説明

毛髪改質浸透剤およびこれを用いた毛髪用化粧料

【課題】効果的に毛髪の内部に浸透する毛髪改質浸透剤および該毛髪改質浸透剤を含有する毛髪用化粧料を提供する。
【解決手段】毛髪改質浸透剤に、平均分子量が5,000〜20,000であり、かつ、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ5万以上の成分の割合が5重量%以下である、ヒアルロン酸および/またはその塩を含有せしめることにより、効果的に毛髪の内部に浸透し、毛髪の手触り等が改善される毛髪改質浸透剤および毛髪用化粧料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の平均分子量と分子量分布とを示すヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有する、毛髪内部への浸透性に優れた毛髪改質浸透剤、およびこれを用いた毛髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は生体、特に皮下組織に存在するムコ多糖類であり、その高い保湿機能によりヒアルロン酸またはその塩として、化粧料の原料に広く利用されてきた。例えば、特開昭59−110612号公報(特許文献1)には、毛髪処理剤に、分子量50万〜200万のヒアルロン酸および/またはその塩類を含有せしめることにより、損傷毛の回復とその保護ができ、毛髪に艶やかさを与える効果があると記載されている。その作用機序としては、毛髪上にヒアルロン酸またはその塩が保護膜を形成することによるものであると記載されている。しかしながら、上記高分子量のヒアルロン酸および/またはその塩が形成する保護膜では、毛髪の改質作用が十分とは言い難いものであった。
【0003】
【特許文献1】特開昭59−110612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特定の平均分子量と分子量分布とを示すヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有する、毛髪内部への浸透性に優れた毛髪改質浸透剤、およびこれを用いた毛髪用化粧料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、ヒアルロン酸について鋭意研究を重ねた結果、特定の平均分子量と分子量分布とを示すヒアルロン酸および/またはその塩を毛髪に使用するならば、意外にも、ヒアルロン酸および/またはその塩が毛髪内部に浸透し、毛髪の手触りを改善する等、毛髪の改質に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)平均分子量が5,000〜20,000であり、かつ、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ5万以上の成分の割合が5重量%以下である、ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有する、毛髪改質浸透剤、
(2)前記分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上であり、かつ、分子量5万以上の成分の割合が1重量%以下である、(1)の毛髪改質浸透剤、
(3)前記分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が50重量%以上である、(2)の毛髪改質浸透剤、
(4)(1)乃至(3)のいずれかの毛髪改質浸透剤を含有する毛髪用化粧料、
である。
(5)毛髪改質浸透剤の含有量が前記ヒアルロン酸および/またはその塩として0.001〜5%である、(4)の毛髪用化粧料、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の平均分子量と分子量分布とを有するヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有せしめることにより、効果的に毛髪内部に浸透し、毛髪の手触りを改善する等、毛髪の改質に優れた毛髪改質浸透剤、およびこれを用いた毛髪用化粧料を提供することができる。したがって、ヒアルロン酸および/またはその塩の更なる利用拡大が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
【0009】
本発明の毛髪改質浸透剤は、平均分子量が5,000〜20,000であり、かつ、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ5万以上の成分の割合が5重量%以下である、ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有することを特徴とする。上記ヒアルロン酸および/またはその塩を使用することにより、ヒアルロン酸および/またはその塩が毛髪内部に浸透し、毛髪の手触りの改善に効果的な毛髪改質浸透剤が得られる。
【0010】
ここで、「ヒアルロン酸」とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類をいう。また、「ヒアルロン酸の塩」としては、特に限定されないが、化粧品として許容しうる塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。また、毛髪とは、頭髪の他、まつげ、眉毛等をいう。
【0011】
本発明の毛髪改質浸透剤の有効成分として含有するヒアルロン酸またはその塩の平均分子量は、5,000〜20,000である。また、毛髪内部への浸透性の優位性の点で、5,000〜15,000が好ましく、5,000〜12,000であるのがより好ましい。ヒアルロン酸またはその塩の平均分子量が前記値より大きいと、当該ヒアルロン酸および/またはその塩が毛髪内部に浸透しないため、本発明の目的とする毛髪改質浸透剤とならないからである。また、ヒアルロン酸またはその塩の平均分子量が前記値より小さいと、ヒアルロン酸またはその塩の工業的生産性が低下し、好ましくない。
【0012】
本発明で規定される平均分子量の測定方法について説明する。
【0013】
本発明で規定される平均分子量は、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度から算出された分子量である。ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度を求めるには、まず、複数のヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液を調製し、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業株式会社)におけるヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の流下秒数および溶媒の流下秒数から、下記式1および式2に基づいて比粘度および還元粘度を算出する。この際、流下秒数が200〜1000秒になるような係数のウベローデ粘度計を用いる。また、ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の濃度は、該測定器に適する濃度を選択する。また、測定は30℃の恒温水槽中で行い、温度変化のないようにする。
(式1)

(式2)

【0014】
次いで、各ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液について、得られた還元粘度を縦軸に、乾燥物換算のヒアルロン酸および/またはその塩濃度を横軸にプロットして検量線を作成し、前記ヒアルロン酸および/またはその塩濃度を0に外挿することにより、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度を得る。下記式3に基づいて、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度から平均分子量Mを求めることができる。
(式3)
極限粘度(dL/g)=K’Mα
(上記式3において、K’=0.036、α=0.78である。)
【0015】
本発明に使用するヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が5,000〜20,000であることに加え、その分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40%以上で、かつ、分子量5万以上の成分の割合が5%以下である。また、毛髪内部への浸透性の優位性の点で、分子量5万以上の成分の割合が1%以下であるのが好ましく、分子量1万以下の成分の割合が50%以上でかつ分子量5万以下の成分の割合が1%以下であるのがより好ましい。このような分子量分布のヒアルロン酸および/またはその塩を使用することにより、特に毛髪内部への浸透性に優れる毛髪改質浸透剤を得ることができる。
【0016】
本発明で規定される分子量分布は、ゲル濾過カラムを用いてヒアルロン酸および/またはその塩を液体クロマトグラフィー分析することにより得られる。ヒアルロン酸および/またはその塩は、反復構造単位(N−アセチル−D−グルコサミンおよびD−グルクロン酸)の数によって異なる分子量を有する複数の成分の混合物である。したがって、ゲル濾過カラムを用いてヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液について液体クロマトグラフィー分析を行うことにより、ヒアルロン酸および/またはその塩を構成する成分を分子サイズにより分離することができる。
【0017】
本発明におけるヒアルロン酸および/またはその塩の分子量分布は、HPLC分析装置(商品名「アライアンスPDAシステム」、日本ウォーターズ株式会社製)にゲル濾過カラム(商品名「Diol−120」、株式会社ワイエムシイ製)を接続して、ヒアルロン酸および/またはその塩の0.1%(w/v)水溶液を分析サンプルとして、この分析サンプルを液体クロマトグラフィー分析することにより測定することができる。
【0018】
液体クロマトグラフィー分析の条件は以下の通りとする。
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
ヒアルロン酸および/またはその塩の0.1%(w/v)水溶液の注入量:20μL
移動相:0.003mol/L リン酸バッファー(0.15mol/L NaCl含有、pH7.0)
紫外線検出器:λ=210nmで測定
本発明に係るゲル濾過カラムを用いた液体クロマトグラフィーでは、保持時間が長いものほど低分子である。保持時間の長い順に、N−アセチルグルコサミン、D−グルクロン酸、ヒアルロン酸(二糖:繰り返し構造単位1つ)、ヒアルロン酸(四糖:繰り返し構造単位2つ)、ヒアルロン酸(六糖:繰り返し構造単位3つ)、ヒアルロン酸(八糖:繰り返し構造単位4つ)・・・のピークが得られる。各ピークにおける保持時間および分子量を算出し、この保持時間対分子量の検量線を求める(式4)。
【0019】
なお、後述の式4において、xは保持時間を示し、yは分子量を示す。次いで、式4に示される検量線から、所定の分子量(1万または5万)に対応する保持時間を算出し、これらの保持時間によりピークを分割することにより、所定の分子量範囲にある成分の割合を求める。また、各ピークが示す分子量は、分子量が既知のヒアルロン酸および/またはその塩の最小構成単位(二糖)について同様の方法で液体クロマトグラフィー分析して得られたクロマトグラム中のピークと照会することにより同定される。
【0020】
例えば、分子量1万以下の成分の割合は、式4に示される検量線から分子量1万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以降の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めることができる。同様に、分子量5万以上の成分の割合は、式4に示される検量線から分子量5万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以前に成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めることができる。
【0021】
一例として、図1に示すクロマトグラムから得られた各分子量成分の繰り返し単位数および保持時間の関係を表1に示す。
【0022】
【表1】

*ヒアルロン酸の分子量は、フリーの酸として計算した。
【0023】
(式4)
y=−21.4x+1296.2x−26747.1x+189427.1
【0024】
本発明で用いる上記ヒアルロン酸および/またはその塩の代表的な製造方法を以下に述べる。なお、本発明で用いるヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法は、これに限定するものではない。
【0025】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩の原料であるヒアルロン酸および/またはその塩(以下、「原料ヒアルロン酸およびその塩」ともいう)は一般に、鶏冠、臍の緒、眼球、皮膚、軟骨等の生物組織、あるいはストレプトコッカス属の微生物等のヒアルロン酸生産微生物を培養して得られる培養液等を原料として、これらの原料から抽出(さらに必要に応じて精製)して得られるものである。例えば、鶏冠より抽出される原料ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量は通常200万から800万である。
【0026】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、酸性含水媒体中に原料ヒアルロン酸および/またはその塩を分散させて、酸性含水媒体を除去して得られた残留物を加熱乾燥することにより製造することができる。ここで、攪拌速度や攪拌時間を調整することにより、低分子化の度合いを調整することができる。また、上述の分散させる工程を、30〜70℃で1時間以内の加熱条件下で行うことにより、目的の分子量まで安定に低分子化することができる。より具体的には、粉末状の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を、酸性含水媒体中に攪拌しながら添加して得られた分散媒を加熱することができる。あるいは、酸性含水媒体を予め加熱し、これに原料ヒアルロン酸および/またはその塩を添加し、温度を保持してもよい。
【0027】
上記製造方法において、含水媒体は、水を含む、ヒアルロン酸および/またはその塩の分散媒のことをいう。含水媒体に使用できる媒体は、ヒアルロン酸および/またはその塩の溶解性が低いことが好ましい。含水媒体に使用できる媒体は特に限定されないが、例えば液体であって、水に溶解する性質を有し、かつ、化粧品の製造工程において使用できるものが好ましい。含水媒体に使用できる媒体としては、例えば、アルコール系媒体(例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなど)、ケトン系媒体(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を挙げることができ、これらを単独または組み合わせて使用することができる。このうち、沸点の低さおよび価格の点で、メタノール、エタノール、およびアセトンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。含水媒体における含水量は特に規定されないが、含水量が多いと、ヒアルロン酸および/またはその塩が分散状態を維持できず、含水媒体に溶解するため、収率の低下を招くおそれがある。したがって、含水媒体の全量に対する水の割合は40%容量以下が好ましく、30%容量以下がより好ましい。
【0028】
また、上記製造方法において、含水媒体を酸性にするために使用するものとしては、例えば、塩酸や硫酸等の酸や酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。
【0029】
なお、上記ヒアルロン酸からヒアルロン酸の塩へと変換する方法、ならびに上記ヒアルロン酸の塩からヒアルロン酸へと変換する方法は、特に限定されるわけではない。上記ヒアルロン酸からヒアルロン酸の塩へと変換する方法としては、例えば、アルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム等の水溶液)を用いて処理する方法が挙げられる。また、上記ヒアルロン酸の塩からヒアルロン酸へと変換する方法としては、例えば、酸水溶液(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の水溶液)を用いて処理する方法や、酸性陽イオン交換樹脂を用いる方法が挙げられる。
【0030】
本発明の毛髪改質浸透剤は、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有することから、上記ヒアルロン酸および/またはその塩をそのまま毛髪改質浸透剤として用いるのが好ましいが、精製水等の溶媒、デキストリン等の賦形剤あるいは他の毛髪用化粧料の原料を添加してもよい。その際、上記ヒアルロン酸および/またはその塩の含有量は、後述する毛髪用化粧料への配合量や配合し易さを考慮し、0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
【0031】
上記毛髪改質浸透剤を含有する毛髪用化粧料の例としては、例えば、シャンプー、リンス、リンス一体型シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、マスカラクレンジング、ヘアカラー前処理液、カラーリング液、原液タイプヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘアスタイリング、ヘアワックス、ヘアジェル、ヘアフォーム(ヘアムース)、ヘアローション、ヘアスプレー、ヘアオイル、ヘアトニック、パーマネント液、マスカラ、アイライナー、アイブロウ等が挙げられる。
【0032】
本発明の毛髪用化粧料には、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有した毛髪改質浸透剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常毛髪化粧料に使用される成分を適宜配合することができる。前記成分としては、例えば、アニオン界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキンアルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等)、非イオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等)、陽イオン界面活性剤(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等)、両性界面活性剤(例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、卵黄レシチン、大豆レシチン等)、油分(例えば、シリコーン、シリコーン誘導体、流動パラフィン、スクワラン、ミツロウ、カルナバロウ、オリーブ油、アボガド油、ツバキ油、ホホバ油等)、保湿剤(例えば、高分子ヒアルロン酸および/またはその塩、フィトグリコーゲン、加水分解卵殻膜、トレハロース、グリセリン、アテロコラーゲン、ソルビトール、マルチトール等)、高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等)、高級アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコール等)、多価アルコール(例えば、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール等)、増粘剤(例えば、セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム等)、両性高分子樹脂化合物(例えば、ベタイン化ジアルキルアミノアルキルアクリレート共重合体等)、カチオン性高分子樹脂化合物(例えば、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化物、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマー等)、カチオン化多糖類(例えば、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化澱粉、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化デキストラン、カチオン化ヒアルロン酸等)、防腐剤(例えば、メチルパラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、トコフェロール、BHT等)、金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩等)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、紫外線反射剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、タンパク質加水分解物(例えば、ケラチンペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、コムギペプチド、ミルクペプチド、シルクペプチド、卵白ペプチド等)、アミノ酸(例えば、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、システイン等)、リン脂質ポリマー、香料、色素が挙げられる。
【0033】
本発明の毛髪用化粧料への毛髪改質浸透剤の含有量は、上記ヒアルロン酸および/またはその塩として、0.001〜5%が好ましく、0.005〜2%がより好ましい。上記毛髪改質浸透剤の含有量が前記範囲より多くなると、有効成分として含有する上記ヒアルロン酸および/またはその塩の毛髪内部への浸透量を超える場合があり、経済的でない。一方、前記範囲より少なくなると、有効成分として含有するヒアルロン酸および/またはその塩が有する毛髪改質効果が現れにくく、商品価値が低くなるため好ましくない。
【0034】
本発明の毛髪用化粧料の製造方法は、水溶性の上記ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有した毛髪改質浸透剤を必須の配合原料とすることから、当該毛髪改質浸透剤を水系媒体に添加する他は、常法に則り製造すればよい。
【0035】
以下、本発明で用いる平均分子量5,000〜20,000であり、かつ、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ5万以上の成分の割合が5重量%以下である、ヒアルロン酸および/またはその塩を用いた毛髪化粧料について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0036】
〔調製例1〕平均分子量9,000のヒアルロン酸
本調製例では、原料として、鶏冠より抽出、精製したヒアルロン酸ナトリウム(以下「HANa」ともいう)微粉末を準備した。この原料HANaの平均分子量は約210万、純度97%であった。
【0037】
まず、攪拌機およびジャケットを装備した300L容タンクに、0.5%硫酸含有80%含水アセトン(酸性含水媒体)110Lを満たし、攪拌しながら液温が60℃となるよう加熱した。ここで、80%含水アセトンは、アセトンを80(w/w)%含有し、水を20(w/w)%含有するものであり、0.5%硫酸含有80%含水アセトンは、硫酸を0.5(w/w)%含有し、80%含水アセトンを99.5(w/w)%含有するものである。60℃に達温後、攪拌しながら、準備した原料HANa微粉末6kgをタンクに投入した。硫酸含有含水アセトンの温度を60℃に維持するよう加熱を行いながら、原料HANa微粉末が分散状態となるように攪拌した。
【0038】
次に、15分間攪拌してから静置した後、上澄みの硫酸含有含水アセトンをデカンテーションにより除去することにより、沈殿物を得た。得られた沈殿物に、予め60℃に加熱した0.5%硫酸含有80%含水アセトン110Lを加え、同様に60℃に加熱しながら攪拌を15分間行い、この操作を合計3回繰り返した。
【0039】
次いで、硫酸含有含水アセトンを除去した後に得られた沈殿物に80%含水アセトン110Lを加え、硫酸除去の目的で攪拌を15分間行った。硫酸の残留がなくなるまでこの操作を繰り返した。
【0040】
さらに、含水アセトンをデカンテーションにより除去して残留物を得た。この残留物について遠心分離処理を行うことにより含水アセトンをさらに除去した後、真空乾燥機を用いて70℃にて減圧で12時間加熱乾燥した。
【0041】
以上の工程により、白色微粉末のヒアルロン酸5.3kg(収率約88%)を得た。このヒアルロン酸は、極限粘度より換算した平均分子量が9千であり、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が49%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が0.5%であった。
【0042】
本試験例においては、調製例1のヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤とし、当該毛髪改質浸透剤を含有した毛髪用化粧料を毛髪に使用して、毛髪内浸透性の評価を行った。
【0043】
試料は以下の3種類を使用した。
試料1:上記調製例1で得られたヒアルロン酸
試料2:ヒアルロン酸(商品名「ヒアルロンサンHA−LF」、キユーピー株式会社製、平均分子量20万)
試料3:ヒアルロン酸ナトリウム(商品名「ヒアルロンサンHA−LQH」、キユーピー株式会社製、平均分子量180万)
【0044】
上記試料1〜3と、毛髪中のヒアルロン酸とを区別するため、ヒアルロン酸を蛍光ラベル化物質(DMEQ−ヒドラジド)で蛍光化した試料を試験に用いた。ヒアルロン酸の蛍光化方法は、李梅花、上田秀雄他による「角質保湿剤ヒアルロン酸ナトリウムの皮膚吸収に及ぼす超音波照射の影響」(Drug Delivery System, 12, 415-419(1997))に従い、以下の方法で実施した。
【0045】
まず、試料1〜3をそれぞれ精製水に溶解し、7.6mg/mLの水溶液とした。この試料水溶液160mLをとり、ピリジン3.2mL、9mg/mL EDC水溶液16mL、1.24mg/mL DMEQ−ヒドラジド25mLを加え、常温で2時間攪拌し、蛍光化反応を行った。反応後、反応液に160mLの精製水を加え、透析して蛍光化試薬を除去し、凍結乾燥により蛍光化ヒアルロン酸またはその塩を得た。
【0046】
毛髪の処理は以下の方法で実施した。
蛍光化ヒアルロン酸またはその塩(試料1〜3)を毛髪改質浸透剤あるいは添加剤とし、当該毛髪改質浸透剤あるいは添加剤を、濃度1%となるように精製水に溶解し、毛髪用化粧料を調製した。この化粧料3mLを取って10mL三角フラスコに入れ、5cm長さに切った人毛黒髪(株式会社ビューラックスより入手)0.004gを浸漬し、40℃に加温して攪拌しながら15分間保持した。処理後、毛髪を取り出し、精製水で10分間水洗し、乾燥させた。
【0047】
上記の処理により得られた毛髪の状態について、偏光顕微鏡(Nikon ECLIPSE E600 POL)、偏光フィルタ(UV1A)、落射蛍光装置(Nikon
Y-FL)での観察を行った。得られた毛髪のうち数本を、接着剤と共に塩化ビニル製チューブの内部に入れ、硬化後ミクロトームで20μmに切断し、毛髪断面を蛍光顕微鏡にて観察した。対照として、未処理の毛髪についても同様に観察した。結果を図2に示す。
【0048】
図2より、試料1のヒアルロン酸を毛髪改質浸透剤として含有した毛髪用化粧料で処理した毛髪は、未処理の毛髪に対して、毛髪内部に均等に蛍光発色が確認されたことから、蛍光化したヒアルロン酸が毛髪内部に浸透していることがわかった。一方、試料2,3のヒアルロン酸を添加剤として含有した毛髪用化粧料で処理した毛髪においては、毛髪内部の蛍光発色は観察されなかったことから、蛍光化したヒアルロン酸またはその塩は毛髪表面に留まり、毛髪内部には浸透していないことが確認された。したがって、本発明の、特定の平均分子量と分子量分布とを有するヒアルロン酸(試料1)を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤が、高分子ヒアルロン酸を有効成分としたものに比べて、毛髪内部に効果的に浸透していることが示唆された。
【0049】
〔試験例2〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用したヘアミストを、下記配合にて調製した。20名の成人女性(20〜50歳代)により、前記ヘアミストのモニター試験を行った。頭髪にヘアミストを1日1回使用してもらい、頭髪への効果について調べた。モニター試験結果を表2に示す。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 1.0%
フェノキシエタノール 0.4%
メチルパラベン 0.1%
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――
100%
【0050】
【表2】

【0051】
アンケート結果より、使用者のうち約60%に、毛髪の手触りの改善効果がみられた。さらに、使用者の約70%が、使用してから3回目までに効果を体感していることから、即効性があることも確認できた。
【0052】
〔調製例2〕平均分子量14,000のヒアルロン酸
本調製例では、原料として、ヒアルロン酸産生ストレプトコッカス属の微生物を培養することにより得られたヒアルロン酸含有発酵物より抽出、精製した原料ヒアルロン酸(以下、「HA」ともいう)微粉末を準備した。この原料HAの平均分子量は約160万であり、純度は97%であった。
【0053】
まず、攪拌機を装備した300L容タンクに、2%塩酸含有80%含水エタノール(酸性含水媒体)110Lを満たし、攪拌しながら液温が70℃となるよう加熱した。この処理液のpHは0.76であった。ここで、80%含水エタノールは、エタノールを80(w/w)%含有し、水を20(w/w)%含有するものであり、2%塩酸含有80%エタノールは、塩酸を2(w/w)%含有し、80%含水エタノールを98(w/w)%含有するものである。70℃に達温後、攪拌しながら、準備した原料HA微粉末6kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノールの温度を70℃に維持するよう加熱を行いながら、原料HA微粉末が分散状態となるように攪拌した。
【0054】
次に、60分間攪拌してから静置した後、上澄みの塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去することにより、残留物を得た。この残留物について遠心分離を行うことにより、含水エタノールをさらに除去した後、真空乾燥機を用いて常温、シリカゲル存在下にて減圧で12時間乾燥した。
【0055】
以上の工程により、白色微粉末の低分子ヒアルロン酸5.5kg(収率約92%)を得た。このヒアルロン酸は、極限粘度より換算した平均分子量が14,000であり、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が43%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が2.1%であった。
【0056】
〔試験例3〕
調製例2のヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用したヘアミストを、試験例2と同様の配合にて調製し、試験例2と同様の試験を実施した。その結果、試験例2と比較して若干効果が劣るものの、同様に毛髪の手触りの改善に効果がみられた。
【0057】
〔試験例4〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のシャンプーを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.1%
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 1.0%
ヤシ油脂肪酸アミドプロプルベタイン 4.0%
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 2.0%
エデト酸ナトリウム 0.1%
安息香酸ナトリウム 0.2%
香料、色素、防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたシャンプーを得ることができた。
【0058】
〔試験例5〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のリンスを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.3%
セトステアリルアルコール 2.0%
POE(5)セチルエーテル 1.0%
グリセリン 3.0%
1,3−ブチレングリコール 5.0%
シリコーン油 3.0%
小麦加水分解物 1.0%
ヒドロキシステアリン酸 0.5%
2−エチルヘキサン酸セチル 1.0%
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 0.2%
ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド 0.5%
香料、色素、防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたリンスを得ることができた。
【0059】
〔試験例6〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のリンス一体型シャンプーを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.2%
イミダゾリウムベタイン型両面界面活性剤 16.0%
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0%
N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム 1.0%
シリコーン誘導体 1.0%
ポリオキシエチレンアルキルポリアミン 1.0%
香料、色素、pH調整剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたリンス一体型シャンプーを得ることができた。
【0060】
〔試験例7〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のヘアコンディショナーを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.5%
ステアリルアルコール 4.0%
セタノール 1.5%
ヒドロキシエチルウレア 1.0%
ジメチコン 2.0%
加水分解シルク 1.0%
1,3−ブチレングリコール 1.0%
グリセリン 3.0%
2−エチルヘキサン酸セチル 2.0%
ミリスチン酸イソセチル 0.4%
L−アルギニン 0.1%
ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル 1.0%
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1.5%
安息香酸ナトリウム 0.3%
香料、色素、防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたヘアコンディショナーを得ることができた。
【0061】
〔試験例8〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のヘアパックを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 1.0%
セチルアルコール 2.0%
ステアリルアルコール 2.0%
ステアリン酸硬化ヒマシ油 2.0%
ミリスチン酸イソプロピル 1.0%
臭化ステアリルトリメチルアンモニウム 3.0%
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 2.0%
1,3−ブチレングリコール 10.0%
香料、防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたヘアパックを得ることができた。
【0062】
〔試験例9〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合の原液タイプヘアトリートメントを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 2.0%
防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れた原液タイプヘアトリートメントを得ることができた。
【0063】
〔試験例10〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のヘアクリームを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.5%
ステアリン酸 2.0%
ミツロウ 2.0%
ワセリン 7.0%
流動パラフィン 40.0%
シリコンオイル 0.2%
モノステアリン酸ソルビタン 1.0%
ポリオキシエチレンセチレンエーテル 1.5%
トリエタノールアミン 1.0%
1,3−ブチレングリコール 3.0%
ポリグリコールアミン縮合物 2.0%
防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたヘアクリームを得ることができた。
【0064】
〔試験例11〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のヘアワックスを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.5%
イソステアリン酸PEG−20グリセリル 3.0%
ステアリン酸グリセリル 2.0%
マイクロクリスタリンワックス 4.0%
カルナウバロウ 3.0%
ベヘニルアルコール 3.0%
ステアリン酸 1.0%
ミネラルオイル 2.0%
水添ポリイソブテン 2.0%
フェニルトリメチコン 3.0%
ジメチコン 1.0%
プロピルパラベン 0.1%
PVP 1.0%
プロピレングリコール 5.0%
香料、色素、防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたヘアワックスを得ることができた。
【0065】
〔試験例12〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のヘアジェルを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 1.0%
ポリビニルヒドリドン 2.0%
グリセリン 5.0%
エタノール 20.0%
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 1.0%
水酸化ナトリウム 適量
香料、キレート剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたヘアジェルを得ることができた。
【0066】
〔試験例13〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のヘアローションを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 1.0%
ポリビニルヒドリドン 4.0%
エタノール 30.0%
シリコーン誘導体 0.5%
グリセリン 2.0%
香料、防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたヘアローションを得ることができた。
【0067】
〔試験例14〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のヘアカラー前処理液を製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.5%
イミダゾリニウムベタイン 1.0%
ケラチン加水分解物 0.5%
グリシン 0.5%
POEラウリルエーテル 0.5%
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたヘアカラー前処理液を得ることができた。
【0068】
〔試験例15〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のカラーリング剤を製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.5%
ベンジルアルコール 8.0%
クエン酸 1.0%
エタノール 15.0%
黒色401号 0.05%
褐色201号 0.05%
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたカラーリング剤を得ることができた。
【0069】
〔試験例16〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合のパーマ液第2液を製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.5%
臭素酸ナトリウム 5.0%
シリコーンエマルション 1.0%
クエン酸 0.1%
クエン酸ナトリウム 0.5%
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れたパーマ液第2液を得ることができた。
【0070】
〔試験例17〕
調製例1で得られたヒアルロン酸をそのまま毛髪改質浸透剤として使用して、下記の配合の水系マスカラを製した。
<配合割合>
毛髪改質浸透剤(調製例1のヒアルロン酸) 0.5%
イソプロピルアルコール 5.0%
1,3−ブチレングリコール 5.0%
水酸化カリウム 0.1%
酸化亜鉛 0.1%
顔料 2.0%
デキストリン 14.0%
香料、防腐剤 適量
精製水 残量
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
本試験例によれば、調製例1で得られたヒアルロン酸を有効成分として含有する毛髪改質浸透剤を配合することにより、毛髪内部への浸透性に優れた水系マスカラを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、ヒアルロン酸のクロマトグラムの一例を示す。
【図2】図2は、試験例1で得られた毛髪を蛍光顕微鏡で観察した写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均分子量が5,000〜20,000であり、かつ、分子量分布が、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ5万以上の成分の割合が5重量%以下である、ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有する、毛髪改質浸透剤。
【請求項2】
前記分子量分布が、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上であり、かつ、分子量5万以上の成分の割合が1重量%以下である、請求項1記載の毛髪改質浸透剤。
【請求項3】
前記分子量分布が、分子量1万以下の成分の割合が50重量%以上である、請求項2記載の毛髪改質浸透剤。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の毛髪改質浸透剤を含有する毛髪用化粧料。
【請求項5】
毛髪改質浸透剤の含有量が前記ヒアルロン酸および/またはその塩として0.001〜5%である、請求項4記載の毛髪用化粧料。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−285421(P2008−285421A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129760(P2007−129760)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】