説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪の水分保持力を高めながらも、毛髪にべたつきや重さを与えることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ、低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れた毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】下記(A)〜(C)成分を含有する毛髪化粧料。
(A)下記一般式(I)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン
−(OCHCH(OH)CH−N(R・X … (I)(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜3の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)
(B)下記一般式(II)で表されるエーテル型アミン
−O−(CH−N(R … (II)
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜5の整数を示す。)
(C)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関し、詳しくは毛髪の水分保持力を高め、その結果毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れた毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
女性のヘアスタイルの流行に伴って、求められる髪の仕上がりや感触も並行して変化している。最近では、シャギーやレイヤーカットなどの毛先のボリュームを落としたヘアスタイルが一般的であり、また一方、カラーリングやパーマ等の施術により、しなやかでしっとりした仕上がり感のみならず、べたつき感や髪が重くならずにボリュームが出る質感が求められている。また、さらに冬場の低湿度環境下においても、それらの機能が持続することが望まれている。ヘアリンスやヘアトリートメント等の毛髪化粧料においては、従来、毛髪を柔軟にして櫛通りをよくする目的で、カチオン性界面活性剤やシリコーン等の配合、或いは、しっとりとした感触を与えるために液状や固形状の油剤の配合が試みられているが、これら従来の技術では、近年のヘアスタイルにおいて要求されているニーズを満足させることは困難であり、しっとりとした仕上がり感とべたつきや重さのなさを両立することが課題であった。
【0003】
これらの課題を解決する方法として、例えば、脂肪酸アミドアミン化合物やヒドロキシエーテルアミン化合物を用いることにより、毛髪に滑らかさや柔軟性を付与する毛髪化粧料が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。これらの技術は、いずれも一定の改善がなされているが、洗髪した翌日には毛髪の保湿性が低下しており、髪がパサついて違和感のある手触りとなり、セットが上手にできないなどの問題点を有し、特に冬場の低湿度環境下においては、パサツキが激しく生じ、滑らかさやしっとり感の効果が持続しないなど、充分満足できるものではなかった。
【0004】
また、新たな抱水性の高い油剤やシリコーン類を配合することによって、毛髪に滑らかさや柔軟性を付与する試みがなされ、例えば、各種シリコーン化合物を配合して、柔らかさとしっとり感を付与する方法(例えば、特許文献5参照。)、ダイマージリノール酸ダイマー酸リノレイルビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)を配合したなじみや伸びに優れべたつきの少ない化粧料(例えば、特許文献6参照。)、分岐脂肪酸コレステリルエステルを配合してしっとり感、さらさら感、柔軟性を付与する毛髪化粧料(例えば、特許文献7参照。)が開示されている。しかしながら、これらの発明においても、しなやかさやしっとり感は実現できるものの、髪がべたつき、重くなり、また低湿度環境下では、パサツキを生じ、うるおい感の持続性において充分満足できるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−71515号公報
【特許文献2】特開2000−053537号公報
【特許文献3】特表2000−501430号公報
【特許文献4】特開2004−323495号公報
【特許文献5】特開2008−056665号公報
【特許文献6】特開2007−269746号公報
【特許文献7】特開平7−48232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、毛髪の水分保持力を高めながらも、毛髪にべたつきや重さを与えること
なく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ、低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような状況に鑑み、鋭意研究した結果、ヒドロキシエーテル型カチオンと、エーテル型アミンと、高級アルコールとを含有する毛髪化粧料が、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の毛髪化粧料は、下記(A)〜(C)成分を含有することを特徴としている。
(A)下記一般式(I)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン
−(OCHCH(OH)CH−N(R・X … (I)(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)
(B)下記一般式(II)で表されるエーテル型アミン
−O−(CH−N(R … (II)
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜5の整数を示す。)
(C)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール。
【0009】
また本発明の毛髪化粧料には、さらに、(D)シリコーン誘導体を含有することが望ましく、また(E)スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体からなる群より選ばれる一種以上を含有することがより望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪の水分保持力を高め、その結果毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れた効果を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明における(A)成分のヒドロキシエーテル型カチオンは、例えば、下記一般式(I)
−(OCHCH(OH)CH−N(R・X … (I)(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)で表され、具体例を示すと、ラウリルPGトリモニウムクロリド、ミリスチルPGトリモニウムクロリド、パルミチルPGトリモニウムクロリド、セチルPGトリモニウムクロリド、セトステアリルPGトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、アラキルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、カルナービルPGトリモニウムクロリド、オレイルPGトリモニウムクロリド、エライジルPGトリモニウムクロリド、リノレイルPGトリモニウムクロリド、リノレニルPGトリモニウムクロリド、ラウリルPGトリモニウムブロミド、ミリスチルPGトリモニウムブロミド、パルミチルPGトリモニウムブロミド、セチルPGトリモニウムブロミド、セトステアリルPGトリモニウムブロミド、ステアリルPGトリモニウムブロミド、アラキルPGトリモニウムブロミド、ベヘニルPGトリモニウムブロミド、カルナービルPGトリモニウムブロミド、オレイルPGトリモニウムブロミド、エライジルPGトリモニウムブロミド、リノレイルPGトリモニウムブロミド、リノレニルPGトリ
モニウムブロミド、ラウリルPGトリモニウムエトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムエトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムエトサルフェート、セチルPGトリモニウムエトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、アラキルPGトリモニウムエトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムエトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムエトサルフェート、オレイルPGトリモニウムエトサルフェート、エライジルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムエトサルフェート、ラウリルPGトリモニウムメトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムメトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムメトサルフェート、セチルPGトリモニウムメトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、アラキルPGトリモニウムメトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムメトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムメトサルフェート、オレイルPGトリモニウムメトサルフェート、エライジルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムメトサルフェート等のヒドロキシエーテル型カチオンが挙げられる。これらの中でもRが炭素数22のベヘニル基、Rがメチル基、Xが塩素であるべヘニルPGトリモニウムクロリドが特に好ましい。本発明では、これらのヒドロキシエーテル型カチオンの中から1種又は2種以上を任意に用いることができ、その配合量は、好ましくは0.1〜10質量%(以下、特に記載のあるもの以外は、質量%を単に「%」で示す)、更に好ましくは、0.5〜5%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0013】
本発明における(B)成分のエーテル型アミンは、例えば、下記一般式(II)
−O−(CH−N(R … (II)
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜5の整数を示す。)で表され、具体例を示すと、ラウロキシプロピルジメチルアミン、ミリトキシプロピルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ベヘノキシプロピルジメチルアミン、ラウロキシプロピルジエチルアミン、ミリトキシプロピルジエチルアミン、パルミトキシプロピルジエチルアミン、ステアロキシプロピルジエチルアミン、ベヘノキシプロピルジエチルアミン等が挙げられる。これらの中でもRが炭素数16〜18、Rがメチル基、nが3の整数であるパルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミンが特に好ましい。本発明では、これらのエーテル型アミンの中から1種又は2種以上を任意に用いることができ、その配合量は、好ましくは0.1〜10%、更に好ましくは、0.5〜5%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0014】
エーテル型アミンは、通常、酸を添加して中和して配合することが好ましく、中和により乳化剤としての機能がより発揮される。中和剤としては有機酸を用いることが好ましい。有機酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントテン酸等のヒドロキシモノカルボン酸;リンゴ酸、酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸;クエン酸等のヒドロキシトリカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸等のジカルボン酸;L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;ピログルタミン酸、;安息香酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族酸等が挙げられる。これらの中でも、乳化性の点から、ヒドロキモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシトリカルボン酸が好ましく、その中でも特に乳酸がより好ましい。エーテル型アミンと有機酸の中和は、乳化工程中で行っても、あるいはあらかじめエーテル型アミンと有機酸の塩を形成させてから配合しても良い。また、有機酸は、1種又は2種以上を組み
合わせて用いることができ、その配合量は、エーテル型アミンに対して、好ましくは0.5〜2.0モル倍、更に好ましくは0.7〜1.2モル倍の範囲である。
【0015】
本発明における(C)成分の炭素数14〜22の長鎖のアルキル基を有する高級アルコールは、好ましいものとしては、炭素数16〜22の長鎖高級アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールである。これらの高級アルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、好ましくは1〜20%、更に好ましくは、3〜10%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0016】
さらに本発明においては使用時の感触を高める目的で、(D)成分のシリコーン誘導体を配合することができる。シリコーン誘導体の具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテルシリコーンなどを含み、例えば以下の(a)〜(g)等が挙げられる。
【0017】
(a)ジメチルポリシロキサン:メチルシロキサン構造を持ち、25℃における粘度が6〜100,000mPa・sである重合度ものが挙げられる。
(b)環状シリコーン:環状のメチルポリシロキサン構造を持つシリコーン油であり、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、環状シリコン樹脂等が挙げられる。
(c)高重合ジメチルポリシロキサン:メチルシロキサン構造を持ち、25℃における粘度が50,000〜20,000,000mPa・sであるものが挙げられ、高重合ジメチルポリシロキサンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解して配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
(d)アミノ変性シリコーン:N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)アミノイソブチル基を持つシリコーン油であり、アミノ変性シリコーンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解して配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。また水性乳濁液として用いる場合、該水性乳濁液中に含まれるアミノ変性シリコーンの量は20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。また液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
(e)ポリエーテル変性シリコーン:ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキプロピレン)シロキサン共重合体等が挙げられる。
(f)アルコール変性シリコーン:ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をアルコキシ基に置き換えた構造を有し、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン等が挙げられる。
(g)アルキル変性シリコーン:ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部を長鎖アルキル基に置き換えた構造を有し、アルキル基の置換率及び大きさにより、液体からワックス状の性状を有するものが挙げられる。
(h)アミノフェニル変性シリコーン:N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)アミノイソブチル基とフェニル基を持つシリコーン油であり、アミノフェニル変性シリコーンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解し
て配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。また液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
【0018】
これらシリコーン誘導体の中では、(a)ジメチルポリシロキサン、(c)高重合ジメチルポリシロキサン、(d)アミノ変性シリコーン及び(h)アミノフェニル変性シリコーンが特に好ましい。これらのシリコーン誘導体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は組成物全体に対して0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜5.0質量%である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0019】
さらに本発明においては、(E)成分の、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体からなる群より選ばれる一種以上を配合することができる。スフィンゴ脂質としては、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、セレブロシド、ガングリオシド等のスフィンゴ糖脂質が挙げられ、また、トウモロコシ、コムギ胚芽、米フスマ、ほうれん草、スエヒロタケ、マツヨイグサなどの植物中から抽出される各種植物性スフィンゴ脂質が挙げられる。セラミドは、スフィンゴシンに脂肪酸がアミド結合したものであり、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6が天然セラミドとして挙げられ、また、化学合成により製造される擬似セラミド等が挙げられる。コレステロール誘導体としては、水素添加したジヒドロコレステロール、低級又は高級脂肪酸とのエステル体が挙げられ、例えば、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、酪酸コレステリルなどが市販されている。フィトステロール誘導体としては、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、及びこれらの水素添加した化合物と低級又は高級脂肪酸とのエステル体が挙げられ、例えば、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステロール、ノナン酸フィトステロール、ステアリン酸フィトステロール、酪酸フィトステロールなどが市販されている。
【0020】
また、本発明の毛髪化粧料には、上記スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール類及びフィトステロール類を溶解するために、液状油分を配合することもできる。液状油分として具体的には、流動パラフィン、スクワラン等の液状炭化水素、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、液状ラノリン等の液状動植物抽出油、シリコーン油、パーフルオロ化油、脂肪酸及び高級アルコールを反応させて得られる液状エステル油等が挙げられる。
【0021】
これらの(E)成分の中でも、セラミド及びフィトステロール誘導体が、経済性と効果の面で特に好ましい。また、これら(E)成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いる事ができ、その配合量は、好ましくは0.01〜10%、更に好ましくは0.1〜5%である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0022】
本発明の毛髪化粧料は、上記のヒドロキシエーテル型カチオン、エーテル型アミン、高級アルコールを必須成分とし、これらを水又は水に適宜な溶剤などを加えた液に含有させることによって調製されるが、これらの必須成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で通常毛髪化粧料に一般的に配合される他の成分を目的に応じて配合することができる。
【0023】
そのような成分としては、例えば、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルーテル硫酸塩、ラウリルベンゼンスルホン酸塩、ラウロイルメチ−β−アラニンナトリウム等の
アニオン性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキルN−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム等の両性界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、高重合ポリエチレングリコール等の高分子化合物;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の湿潤剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコン類;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ成分;エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、DL−アラニン、L−アルギニン、グリシン、L−グルタミン酸、L−システイン、Lスレオニン等のアミノ酸;その他紫外線吸収剤、防腐剤、糖類、香料、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤等が挙げられる。
【0024】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアローション、ヘアリキッド、ヘアクリーム、ヘアフォーム、リーブオントリートメント、パーマ剤、ヘアカラー等に用いることができる。また本発明の毛髪化粧料は、常法により製造することができる。
【実施例】
【0025】
次に本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0026】
(1)毛髪の水分保持力試験法
各試料で処理した毛束を、温度25℃、湿度90%の条件下で24時間放置後、その質量を測定する。その後、温度25℃、湿度30%の条件下で24時間放置後、質量を測定し、湿度90%の条件下での質量を1としたときの相対値を求め、水分保持力とする。値が大きいほど水分保持力が高いことを示す。
【0027】
(2)使用時の感触試験法
20名のパネルが試料を使用し、使用時の髪なじみ、指通りについて「良い」、「普通」、「悪い」の3段階で判定し、判定結果を「良い」と回答した人数により判断した。
判断基準は以下の通りである。
◎:大変優れている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が16名以上
○:優れている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が11〜15名
△:劣っている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が6〜10名
×:大変劣っている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が5名以下
【0028】
(3)使用後の毛髪の仕上がり感試験法
20名のパネルが試料を使用し、使用後の毛髪のしっとり感、しなやかさについて「良い」、「普通」、「悪い」の3段階で判定し、判定結果を「良い」と回答した人数により判断した。
判断基準は以下の通りである。
◎:大変優れている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が16名以上
○:優れている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が11〜15名
△:劣っている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が6〜10名
×:大変劣っている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が5名以下
【0029】
(4)低湿度環境でのパサツキのなさ、うるおい感
市販の黒色毛髪(10g,15cm、ビューラックス社製)を10%濃度のポリオキシエチレン(2E.O.)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム2gでシャンプー洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、本発明のヘアリンス組成物2gを塗布し、お湯で充分に洗い流し、タオルドライを行い、25℃湿度60%の環境下において6時間乾燥させた。次に、低湿度環境下(25℃湿度30%)に12時間放置し、パサツキのなさ、及びうるおい感の項目について、20名のパネルにより「良い」、「普通」、「悪い」の3段階で判定し、判定結果を「良い」と回答した人数により判断した。
判断基準は以下の通りである。
◎:大変優れている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が16名以上
○:優れている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が11〜15名
△:劣っている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が6〜10名
×:大変劣っている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が5名以下
【0030】
実施例1〜13及び比較例1〜5(ヘアリンス)
表1〜3に記載の配合組成によるヘアリンスを調製し、毛髪の水分保持力、使用時の髪なじみ、指通り等の使用感、使用後の仕上がり感、低湿度下でのパサツキのなさ、うるおい感について調べ、その結果を表1〜3に示した。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
表1〜3より明らかなように、本発明による毛髪化粧料は比較例の組成物に比べて、優れた性能を示していた。
【0035】
以下、本発明毛髪化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の毛髪化粧料についても、上記の毛髪の水分保持力、使用時の髪なじみ、指通り等の使用
感、使用後の仕上がり感、低湿度下でのパサツキのなさ、うるおい感の各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0036】
実施例14(ヘアコンディショナー)
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 1.0
(2)ステアリルPGトリモニウムクロリド 1.0
(3)ステアロキシプロピルジメチルアミン 0.5
(4)セトステアリルアルコール 6.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)メチルポリシロキサン(300cs) 0.5
(7)高重合メチルポリシロキサン(10万cs) 1.0
(8)コメヌカ油脂肪酸フィトステリル 2.0
(9)乳酸 0.3
(10)パラフィン 1.0
(11)プロピレングリコール 0.5
(12)ソルビトール 3.0
(13)グリセリン 0.5
(14)セラミド2 0.1
(15)トウモロコシ由来スフィンゴ脂質 0.1
(16)ヒドロキシエチルセルロース 0.4
(17)フェノキシエタノール 0.2
(18)香料 0.5
(19)精製水 全量を100とする
【0037】
(製法)(1)〜(14)を80℃にて均一に混合溶解し、80℃に加温した(19)に(15)〜(17)を分散したものをプロペラで攪拌しながらを加え、乳化を行う。徐々に冷却を行い、60℃にて(18)を添加し、室温まで冷却して、ヘアコンディショナーを調製した。
【0038】
実施例15 ヘアトリートメント
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 2.0
(2)ステアロキシプロピルジメチルアミン 1.0
(3)ミリトキシプロピルジメチルアミン 0.5
(4)セトステアリルアルコール 6.0
(5)ベヘニルアルコール 3.0
(6)メチルポリシロキサン(100cs) 2.0
(7)高重合メチルポリシロキサン(10万cs) 5.0
(8)コメヌカ油脂肪酸フィトステリル 3.0
(9)セリシン 0.5
(10)乳酸 0.4
(11)パラフィン 2.0
(12)白色ワセリン 1.0
(13)1,3−ブチレングリコール 3.0
(14)ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5
(15)セレブロシド 0.1
(16)ヒオウギエキス 0.5
(17)加水分解コムギ末 1.0
(18)LIPIDURE−C(日本油脂社製) 1.0
(19)防腐剤(ケーソンCG) 0.1
(20)香料 0.5
(21)精製水 全量を100とする
【0039】
(製法)(1)〜(4)、(6)及び(8)〜(13)を80℃にて均一に混合溶解し油相とする。(7)及び(21)を60℃にて均一に混合攪拌し水相とする。水相に油相を加えて乳化したのち、(5)及び(14)〜(19)加えて、ホモミキサーを用いて均一に混合する。混合しながら徐々に冷却を行い、40℃にて(20)を添加し、室温まで冷却して、ヘアトリートメントを調製した。
【0040】
実施例16 アウトバストリートメント
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 1.0
(2)ステアロキシプロピルジメチルアミン 0.5
(3)ミリトキシプロピルジメチルアミン 0.2
(4)セチルアルコール 4.0
(5)シリコーン水性エマルジョン 2.0
(XS65−B7116、GE東芝シリコン社製)
(6)コメヌカ油脂肪酸フィトステリル 3.0
(7)オレイン酸コレステリル 1.0
(8)1,3−ブチレングリコール 2.0
(9)セバシン酸ジエチル 3.0
(10)海苔タンパク質加水分解物 2.0
(ピュアポルフィラPE、株式会社白子社製)
(11)グリコール酸 0.2
(12)フェノキシエタノール 0.2
(13)香料 微 量
(14)精製水 全量を100とする
【0041】
(製法)(1)〜(4)及び(6)〜(8)を80℃にて均一に混合溶解させ、(9)〜(12)及び(14)を70℃にて混合したものを加えて乳化し、ホモミキサーで混合分散を行いながら、60℃にて(5)及び(13)を加え、室温まで冷却して、アウトバストリートメントを調製した。
【0042】
実施例17 ヘアパック
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 0.5
(2)ステアロキシプロピルジメチルアミン 2.0
(3)ベヘニルアルコール 5.0
(4)セトステアリルアルコール 5.0
(5)コメヌカ油脂肪酸フィトステリル 1.0
(6)シリコーン水性エマルジョン 6.0
(XS65−B7116、GE東芝シリコン社製)
(7)ヒドロキシウレア 1.0
(8)PG 3.0
(9)セバシン酸ジエチル 1.0
(10)乳酸 0.5
(11)フェノキシエタノール 0.2
(12)香料 0.6
(13)精製水 全量を100とする
【0043】
(製法)(1)〜(5)を80℃にて均一に混合溶解させ、(8)〜(13)を50℃にて混合したものを加えて乳化し、ホモミキサーで混合分散を行いながら、50℃で(6)〜(7)を加えて、室温まで冷却して、ヘアパックを調製した。
【0044】
実施例18 トリートメントフォーム
配合量(%)
(1)べヘニルPGトリモニウムクロリド 0.5
(2)ステアロキシプロピルジメチルアミン 0.2
(3)セトステアリルアルコール 1.0
(4)メチルポリシロキサン(300cs) 0.5
(5)ポリエーテル変性シリコーン 0.5
(シリコンFZ−4173、東レダウコーニング社)
(6)コメヌカ油脂肪酸フィトステリル 1.0
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル 0.2
(8)セラミド1・セラミド5混合物(1:1) 0.1
(9)乳酸 0.2
(10)ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 1.0
(11)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
(12)1,3−ブチレングリコール 0.5
(13)フェノキシエタノール 0.5
(14)精製水 全量を100とする
【0045】
(製法)(1)〜(11)を80℃にて均一に混合溶解し、80℃に加温した(14)にプロペラで攪拌しながら加えて乳化する。徐々に冷却を行い、60℃にて(12)及び(13)を添加し、室温まで冷却して、原液とした。次にエアゾール耐圧容器に原液:LPGガスを92:8の比率で充填し、トリートメントフォームを調製した。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上記載のごとく、本発明は、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ低湿度下でのパサツキ防止とうるおい感に優れた毛髪化粧料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分を含有する毛髪化粧料。
(A)下記一般式(I)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン
−(OCHCH(OH)CH−N(R・X … (I)(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜3の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)
(B)下記一般式(II)で表されるエーテル型アミン
−O−(CH−N(R … (II)
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜5の整数を示す。)
(C)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール
【請求項2】
(A)成分のヒドロキシエーテル型カチオンが、べヘニルPGトリモニウムクロリドである請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
さらに、(D)シリコーン誘導体を含有する請求項1〜2のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
さらに、(E)スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体からなる群より選ばれる一種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−6750(P2010−6750A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168518(P2008−168518)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】