説明

毛髪損傷予防剤及びそれらを配合した毛髪化粧料

【課題】パーマやヘアカラーなどの毛髪損傷に起因する毛髪の表面摩擦の悪化を予防し、さらに毛髪の損傷を補修する事を目的とした毛髪損傷予防剤及びそれらを配合することにより毛髪損傷予防効果に優れた毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】黒米抽出物及び/または黒米糠の抽出物を含有することを特徴とする毛髪損傷予防剤であり、当該毛髪損傷予防剤にはポリフェノールを15〜60質量%かつアントシアニンを5〜20質量%含まれることが望ましく、それら毛髪損傷予防剤を配合したことを特徴とする毛髪化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の損傷を予防する事を目的とした毛髪損傷予防剤及びそれらを配合した毛髪化粧料に関する。詳しくはパーマやヘアカラーなどの毛髪損傷に起因する毛髪の表面摩擦の悪化を予防し、さらに毛髪の損傷を改善する事を目的とした毛髪損傷予防剤及びそれらを配合した毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、パーマネントウェーブやブリーチ・ヘアカラー、紫外線、ドライヤーの熱、ヘアアイロンなど化学的または物理的刺激により損傷を受け、枝毛、切れ毛、ぱさつき、ツヤの低下などが生じる。これらは、化学的、物理的刺激により、毛髪内部、及び、外部、表層部の構造が変化してしまうことによるものである。毛髪の内部からはシャンプーなどの洗浄行為によって脂質やたんぱく質の流出が生じてしまう。また、毛髪表面では疎水膜の欠落によって親水化が生じてしまうことや、キューティクルの剥がれ、脱落が生じてしまうことがある。このような損傷状態を改善する手法として、可溶性シルクペプチド、コラーゲン、ケラチン又はコンキオリンなどのタンパク質や、アミノ酸、植物抽出物、ツバキ油やオリーブ油などの植物油、第4級アンモニウム塩、3級アミン、カチオン性ポリマー、セラミド、両親媒性アミド、シリコーンなどを配合した毛髪化粧料が提案されており、例えば、不揮発性シリコーン類及び植物抽出物を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献1参照。)、カチオン化蛋白誘導体及び中性アミノ酸を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献2参照。)、可溶性シルクペプチド、糖アルコール及び中性アミノ酸を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照。)、両親媒性アミド脂質及び三級アミンを配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献4参照。)などが開示されている。しかしながらこれらの使用では、指どおりや櫛どおり、ツヤ、うるおい感、まとまり感の付与などによりを損傷状態改善する一定の効果は見られるが、損傷を予防する効果は十分でないなどの問題点があった。
【0003】
一方、本発明者らは、コメのとぎ汁に含まれる成分を含有する損傷毛髪改善剤(例えば、特許文献5参照。)を提案しているが、さらなる改善効果とともに損傷を予防する効果も求められるようになってきた。
【0004】
また、黒米に由来する粉末育毛剤が提案されているが(例えば、特許文献6参照。)、含まれる有効成分は特定されておらず、毛髪損傷の予防や改善効果を発揮するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−231348号公報
【特許文献2】特開平10−175824号公報
【特許文献3】特開2000−191446号公報
【特許文献4】特開2004−217643号公報
【特許文献5】特開2007−332035号公報
【特許文献6】特開2007−284391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術を背景として本発明の目的は、パーマやヘアカラーなどの毛髪損傷に起因する毛髪の表面摩擦の悪化を予防し、さらに毛髪の損傷を改善する事を目的とした毛髪損傷
予防剤及びそれらを配合することにより毛髪損傷予防効果に優れた毛髪化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、本発明の目的を達成するために鋭意研究した結果、黒米抽出物及び黒米糠の抽出物がパーマやヘアカラーなどにより引き起こされる毛髪表面の損傷を予防し、さらに毛髪損傷に伴なう切れ毛、パサツキなどを改善することを見出し本発明を完成した。
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備えている。即ち、本発明は黒米抽出物及び/または黒米糠の抽出物を含有することを特徴とする毛髪損傷予防剤である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪損傷予防剤は、パーマやヘアカラーなどの毛髪損傷に起因する毛髪の表面摩擦の悪化を予防し、さらに毛髪の損傷を補修する事ができる。またそれらを配合することにより毛髪損傷予防効果に優れた毛髪化粧料となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0011】
本発明の毛髪損傷予防剤は、黒米抽出物及び黒米糠の抽出物のうち少なくとも一方を含有するものである。抽出は水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸などの極性有機溶媒から選択される1種または2種以上を使用して行われることが好ましく、さらには含水エタノールで抽出を行い、得られた抽出物は水溶性であることが好ましい。この黒米抽出物及び黒米糠の抽出物はポリフェノールを15〜60%かつアントシアニンを5〜20%含むことが好ましい。さらに好ましくはポリフェノールを30〜60%かつアントシアニンを10〜20%含むことである。それらの抽出物の効果はパーマやヘアカラーなどの毛髪損傷に起因する毛髪の表面摩擦の悪化を予防し、さらに毛髪の損傷を補修する事である。ポリフェノールが15%未満かつアントシアニンが5%未満の時には毛髪損傷に起因する毛髪表面摩擦の悪化を十分に予防することが出来なくなり、また、ポリフェノールが60%より多く、かつアントシアニンが20%より多い場合には吸湿性が強くなりべたつきが生じるなどの問題点があるため上記の割合が好ましい。
【0012】
黒米抽出物及び黒米糠の抽出物の効果は、下記毛髪損傷予防パラメーターを1.0以下にするものが好ましい。毛髪損傷予防パラメーターとは下記数式(1)に示すように、毛髪損傷予防剤未処理の健康毛髪の表面動摩擦係数に対する毛髪損傷予防剤を処理した損傷毛髪の表面動摩擦係数の比で示される。このパラメーターが1.0以下であるとき毛髪損傷の予防効果が見られることになる。
【0013】
【数1】

【0014】
これら毛髪損傷予防剤はそのまま若しくは、水やアルコールなどの溶媒に希釈して直接毛髪に使用する事も出来るが、通常の毛髪化粧料に配合して使用する事も出来る。毛髪化粧料としては、ヘアーシャンプーのような洗浄剤、塗布後洗い流して使用するヘアーリンス剤又はヘアートリートメント剤、つけっ放しで使用するトリートメント剤、ヘアーミルク、ヘアークリーム、ヘアーワックス、ヘアージェル、ヘアーローション、トリガースプレ
ータイプ癖下直しスプレー、ノンエアゾール型フォーム及びヘアースプレーやヘアーフォームなどのエアゾール剤形のヘアースタイリング剤等があり、毛髪に使用することにより、パーマやヘアカラーなどにより引き起こされる毛髪表面の損傷を予防し、さらに毛髪損傷に伴なう切れ毛、パサツキなどを改善することができる。
【0015】
毛髪損傷予防剤を配合した毛髪化粧料には、通常毛髪化粧料に用いられる成分を配合する事ができる。例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、グアニジノ誘導体、三級アミン化合物などのような界面活性剤がある。
【0016】
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、硫酸塩、スルホン酸塩、トリエタノールアミン塩又はカルボン酸塩等が挙げられる。詳細には、平均炭素数10〜16のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩,平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる1種または2種以上のアルキレンオキサイドを、1分子内に平均0.5〜8モル付加したアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩,平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸塩,平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するオレフィンスルホン酸塩,平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するアルカンスルホン酸塩,平均10〜20の炭素原子を1分子中に有する飽和又は不飽和脂肪酸塩,平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる1種または2種以上のアルキレンオキサイドを、1分子内に平均0.5〜8モル付加したアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩,平均10〜20の炭素原子から成るアルキル基又はアルケニル基を有するα―スルホン酸脂肪酸塩又はエステル,炭素数8〜24のアシル基および遊離カルボン酸残基を有するN−アシルアミノ酸型界面活性剤,炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を有するリン酸モノ又はジエステル型界面活性剤,炭素数8〜22の高級アルコール若しくはそのエトキシレートなどのスルホコハク酸エステル又は高級脂肪酸アミド由来のスルホコハク酸エステル,平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有したサルコシン塩,炭素数8〜20の高級脂肪酸モノエタノールアマイド若しくはジエタノールアマイド又はそれらのエトキシレートなどのスルホン酸塩。炭素数8〜20のモノグリセライドのスルホン酸塩,炭素数8〜20の高級脂肪酸とイセチオン酸との縮合物の塩などがある。
【0017】
両性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはアシル基を有するα位付加型、2級アミド若しくは3級アミド型のイミダゾリン系両性界面活性剤。炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基若しくはアシル基を有するカルボキシベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、若しくはアミドスルホベタイン系両性界面活性剤などがある。これら両性界面活性剤の対イオンとしては、アニオン性残基では、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミンを挙げることができる。又、カチオン性残基の対イオンとしては、塩素、臭素、沃素等のハロゲンイオン及びメトサルフェート等が挙げられる。
【0018】
非イオン性界面活性剤としては、平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのエチレンオキサイドを付加したポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル,平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのプロピレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル,平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのブチレンオキサイドを付加したポリオキシブチレンアルキル又はアルケニルエーテル,平均炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基を有し、総和で1〜30モルのエチレ
ンオキサイドとプロピレンオキサイド又はプロピレンオキサイドとブチレンオキサイドを付加した非イオン界面活性剤,下記一般式(1)で表される高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物,平均炭素数10〜20の脂肪酸とショ糖からなるショ糖脂肪酸エステル,平均炭素数10〜20の脂肪酸とグリセリンからなる脂肪酸グリセリンモノエステル,下記一般式(2)で表されるアルキルグルコシド等が挙げられる。
【0019】
【化1】

(式中、Rは炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは0〜3の整数を示す。)
【0020】
[化2]
O−(RO)−(G) ……(2)
(式中、Rは炭素数6〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gは炭素数5又は6の還元糖を示し、cは0〜10の数を、dは1〜10の数を表す。)
【0021】
カチオン界面活性剤、グアニジノ誘導体及び三級アミン化合物としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ジココイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、N−[3−アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピル]−L−アルギニン酸塩、酢酸ラウリン酸アミドブチルグアニジン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルアミン、N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、ステアリルPGジメチルアミン、ベヘニルPGジメチルアミン等が挙げられる。三級アミン型化合物は、酸性アミノ酸、有機酸又は無機酸により中和して使用される事が好ましく、具体的には、グルタミン酸、アスパラギン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、リン酸、塩酸等がある。又、カチオン性ポリマーが配合される場合がある。
【0022】
感触向上剤として、カチオン性ポリマーやシリコーン誘導体が配合される。カチオン性ポリマーとしては、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシセルロース、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、コロハヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドポリマー、メチルビニルイミダゾリニウムクロリド/ビニルピロリドンコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/ジアリルジメチルアンモニウムクロリドコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ビニルピロリドン/アルキルアミノメタクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー等が挙げられ、これらカチオン性ポリマーは2種以上を併用してもよい。
【0023】
シリコーン誘導体としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン等が挙げら、これらシリコーン誘導体は2種以上を併用してもよい。
【0024】
又、上記以外の成分として、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコールなどの高級アルコール、コレステロール及びその誘導体、蜜蝋、キャンデリラワックス、カルナバワックス、固形パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、ラノリン誘導体、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類等の油性成分、ポリカルボン酸エステル共重合体、架橋型カルボン酸/カルボン酸エステル共重合体、架橋型アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/ブタンスルホン酸アクリルアミド共重合体等の高分子化合物、グリセリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコール、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤、グルタミン酸、グリシン、プロリン、アルギニン等のアミノ酸及びその塩、動植物由来の抽出エキス、紫外線吸収剤、パール化剤、メチルパラベンやフェノキシエタノール等の防腐剤、殺菌剤、抗炎症剤、抗フケ剤、pH調整剤、LPG、DME、窒素、炭酸ガスなどのエアゾール噴射剤、色素、香料など目的に応じて配合される。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。尚、本発明はこれによって限定されるものではない。配合量は、すべて質量%である。
【0026】
[実施例1〜8、比較例1〜5]
表1〜表2に毛髪損傷予防剤の実施例及び比較例を示す。実施例に用いた抽出物1〜4の具体的内容は、抽出物1が黒米種子の水抽出物、抽出物2が黒米種子の含水エタノール抽出物、抽出物3が黒米糠の含水エタノール抽出物、抽出物4が黒米及び黒米糠混合物の含水エタノール抽出物である。また比較例に用いた抽出物5〜9の具体的内容は、抽出物5が白米糠の水抽出物、抽出物6が、白米糠の酸性水溶液抽出物、抽出物7が白米種子の含水エタノール抽出物、抽出物8が白米糠抽出タンパク質、抽出物9が白米糠抽出油である。実施例及び比較例のポリフェノール含有量及びアントシアニン含有量を常法により測定した。
【0027】
<毛髪損傷予防パラメーター評価>
動摩擦係数計(NRF型:エルクエスト社製)を使用して、毛髪表面の動摩擦係数を測定し、以下の数式(1)に従い算出を行った。このパラメーターが1.0以下であるとき毛髪損傷の予防効果が見られることになる。
【0028】
【数1】

損傷毛髪の作製は健康毛髪を1%過酸化水素及び1.2%アンモニアを含有するブリーチ剤で30分間処理後、水道水ですすぎを行い、それらを3回繰り返した。
【0029】
<毛髪損傷改善パラメーター評価>
テクスチャーアナライザー(TA−XT plus:英弘精機株式会社製)を用いて、毛髪単繊維の弾性を測定した。毛髪を20%伸長させる仕事量、及び、戻すときに必要な仕事量からヒステリシス比を計算、以下の数式(2)に従い算出を行った。このパラメーターが1.0以上であるとき毛髪損傷の改善効果が見られることになる。
【0030】
【数2】

【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
表1〜表2より比較例で示したものでは毛髪損傷の予防効果は見られなかったが、実施例で示した本発明により得られた毛髪損傷予防剤では毛髪損傷予防パラメーターを低下させ、毛髪損傷を予防し、かつ、毛髪損傷改善パラメーターを高めて、損傷した毛髪を改善す
るものである。本発明範囲の毛髪損傷予防剤を配合した毛髪化粧料の実施例を下記に具体的に示す。実施例で用いた香料は表3で示したものを用いた。尚、評価方法はパーマやヘアカラーなどの毛髪損傷に起因する毛髪表面の手触り悪化の抑制、及び、毛髪損傷に伴なう切れ毛、パサツキなどを改善されたかをアンケートにより実施した。
【0034】
【表3】

【0035】
実施例9 ヘアーシャンプー
(質量%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 4.0
ラウリル硫酸トリエタノールアミン 4.0
ラウロイルサルコシントリエタノールアミン 5.0
ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム 1.0
N−ラウロイル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン40%液 2.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 5.0
コカミドメチルモノエタノールアミド 1.0
コカミドモノエタノールアミド 0.5
ラウリン酸モノイソプロパーノールアミド 0.5
エチレングリコールジステアレート 2.0
高重合メチルポリシロキサン50%エマルション 1.0
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.1
カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 0.2
メチルパラベン 0.1
実施例4の損傷毛髪改善剤 0.2
塩化ナトリウム 0.1
クエン酸 0.05
海藻抽出液 0.1
香料 0.5
精製水 残 量
【0036】
<調整方法>
常法によりヘアーシャンプーを調製した。
【0037】
上記ヘアーシャンプー(pH6.0)は、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。
【0038】
実施例10 ヘアーコンディショナー
(質量%)
ステリルアルコール 2.0
ベヘニルアルコール 2.5
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.0
ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1.0
ベヘニルPGトリモニウムクロリド 0.5
乳酸(90%) 0.3
ヒドロキシエチルセルロース 0.15
固形パラフィン 1.0
白色ワセリン 0.3
ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル 0.2
実施例4の損傷毛髪改善剤 0.5
高重合メチルポリシロキサン/メチルポリ
シロキサン混合物60%エマルション 5.0
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.5
精製水 残 量
【0039】
<調整方法>
常法によりヘアーコンディショナーを調製した。
【0040】
上記ヘアーコンディショナー(pH4.3)は、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。
【0041】
実施例11 ヘアートリートメント
(質量%)
ステアリルアルコール 9.0
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.0
N,N−ジメチルオクタデシロキシプロピルトリモニウムクロリド 1.0
ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1.0
乳酸(90%) 0.3
セバチン酸ジエチル 3.0
プロピレングリコール 3.0
実施例3の損傷毛髪改善剤 1.0
高重合メチルポリシロキサン/メチルポリシロキサン混合物 1.0
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合物50%エマルション 3.0
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.6
精製水 残 量
【0042】
<調整方法>
常法によりヘアートリートメントを調製した。
【0043】
上記ヘアートリートメント(pH4.7)は、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。
【0044】
実施例12 つけっ放しヘアートリートメント
(質量%)
95°エタノール 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
トリエタノールアミン 0.25
ポリオキシプロピレンブチル(37)エーテル 1.0
1,3−ブリレングリコール 2.0
高重合メチルポリシロキサン/メチルポリシロキサン混合物 10.0
実施例5の損傷毛髪改善剤 0.6
ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油 0.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.05
精製水 残 量
【0045】
<調整方法>
常法によりつけっ放しヘアートリートメントを調製した。
【0046】
上記つけっ放しヘアートリートメント(pH6.7)は、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。
【0047】
実施例13 ヘアーワックス
(質量%)
ミツロウ 3.0
キャンデリラワックス 3.0
ワセリン 2.0
セトステリルアルコール 5.0
流動パラフィン 8.0
スクワラン 3.0
ポリオキシエチレン(60)セチルエーテル 3.5
ポリエーテル変性シリコン 1.0
実施例7の損傷毛髪改善剤 0.5
ジメチルポリシロキサン 1.0
メチルパラベン 0.2
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.1
精製水 残 量
【0048】
<調整方法>
常法によりヘアーワックスを調製した。
【0049】
上記ヘアーワックス(pH7.5)は、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。
【0050】
実施例14 癖下直しスプレー
(質量%)
95°エタノール 8.0
1,3―ブチレングリコール 0.5
濃グリセリン 1.0
トリメチルグリシン 1.5
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
エチルグルコシド 1.0
実施例2の損傷毛髪改善剤 0.1
メチルパラベン 0.1
香料 0.1
精製水 残 量
【0051】
<調整方法>
常法により調製した上記組成物をトリガータイプの容器に充填し、寝癖直しスプレー(pH6.0)を作製した。
【0052】
上記癖下直しスプレーは、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。
【0053】
実施例15 ヘアーミスト
<調整方法>
実施例10の寝癖直しスプレーを耐圧容器に充填し、最終圧力が0.8MPaとなるように窒素ガスを封入し、ヘアーミストを作製した。
【0054】
上記ヘアーミストは、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。
【0055】
実施例16 ノンエアゾールヘアーフォーム
(質量%)
95°エタノール 8.0
ポリエチレングリコール#600 1.0
濃グリセリン 0.5
ジプロピレングリコール 1.0
ポリオキシエチレン(25)イソセチルエーテル 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
実施例3の損傷毛髪改善剤 0.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.1
精製水 残 量
【0056】
<調整方法>
上記組成物(pH5.5)を、常法により調製した後、ポンプフォーマーなどの容器に入れ、ノンエアゾールヘアーフォームを作製した。
【0057】
このノンエアゾールヘアーフォームは、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。
【0058】
実施例17 ヘアーフォーム(エアゾール)
<原液> (質量%)
95°エタノール 20.0
ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチル
メタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩 10.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル 0.5
ソルビトール液 1.0
イソステアリルアルコール 1.0
イソステリン酸ジグリセリル 0.5
実施例4の損傷毛髪改善剤 0.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.15
精製水 残 量
<製品>
原液 90.0
噴射剤(液化石油ガス) 7.0
噴射剤(DME) 3.0
【0059】
<調整方法>
常法により調製した。
【0060】
上記ヘアーフォーム(pH6.7)は、連用使用によるアンケートでヘアカラーにより引き起こされる手触りの悪化を予防し、また損傷に伴なう枝毛、切れ毛、ぱさつきを改善した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒米抽出物及び/または黒米糠の抽出物を含有することを特徴とする毛髪損傷予防剤。
【請求項2】
ポリフェノールを15〜60質量%かつアントシアニンを5〜20質量%含むものである請求項1記載の毛髪損傷予防剤。
【請求項3】
下記に定める毛髪損傷予防パラメーターが1.0以下である請求項1または2に記載の毛髪損傷予防剤
【数1】

【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪損傷予防剤を配合した毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−37781(P2011−37781A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187676(P2009−187676)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】