説明

気泡シールド工事における掘削土処理方法

【課題】気泡シールド工事において発生する掘削土の気泡を環境に負荷をかけることなくかつ効率的に破泡する。
【解決手段】本発明に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法においては、まず、シールドマシン5のチャンバー6から該チャンバーに連通接続されたスクリューコンベア1を介して掘削土を排出し(ステップ101)、次いで、該スクリューコンベアの吐出側に配置されたラインミキサー2に送り込む。次に、ラインミキサー2内に投入された吸水材を掘削土に添加して処理対象土とするとともに(ステップ102)、該処理対象土をラインミキサー2で攪拌混合することにより、吸水材を処理対象土内に均一に分散させる(ステップ103)。次に、吸水処理が終わった土をラインミキサー2の下流側に配置されたベルトコンベヤ4でシールドマシン5の後方へと搬出する(ステップ104)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡シールド工事における掘削土処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉型シールドのうち、土圧式シールド工法は、シールドマシンの先端に設けられたカッターヘッドにより地盤を掘削し、該掘削で生じた土をいったんチャンバー内に取り込んだ後、該チャンバーに連通接続されたスクリューコンベアで後方に排出するとともに、チャンバー内の土圧を適正に保つことでカッターヘッド前方に拡がる切羽の安定を図る工法であり、泥水式シールド工法に比べて小規模な設備で足りることから、都市部における地下トンネル工事等に広く採用されている。
【0003】
特に、気泡シールド工法は、界面活性剤からなる特殊気泡材で形成されたクリーム状の気泡をチャンバー内に注入し、あるいは切羽に向けて噴出させるようになっており、かかる気泡によって掘削土の流動性と止水性を向上させることができる。
【0004】
そのため、チャンバー内での土粒子の付着やスクリューコンベアからの地下水の噴出が防止されることとなり、粘性地盤や砂礫地盤にも土圧式シールド工法を適用することが可能となる。
【0005】
一方、スクリューコンベアを介してチャンバー内から排出された掘削土については、これに消泡剤を添加することにより、該掘削土に含まれる気泡を速やかに消滅させて流動性を元に戻し、残土処理の迅速化を図ることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−348727号公報
【特許文献2】特開平7−47830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、消泡剤は、鉱物油を主成分としたものが一般的であるところ、鉱物油の地下水系への流入や河川あるいは海域への滲出による環境負荷が懸念される。
【0008】
そのため、鉱物油を主成分とした消泡剤が添加された掘削土は、生態系に直接的な影響を及ぼす海洋投棄はもちろん、盛土や埋立土として再利用することも避けなければならず、その結果、産業廃棄物として扱われる場合がある。
【0009】
これに対し、消泡剤を用いずに掘削土内の気泡を自然に消滅させれば、上述した問題は解決されるが、そのためには、掘削土を一定期間静置しておく必要があるところ、大量の掘削土が発生する気泡シールド工事では、残土処理のために広大な処理ヤードの確保が必要となり、都市部における対策としては経済性に欠ける。
【0010】
このように、鉱物油を主成分とした消泡剤を用いれば環境への影響が懸念され、消泡剤を使用しなければ経済性に欠けることとなり、結果として、気泡シールド工法の採用自体を断念しなければならない場合もあり得るという問題を生じていた。
【0011】
加えて、界面活性剤自体、最近では生分解性を有するものが用いられているものの、生分解には時間を要するため、掘削土内の界面活性剤を予め除去することで、地下水系や海域といった環境への負荷を可能な限り低減することが望ましい。特に、界面活性剤の濃度が一時的に高くなることが懸念される場合には、除去の必要性はより高くなる。
【0012】
しかしながら、水中に溶解した界面活性剤については、活性汚泥を利用した生物処理や酸化処理によってこれを除去する技術が実施されているもの、掘削土に混入している場合には、掘削土の含水比をいったん高めることで界面活性剤を水に遊離させた上、その水を集水して上述した生物処理や酸化処理を行った後、掘削土の含水比を別途低下させる必要があるため、処理土量が多い場合には、やはり経済的な負担が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、気泡シールド工事において発生する掘削土の気泡を環境に負荷をかけることなくかつ効率的に破泡することが可能な気泡シールド工事における掘削土処理方法を提供することを目的とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法は請求項1に記載したように、気泡シールド工事においてシールドマシンのチャンバー内から排出された掘削土に吸水材を添加して処理対象土とするとともに、該処理対象土を混合攪拌するものである。
【0015】
また、本発明に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法は、前記吸水材を、高吸水性樹脂、珪藻土、ゼオライト、ボイラー灰、ベントナイト、焼石膏、リサイクル石膏及び活性炭からなる群から選択された一以上の吸水性物質で構成したものである。
【0016】
また、本発明に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法は、前記吸水材を高吸水性樹脂で構成したものである。
【0017】
また、本発明に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法は、前記気泡シールド工事で用いる界面活性剤を生分解可能な物質で構成するものである。
【0018】
本発明に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法においては、気泡シールド工事においてシールドマシンのチャンバー内から排出された掘削土に吸水材を添加して処理対象土とするとともに、該処理対象土を混合攪拌する。処理対象土の混合攪拌は、吸水材を添加しながらでもよいし、吸水材の添加後でもよい。
【0019】
このようにすると、掘削土内の界面活性剤が吸水材によって吸収されるため、該界面活性剤で構成されていた気泡も消泡し、掘削土の流動性は速やかに低下する。
【0020】
そのため、気泡シールド工事で発生する掘削土に対し、搬送や積込みといった残土処理を容易に行うことが可能となる。
【0021】
吸水材は、水溶液の形態(水に添加された状態)で存在する界面活性剤が水とともに吸収され、かつそれに伴って掘削土の流動性を低下させることができるものであればどのような物質でもかまわないが、かかる吸水材を、高吸水性樹脂、珪藻土、ゼオライト、ボイラー灰、ベントナイト、リサイクル石膏及び活性炭からなる群から選択された一以上の吸水性物質で構成したならば、処理対象土の流動性を確実かつ十分に低下させることができる。特に、吸水材を高吸水性樹脂としたならば、わずかな添加量で処理対象土の流動性を大幅に低下させることが可能となる。
【0022】
また、上述の気泡シールド工事で用いる界面活性剤を生分解可能な物質で構成したならば、該界面活性剤は、吸水材に保持されることで溶出が一時的に防止されつつ、その間に生分解作用を受けることで、処理対象土における含有濃度が徐々に低下する。
【0023】
そのため、吸水材の添加量や混合攪拌後の静置時間を適宜設定することにより、処理対象土内の界面活性剤濃度を十分に下げることが可能となり、かくして、処理対象土を海洋投棄した場合や盛土あるいは埋立土として再利用した場合において、界面活性剤の海域への滲出や地下水系への流入を実質的に回避することが可能となる。
【0024】
生分解可能な界面活性剤としては、例えばアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS)を主成分としたものを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法の実施手順を示したフローチャート。
【図2】本実施形態に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法を実施するための処理システムを示した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法の実施手順を示したフローチャート、図2は同処理方法を実施するための処理システムを示した概略図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法においては、まず、シールドマシン5のチャンバー6から該チャンバーに連通接続されたスクリューコンベア1を介して掘削土を排出する(ステップ101)。
【0028】
ここで、シールドマシン5には、生分解性を有する界面活性剤からなる特殊気泡材で形成されたクリーム状の気泡8を切羽に向けて噴出させる気泡供給ライン7を設けてあり、かかる気泡によってチャンバー6内の掘削土の流動性及び止水性が向上する。
【0029】
そのため、チャンバー6内での土粒子の付着やスクリューコンベア1からの地下水の噴出が防止されるが、チャンバー6から排出された掘削土には多くの気泡が含まれているため、そのままでは流動性が高くて残土処理が行いにくい。
【0030】
そのため、本実施形態では、従前の消泡剤に代えて、吸水材を掘削土に添加する(ステップ102)。具体的には、スクリューコンベア1を介してチャンバー6から排出された掘削土を、該スクリューコンベアの吐出側に配置されたラインミキサー2に送り込み、次いで、ラインミキサー2内に投入された吸水材を添加して処理対象土とする。
【0031】
吸水材は、ラインミキサー2に連通接続された吸水材供給ライン3を介して、地上に設置された吸水材貯留タンク(図示せず)から供給するようになっている。かかる吸水材は、高吸水性樹脂、珪藻土、ゼオライト、ボイラー灰、ベントナイト、リサイクル石膏及び活性炭からなる群から選択された一以上の吸水性物質で構成することが可能であり、さらには、わずかな添加量で掘削土の流動性を十分に低下させることが可能な高吸水性樹脂を選択するのが望ましい。
【0032】
なお、生分解性を有する界面活性剤としては、例えば、京浜ソイル株式会社から「OK-1P」の商品名で販売されている特殊起泡剤を用いることが可能である。
【0033】
次に、処理対象土をラインミキサー2で攪拌混合することにより、吸水材を処理対象土内に均一に分散させる(ステップ103)。
【0034】
このようにすると、処理対象土に含まれていた界面活性剤は、水とともに吸水材に吸水されるとともに、それに伴って界面活性剤からなる気泡が消泡し、流動性が低下する。
【0035】
次に、破泡によって流動性が低下した処理対象土をラインミキサー2の下流側に配置されたベルトコンベヤ4でトンネル後方へと搬出する(ステップ104)。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法によれば、掘削土内の界面活性剤が水とともに吸水材に吸収されるため、該界面活性剤で構成されていた気泡も消泡し、掘削土の流動性は速やかに低下する。
【0037】
そのため、気泡シールド工事において、従来使われていた油性の消泡剤を使用せずとも掘削土内の気泡を消泡することが可能となり、かくして気泡シールド工事における掘削土の搬出、積込み、搬送といった残土処理を、環境に影響を与えない状態でかつ作業性を何ら低下させることなく、行うことができるとともに、自然消泡では不可欠であった広大な処理ヤードも当然ながら不要となる。
【0038】
また、本実施形態に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法によれば、吸水材を、高吸水性樹脂、珪藻土、ゼオライト、ボイラー灰、ベントナイト、リサイクル石膏及び活性炭からなる群から選択された一以上の吸水性物質で構成したので、処理対象土の流動性を確実かつ十分に低下させることができるとともに、特に高吸水性樹脂を用いた場合、わずかな添加量で処理対象土の流動性を低下させることが可能となる。
【0039】
また、本実施形態に係る気泡シールド工事における掘削土処理方法によれば、気泡シールド工事で用いる界面活性剤を生分解可能な物質で構成したので、該界面活性剤は、吸水材に保持されることで溶出が一時的に防止されつつ、その間に生分解作用を受けることで、処理対象土における含有濃度が徐々に低下する。
【0040】
そのため、吸水材の添加量や混合攪拌後の静置時間を適宜設定することにより、処理対象土内の界面活性剤濃度を十分に下げることが可能となり、かくして、処理対象土を海洋投棄した場合や盛土あるいは埋立土として再利用した場合において、界面活性剤の海域への滲出や地下水系への流入を実質的に回避することが可能となる。
【0041】
また、活性汚泥を用いた界面活性剤の除去処理方法に比べ、水処理設備が不要になるなど、設備規模を格段に小さくすることも可能となる。
【0042】
本実施形態では、吸水材をスクリューコンベア1の吐出側で掘削土に添加するようにしたが、チャンバー6内の土圧管理に問題がなく、スクリューコンベア1内での閉塞も懸念されないのであれば、チャンバー6から排出された直後、すなわちスクリューコンベア1の上流側で添加するようにしてもかまわない。
【0043】
また、本実施形態では、吸水材の添加及び混合攪拌をシールドマシン5で掘削されたトンネル内で行う例を説明したが、これに代えて、地上に搬出された掘削土に吸水材を添加し混合攪拌するようにしてもかまわない。
【実施例1】
【0044】
表1に示す配合で生成されてなる気泡を40%の注入率で洗い砂1Lに添加し、これを気泡シールド工事の掘削土を模した試験土とした。
【表1】

【0045】
ここで、界面活性剤は、京浜ソイル株式会社から「OK-1P」の商品名で販売されている特殊起泡剤を用いた。「OK-1P」は、生分解性に優れたアニオン系界面活性剤(アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、AOS)を主成分としたものであり、同社から販売されている「OK-1」の粉末タイプである。
【0046】
気泡添加剤は、同じく京浜ソイル株式会社から「OK-3」の商品名で販売されているものを用いた。また、変質防止剤は、気泡添加剤の変質を防止するために添加したものであり、同じく京浜ソイル株式会社から「OK-S」の商品名で販売されているものを用いた。
【0047】
このように製作された試験土に対してスランプ試験を行ったところ、スランプ値は12.4cm〜19.8cmとなった。
【0048】
スランプ値にばらつきがあるのは、吸水材を添加する前や添加後の試験土をスランプコーンに充填するにあたり、充填状況や充填環境(気温、湿度など)が必ずしも同一ではないからと思われるが、本発明における吸水材は、各試験土におけるスランプの絶対値ではなく、吸水材添加前後のスランプ値の変化で評価し得るものであるため、吸水材添加前の試験土においてスランプ値にばらつきがあること自体は何ら問題ではない。
【0049】
次に、上述のように製作された試験土に吸水材を個別に添加し、スランプ値の変化を調べた。試験に供した吸水材は、高吸水性樹脂、珪藻土、ゼオライト、ボイラー灰、ベントナイト、リサイクル石膏、活性炭、キルン灰、焼石膏、スラグ、セピオライト、発泡ガラス、クリーンアッシュの計13種類とした。表2にその結果を示す。
【表2】

【0050】
(a)高吸水性樹脂
京浜ソイル株式会社が「HK−1」の商品名で販売しているアクリル酸重合物を主成分とした高吸水性樹脂を吸水材として用いた。
【0051】
粒径が大きなタイプ(10〜30メッシュ、以下、粗粒タイプ)と粒径が小さなタイプ(30〜100メッシュ、以下、細粒タイプ)の2種類を試験したところ、スランプ値が14.8cmであった試料土は、粗粒タイプでは、試料土1Lあたり2gの添加で9.2cmに低下し、細粒タイプでは、試料土1Lあたり3gの添加で崩壊し、計測できなかった。ここで、スランプコーンから抜く際に崩壊してしまう状況は、試料土の流動性が吸水材の添加によって十分に低下したことを示すものである。
【0052】
(b)珪藻土
株式会社チエから販売されている岐阜県産(8〜100メッシュ)の珪藻土を用いた。
【0053】
添加前のスランプ値が12.4cmであった試料土は、試料土1Lあたり20gの珪藻土を添加することで0.8cm、30gの添加で崩壊し、計測できなかった。
【0054】
(c)ゼオライト
株式会社チエから販売されている天然(1〜3mm)のゼオライトを用いた。
【0055】
添加前のスランプ値が19.8cmであった試料土は、試料土1Lあたり50gのゼオライトを添加することで4cm、60gの添加で0cmにそれぞれ低下した。
【0056】
(d)ボイラー灰
相馬環境サービスから販売されているボイラー灰(2mm以下)を用いた。
【0057】
添加前のスランプ値が17.8cmであった試料土に粒径が2mm以下のボイラー灰を1Lあたり60g添加したところ、スランプ値は0cmに低下した。
【0058】
(e)ベントナイト
ブラックヒル社から販売されているベントナイト(ワイオミング州産、200メッシュ)を用いた。
【0059】
添加前のスランプ値が18.0cmであった試料土に1Lあたり20gと30gのボイラー灰を添加したところ、スランプ値はそれぞれ4.4cmと0cmに低下した。
【0060】
(f)リサイクル石膏
中央環境開発株式会社から販売されている石膏ボードリサイクル品(0.5mm)を用いた。
【0061】
添加前のスランプ値が14.2cmであった試料土に1Lあたり、リサイクル石膏を40g,50g,60g添加したところ、スランプ値は6.8cm,3.4cm,0cmにそれぞれ低下した。
【0062】
(g)活性炭
NPO法人日本炭化研究協会から販売されている活性炭(10〜30メッシュ)を用いた。
【0063】
添加前のスランプ値が18.4cmであった試料土に1Lあたり、活性炭を60g添加したところ、スランプ値は0cmに低下した。
【0064】
(h)キルン灰
添加前のスランプ値が14.0cmであった試料土に粒径が2mm以下のキルン灰を1Lあたり20g〜100g添加したところ、添加量が小さい場合にはスランプ値が当初より大きくなったが、添加量が大きくなるにつれてスランプ値は小さくなり、100g添加した場合にはスランプ値は0cmに低下した。
【0065】
(i)焼石膏
添加前のスランプ値が13.2cmであった試料土に1Lあたり、焼石膏を40g,50g,60g添加したところ、スランプ値はそれぞれ10.4cm,6.8cm,0cmにそれぞれ低下した。但し、やや粘着性が観察された。
【0066】
(j)スラグ
株式会社デイ・シイ川崎工場からの鉱滓(100〜200メッシュ)を用いた。
【0067】
1Lあたり400〜500g添加すれば、スラグ添加前の試料土のスランプ値を十分に低下させることができた。
【0068】
(k)セピオライト
株式会社セピオジャパンから販売されているセピオライト(スペイン産、15〜30メッシュ)を用いた。
【0069】
1Lあたり200g程度添加すれば、セピオライト添加前の試料土のスランプ値を十分に低下させることができた。
【0070】
(l)発泡ガラス
添加前のスランプ値が14.2cmであった試料土に1Lあたり20〜100gの発泡ガラスを添加したが、スランプ値はいずれも20cmを上回り、添加前よりスランプ値が大きくなった。これは、発泡ガラスの粒子形状が球形であるため、流動性がかえって高くなったものと思われる。なお、添加後も気泡は消泡しなかった。
【0071】
(m)クリーンアッシュ
添加前のスランプ値が14.2cmであった試料土にクリーンアッシュを1Lあたり40g,80g添加したところ、いずれも当初のスランプ値を上回った。また、添加後も気泡は消泡しなかった。
【0072】
このように、高吸水性樹脂、珪藻土、ゼオライト、ボイラー灰、ベントナイト、リサイクル石膏及び活性炭を吸水材とした場合、少ない添加量であっても試料土の流動性を十分に低下させることができる。
【0073】
また、粘着性に問題がなければ、焼石膏も本発明の吸水材として使用可能であるし、添加量が多くなっても問題がないのであれば、キルン灰、スラグ、セピオライトも吸水材として使用可能である。
【0074】
それに対し、発泡ガラスやクリーンアッシュは、添加によって流動性が逆に増大するため、本発明の吸水材としては採用が困難である。
【符号の説明】
【0075】
1 スクリューコンベア
2 ラインミキサー
3 活性炭供給ライン
4 ベルトコンベヤ
5 シールドマシン
6 チャンバー
7 気泡供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡シールド工事においてシールドマシンのチャンバー内から排出された掘削土に吸水材を添加して処理対象土とするとともに、該処理対象土を混合攪拌することを特徴とする気泡シールド工事における掘削土処理方法。
【請求項2】
前記吸水材を、高吸水性樹脂、珪藻土、ゼオライト、ボイラー灰、ベントナイト、リサイクル石膏及び活性炭からなる群から選択された一以上の吸水性物質で構成した請求項1記載の気泡シールド工事における掘削土処理方法。
【請求項3】
前記吸水材を高吸水性樹脂で構成した請求項2記載の気泡シールド工事における掘削土処理方法。
【請求項4】
前記気泡シールド工事で用いる界面活性剤を生分解可能な物質で構成する請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の気泡シールド工事における掘削土処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−26116(P2012−26116A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163862(P2010−163862)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(504162800)京浜ソイル株式会社 (7)
【Fターム(参考)】