説明

気液溶解タンク

【課題】 混合タンク内の液面が波立つことにより、正確に混合タンク内の水位を検出することができない。
【解決手段】 内部に液体が収容可能なタンク本体11と、タンク本体11の外部から吸い込まれた液体をタンク本体11の内部に設けられた噴出口17からタンク本体11内部に向けて噴出させる噴出ノズル16と、タンク本体11の上部でタンク本体11の内部に収容された液面より上部に設けられた上部配管開口部26と、タンク本体11の下部でタンク本体11の内部に収容された液面より下部に設けられた下部配管開口部27と、上部配管開口部26と下部配管開口部27とを連通させた中空状の迂回配管28と、迂回配管28に設けられた静電容量式液位センサ29と、を備え、静電容量式液位センサ29により、タンク本体11の内部に収容された液面の液位を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路を流れる液体中に気体を加圧溶解させた後に、液槽内の液体中に微細気泡を噴出させる微細気泡発生装置に使用される気液溶解タンクに関し、タンク本体の内部に収容された液面の液位を正確に検出することができる気液溶解タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水に空気取入部の空気を混入させた水を加圧するポンプと、ポンプの吐出水を混合容器の上部に取付けた噴射ノズルから噴射して空気溶解水を発生させ、その空気溶解水を水貯留槽へ供給する気液混合タンクを備えたマイクロバブル発生装置において、混合容器内に噴射ノズルの噴射孔と対向するように噴射ノズルの噴射水が衝突する衝突板を配置させ、そして、該衝突板の上部の上限水位を検出する上限水位センサと該衝突板の上部の下限水位を検出する下限水位センサとが備えられているものがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−190466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のマイクロバブル発生装置に使用される気液混合タンクは、混合容器の上部に取付けた噴射ノズルから噴射させて空気溶解水を発生するようにしているので、混合タンク内の液面が波立つことになり、正確に混合タンク内の水位を検出することができなかった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、気液溶解タンク内の液面の液位を正確に検出することができる気液溶解タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、管路を流れる液体中に気体を加圧溶解させた後に、液槽内の液体中に微細気泡を噴出させる微細気泡発生装置に使用される気液溶解タンクであって、上部に開口部を設け、内部に液体が収容可能なタンク本体と、該タンク本体の外部から吸い込まれた液体をタンク本体の内部に設けられた噴出口からタンク本体内部に向けて噴出させる噴出ノズルと、タンク本体の上部で、タンク本体の内部に収容された液面より上部に設けられた上部配管開口部と、タンク本体の下部で、タンク本体の内部に収容された液面より下部に設けられた下部配管開口部と、上部配管開口部と下部配管開口部とを連通させ中空状の迂回配管と、該迂回配管に設けられた静電容量式液位センサと、を備え、該静電容量式液位センサにより、タンク本体の内部に収容された液面の液位を検出することを特徴とする。
【0007】
タンク本体の外部から吸い込まれた液体をタンク本体の内部に設けられた噴出口からタンク本体内部に向けて噴出させるとタンク本体内の液面が波打つことになるが、本発明によれば、タンク本体の上部でタンク本体の内部に収容された液面より上部に設けられた上部配管開口部と、タンク本体の下部でタンク本体の内部に収容された液面より下部に設けられた下部配管開口部と、上部配管開口部と下部配管開口部とを連通させた中空状の迂回配管と、該迂回配管に設けられた静電容量式液位センサとが備えられているので、タンク本体内の液面が波打つ場合でも、迂回配管内ではその影響を受けることなく、穏やかな液面の状態での液位を検出することができ、タンク本体内の液面の液位を正確に検出することができる。これにより、タンク本体内の液位制御(エア電磁弁の開閉)や呼び水の液位検出や液位の異常検出などを正確にすることができる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る気液溶解タンクであって、静電容量式液位センサは、迂回配管に設置されたセンサ電極と、該センサ電極と接続され、センサ電極を制御するセンサ制御回路と、を有し、該センサ制御回路は、センサ電極と一体構成として設けられたことを特徴とする。
【0009】
静電容量式液位センサのセンサ制御回路とセンサ電極との配線が長い場合には、配線の長さや引き回しにより配線間容量の影響を受けたり、外乱のノイズの影響を受け、正確にタンク本体の液面の液位を検出できない場合があるが、本発明によれば、静電容量式液位センサのセンサ制御回路がセンサ電極と一体構成として設けられているので、センサ電極からセンサ制御回路までの配線をなくすることができ、上述したような配線間容量の影響を受けることがなく、また外乱のノイズの影響も受けにくく、正確にタンク本体の液面の液位を検出することができる。これにより、タンク本体内の液位制御(エア電磁弁の開閉)や呼び水の液位検出や液位の異常検出などを正確にすることができる。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第2の態様に係る気液溶解タンクであって、センサ電極は、上部センサ電極と中部センサ電極と下部センサ電極からなり、上部センサ電極と中部センサ電極と下部センサ電極のそれぞれは、所定の間隔を隔てて設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、センサ電極が上部センサ電極と中部センサ電極と下部センサ電極の3つの電極から構成されているので、タンク本体内の液面の上位液位と下位液位を検出することができる。これにより、タンク本体内の液位が低いときには、静電容量式液位センサにより下位液位を検出し、その下位液位が所定の下位液位レベルになるとタンク本体内に呼び水を補充させ、そして、静電容量式液位センサにより上位液位を検出し、その上位液位が所定の上位液位レベルになると呼び水の補充を停止させることができる。また、タンク本体内の液位が高いときには、静電容量式液位センサにより上位液位を検出し、その上位液位が所定の上位液位レベルになるとエア電磁弁を開いてタンク本体内に空気を補充することができる。このように、タンク本体内の液位を所望の液位にすることができる。
【0012】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第2または第3の態様に係る気液溶解タンクであって、センサ制御回路は、同期検波回路から構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、センサ制御回路が同期検波回路から構成されているので、ノイズの混信に強く、水位を正確に検出することができる。
【0014】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第3の態様に係る気液溶解タンクであって、タンク本体内に空気を補充するためのエア電磁弁を制御する電磁弁制御手段を備え、上部センサ電極と中部センサ電極により、該タンク本体内部の上位液位が検知され、電磁弁制御手段は、タンク本体内部の液位が所定の上位液位レベルになるようにエア電磁弁を開閉制御することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、上部センサ電極と中部センサ電極によりタンク本体内部の上位液位が検知され、電磁弁制御手段はタンク本体内部の液位が所定の上位液位レベルになるようにエア電磁弁を制御するので、上部センサ電極と中部センサ電極により上位液位が検知されることによりエア電磁弁を開いてタンク本体内に空気を補充し、タンク本体内部の上位液位を所望の液位にすることができる。
【0016】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第3または4の態様に係る気液溶解タンクであって、タンク本体に液体を圧送するポンプの運転を停止するポンプ運転停止手段を備え、中部センサ電極と下部センサ電極により、該タンク本体内部の下位液位が検知され、ポンプ運転停止手段は、タンク本体内部の液位が所定の下位液位レベルになったときにポンプの運転を停止することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、中部センサ電極と下部センサ電極によりタンク本体内部の下位液位が検知され、ポンプ運転停止手段はタンク本体内部の液位が所定の下位液位レベルになったときにポンプの運転を停止するので、気液溶解タンク内の液位が異常なときに運転を停止し安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明の気液溶解タンクによれば、気液溶解タンク内の液面の液位を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態における静電容量式液位センサが備えられた気液溶解タンクが使用される微細気泡発生装置の概略構成図である。
【図2】(a) 本発明の一実施形態における微細気泡発生装置に用いられる気液溶解タンクの側面図である。 (b) 同気液溶解タンクの上面図である。 (c) A−A断面を示す図である。 (d) B−B断面を示す図である。
【図3】(a) 本発明の一実施形態における気液溶解タンクに用いられる内部キャップの側面図である。 (b) 同内部キャップの下面図である。 (c) C−C断面を示す図である。
【図4】(a) 本発明の一実施形態における気液溶解タンクに用いられる外部キャップの側面図である。 (b) 同外部キャップの下面図である。 (c) D−D断面を示す図である。
【図5】(a) 本発明の一実施形態における気液溶解タンクに備えられた静電容量式液位センサの側面図である。 (b) 本発明の一実施形態における気液溶解タンクに備えられた静電容量式液位センサの上面図である。
【図6】図5のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の静電容量式液位センサが備えられた気液溶解タンクの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態における静電容量式液位センサが備えられた気液溶解タンクが使用される微細気泡発生装置の概略構成図であり、図2(a)は、本発明の一実施形態における微細気泡発生装置に用いられる気液溶解タンクの側面図であり、図2(b)は、同気液溶解タンクの上面図であり、図2(c)は、A−A断面を示す図であり、図2(d)は、B−B断面を示す図である。
【0021】
図1に示すように、液槽1の液体中に微細気泡発生ノズル3が設置され、液槽1内の液体中に設置された吸込口2には吸込管路4を介して液槽1の外部でポンプ5が連結されている。ポンプ5の吸込口側の吸込管路4には空気などの雰囲気の気体を吸い込む気体吸込口6を有する気体導入管7が配設され、ポンプ5の下流側には気体吸込口6から吸い込んだ気体を液体に溶解する気液溶解タンク8が配設されている。ポンプ5と気液溶解タンク8との間は流入管路9によって連通されている。気液溶解タンク8の下流側に吐出管路10によって液槽1内の液体中に設置の微細気泡発生ノズル3に液体が循環されて、微細気泡発生装置Aが形成されている。気液溶解タンク8の側壁には静電容量式液位センサ29が設けられ、この静電容量式液位センサ29により気液溶解タンク8内の液位を検出することができる。なお、本実施形態では、液槽1内の液体を特に限定していないが、水を用いることが多く、この場合、たとえば、液槽1は水槽と読み替え、静電容量式液位センサ29は静電容量式水位センサと読み替えられ、その他においても「液」を「水」に読み替えて適用するものとする。
【0022】
図2(a)に示すように、気液溶解タンク8は、タンク本体11と、内部キャップ22と、外部キャップ23を有している。ここで、タンク本体11は、上部に開口部24(図2(c)参照)が設けられ、内部に液体を収容し内部で気体を液体に溶解させる容器であり、内部キャップ22は、タンク本体11の上部の開口部24に装着するキャップであり、外部キャップ23は、内部キャップ22の上部で内部キャップ22に装着するキャップである。このように、タンク本体11に内部キャップ22を装着し、そして内部キャップ22に外部キャップ23を装着することにより、タンク本体11の上部が封止される。タンク本体11と内部キャップ22、内部キャップ22と外部キャップ23は、一方に雌螺子、他方に雄螺子を設けて、両者を螺合一体(嵌合一体)に着脱自在に装着されている。なお、本実施形態では、タンク本体11と内部キャップ22、内部キャップ22と外部キャップ23の装着方法(着脱自在)の態様として、一方に雄螺子を設け他方に雌螺子を設けた嵌合一体(螺合一体)について示したが、これに限らず、たとえば、一方の凹部内にゴムを接着し、そこに他方の凸部を圧入するような態様でもよく、着脱自在に取り付けられるものであれば他の装着方法でもよい。また、タンク本体11と内部キャップ22、内部キャップ22と外部キャップ23のそれぞれの結合部は、Oリング14によりシールされている。また、本実施形態では、外部キャップ23を内部キャップ22に装着させてキャップを構成したが、これに限らず、外部キャップ23をタンク本体11に装着させてキャップを構成させてもよく、また、本実施形態では、内部キャップ22をタンク本体11に装着させたが、これに限らず、内部キャップ22を外部キャップ23に装着し、その内部キャップ22が装着された外部キャップ23をタンク本体11に装着してもよい。
【0023】
次に、気液溶解タンク8について詳細に説明する。図2(c)に示すように、内部に液体を収容することができるタンク本体11の側壁12からタンク本体11内には、流入管路9に接続される吸込口15とタンク本体11内の噴出口17とを接続する噴出ノズル16が配管されている。この噴出ノズル16の噴出口17は上方に向けられ、噴出口17は気液溶解タンク8内の液面18より高い位置に配置されている。このようにして、噴出ノズル16によりタンク本体11の外部から吸い込まれた液体をタンク本体11の内部に設けられた噴出口17からタンク本体11の上方に向けて噴出させる。また、タンク本体11には、タンク本体11の外部と連通し、タンク本体11の内部に収容される液面18より下部に位置する吐出口20が設けられている。このように、タンク本体11には噴出ノズル16の噴出口17から液体が流入し、吐出口20からタンク本体11内の液体が吐出される。
【0024】
次に、タンク本体11の側面の迂回配管28に設けられた静電容量式液位センサ29について説明する。図2(d)に示すように、タンク本体11の上部には、タンク本体11の内部の液面より上部に配置された上部配管開口部26が備えられ、タンク本体11の下部には、タンク本体11の内部の液面より下部に配置された下部配管開口部27が設けられている。そして、上部配管開口部26と下部配管開口部27とは、内部が中空状で樹脂製の迂回配管28により連通されている。このようにして、タンク本体11内の液体が下部配管開口部27から迂回配管28に流入される。迂回配管28には、静電容量式液位センサ29が設けられ、静電容量式液位センサ29によりタンク本体11の内部に収容された液面の液位を検出することができる。静電容量式液位センサ29は、タンク本体11内の液位が変化することにより絶縁物である樹脂を挟んで電極と迂回配管28内の液で形成されるコンデンサの対向面積が変化するため、液位の変化を静電容量の変化として検出することができる。このようにして、迂回配管28に設けられた静電容量式液位センサ29により、タンク本体11の内部に収容された液面の液位を検出している。
【0025】
このように、噴出口17から噴出された液体が内部キャップ22の下面で跳ね返る構造であるのでタンク本体11内の液面18に着水するときに液面が波打つことになるが、この静電容量式液位センサ29が備えられている迂回配管28が、タンク本体11の内部の液面より上部に設けられた上部配管開口部26とタンク本体11の内部の液面より下部に設けられた下部配管開口部27に連通して設けられているので、タンク本体11内の液面が波打つ場合でも、迂回配管28内ではその影響を受けることなく、穏やかな液面の状態での液位を検出することができ、タンク本体11内の液面の液位を正確に検出することができる。
【0026】
次に、本発明の微細気泡発生装置に用いられる内部キャップについて説明する。ここで、図3(a)は、本発明の一実施形態における気液溶解タンクに用いられる内部キャップの側面図であり、図3(b)は、同内部キャップの下面図であり、図3(c)は、C−C断面を示す図である。
【0027】
図3に示すように、内部キャップ22は、タンク本体11の開口部24と着脱自在に装着され、噴出ノズル16の噴出口17から噴出された液体が衝突する衝突部21を有している。内部キャップ22の衝突部21には、その下面に下向きの凹凸形状からなる複数の環状のリブ19が下向きに形成されている。この下向きに形成された複数の環状のリブ19の高さは、中央部で低く、周縁に向かって順次高くなって下に伸び、傾斜した凹凸下端面が形成されている。換言すると、環状のリブ19の先端を連ねると中央部から周辺に向って傾斜した面が形成される。さらに、内部キャップ22には、注入開口部25が設けられている。注入開口部25は、呼び水が内部キャップ22に設けられている呼び水挿入口(図示略)から入れられた場合に、内部キャップ22と外部キャップ23の間の呼び水(液体)をタンク本体11に注入するための開口である。なお、本実施形態では、内部キャップ22の衝突部21に下向きの凹凸形状からなる複数の環状のリブ19を設けたが、必ずしも衝突部21に環状のリブ19を設けなければならないというわけでなく、内部キャップ22の衝突部21を凹凸のない面としてもよい。
【0028】
次に、本発明の微細気泡発生装置に用いられる外部キャップについて説明する。ここで、図4(a)は、本発明の一実施形態における気液溶解タンクに用いられる外部キャップの側面図であり、図4(b)は、同外部キャップの下面図であり、図4(c)は、D−D断面を示す図である。
【0029】
図4に示すように、外部キャップ23は、内部キャップ22の上面部との間に空間を形成し、内部キャップ22と着脱自在に装着されている。外部キャップ23は、断面U字形状のコップ状の形状をしている(図4(c)参照)。
【0030】
次に、本発明の気液溶解タンクに備えられた静電容量式液位センサについて、図5および図6を用いて詳細に説明する。ここで、図5(a)は、本発明の一実施形態における気液溶解タンクに備えられた静電容量式液位センサの側面図であり、図5(b)は、本発明の一実施形態における気液溶解タンクに備えられた静電容量式液位センサの上面図であり、図6は、E−E断面図である。
【0031】
図5に示すように、静電容量式液位センサ29は、センサ電極30とセンサ制御回路31とを有している。センサ電極30は、ステンレス製で樹脂製の迂回配管28の外周面に設置され、上部センサ電極32と中部センサ電極33と下部センサ電極34から構成されている。このようにセンサ電極30が迂回配管28の外周面に設置されているので、液体と電極が接触せず、電気的安全性が高い。上部センサ電極32と中部センサ電極33と下部センサ電極34は、それぞれ所定の間隔を隔てて設けられ、上部センサ電極32と中部センサ電極33によりタンク本体11の内部の上位液位を検知することができる。具体的には、タンク本体11内の液位が中部センサ電極33から上部センサ電極32に変化するにつれて電極と液体の対向面積が変化し、その液位の変化が上部センサ電極32と中部センサ電極33の間の静電容量の変化として検出されることによりタンク本体11内の上位液位を検知することができる。また、中部センサ電極33と下部センサ電極34によりタンク本体11内部の下位液位を検知することができる。この検知方法は、上部センサ電極32と中部センサ電極33と同様であり、タンク本体11内の液位が下部センサ電極34から中部センサ電極33に変化するにつれて電極と液体の対向面積が変化し、その液位の変化が下部センサ電極34と中部センサ電極33の間の静電容量の変化として検出されることによりタンク本体11内の下位液位を検知することができる。エア電磁弁(図示略)は、タンク本体11内に空気を補充(供給)するために用いられ、電磁弁制御手段(図示略)により開閉制御が行われる。このように、タンク本体11内の液位が所定の上位液位レベル(エア電磁弁開放レベル)以上になったときに、電磁弁制御手段(図示略)によりエア電磁弁(図示略)が開く制御が行われ、タンク本体11内に空気が補充されてタンク本体11内の液位を下げ、タンク本体11内の液位を所望の液位になるように制御している。また、タンク本体11の液位が所定の下位液位レベル(呼び水補充レベル)以下になったときに、タンク本体11内に呼び水を補充させて、タンク本体11内の液位が所定の下位液位レベル(呼び水補充レベル)以上になるように制御している。具体的には、タンク本体11内の液位が所定の下位液位レベル(呼び水補充レベル)以下になったときに、呼び水補充制御手段(図示略)により呼び水電磁弁(図示略)が開く制御が行われ、タンク本体11の内部キャップ22に設けられている呼び水挿入口(図示略)から呼び水が補充されてタンク本体11内の液位を上げ、タンク本体11内の液位を所望の液位になるように制御している。また、ポンプ運転停止手段37は、ポンプ5の運転を停止するものであり、タンク本体11の液位が所定の下位液位レベル(運転停止レベル)以下になったときにポンプ5の運転を停止させ、微細気泡発生装置Aの安全性を確保している。ここで、呼び水補充液位レベルは運転停止液位レベルより液位が高い液位レベルであり、このエア電磁弁開放液位レベルと運転停止液位レベルと呼び水補充液位レベルは、所定の設定手段(図示略)により設定することができる。また、センサ制御回路31は、センサ電極30を制御するものである。
【0032】
図6に示すように、センサ制御回路31(センサ制御回路基板)は、基板ケースの中に収納され、外乱ノイズ(混信)に強い同期検波回路が採用されている。この同期検波回路は、センサ制御回路31において、送信信号と同じ周波数と位相を持つ基準信号と受信した信号を乗算して、低域通過回路(LPF)で高調波成分を除去され、信号が抽出される。この同期検波回路を用いることにより、ノイズの混信に強く、液位を正確に検出することができる。このセンサ制御回路31は、センサ電極30とボルト38により接続され、センサ電極30と一体的に構成されている。なお、本実施形態では、センサ制御回路31をセンサ電極30とボルト38により一体的に構成させたが、これに限らず、センサ電極30にセンサ制御回路31を溶接することにより一体的に構成させてもよい。また、本実施形態では、センサ制御回路31をセンサ電極30とボルト38により一体的に構成させたが、センサ制御回路31とセンサ電極30とを極短い電線により接続し、一体的に構成させてもよい。このように、センサ制御回路31がセンサ電極30と一体に構成されているので、センサ電極30からセンサ制御回路31までの配線を極力短くでき線間容量の影響も少なくして、また外乱のノイズの影響も受けにくくなり、正確にタンク本体11の液面の液位を検出することができる。これにより、タンク本体11内の液位制御(エア電磁弁の開閉)や呼び水の液位検出や液位の異常検出などを正確に行うことができる。
【0033】
次に、本発明の気液溶解タンクが用いられた微細気泡発生装置の動きについて説明する。
【0034】
ポンプ5の電源がONされると、液槽1内の液体が吸込口2から吸込管路4によってポンプ5へと吸入されるが、そのとき、吸込管路4の途中に設置された気体導入管7の気体吸込口6より気体が吸入されるので、ポンプ5へと吸入された液体は気液混合状態となる。ここで、気体導入管7は、エジェクター機構の構成を用いているので、特別な動力を必要とすることなく自然吸気される。そして、この気液混合状態の液体は、ポンプ5により加圧され、流入管路9を通り気液溶解タンク8へ送液される。
【0035】
気液溶解タンク8では、吸込口15から吸い込まれた気液混合液体が噴出ノズル16の噴出口17から噴出される。この噴出口17から噴出された気液混合液体は、噴出ノズル16の噴出口17に対向する内部キャップ22の衝突部21に衝突する。
【0036】
このように、噴出口17から噴出された液体は、内部キャップ22に設けられた衝突部21に衝突することにより、局所的な気体の高圧部分が気液溶解タンク8内の上部に充満され、この充満された高圧気体は液体へ溶解し易くなっているので、液体への溶解効率を向上させることができる。さらに、本実施形態では、気体の液体への接触面積を大きして溶解効率を上げるために、内部キャップ22の内面に下向きに複数の環状のリブ19が形成されている。これらの各リブ19の高さは、中央部を低く、周縁に向かって順次高くなるように傾斜して設けているので、噴出された気液混合液体が中央部から周縁にかけて設けている各リブ19との間で衝突し、各リブ19間で局所的な高圧部分を作ることができる。これによっても、気体の液体への溶解効率がさらに向上させることができる。また、内部キャップ22の内面の下向きの複数の環状のリブ19により、噴出口17から噴出された液体の衝突面積を大きくすることができ、タンク本体11内の液面17に着水するときの液面17の面積を拡大させることができる。このようにタンク本体11内の液面17に着水するときの面積が満遍なく拡大されることにより、気体と液体の接触面積が大きくなり、気体の液体への溶解効率を向上させることができる。つまり、ポンプ5により加圧された気液混合液体中の気体はタンク本体11の上部に充満しているので、そのタンク本体11上部に充満している気液混合液体中の気体と液体との接触面積を大きくすることにより、気体の液体への溶解効率を向上させることができる。
【0037】
タンク本体11内の液面の液位は、迂回配管28に設けられた静電容量式液位センサ29により検出される。具体的には、静電容量式液位センサ29の上部センサ電極32と中部センサ電極33によりタンク本体11内部の上位液位が検知され、中部センサ電極33と下部センサ電極34によりタンク本体11内部の下位液位が検知される。そして、上部センサ電極32と中部センサ電極33によって検知された液位が所定の上位液位レベル(電磁弁開放レベル)以上だったら、電磁弁制御手段36は、タンク本体11内部の液位が所定の上位液位レベル(電磁弁開放レベル)以下になるようにエア電磁弁35を開放制御し、タンク本体11内に空気を補充してタンク本体11内の液位を下げ所望の液位になるようにしている。本実施形態では、上部センサ電極32と中部センサ電極33によって検知された液位が所定の上位液位レベル(電磁弁開放レベル)以上の場合に、3分間エア電磁弁35を開放し、タンク本体11内に空気を補充してタンク本体11内の液位を下降させる制御を行っている。また、タンク本体11の液位が所定の下位液位レベル(呼び水補充レベル)以下になったときに、タンク本体11内に呼び水を補充して、タンク本体11内の液位を所定の下位液位レベル(呼び水補充レベル)以上の所望の液位になるようにしている。さらに、タンク本体11の液位が上記呼び水補充液位レベル以下の所定の下位液位レベル(運転停止レベル)以下になったときには、ポンプ5の運転を停止し安全性を確保している。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される
【0039】
次に、本発明の変形例について説明する。
【0040】
(1) 本実施形態では、上部センサ電極32と中部センサ電極33によりタンク本体11内部の液位を検知し、その液位が所定の上位液位レベル(エア電磁弁開放レベル)以上になったときに、電磁弁制御手段(図示略)によりエア電磁弁(図示略)が開く制御を行うようにしたが、これに限らず、上部センサ電極32と中部センサ電極33によりタンク本体11内部の液位が上位液位(一定値)になったかを検知し、タンク本体11内部の液位がその上位液位(一定値)になったと検知されたときに、本実施形態と同じように、電磁弁制御手段(図示略)によりエア電磁弁(図示略)が開く制御を行うようにしてもよい。すなわち、変形例(1)では、タンク本体11内部の液位が上位液位(一定値)になったかを検知して、タンク本体11内部の液位が上位液位(一定値)になったときに、タンク本体11内に空気を補充してタンク本体11内の液位を下げ、タンク本体11内の液位を所望の液位になるように制御している。そして上記内容と共に、中部センサ電極33と下部センサ電極34によりタンク本体11の内部の液位を検知し、その液位が所定の下位液位レベル(呼び水補充レベル)以下になったときに、タンク本体11内に呼び水を補充させるように制御したが、これに限らず、中部センサ電極33と下部センサ電極34によりタンク本体11内部の液位が下位液位(一定値)になったかを検知し、その下位液位(一定値)になったと検知されたときに、本実施形態と同じように、呼び水補充制御手段(図示略)により呼び水電磁弁(図示略)が開く制御を行うようにしてもよい。すなわち、変形例(1)では、タンク本体11内部の液位が下位液位(一定値)になったかを検知して、タンク本体11内に呼び水を補充してタンク本体11内の液位を上げ、タンク本体11内の液位を所望の液位になるように制御している。また、本実施形態で説明したような「呼び水補充レベル」と「運転停止レベル」の区分けをなくし、中部センサ電極33と下部センサ電極34によりタンク本体11内部の液位が下位液位(一定値)になったかを検知し、その下位液位(一定値)になったと検知されたときに、呼び水を補充する代わりに、ポンプ運転停止手段37によりポンプ5の運転を停止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 液槽
2 吸込口
3 微細気泡発生ノズル
4 吸込管路
5 ポンプ
6 気体吸込口
7 気体導入管
8 気液溶解タンク
9 流入管路
10 吐出管路
11 タンク本体
12 側壁
14 Oリング
15 吸込口
16 噴出ノズル
17 噴出口
18 液面
19 リブ
20 吐出口
21 衝突部
22 内部キャップ
23 外部キャップ
24 開口部
25 注入開口部
26 上部配管開口部
27 下部配管開口部
28 迂回配管
29 静電容量式液位センサ
30 センサ電極
31 センサ制御回路
32 上部センサ電極
33 中部センサ電極
34 下部センサ電極
35 エア電磁弁
36 電磁弁制御手段
37 ポンプ運転停止手段
38 ボルト
A 微細気泡発生装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路を流れる液体中に気体を加圧溶解させた後に、液槽内の液体中に微細気泡を噴出させる微細気泡発生装置に使用される気液溶解タンクであって、
上部に開口部を設け、内部に液体が収容可能なタンク本体と、
該タンク本体の外部から吸い込まれた液体を前記タンク本体の内部に設けられた噴出口から前記タンク本体内部に向けて噴出させる噴出ノズルと、
前記タンク本体の上部で、前記タンク本体の内部に収容された液面より上部に設けられた上部配管開口部と、
前記タンク本体の下部で、前記タンク本体の内部に収容された液面より下部に設けられた下部配管開口部と、
前記上部配管開口部と前記下部配管開口部とを連通させた中空状の迂回配管と、
該迂回配管に設けられた静電容量式液位センサと、を備え、
該静電容量式液位センサにより、前記タンク本体の内部に収容された液面の液位を検出することを特徴とする気液溶解タンク。
【請求項2】
前記静電容量式液位センサは、
前記迂回配管に設置されたセンサ電極と、
該センサ電極と接続され、前記センサ電極を制御するセンサ制御回路と、を有し、
該センサ制御回路は、前記センサ電極と一体構成として設けられたことを特徴とする請求項1記載の気液溶解タンク。
【請求項3】
前記センサ電極は、
上部センサ電極と中部センサ電極と下部センサ電極からなり、
前記上部センサ電極と前記中部センサ電極と前記下部センサ電極のそれぞれは、所定の間隔を隔てて設けられていることを特徴とする請求項2記載の気液溶解タンク。
【請求項4】
前記センサ制御回路は、同期検波回路から構成されていることを特徴とする請求項2または3記載の気液溶解タンク。
【請求項5】
タンク本体内に空気を補充するためのエア電磁弁を制御する電磁弁制御手段を備え、
前記上部センサ電極と前記中部センサ電極により、該タンク本体内部の上位液位が検知され、
前記電磁弁制御手段は、前記タンク本体内部の液位が所定の上位液位レベルになるように前記エア電磁弁を制御することを特徴とする請求項3記載の気液溶解タンク。
【請求項6】
前記タンク本体に液体を圧送するポンプの運転を停止するポンプ運転停止手段を備え、
前記中部センサ電極と前記下部センサ電極により、該タンク本体内部の下位液位が検知され、
前記ポンプ運転停止手段は、前記タンク本体内部の液位が所定の下位液位レベルになったときに前記ポンプの運転を停止することを特徴とする請求項3または5記載の気液溶解タンク。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−125688(P2012−125688A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278877(P2010−278877)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000176383)三相電機株式会社 (16)
【Fターム(参考)】