説明

毛髪化粧料

〈第一の態様〉 (a)多価カルボン酸又はその塩、 (b)ヒドロキシモノカルボン酸又はその塩、及び (c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤を、0.33≦〔(a)+(b)〕/(c)≦2.5の重量比(「(a)」及び「(b)」は酸としての重量)で含有し、水で20重量倍希釈したときの25℃におけるpHが2.5〜5である、洗い流すタイプの非染色毛髪化粧料。〈第二の態様〉 2種の毛髪化粧料A及びBを使用し、A→B又はB→Aの順で毛髪を処理する毛髪処理方法、並びに毛髪化粧料A及びBからなる毛髪改質用化粧料セット。A:成分(a)及び(c)を(a)/(c)=0.6/1以上の重量比で含有するもの B:成分(b)及び(c)を(b)/(c)=0.25/1以上の重量比で含有するもの 本発明の毛髪化粧料及び毛髪処理方法は、毛髪の弾力性やしなやかさを向上させる効果に優れ、処理中の感触も良好である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の弾力性やしなやかさを向上させる効果に優れ、処理中の感触も良好な毛髪化粧料及び毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラー、パーマ等の化学物質や、ドライヤー等の熱の影響で、毛髪の繊維組織が収縮し、毛髪内部に多数の空洞を生じてしおれた状態になることが知られている(例えば、非特許文献1)。そのような髪は弾力がなく、パサつく、寝癖等の跡が付きやすい、髪のまとまりが悪い、といった現象を引き起こす。現在、洗い流すタイプの毛髪化粧料は、油脂、シリコーン、ポリマー等を配合し、パサつきの防止、しっとり感の付与、なめらかさの向上等を図っている。しかしながら、これらのほとんどは、これら成分を毛髪表面に付着させて一時的に悩みを解消するものであり、本質的に問題を解決するものではない。
【0003】
毛髪自体の質を改善し、毛髪のパサつきを抑え、まとまり、ツヤを与える毛髪化粧料として、有機酸と特定の有機溶剤を併用したものが知られている(特許文献1,2参照)。しかしながら、1種類の有機酸と有機溶剤との組み合わせでは効果は十分なものではなかった。
【非特許文献1】フレグランスジャーナル,6号,11頁、2000年
【特許文献1】特開2002−47142号公報
【特許文献2】特開2002−29938号公報
【発明の開示】
【0004】
すなわち本発明は、第一の態様として、次の成分(a)、(b)及び(c)
(a)多価カルボン酸又はその塩
(b)ヒドロキシモノカルボン酸又はその塩
(c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤
を、0.33≦〔(a)+(b)〕/(c)≦2.5の重量比(「(a)」及び「(b)」は酸としての重量)で含有し、水で20重量倍希釈したときの25℃におけるpHが2.5〜5である、洗い流すタイプの非染色毛髪化粧料を提供するものである。
【0005】
また、本発明は、第二の態様として、次のA及びB
A:次の成分(a)及び(c)を、(a)/(c)=0.6/1以上の重量比で含有する毛髪化粧料
(a)多価カルボン酸又はその塩
(c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤
B:次の成分(b)及び(c)を、(b)/(c)=0.25/1以上の重量比で含有する毛髪化粧料
(b)ヒドロキシモノカルボン酸又はその塩
(c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤
の2種の毛髪化粧料を、Aに続きB、又はBに続きAの順で使用して、毛髪を処理する毛髪処理方法、並びに上記毛髪化粧料A及びBからなる毛髪改質用化粧料セットを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の毛髪化粧料及び毛髪処理方法による毛髪の結い跡の回復率の評価における、折れ跡の角度の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、毛髪の弾力性やしなやかさを向上させる効果に優れ、処理中の感触も良好な毛髪化粧料及び毛髪処理方法に関する。
【0008】
本発明者らは、有機酸として多価カルボン酸とヒドロキシモノカルボン酸を併用し、更に特定の有機溶剤を組み合わせることにより、上記要求が満たされることを見出した。
【0009】
成分(a)の多価カルボン酸は、毛髪の内部に浸透して弾力やハリ・コシを与えるものである。多価カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、また、それらの塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物との塩が挙げられる。なかでもマロン酸、マレイン酸、リンゴ酸又はそれらの塩、特にリンゴ酸又はその塩が好ましい。これら多価カルボン酸は、2種以上を併用することもできる。
【0010】
第一の態様(一剤型)の場合、成分(a)の含有量は、毛髪への弾力性付与と系の安定性の点から、本発明の非染色毛髪化粧料中の0.05〜10重量%が好ましく、更には0.1〜7.5重量%、特に0.1〜5重量%が好ましい。
【0011】
また、第二の態様(二剤型セット)の場合、成分(a)の含有量は、毛髪化粧料Aの0.1〜20重量%が好ましく、更には0.2〜15重量%、特に0.2〜10重量%が好ましい。
【0012】
成分(b)のヒドロキシモノカルボン酸は、毛髪の内部に浸透して柔軟性を付与するものである。ヒドロキシモノカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸等が挙げられ、また、それらの塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物との塩が挙げられる。これらヒドロキシモノカルボン酸は、2種以上を併用することもできる。
【0013】
第一の態様(一剤型)の場合、成分(b)の含有量は、毛髪への柔軟性付与と系の安定性の点から、本発明の非染色毛髪化粧料中の0.05〜10重量%が好ましく、更には0.1〜7.5重量%、特に0.1〜5重量%が好ましい。更に、第一の態様では、成分(a)と成分(b)の重量比(「(a)」及び「(b)」は酸としての重量)は、髪にしなやかさとまとまりを付与する点から、1:100〜100:1、特に1:10〜10:1が好ましい。
【0014】
また、第二の態様(二剤型セット)の場合、成分(b)の含有量は、毛髪化粧料Bの0.1〜20重量%が好ましく、更には0.2〜15重量%、特に0.2〜10重量%が好ましい。
【0015】
成分(c)の有機溶剤のうち、芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p−アニシルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール等が挙げられる。アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。ポリオールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(好ましくは平均分子量(測定法:GPC)が200〜700、特に300〜500であるもの)等が挙げられる。特に好ましい成分(c)として、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート及びポリプロピレングリコール(分子量400)が挙げられる。これら有機溶剤は、2種以上を併用することもできる。
【0016】
第一の態様(一剤型)の場合、有機溶剤の含有量は、有効成分を浸透促進させる点と安定性の点から、本発明の非染色毛髪化粧料中の0.1〜20重量%が好ましく、更には0.5〜10重量%、特に1〜10重量%が好ましい。
【0017】
第二の態様(二剤型セット)の場合、有機溶剤の含有量は、毛髪化粧料A及びBともに、それぞれの毛髪化粧料の0.1〜20重量%が好ましく、更には0.5〜10重量%、更には0.7〜10重量%、特に1〜7重量%が好ましい。
【0018】
第一の態様(一剤型)の場合、成分(a)、(b)及び(c)の含有比率は、髪にハリやコシを与えることと、それらを浸透させるという観点から、0.33≦〔(a)+(b)〕/(c)≦2.5の重量比(「(a)」及び「(b)」は酸としての重量)とされるが、当該重量比が0.35〜2.3、特に0.5〜2.0の範囲内であることが好ましい。
【0019】
第二の態様(二剤型セット)の場合、毛髪化粧料Aに含有させる成分(a)と成分(c)の比率は、髪にハリやコシを与えることと、それらを浸透させるという観点から、(a)/(c)の重量比で0.6以上とされるが、0.6〜5.0、特に0.6〜1.5が好ましい。また、毛髪化粧料Bに含有させる成分(b)と成分(c)の比率は、髪に柔軟性を与え柔らかくことと、それらを浸透させるという観点から、(b)/(c)の重量比で0.25以上とされるが、0.25〜10.0、特に0.25〜1.0が好ましい。
【0020】
本発明の毛髪化粧料には、成分(d)として、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでもよい。
【0021】
カチオン界面活性剤としては、次の一般式(1)で表される四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0022】
【化1】

【0023】
〔式中、Aは水素原子、又は総炭素数12〜24の直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の、アミド基、N−炭化水素カルバモイル基、アシルオキシ基若しくは炭化水素オキシ基を示し、Bは炭素数1〜22の2価の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R、R及びRは少なくとも1個が総炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、残りは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン化物イオン又は有機アニオンを示す。〕
【0024】
一般式(1)で表される四級アンモニウム塩としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル四級アンモニウム塩、分岐鎖アルキル四級アンモニウム塩、アルキルアミドアルキレン四級アンモニウム塩、N−炭化水素カルバモイルアルキレン四級アンモニウム塩、アシルオキシアルキレン四級アンモニウム塩、炭化水素オキシアルキレン四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0025】
モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルアミド基アルキレン四級アンモニウム塩としては、ステアラミドプロピル四級アンモニウム塩、N−炭化水素カルバモイルアルキレン四級アンモニウム塩としては、N−ステアリルカルバモイルプロピル四級アンモニウム塩、アシルオキシアルキレン四級アンモニウム塩としては、ステアロキシプロピル四級アンモニウム塩、炭化水素オキシアルキレン四級アンモニウム塩としては、オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0026】
また、他のカチオン界面活性剤として、次の一般式(2)で表される三級アミン型化合物又はその塩も挙げられる。
【0027】
【化2】

【0028】
〔式中、A及びBは前記と同じ意味を示し、Y及びYは独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
【0029】
三級アミン型化合物(2)は、Aが水素原子以外の場合、Aは総炭素数14〜22、特に総炭素数18〜22のアミド基又は炭化水素オキシ基であることが好ましく、またその炭化水素部分が飽和であるもの、特に直鎖であるものが好ましい。この場合におけるBは、特にトリメチレン基が好ましい。Aが水素原子の場合、Bとしては、炭素数18〜22の基が好ましく、また飽和の基、特に直鎖の基が好ましい。Y及びYとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。三級アミン型化合物(2)の好ましい具体例としては、N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン等が挙げられる。
【0030】
三級アミン型化合物(2)の塩は、上記三級アミン型化合物と成分(a)、(b)の有機酸、酸性アミノ酸又は無機酸との中和反応で形成される。
【0031】
アニオン界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系及びカルボン酸系のものが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩等が挙げられ、特に次の一般式(3)又は(4)で表されるものが好ましい。
【0032】
O(CHCHO)SOM (3)
OSOM (4)
【0033】
〔式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、mは重量平均で1〜5の数を示す。〕
【0034】
一般式(3)におけるmは、泡立ち性、滑らか感の点から、0.6〜1.4が好ましい。
【0035】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類等が挙げられる。このうち、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレン(C〜C20)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、脂肪酸アルカノールアミドとしては、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0036】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0037】
以上の界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、またその好ましい含有量は、以下のとおりである。
【0038】
第一の態様(一剤型)の場合、カチオン界面活性剤の含有量は、コンデショニング効果、安定性の点から、本発明の非染色毛髪化粧料中の0.1〜20重量%が好ましく、更には0.5〜15重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。アニオン界面活性剤の含有量は、非染色毛髪化粧料の安定性、使用時の液性、泡立てやすさ、洗髪時の洗い易さの点から、本発明の非染色毛髪化粧料中の1〜50重量%が好ましく、更には5〜30重量%、特に8〜22重量%が好ましい。非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の含有量は、安定性、使用時の液性の点から、本発明の非染色毛髪化粧料中の0.1〜30重量%が好ましく、更には0.2〜20重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0039】
第二の態様(二剤型セット)の場合、カチオン界面活性剤の含有量は、コンデショニング効果の点から、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜20重量%が好ましく、更には0.5〜15重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。全界面活性剤の含有量は、毛髪洗浄料の場合、0.1〜50重量%が好ましく、更には1〜30重量%、更には5〜25重量%、特に5〜20重量%が好ましい。ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の場合、0.1〜20重量%が好ましく、更には0.5〜10重量%、特に1〜5重量%が好ましい。
【0040】
本発明の毛髪化粧料には、高級アルコールを含有させることができる。高級アルコールとしては、炭素数12〜28のアルキル基を有するものが好ましく、更には炭素数16〜24、特に22のアルキル基を有するものが好ましく、またこのアルキル基は直鎖アルキル基であるのが好ましい。高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、特にベヘニルアルコールが好ましい。
【0041】
高級アルコールは、2種以上を併用してもよく、その含有量は、第一の態様及び第二の態様のいずれの場合にも、本発明の毛髪化粧料の1〜20重量%が好ましく、更には1〜10重量%、特に2〜8重量%が好ましい。
【0042】
本発明の毛髪化粧料には、すすぎ時の感触、乾燥後の仕上がり感の向上を目的として、更にジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン、カルボン酸変性ポリシロキサン、アルコール変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン等のシリコーン類を含有させることができる。
【0043】
これらシリコーン類は2種以上を併用してもよく、その含有量は、第一の態様及び第二の態様のいずれの場合にも、本発明の毛髪化粧料の0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0044】
本発明の毛髪化粧料には、乾燥後の仕上がり感(サラサラ感、しっとり感など)を向上する目的で、油剤類を含有させることができる。かかる油剤類としては、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、落花生油、メドウフォーム油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂;オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸ヘキサデシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、オレイン酸イソデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、コハク酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル等のエステル油;流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよく、それぞれの含有量は、本発明の毛髪化粧料の0.01〜20重量%、特に0.1〜10重量%が好ましい。
【0045】
その他、目的に応じて、エデト酸ナトリウム塩、メタリン酸ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等の中和剤;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;その他、水溶性高分子、被膜形成性樹脂、薬効成分、抗菌剤、抗フケ剤、紫外線吸収剤、香料、色素等を配合することができる。
【0046】
第一の態様(一剤型)の非染色毛髪化粧料は、成分(a)、(b)及び成分(c)、並びに目的に応じ適宜使用される上記のその他の成分と水を配合することにより製造される。また本発明の非染色毛髪化粧料は、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが2.5〜5であるが、3〜3.9が好ましい。
【0047】
第二の態様(二剤型セット)の毛髪化粧料A及びBは、成分(a)又は(b)と、成分(c)、並びに目的に応じ適宜使用される上記のその他の成分と水を配合することにより製造される。また毛髪化粧料A及びBは、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが、2〜5.5であるのが好ましく、更には2.5〜5.特に3〜3.9が好ましい。
【0048】
第一の態様(一剤型)の場合には、非染色毛髪化粧料の形態は、洗い流すタイプのものであれば特に限定されず、例えば、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等とすることができる。
【0049】
第二の態様(二剤型セット)の場合には、毛髪化粧料Aと毛髪化粧料Bの形態は、いずれもが上記洗い流すタイプであってもよいし、いずれもが洗い流さずに使用するタイプ(例えば、ヘアスタイリング剤、リーブオントリートメント等)であってもよいし、また先に適用される毛髪化粧料が洗い流して使用するタイプで後に適用される毛髪化粧料が洗い流さずに使用するタイプであってもよい。第二の態様の代表的な例として以下のような組み合わせが挙げられる。
【0050】
(1)洗い流して使用する毛髪化粧料の組み合わせ
ヘアシャンプーとヘアシャンプー
ヘアシャンプーとヘアリンス(ヘアコンディショナー、ヘアトリートメントも含む。以下同じ。)
ヘアリンスとヘアリンス
【0051】
(2)洗い流さずに使用する毛髪化粧料の組み合わせ
リーブオントリートメントとヘアスタイリング剤
リーブオントリートメントとリーブオントリートメント
【0052】
(3)洗い流して使用する毛髪化粧料と洗い流さずに使用する毛髪化粧料の組み合わせ
ヘアシャンプーとリーブオントリートメント
ヘアリンスとヘアスタイリング剤
【0053】
上記組み合わせのうち、(1)洗い流して使用する毛髪化粧料の組み合わせ、特に、ヘアシャンプーとヘアリンスの組み合わせが好ましい。
【0054】
第二の態様においては、(a)多価カルボン酸又はその塩を含有する毛髪化粧料Aと(b)ヒドロキシモノカルボン酸又はその塩を含有する毛髪化粧料Bの二剤で順次毛髪を処理すればよく、いずれを先に用いてもよいが、最初に毛髪化粧料Aで処理し、続いて毛髪化粧料Bで処理すると、より高い効果が得られ好ましい。また、ヘアシャンプーに配合される有機酸としては、使用感の点から多価カルボン酸が好ましく、ヘアリンスに配合される有機酸としては、使用感の点からヒドロキシモノカルボン酸が好ましい。従って、ヘアシャンプーとヘアリンスの組み合わせの場合には、ヘアシャンプーをAとし、ヘアリンスをBとすることが好ましい。
【実施例】
【0055】
実施例1〜4及び比較例1〜4
表1に示すヘアシャンプーを調製し、これらで洗髪した毛髪について、弾力あるしなやかな髪の指標として、結い跡の付き難さと回復性の評価を行った。この結果を併せて示す。
【0056】
〔毛髪の結い跡の付き難さと回復性〕
ブリーチによりダメージを付与した毛束(毛髪20本を1つの束にしたもの)に、ヘアシャンプーを1g塗布し、35℃で15分間放置した後、濯ぎ、ドライヤーでよく乾燥する(この処理は、ヘアシャンプーを、日常1週間連続使用した場合に相当する)。この毛髪処理を4回繰り返した。
【0057】
上記処理後の毛髪について、結い跡の付き難さと回復性を、φ4mmの金属製支柱2本を18mm間隔で有する固定器具を用いて評価した。この2本の金属製支柱に、毛束を80gの荷重で8の字型に巻き付け、20℃、湿度20%の条件下で、1時間固定した後、解いた時にできる図1のような折れ跡の角度を測定する。
評価は解いた直後と1時間後に行い、折れ跡の角度(θ)から次式を用いて回復率(%)を算出した。
結い跡の回復率(%)=sin(θ/2)×100
【0058】
【表1】

【0059】
実施例5〜8及び比較例5〜8
表2に示すヘアコンディショナーを調製し、これらで下記方法により処理した毛髪について、前記と同様の方法で、結い跡の付き難さと回復性の評価を行った。これらの結果を併せて示す。
【0060】
(処理方法)
ブリーチによりダメージを付与した毛束(毛髪20本を1つの束にしたもの)を、プレーンシャンプー1gを用いて洗浄する。次に、ヘアコンディショナーを1g塗布し、35℃で15分間放置した後に濯ぎ、ドライヤーでよく乾燥する(この処理は、ヘアシャンプーとヘアコンディショナーを、日常1週間連続使用した場合に相当する)。この毛髪処理を4回繰り返した。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例9〜12及び比較例9〜15
表3に示すヘアシャンプー及び表4に示すヘアコンディショナーを調製した。
【0063】
〔毛髪の結い跡の付き難さと回復性〕
下記方法により処理した毛髪について、前記と同様の方法で結い跡の付き難さと回復性の評価を行った。これらの結果を表5に示す。
【0064】
(処理方法)
ブリーチによりダメージを付与した毛束(20本)に、ヘアシャンプーを1g塗布し、35℃で15分間放置した後、濯ぐ。次にヘアコンディショナーを1g塗布し、35℃で15分間放置した後に濯ぎ、ドライヤーでよく乾燥する(この処理は、ヘアシャンプーとヘアコンディショナーを、日常1週間連続使用した場合に相当する)。この毛髪処理を4回繰り返した。
【0065】
〔使用感〕
約30gで長さ25cmのトレスを用い、3gのヘアシャンプーを用いて洗髪し、水を軽く切った後、3gのヘアコンディショナーを塗布し、流水ですすいだ。塗布時からすすぎにかけての滑らかさを下記基準に従って官能評価した。この結果を表5に示す。
【0066】
A:剤の広がりも良く非常に滑らかで、持続性も高い
B:滑らかさと、その持続性が良好
C:あまり滑らかな感じはない
D:剤の広がり悪く、きしみ感やひっかかりが感じられる
【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
実施例13
下記ヘアシャンプー(pH3.7)を調製した。

【0071】
実施例14
下記ヘアコンディショナー(pH3.2)を調製した。

【0072】
実施例15
以下のヘアシャンプー(A)及びヘアコンディショナー(B)を調製し、毛髪化粧料セットとした。

【0073】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)、(b)及び(c)
(a)多価カルボン酸又はその塩
(b)ヒドロキシモノカルボン酸又はその塩
(c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤
を、0.33≦〔(a)+(b)〕/(c)≦2.5の重量比(「(a)」及び「(b)」は酸としての重量)で含有し、水で20重量倍希釈したときの25℃におけるpHが2.5〜5である、洗い流すタイプの非染色毛髪化粧料。
【請求項2】
成分(a)がリンゴ酸又はその塩である請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(b)がグリコール酸若しくは乳酸又はそれらの塩である請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
更に、成分(d)として、界面活性剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
次のA及びB
A:次の成分(a)及び(c)を、(a)/(c)=0.6以上の重量比で含有する毛髪化粧料
(a)多価カルボン酸又はその塩
(c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤
B:次の成分(b)及び(c)を、(b)/(c)=0.25以上の重量比で含有する毛髪化粧料
(b)ヒドロキシモノカルボン酸又はその塩
(c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤
の2種の毛髪化粧料を、Aに続きB、又はBに続きAの順で使用して、毛髪を処理する毛髪処理方法。
【請求項6】
成分(a)がリンゴ酸又はその塩であり、成分(b)がグリコール酸若しくは乳酸又はそれらの塩である請求項5記載の毛髪処理方法。
【請求項7】
毛髪化粧料A及びBを水で20重量倍希釈したときの25℃におけるpHが2〜5.5である請求項5又は6記載の毛髪処理方法。
【請求項8】
次のA及びB
A:次の成分(a)及び(c)を、(a)/(c)=0.6以上の重量比で含有する毛髪化粧料
(a)多価カルボン酸又はその塩
(c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤
B:次の成分(b)及び(c)を、(b)/(c)=0.25以上の重量比で含有する毛髪化粧料
(b)ヒドロキシモノカルボン酸又はその塩
(c)芳香族アルコール、アルキレンカーボネート及びポリオール類から選ばれる有機溶剤
の2種の毛髪化粧料からなる毛髪改質用化粧料セット。
【請求項9】
成分(a)がリンゴ酸又はその塩であり、成分(b)がグリコール酸若しくは乳酸又はそれらの塩である請求項8記載の毛髪改質用化粧料セット。
【請求項10】
毛髪化粧料A及びBを水で20重量倍希釈したときの25℃におけるpHが2〜5.5である請求項8又は9記載の毛髪改質用化粧料セット。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/011623
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512532(P2005−512532)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010961
【国際出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】