説明

水中潜水器具用弁機構

【課題】余剰水が潜水器具内部から排除されることを可能とする。
【解決手段】水中潜水器具用の弁機構42は、管状体と可撓性を有する弁56とを含む。管状体は、口鼻マスク34に動作可能に接続され、連通用の側方開口50を備えている。可撓性を有する弁56は、管状体の一端に装着され、通常動作状態においては側方開口50を閉鎖し、緊急動作状態においては側方開口50を連通させる。閉鎖された側方開口50は、通常動作状態において、口鼻マスク34から排ガスが漏れて潜水器具内部を汚染することを防止する。連通した側方開口50は、緊急動作状態において、代替源46からの空気が、口鼻マスク34によって覆われたユーザの口と鼻とに送達されることを可能とする。連通した側方開口50は、余剰水が潜水器具内部から排除されることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明発明は水中潜水器具用の弁機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水中潜水器具は、ホースを介して自給式水中呼吸装置(SCUBA)の空気タンクに接続され、または水面から空気を供給する空気供給ホースに接続された呼吸レギュレータを含んでいる。水中潜水器具は、フルフェイスマスク、潜水ヘルメット、SCUBA、その他を含む様々な構成に発展している。多種多様な水中潜水ヘルメットおよびフルフェイスマスクが永年に渡って使用されている。当初、潜水ヘルメットは、観察窓を備え、水面からダイバーに空気を供給する空気供給ホースが接続された、バケツを逆さにしたような基本的構成をしていた。時の経過とともに、これらヘルメットはより進歩し、潜水を良く理解するための物理学的対象となった。
【0003】
近年の潜水ヘルメットは、ドライスーツに接続可能であることや、水を排除してヘルメット内部を略いつでもドライに保つためにネックダムを包含すること等、特徴において様々な方向に改良されている。2〜3例を挙げると、新しい呼吸機構は、緊急用または代替用空気源を含むように設計され、電子通信が付設されている。
【0004】
より古い潜水ヘルメット(一般に”重装備”として知られる)の1問題点は、ダイバーによって吐き出されるCO2がヘルメット内で増加してダイバーに潜在的な危険状態を引き起こすことである。空気の消費は別の懸念である。これら”重装備”な潜水ヘルメットは、基本的にフリーフローヘルメットであり、すなわち、空気が絶えずヘルメットに流れ、CO2をヘルメットから排出する。このようなタイプのヘルメットでは、非常に高い空気流量が必要とされ、安全なCO2レベルを維持するために多量の空気を消費する。
【0005】
近年の潜水ヘルメットまたはフルフェイスマスクでは、一般に口鼻マスク(oral nasal mask)として知られるマスクを使用することにより、これらの問題が解消されている。口鼻マスクは、潜水ヘルメットまたはフルフェイスマスク内部に装備され、ダイバーの鼻と口とを覆ってダイバーの顔に対して密閉する比較的小さなゴム製マスクである。口鼻マスクの目的は、ヘルメットまたはフルフェイスマスクから出る排ガスの流れを作って、ヘルメットまたはフルフェイスマスク内のCO2レベルを最小限に維持することである。
【0006】
今日では、空気を節約するために、ほとんどの潜水ヘルメットまたはフルフェイスマスクはデマンドタイプと呼ばれるレギュレータを使用している。これはSCUBAダイビングレギュレータに似た呼吸レギュレータであり、潜水ヘルメットまたはフルフェイスマスクに装着可能である。デマンドタイプのレギュレータは、呼吸ごとに内側に倒れるゴム製のダイアフラムを有しており、このダイアフラムは要求によってダイバーに空気を供給する小さな弁を開弁する。この小さな弁は、ダイバーが呼気しているときまたは呼吸を止めているときに、弁を閉めるように設計されており、ダイバーによって消費される空気量を節約する。
【0007】
口鼻マスク自体が進化を遂げている。口鼻マスクが最初に使用されたとき、多くのマスクはマスクの底部領域に1つまたは2つ以上の開口を有しており、これがヘルメットまたはフルフェイスマスクに浸入した水を口鼻マスク内部へ通過させ、最終的に呼吸レギュレータの排出口からこの水を排出していた。これに関して、図1は、ユーザ14の口と鼻とを覆う従来の口鼻マスク12の底部領域の開口10を図示している。口鼻マスク12は潜水ヘルメット16内に配置され、呼吸レギュレータ18に動作可能に接続されている。ヘルメット水は開口10および呼吸レギュレータ18の排出口を介して排出される。ヘルメット水は、ヘルメットの底部分に貯留した余剰水である。このような開口を提供することは、口鼻マスクの底部に残存する水が少量の場合にのみ有効であることは、後になって分かった。この残存した水は、排ガスが開口を介して口鼻マスクから抜けることを妨げ、呼気の間に潜水ヘルメット内部を汚染する。
【0008】
現在最も一般的に使用されている他の口鼻マスクの構成は、口鼻マスクの上部に装備されたゴム製のきのこ型弁を有するものである。きのこ弁は、きのこの形状に似たダイアフラムを有する一方向弁である。口鼻マスクの上部にあるきのこ弁は、空気がヘルメット内部から口鼻マスク内部へ流入できるような方向に配置されている。口鼻マスク22の上部内に配置されたゴム製のきのこ弁20の例を、図2に図示す。口鼻マスク22はユーザ24の口と鼻とを覆っている。口鼻マスク22は、潜水ヘルメット26内に配置され、呼吸レギュレータ28に動作可能に接続されている。ヘルメット水は、呼吸レギュレータ28の排出口をバイパスする追加のゴム製のきのこ弁30を介して排出される。ゴム製のきのこ弁30は潜水ヘルメット26(図2)の下位部に備わっている。ヘルメット水は、図2の水排出経路32の矢印で示されるように、きのこ弁30を介して周囲の水に直接排出される。
【0009】
ほとんどのヘルメットおよびフルフェイスマスクには現在、緊急用または代替用の空気源が備えられており、この空気源は通常ダイバーによって制御され、ヘルメットまたはフルフェイスマスクの一方の側部またはダイバーのハーネスに装着された弁を作動させる。適切に使用された場合、例えば図1,図2を参照するように、代替空気はヘルメットまたはフルフェイスマスクの側部に流入する。例えば図2では、潜水ヘルメット26内の代替空気はゴム製のきのこ弁20を介して口鼻マスク22に流入する。流入した潜水ヘルメット26内の代替空気は、潜水ヘルメット26内部に貯留した余剰水を、きのこ弁30を介して周囲の水へと排出する(図2)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示する最良の実施形態は、概して水中潜水器具用の弁機構である。
【0011】
本発明の一実施態様によれば、弁機構は、連通用の複数の側方開口を備えた管状体を含んでいる。管状体は、潜水器具の一部である口鼻マスクに動作可能に接続されている。また弁機構は、管状体の一端に装着されるように構成された可撓性を有する弁を含んでいる。
【0012】
装着された可撓性を有する弁は、通常動作状態において管状体の中空内部から側方開口を閉鎖し、緊急動作状態において側方開口を連通させるようになっている。通常動作状態において、閉鎖された側方開口は、排ガスが口鼻マスクから抜けて潜水器具の内部を汚染することを妨げる。緊急動作状態において、連通した側方開口は、潜水器具内の空気が口鼻マスクによって覆われたユーザの口と鼻とに送達されることを可能とする。潜水基器具に貯留した余剰水は、連通した側方開口を介して外部へ排出される。
【0013】
本発明の他の実施態様によれば、弁機構は、連通用の環状配列された内側開口を備えたリング状体を含む。リング状体は、口鼻マスクと呼吸レギュレータとの間に動作可能に接続されている。口鼻マスクおよび呼吸レギュレータは、潜水器具の一部である。また弁機構は、リング状体内に装着するように構成された可撓性を有する弁を含む。
【0014】
装着された可撓性を有する弁は、通常動作状態において環状配列された内側開口を閉鎖し、緊急動作状態において環状配列された内側開口を連通させるようにされている。通常運転状態において、閉鎖された内側開口は、排ガスが口鼻マスクから抜けて潜水器具の開部を汚染することを妨げる。緊急動作状態において、されされた内側開口は、潜水器具内の空気が口鼻マスクによって覆われたユーザの口と鼻とに送達されることを可能とする。潜水器具内に貯留した余剰水は、連通した内側開口を介して外部へ排出される。
【0015】
本発明の更に他の実施態様によれば、弁機構は、口鼻マスクと呼吸レギュレータとの間に動作可能に接続された管状弁組立体を含む。口鼻マスクおよび呼吸レギュレータは、潜水器具の一部である。また弁機構は、通常動作状態において潜水器具内の排ガスレベルを制御する手段と、緊急動作状態において呼吸ガスの代替源をユーザに提供する手段とを含む。弁機構は、呼吸ガスの代替源がユーザによって作動されているときに、潜水器具に貯留した余剰水を排除する手段を更に含む。
【0016】
本発明の更に異なる実施態様によれば、弁機構は、口鼻マスクと呼吸レギュレータとの間に動作可能に統合されたリング状弁組立体を含む。口鼻マスクおよび呼吸レギュレータは、潜水器具の一部である。弁機構は、通常動作状態において潜水器具内の排ガスレベルを制御する手段と、緊急動作状態において呼吸ガスの代替源をユーザに提供する手段とを含む。また弁機構は、呼吸ガスの代替源がユーザによって作動されているときに、潜水器具に貯留した余剰水を排除する手段を含む。
【0017】
本発明のこれら実施態様およびその他の実施態様は、付属の図面および後続する本発明の発明をするための最良の形態を参照することにより明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
付属の図面に関連して以下に示す詳細な説明は、最良の実施形態の説明を意図するものであって、最良の実施形態が構成され、あるいは利用される形状のみを表すことを意図するものではない。以下の説明は、機能と、図示した実施形態に関連して最良の実施形態を構成し、実施する連続的過程とを説明するものである。しかしながら、同等または均等な機能および順序が異なる実施形態によって実施されてもよく、これらが本発明の思想および範囲に包含されることも理解されよう。
【0019】
図3〜図13全般に示されるように、本発明のある実施形態を、水中潜水ヘルメットまたはフルフェイスマスクに適用した弁機構に関して詳細に記す。本発明の追加実施形態、特徴および効果は、後続の説明から明らかになり、あるいは本発明を実施することによって理解されよう。図面においては、縮尺は統制されたものではなく、図および説明を通して、同じ特徴のものには同じ数字を付している。
【0020】
図3は、潜水ヘルメット36内に配置され、デマンドタイプの呼吸レギュレータ38に動作可能に接続された口鼻マスク34の断面図である。口鼻マスク34は、ユーザ40の口と鼻とを覆うように構成されている。口鼻マスク34は、天然ゴムおよび/または合成ゴムのような弾性材料でできている。口鼻マスク34は、マイクロホンを装着するようにされた側部開口35(図6)を含み、標準的呼吸レギュレータマウント用ナット37(図6)を収容するようにされた前方開口39(図6)を含む。
【0021】
呼吸レギュレータ38(図3〜図5)は、ナット37を介して一端が口鼻マスク34へ装着するようにされたレギュレータハウジング41(図6)を含む。レギュレータハウジング41は、ゴム製のきのこ弁44(図3〜図6)を受容するようにされており、きのこ弁44は、ユーザ40からの排ガスが呼吸レギュレータ38から排出されるように方向付けられており、主排ガス経路43(図3,図4)を画定している。レギュレータハウジング41は、標準的ダイアフラム45(図6)も受容するようにされている。
【0022】
ヘルメット水は、主排ガス経路43をバイパスする、弁機構42(図3〜図8)ときのこ弁47(図3〜図6)とを介して排出される。水排出経路は、図3および図5において余剰水排出経路49の矢印によって概略的に示されている。きのこ弁47は、弁機構42より下流側へ装着されており、ヘルメット水および排ガスが潜水ヘルメット36から周囲の水(図3)へ排出される向きにされている。補助排ガス経路51(図3,図4)は、弁機構42ときのこ弁47とによって画定されている。
【0023】
本発明の最良の実施形態によると、弁機構42(図3〜図8)は、金属、プラスチック等のような剛体材料から作られた概ね管状を呈する管状体48(図6)により構成される。剛体の管状体48は複数の側方開口50(図6〜図8)を備えており、これらは、緊急動作およびヘルメット水排出動作の間、ポート(代替源)46(図3,図5,図6)からの空気が(口鼻マスク34によって覆われた)ユーザの口と鼻とに送達され得るようにされている。
【0024】
管状体48は前方端部52(図6)に、可撓性を有する弁56(図6)を装着するようにされた環状且つ外側へ突出するリップ54(図6)を備えている。ここで、”外側へ突出する”とは、一般的に剛体の管状体48の中空内部から突設されたものと定義される。剛体の管状体48はまた、外側へ突出するリップ54(図6)と側方開口50(図6〜図8)との間に配置される環状溝55(図6〜図8)を備えている。環状溝55は、環状溝55に適合するようにその底部57で開口する口鼻マスク34に装着するとともにこれを密閉するために使用される。
【0025】
管状体48は、後方端部53に、潜水ヘルメット36の内面に装着するようにされた一体型環状フランジ62(図6〜図8)を備えている。一実施形態では、一体型環状フランジ62は、ねじが切られ、フルフェイスマスクシェルのヘルメットの内表面に密閉される。本発明の範囲および思想から逸脱しないものであれば、ヘルメットまたはフルフェイスマスクシェルに管状体48を装着するために他の手段を用いてもよい。
【0026】
可撓性を有する弁56は、剛体の管状体48の外側へ突出するリップ54(図6)に確実に装着するように構成された環状上部58(図6〜図8)を有する。可撓性を有する弁56はまた、管状体48の内表面に対して適合し、且つ密閉するように構成され、内側から側方開口50(図6〜図8)を完全に覆う管状体60(図6〜図8)を有する。弁である管状体60は、図6〜図8に概して示すように、環状上部58の下方に配置される。可撓性を有する弁56は、弾天然ゴムおよび/または合成ゴムのような弾性材料でできていてよい。本発明の一般的原理によれば、弾性材料は弁としての使用に適している。本発明の目的から外れない限り、他の弁材またはこのような材料の組み合わせを用いてもよい。
【0027】
通常動作状態では、ユーザ40は、呼吸レギュレータ38(図3)を介して主空気供給源から吸気し、可撓性を有する弁56が閉弁されることにより、ユーザ40から排気されるCO2ガスが口鼻マスク34から抜け、潜水ヘルメット36内部を汚染することが防止されている。弾性の管状体60が内側から側方開口50を完全に覆って(閉鎖して)いるとき、可撓性を有する弁56は閉弁状態にある。
【0028】
排出されたCO2ガスは、主排ガス経路43(図3,図4)を介するばかりでなく、剛体の管状体48(図6)ときのこ弁47(図3〜図6)とを通るCO2ガスの経路を含む補助排ガス経路51(図3,図4)をも介して口鼻マスク34から排出される。閉弁状態にある可撓性を有する弁56では、剛体の管状体48(図6)の中空内部を通過する、口鼻マスク34からの排出CO2が、図4および図7に概して示すように、弾性弁である管状体60によって内側を完全に覆われた(閉鎖された)側方開口50を介して、潜水ヘルメット36内部に入ることが防止されている。
【0029】
通常動作状態において、排出CO2のための2つの(主および補助)排ガス経路があることによって、ユーザ40の呼吸の排出労力が低減され、呼吸抵抗が下がっている。当業者であれば、2つの(主および補助)排ガス経路が1つの共通の排ガス経路とみなされ、この場合、補助部分は主排ガス経路の拡張に有効に寄与することが理解されよう。
【0030】
緊急動作およびヘルメット水排出動作の場合、ユーザ40は、代替空気供給源から空気を得ることができる。代替空気は、ポート(代替源)46(図3,図5,図6)を介して潜水ヘルメット36に流入する。これに関連して潜水ヘルメット36内部の圧力が高まるため、流入した代替空気は可撓性を有する弁56を開弁する。特に、弾性弁である管状体60は、図5に概して示すように、側方開口50から離れて(剛体の管状体48の中空内部において)内側へ曲げられ、弁である管状体60を連通状態とさせる。潜水ヘルメット36からの代替空気は、連通した側方開口50(図8)を介して口鼻マスク34に流入し、ユーザ40に緊急空気供給経路59(図5)を提供する。流入する代替空気に起因して圧力が高まった潜水ヘルメット36内部はまた、余剰水排出経路49(図5)の矢印で概示するように、連通した側方開口50を介してヘルメット水を外部へ(周囲の水へ)排出する。
【0031】
本発明の他の実施形態によると、(呼吸レギュレータマウントナット/弁)一体型弁機構70は、概ねリング状を呈するリング状体78(図11〜図13)に動作可能に接続された可撓性を有する弁72を含む。可撓性を有する弁72は、平ワッシャ状体(図11〜図13)から立ち上がる管状部材76を含む。可撓性を有する弁72は、天然ゴムおよび/または合成ゴムのような弾性材料でできている。本発明の一般的原理によれば、弾性材料は弁としての使用に適している。
【0032】
リング状体78(図11〜図13)は、金属、プラスチック等のような剛体材料から作られている。リング状体78は、図11に概して示すように、後方端部80が口鼻マスク79に動作可能に装着するように構成されている。リング状体78は更に、前方端部82が、潜水ヘルメット87(図9〜図11)上に適切に構成された開口85を介してレギュレータハウジング84(図11)に装着するように構成されている。レギュレータハウジング84は、きのこ弁86(図9〜図11)と標準的ダイアフラム88(図11)とを受容する。
【0033】
図11〜図13を参照して概略的に示されるように、リング状体78は、前方端部82に対して内側に入った内側環状リップ90を備えており、そして、環状配列された複数の内側開口92は、内側環状リップ90とリング状体78の外側管状壁表面との間に配置されている。内側開口92は、緊急動作およびヘルメット水排出動作状態において、代替空気源からの空気が(口鼻マスク79によって覆われた)ユーザの口と鼻とに送達され得るようにされている。
【0034】
内側環状リップ90は、図12,図13に概して示すように、可撓性を有する弁72の弾性の管状部材76を受容し、確実に保持するように構成されている。(可撓性を有する弁72の)平ワッシャ状体74は、管状部材76が内側環状リップ90に確実に装着されたときに、内側開口92を完全に覆う(閉鎖する)ように構成されている。剛体のリング状体78はまた、内側開口92の底面への通路を提供する環状スロット77(図9,図10)を備えている。環状スロット77は、剛体のリング状体78の後方端部80(図11)に隣接して配置されている。
【0035】
通常動作状態において、ユーザ100は、呼吸レギュレータ102(図9)を介して主空気供給源から吸気する。呼吸レギュレータ102は、関連するきのこ弁86(図9〜図11)を備えたレギュレータハウジング84(図11)を含む。この場合、(呼吸レギュレータマウントナット/弁)一体型弁機構70の可撓性を有する弁72は、ユーザ100から排気されるCO2ガスが口鼻マスク79から抜けて潜水ヘルメット87内部を汚染することを防止するために閉じている。可撓性を有する弁72は、図12に概して示すように、その平ワッシャ状体74が内側開口92を覆って(閉鎖して)いるとき、閉弁状態にある。
【0036】
排出CO2ガスは、レギュレータの排ガス経路104(図9)を介して口鼻マスク79から排出される。排ガス経路104は、(呼吸レギュレータマウントナット/弁)一体型弁機構70のリング状体78の中空内部と、関連するきのこ弁86とを通る通路を含む。可撓性を有する弁72が閉弁状態にあると、口鼻マスク79からリング状体78を通って通過する排出CO2ガスは、その平ワッシャ状体74(図12)によって完全に覆われる(閉鎖される)内側開口92を介して潜水ヘルメット87内部に入ることが防止される。
【0037】
緊急動作およびヘルメット水排出動作の場合、ユーザ100は代替空気供給源からの空気を得る。代替空気は、ポート(代替源)106(図10,図11)を介して潜水ヘルメット87に流入する。これに関連して潜水ヘルメット87内部の圧力が高まるために、流入した代替空気は弾性の可撓性を有する弁72を開弁する。詳しくは、図13に概して示すように、平ワッシャ状体74が内側開口92から離れるように屈曲され、内側開口92が流体の流通に供される。潜水ヘルメット87内部からの代替空気は、図10に概して示すように、環状スロット77と連通した内側開口92とを介して口鼻マスク79に流入し、緊急空気供給経路108をユーザ100に提供する。流入する代替空気によって圧力が上昇した潜水ヘルメット87内部はまた、余剰水排出経路110(図10)の矢印によって概示されるように、環状スロット77、連通した内側開口92および、きのこ弁86を介してヘルメット水を排出する。
【0038】
(呼吸レギュレータマウントナット/弁)一体型弁機構70(図9〜図13)は、同様の機能を有する一方で、上に概説し図3〜図8に概示したタイプの弁機構を構成するのに必要な構成部品の数を有効に削減する。
【0039】
当業者であれば、様々な実施形態における本発明の弁機構が、フルフェイスマスク、SCUBAダイビング器具等への使用に適用できることを容易に理解されるであろう。本発明が適用される潜水器具は、空気供給ホースを介して水面から供給される呼吸ガスを受けるものでもよい。本発明の弁機構は、本発明の目的および範囲から逸脱しない限り、他の手段、他の適切な構成部品、他の材料のいずれか、あるいはこれらの組み合わせにより構成されてもよい。
【0040】
ここに説明した最良の実施形態は、単に本発明の一般的原理の説明である。発明の範囲内において様々な設計変更がなされてもよい。このように、限定を意図することなく例示したことにより、発明の開示に則った代替的構成が可能である。従って、図面および明細書は本発明の例示であって限定を意図するものではない。
【0041】
更に、全ての要素は、文脈に矛盾のないように最も広い意味として解釈されるべきである。特に、”含む”と”含んでいる”という語は、包括的な意味で、要素、構成部品、または過程として解釈されるべきであり、関連する要素、構成部品、または過程が存在し、または利用され、あるいは明示的に言及しない他の要素、構成部品または過程と組み合わされことを示している。このように本発明は、そのような実施形態およびバリエーションが特許請求の範囲およびその均等の範囲内にある限り、全ての実施形態およびバリエーションを含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】従来の(潜水ヘルメットに使用された)口鼻マスクの断面概略図であり、潜水ヘルメット内の空気/排ガスの経路と潜水ヘルメットから排除される水の経路とを示している。
【図2】従来の他の(潜水ヘルメットに使用された)口鼻マスクの断面概略図であり、潜水ヘルメット内の空気/排ガスの経路と潜水ヘルメットから排除される水の経路とを示している。
【図3】本発明の最良の実施形態により構成された弁機構を介して排ガスおよびヘルメット水の経路を示しており、潜水ヘルメット内に配置され、呼吸レギュレータに動作可能に接続された口鼻マスクの断面概略図である。
【図4】通常動作状態における図3の弁機構の概略図である。
【図5】緊急動作およびヘルメット水排出動作状態における、図3の弁機構の概略図である。
【図6】関連する呼吸レギュレータ要素を備えた図3の弁機構の分解斜視図である。
【図7】閉弁状態にある図6の弁機構の斜視図である。
【図8】部分的に開弁状態にある図6の弁機構の斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態により構成された(レギュレータマウントナット/弁)一体型弁機構を介して、通常動作状態における排ガスおよびヘルメット水の経路を示しており、潜水ヘルメット内に配置され、呼吸レギュレータに動作可能に接続された口鼻マスクの断面概略図である。
【図10】緊急動作およびヘルメット水排出動作状態における図9の(レギュレータマウントナット/弁)一体型弁機構の概略図である。
【図11】関連する呼吸レギュレータ要素を備えた図9の(レギュレータ装着ナット/弁)一体型弁機構の分解斜視図である。
【図12】閉弁状態にある図11の弁機構の斜視図である。
【図13】部分的に開弁状態にある図11の弁機構の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
34,79 口鼻マスク
36,87 潜水ヘルメット
38,102 呼吸レギュレータ
40,100 ユーザ
41,84 レギュレータハウジング
42 弁機構
43 主排ガス経路
44 きのこ弁(第1の一方向弁)
45,88 標準的ダイアフラム
47 きのこ弁(第2の一方向弁)
48,60 管状体
49,110 余剰水排出経路
50 側方開口
51 補助排ガス経路
56,72 可撓性を有する弁
59,108 緊急空気供給経路
62 一体型環状フランジ
70 (呼吸レギュレータマウントナット/弁)一体型弁機構
74 平ワッシャ状体
76 管状部材
77 環状スロット
78 リング状体
86 きのこ弁(一方向弁)
92 内側開口
104 排ガス経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中潜水器具用の弁機構であって、
前記潜水器具の一部である口鼻マスクに動作可能に接続され、連通用の複数の側方開口を備えた管状体と、
前記管状体の一端に装着されるように構成された可撓性を有する弁と
を含み、
前記可撓性を有する弁は、通常動作状態において、前記管状体の中空内部から前記側方開口を閉鎖することにより、排ガスが前記口鼻マスクから漏れて前記潜水器具の内部を汚染することを防止し、緊急動作状態において、前記側方開口を連通させることにより、前記潜水器具内の空気が前記口鼻マスクによって覆われたユーザの口および鼻に送達されるとともに、前記潜水器具内に貯留した余剰水は前記側方開口を介して外部へ排出されることを特徴とする水中潜水器具用弁機構。
【請求項2】
通常動作状態において、前記可撓性を有する弁は、呼吸レギュレータを介する主空気源から吸気される間、閉弁状態にあることを特徴とする、請求項1に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項3】
前記呼吸レギュレータは、当該呼吸レギュレータから流体を排出させる第1の一方向弁と前記口鼻マスクとの間に動作可能に接続されたことを特徴とする、請求項2に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項4】
前記呼吸レギュレータおよび前記第1の一方向弁は、前記ユーザにとっての主排ガス経路を画定することを特徴とする、請求項3に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項5】
前記管状体は、前記口鼻マスクから流体を排出させる第2の一方向弁と前記口鼻マスクとの間に動作可能に接続されたことを特徴とする、請求項4に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項6】
前記管状体の中空内部および前記第2の一方向弁は、ユーザにとっての補助排ガス経路を画定することを特徴とする、請求項5に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項7】
前記主排ガス経路および補助排ガス経路は、ユーザの呼気労力を低減することを特徴とする、請求項6に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項8】
緊急動作状態において、代替空気供給源から吸気される間、前記可撓性を有する弁は開弁状態にあり、前記潜水器具内部の関連する圧力増加のために、前記供給された代替空気が前記可撓性を有する弁を開弁することを特徴とする、請求項7に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項9】
前記潜水器具内部からの代替空気は、前記側方開口を介して前記口鼻マスクに流入し、前記ユーザに緊急空気供給経路を提供することを特徴とする、請求項8に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項10】
前記呼吸レギュレータは、デマンド型呼吸レギュレータであることを特徴とする、請求項2に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項11】
前記可撓性を有する弁は、通常動作状態において、前記管状体の中空内部から前記側方開口を閉鎖するように構成された弾性管状体を含むことを特徴とする、請求項9に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項12】
緊急動作状態において、前記弾性管状体は、流入する代替空気によって前記管状体の中空内部の前記側方開口から離れるように屈曲されることを特徴とする、請求項11に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項13】
前記水中潜水器具は、潜水ヘルメットであることを特徴とする、請求項1に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項14】
前記水中潜水器具は、フルフェイスマスクであることを特徴とする、請求項1に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項15】
前記水中潜水器具は、自給式水中呼吸装置(SCUBA)であることを特徴とする、請求項1に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項16】
前記水中潜水器具は、空気供給ホースを介して水面から供給された呼吸ガスを受け取ることを特徴とする、請求項1に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項17】
水中潜水器具用の弁機構であって、
前記水中潜水器具の一部である口鼻マスクと呼吸レギュレータとの間に動作可能に接続され、連通用の環状配列された内側開口を備えたリング状体と、
前記リング状体内に装着するように構成された可撓性を有する弁と
を含み、
前記可撓性を有する弁は、通常動作状態において、前記リング状体の前記内側開口を閉鎖することにより、排ガスが前記口鼻マスクから漏れて前記潜水器具の内部を汚染することを防止し、緊急動作状態において、前記内側開口を連通させることにより、前記潜水器具内の空気が前記口鼻マスクによって覆われたユーザの口および鼻に送達されるとともに、前記潜水器具内に貯留した余剰水は前記内側開口を介して外部へ排出されることを特徴とする水中潜水器具用弁機構。
【請求項18】
通常動作状態において、前記呼吸レギュレータと前記リング状体の中空内部とを介する主空気源から吸気される間、前記可撓性を有する弁は閉弁状態にあることを特徴とする、請求項17に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項19】
前記呼吸レギュレータは、当該呼吸レギュレータから流体を排出させる一方向弁に動作可能に接続されたことを特徴とする、請求項18に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項20】
前記呼吸レギュレータ、前記リング状体の前記中空内部および、前記一方向弁は、前記ユーザにとっての主排ガス経路を画定することを特徴とする、請求項19に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項21】
緊急動作状態において、代替空気供給源から吸気される間、前記可撓性を有する弁は開弁状態にあり、前記潜水器具内部の関連する圧力増加のために、前記供給された代替空気が前記可撓性を有する弁を開弁することを特徴とする、請求項20に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項22】
前記リング状体は、当該リング状体の一端に隣接して配置された環状スロットを更に備え、当該環状スロットは前記内側開口の底面への通路を提供することを特徴とする、請求項20に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項23】
前記潜水器具内部からの代替空気は、前記環状スロットと前記内側開口とを介して前記口鼻マスクに流入し、前記ユーザに緊急空気供給経路を提供することを特徴とする、請求項22に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項24】
前記呼吸レギュレータは、デマンド型呼吸レギュレータであることを特徴とする、請求項17に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項25】
前記可撓性を有する弁は、通常動作状態において、前記リング状体の前記内側開口を閉鎖するように構成された平ワッシャ状体を含むことを特徴とする、請求項23に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項26】
緊急動作状態において、前記平ワッシャ状体は、流入する代替空気によって前記リング状体の前記内側開口から離れるように屈曲されることを特徴とする、請求項25に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項27】
前記可撓性を有する弁は、前記リング状体内に装着されるように構成された管状部材を更に含むことを特徴とする、請求項25に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項28】
前記リング状体は、レギュレータマウントナット機能を統合的に有することを特徴とする、請求項17に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項29】
前記水中潜水器具は、潜水ヘルメットであることを特徴とする、請求項17に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項30】
前記水中潜水器具は、フルフェイスマスクであることを特徴とする、請求項17に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項31】
前記水中潜水器具は、自給式水中呼吸装置(SCUBA)であることを特徴とする、請求項17に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項32】
前記水中潜水器具は、空気供給ホースを介して水面から供給された呼吸ガスを受け取ることを特徴とする、請求項1に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項33】
前記管状体は剛体材料で作られたことを特徴とする、請求項1に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項34】
前記リング状体は剛体材料で作られたことを特徴とする、請求項17に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項35】
前記可撓性を有する弁は弾性材料で作られたことを特徴とする、請求項1に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項36】
前記可撓性を有する弁は弾性材料で作られたことを特徴とする、請求項17に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項37】
前記環状スロット、前記連通した内側開口および、前記一方向弁は、前記ユーザにとっての余剰水排出経路を画定することを特徴とする、請求項23に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項38】
水中潜水器具用の弁機構であって、
前記潜水器具の一部である口鼻マスクと呼吸レギュレータとの間に動作可能に接続された管状弁組立体と、
通常動作状態において、前記潜水器具内の排ガスレベルを制御する手段と、
緊急動作状態において、呼吸ガス代替源をユーザに提供する手段と、
前記呼吸ガス代替源が前記ユーザによって作動されているときに、前記潜水器具に貯留した余剰水を排除する手段と
を含むことを特徴とする水中潜水器具用弁機構。
【請求項39】
前記第1の一方向弁と前記第2の一方向弁とがきのこ弁であることを特徴とする、請求項6に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項40】
前記一方向弁はきのこ弁であることを特徴とする、請求項19に記載の水中潜水器具用弁機構。
【請求項41】
水中潜水器具用の弁機構であって、
前記潜水器具の一部である口鼻マスクと呼吸レギュレータとの間に動作可能に統合されたリング状弁組立体と、
通常動作状態において、前記潜水器具内の排ガスレベルを制御する手段と、
緊急動作状態において、呼吸ガス代替源をユーザに提供する手段と、
前記呼吸ガス代替源が前記ユーザによって作動されているときに、前記潜水器具に貯留した余剰水を排除する手段と
を含むことを特徴とする水中潜水器具用弁機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−216949(P2007−216949A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29515(P2007−29515)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(503251329)カービー・モーガン・ダイブ・システムズ・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】KIRBY MORGAN DIVE SYSTEMS, INC.
【Fターム(参考)】