説明

毛髪用組成物およびそれを用いた毛髪への残香性を高め、香りを長く持続させる方法

【課題】毛髪に塗布してなじませ、その後洗い流すことにより、毛髪への残香性が高く、毛髪からの香りが持続する毛髪用組成物を提供すること。また、その毛髪用組成物を用いて毛髪への残香性を高くし、香りを長く持続させる方法を提供すること。
【解決手段】(A)カチオン性界面活性剤、(B)飽和一価高級脂肪族アルコール、(C)アモジメチコン型のアミノ変性シリコーンおよび(D)25℃の温度において固形状の香料成分を配合し、洗い流し用であることを特徴とする毛髪用組成物。また、この毛髪用組成物を毛髪に塗布し、毛髪になじませた後で洗い流すことを特徴とする、毛髪への残香性を高め、香りを長く持続させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪への残香性の高い毛髪用組成物に関し、更に詳しくは、カチオン性界面活性剤、飽和一価高級脂肪族アルコール、アミノ基を有するシリコーン類および常温(25℃)において固形状である香料成分を組み合わせて配合したヘアコンディショナー、ヘアパック、シャンプー等の洗い流し用の組成物であって、これを毛髪に塗布して洗い流した後に、毛髪への残り香が強く、また香りが長く持続する毛髪用組成物に関するものである。また、この毛髪用組成物を毛髪に塗布し洗い流すことによる、毛髪への残香性を高くし、香りを長く持続させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアコンディショナーやシャンプーなど洗い流し型の毛髪用製品は毛髪にコンディショニング効果を付与するため種々の新しい技術が検討されてきたが、近年、洗い流し後に毛髪から高く香る残り香や長く持続する香りに対するニーズが高まってきている。洗い流し後の毛髪への残香性を向上させるために、従来はシャンプーやコンディショナーなどヘアケア製品への香料の賦香率を高める、特定の化学構造を有する香料を限定量配合して残香性を高める、あるいは特定の界面活性剤とグリセライド類とを組み合わせた乳化物で香りの持続性を高める等の方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−259121号公報
【特許文献2】特開平11−139923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、シャンプーやコンディショナー等への賦香率を高めると、製品の安定性が低下したり、使用時の良好な感触が損われる場合があった。また特定化学構造の香料を限定量配合することは香料組成、即ち香調まで限定されてしまう場合があり、更に、特定の界面活性剤とグリセライド類の組み合わせも製品が乳化物に限定されてしまうものであった。従って、本発明の解決しようとする課題は、香調や製品の剤形においてより汎用性のある残香性の高い毛髪用組成物であって、洗い流し後の毛髪への残り香が強く、また香りが長く持続する毛髪用組成物を提供することにある。また、この毛髪用組成物を毛髪に塗布し洗い流すことによる、毛髪への残香性を高くし、香りを長く持続させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる実情において、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カチオン性界面活性剤、飽和一価高級脂肪族アルコール、特定のアミノ変性シリコーンおよび25℃において固形状である香料成分を組み合わせて配合した洗い流し用の毛髪用組成物およびこれを用いた方法が上記課題を克服し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、
次の成分(A)〜(D)、
(A)カチオン性界面活性剤
(B)飽和一価高級脂肪族アルコール
(C)下記一般式(1)で示されるアミノ変性シリコーン
【化3】

[式(1)中、Rは同一または異なってもよくOH基またはメチル基を示し、pは0〜2000、qは1〜2000、nは1〜5の数を示す。Xは炭素原子数1〜5の炭化水素基を示す。]
(D)25℃の温度において固形状の香料成分
を配合し、洗い流し用であることを特徴とする毛髪用組成物を提供するものである。
【0006】
また、本発明は成分(D)がバニリン、クマリン、ムスクケトン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、メチルアトラレートおよびトナリド(登録商標)からなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする前記の毛髪用組成物を提供するものである。
【0007】
また、本発明は毛髪用組成物の全組成中、成分(A)の配合量が0.1〜5質量%、成分(B)の配合量が0.1〜20質量%、成分(C)の配合量が0.1〜5質量%、かつ、成分(D)の配合量が0.0005〜1質量%であることを特徴とする前記の毛髪用組成物を提供するものである。
【0008】
更に、本発明は
次の成分(A)〜(D)、
(A)カチオン性界面活性剤
(B)飽和一価高級脂肪族アルコール
(C)下記一般式(1)で示されるアミノ変性シリコーン
【化4】

[式(1)中、Rは同一または異なってもよくOH基またはメチル基を示し、pは0〜2000、qは1〜2000、nは1〜5の数を示す。Xは炭素原子数1〜5の炭化水素基を示す。]
(D)25℃の温度において固形状の香料成分
を配合する毛髪用組成物を毛髪に塗布し、毛髪になじませた後で洗い流すことを特徴とする、毛髪に対する残香性を高め、香りを長く持続させる方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は成分(D)がバニリン、クマリン、ムスクケトン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、メチルアトラレートおよびトナリド(登録商標)からなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする前記の毛髪への残香性を高め、香りを長く持続させる方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪用組成物およびそれを用いた方法は、毛髪に塗布してなじませ、その後洗い流すことにより、毛髪への残香性が高く、また毛髪からの香りが持続するものであり、毛髪に香りを付与する毛髪用組成物およびそれを用いた方法として優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0012】
本発明に用いられる成分(A)のカチオン性界面活性剤は、通常毛髪用の化粧料に使用されるカチオン性の界面活性剤であれば特に限定されることなく使用できるが、モノ長鎖アルキル型の第4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル型の第4級アンモニウム塩またはエチレンオキサイド付加型の第4級アンモニウム塩が好ましい。具体的には塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、臭化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、臭化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、臭化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、臭化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(15E.O.)ヤシ油アルキルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(4E.O.)ラウリルエーテルジメチルアンモニウム、塩化ステアリン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム・メチル硫酸塩、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム・メチル硫酸塩等を挙げることができる。これらのうち、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウムが残香性および香りの持続効果への寄与の点で特に好ましい。
【0013】
本発明において、成分(A)のカチオン性界面活性剤は、必要に応じて1種または2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は特に制限はないが、その性質を充分に発揮させるためには全組成中0.1〜5質量%(以下、「質量%」を単に「%」と略記する)が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。
【0014】
本発明に用いられる成分(B)の飽和一価高級脂肪族アルコールは、通常化粧料に使用できる飽和炭化水素基を有する一価の高級脂肪族アルコールであれば特に限定されないが、直鎖または分岐鎖の炭化水素基を有する炭素原子数12〜22のものが好ましい。具体的には、例えばミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、ラウリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、ホホバアルコール等を例示することができる。これらのうち、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールが特に好ましい。
【0015】
本発明において、成分(B)の飽和一価高級脂肪族アルコールは必要に応じて1種または2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は特に制限はないが、その性質を充分に発揮させるためには全組成中0.1〜20%が好ましく、1〜10%がより好ましい。
【0016】
本発明に用いられる成分(C)のアミノ変性シリコーンは次の一般式(1)で示されるアミノ基を含有するシリコーン化合物であり、このアミノ変性シリコーンを使用することにより、本発明の組成物において後述の特定香料成分(D)に対し、洗い流し後の毛髪への残香性を高め、また毛髪からの香りを長く持続させることができる。本発明において、成分(C)のアミノ変性シリコーンはオイル状であるが、これを乳化してエマルションやミクロエマルション等にしたものも使用可能である。
【0017】
【化5】

[式(1)中、Rは同一または異なってもよくOH基またはメチル基を示し、pは0〜2000、qは1〜2000、nは1〜5の数を示す。Xは炭素原子数1〜5の炭化水素基を示す。]
【0018】
なお、式(1)においてpおよびqは、p=0〜500、q=1〜500がより好ましく、特にp=50〜150、q=1〜10が好ましい。
【0019】
上記一般式(1)のアミノ変性シリコーンは上記の化学構造を有するものであれば何れの化合物も使用可能であるが、特にアモジメチコン〔INCI収載名:式(1)において、RがOH基またはメチル基、Xが炭素原子数3〜4の直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基、nが3である化合物〕が好ましい。このような化合物としては、水性エマルション形態であるDOW
CORNING TORAY SM 8904 COSMETIC EMULSION(東レ・ダウコーニング社製)等の市販品があり、本発明の成分(C)として使用することができる。
【0020】
本発明において、成分(C)のアミノ変性シリコーンは必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて使用することができ、その配合量は特に制限はないが、その性質を充分に発揮させるためにアミノ変性シリコーン純分として全組成中0.1〜5%が好ましく、特に0.5〜3%が好ましい。
【0021】
本発明に用いられる成分(D)は温度25℃において固形状の香料成分であり、他の必須成分と共に洗い流し後の毛髪への残香性を高め、また毛髪の香りを長く持続させる効果を発揮する。成分(D)としては、温度25℃において固形状の香料成分であれば特に限定されず使用可能であるが、特にバニリン、クマリン、ムスクケトン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、メチルアトラレート、トナリド(登録商標)(6−アセチル−1,1,2,4,4,7−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン)の香料成分が残香性および香りの持続効果が良好であるため好ましく、本発明においてはこれらより選ばれる1種または2種以上を組み合わせた香料として、またそれらを含有する香料として使用することができる。
【0022】
本発明において、成分(D)の香料成分は配合量に特に制限はないが、通常の賦香率として全組成中0.0005〜1%が好ましく、特に洗い流し後の香り立ちが過度に強くなく、かつ良好な残香性および香りの持続効果を得るためには0.005〜0.1%が好ましい。
【0023】
本発明の毛髪用組成物には、上記の必須成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、毛髪用の化粧品に配合される他の成分、例えば油性成分、多価アルコール類、低級アルコール類、糖類、水溶性高分子、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を適宜配合することができる。
【0024】
油性成分としては動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、例えば炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、成分(B)以外の高級アルコール類、成分(C)以外のシリコーン類、フッ素系油剤類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には流動パラフィン、イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、植物性スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス等の炭化水素類;モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、カメリア油、ローズピップ油、アボカド油等の油脂類;ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類;硬化ヒマシ油等の硬化油類;ホホバ油、2−エチルヘキサン酸酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、オレイン脂肪酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)等のエステル類;ラノリンアルコール、オレイルアルコール等の不飽和高級脂肪族アルコール類;ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチコノール、架橋型オルガノポリシロキサン、成分(C)以外のアミノ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類;ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられる。
【0025】
多価アルコール類としてはグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、低級アルコール類としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコール等、糖類としてはソルビトール、マルチトール、キシリトール、ショ糖、果糖、ブドウ糖、でんぷん糖、ラクチトール、エリスリトール等、水溶性高分子としてはグアーガム、カチオン化グアーガム、クインスシードガム、トラガカントガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、アクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩コポリマー、アクリル酸塩・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩コポリマー、アクリレーツ・イタコン酸ステアレス−20コポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミドコポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸ターポリマー等を挙げることができる。
【0026】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を挙げることができる。
【0027】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム等の高級脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸カリウム等のα−オレフィンスルホン酸塩;N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸アンモニウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチルβ−アラニンカリウム等のN−アシルアミノ酸塩;N−ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、N−ラウロイルイセチオン酸カリウム等のアシルイセチオン酸塩;N−ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸メチルタウリンカリウム等のN−アシルアルキルタウリン塩;ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンカリウム等のN−アシルポリペプチド塩;ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム等のヒドロキシエーテルカルボン酸塩等を挙げることができる。
【0028】
両性界面活性剤としては、オクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤;N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ヤシ油アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等を挙げることができる。
【0029】
その他、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸またはそれらの塩等のpH調整剤;エデト酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはそれらの塩等のキレート剤;塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等の無機塩類;グリシン、アラニン、L−プロリン、ロイシン、イソロイシン、L−システイン、アセチルシステイン、L−セリン、L−アルギニン、L−グルタミン酸、グルタミン、N−アセチル−L−グルタミン、L−アスパラギン酸、トリメチルグリシン、ピロリドンカルボン酸またはその塩、テアニン等のアミノ酸類;アロエベラ、ウィッチヘーゼル、ハマメリス、セイヨウニワトコ、ダイズ、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ、サンザシ、緑茶、紅茶、ウーロン茶、海藻、ブドウ種子等の植物由来の抽出物;水溶性ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンH、ビタミンAまたはこれらの誘導体等のビタミン類;コラーゲン、ゼラチン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、カチオン化加水分解ケラチン、シリル化加水分解シルク等のタンパク質やその誘導体またはそれらの塩;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸またはそのナトリウム塩等の紫外線吸収剤;真珠末、パール顔料、着色パール顔料、ラメ剤、酸化鉄、酸化チタン、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、有機変性ベントナイト、ナイロン末、シリコーン樹脂粉体等の粉体;タール色素、天然色素等の色素類;ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;パラベン類、安息香酸塩、イソプロピルメチルフェノール、フェノキシエタノール等の殺菌・防腐剤;成分(D)以外の香料等、通常化粧品に配合される他の成分を適宜配合することができる。
【0030】
本発明の毛髪用組成物は、その製法が特に限定されるものではなく、上記必須成分を配合し、必要に応じて上記他の成分を適宜配合し、常法により調製すればよい。また、本発明の毛髪用組成物は剤形は特定されず、上記必須成分を配合していれば何れの剤形でも良いが、特にO/W型のエマルションまたはミクロエマルションであることが好ましい。
【0031】
本発明の毛髪用組成物は、他の成分との併用や容器の機構により、液状、乳液状、クリーム状、フォーム状等、種々の形態にて実施することができ、ヘアリンス、ヘアパック、シャンプー、ヘアコンディショニングシャンプー、リンスインシャンプー等の洗い流し型の毛髪用製品として実施することができる。また、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において液化石油ガス、窒素ガス、炭酸ガス、ジメチルエーテル等の各種噴射剤やそれらの混合物を加えてエアゾール容器に充填したり、吐出口に多孔質部材を設けるなどして容器から泡状に吐出させるノンガスタイプのフォーマー容器に充填し、フォーム、ミスト、スプレーフォーム等のエアゾールとして毛髪に塗布させる洗い流し型の製品としても実施することができる。
【0032】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0033】
本発明品1〜5および比較品1〜4: ヘアコンディショナー(洗い流しタイプ)
表1に示す組成および下記製法にて洗い流しタイプのヘアコンディショナーを調製し、官能試験により各試料の洗い流し後の残香性および香りの持続性について評価、判定を行った。結果を表1に併記する。
【0034】
【表1】

【0035】
注1:DOW CORNING TORAY
SM 8904 COSMETIC EMULSION(東レ・ダウコーニング社製)(40%エマルション)(処方中の配合量はアミノ変性シリコーン純分で記載し、他に含まれるカチオン性界面活性剤は成分(1)および成分(2)と併せて含有量を示し、同じく含まれる水は成分(10)と併せて含有量を記してある。)
注2:ジプロピレングリコール90質量部に、バニリン(25℃で固形状)を10質量部加え、溶液としたもの。
注3:ジプロピレングリコール90質量部に、クマリン(25℃で固形状)を10質量部加え、溶液としたもの。
注4:ジエチルフタレート90質量部に、ムスクケトン(25℃で固形状)を10質量部加え、溶液としたもの。
注5:ジプロピレングリコール90質量部に、ローズフェノン(25℃で固形状)を10質量部加え、溶液としたもの。
注6:ジプロピレングリコール90質量部に、ラズベリーケトン(25℃で固形状)を10質量部加え、溶液としたもの。
注7:ジプロピレングリコール90質量部に、ゲラニオール(25℃で液状)を10質量部加え、溶液としたもの。
注8:ジプロピレングリコール90質量部に、セドリルメチルエーテル(25℃で液状)を10質量部加え、溶液としたもの。
注9:ジプロピレングリコール90質量部に、リリアール(25℃で液状)を10質量部加え、溶液としたもの。
注10:ジプロピレングリコール90質量部に、リナロール(25℃で液状)を10質量部加え、溶液としたもの。
【0036】
(製法)
A.成分(1)〜(5)を75℃にて加熱溶解する。
B.成分(6)〜(8)および成分(19)〜(20)を75℃に加熱する。
C.AにBを添加して均一に乳化混合し、冷却後に成分(9)〜(18)を添加混合する。
D.Cを容器に充填し、洗い流しタイプのヘアコンディショナーを得た。
【0037】
<官能試験>
(評価項目)
<1>洗い流し、乾燥させた直後の毛髪の香りの強度
<2>乾燥後、2時間経った後の毛髪の香りの持続度
<3>乾燥後、12時間経った後の毛髪の香りの持続度
【0038】
(評価、判定方法)
1gの毛束を複数用意し、流水で濯いだ後、本発明品1〜5および比較品1〜4のヘアコンディショナーの各試料を毛束に塗布し、なじませた。その後、各毛束を再度流水で濯いで自然乾燥させ、香料の専門パネル員10名により乾燥直後の香りの強度(残香性)、2時間後および12時間後の香りの持続度について、下記(イ)7段階評価基準により評価してもらった。その後、得られた各試料の評点の平均値を、更に下記(ロ)4段階判定基準を用いて判定した。
【0039】
(イ)7段階評価基準
(評点): (評価)
6 : 非常に高い
5 : 高い
4 : やや高い
3 : 普通
2 : やや低い
1 : 低い
0 : 非常に低い
(ロ)判定基準
(評点の平均値) :(判定)
5.0以上 : ◎
3.5以上、5.0未満 : ○
1.5以上、3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0040】
表1の結果から明らかなように、本発明品1〜5のヘアコンディショナーは洗い流し後、乾燥させた直後の残香性が高く、また2時間〜12時間経過後にいたるまで香りの持続性があり、優れた効果を有するものであることが実証された。一方、成分(D)の香料成分でなく、25℃で液状のゲラニオール、セドリルメチルエーテル、リリアール、リナロールを各々使用した比較品1〜4は、乾燥直後の残香性は不十分であり、また2時間〜12時間経過後の香りの持続性も良好な結果が得られなかった。
【実施例2】
【0041】
本発明品6〜9および比較品5〜8: ヘアパック
表2に示す組成および下記製法にてヘアパックを調製し、実施例1と同じ方法、評価項目、評価・判定方法の官能試験により各試料の洗い流し後の残香性および香りの持続性について評価、判定を行った。結果を表2に併記する。
【0042】
【表2】

【0043】
注11:ジプロピレングリコール90質量部に、バニリン3質量部、クマリン2質量部、ムスクケトン1質量部、ローズフェノン2質量部、ラズベリーケトン2質量部を各々加え、溶液としたもの。
【0044】
(製法)
A.成分(1)〜(5)および成分(11)〜(13)を75℃にて加熱溶解する。
B.成分(6)〜(8)および成分(15)〜(16)を75℃に加熱する。
C.AにBを添加して均一に乳化混合し、冷却後に成分(9)〜(10)および成分(14)を添加混合する。
D.Cを容器に充填し、ヘアパックを得た。
【0045】
表2の結果から明らかなように、本発明品6〜9のヘアパックは洗い流し後、乾燥させた直後の残香性が高く、また2時間〜12時間経過後にいたるまで香りが持続し、残香性と香りの持続性に優れた効果を有するものであることが実証された。一方、比較品5〜8は各評価項目を満足するものは得られず、成分(C)の構造のアミノ変性シリコーンに替えて、同じくアミノ変性シリコーンではあるが構造が成分(C)と異なる(ビスブチロキシアモジメチコン/PEG−60)コポリマーを配合した比較品5も、各種粘度のジメチルポリシロキサンを配合した比較品6〜8も、乾燥直後の残香性は不十分であり、また2時間〜12時間経過後の香りの持続性も良好な結果が得られなかった。
【実施例3】
【0046】
本発明品10 : ヘアトリートメント(洗い流しタイプ)
下記に示す組成および製法にてインバス用のヘアトリートメントを調製した。
【0047】
(組成)
(成 分) (%)
(1)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.5
(2)塩化ジココイルジメチルアンモニウム 0.5
(3)セトステアリルアルコール 8
(4)ベヘニルアルコール 2
(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
(6)プロピレングリコール 4
(7)ジプロピレングリコール 2
(8)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(9)アミノ変性シリコーン(注1) 2
(10)香料11(注12) 0.05
(11)防腐剤 0.1
(12)精製水 残量
注12:ジプロピレングリコール90質量部に、トナリド(登録商標)10質量部を加え、溶液としたもの。
【0048】
(製法)
A.成分(1)〜(5)および成分(9)を75℃にて加熱溶解する。
B.成分(6)〜(8)および成分(11)〜(12)を75℃に加熱する。
C.AにBを添加して均一に乳化混合し、冷却後に成分(10)を添加混合する。
D.Cを容器に充填し、ヘアトリートメントを得た。
【0049】
本発明品10のヘアトリートメントは洗い流し後、乾燥させた直後の残香性が高く、また2時間〜12時間経過後にいたるまで香りが持続する、残香性と香りの持続性に優れた効果を有するものであった。
【実施例4】
【0050】
本発明品11 : ヘアトリートメント(洗い流しタイプ)
下記に示す組成および製法にてインバス用のヘアトリートメントを調製した。
【0051】
(組成)
(成 分) (%)
(1)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.4
(2)塩化ジココイルジメチルアンモニウム 0.1
(3)セトステアリルアルコール 0.5
(4)ベヘニルアルコール 0.5
(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2
(6)プロピレングリコール 4
(7)ジプロピレングリコール 2
(8)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(9)アミノ変性シリコーン(注1) 2
(10)香料12(注13) 1
(11)防腐剤 0.1
(12)精製水 残量
注13:ジプロピレングリコール90質量部に、メチルアトラレート10質量部を加え、溶液としたもの。
【0052】
(製法)
A.成分(1)〜(5)および成分(9)を75℃にて加熱溶解する。
B.成分(6)〜(8)および成分(11)〜(12)を75℃に加熱する。
C.AにBを添加して均一に乳化混合し、冷却後に成分(10)を添加混合する。
D.Cを容器に充填し、ヘアトリートメントを得た。
【0053】
本発明品11のヘアトリートメントは洗い流し後、乾燥させた直後の残香性が高く、また2時間〜12時間経過後においても香りが持続する、残香性と香りの持続性に優れた効果を有するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)、
(A)カチオン性界面活性剤
(B)飽和一価高級脂肪族アルコール
(C)下記一般式(1)で示されるアミノ変性シリコーン
【化1】

[式(1)中、Rは同一または異なってもよくOH基またはメチル基を示し、pは0〜2000、qは1〜2000、nは1〜5の数を示す。Xは炭素原子数1〜5の炭化水素基を示す。]
(D)25℃の温度において固形状の香料成分
を配合し、洗い流し用であることを特徴とする毛髪用組成物。
【請求項2】
成分(D)がバニリン、クマリン、ムスクケトン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、メチルアトラレートおよびトナリド(登録商標)からなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
毛髪用組成物の全組成中、成分(A)の配合量が0.1〜5質量%、成分(B)の配合量が0.1〜20質量%、成分(C)の配合量が0.1〜5質量%、かつ、成分(D)の配合量が0.0005〜1質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
次の成分(A)〜(D)、
(A)カチオン性界面活性剤
(B)飽和一価高級脂肪族アルコール
(C)下記一般式(1)で示されるアミノ変性シリコーン
【化2】

[式(1)中、Rは同一または異なってもよくOH基またはメチル基を示し、pは0〜2000、qは1〜2000、nは1〜5の数を示す。Xは炭素原子数1〜5の炭化水素基を示す。]
(D)25℃の温度において固形状の香料成分
を配合する毛髪用組成物を毛髪に塗布し、毛髪になじませた後で洗い流すことを特徴とする、毛髪への残香性を高め、香りを長く持続させる方法。
【請求項5】
成分(D)がバニリン、クマリン、ムスクケトン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、メチルアトラレートおよびトナリド(登録商標)からなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項4記載の毛髪への残香性を高め、香りを長く持続させる方法。

【公開番号】特開2009−242298(P2009−242298A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90851(P2008−90851)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】