトリモニウムクロリド、ラウリルPGトリモニウムブロミド、ミリスチルPGトリモニウムブロミド、パルミチルPGトリモニウムブロミド、セチルPGトリモニウムブロミド、セトステアリルPGトリモニウムブロミド、ステアリルPGトリモニウムブロミド、アラキルPGトリモニウムブロミド、ベヘニルPGトリモニウムブロミド、カルナービルPGトリモニウムブロミド、オレイルPGトリモニウムブロミド、エライジルPGトリモニウムブロミド、リノレイルPGトリモニウムブロミド、リノレニルPGトリモニウムブロミド、ラウリルPGトリモニウムエトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムエトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムエトサルフェート、セチルPGトリモニウムエトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、アラキルPGトリモニウムエトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムエトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムエトサルフェート、オレイルPGトリモニウムエトサルフェート、エライジルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムエトサルフェート、ラウリルPGトリモニウムメトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムメトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムメトサルフェート、セチルPGトリモニウムメトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、アラキルPGトリモニウムメトサルフ
ェート、ベヘニルPGトリモニウムメトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムメトサルフェート、オレイルPGトリモニウムメトサルフェート、エライジルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムメトサルフェート等のヒドロキシエーテル型カチオンが挙げられる。これらの中でもRが炭素数22のベヘニル基、Rがメチル基、Xが塩素であるべヘニルPGトリモニウムクロリドが特に好ましい。本発明では、これらのヒドロキシエーテル型カチオンの中から1種又は2種以上を任意に用いることができ、その配合量は、好ましくは0.1〜10質量%(以下、特に記載のあるもの以外は、質量%を単に「%」で示す)、更に好ましくは、0.5〜5%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0012】
本発明における(B)成分の炭素数14〜22の長鎖のアルキル基を有する高級アルコールは、好ましいものとしては、炭素数16〜22の長鎖高級アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等である。これらの高級アルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、好ましくは1〜20%、更に好ましくは、3〜10%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0013】
本発明で用いられる(C)成分のうち、抗菌剤としては、例えばトリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、二硫化セレン、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール等が挙げられ、カチオン性殺菌剤としては、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、クロルヘキシジン塩等の構造を有する塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン等が挙げられ、これらは香粧品医薬品防腐、殺菌剤等の科学(ジョン・J・カラバ編、フレグランスジャーナル社)に記載されている。これらの中で特に抗菌剤としては、トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、カチオン性殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロロヘキシジンが好ましい。また、本発明の化粧料を洗い流さないで使用する毛髪化粧料に適用する場合には、特にトリクロサン、トリクロカルバン又はピロクトンオラミンを用いるのが、毛髪の感触を損なうことなく、好ましい。これらの抗菌剤及び/又はカチオン性殺菌剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、また、抗菌剤とカチオン性殺菌剤を組み合わせて用いると、より高い効果を得ることができる。また、その配合量は、好ましくは0.005〜5%であり、本発明の毛髪化粧料を洗い流して使用するタイプのものに適用する場合には、特に0.1〜4%、更に0.3〜3%が好ましく、洗い流さないで使用するタイプのものに適用する場合には、特に0.01〜2%、更に0.05〜1%が好ましい。
【0014】
本発明においては塗布〜濯ぎ時の髪の滑らかさ、また抗菌剤やカチオン性殺菌剤の吸着性をコントロールして、フケやカユミ防止効果を高めるなど使用時の感触や効果を高める目的で、(D)シリコーン誘導体を配合することが好ましい。シリコーン誘導体の具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテルシリコーンなどを含み、例えば以下の(a)〜(g)等が挙げられる。
【0015】
(a)ジメチルポリシロキサン:メチルシロキサン構造を持ち、25℃における粘度が6〜100,000mPa・sである重合度ものが挙げられる。
(b)環状シリコーン:環状のメチルポリシロキサン構造を持つシリコーン油であり、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチル
シクロヘキサシロキサン、環状シリコン樹脂等が挙げられる。
(c)高重合ジメチルポリシロキサン:メチルシロキサン構造を持ち、25℃における粘度が50,000〜20,000,000mPa・sであるものが挙げられ、高重合ジメチルポリシロキサンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解して配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
(d)アミノ変性シリコーン:N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)アミノイソブチル基を持つシリコーン油であり、アミノ変性シリコーンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解して配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。また水性乳濁液として用いる場合、該水性乳濁液中に含まれるアミノ変性シリコーンの量は20〜60%が好ましく、30〜50%が更に好ましい。また液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
(e)ポリエーテル変性シリコーン:ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキプロピレン)シロキサン共重合体等が挙げられる。
(f)アルコール変性シリコーン:ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をアルコキシ基に置き換えた構造を有し、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン等が挙げられる。
(g)アルキル変性シリコーン:ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部を長鎖アルキル基に置き換えた構造を有し、アルキル基の置換率及び大きさにより、液体からワックス状の性状を有するものが挙げられる。
(h)アミノフェニル変性シリコーン:N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)アミノイソブチル基とフェニル基を持つシリコーン油であり、アミノフェニル変性シリコーンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解して配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。また液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
【0016】
これらシリコーン誘導体の中では、(a)ジメチルポリシロキサン、(c)高重合ジメチルポリシロキサン、(d)アミノ変性シリコーン及び(h)アミノフェニル変性シリコーンが特に好ましい。これらのシリコーン誘導体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は組成物全体に対して0.1〜20%、更に好ましくは0.5〜5.0%である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0017】
本発明の毛髪化粧料は、上記の特定の特定のヒドロキシエーテル型カチオン、高級アルコールと抗菌剤及び/又はカチオン性殺菌剤を必須成分とし、これらを水又は水に適宜な溶剤などを加えた液に含有させることによって調製されるが、これらの必須成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で通常毛髪化粧料に一般的に配合される他の成分を目的に応じて配合することができる。
【0018】
そのような成分としては、例えば、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルーテル硫酸塩、ラウリルベンゼンスルホン酸塩、ラウロイルメチ−β−アラニンナトリウム等のアニオン性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイ
ミダゾニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキルN−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム等の両性界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、高重合ポリエチレングリコール等の高分子化合物;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の湿潤剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコン類;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ成分;エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、DL−アラニン、L−アルギニン、グリシン、L−グルタミン酸、L−システイン、Lスレオニン等のアミノ酸;その他紫外線吸収剤、防腐剤、糖類、香料、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤等が挙げられる。
【0019】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアローション、ヘアリキッド、ヘアクリーム、ヘアフォーム、リーブオントリートメント、パーマ剤、ヘアカラー等に用いることができる。また本発明の毛髪化粧料は、常法により製造することができる。
【実施例】
【0020】
次に本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0021】
(1)毛髪の水分保持力試験法
各試料で処理した毛束を、温度25℃、湿度90%の条件下で24時間放置後、その質量を測定する。その後、温度25℃、湿度30%の条件下で24時間放置後、質量を測定し、湿度90%の条件下での質量を1としたときの相対値を求め、水分保持力とする。値が大きいほど水分保持力が高いことを示す。
【0022】
(2)官能評価方法
パネラー10名が市販のシャンプーを用いて洗髪後、本発明の実施例及び比較例の毛髪化粧料を使用した。これを1日1回1週間繰り返した。各毛髪化粧料の使用後のしなやかさ、しっとり感に関する仕上がり感について、下記基準で官能評価した。また、乾燥後の抗フケ効果及び抗カユミ効果を下記基準で評価した。
(i)仕上がり感(しなやかさ、しっとり感)の評価基準
◎:8人以上が「効果あり」と回答
○:6〜7人が「効果あり」と回答
△:4〜5人が「効果あり」と回答
×:3人以下が「効果あり」と回答
(ii)抗フケ効果の評価基準
A:8人以上が、「フケが減少した或いはフケがやや減少した」と回答
B:6〜7人が、「フケが減少した或いはフケがやや減少した」と回答
C:4〜5人が、「フケが減少した或いはフケがやや減少した」と回答
D:「フケが減少した或いはフケがやや減少した」と回答したのが3人以下
(iii)抗カユミ効果の評価基準
A:8人以上が、「カユミが減少した或いはカユミがやや減少した」と回答
B:6〜7人が、「カユミが減少した或いはカユミがやや減少した」と回答
C:4〜5人が、「カユミが減少した或いはカユミがやや減少した」と回答
D:「カユミが減少した或いはカユミがやや減少した」と回答したのが3人以下
【0023】
(3)低湿度環境でのパサツキのなさ、うるおい感
市販の黒色毛髪(10g,15cm、ビューラックス社製)を10%濃度のポリオキシエチレン(2E.O.)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム2gでシャンプー洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、本発明のヘアリンス組成物2gを塗布し、お湯で充分に洗い流し、タオルドライを行い、25℃湿度60%の環境下において6時間乾燥させた。次に、低湿度環境下(25℃湿度30%)に12時間放置し、パサツキのなさ、及びうるおい感の項目について、10名のパネルにより「良い」、「普通」、「悪い」の3段階で判定し、判定結果を「良い」と回答した人数により判断した。
判断基準は以下の通りである。
◎:8人以上が、「良い」と回答
○:6〜7人が、「良い」と回答
△:4〜5人が、「良い」と回答
×:「良い」と回答したのが3人以下
【0024】
実施例1〜8及び比較例1〜3(ヘアリンス)
表1に記載の配合組成によるヘアリンスを調製し、毛髪の水分保持力、官能評価による使用後のしなやかさ、しっとり感、抗フケ効果及び抗カユミ効果、及び低湿度下でのパサツキのなさ、うるおい感について調べ、その結果を併せて表1に示した。
【0025】
【表1】

【0026】
表1より明らかなように、本発明による毛髪化粧料は比較例の組成物に比べて、優れた性能を示していた。
【0027】
以下、本発明毛髪化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の毛髪化粧料についても、上記の毛髪の水分保持力、官能評価による使用後のしなやかさ、しっとり感、抗フケ効果及び抗カユミ効果、及び低湿度下でのパサツキのなさ、うるおい感の各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0028】
実施例9(ヘアコンディショナー)
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 2.0
(2)ステアリルPGトリモニウムクロリド 1.0
(3)セトステアリルアルコール 6.5
(4)ベヘニルアルコール 1.0
(5)ピロクトンオラミン 0.5
(6)メチルポリシロキサン(300cs) 0.5
(7)高重合メチルポリシロキサン(10万cs) 1.0
(8)流動パラフィン 0.5
(9)パラフィン 0.5
(10)プロピレングリコール 0.5
(11)ソルビトール 3.0
(12)グリセリン 0.5
(13)セラミド2 0.1
(14)トウモロコシ由来スフィンゴ脂質 0.1
(15)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(16)フェノキシエタノール 0.2
(17)香料 0.5
(18)精製水 全量を100とする
【0029】
(製法)(1)〜(13)を80℃にて均一に混合溶解し、80℃に加温した(18)に(14)〜(16)を分散したものをプロペラで攪拌しながらを加え、乳化を行う。徐々に冷却を行い、60℃にて(17)を添加し、室温まで冷却して、ヘアコンディショナーを調製した。
【0030】
実施例10 ヘアトリートメント
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 2.0
(2)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.0
(3)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5
(4)セトステアリルアルコール 6.0
(5)ベヘニルアルコール 3.0
(6)塩化ベンザルコニウム 0.3
(7)トリクロサン 0.2
(8)メチルポリシロキサン(100cs) 2.0
(9)高重合メチルポリシロキサン(10万cs) 5.0
(10)流動パラフィン 0.4
(11)パラフィン 2.0
(12)白色ワセリン 1.0
(13)1,3−ブチレングリコール 3.0
(14)ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5
(15)セリシン 0.1
(16)ヒオウギエキス 0.5
(17)加水分解コムギ末 1.0
(18)LIPIDURE−C(日本油脂社製) 1.0
(19)防腐剤(ケーソンCG) 0.1
(20)香料 0.5
(21)精製水 全量を100とする
【0031】
(製法)(1)〜(5)及び(8)〜(13)を80℃にて均一に混合溶解し油相とする。(6)〜(7)及び(21)を60℃にて均一に混合攪拌し水相とする。水相に油相を加えて乳化したのち、(14)〜(19)加えて、ホモミキサーを用いて均一に混合する。混合しながら徐々に冷却を行い、40℃にて(20)を添加し、室温まで冷却して、ヘアトリートメントを調製した。
【0032】
実施例11 アウトバストリートメント
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 1.0
(2)セチルアルコール 2.0
(3)ステアリルアルコール 1.0
(4)ピロクトンオラミン 0.3
(5)シリコーン水性エマルジョン 2.0
(XS65−B7116、GE東芝シリコン社製)
(6)コメヌカ油脂肪酸フィトステリル 3.0
(7)オレイン酸コレステリル 1.0
(8)1,3−ブチレングリコール 2.0
(9)セバシン酸ジエチル 3.0
(10)海苔タンパク質加水分解物 2.0
(ピュアポルフィラPE、株式会社白子社製)
(11)ローヤルゼリーエキス 0.2
(12)フェノキシエタノール 0.2
(13)香料 微 量
(14)精製水 全量を100とする
【0033】
(製法)(1)〜(4)及び(6)〜(8)を80℃にて均一に混合溶解させ、(9)〜(12)及び(14)を70℃にて混合したものを加えて乳化し、ホモミキサーで混合分散を行いながら、60℃にて(5)及び(13)を加え、室温まで冷却して、アウトバストリートメントを調製した。
【0034】
実施例12 トリートメントフォーム
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 0.5
(2)セトステアリルアルコール 1.0
(3)トリクロサン 0.2
(4)メチルポリシロキサン(300cs) 0.5
(5)ポリエーテル変性シリコーン 0.5
(シリコンFZ−4173、東レダウコーニング社)
(6)コメヌカ油脂肪酸フィトステリル 1.0
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル 0.2
(8)セラミド1・セラミド5混合物(1:1) 0.1
(9)ポリオキシエチレン(15)セチエルエーテル 0.5
(10)ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 0.5
(11)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
(12)1,3−ブチレングリコール 0.5
(13)フェノキシエタノール 0.5
(14)精製水 全量を100とする
【0035】
(製法)(1)〜(11)を80℃にて均一に混合溶解し、80℃に加温した(14)にプロペラで攪拌しながら加えて乳化する。徐々に冷却を行い、60℃にて(12)及び(13)を添加し、室温まで冷却して、原液とした。次にエアゾール耐圧容器に原液:LPGガスを92:8の比率で充填し、トリートメントフォームを調製した。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上記載のごとく、本発明は、抗フケ、抗カユミ及びデオドラント効果を有し、更にべたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れた毛髪化粧料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分を含有する毛髪化粧料。
(A)下記一般式(I)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン
−(OCHCH(OH)CH−N(R・X …(I)
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)
(B)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール
(C)抗菌剤及びカチオン性殺菌剤から選ばれる少なくとも1種
【請求項2】
(A)成分のヒドロキシエーテル型カチオンが、べヘニルPGトリモニウムクロリドである請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
(C)成分が、トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、二硫化セレン及び3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノールから選ばれる抗菌剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロロヘキシジンから選ばれるカチオン性殺菌剤の少なくとも1種である請求項1〜2のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
さらに、(D)シリコーン誘導体を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−13404(P2010−13404A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175441(P2008−175441)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】