説明

毛髪形状制御剤第1剤

【課題】パーマ処理に適用しても毛髪に損傷を与えず、しかも保存安定性に優れる毛髪形状制御剤第1剤を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩を実質的に含有しない毛髪形状制御剤第1剤。
(A)毛髪還元性物質
(B)一般式(1)で表されるα,ω−ジカルボン酸又はその塩


〔式中、R1は炭素数3〜8のアルキレン基を示す。〕
(C)ポリオール
(D)有機アルカリ剤又はアンモニア

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪形状制御剤第1剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を長期間に亘り所望の形状にセットするには、ウェーブパーマ処理あるいはストレートパーマ処理が広く行われており、いずれの処理においても毛髪形状制御剤として還元性物質を含有するアルカリ性組成物(毛髪形状制御剤第1剤)と酸化剤を含む組成物(毛髪形状制御剤第2剤)が用いられている。このようなパーマ処理では、枝毛の発生、感触の低下、ツヤの低下、毛髪の過収縮(ちぢれ)等の毛髪損傷が発生しやすく、特にヘアブリーチ、ヘアカラー等で化学的処理を受けた毛髪では過収縮が発生しやすいことが知られている。
【0003】
そこで、パーマ処理による過収縮の防止を目的として、これまでにpKa5.0以下の有機酸とその塩とを含むpH緩衝剤、疎水性スルホン酸及び芳香族アルコールを含有する縮毛矯正処理用酸化性組成物を用いた毛髪形状制御技術(特許文献1)、毛髪形状制御剤第1剤にトリメチルグリシンを含有させる方法(特許文献2)、毛髪形状制御剤第1剤中の還元性物質としてメルカプト化合物とともに亜硫酸塩等の非メルカプト化合物を併用する方法(特許文献3)等が提案されている。
【0004】
しかし、ヘアブリーチ、ヘアカラー等の使用頻度が高くなった近年では、損傷した毛髪に形状制御を行うことがいっそう多くなってきており、過収縮を含む毛髪損傷を抑制すると言う観点から、より高い効果が望まれている。
一方で、ヘアブリーチ、ヘアカラー等の化学処理によって損傷した毛髪に対し、ツヤ、まとまり、しなやかさ、弾力感を付与することができる技術として、炭素数2〜8のジカルボン酸又はその塩を、洗い流さないタイプの酸性毛髪化粧料に使用することが提案されている(特許文献4)。
【0005】
ところが、毛髪形状制御剤第1剤のような還元性物質を含有するアルカリ性組成物では、これらジカルボン酸、特に中鎖以上のジカルボン酸の溶解度が低くなってしまう。その結果、還元性物質と、ジカルボン酸又はその塩を配合しても、これらの配合量に見合う毛髪形状制御能や損傷抑制能が十分に得られにくいという課題が生じていた。
【0006】
【特許文献1】特開2004-182654号公報
【特許文献2】特開2005-162698号公報
【特許文献3】特開2006-045223号公報
【特許文献4】特開2005-239665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、パーマ処理に適用しても毛髪に損傷を与えず、しかも保存安定性に優れる毛髪形状制御剤第1剤、及びこれを用いた毛髪形状制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩を実質的に含有しない毛髪形状制御剤第1剤を提供するものである。
(A)毛髪還元性物質
(B)一般式(1)で表されるα,ω−ジカルボン酸又はその塩
(C)ポリオール
(D)有機アルカリ剤又はアンモニア
【0009】
【化1】

【0010】
〔式中、R1は炭素数3〜8のアルキレン基を示す。〕
【0011】
本発明はまた、上記した毛髪形状制御剤第1剤を頭髪の全部又は一部に適用する毛髪形状制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の毛髪形状制御第1剤は、毛髪に損傷を与えずにパーマ処理を行うことができ、しかもその保存安定性に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩を実質的に含有しないとは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩の含有量が0.1質量%以下、好ましくはそれらを含有しないことを意味する。
【0014】
成分(A)の毛髪還元性物質としては、毛髪の構造タンパク質であるケラチンに対し還元作用を有する化合物であればいずれでもよく、例えばチオグリコール酸若しくはその塩、チオグリコール酸誘導体若しくはその塩、システイン若しくはその塩、システイン誘導体若しくはその塩、システアミン若しくはその塩、チオ乳酸若しくはその塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、下記一般式(2)
【0015】
【化2】

【0016】
〔式中、R2は水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はRa−O−Rb(Raは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Rbはメチレン基、又は炭素数1〜3のアルキル基が置換してもよい炭素数2〜4のアルキレン基)を示す。〕
で表されるチオグリセロール(R2が水素原子の場合)若しくはチオグリセリルアルキルエーテル若しくはそれらの塩又は下記一般式(3)
【0017】
【化3】

【0018】
〔式中、pは0〜5の整数を示し、qは0〜3の整数を示し、rは2〜5の整数を示し、pとqとが同時に0であることはない〕
で表されるメルカプトアルキルアミド若しくはその塩などが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
チオグリコール酸誘導体としては、例えば、チオグリコール酸グリセリルエステルが挙げられ、システイン誘導体としては、例えば、N-アセチルシステイン、グルタチオン(γ-L−グルタミル-L−システニル-グリシン)が挙げられる。
【0020】
これら毛髪還元性物質のうち、好適なものとしては、チオグリコール酸又はそのアンモニウム塩若しくはモノエタノールアミン塩;L-システイン、D-システイン、DL-システイン等のシステイン類又はその塩酸塩;N-アセチルシステイン、グルタチオン等のシステイン誘導体;システアミン又はその塩酸塩;チオ乳酸又はそのアンモニウム塩若しくはモノエタノールアミン塩;チオグリセロール;エトキシヒドロキシプロパンチオール、エトキシエトキシヒドロキシプロパンチオール、メトキシエトキシヒドロキシプロパンチオール、イソプロポキシエトキシヒドロキシプロパンチオール等のチオグリセリルアルキルエーテル;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩などが挙げられる。
【0021】
成分(A)の毛髪還元性物質の合計含有量は、毛髪形状制御能、頭皮への刺激低減の点から、毛髪形状制御剤第1剤中の0.1〜15質量%、更に0.2〜10質量%、特に0.5〜7質量%が好ましい。
【0022】
成分(B)のα,ω−ジカルボン酸は、前記一般式(1)で表されるものである。一般式(1)中、R1で表されるアルキレン基は炭素数3〜8であり、特に炭素数3〜5のアルキレン基が好ましく、例えばトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられる。α,ω−ジカルボン酸として、具体的にはグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が挙げられる。中でも、毛髪への損傷(過収縮の発生)を抑制する効果が高いことから、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
【0023】
成分(B)のα,ω−ジカルボン酸は、塩を形成してもよい。塩としては、例えば、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩(例えば、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩)などが挙げられる。
【0024】
成分(B)のα,ω−ジカルボン酸は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その合計含有量は、損傷抑制効果と析出物抑制の点から、毛髪形状制御剤第1剤中の0.1〜20質量%、更に0.2〜7質量%、特に0.5〜4質量%であることが好ましい。
【0025】
成分(C)のポリオールとしては、アルキレングリコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール)、ポリアルキレングリコール類(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)、アルキレングリコールアルキルエーテル類(例えば、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル)、ヘキシトール類(例えば、ソルビトール)、グリセリン類(例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン)等が挙げられる。中でも、析出物抑制の点から、アルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール類、ヘキシトール類、グリセリン類が好ましく、特にアルキレングリコール類が好ましい。
【0026】
成分(C)のポリオールは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その合計含有量は、頭皮への刺激低減、析出物抑制の点から、毛髪形状制御剤第1剤中に0.1〜10質量%、更に0.2〜7質量%、特に0.5〜5質量%であるのが好ましい。
【0027】
成分(D)の有機アルカリ剤としては、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノブタノール)、L−アルギニン、アルカンジアミン(例えば、1,3−プロパンジアミン)等が挙げられる。中でも、毛髪膨潤能、刺激臭低減の点から、アルカノールアミン、L−アルギニン、特にモノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、L−アルギニンが好ましい。
【0028】
成分(D)の有機アルカリ剤及びアンモニアは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その合計含有量は、毛髪膨潤能、pH調整能、刺激臭低減の点から、毛髪形状制御剤第1剤中に0.1〜10質量%、更に0.2〜7、特に0.5〜5質量%であるのが好ましい。
【0029】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤には、上記成分の他に、通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。
このような任意成分の配合目的としては、乳化、可溶化、粘度調整、浸透促進、感触向上、毛髪補修、パール化、抗炎症、防腐、金属封鎖、安定化、酸化防止、紫外線吸収、保湿、製品着色、賦香等を挙げることができる。具体的な任意成分としては、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、カチオン性ポリマー、シリコーン類(例えば、シリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、シリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル類(例えば、炭化水素類、ポリオレフィン類、動植物油脂、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、脂肪族アミド類、ポリアルキレングリコール類)、ロウ類、エデト酸、エチドロン酸、タンパク質加水分解物、タンパク質誘導体、アミノ酸類、植物抽出物、ムコ多糖類、ビタミン類、色素、香料等が挙げられる。
【0030】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、pH4.5〜10、更にpH7.5〜9.5、特にpH8.0〜9.5の範囲で調整すると適切なパーマ効果が得られ好ましい。pHを調整する際、pH調整剤として無機酸、成分(B)以外の有機酸を使用することができる。このようなpH調整剤としては、仕上がりのウェーブの美的観点から、特にα−ヒドロキシ酸としてグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸を用いることが好ましく、その含有量は、析出物抑制、pH調整能、刺激臭低減の点から、毛髪形状制御剤第1剤中の0.01〜3質量%、更に0.05〜2.5質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。
【0031】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、水を媒体とし、溶液状、ジェル状、クリーム状、泡状のいずれの剤型とすることができる。
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、毛髪形状制御剤の第1剤として、ウェーブパーマ、ストレートパーマなどの従来のパーマと同様に使用することが可能である。
【0032】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、頭髪の全部又は一部に塗布して毛髪と反応させ、洗い流して用いる。
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、頭髪の全部又は一部に塗布する際に、毛髪全長に亘って塗布しても、根元側あるいは毛先側の一部に塗布してもよく、また手を用いて塗布しても、塗布具を用いて塗布してもよい。
本発明の毛髪形状制御剤第1剤の塗布量は、毛髪形状制御能、毛髪損傷抑制の点から、処理する毛髪に対して0.1〜4質量倍、特に0.5〜2.5質量倍であるのが好ましい。
【0033】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、所望の頭髪の全部又は一部に塗布完了後、処理する毛髪のくせの強さ、太さ、損傷程度等の髪質と加える毛髪変形の程度に応じて、10〜120分の範囲で適宜調節し用いることが好ましい。
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、塗布中に加温することもできる。加温する場合には、毛髪形状制御能、毛髪損傷抑制の点から、35〜60℃であることが好ましい。
【0034】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤を洗い流すには、水洗のみでもよく、酸性処理液を併用してもよい。更に、通常毛髪保護を目的に行われるコンディショニング処理及び/又はトリートメント処理等を併用することも毛髪損傷をより低減できるので、好ましい。
【0035】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤を用いた毛髪形状制御処理において、毛髪に形状を付与する方法としては、本発明の毛髪形状制御剤第1剤の塗布前、塗布中、塗布後、塗布後すすぎ流した状態のうちのいずれかにおいて、毛髪変形用のロッド(加温ロッドを含む)、高温整髪用アイロン及びコームから選択される手段により行うことができる。但し、高温整髪用アイロンを使用する場合には、毛髪を事前に乾燥させておくことが好ましい。
【0036】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤に引き続いて使用する第2剤は、酸化剤を含有する。酸化剤としては、臭素酸塩、過ホウ素酸塩、過酸化水素等が挙げられ、臭素酸塩及び過ホウ素酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。酸化剤の含有量は、過酸化水素の場合、縮毛矯正効果及び毛髪損傷防止の観点から、第2剤中に0.5〜3質量%、特に0.75〜2.5質量%が好ましい。また、通常の第2剤に用いられている成分や化粧品分野で用いられる成分を、目的に応じて加えることができる。その処理時の放置時間は、1〜30分の間で適宜調整される。更に、本発明の第1剤や酸化剤を含有する第2剤以外に、別途毛髪保護成分等を含有する処理剤を併用することもできる。
【実施例】
【0037】
毛髪形状制御剤第1剤(表1)、ヘアコンディショナー(表2)、中間リンス剤(表3)、毛髪形状制御剤第2剤(表4)を調製し、表5の組み合わせにしたがってトレスに毛髪処理したときの過収縮抑制効果を検討した。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
<過収縮抑制効果の評価>
1.トレスの作製
日本人女性の非化学処理毛を市販のブリーチ剤(ふんわり泡ブリーチ プリティアハイブリーチ、花王社製)で4回処理し、この毛髪を用いてトレス(毛髪束、長さ15cm、0.2g)を作製した。
2.ヘアコンディショナー処理:
トレスにヘアコンディショナーを0.2g塗布し1分間室温で静置した後、40℃の流水で30秒間水洗した。
3.毛髪形状制御剤第1剤処理:
毛髪形状制御剤第1剤を0.3g塗布し、15分間室温で静置した後、40℃の流水で30秒間水洗した。
4.中間リンス剤処理:
中間リンス剤を1.0g塗布し、1分室温で静置した後、40℃の流水で30秒間水洗した。
5.毛髪形状制御剤第2剤処理:
毛髪形状制御剤第2剤を0.3g塗布し、15分間室温で放置後、40℃の流水で30秒間水洗した。
6.ヘアコンディショナー処理:
ヘアコンディショナーを0.2g塗布し、40℃の流水で30秒間水洗した。
7.乾燥処理:
濡れたトレスをタオルで水気を除き、トレスを吊り下げた状態で自然乾燥した。
【0044】
毛髪処理を施したトレスについて、その形状を目視観察し、下記の過収縮判定基準に基づき評価した。評価結果を表6に示す。
【0045】
<過収縮の目視判定基準>
縮れを抑制する効果を、以下1〜4の基準に基づき評価した。評点4及び3が合格、2及び1は不合格である。
【0046】
評点;
4:処理前と変化なし。
3:毛髪に僅かなうねりがある。
2:毛髪に折れ曲がり、うねりがある。
1:毛髪に激しい折れ曲がり、うねり、縮れがある。
【0047】
【表6】

【0048】
表7に示す実施例4〜11並びに比較例2及び3の毛髪形状制御剤第1剤を調製した。
【0049】
【表7】

【0050】
<保存安定性試験>
実施例4〜11及び比較例1〜3の毛髪形状制御剤第1剤をそれぞれ容量90mLの無色透明のガラス製保存容器に60mL充填し、ヘッドスペースを窒素ガスで置換したあとに密栓して、−5℃、+5℃、室温、40℃、50℃の温度条件下でそれぞれ静置保存を行った。1ヵ月後に下記の目視判定基準に従って成分析出の様子を判定した。判定結果を表8に示す。
【0051】
<保存安定性目視判定基準>
成分析出のようすを以下A〜Cの基準に基づき判定した。評点Aが合格、B及びCは不合格である。
評点;
A:濁り・澱が確認されない
B:僅かな濁りまたは澱が確認される
C:濁り・澱が確認される
【0052】
【表8】

【0053】
<過収縮抑制効果の評価>
実施例4〜11及び比較例1〜3の毛髪形状制御剤第1剤を調製し、それらを用いて毛髪処理を行ったときの毛髪損傷の様子を観察した。
1.日本人女性の非化学処理毛を市販のブリーチ剤(ふんわり泡ブリーチ プリティアハイブリーチ、花王社製)で4回処理し、この毛髪を用いてトレス(毛髪束、長さ15cm、質量0.2g)を作製した。
2.トレスに毛髪形状制御剤第1剤を0.3g塗布し、15分間室温で静置した後、40℃の流水で30秒間水洗した。
3.毛髪形状制御剤第2剤を0.3g塗布し、15分間室温で放置後、40℃の流水で30秒間水洗し、濡れた毛髪トレスからタオルで水気を除き、トレスを吊り下げた状態で自然乾燥した。
【0054】
毛髪処理を施したトレスについて、その形状を目視観察し、下記の判定基準に基づき評価した。評価結果を表9に示す。
【0055】
<過収縮の目視判定基準>
縮れを抑制する効果を以下1〜4の基準に基づき評価した。評点4及び3が合格、2及び1は不合格である。
評点;
4:処理前と変化なし。
3:毛髪に僅かなうねりがある。
2:毛髪に折れ曲がり、うねりがある。
1:毛髪に激しい折れ曲がり、うねり、縮れがある。
【0056】
【表9】

【0057】
実施例12
(頭髪の全部に対してウェーブパーマする方法)
頭髪長がミディアムの日本人女性に施術する。
1)霧吹きを使用して水で頭髪全体を湿らせ、ウェーブパーマ用ロッド25個及びエンドペーパー25枚を使用して所望の髪型となるようにワインディングする。
2)ワインディング作業終了後、毛髪形状制御剤第1剤(実施例1)100gをアプリケーターに入れ、ワインディングした部分に塗布し、10分静置する。
3)毛髪形状制御剤第1剤による毛髪軟化の進行度を確認するためにテストカール(任意のロッド一つを一旦外し、毛髪の軟化度を確認する。確認後は外したロッドを元に戻す)を行う。
4)ロッドを装着したまま毛髪形状制御第1剤を充分量の水ですすぎ流し、毛髪形状制御剤第2剤(表5記載のOX2)100gをアプリケーターに入れ、ワインディングした部分に塗布し、15分間静置する。
5)全てのロッドを外した後、毛髪形状制御剤第2剤を充分量の水ですすぎ流す。シャンプー及びリンスを用いて頭髪を洗浄し、タオルドライする。最後にドライヤーを用いてブロードライしながら髪型を整える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩を実質的に含有しない毛髪形状制御剤第1剤。
(A)毛髪還元性物質
(B)一般式(1)で表されるα,ω−ジカルボン酸又はその塩
【化1】

〔式中、R1は炭素数3〜8のアルキレン基を示す。〕
(C)ポリオール
(D)有機アルカリ剤又はアンモニア
【請求項2】
成分(C)がアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール類、アルキレングリコールアルキルエーテル類、グリセリン類及びヘキシトール類から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の毛髪形状制御剤第1剤。
【請求項3】
成分(D)がアルカノールアミン、L−アルギニン、アルカンジアミン及びアンモニアから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の毛髪形状制御剤第1剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪形状制御剤第1剤を頭髪の全部又は一部に適用する毛髪形状制御方法。
【請求項5】
ウェーブパーマ方法又はストレートパーマ方法である請求項4記載の毛髪形状制御方法。

【公開番号】特開2009−137886(P2009−137886A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315902(P2007−315902)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】