説明

水処理装置

【課題】設置スペースを拡大させることなく、容易に高純度の純水を安定供給させることが可能な水処理装置1を提供すること。
【解決手段】水処理装置1は、被処理水を貯水する第1貯水タンク4と、前記第1貯水タンク4から供給される前記被処理水を精製して第1処理水を得る第1精製部5a、5bと、前記第1精製部5a、5bの下流側に配設され、前記第1精製部5a、5bにより精製された第1処理水を精製して第2処理水を得る第2精製部6と、前記第1精製部5a、5bと前記第2精製部6とを接続する第1接続ライン10bと、前記第1貯水タンク4と前記第1接続ライン10bとを接続させる第1補助ライン10cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関し、特には、半導体の洗浄等に用いられる高純度の純水を得るための水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体等の洗浄には、不純物を含まない水、いわゆる純水が多く使用されている。そして、近年においては、半導体等の電子技術の発達に伴い、その洗浄水として用いられる純水も、より高純度(例えば、比抵抗値1MΩ・cm以上)のものが要求されている。
【0003】
地下水や工業用水等の原水から純水を得るための水処理装置としては、一般に、逆浸透膜を利用した逆浸透膜装置やイオン交換膜及びイオン交換樹脂を利用した脱イオン装置等が用いられている。例えば、逆浸透膜装置は、溶媒は通すが溶質は透過させないという逆浸透膜の性質を利用して、被処理水の浸透圧よりも高い圧力をかけて溶媒としての水だけを選択的に透過させ、採取することを可能にしたものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−220480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような高純度の純水を得るためには、原水を一回精製するのみでは十分でなく、例えば、逆浸透膜装置により精製された処理水を更に逆浸透膜装置又は脱イオン装置において繰り返し精製させる必要が生じる場合がある。この場合、例えば、上流側に逆浸透膜装置を配置し、下流側に逆浸透膜装置又は脱イオン装置を配置させることにより一回の工程で処理水を精製することができる。しかし、逆浸透膜装置同士や逆浸透膜装置と脱イオン装置とを接続させると、上流側に配置された逆浸透膜装置が故障や膜詰まり等を起こした場合に、下流側に配置された逆浸透膜装置又は脱イオン装置が流量不足になり、キャビテーションを発生させてしまうという問題があった。
【0005】
これに対しては、例えば、上流側の逆浸透膜装置と下流側の逆浸透膜装置又は脱イオン装置との間に、逆浸透膜装置で精製された処理水を一時的に貯留させる中間タンクを設置させることにより回避することが可能となる。しかしながら、中間タンクを設置させる場合には、新たに中間タンクを設置させる設置スペースを確保する必要があるという問題があった。また、設置スペースだけを考慮すると、小型の中間タンクを設置させることも考えられる。しかしながら、小型の中間タンクを設置させると、容量が小さいため、上流側の逆浸透膜装置を頻繁に起動して水処理をさせる必要が生じ、逆浸透膜の寿命が短くなるという問題があった。
【0006】
また、例えば、逆浸透膜装置同士や逆浸透膜装置と脱イオン装置の運転状況を共有化させ、各装置の流量を制御させて、上述の問題を回避させことも可能である。しかしながら、流量計の故障や通信の異常等が生じた場合には、対応が困難になるという問題があった。更に、中間タンクを設置したり、流量を制御させるためには、多大なコストがかかるという問題があった。
【0007】
従って、本発明は、設置スペースを拡大させることなく、高純度の純水を安定的に供給させることが可能な水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水処理装置は、被処理水を貯水する第1貯水タンクと、前記第1貯水タンクから供給される前記被処理水を精製して第1処理水を得る第1精製部と、前記第1精製部の下流側に配設され、前記第1精製部により精製された第1処理水を精製して第2処理水を得る第2精製部と、前記第1精製部と前記第2精製部とを接続する第1接続ラインと、前記第1貯水タンクと前記第1接続ラインとを接続させる第1補助ラインと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、水処理装置は、前記第2精製部と前記第1貯水タンクとを接続すると共に、前記第1処理水の精製時に前記第2精製部から排出される第1濃縮水を前記第2精製部から前記第1貯水タンクに配水する第1配水ラインを備えることが好ましい。
【0010】
また、前記第1精製部及び前記第2精製部は、逆浸透膜を利用した精製を行うことが好ましい。
【0011】
また、前記第1精製部は、逆浸透膜を利用した精製を行い、前記第2精製部は、イオン交換体を利用した精製を行うことが好ましい。
【0012】
また、水処理装置は、前記第2精製部の下流側に配設され、前記第2処理水を精製する第3精製部と、前記第2精製部と前記第3精製部とを接続する第2接続ラインと、前記第1貯水タンクと前記第2接続ラインとを接続させる第2補助ラインと、を更に備えることが好ましい。
【0013】
また、水処理装置は、前記第2精製部の下流側に配設され、前記第2処理水を精製する第3精製部と、前記第2精製部と前記第3精製部との間に配設され、前記第2処理水を貯水する第2貯水タンクと、を更に備えることが好ましい。
【0014】
また、水処理装置は、前記第1貯水タンクと前記第3精製部とを接続すると共に、前記第2処理水の精製時に前記第3精製部から排出される第2濃縮水を前記第3精製部から前記第1貯水タンクに配水する第2配水ラインを備えることが好ましい。
【0015】
また、前記第3精製部は、イオン交換体を利用した精製を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水処理装置は、設置スペースを拡大させることなく、高純度の純水を安定的に供給させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
[1]第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。図1に示すように、第1実施形態に係る水処理装置1は、活性炭濾過装置2と、軟水装置3と、給水タンク(第1貯水タンク)4と、第1逆浸透膜装置(第1精製部)5a、5bと、第2逆浸透膜装置(第2精製部)6と、貯水タンク7と、を主体に構成されている。原水は、上流側に配置される活性炭濾過装置2から上述の順番でそれぞれの装置で所定の処理が施され、下流側に配置される貯水タンク7に貯水される。
【0019】
活性炭濾過装置2は、原水の供給源(図示せず)と接続されている。活性炭濾過装置2は、原水に対して、最初の精製処理として濾過処理を行う。具体的には、活性炭濾過装置2は、原水に溶存する次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を吸着し除去することにより、原水から第1前処理水を得る。活性炭濾過装置2は、軟水装置3のイオン交換能力の早期劣化を防止するために設けられる。また、活性炭濾過装置2は、第1逆浸透膜装置5の濾過能力の早期劣化を防止し、処理水の処理効率の向上、安定化等を図る役割も果たす。
【0020】
軟水装置3は、活性炭濾過装置2の下流側に接続されている。軟水装置3は、活性炭濾過装置2により得られた第1前処理水に対して、所定の精製処理を行う。具体的には、軟水装置3は、第1前処理水中に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)をイオン交換樹脂によりナトリウムイオンと交換する。つまり、軟水装置3は、第1前処理水から硬度成分を除去し、第2前処理水を得る。
【0021】
給水タンク4は、軟水装置3の下流側に接続されている。給水タンク4は、軟水装置3により精製された第2前処理水(被処理水)を貯水する。
【0022】
第1逆浸透膜装置5a、5bは、供給ライン10aを介して給水タンク4の下流側に接続されている。第1逆浸透膜装置は、並列に配置された2台の第1逆浸透膜装置5a、5bから構成されている。供給ライン10aは、第1逆浸透膜装置5a、5bの上流側で分岐しており、第1逆浸透膜装置5a及び第1逆浸透膜装置5bそれぞれの上流側に接続されている。
【0023】
第1逆浸透膜装置5a、5bは、上流側に設けられる加圧ポンプ51a、51bと、下流側に設けられる逆浸透モジュール(以下、「ROモジュール」という)52a、52bと、を主体に構成されている。加圧ポンプ51a、51bは、給水タンク4から供給される第2前処理水をROモジュール52a、52b側に加圧する。ROモジュール52a、52bは、多数の逆浸透膜(図示せず)を備え、逆浸透膜により不純物を除去し、選択的に第2前処理水を透過させることにより、第1純水(第1処理水)を得る。
【0024】
また、ROモジュール52a、52bの下流側には、流通ライン53a、53bと、濃縮水排水ライン54a、54bとが独立して接続されている。流通ライン53a、53bには、逆浸透膜により第2前処理水から不純物が取り除かれた第1純水が流通される。流通ライン53aと流通ライン53bとは下流側において合流する。また、流通ライン53a、53bには、逆止弁55a、55bが設けられている。逆止弁55a、55bは、第1純水が流通ライン53a、53bからROモジュール52a、52bに再流通することを規制する。濃縮水排水ライン54a、54bからは、ROモジュール52a、52bの逆浸透膜により第2前処理水の不純物が濃縮された濃縮排水が排出される。
【0025】
第2逆浸透膜装置6は、第1接続ライン10bを介して第1逆浸透膜装置5a、5bの下流側に直列に接続されている。ここで、「直列」とは、第1逆浸透膜装置5a、5bと第2逆浸透膜装置6とが、例えば、中間タンク等を介すことなく接続されていることをいう。第1接続ライン10bは、合流した流通ライン53a、53bと接続されている。
【0026】
第2逆浸透膜装置6は、上流側に設けられる加圧ポンプ61と、下流側に設けられる逆浸透モジュール(以下、「ROモジュール」という)62と、を主体に構成されている。加圧ポンプ61は、第1接続ライン10bから流通する第1純水をROモジュール62側に加圧する。ROモジュール62は、多数の逆浸透膜(図示せず)を備え、逆浸透膜により不純物を除去し、選択的に第1純水を透過させることにより、第1純水から第2純水(第2処理水)を得る。
【0027】
また、ROモジュール62の下流側には、流通ライン63と、濃縮水排水ライン(第1配水ライン)64とが独立して接続されている。流通ライン63の下流側は、貯水ライン10dと接続されている。濃縮水排水ライン64の下流側は、給水タンク4に接続されている。流通ライン63には、逆浸透膜により第1純水から不純物が取り除かれた第2純水が流通する。濃縮水排水ライン64からは、逆浸透膜により第1純水の不純物が濃縮された濃縮排水が排出される。濃縮排水は、廃棄されることなく濃縮水排水ライン64を介して給水タンク4に戻される。
【0028】
なお、第1逆浸透膜装置5a、5bの処理能力は、流量の変動等を考慮すると、第2逆浸透膜装置6の処理能力の1.2倍以上であることが好ましい。
【0029】
第1接続ライン10bには、第1補助ライン10cの一方側が第1接続ライン10bから分岐した形で接続されている。第1補助ライン10cの他方側は、給水タンク4に接続されている。第1補助ライン10cは、第1接続ライン10bと給水タンク4とを接続する。
【0030】
貯水タンク7は、貯水ライン10dを介して第2逆浸透膜装置6と接続されている。貯水ライン10dは、第2逆浸透膜装置6の流通ライン63と接続されている。貯水タンク7は、第2逆浸透膜装置6により精製された第2純水を貯水する。
【0031】
貯水ライン10dには、初期リターンライン65の一方側が貯水ライン10dから分岐した形で接続されている。初期リターンライン65の他方側は、給水タンク4に接続されている。初期リターンライン65は、貯水ライン10dと給水タンク4とを接続する。
【0032】
次に、第1実施形態に係る水処理装置1の動作について説明する。貯水タンク7に貯水された第2純水は、適宜、不図示の外部機器へ供給される。そのため、外部機器への供給量に応じて、貯水タンク7の貯水量は減少する。そして、貯水タンク7の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると、第1実施形態の水処理装置1に運転要求がなされる。
【0033】
第1実施形態の水処理装置1に運転要求がなされると、まず、第1実施形態の水処理装置1は第1逆浸透膜装置5a、5bを起動させる。第1逆浸透膜装置5a、5bが起動すると、第1逆浸透膜装置5a、5bは、加圧ポンプ51a、51bを作動させる。加圧ポンプ51a、51bが作動すると、給水タンク4から第2前処理水の供給が開始される。第2前処理水は、供給ライン10aを介して第1逆浸透膜装置5a、5bに流通される。第1逆浸透膜装置5a、5bに流通された第2前処理水は、加圧ポンプ51a、51bによりROモジュール52a、52bに流通される。ROモジュール52a、52bに流通された第2前処理水は、ROモジュール52a、52bにより所定の精製処理が行われる。これにより、第2前処理水が精製され、第1純水が得られる。
【0034】
第1実施形態の水処理装置1により起動させられた第1逆浸透膜装置5a、5bは、精製能力が安定するまで一定時間、初期運転が行われる。つまり、第1逆浸透膜装置5a、5bは、まず、所定の水質の第1純水が得られるように第1の初期運転を行う。第1の初期運転は、所定時間行われる。
【0035】
第1の初期運転時に精製された第1純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、第1補助ライン10cを介して給水タンク4に戻される。つまり、第1の初期運転時に精製された第1純水は、第1の初期運転中、第1補助ライン10cを介して循環される。また、第1純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1の初期運転及び後述の通常運転にかかわらず、濃縮水排水ライン54a、54bから排出され、廃棄される。
【0036】
次に、第1実施形態の水処理装置1は、第2逆浸透膜装置6を起動させる。第2逆浸透膜装置6が起動すると、第2逆浸透膜装置6は、まず、加圧ポンプ61を作動させる。加圧ポンプ61が作動すると、第1逆浸透膜装置5a、5bから第1純水の供給が開始される。第1純水は、第1接続ライン10bを介して第2逆浸透膜装置6に流通される。第2逆浸透膜装置6に流通された第1純水は、加圧ポンプ61によりROモジュール62に流通される。ROモジュール62に流通された第1純水は、ROモジュール62により所定の精製処理が行われる。これにより、第1純水が精製され、第2純水が得られる。
【0037】
第1実施形態の水処理装置1により起動された第2逆浸透膜装置6は、精製能力が安定するまで一定時間初期運転を行う。つまり、第1実施形態の水処理装置1は、第2逆浸透膜装置6においても、所定の水質が得られるように第2の初期運転を行わせる。第2の初期運転は、所定時間行われる。
【0038】
第2の初期運転時に精製された第2純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、初期リターンライン65を介して給水タンク4に戻される。つまり、第2の初期運転時に精製された第2純水は、第2の初期運転中、初期リターンライン65を介して循環される。
【0039】
また、第2純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1純水を濃縮したものであるため、第2前処理水よりも精製度の高いものである。これにより、第2純水の精製時に排出された濃縮排水は、濃縮水排水ライン64を介して第2純水と同様に給水タンク4に戻される。つまり、第2純水の精製時に排出された濃縮排水も濃縮水排水ライン64を介して循環される。
【0040】
第1及び第2の初期運転が完了すると、第1実施形態の水処理装置1は、通常運転を開始する。つまり、第1実施形態の水処理装置1は、初期リターンライン65を封鎖し、第2純水を貯水タンク7に流通させる。貯水タンク7は、第2純水を貯水する。
【0041】
第1実施形態の水処理装置1は、貯水タンク7における第2純水の貯水量が所定の水量(所定の満水レベル)に達すると、第2逆浸透膜装置6及び第1逆浸透膜装置5a、5bの順で運転を停止させる。第1実施形態の水処理装置1は、起動時においては、常時、貯水タンク7の貯水量を監視し、貯水タンク7の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると運転要求をし、上述の運転を繰り返す。
【0042】
以上の構成を有する第1実施形態の水処理装置1によれば、以下の効果を奏する。第1実施形態の水処理装置1は、第1逆浸透膜装置5a、5bと第2逆浸透膜装置6とが第1接続ライン10bにより直列に接続されると共に、第1接続ライン10bと給水タンク4とを接続する第1補助ライン10cが設けられている。そのため、第1実施形態の水処理装置1においては、例えば、第2逆浸透膜装置6において要求される流量を越える第1純水を第1逆浸透膜装置5a、5bにおいて精製した場合においても、必要な流量の第1純水のみ第2逆浸透膜装置6に流通させ、余分な第1純水を給水タンク4に戻すことが可能になる。これにより、第2逆浸透膜装置6に不要な負荷をかけるおそれがなくなる。
【0043】
また、余分な第1純水を給水タンク4に戻すことにより、例えば、給水タンク4に貯水される第2前処理水を第1純水により希釈させることが可能になる。そのため、第2前処理水の水質を向上させることが可能になる。
【0044】
また、第1実施形態の水処理装置1においては、例えば、第1逆浸透膜装置5a、5bが故障や膜詰まり等を生じさせた場合等、第2逆浸透膜装置6が要求する流量が第1逆浸透膜装置5a、5bから供給されない場合においても、第2逆浸透膜装置6が給水タンク4から直接第2前処理水の供給を受けることが可能になる。そのため、第2逆浸透膜装置6の空運転を防止することが可能になる。これにより、第2逆浸透膜装置6の流量不足によるキャビテーションの発生を防止させることが可能になる。また、第1逆浸透膜装置5a、5bが故障や膜詰まり等を生じさせた場合においても、純水の安定した供給が可能になる。
【0045】
また、第1実施形態の水処理装置1においては、例えば、複雑な制御等をさせることなく、第1逆浸透膜装置5a、5bと第2逆浸透膜装置6とを直列に配置させることが可能になる。これにより、多大なコストをかけることなく、高純度の第2純水を安定的に供給させることが可能になる。また、第1補助ライン10cを設けるのみの構成であるため、構成部品を著しく増やすことなく製造することが可能となる。また、メンテナンスも容易となる。
【0046】
また、第1実施形態の水処理装置1においては、第1逆浸透膜装置5a、5bと第2逆浸透膜装置6との間に中間タンクを設ける必要がなくなる。そのため、中間タンクを設置させるための設置スペースを確保する必要がなくなる。これにより、水処理装置1は、設置エリアが小さい場所においても設置させることが可能になる。
【0047】
また、第1実施形態の水処理装置1においては、第2逆浸透膜装置6により第2純水の精製時に排出された濃縮排水を廃棄せずに濃縮水排水ライン64を介して給水タンク4に戻す。そのため、第1実施形態の水処理装置1は、濃縮排水を有効に利用することが可能になる。
【0048】
また、第1実施形態の水処理装置1においては、第2逆浸透膜装置6の第2の初期運転時に精製される第2純水を給水タンク4に戻す初期リターンライン65が設けられている。そのため、第1実施形態の水処理装置1は、第2純水を循環させることが可能になる。これにより、第1実施形態の水処理装置1は、第2純水を廃棄することなく有効に利用することが可能になる。
【0049】
また、第1実施形態の水処理装置1においては、第1逆浸透膜装置5a、5bの流通ライン53a、53bに逆止弁55a、55bが設けられている。そのため、例えば、第1逆浸透膜装置5aが故障した場合においても、第1逆浸透膜装置5bで精製された第1純水が第1逆浸透膜装置5a側に流通することを防止することが可能となる。これにより、第1逆浸透膜装置5a、5bは、第1補助ライン10cを介して適宜第1純水を循環させることが可能になる。
【0050】
[2]第2実施形態
図2は、本発明の第2実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。図2に示すように、第2実施形態の水処理装置1Aは、活性炭濾過装置2と、軟水装置3と、給水タンク(第1貯水タンク)4と、第1逆浸透膜装置(第1精製部)5a、5bと、電気式脱イオン装置(第2精製部)8と、貯水タンク7と、を主体に構成されている。第2実施形態の水処理装置1Aは、第1実施形態と比較して、第2逆浸透膜装置6の代わりに電気式脱イオン装置8が設けられることが主として異なる。
【0051】
以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、以下の実施形態においては、特に説明しない部分は第1実施形態と同様であり、図面に付した番号も第1実施形態と同様である場合は、同じ番号を付している。
【0052】
第1逆浸透膜装置5a、5bは、供給ライン10aを介して給水タンク4の下流側に接続されている。第1逆浸透膜装置は、並列に配置された2台の第1逆浸透膜装置5a、5bから構成されている。供給ライン10aは、第1逆浸透膜装置5a、5bの上流側で分岐しており、第1逆浸透膜装置5a及び第1逆浸透膜装置5bそれぞれの上流側に接続されている。
【0053】
電気式脱イオン装置8は、第1接続ライン10bを介して第1逆浸透膜装置5a、5bの下流側に直列に接続されている。ここで、「直列」とは、第1逆浸透膜装置5a、5bと電気式脱イオン装置8とが、例えば、中間タンク等を介すことなく接続されていることをいう。第1接続ライン10bは、合流した流通ライン53a、53bと接続される。
【0054】
電気式脱イオン装置8は、上流側に設けられる加圧ポンプ81と、下流側に設けられる脱イオンモジュール(以下、「EDIモジュール」という)82と、を主体に構成されている。加圧ポンプ81は、第1逆浸透膜装置5a、5bから流通された第1純水をEDIモジュール82側に加圧する。EDIモジュール82は、カチオン交換膜及びアニオン交換膜(図示せず)が積層され、内部にイオン交換体が充填されて構成されており、イオン交換膜の半浸透特性及び電荷により不純物を除去し、選択的に第1純水(第1処理水)を透過させることにより、第1純水から第3純水(第2処理水)を得る。
【0055】
また、EDIモジュール82の下流側には、流通ライン83と、濃縮水排水ライン(第1配水ライン)84とが独立して接続されている。流通ライン83の下流側は、貯水ライン10dと接続されている。濃縮水排水ライン84の下流側は、給水タンク4に接続されている。流通ライン83には、イオン交換膜により第1純水から不純物が取り除かれた第3純水が流通する。濃縮水排水ライン84からは、逆浸透膜により第1純水の不純物が濃縮された濃縮排水が排出される。電気式脱イオン装置8により濃縮された濃縮排水は廃棄されることなく、濃縮水排水ライン84を介して給水タンク4に戻される。
【0056】
第1接続ライン10bには、第1補助ライン10cの一方側が第1接続ライン10bから分岐した形で接続されている。第1補助ライン10cの他方側は、給水タンク4に接続されている。第1補助ライン10cは、第1接続ライン10bと給水タンク4とを接続させる。
【0057】
第1補助ライン10cには、逆止弁11が設けられている。逆止弁11は、第1補助ライン10cにおける第1純水及び/又は第2前処理水の流れ方向を第1接続ライン10bから給水タンク4へ向かう方向のみに規制する。逆止弁11は、給水タンク4に貯水される第2前処理水が第1接続ライン10bを介して電気式脱イオン装置8に直接流通することを規制する。
【0058】
貯水タンク7は、貯水ライン10dを介して電気式脱イオン装置8の下流側に接続されている。貯水ライン10dの上流側は、電気式脱イオン装置8の流通ライン83の下流側と接続されている。貯水タンク7は、電気式脱イオン装置8により精製された第3純水を貯水する。
【0059】
貯水ライン10dには、初期リターンライン85の一方側が貯水ライン10dから分岐した形で接続されている。初期リターンライン85の他方側は、給水タンク4に接続されている。初期リターンライン85は、貯水ライン10dと給水タンク4とを接続する。
【0060】
次に、第2実施形態に係る水処理装置1Aの動作について説明する。貯水タンク7に貯水された第3純水は、適宜、不図示の外部機器へ供給される。そのため、外部機器への供給量に応じて、貯水タンク7の貯水量は減少する。そして、貯水タンク7の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると、第2実施形態の水処理装置1Aに運転要求がなされる。
【0061】
第2実施形態の水処理装置1Aに運転要求がなされると、まず、第2実施形態の水処理装置1Aは第1逆浸透膜装置5a、5bを起動させる。第1逆浸透膜装置5a、5bが起動すると、第1逆浸透膜装置5a、5bは、加圧ポンプ51a、51bを作動させる。加圧ポンプ51a、51bが作動すると、給水タンク4から第2前処理水の供給が開始される。第2前処理水は、供給ライン10aを介して第1逆浸透膜装置5a、5bに流通される。第1逆浸透膜装置5a、5bに流通された第2前処理水は、加圧ポンプ51a、51bによりROモジュール52a、52bに流通される。ROモジュール52a、52bに流通された第2前処理水は、ROモジュール52a、52bにより所定の精製処理が行われる。これにより、第2前処理水が精製され、第1純水が得られる。
【0062】
第2実施形態の水処理装置1Aにより起動させられた第1逆浸透膜装置5a、5bは、精製能力が安定するまで一定時間、初期運転が行われる。つまり、第1逆浸透膜装置5a、5bは、まず、所定の水質の第1純水が得られるように第1の初期運転を行う。第1の初期運転は、所定時間行われる。
【0063】
第1の初期運転時に精製された第1純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、第1補助ライン10cを介して給水タンク4に戻される。つまり、第1の初期運転時に精製された第1純水は、第1の初期運転中、第1補助ライン10cを介して循環される。また、第1純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1の初期運転及び通常運転にかかわらず、濃縮水排水ライン54aから排出され、廃棄される。
【0064】
次に、第2実施形態の水処理装置1Aは、電気式脱イオン装置8を起動させる。電気式脱イオン装置8が起動すると、電気式脱イオン装置8は、まず、加圧ポンプ81を作動させる。加圧ポンプ81が作動すると、第1逆浸透膜装置5a、5bから第1純水の供給が開始される。第1純水は、第1接続ライン10bを介して電気式脱イオン装置8に流通される。電気式脱イオン装置8に流通された第1純水は、加圧ポンプ81によりEDIモジュール82に流通される。EDIモジュール82に流通された第1純水は、EDIモジュール82により所定の精製処理が行われる。これにより、第1純水が精製され、第3純水が得られる。
【0065】
第2実施形態の水処理装置1Aにより起動された電気式脱イオン装置8は、精製能力が安定するまで一定時間初期運転を行う。つまり、第2実施形態の水処理装置1Aは、電気式脱イオン装置8においても、所定の水質が得られるように第3の初期運転を行わせる。第3の初期運転は、所定時間行われる。
【0066】
第3の初期運転時に精製された第3純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、初期リターンライン85を介して給水タンク4に戻される。つまり、第3の初期運転時に精製された第3純水は、第3の初期運転中、初期リターンライン85を介して循環される。
【0067】
また、第3純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1純水を濃縮したものであるため、第2前処理水よりも精製度の高いものである。これにより、濃縮水排水ライン84を介して第3純水と同様に給水タンク4に戻される。つまり、第3純水の精製時に排出された濃縮排水も濃縮水排水ライン84を介して循環される。
【0068】
第1及び第3の初期運転が完了すると、第2実施形態の水処理装置1Aは、通常運転を開始する。つまり、初期リターンライン85を封鎖し、第3純水を貯水タンク7に流通させる。貯水タンク7は、第3純水を貯水する。
【0069】
貯水タンク7における第3純水の貯水量が所定の水量(所定の満水レベル)に達すると、第2実施形態の水処理装置1Aは、脱イオン装置8及び第1逆浸透膜装置5a、5bの順で運転を停止させる。第2実施形態の水処理装置1Aは、起動時においては、常時、貯水タンク7の貯水量を監視し、貯水タンク7の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると運転要求をし、上述の運転を繰り返す。
【0070】
以上の構成を有する第2実施形態に係る水処理装置1Aによれば、以下の効果を奏する。第2実施形態の水処理装置1Aは、第1逆浸透膜装置5a、5bと電気式脱イオン装置8とが第1接続ライン10bにより直列に接続されると共に、第1接続ライン10bと給水タンク4とを接続する第1補助ライン10cが設けられている。そのため、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、例えば、電気式脱イオン装置8において要求される流量を越える第1純水を第1逆浸透膜装置5a、5bにおいて精製した場合においても、必要な流量の第1純水のみ電気式脱イオン装置8に流通させ、余分な第1純水を給水タンク4に戻すことが可能になる。これにより、電気式脱イオン装置8に不要な負荷をかけるおそれがなくなる。
【0071】
また、余分な第1純水を給水タンク4に戻すことにより、例えば、給水タンク4に貯水される第2前処理水を第1純水により希釈させることが可能になる。そのため、第2前処理水の水質を向上させることが可能になる。
【0072】
また、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、例えば、複雑な制御等をさせることなく、第1逆浸透膜装置5a、5bと電気式脱イオン装置8とを直列に配置させることが可能になる。これにより、多大なコストをかけることなく、高純度の第3純水を安定的に供給させることが可能になる。また、第1補助ライン10cを設けるのみの構成であるため、構成部品を著しく増やすことなく製造することが可能となる。また、メンテナンスも容易となる。
【0073】
また、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、第1逆浸透膜装置5a、5bと電気式脱イオン装置8との間に中間タンクを設ける必要がなくなる。そのため、中間タンクを設置させるための設置スペースを確保する必要がなくなる。これにより、水処理装置1Aは、設置エリアが小さい場所においても設置させることが可能になる。
【0074】
また、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、電気式脱イオン装置8により第3純水の精製時に排出された濃縮排水を廃棄せずに濃縮水排水ライン84を介して給水タンク4に戻している。そのため、濃縮排水を有効に利用することが可能になる。
【0075】
また、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、電気式脱イオン装置8の第3の初期運転時に精製される第3純水を給水タンク4に戻す初期リターンライン85が設けられている。そのため、第3純水を循環させることが可能になる。これにより、第2実施形態の水処理装置1Aは、第3純水を廃棄することなく有効に利用することが可能になる。
【0076】
また、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、逆止弁11により、第1補助ライン10cにおける第1純水及び/又は第2前処理水の流れ方向を第1接続ライン10bから給水タンク4に向かう方向のみに規制している。そのため、給水タンク4に貯水される第2前処理水が電気式脱イオン装置8に直接流通されること防止することが可能になる。これにより、水処理装置1Aは、純度の高い第3純水を得ることが可能になる。
【0077】
[3]第3実施形態
図3は、本発明の第3実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。図3に示すように、第3実施形態の水処理装置1Bは、活性炭濾過装置2と、軟水装置3と、給水タンク(第1貯水タンク)4と、第1逆浸透膜装置(第1精製部)5a、5bと、第3逆浸透膜装置(第2精製部)9a、9bと、電気式脱イオン装置(第3精製部)8と、貯水タンク7と、を主体に構成されている。第3実施形態の水処理装置1Bは、第2実施形態と比較して、第1逆浸透膜装置5a、5bと電気式脱イオン装置8との間に第3逆浸透膜装置9a、9bが設けられていることが主として異なる。
【0078】
以下、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、以下の実施形態においては、特に説明しない部分は第2実施形態と同様であり、図面に付した番号も先に説明した実施形態と同様である場合は、同じ番号を付している。
【0079】
第3実施形態の水処理装置1Bは、上流側から順に、第1逆浸透膜装置5a、5b、第3逆浸透膜装置9a、9b及び電気式脱イオン装置8が直列に接続されている。ここで、「直列」とは、第1逆浸透膜装置5a、5bと第3逆浸透膜装置9a、9b、及び第3逆浸透膜装置9a、9bと電気式脱イオン装置8とが、例えば、中間タンク等を介すことなく接続されていることをいう。
【0080】
第1逆浸透膜装置5a、5bは、供給ライン10aを介して給水タンク4の下流側に接続されている。第1逆浸透膜装置は、並列に配置された2台の第1逆浸透膜装置5a、5bから構成されている。供給ライン10aは、第1逆浸透膜装置5a、5bの上流側で分岐しており、第1逆浸透膜装置5a及び第1逆浸透膜装置5bそれぞれの上流側に接続されている。
【0081】
第3逆浸透膜装置9a、9bは、第1接続ライン10bを介して第1逆浸透膜装置5a、5bの下流側に直列に接続されている。第1接続ライン10bは、合流した流通ライン53a、53bと接続される。第3逆浸透膜装置は、並列に配置された2台の第3逆浸透膜装置9a、9bから構成されている。第1接続ライン10bは、合流した流通ライン53a、53bと接続した後、第3逆浸透膜装置9a、9bの上流側で分岐しており、第3逆浸透膜装置9a及び第3逆浸透膜装置9bそれぞれの上流側に接続されている。
【0082】
第3逆浸透膜装置9a、9bは、上流側に設けられる加圧ポンプ91a、91bと、下流側に設けられる逆浸透モジュール(以下、「ROモジュール」という)92a、92bと、を主体に構成されている。加圧ポンプ91a、91bは、第1逆浸透膜装置5a、5bから流通された第1純水(第1処理水)をROモジュール92a、92b側に加圧する。ROモジュール92a、92bは、逆浸透膜(図示せず)を多数備え、逆浸透膜により不純物を除去し、選択的に第1純水を透過させることにより、第1純水から第4純水(第2処理水)を得る。
【0083】
また、ROモジュール92a、92bの下流側には、流通ライン93a、93bと、濃縮水排水ライン(第1配水ライン)94a、94bと、が独立して接続されている。流通ライン93a、93bは、下流側において合流し、後述の第2接続ライン10eの上流側と接続されている。濃縮水排水ライン94a、94bの下流側は、給水タンク4に接続されている。流通ライン93a、93bには、逆浸透膜により第1純水から不純物が取り除かれた第4純水が流通する。また、流通ライン93a、93bには、逆止弁95a、95bが設けられている。逆止弁95a、95bは、第4純水が流通ライン93a、93bからROモジュール92a、92bに再流通することを規制する。濃縮水排水ライン94a、94bからは、ROモジュール92a、92bから逆浸透膜により第1純水の不純物が濃縮された濃縮排水が排出される。第3逆浸透膜装置9a、9bにより濃縮された濃縮排水は廃棄されることなく、濃縮水排水ライン94a、94bを介して給水タンク4に戻される。
【0084】
電気式脱イオン装置8は、第2接続ライン10eを介して第3逆浸透膜装置9a、9bと直列に接続されている。第2接続ライン10eは、合流した流通ライン93a、93bと接続した後、電気式脱イオン装置8の上流側に接続される。
【0085】
電気式脱イオン装置8は、上流側に設けられる加圧ポンプ81と、下流側に設けられる脱イオンモジュール(以下、「EDIモジュール」という)82と、を主体に構成されている。また、EDIモジュール82には、流通ライン83と、濃縮水排水ライン(第2配水ライン)84とが独立して接続されている。流通ライン83の下流側は、貯水ライン10dと接続されている。濃縮水排水ライン84の下流側は、給水タンク4に接続されている。流通ライン83には、イオン交換膜により第4純水から不純物が取り除かれた第5純水が流通する。濃縮水排水ライン84には、逆浸透膜により不純物が濃縮された濃縮排水が排出される。電気式脱イオン装置8により濃縮された濃縮排水は廃棄されることなく、濃縮水排水ライン84を介して給水タンク4に戻される。
【0086】
第2接続ライン10eには、第2補助ライン10fの一方側が第2接続ライン10eから分岐した形で接続されている。第2補助ライン10fの他方側は、給水タンク4に接続されている。第2補助ライン10fは、第2接続ライン10eと給水タンク4とを接続させる。
【0087】
第2補助ライン10fには、逆止弁10gが設けられている。逆止弁10gは、第2補助ライン10fにおける第4純水及び/又は第2前処理水の流れ方向を第2接続ライン10eから給水タンク4へ向かう方向のみに規制する。逆止弁10gは、給水タンク4に貯水される第2前処理水が第2接続ライン10eを介して電気式脱イオン装置8に直接流通することを規制する。
【0088】
貯水タンク7は、貯水ライン10dを介して電気式脱イオン装置8に接続されている。貯水ライン10dは、電気式脱イオン装置8の流通ライン83の下流側と接続されている。貯水タンク7は、電気式脱イオン装置8により精製された第5純水を貯水する。
【0089】
貯水ライン10dには、初期リターンライン85の一方側が貯水ライン10dから分岐した形で接続されている。初期リターンライン85の他方側は、給水タンク4に接続されている。初期リターンライン85は、貯水ライン10dと給水タンク4とを接続する。
【0090】
次に、第3実施形態に係る水処理装置1Bの動作について説明する。貯水タンク7に貯水された第5純水は、適宜、不図示の外部機器へ供給される。そのため、外部機器への供給量に応じて、貯水タンク7の貯水量は減少する。そして、貯水タンク7の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると、第3実施形態の水処理装置1Bに運転要求がなされる。
【0091】
第3実施形態の水処理装置1Bに運転要求がなされると、まず、第3実施形態の水処理装置1Bは第1逆浸透膜装置5a、5bを起動させる。第1逆浸透膜装置5a、5bが起動すると、第1逆浸透膜装置5a、5bは、加圧ポンプ51a、51bを作動させる。加圧ポンプ51a、51bが作動すると、給水タンク4からの第2前処理水の供給が開始される。第2前処理水は、供給ライン10aを介して第1逆浸透膜装置5a、5bに流通される。第1逆浸透膜装置5a、5bに流通された第2前処理水は、加圧ポンプ51a、51bによりROモジュール52a、52bに流通される。ROモジュール52a、52bに流通された第2前処理水は、ROモジュール52a、52bにより所定の精製処理が行われる。これにより、第2前処理水が精製され、第1純水が得られる。
【0092】
第3実施形態の水処理装置1Bにより起動させられた第1逆浸透膜装置5a、5bは、精製能力が安定するまで一定時間、初期運転が行われる。つまり、第1逆浸透膜装置5a、5bは、まず、所定の水質の第1純水が得られるように第1の初期運転を行う。第1の初期運転は、所定時間行われる。
【0093】
第1の初期運転時に精製された第1純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、第1補助ライン10cを介して給水タンク4に戻される。つまり、第1の初期運転時に精製された第1純水は、第1の初期運転中、第1補助ライン10cを介して循環される。また、第1純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1の初期運転及び通常運転にかかわらず、濃縮水排水ライン54aから排出され、廃棄される。
【0094】
次に、第3実施形態の水処理装置1Bは、第3逆浸透膜装置9a、9bを起動させる。第3逆浸透膜装置9a、9bが起動すると、第3逆浸透膜装置9a、9bは、加圧ポンプ91a、91bを作動させる。加圧ポンプ91a、91bが作動すると、第1逆浸透膜装置5a、5bからの第1純水の供給が開始される。第1純水は、第1接続ライン10bを介して第3逆浸透膜装置9a、9bに流通される。第3逆浸透膜装置9a、9bに流通された第1純水は、加圧ポンプ91a、91bによりROモジュール92a、92bに流通される。ROモジュール92a、92bに流通された第1純水は、ROモジュール92a、92bにより所定の精製処理が行われる。これにより、第1純水が精製され、第4純水が得られる。
【0095】
第3実施形態の水処理装置1Bにより起動させられた第3逆浸透膜装置9a、9bは、精製能力が安定するまで一定時間、初期運転が行われる。つまり、第3逆浸透膜装置9a、9bは、まず、所定の水質の第4純水が得られるように第4の初期運転を行う。第4の初期運転は、所定時間行われる。
【0096】
第4の初期運転時に精製された第4純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、第2補助ライン10fを介して給水タンク4に戻される。つまり、第4の初期運転時に精製された第4純水は、第4の初期運転中、第2補助ライン10fを介して循環される。
【0097】
また、第4純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1純水を濃縮したものであるため、第2前処理水よりも精製度の高いものである。これにより、濃縮水排水ライン94a、94bを介して第4純水と同様に給水タンク4に戻される。つまり、第4純水の精製時に排出された濃縮排水も濃縮水排水ライン94a、94bを介して循環される。
【0098】
次に、第3実施形態の水処理装置1Bは、電気式脱イオン装置8を起動させる。電気式脱イオン装置8が起動すると、電気式脱イオン装置8は、まず、加圧ポンプ81を作動させる。加圧ポンプ81が作動すると、第3逆浸透膜装置9a、9bから第4純水の供給が開始される。第4純水は、第2接続ライン10eを介して電気式脱イオン装置8に流通される。電気式脱イオン装置8に流通された第4純水は、加圧ポンプ81によりEDIモジュール82に流通される。EDIモジュール82に流通された第4純水は、EDIモジュール82により所定の精製処理が行われる。これにより、第4純水が精製され、第5純水が得られる。
【0099】
第3実施形態の水処理装置1Bにより起動された電気式脱イオン装置8は、精製能力が安定するまで一定時間初期運転を行う。つまり、水処理装置1Bは、電気式脱イオン装置8においても、所定の水質が得られるように第5の初期運転を行わせる。第5の初期運転は、所定時間行われる。
【0100】
第5の初期運転時に精製された第5純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、初期リターンライン85を介して給水タンク4に戻される。つまり、第5の初期運転時に精製された第5純水は、第5の初期運転中、初期リターンライン85を介して循環される。
【0101】
また、第5純水の精製時に排出された濃縮排水は、第3逆浸透膜装置9a、9bにより精製された第4純水を濃縮したものであるため、第2前処理水よりも精製度の高いものである。これにより、濃縮水排水ライン84を介して第5純水と同様に給水タンク4に戻される。つまり、第5純水の精製時に排出された濃縮排水も濃縮水排水ライン84を介して循環される。
【0102】
第1、第4及び第5の初期運転が完了すると、第3実施形態の水処理装置1Bは、通常運転を開始する。つまり、初期リターンライン85を封鎖し、第5純水を貯水タンク7に流通させる。貯水タンク7は、第5純水を貯水する。
【0103】
貯水タンク7における第5純水の貯水量が所定の水量(所定の満水レベル)に達すると、第3実施形態の水処理装置1Bは、電気式脱イオン装置8、第3逆浸透膜装置9a、9b、及び第1逆浸透膜装置5a、5bの順で運転を停止させる。第3実施形態の水処理装置1Bは、起動中、常時、貯水タンク7の貯水量を監視し、貯水タンク7の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると運転要求をし、上述の運転を繰り返す。
【0104】
以上の構成を有する第3実施形態の水処理装置1Bによれば、以下の効果を奏する。第3実施形態に係る水処理装置1Bにおいては、第1逆浸透膜装置5a、5bと、第3逆浸透膜装置9a、9bと、電気式脱イオン装置8と、を第1接続ライン10b及び第2接続ライン10eにより直列に接続させている。そのため、処理水を第1逆浸透膜装置5a、5b、第3逆浸透膜装置9a、9b及び電気式脱イオン装置8により連続して処理させることが可能になる。これにより、高純度の第5純水を精製させることが可能になる。
【0105】
また、第3実施形態の水処理装置1Bにおいては、第1接続ライン10bと給水タンク4とを接続する第1補助ライン10cが設けられている。そのため、第3実施形態の水処理装置1Bは、例えば、第3逆浸透膜装置9a、9bにおいて要求される流量を越える第1純水を第1逆浸透膜装置5a、5bにおいて精製した場合においても、必要な流量の第1純水のみ第3逆浸透膜装置9a、9bに流通させ、余分な第1純水を給水タンク4に戻すことが可能になる。これにより、第3逆浸透膜装置9a、9bに不要な負荷をかけるおそれがなくなる。
【0106】
また、余分な第1純水を給水タンク4に戻すことにより、例えば、給水タンク4に貯水される第2前処理水を第1純水により希釈させることが可能になり、第2前処理水の水質を向上させることが可能になる。
【0107】
また、第3実施形態の水処理装置1Bには、第2接続ライン10eと給水タンク4とを接続する第2補助ライン10fが設けられている。そのため、第3実施形態の水処理装置1Bは、例えば、電気式脱イオン装置8において要求される流量を越える第4純水を第3逆浸透膜装置9a、9bにおいて精製した場合においても、必要な流量の第4純水のみ電気式脱イオン装置8に流通させ、余分な第4純水を給水タンク4に戻すことが可能になる。これにより、電気式脱イオン装置8に不要な負荷をかけるおそれがなくなる。
【0108】
また、余分な第3純水を給水タンク4に戻すことにより、例えば、給水タンク4に貯水される第2前処理水を第3純水により希釈させることが可能になり、第2前処理水の水質を向上させることが可能になる。
【0109】
また、第3実施形態の水処理装置1Bにおいては、例えば、複雑な制御等をさせることなく、第1逆浸透膜装置5a、5b、第3逆浸透膜装置9a、9b及び電気式脱イオン装置8を直列に配置させることが可能になる。これにより、多大なコストをかけることなく、高純度の第5純水を安定的に供給させることが可能になる。また、第1及び第2補助ライン10c、10fを設けるのみの構成であるため、構成部品を著しく増やすことなく製造することが可能となる。また、メンテナンスも容易となる。
【0110】
また、第3実施形態の水処理装置1Bにおいては、中間タンクを設ける必要がなくなる。そのため、中間タンクを設置させるための設置スペースを確保する必要がなくなる。これにより、第3実施形態の水処理装置1Bは、設置エリアが小さい場所においても設置させることが可能になる。
【0111】
また、第3実施形態の水処理装置1Bにおいては、第3逆浸透膜装置9a、9bにより第4純水の精製時に排出された濃縮排水及び電気式脱イオン装置8により第5純水の精製時に排出された濃縮排水を廃棄せずに濃縮水排水ライン94a、94b、84を介して給水タンク4に戻している。そのため、濃縮排水を有効に利用することが可能になる。
【0112】
また、第3実施形態の水処理装置1Bにおいては、第3逆浸透膜装置9a、9b及び電気式脱イオン装置8の第4及び第5の初期運転時に精製される第4及び第5純水を給水タンク4に戻すことが可能な第2補助ライン10f及び初期リターンライン85が設けられている。そのため、第4及び第5純水を循環させることが可能になる。これにより、第3実施形態の水処理装置1Bは、廃棄することなく有効に利用することが可能になる。
【0113】
[4]第4実施形態
図5は、本発明の第4実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。図5に示すように、水処理装置1Cは、活性炭濾過装置2と、軟水装置3と、給水タンク(第1貯水タンク)4と、第1逆浸透膜装置(第1精製部)5a、5bと、第3逆浸透膜装置(第2精製部)9a、9bと、補助タンク(第2貯水タンク)12と、電気式脱イオン装置(第3精製部)8と、貯水タンク7と、を主体に構成されている。
【0114】
以下、第3実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、以下の実施形態においては、特に説明しない部分は第3実施形態と同様であり、図面に付した番号も先に説明した実施形態と同様である場合は、同じ番号を付している。
【0115】
第4実施形態の水処理装置1Cは、第1逆浸透膜装置5a、5bと第3逆浸透膜装置9a、9bとが直列に接続されている。ここで、「直列」とは、第1逆浸透膜装置5a、5bと第3逆浸透膜装置9a、9bとが、例えば、中間タンク等を介すことなく接続されていることをいう。また、第4実施形態の水処理装置1Cは、電気式脱イオン装置8が第2貯水タンク12を介して第3逆浸透膜装置9a、9bに接続されている。
【0116】
第1逆浸透膜装置5a、5bは、供給ライン10aを介して給水タンク4の下流側に接続されている。第1逆浸透膜装置は、並列に配置された2台の第1逆浸透膜装置5a、5bから構成されている。供給ライン10aは、第1逆浸透膜装置5a、5bの上流側で分岐しており、第1逆浸透膜装置5a及び第1逆浸透膜装置5bそれぞれの上流側に接続されている。
【0117】
第3逆浸透膜装置9a、9bは、第1接続ライン10bを介して第1逆浸透膜装置5a、5bの下流側に直列に接続されている。第1接続ライン10bは、合流した流通ライン53a、53bの下流側と接続されている。第3逆浸透膜装置は、並列に配置された2台の第3逆浸透膜装置9a、9bから構成されている。第1接続ライン10bは、合流した流通ライン53a、53bと接続した後、第3逆浸透膜装置9a、9bの上流側で分岐しており、第3逆浸透膜装置9a及び第3逆浸透膜装置9bそれぞれの上流側に接続されている。
【0118】
補助タンク12は、第3接続ライン11aを介して第3逆浸透膜装置9a、9bの下流側に接続されている。第3接続ライン11eは、合流した流通ライン93a、93bの下流側と接続した後、補助タンク12に接続される。補助タンク12は、第3逆浸透膜装置9a、9bにより精製された第4純水を貯水する。
【0119】
電気式脱イオン装置8は、第4接続ライン11bを介して補助タンク12に接続されている。電気式脱イオン装置8は、補助タンク12に貯水された第4純水を精製し、第5純水を得る。
【0120】
貯水タンク7は、貯水ライン10dを介して電気式脱イオン装置8の下流側に接続されている。貯水ライン10dは、電気式脱イオン装置8の流通ライン83の下流側と接続されている。貯水タンク7は、電気式脱イオン装置8により精製された第5純水を貯水する。
【0121】
貯水ライン10dには、初期リターンライン85の一方側が貯水ライン10dから分岐した形で接続されている。初期リターンライン85の他方側は、給水タンク4に接続されている。初期リターンライン85は、貯水ライン10dと給水タンク4とを接続する。
【0122】
次に、第4実施形態に係る水処理装置1Cの動作について説明する。貯水タンク7に貯水された第5純水は、適宜、不図示の外部機器へ供給される。そのため、外部機器への供給量に応じて、貯水タンク7の貯水量は減少する。そして、貯水タンク7の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると、第4実施形態の水処理装置1Cに運転要求がなされる。
【0123】
第4実施形態の水処理装置1Cに運転要求がなされると、まず、第4実施形態の水処理装置1Cは第1逆浸透膜装置5a、5bを起動させる。第1逆浸透膜装置5a、5bが起動すると、第1逆浸透膜装置5a、5bは、加圧ポンプ51a、51bを作動させる。加圧ポンプ51a、51bが作動すると、給水タンク4からの第2前処理水の供給が開始される。第2前処理水は、供給ライン10aを介して第1逆浸透膜装置5a、5bに流通される。第1逆浸透膜装置5a、5bに流通された第2前処理水は、加圧ポンプ51a、51bによりROモジュール52a、52bに流通される。ROモジュール52a、52bに流通された第2前処理水は、ROモジュール52a、52bにより所定の精製処理が行われる。これにより、第2前処理水が精製され、第1純水が得られる。
【0124】
第4実施形態の水処理装置1Cにより起動させられた第1逆浸透膜装置5a、5bは、精製能力が安定するまで一定時間、初期運転が行われる。つまり、第1逆浸透膜装置5a、5bは、まず、所定の水質の第1純水が得られるように第1の初期運転を行う。第1の初期運転は、所定時間行われる。
【0125】
第1の初期運転時に精製された第1純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、第1補助ライン10cを介して給水タンク4に戻される。つまり、第1の初期運転時に精製された第1純水は、第1の初期運転中、第1補助ライン10cを介して循環される。また、第1純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1の初期運転及び通常運転にかかわらず、濃縮水排水ライン54aから排出され、廃棄される。
【0126】
次に、第4実施形態の水処理装置1Cは、第3逆浸透膜装置9a、9bを起動させる。第3逆浸透膜装置9a、9bが起動すると、第3逆浸透膜装置9a、9bは、加圧ポンプ91a、91bを作動させる。加圧ポンプ91a、91bが作動すると、第1逆浸透膜装置5a、5bからの第1純水の供給が開始される。第1純水は、第1接続ライン10bを介して第3逆浸透膜装置9a、9bに流通される。第3逆浸透膜装置9a、9bに流通された第1純水は、加圧ポンプ91a、91bによりROモジュール92a、92bに流通される。ROモジュール92a、92bに流通された第1純水は、ROモジュール92a、92bにより所定の精製処理が行われる。これにより、第1純水が精製され、第4純水が得られる。
【0127】
第4実施形態の水処理装置1Cにより起動させられた第3逆浸透膜装置9a、9bは、必要に応じて、精製能力が安定するまで一定時間、初期運転を行うようにしてもよい。つまり、第3逆浸透膜装置9a、9bは、まず、所定の水質の第4純水が得られるように第4の初期運転を行うようにしてもよい。この場合、第4の初期運転は、所定時間行われる。
【0128】
第4の初期運転を行う場合、第4の初期運転時に精製された第4純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、第3実施形態(図3参照)と同様に、第2補助ライン10fを介して給水タンク4に戻される。つまり、第4の初期運転時に精製された第4純水は、第4の初期運転中、第2補助ライン10fを介して循環される。
【0129】
また、第4純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1逆浸透膜装置5a、5bにより濃縮されたものであるため、第2前処理水よりも精製度の高いものである。これにより、濃縮水排水ライン94a、94bを介して第4純水と同様に給水タンク4に戻される。つまり、第4純水の精製時に排出された濃縮排水も濃縮水排水ライン94a、94bを介して循環される。
【0130】
第4の初期運転が終了すると、第4実施形態の水処理装置1Cは、第4純水を補助タンク12に貯水させる。
【0131】
補助タンク12の貯水量が所定の水量(所定の満水レベル)以上になると、第4実施形態の水処理装置1Cは、電気式脱イオン装置8を起動させる。電気式脱イオン装置8が起動すると、電気式脱イオン装置8は、まず、加圧ポンプ81を作動させる。加圧ポンプ81が作動すると、補助タンク12から第4純水の供給が開始される。第4純水は、第3接続ライン11aを介して電気式脱イオン装置8に流通される。電気式脱イオン装置8に流通された第4純水は、加圧ポンプ81によりEDIモジュール82に流通される。EDIモジュール82に流通された第4純水は、EDIモジュール82により所定の精製処理が行われる。これにより、第4純水が精製され、第5純水が得られる。
【0132】
第4実施形態の水処理装置1Cにより起動された電気式脱イオン装置8は、精製能力が安定するまで一定時間初期運転を行う。つまり、第4実施形態の水処理装置1Cは、電気式脱イオン装置8においても、所定の水質が得られるように第5の初期運転を行わせる。第5の初期運転は、所定時間行われる。
【0133】
第5の初期運転時に精製された第5純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、初期リターンライン85を介して給水タンク4に戻される。つまり、第5の初期運転時に精製された第5純水は、第5の初期運転中、初期リターンライン85を介して循環される。ここにおいて、第5の初期運転時に精製された第5純水は、初期リターンライン85を介して補助タンク12に戻すようにしてもよい。
【0134】
また、第5純水の精製時に排出された濃縮排水は、第3逆浸透膜装置9a、9bにより濃縮されたものであるため、第2前処理水よりも精製度の高いものである。これにより、濃縮水排水ライン84を介して第5純水と同様に給水タンク4に戻される。つまり、第5純水の精製時に排出された濃縮排水も濃縮水排水ライン84を介して循環される。
【0135】
第5の初期運転が完了すると、第4実施形態の水処理装置1Cは、通常運転を開始する。つまり、初期リターンライン85を封鎖し、第5純水を貯水タンク7に流通させる。貯水タンク7は、第5純水を貯水する。
【0136】
貯水タンク7における第5純水の貯水量が所定の水量(所定の満水レベル)に達すると、第4実施形態の水処理装置1Cは、電気式脱イオン装置8、第3逆浸透膜装置9a、9b及び第1逆浸透膜装置5a、5bの順で運転を停止させる。第4実施形態の水処理装置1Cは、起動中においては、常時、貯水タンク7の貯水量を監視し、貯水タンク7の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると運転要求をし、上述の運転を繰り返す。
【0137】
なお、補助タンク12に所定量以上の貯水量がある場合に運転要求がなされた場合においては、まず、電気式脱イオン装置8における上記の運転を優先させ、補助タンク12の貯水量が所定量未満になった場合に第1及び第3逆浸透膜装置5a、5b、9a、9bを起動させ、上記の運転をさせる。
【0138】
以上の構成を有する第4実施形態の水処理装置1Cによれば、以下の効果を奏する。第4実施形態に係る水処理装置1Cにおいては、補助タンク12を設けることにより、補助タンク12にバッファとして第4純水の所定量を確保することが可能になる。そのため、例えば、第3逆浸透膜装置9a、9bの故障や膜詰まり等により流量低下が生じても、電気式脱イオン装置8でキャビテーションの発生を防止させることが可能になる。また、第3実施形態の水処理装置1Bと比べると、第3逆浸透膜装置9a、9bの処理容量を小さくしても、電気式脱イオン装置8に所定の流量で流通させることが可能になる。
【0139】
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。
【0140】
また、第1実施形態においては、第1補助ライン10cを直接第1接続ライン10bに接続させる構成としたが、本発明においてはこれに限らない。例えば、第1補助ライン10cにおける第1純水の流れ方向を第1接続ライン10bから給水タンク4へ向かう方向のみに規制する逆止弁を第1補助ライン10cに設ける構成としてもよい。第1補助ライン10cにおける第1純水及び/又は第2前処理水の流れ方向を第1接続ライン10bから給水タンク4に向かう方向のみに規制することにより、第2前処理水が給水タンク4から第2逆浸透膜装置6に直接流通されることを防止することが可能になる。そのため、第2逆浸透膜装置6には、常に、第1逆浸透膜装置5a、5bを介した第1純水が流通されることとなる。これにより、高純度の第2純水を得ることが可能になる。
【0141】
また、例えば、第1逆浸透膜装置5a、5bのROモジュール52a、52bが劣化した場合や原水の水質が劣悪なものである場合には、第1補助ライン10cへの第1純水の循環量を調節することにより、第1純水の水質を調整する構成としてもよい。なお、循環量の調整は、第1及び第2逆浸透膜装置5a、5b、6に設けられる加圧ポンプ51a、51b、61の回転数を調節することにより可能となる。
【0142】
更に、第1接続ライン10bに圧力スイッチを取り付け、第1接続ライン10bを流通する第1純水の圧力に応じて、第1補助ライン10cに設けたモータバルブ等の開閉弁の開閉を行う構成としてもよい。つまり、第1逆浸透膜装置5a、5bの故障等により、第1接続ライン10bの圧力が低下した場合には、開閉弁を開放して、給水タンク4から処理水を第2逆浸透膜装置6に給水させる構成としてもよい。
【0143】
なお、前記実施形態においては、第1逆浸透膜装置5a、5b及び第2逆浸透膜装置6の初期運転は、所定時間経過により解除される構成としたが、本発明においてはこれに限らない。例えば、第1補助ライン10c及び初期リターンライン65に水質計を設け、第1純水及び第2純水が所定の水質になることを条件として初期運転を解除させる構成としてもよい。
【0144】
また、前記実施形態においては、第1及び第2精製部として、逆浸透膜(RO膜)を利用した第1及び第2逆浸透膜装置5a、5b、6を用いて説明したが本発明においてはこれに限らない。例えば、逆浸透膜(RO膜)の代わりにナノ濾過膜(NF膜)を利用した濾過装置を用いてもよい。ここで、ナノ濾過膜は、2mm程度より小さい粒子や高分子(分子量が最大数百程度の物質)の透過を阻止することが可能な液体分離膜である。ナノ濾過膜(NF膜)は、濾過機能の点において、限外濾過膜(分子量が1000〜300000程度の物質を濾別可能な膜)と逆浸透膜との中間に位置する機能を有する液体分離膜である。
【0145】
また、前記実施形態においては、2台の第1及び第3逆浸透膜装置5a、5b、9a、9bを並列に配置させて説明したが本発明においてはこれに限らない。第1及び第3逆浸透膜装置5a、5b、9a、9bは、要求される流量に応じて台数及び容量を適宜変更してもよい。例えば、1台の第1及び/又は第3逆浸透膜装置5a、5b、9a、9bを利用したものであってもよく、複数台の第1及び/又は第3逆浸透膜装置5a、5b、9a、9bを利用したものであってもよい。
【0146】
また、前記実施形態においては、1台の第2逆浸透膜装置6を配置させて説明したが、本発明においてはこれに限らない。第2逆浸透膜装置6は、要求される流量に応じて台数及び容量を適宜変更してもよい。例えば、複数台の第2逆浸透膜装置を並列に配置させる構成としてもよい。
【0147】
また、前記実施形態においては、半導体を洗浄する外部機器に純水を供給する水処理装置として説明したが、本発明においてはこれに限らない。例えば、外部機器としては、蒸気ボイラ、温水ボイラ、クーリングタワー、給湯器等の熱機器に純水を供給する水処理装置に用いてもよい。
【0148】
また、第3実施形態においては、第1補助ライン10c及び第2補助ライン10fをそれぞれ独立して設ける構成としたが、本発明においてはこれに限らない。水処理装置1Bは、例えば、図4に示すように、第1補助ライン10cと第2補助ライン10fとを接続する第3補助ライン10hを設ける構成としてもよい。
【0149】
第1補助ライン10cと第2補助ライン10fとを接続する第3補助ライン10hを設けることにより、水処理装置1B’は、例えば、第3逆浸透膜装置9a、9bが故障や膜詰まり等を生じさせた場合においても、電気式脱イオン装置8が第1逆浸透膜装置5a、5bから第1純水の供給を受けることが可能になる。そのため、第2逆浸透膜装置6の空運転を防止することが可能になる。これにより、第2逆浸透膜装置6の流量不足によるキャビテーションの発生を防止させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。
【図2】本発明の第2実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。
【図3】本発明の第3実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。
【図4】本発明の第3実施形態に係る水処理装置の変形例を示すフローシートである。
【図5】本発明の第4実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。
【符号の説明】
【0151】
1 水処理装置
1A、1B、1B’、1C 水処理装置
4 給水タンク(第1貯水タンク)
5a、5b 第1逆浸透膜装置(第1精製部)
6 第2逆浸透膜装置(第2精製部)
10a 供給ライン
10b 第1接続ライン
10c 第1補助ライン
10d 貯水ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を貯水する第1貯水タンクと、
前記第1貯水タンクから供給される前記被処理水を精製して第1処理水を得る第1精製部と、
前記第1精製部の下流側に配設され、前記第1精製部により精製された第1処理水を精製して第2処理水を得る第2精製部と、
前記第1精製部と前記第2精製部とを接続する第1接続ラインと、
前記第1貯水タンクと前記第1接続ラインとを接続させる第1補助ラインと、を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記第2精製部と前記第1貯水タンクとを接続すると共に、前記第1処理水の精製時に前記第2精製部から排出される第1濃縮水を前記第2精製部から前記第1貯水タンクに配水する第1配水ラインを備えることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記第1精製部及び前記第2精製部は、逆浸透膜を利用した精製を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記第1精製部は、逆浸透膜を利用した精製を行い、
前記第2精製部は、イオン交換体を利用した精製を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記第2精製部の下流側に配設され、前記第2処理水を精製する第3精製部と、
前記第2精製部と前記第3精製部とを接続する第2接続ラインと、
前記第1貯水タンクと前記第2接続ラインとを接続させる第2補助ラインと、を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記第2精製部の下流側に配設され、前記第2処理水を精製する第3精製部と、
前記第2精製部と前記第3精製部との間に配設され、前記第2処理水を貯水する第2貯水タンクと、を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記第1貯水タンクと前記第3精製部とを接続すると共に、前記第2処理水の精製時に前記第3精製部から排出される第2濃縮水を前記第3精製部から前記第1貯水タンクに配水する第2配水ラインを備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記第3精製部は、イオン交換体を利用した精製を行うことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の水処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−285565(P2009−285565A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140665(P2008−140665)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】