説明

水位情報監視システム及び水位情報監視方法

【課題】 緊急時等においても水門やポンプ等を安全に監視可能な水位情報監視システム及び水位情報監視方法を提供する。
【解決手段】
事務所側端末装置7は、事務所側端末装置7が蓄積した情報と事務所側端末装置10から送信された情報とを比較し(S3、S4)、最新の情報に更新する(S6)ので、例えば事務所側端末装置7、10が常に最新の情報を持つようにすることができる。従って、例えば災害発生時等に、事務所側端末装置7に障害が発生しても、一つの端末装置にアクセスが集中することを防止し情報の伝達をスムーズにして水門やポンプ等を安全に管理することができる。従って、特定の端末装置に負荷が集中することを防止することができ、一つの端末当たりの負荷もごく僅かとなり、効率よく負荷の分散を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川又は海岸に設けられた水門やポンプ等の設備を監視する水位情報監視システム及び水位情報監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川には、例えばゲートで水を堰き止めることによって水位を調節するための水門が設けられている。例えば、水門を管理する水門管理人は、洪水警報が発令されたときに、水門に赴き現場で状況を見る。そして、水門管理人は、水門のゲートの開閉を行い水門の水位等を調整したり、本流の水が支流に流入することを防止するためにポンプによって支流から本流に水を汲み上げたりすることで、洪水の発生を防いでいる。
【0003】
このような水門を監視するシステムとして、例えばサーバ集約型の情報システムが提案されている。サーバ集約型の情報システムは、各水門を監視する水門監視端末と、各水門管理者が情報を得るために用いる携帯端末と、水門の情報を携帯端末に送信する監視サーバとを備えている。水門監視端末は、水門の水位等のデータを監視サーバに送信可能であり、水門管理者は、携帯端末により監視サーバにアクセスして水門のデータを受信している。これによって、各水門管理者は、台風や嵐のときに監視サーバを介して水門の情報を取得し、水門のゲートを遠隔制御している。(特許文献1 [0026]〜[0031]、図1、図4)
【特許文献1】特開2002−190079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、例えば各水門の水位等の情報は監視サーバを介して各水門管理者に送信されるため、例えば災害時等に監視サーバに水門管理者からのアクセスが監視サーバに集中したときに監視サーバにかかる負荷が大きくなり障害が発生する可能性がある、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされるもので、緊急時等においても水門やポンプ等を安全に監視可能な水位情報監視システム及び水位情報監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の主たる観点に係る水位情報監視システムは、河川又は海岸の複数の場所にそれぞれ設けられ、河川又は海岸の水位を計測する計測装置と、前記各計測装置により計測された水位を含む情報を蓄積すると共に、当該情報を認証された相互間でのみ送受信するための複数の端末装置とを備え、前記各端末装置が、当該端末装置が蓄積した情報と前記他の端末装置から送信された前記情報とを比較し、最新の情報に更新することを特徴とする。
【0007】
本発明では、各端末装置が、当該端末装置が蓄積した情報と他の端末装置から送信された情報とを比較し、最新の情報に更新するので、例えば各端末装置が常に最新の情報を持つようにすることができる。従って、例えば災害発生時等に、一の端末装置に障害が発生しても、複数の他の端末装置がそれぞれ最新の情報を持っているので、一つの端末装置にアクセスが集中することを防止し水門やポンプ等を安全に管理することができると共に、この最新の情報を新たな端末装置にコピーすることで容易に復旧することができる。
【0008】
本発明の一の形態によれば、前記各端末装置は、前記情報を前記各場所毎に所定時間単位で蓄積し、前記各場所毎に、当該端末装置が最後に蓄積した情報の時刻(第1の時刻)と前記他の端末装置から送信された当該他の端末装置が最後に蓄積した情報の時刻(第2の時刻)とを比較し、前記第1の時刻が前記第2の時刻よりも先の場合には前記他の端末装置に当該場所の情報の送信を要求し、要求に応じて受信した情報により情報を更新することを特徴とする。これにより、第1の時刻と、第2の時刻とを比較し、第1の時刻が第2の時刻よりも先の場合に他の端末装置に当該場所の情報の送信を要求するので、当該端末装置が最後に蓄積した情報が、当該他の端末装置が最後に蓄積した情報より先(古い)の場合に情報を更新し、後(新しい)の場合や同じ場合には情報を更新することがないので、端末装置にかかる負荷を抑制することができる。
【0009】
本発明の一の形態によれば、前記各端末装置は、前記蓄積した情報が所定量を超えた場合、当該端末装置から最も地理的に離れた場所とは異なる場所の情報を削除することを特徴とする。これにより、各端末装置は、蓄積した情報が所定量を超えた場合、当該端末装置から最も地理的に離れた場所とは異なる場所の情報を削除するので、端末装置から最も地理的に離れた場所の情報を確保しつつ情報を削除した分端末装置の記憶容量を増加させて最新の情報を記憶することができる。
【0010】
従って、災害等により一の端末装置に障害が発生したときに、一の端末装置から最も離れた場所の災害の影響の少ない安全な他の端末装置には一の端末装置の情報が記憶されているので、一の端末装置の情報を確実に守り、新たな端末装置に情報を送信することで容易に復旧することができる。
【0011】
本発明の一の形態によれば、前記各端末装置は、前記蓄積した情報が所定量を超えた場合、古い情報から削除することを特徴とする。これにより、各端末装置は、蓄積した情報が所定量を超えた場合、古い情報から削除するので、例えば情報としての重要性の低い古い情報を削除して記憶容量を増加させ、情報としての重要性の高い最新の情報を記憶することができる。
【0012】
本発明の他の観点に係る水位情報監視方法は、河川又は海岸の複数の場所にそれぞれ設けられた計測装置により計測された水位を含む情報を認証された相互間でのみ送受信することで、前記情報を複数の端末装置に蓄積する工程と、前記各端末装置が、当該端末装置が蓄積した情報と前記他の端末装置から送信された前記情報とを比較する工程と、前記当該端末装置が蓄積した情報が前記他の端末装置から送信された前記情報より先の情報の場合に最新の情報に更新する工程とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明では、各端末装置が、当該端末装置が蓄積した情報と他の端末装置から送信された情報とを比較し、当該端末装置が蓄積した情報が他の端末装置から送信された情報より先の情報の場合に最新の情報に更新するので、例えば各端末装置が常に最新の情報を持つようにすることができる。従って、例えば災害発生時等に、一の端末装置に障害が発生しても、複数の他の端末装置がそれぞれ最新の情報を持っているので、一つの端末装置にアクセスが集中することを防止し水門やポンプ等を安全に管理することができると共に、この最新の情報を新たな端末装置にコピーすることで容易に復旧することができる。
【発明の効果】
【0014】
発明によれば、各端末装置が、当該端末装置が蓄積した情報と他の端末装置から送信された情報とを比較し、最新の情報に更新するので、例えば各端末装置が常に最新の情報を持つようにすることができ、例えば災害発生時等に、一つの端末装置にアクセスが集中することを防止し水門やポンプ等を安全に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明に係る実施の形態の水位情報監視システムのシステム図である。
【0016】
本実施形態の水位情報監視システム1は、図1に示すように、河川のA地点の水位の情報を管理するA地点管理部2と、河川のA地点より下流のB地点の水位の情報を管理するB地点管理部3と、A地点管理部2とB地点管理部3との間で情報を送受信するための例えばインターネット等の通信手段である伝送部4とを備えている。なお、河川のB地点の更に下流のC地点等には、A地点管理部2と同様の構成の図示しないC地点管理部等が設けられている。
【0017】
A地点管理部2は、A地点の水門やポンプ等を監視する水位観測側監視装置5と、A地点で作業を行う作業員が携帯可能な作業員側端末6と、A地点に付設された設備管理事務所内の事務所側端末装置7とを備えている。
【0018】
B地点管理部3は、B地点の水門を監視する水位観測側監視装置8と、B地点で作業を行う作業員が携帯可能な作業員側端末9と、B地点に付設された設備管理事務所内の事務所側端末装置10とを備えている。なお、図示しない他のC地点管理部等も同様の構成を備えている。
【0019】
図2はA地点の水位観測側監視装置の構成を示すブロック図、図3はA地点の作業者側端末装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、水位観測側監視装置5は、A地点の水位観測地の水位を計測するための水位計測装置としての水位計測計11と、A地点の水位観測地の水位等の情報を蓄積可能な水位観測側端末装置12とを備えている。水位計測計11は、例えばフロート式の水位計測計である。
【0021】
水位観測側端末装置12は、例えば水位のデータのやり取り等を制御する制御部13、水位のデータ等を記憶可能な記憶部14及び例えば認証された他の端末との間でデータの送受信を行うための通信部15を備えている。記憶部14には、水位計測計11で計測された水位等のデータが記憶されている。
【0022】
図3に示すように、作業員側端末装置6及び事務所側端末装置7は、例えば水位のデータのやり取り等を制御する制御部16、水位のデータ等を記憶可能な記憶部14及び例えば認証された他の端末との間でデータの送受信を行うための通信部18を備えている。
【0023】
なお、例えばB地点の水位観測側監視装置8等の構成は、A地点の水位観測側監視装置5の構成と同様なので、その説明を省略する。
【0024】
図4はA地点の事務所側端末装置のデータを示す図である。
【0025】
A地点の事務所側端末装置7の記憶部14には、各端末装置のIPアドレスの一覧のファイルであるIPアドレス一覧ファイル、各地点の水位観測地の水位等の情報を含むデータファイル、各地点の最新のデータを含む最新データ一覧ファイルが記憶されている。
【0026】
A地点のIPアドレス一覧ファイルには、図4に示すように、各端末装置毎に異なるIPアドレスのデータが含まれている。IPアドレスのデータは、例えば観測地点である水位観測地の増減等に伴い増減する。このため、図示しないIPアドレス管理端末から定期的にIPアドレス一覧ファイルが各端末装置7等に送信され、各IPアドレス一覧ファイルがそれぞれ更新される。これにより、IPアドレス一覧ファイルに登録されている端末装置のみの間でデータのやり取りが行われる。
【0027】
A地点のデータファイルは、図4に示すように、「地点」、「年月日時刻」及び「水位」のデータ項目を含んでいる。
【0028】
「地点」は、水位観測地が位置する地点を表し、例えば「0001」はA地点を示している。「年月日時刻」はA地点の水位観測地の水位が測定された年月日時刻を示し、例えば「2005/11/05/13:51」は2005年11月5日13時51分を表している。「水位」はA地点の水位観測地の水位を示している。例えばA地点のデータファイルは、2005年11月5日13時51分〜2005年11月5日14時00分の10分間で1分毎に順に蓄積されたA地点の水位観測地の水位のデータa1〜a10を含んでいる。
【0029】
他の地点(B地点、C地点等)のデータファイルのデータ構成は、図4に示すように、A地点のデータファイルのデータ構成と同様である。例えばB地点のデータファイルは、2005年11月5日13時41分〜2005年11月5日13時50分の10分間で1分毎に順に蓄積されたB地点の水位観測地の水位のデータb1〜b10を含んでいる。また、C地点のデータファイルは、2005年11月5日13時41分〜2005年11月5日13時50分の10分間で1分毎に順に蓄積されたC地点の水位観測地の水位のデータc1〜c10を含んでいる。
【0030】
最新データ一覧ファイルは、図4に示すように、各地点(A地点、B地点等)の最新のデータを含んでいる。また、最新データ一覧ファイルには、例えばデータが何回更新されたかを示す(第何版かを示す)図示しないデータを備えている。例えば最新データ一覧ファイルの1行目のデータは、A地点の最新のデータ(年月日時刻のデータが一番新しいデータ)であり、2行目のデータはB地点の最新のデータであり、3行目のデータはC地点の最新のデータである。
【0031】
図5はB地点の事務所側端末装置のデータを示す図である。
【0032】
B地点の事務所側端末装置10には、A地点の事務所側端末装置7と同様に、例えばIPアドレス一覧ファイル、各地点(A、B、C地点等)のデータファイル、最新データ一覧ファイルが記憶されている。
【0033】
例えばB地点の事務所側端末装置10は、A地点の事務所側端末装置7に比べて、B地点のデータファイル及び最新データ一覧ファイルのみ異なっているので、異なるファイルについて説明する。
【0034】
B地点の事務所側端末装置10のB地点のデータファイルは、B地点の水位観測地の水位のデータb1〜b10に加えて、図5で点線で囲まれた2005年11月5日13時51分〜2005年11月5日14時00分の10分間の1分毎のB地点の水位観測地の水位のデータb11〜b20を含んでいる。つまり、B地点の事務所側端末装置10のB地点のデータファイルは、点線で囲まれた分だけA地点の事務所側端末装置7に比べて新しいデータ(差分データ)を含んでいる。
【0035】
B地点の事務所側端末装置10の最新データ一覧ファイルは、A地点の事務所側端末装置7の最新データファイルと比べて、B地点の最新データのみ異なっておりB地点の最新データが「0002 2005/11/05/14:00 b20」となっている。
【0036】
次に、水位情報監視システム1の情報の流れについて図面を参照しながら説明する。
【0037】
図6はA地点、B地点の事務所側端末装置間のシーケンス図、図7はA地点の事務所側端末装置の動作を示すフローチャート、図8はB地点の事務所側端末装置の動作を示すフローチャートである。
【0038】
まず、図6、図7に示すように、A地点の事務所側端末装置7(の制御部13)がB地点の事務所側端末装置10にIDである事務所側端末装置7のIPアドレスを送信し、最新データファイルを要求する(S1)。
【0039】
事務所側端末装置10は、図8に示すように、事務所側端末装置7のIPアドレスを受信する(S1´)。
【0040】
次いで、事務所側端末装置10は、S1´で受信したIPアドレスと、図5に示すIPアドレス一覧ファイル中のIPアドレスとを比較し同じIPアドレスがあるか否かを判断する(S2´)。
【0041】
同じIPアドレスがある(S2´で肯定判断)場合には、図6、図8に示すように、B地点の事務所側端末装置10は、A地点の事務所側端末装置7をデータの送受信が可能な端末装置と判断し、A地点の事務所側端末装置7に最新データ一覧ファイルを送信する(S3´)。同じIPアドレスがない(S2´で否定判断)場合には、何もせずに終了する。これにより、予めIPアドレス一覧ファイルに登録されているアドレスを持つ端末装置に情報の送受信が制限される。
【0042】
次いで、A地点の事務所側端末装置7は、図7に示すようにこの最新データ一覧ファイルを受信し、記憶部14に記憶する(S2)。
【0043】
A地点の事務所側端末装置7は、図4の最新データ一覧ファイルが第何版かを示すデータと、受信した図5の最新データ一覧ファイルが第何版かを示すデータとを比較することで、A地点の事務所側端末装置7が持つ最新データ一覧ファイルが新しいかを判断する(S3)。
【0044】
A地点の事務所側端末装置7が持つ最新データ一覧ファイルが新しい(S3で肯定判断)ときには、A地点の事務所側端末装置7は、データを書き換えて新しいファイルを作成する必要がないので、何もせずに終了する。
【0045】
A地点の事務所側端末装置7が持つ最新データ一覧ファイルが新しくない(S3で否定判断)ときには、図4の最新データ一覧ファイルの時刻のデータと、図5の最新データ一覧ファイルの時刻のデータと各地点毎に比較し、A地点の事務所側端末装置7のデータファイルのうちどの地点のデータファイルが古いかを判断する。これにより、A地点の事務所側端末装置7は、例えばA地点の事務所側端末装置7のデータファイルのうちB地点のデータファイルのみが古いと判断する。つまり、A地点の事務所側端末装置7は、B地点の事務所側端末装置10のB地点のデータファイルが、新しいデータ(差分データ)を含んでいる、と判断する(S4)。
【0046】
次に、A地点の事務所側端末装置7は、B地点の事務所側端末装置10にこの差分データを要求する(S5)。
【0047】
B地点の事務所側端末装置10は、図8に示すように、差分データの要求があるか否かを判断し(S4´)、要求がない(否定判断)ときには終了し、差分データの要求がある(肯定判断)のときには、図5の点線で囲む差分データを送信する(S5´)。
【0048】
次に、A地点の事務所側端末装置7は、図7に示すように、差分データを受け取り、データを更新し(S6)、終了する。これにより、A地点の事務所側端末装置7と、B地点の事務所側端末装置10との各データファイルが同一(最新)となる。
【0049】
なお、本実施形態では、A地点の事務所側端末装置7と、B地点の事務所側端末装置10との間でのデータのやり取りを中心的に説明したが、他の端末装置間においても同様にデータの送受信(更新)が行われ、各端末装置が同一(最新)のデータファイルを持つことになる。
【0050】
このように本実施形態によれば、事務所側端末装置7は、事務所側端末装置7が蓄積した情報(図4の最新データ一覧ファイルの版の番号)と事務所側端末装置10から送信された情報(図5の最新データ一覧ファイルの版の番号)とを比較し(S3、S4)、最新の情報に更新する(S6)。このため、例えば事務所側端末装置7、10が常に最新の情報を持つようにすることができる。従って、例えば災害発生時等に、事務所側端末装置7に障害が発生しても、複数の他の事務所側端末装置10や作業員側端末9がそれぞれ最新の情報を持っているので、一つの端末装置にアクセスが集中することを防止し情報の伝達をスムーズにして水門やポンプ等を安全に管理することができる。また、この最新の情報を新たな端末装置にコピーすることで容易に復旧することができる。
【0051】
また、従来のサーバ集約型の情報システムでは一つのサーバが「情報の発信」という処理を行っていたが、本実施形態では、事務所側端末装置7に障害が発生しても、複数の他の事務所側端末装置10や作業員側端末9がそれぞれ最新の情報を発信することができる。従って、特定の端末装置に負荷が集中することを防止することができ、1端末当たりの負荷もごく僅かとなり、効率よく負荷の分散を行うことができる。
【0052】
更に、従来のサーバ集約型の情報システムでは、サーバに障害があった場合には、サーバに全くアクセスすることができなくなる。これに対して、本実施形態では、事務所側端末装置7に障害が発生しても、他の事務所側端末装置10や作業員側端末9はこの影響を受けることなくそれぞれ最新の情報を発信したり受信したりすることができる。
【0053】
また、例えば水門の観測地が増加するときに、作業員側端末装置を増やす場合には、各端末装置10、12等からデータをインターネット等を介して送受信することで、容易に追加することができる。
【0054】
更に、例えば作業員側端末装置6は、水門に赴く作業員がネットワーク等から切り離して携帯可能なので、緊急時に既存の通信網が利用できないときでも、水門に作業員側端末装置6を持ち出して水位観測側端末装置12に近づき無線で水位等のデータを受信することができる。
【0055】
また、例えば異なる地点の事務所側端末装置7と、事務所側端末装置10とにそれぞれ記憶されている情報が略等しい。このため、データが散在するためバックアップが不要となりコスト高となることを防止することができる。
【0056】
更に、各地点(場所)毎に、事務所側端末装置7が最後に蓄積した情報の第1の時刻(図4の最新データ一覧ファイルの「2005/11/05/13:50」)と、事務所側端末装置10から送信された事務所側端末装置10が最後に蓄積した情報の第2の時刻(図5の最新データ一覧ファイルの「2005/11/05/14:00」)とを比較し(S4)、第1の時刻が第2の時刻よりも先の場合には事務所側端末装置10に例えばB地点の情報の送信を要求する(S5)。従って、事務所側端末装置7が最後に蓄積した情報が、事務所側端末装置10が最後に蓄積した情報より後(新しい)の場合や同じ場合には情報を更新することがないので、例えば事務所側端末装置7にかかる負荷を抑制することができる。
【0057】
(第1の変形例)
【0058】
次に本発明に係る第1の変形例について図面を参照しながら説明する。なお、本変形例以降においては、実施形態の構成要素と共通する構成要素等については、実施形態の構成要素と同一の符号を付しその説明を省略し異なる箇所を中心的に説明する。
【0059】
上記の実施形態の水位情報監視システム1は、各地点(例えばA、B地点)の事務所側端末装置7、10の各地点のデータファイルのデータ構造が「地点」、「年月日時刻」、「水位」であり、例えば事務所側端末装置7の記億部14のデータ更新のために必要な空き容量が十分にある場合の例を示した。
【0060】
第1の変形例の水位情報監視システムの事務所側端末装置の各地点のデータファイルのデータ構造は、図9、図10に示すように、「地点」、「年月日時刻」、「水位」に加えて、例えば「緯度/経度」の項目を含んでおり、例えば事務所側端末装置7の記億部14のデータ更新のために必要な空き容量が不足してしまう場合の例である。例えば、水位情報監視システムを導入した初期に水位観測地に設置した端末装置は、新規に設置した端末装置に比べて容量が小さくなり空き容量が不足することが考えられる。
【0061】
本変形例のデータファイルの構造について説明する。A地点の事務所側端末装置7のA地点のデータファイルの「緯度/経度」は、A地点の水門のある緯度、経度を表し、例えば「x1」がA地点の緯度、「y1」がA地点の緯度を示している。B地点についても同様であり、例えば「x2」がB地点の緯度、「y2」がB地点の緯度を示している。また、「最新データ一覧ファイル」には、各地点(A地点、B地点、C地点等)毎の「緯度/経度」のデータ(「x1/y1」、「x2/y2」、「x3/y3」等)が含まれている。
【0062】
例えばA地点の事務所側端末装置7のA地点、B地点のデータファイルと、B地点の事務所側端末装置10のA地点、B地点のデータファイルとのデータは同一となっている。また、B地点の事務所側端末装置10のC地点のデータファイルには、A地点の事務所側端末装置7のC地点のデータファイルのデータと同じデータに加えて図10で点線で囲まれた部分の新しいデータ(差分データ)が含まれている。例えばC地点のデータファイルの差分データは、2005年11月5日13時51分〜2005年11月5日14時00分の10分間で1分毎に順に蓄積されたC地点の水位観測地の水位のデータc11〜c20を含んでいる。
【0063】
次に、本変形例の水位情報監視システムの情報の流れについて図面を参照しながら説明する。なお、本変形例では、図12に示す差分データを決定する(S4)までは実施形態と同様なので、図12のS5以降について説明をする。
【0064】
A地点の事務所側端末装置7は、図11、12に示すように、差分データ(図10の点線で囲まれた部分のデータ)と共に例えば差分データの容量をB地点の事務所側端末装置10に要求する(S5)。
【0065】
B地点の事務所側端末装置10は、図13に示すように、差分データと差分データの容量を示すデータの要求を受信する(S4´)と、差分データ及び差分データの容量を示すデータをA地点の事務所側端末装置7に送信する(S5´)。
【0066】
続いて、A地点の事務所側端末装置7は、この容量を示すデータと、記億部14の空き容量を示すデータとを比較することで、記憶部14に差分データを記憶可能か否かを判断する(S6)。
【0067】
ステップ6で差分データを記憶可能と判断(肯定判断)されたときは、図12に示すように、実施形態と同様に差分データを更新する(S8)。
【0068】
ステップ6で差分データを記憶不可能と判断(否定判断)されたときは、A地点の事務所側端末装置7は、A地点に近い地点(例えばB地点とC地点のうちのB地点)のデータファイルを削除し(S7)、ステップ6に戻る。これにより、空き容量を増加させる。
【0069】
次いで、ステップ6で再びA地点の事務所側端末装置7の記億部14の空き容量と、差分データの容量とを比較し(S6)、空き容量の方が大きい場合に記憶可能と判断する。
【0070】
次に、ステップ6で差分データを記憶可能と判断(肯定判断)されたときは、C地点のデータファイルの差分データを追加することで、C地点のデータファイルを更新し(S8)終了する。
【0071】
このように本変形例によれば、A地点の事務所側端末装置7は、蓄積した情報が所定量を超えた場合(図12のS6で否定判断の場合)、A地点の事務所側端末装置7から最も地理的に離れた場所とは異なる場所である例えばB地点の情報を削除する(S7)ので、A地点の事務所側端末装置7から最も地理的に離れた場所の情報を確保しつつB地点の情報を削除した分、事務所側端末装置7の記憶容量を増加させて最新の情報であるC地点の差分データを記憶することができる。
【0072】
(第2の変形例)
【0073】
次に本発明に係る第2の変形例について図面を参照しながら説明する。
【0074】
第1の変形例では、A地点の事務所側端末装置7が、蓄積した情報が所定量(例えば記憶部14の記憶容量)を超えた場合、A地点の事務所側端末装置7から最も地理的に離れた場所とは異なる場所である例えばB地点の情報を削除する例を示した。
【0075】
本変形例では、A地点の事務所側端末装置7が、蓄積した情報が所定量(例えば記憶部14の記憶容量)を超えた場合、各地点のデータファイルの古いデータから削除する例である。
【0076】
本変形例では、例えば第1の変形例に比べて図14のステップ7´が異なるのでステップ7´について説明する。
【0077】
この場合には、図14に示すように、ステップ6で差分データを記憶不可能と判断(否定判断)されたときに、図15に示すように、A地点のデータファイルの古いデータ(水位a1〜a5のデータ等)、B地点のデータファイルの古いデータ(水位b1〜b5のデータ等)等を削除する(S7´)。
【0078】
次いで、図14に示すステップ6に戻り、差分データを記憶可能と判断(肯定判断)されたときは、差分データを更新する(S8)。
【0079】
このように本変形例によれば、事務所側端末装置7は、蓄積した情報が所定量(例えば記億部14の記憶容量)を超えた場合(S6で否定判断の場合)、例えばA地点のデータファイルの古い情報(例えばa1〜a5等)から削除する(S7´)。このため、例えば情報としての重要性の低い古い情報を削除して記憶容量を増加させ、情報としての重要性の高い図15の水位のデータであるc16〜c20を記憶することができる。
【0080】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その技術思想の範囲内で様々に変形して実施することが可能であり、当然その範囲は本発明の技術的範囲に属するものである。
【0081】
例えば、水位計測計11の水位の情報の代わりに、例えば水門の状況を撮影可能なカメラの映像情報、気象情報(例えば雨量計の雨量情報)、水門のゲートの開閉情報、支流から本流に水を汲み上げるポンプの稼動情報等を事務所側端末装置等に表示するようにしてもよい。この場合にも、例えば、各端末装置からのアクセスが特定の端末装置に集中することを防止しつつ例えば雨量計の雨量情報を基にして水門の水位を予測し、水門の水位が上昇する前に予めゲートを広く開いたり、ポンプを前もって稼動させたりすることで、より安全に水門を管理することができる。
【0082】
また、上記の実施形態等では、水位のデータを例えば1分間隔で測定して水位のデータを蓄積し、10分毎にデータの更新を行う例を示した。しかし、これらの時間間隔等はこれに限定されず、例えば、1分毎に水位を測定して水位のデータを蓄積し、1分毎にデータの更新を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る実施の形態の水位情報監視システムのシステム図である。
【図2】A地点の水位観測側監視装置の構成を示すブロック図である。
【図3】A地点の作業者側端末装置の構成を示すブロック図である。
【図4】A地点の事務所側端末装置のデータを示す図である。
【図5】B地点の事務所側端末装置のデータを示す図である。
【図6】A地点、B地点の事務所側端末装置間のシーケンス図である。
【図7】A地点の事務所側端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】B地点の事務所側端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】第1の変形例のA地点の事務所側端末装置のデータを示す図である。
【図10】第1の変形例のB地点の事務所側端末装置のデータを示す図である。
【図11】第1の変形例のA、B地点の事務所側端末装置間のシーケンス図である。
【図12】第1の変形例のA地点の事務所側端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】第1の変形例のB地点の事務所側端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】第2の変形例のA地点の事務所側端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】第2の変形例の事務所側端末装置の更新後のデータを示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 水位情報監視システム
11 水位計測計
6、9 作業員側端末装置
7、10 事務所側端末装置
12 水位観測側端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川又は海岸の複数の場所にそれぞれ設けられ、河川又は海岸の水位を計測する計測装置と、
前記各計測装置により計測された水位を含む情報を蓄積すると共に、当該情報を認証された相互間でのみ送受信するための複数の端末装置とを備え、
前記各端末装置が、当該端末装置が蓄積した情報と前記他の端末装置から送信された前記情報とを比較し、最新の情報に更新する
ことを特徴とする水位情報監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水位情報監視システムであって、
前記各端末装置は、前記情報を前記各場所毎に所定時間単位で蓄積し、前記各場所毎に、当該端末装置が最後に蓄積した情報の時刻(第1の時刻)と前記他の端末装置から送信された当該他の端末装置が最後に蓄積した情報の時刻(第2の時刻)とを比較し、前記第1の時刻が前記第2の時刻よりも先の場合には前記他の端末装置に当該場所の情報の送信を要求し、要求に応じて受信した情報により情報を更新することを特徴とする水位情報監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の水位情報監視システムであって、
前記各端末装置は、前記蓄積した情報が所定量を超えた場合、当該端末装置から最も地理的に離れた場所とは異なる場所の情報を削除することを特徴とする水位情報監視システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の水位情報監視システムであって、
前記各端末装置は、前記蓄積した情報が所定量を超えた場合、古い情報から削除することを特徴とする水位情報監視システム。
【請求項5】
河川又は海岸の複数の場所にそれぞれ設けられた計測装置により計測された水位を含む情報を認証された相互間でのみ送受信することで、前記情報を複数の端末装置に蓄積する工程と、
前記各端末装置が、当該端末装置が蓄積した情報と前記他の端末装置から送信された前記情報とを比較する工程と、
前記当該端末装置が蓄積した情報が前記他の端末装置から送信された前記情報より先の情報の場合に最新の情報に更新する工程と
を具備することを特徴とする水位情報監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−316828(P2007−316828A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144114(P2006−144114)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000223104)東和科学株式会社 (9)
【Fターム(参考)】