説明

気泡率測定装置および気泡率測定方法

【課題】 流路内を流れる液体中の気泡率を正確に測定可能な気泡率測定装置および気泡率測定方法を提供する。
【解決手段】 気泡率測定装置200は、油路内を流れるオイル中の気泡率を測定する気泡率測定装置であって、バイパス油路220から流入する液体を受け入れる注射器211のシリンダ211Aと、バイパス油路220とシリンダ211Aとの接続および切断が可能な三方弁213と、シリンダ211A内のオイルの温度を検知する熱電対214とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡率測定装置および気泡率測定方法に関し、特に、流路内を流れる液体中の気泡率を測定する気泡率測定装置および気泡率測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流路内を流れる液体中の気泡率を正確に測定したいという要請がある。
たとえば、油圧式ラッシュアジャスタ油路内を流れるオイルの気泡率が過度に上昇/低減すると、油圧式ラッシュアジャスタの異常挙動が発生する場合がある。したがって、エンジン回転数などのパラメータを変化させながら、繰り返し計測を行なって、気泡率が適切な範囲内にあるかを確認することが望まれる。
【特許文献1】特開平7−63748号公報
【特許文献2】特開平8−62206号公報
【特許文献3】特開2004−301631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
正確な気泡率の測定という観点からは、液体と気泡とを分離して気泡率を測定することが望ましい。しかしながら、油路内を流れる液体中の気泡率を直接測定する場合は、液体と気泡とを分離させることが困難である。
【0004】
なお、特許文献1〜3は、エンジンオイルなどの泡立ち度の評価方法を開示するものである。「泡立ち度」は、エンジンオイルなどの材料特性値であって、流路内を流れる液体中の「気泡率」とは異なる。また、特許文献1〜3では、容器内の液体を積極的に泡立てて該液体中に気泡を発生させており、容器内において液体と該液体に元々含まれる気泡とを分離させる本発明とは前提および構成が全く異なる。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、流路内を流れる液体中の気泡率を正確に測定可能な気泡率測定装置および気泡率測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る気泡率測定装置は、流路内を流れる液体中の気泡率を測定する気泡率測定装置であって、流路から流入する液体を受け入れる容器と、流路と容器との接続および切断が可能なバルブと、容器内の液体の温度を検知する温度検知手段とを備える。
【0007】
上記構成によれば、容器に液体を流入させた後に、バルブを切換えることによって容器と流路とを切断することができる。この結果、容器内で液体と気泡とを分離させることが可能になる。したがって、液体中の気泡率を正確に測定することができる。
【0008】
上記気泡率測定装置は、好ましくは、容器内の圧力を流路内の圧力よりも減じて該容器に流入した液体中の気泡を膨張させる減圧手段をさらに備える。
【0009】
これにより、容器内に流入した液体中の気泡を膨張させて、液体と気泡との分離を促進することができる。
【0010】
上記気泡率測定装置は、好ましくは、容器内に圧力を印加して液体および気泡を流路に戻す押圧手段をさらに備える。
【0011】
これにより、流路内の液体量を変化させずに繰り返しの測定を行なうことができる。したがって、液体量変化によるばらつきの少ない測定が可能になる。
【0012】
上記気泡率測定装置において、好ましくは、容器は、流路に設けられたバイパス流路を介して該流路と接続される。そして、気泡率測定装置は、バイパス流路の入口部と出口部とに圧力調整用バルブをさらに備える。
【0013】
上記構成によれば、バルブを切換えた際に、流路内の液体が急激に容器内に流入することを抑制することができる。
【0014】
本発明に係る気泡率測定方法は、流路内を流れる液体中の気泡率を測定する気泡率測定方法であって、流路に接続された容器に液体を流入させるステップと、容器内で液体と気泡とを分離させるステップと、容器内に流入した液体の体積と、気泡と分離した液体の体積と、気泡の分離前および分離後に測定された液体の温度とに基づいて液体中の気泡率を算出するステップとを備える。
【0015】
上記方法によれば、容器内で液体と気泡とを分離させて気泡率を測定するため、液体中の気泡率を正確に測定することができる。
【0016】
上記気泡率測定方法において、好ましくは、容器内の圧力を流路内の圧力よりも低く設定する。
【0017】
これにより、容器内に流入した液体中の気泡を膨張させて、液体と気泡との分離を促進することができる。
【0018】
上記気泡率測定方法は、好ましくは、容器内で分離した液体および気泡を流路内に戻すステップをさらに備える。
【0019】
これにより、流路内の液体量を変化させずに繰り返しの測定を行なうことができる。したがって、液体量変化によるばらつきの少ない測定が可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流路内を流れる液体中の気泡率を正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に基づく気泡率測定装置および気泡率測定方法の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0022】
図1は、本発明の1つの実施の形態に係る気泡率測定装置が適用されるハイドロラッシュアジャスタが取付けられたシリンダヘッドの断面図である。
【0023】
図1を参照して、ハイドロラッシュアジャスタ100は、シリンダヘッド10に形成された開口10Aに嵌め合わされる。ハイドロラッシュアジャスタ100内はオイル100Lで満たされている。
【0024】
ハイドロラッシュアジャスタ100は、筐体110を有し、ロッカアーム20に接触している。ロッカアーム20はハイドロラッシュアジャスタ100を支点とし、カム30からの力を受けることによりバルブ50を往復運動させる。すなわち、カム30が回転すると、ハイドロラッシュアジャスタ100とロッカアーム20との接触点が支点となり、バルブ50が往復運動する。バルブ50はバルブスプリング40により燃焼室70から遠ざかる方向へ付勢されており、カム30によって押し下げられた後であっても、バルブスプリング40の作用により元の位置に戻る。なお、バルブ50の先端はエキゾーストポート60(およびインレットポート)と燃焼室70との境界近傍に設けられる。
【0025】
図2は、図1中のハイドロラッシュアジャスタを詳細に示す断面図である。図2を参照して、ハイドロラッシュアジャスタ100は、筐体110と、プランジャ120と、棒状部材130と、チェックボール140と、仕切り板150と、ばね160とを含んで構成される。
【0026】
筐体110は、高圧室151と低圧室152とを規定し、低圧室152に連なる開口110Aを有する。また、プランジャ120は、開口110Aに嵌め合わされ、ロッカアーム20に接触する。
【0027】
筐体110は箱型であり、その内部空間に高圧室151および低圧室152が設けられる。なお、図2の例では、筐体110の内部空間は矩形状の領域であるが、これに限定されるものではなく、断面がラウンド形状(丸形状)であってもよい。
【0028】
筐体110の開口110Aには、上下方向に移動可能にプランジャ120が嵌め合わされる。プランジャ120は開口110Aを構成する筐体110の内周壁と摺動可能であり、筐体110の底部110Bに近づく方向と底部110Bから遠ざかる方向とに移動することが可能である。プランジャ120はロッカアームの凹部に嵌合されており、プランジャ120の先端部がロッカアーム20と係合する。
【0029】
プランジャ120には、チェックボール140を押すための棒状部材130が設けられている。棒状部材130の一端はプランジャ120に接触し、他方端はチェックボール140に接触する。棒状部材130が存在することで、矢印DR1方向の圧力をチェックボール140にダイレクトに伝えることが可能である。
【0030】
筐体110の内部空間には、高圧室151と低圧室152とを仕切る仕切り板150が設けられている。仕切り板150には開口150Aが設けられており、開口150Aにより、低圧室152と高圧室151とが連通する。仕切り板150は、逆止弁としてのチェックボール140を受け入れる。チェックボール140は開口150Aを封止し、高圧室151内のオイル100Lが低圧室152内へ流れ込むことを抑制する。
【0031】
チェックボール140には、開口150Aを介して、高圧室151側のオイル100Lが低圧室152側へ流れる方向(矢印DR1方向と反対の方向)の力が加わっている。これに対し、チェックボール140は棒状部材130で抑え付けられているため、チェックボール140はプランジャ120側へ移動しない。したがって、高圧室151側のオイル100Lが低圧室152側へ流れ込むことが抑制される。
【0032】
仕切り板150は上下方向に移動可能に設けられており、これを支持するようにばね160が高圧室151内に配置される。ばね160は仕切り板150と底部110Bとの間に介在し、高圧室151内の体積を変化させる。ばね160は仕切り板150から受けた力を底部110Bに伝達する。
【0033】
ハイドロラッシュアジャスタ100は、オーバーヘッドカムのスイングアーム式のロッカアーム20とバルブ50との隙間を調整する。ハイドロラッシュアジャスタ100には、エンジンオイルにより構成されるオイル100Lが導入されている。ハイドロラッシュアジャスタ100は、その全長を変化させ、ロッカアーム20とバルブ50との隙間を自動調整(隙間をゼロに保持)している。ハイドロラッシュアジャスタ100の動作は、以下のように説明される。
【0034】
エンジンが回転すると、ハイドロラッシュアジャスタ100の周囲の開口10Aから、筐体110に設けられた図示しない孔を介して、オイル100Lが低圧室152へと導入される。このオイル100Lの一部はプランジャ120とロッカアーム20との接触部分を潤滑する。また、高圧室151内の油圧が低下した際は、高圧室151内にオイル100Lが供給される。
【0035】
図3は、カムリフト時を説明するために示すシリンダヘッドの断面図である。図2,図3を参照して、カム30がロッカアーム20を押し下げようとすると、ロッカアーム20はバルブ50とプランジャ120とを同時に押し下げようとする。しかし、プランジャ120を押し下げようとすると、チェックボール140により密閉された高圧室151は高圧になり、プランジャ120は下がらず、ロッカアーム20はロッカアーム20とプランジャ120との接点を支点として動きバルブ50を押し下げる。
【0036】
カム30が回転し、ロッカアーム20を押し下げなくなると、図2で示すように、高圧室151内のばね160がプランジャ120を押し上げる。この結果、カム30とロッカアーム20との間に隙間が生じることが抑制される。
【0037】
図4は、ハイドロラッシュアジャスタ100にオイルを供給する油路の構成を示した図である。図4を参照して、シリンダヘッドには、複数のハイドロラッシュアジャスタ100が設けられており、これらのハイドロラッシュアジャスタ100はラッシュアジャスタ油路90により互いに接続されている。ラッシュアジャスタ油路90は、メイン油路80と接続されている。メイン油路80は、オイルパン81、オイルポンプ82、オイルフィルタ83およびブロック84を接続し、エンジンオイルの主たる流路となる。メイン油路80内のオイルはオイルポンプ82により循環する。メイン油路80とラッシュアジャスタ油路90との境界部分には電磁バルブ(図示せず)が設けられ、メイン油路80とラッシュアジャスタ油路90とを切断および接続することが可能である。メイン油路80は、可変バルブタイミング機構入口85、チェーン86および可変バルブタイミング機構出口87も潤滑する。さらに、カム軸受31もメイン油路80により潤滑される。
【0038】
ところで、メイン油路80およびラッシュアジャスタ油路90内を流れるオイル中には、気泡が含まれている。オイル内に含まれる気泡の割合(気泡率)は、種々のパラメータ(たとえば、オイル粘度、エンジン回転数、オイルの種類、オイルパンの容積、オイルの量)により変化する。具体的には、たとえば、オイルパン81に溜められたオイルをクランクシャフトが掻き揚げるため、エンジン回転数が高くなるほどオイルは泡立ちやすくなり、この泡立ったオイルがメイン油路80およびラッシュアジャスタ油路90に供給される。この結果、メイン油路80およびラッシュアジャスタ油路90を流れるオイルの気泡率が上昇する。
【0039】
一方、ハイドロラッシュアジャスタ100やオイルポンプ82の異常動作を防止したり、上記オイルを用いてベアリングの潤滑を適切に行なう観点から、オイル中の気泡率の最適値および許容値が定められる。具体的には、たとえば、ラッシュアジャスタ油路90を流れるオイルの気泡率が過度に高くなると、ハイドロラッシュアジャスタ100の沈み込みが発生する。したがって、気泡率に影響する上記パラメータを変化させながら、各々の条件ごとに気泡率を測定することは重要である。
【0040】
図4に示す例では、気泡率測定装置200によりラッシュアジャスタ油路90を流れるオイルの気泡率を測定している。図4に示すように、気泡率測定装置200は、測定部210と、バイパス油路220とを有する。バイパス油路220は、ラッシュアジャスタ油路90と測定部210との間を繋ぐ入口側油路221と、測定部210とオイルパン81の上部に位置するクランクケースとの間を繋ぐ出口側油路222とを有する。入口側油路221および出口側油路222には、それぞれ、圧力調整用の二方弁221A,222Aが設けられる。
【0041】
メイン油路80およびラッシュアジャスタ油路90を流れるオイル中の気泡率は、たとえば該油路にコリオリ計を設けることによっても測定可能である。この場合、質量流量計、圧力センサ、温度センサ、容量計量計を用いてオイルの密度を測定し、その密度をオイル初期密度(気泡がない状態の密度)と比較することで、気泡率を算出する。しかしながら、正確な気泡率の測定という観点からは、後述するように、オイルと該オイル中の気泡とを分離させた後に気泡の量を測定することが好ましい。
【0042】
図5は、気泡率測定装置200の構成をさらに詳細に示した図である。図5を参照して、気泡率測定装置200における測定部210は、シリンダ211Aおよびピストン211Bを含む注射器211と、バイパス油路220と注射器211とを接続する接続部212と、バイパス油路220と注射器211との接続および切断を行なう三方弁213と、注射器211に導かれたオイルの温度を検知する温度センサとなる熱電対214と、ストッパ215とを含む。また、バイパス油路220の入口側油路221には、圧力計であるブルドン管221Bが設けられている。
【0043】
以下に、図5に示す気泡率測定装置200を用いた気泡率測定の手順について説明する。
【0044】
測定開始前、三方弁213は、矢印Aの方向に設定され、バイパス油路220には、矢印INの方向からオイルが流れ込み、該オイルは、矢印OUTの方向に流れ出ている。ここで、二方弁221Aを調整して、ブルドン管221Bにより計測される圧力をたとえば0.75kgf/cm2にする。そして、二方弁222Aを調整して、その下流側の圧力を低減する。そして、三方弁213を矢印Aの方向から矢印Bの方向に切換えて、注射器211にオイルを流入させる。上記のように、二方弁221A,222Aを調整しておくことで、三方弁213を切換えたときに、オイルが急激に注射器211に流入したり、バイパス油路220の下流側からオイルが逆流したりすることを抑制することができる。
【0045】
三方弁213を切換えることで、接続部212を介して注射器211のシリンダ211Aにオイルが流入する。注射器211は大気圧下に設けられており、ピストン211Bは、自然にDR2方向に移動する。そして、シリンダ211Aに一定量(V0)(たとえばV0=200cc)のオイルが流入した時点で、三方弁213を再度矢印Aの方向に切換える。これにより、注射器211へのオイルの流入が停止する。
【0046】
注射器211へのオイルの流入を停止させた直後に、熱電対214を矢印DR3の方向に移動させる。熱電対214が注射器211内に挿入されることで、注射器211内のオイルの温度(T0)が検知される。ここで、ストッパ215を設けておくことで、熱電対214の挿入深さを安定させることができる。
【0047】
その後、一定時間(たとえば20分)放置することで、注射器211内のオイルと該オイルに含まれる気泡とが分離する。上述したように、注射器211は、ラッシュアジャスタ油路90内よりも低い圧力下に設けられているため、注射器211に流入したオイル中の気泡は膨張し、気液の分離が促進される。そして、気液分離後のオイルの量(V1)と温度(T1)とを測定する。
【0048】
上述した手順で測定された各値(V0,T0,V1,T1)に基づいて、式(1)によりオイル中の気泡率が算出される。
気泡率=[V0−V1×{1+β(T0−T1)}]/V0×100・・・(1)
β:オイルの線膨張率
その後、ピストン211Bを押圧することで、注射器211内のオイルおよび気泡をバイパス油路220に戻す。これにより、オイル量を変化させることなく再度の測定を行なうことができる。この際、図5に示す状態から注射器211を上下反転させ、ピストン211Bを下から上に押し上げて、オイルよりも気泡を先に戻す方が望ましい。
【0049】
上述した内容について換言すると、以下のようになる。すなわち、本実施の形態に係る気泡率測定装置は、「流路」としてのラッシュアジャスタ油路90内を流れるオイル(液体)中の気泡率を測定する気泡率測定装置であって、ラッシュアジャスタ油路90から流入する液体を受け入れる「容器」としての注射器211のシリンダ211Aと、ラッシュアジャスタ油路90とシリンダ211Aとの接続および切断が可能な「バルブ」としての三方弁213と、シリンダ211A内のオイルの温度を検知する「温度検知手段」としての熱電対214とを備える。
【0050】
上記構成によれば、シリンダ211Aにオイルを流入させた後に、三方弁213を切換えることによってシリンダ211Aとラッシュアジャスタ油路90とを切断することができる。この結果、シリンダ211A内でオイルと気泡とを分離させることが可能になる。したがって、オイル中の気泡率を正確に測定することができる。
【0051】
上記気泡率測定装置において、ピストン211Bは、シリンダ211A内の圧力をラッシュアジャスタ油路90内の圧力よりも減じてシリンダ211Aに流入したオイル中の気泡を膨張させる「減圧手段」として機能するとともに、シリンダ211A内に圧力を印加してオイルおよび気泡をラッシュアジャスタ油路90に戻す「押圧手段」としても機能する。
【0052】
シリンダ211Aに流入したオイル中の気泡を膨張させることで、オイルと気泡との分離を促進することができる。また、シリンダ211A内のオイルおよび気泡をラッシュアジャスタ油路90に戻すことで、油路内のオイル量を変化させずに繰り返しの測定を行なうことができる。したがって、オイル量変化によるばらつきの少ない測定が可能になる。
【0053】
上記気泡率測定装置において、シリンダ211Aは、ラッシュアジャスタ油路90に設けられた「バイパス流路」としてのバイパス油路220を介してラッシュアジャスタ油路90と接続される。バイパス油路220の「入口部」としての入口側油路221と「出口部」としての出口側油路222とに、それぞれ「圧力調整用バルブ」としての二方弁221A,222Aが設けられている。これにより、三方弁213を切換えた際に、ラッシュアジャスタ油路90内の液体が急激にシリンダ211A内に流入することを抑制することができる。また、上記構成によれば、バイパス油路220を長く伸ばすことで、エンジンから離れた測定室内で測定を行なうことも可能である。
【0054】
また、本実施の形態に係る気泡率測定方法は、「流路」としてのラッシュアジャスタ油路90内を流れるオイル(液体)中の気泡率を測定する気泡率測定方法であって、ラッシュアジャスタ油路90に接続されたシリンダ211Aにオイルを流入させるステップと、シリンダ211A内でオイルと気泡とを分離させるステップと、シリンダ211A内に流入したオイルの体積(V0)と、気泡と分離したオイルの体積(V1)と、気泡の分離前および分離後に測定されたオイルの温度(T0,T1)とに基づいてオイル中の気泡率を算出するステップとを備える。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の1つの実施の形態に係る気泡率測定装置が適用されるハイドロラッシュアジャスタが取付けられたシリンダヘッドの断面図である。
【図2】図1中のハイドロラッシュアジャスタを詳細に示す断面図である。
【図3】カムリフト時を説明するために示すシリンダヘッドの断面図である。
【図4】図1〜図3に示されるハイドロラッシュアジャスタにオイルを供給する油路の構成を示した図である。
【図5】本発明の1つの実施の形態に係る気泡率測定装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0057】
1 エンジン、10 シリンダヘッド、10A 開口、20 ロッカーアーム、30 カム、31 カム軸受、40 バルブスプリング、50 バルブ、60 エキゾーストポート、70 燃焼室、80 メイン油路、81 オイルパン、82 オイルポンプ、83 オイルフィルタ、84 ブロック、85 可変バルブタイミング機構入口、86 チェーン、87 可変バルブタイミング機構出口、90 ラッシュアジャスタ油路、100 ハイドロラッシュアジャスタ、100L オイル、110 筐体、110A 開口、110B 底部、120 プランジャ、130 棒状部材、140 チェックボール、150 仕切り板、150A 開口、151 高圧室、152 低圧室、160 ばね、200 気泡率測定装置、210 測定部、211 注射器、211A シリンダ、211B ピストン、212 接続部、213 三方弁、214 熱電対、215 ストッパ、220 バイパス油路、221 入口側油路、221A,222A 二方弁、221B ブルドン管、222 出口側油路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内を流れる液体中の気泡率を測定する気泡率測定装置であって、
前記流路から流入する前記液体を受け入れる容器と、
前記流路と前記容器との接続および切断が可能なバルブと、
前記容器内の前記液体の温度を検知する温度検知手段とを備えた、気泡率測定装置。
【請求項2】
前記容器内の圧力を前記流路内の圧力よりも減じて該容器に流入した液体中の気泡を膨張させる減圧手段をさらに備えた、請求項1に記載の気泡率測定装置。
【請求項3】
前記容器内に圧力を印加して前記液体および前記気泡を前記流路に戻す押圧手段をさらに備えた、請求項1または請求項2に記載の気泡率測定装置。
【請求項4】
前記容器は、前記流路に設けられたバイパス流路を介して該流路と接続され、
前記バイパス流路の入口部と出口部とに圧力調整用バルブをさらに備えた、請求項1から請求項3のいずれかに記載の気泡率測定装置。
【請求項5】
流路内を流れる液体中の気泡率を測定する気泡率測定方法であって、
前記流路に接続された容器に前記液体を流入させるステップと、
前記容器内で前記液体と前記気泡とを分離させるステップと、
前記容器内に流入した前記液体の体積と、前記気泡と分離した前記液体の体積と、前記気泡の分離前および分離後に測定された前記液体の温度とに基づいて前記液体中の気泡率を算出するステップとを備えた、気泡率測定方法。
【請求項6】
前記容器内の圧力を前記流路内の圧力よりも低く設定する、請求項5に記載の気泡率測定方法。
【請求項7】
前記容器内で分離した前記液体および前記気泡を前記流路内に戻すステップをさらに備えた、請求項5または請求項6に記載の気泡率測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−64822(P2007−64822A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252015(P2005−252015)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】