説明

水分センサー用コネクタ

【課題】成人用オムツに内蔵された水分センサに対して簡単且つ確実に着脱することができる水分センサ用コネクタの提供。
【解決手段】このコネクタ11は、成人用オムツに取り付けられる通信装置に適用される。コネクタ11は、ケーシング13とレバー14とを備える。ケーシング13は、一対の電極接続部材20を備える。電極接続部材20は、ステンレス鋼からなり、先端部に突刺刃25を備えている。電極接続部材20は、レバー14を介して操作される。レバー14が倒伏されると、電極接続部材20の一対のアーム22、23が近接し、レバー14が起立されると、一対のアーム22、23が離反する。一対のアーム22、23が近接すると、突刺刃25がアーム22、23間に配置された水分センサを突き刺す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分センサに接続されるコネクタの構造、特に成人用オムツに搭載される尿センサに連結されるコネクタの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、介護が必要な成人が着用する従来のオムツの斜視図である。このオムツ1に排尿を検知する水分センサ2が内蔵されている。水分センサ2は、細長のシート状に形成されており、これに報知装置3が取り付けられている。報知装置3は、水分センサ2が尿を検出したときに、警告音を発するようになっている。これにより、介護者等は、被介護者の排尿及びオムツ1の取替時期を把握することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来のオムツの平面図である。同図が示すように、水分センサ2は、オムツ1の略中央部に配置されている。水分センサ2は、尿を検知するための一対の電極4、5を備えており、通常は、一対の電極4、5間が電気的に絶縁されている。ただし、この一対の電極4、5は、排尿によって電気的に接続され、導通状態となる。報知装置3は、この電極4、5に接続されるコネクタ6を備えている。そして、このコネクタ6は、一対の電極4、5間に架け渡すように水分センサ2に取り付けられる。排尿により一対の電極4、5が電気的に接続されると、報知装置3は、コネクタ6を介して一対の電極4、5間の導通を検知し、警告音を発する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−55074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記コネクタ6は、水分センサ2に対して確実に固定されている必要がある。なぜなら、被介護者すなわちオムツ1の着用者の体位の変化によって容易にコネクタ6が外れてしまうと、排尿が検知されないからである。その一方、オムツ1の取替時には、コネクタ6が水分センサ2から容易に取り外されるものでなければならない。なぜなら、介護者がコネクタ6を容易にオムツ1から取り外すことができなければ、オムツ1の取替作業を迅速に行うことができず、被介護者に負担を強いることになるからである。
【0006】
本発明は、かかる背景のもとになされたものであって、成人用オムツに内蔵されたシート状の水分センサーに対して簡単且つ確実に固定され、しかも所要時に介護者がきわめて簡単に水分センサから取り外すことができる水分センサ用コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る水分センサ用コネクタは、吸水性シートに導電性インクが印刷されることによって乾燥時に絶縁状態となると共に水分吸収時に導通状態となる一対の電極が形成された水分センサに接続され得る水分センサ用コネクタである。この水分センサ用コネクタは、上記吸水性シートを挟み込むことによって上記一対の電極間に架け渡すように配置される導電性を有する電極接続部材を備える。当該電極接続部材は、上記吸水性シート及び導電性インクを突き刺す突刺刃を備えている。
【0008】
このコネクタが水分センサに取り付けられるときは、水分センサが電極接続部材によって挟み込まれる。これにより、突刺刃が水分センサの吸水性シートを突き刺し、上記電極接続部材が吸水性シートに印刷された一対の電極間に架け渡される。突刺刃が吸水シート及び電極を突き刺すので、水分センサ用コネクタは、簡単に且つ確実に水分センサに固定される。また、突刺刃は吸水性シートを突き刺しているだけであるから、突刺刃は、簡単に吸水性シートから抜き取られる。したがって、吸水性シートから水分センサ用コネクタが容易に取り外される。
【0009】
(2) 上記電極接続部材は、帯状の金属板が略U字状に屈曲されることによって、互いに離反する離反姿勢と近接する近接姿勢との間で弾性的に変位する一対のアームが形成された本体を備えていてもよい。そして、上記突刺刃は、一方のアームの先端部に他方のアーム側へ突出するように設けられ、他方のアームの先端部に上記突刺刃が嵌め込まれる孔部が設けられているのが好ましい。
【0010】
この構成では、電極接続部材が近接姿勢となることにより上記吸水性シート及び電極を突き刺すが、このとき、上記突刺刃が上記孔部に嵌め込まれるので、電極接続部材は、一層確実に上記吸水性シート及び電極に固定される。しかも、この電極接続部材は、弾性的に離反姿勢に変化する。つまり、電極接続部材は、所要時にきわめて簡単に上記吸水性シート及び電極から離反することができる。
【0011】
(3) 上記電極接続部材を収容保持する樹脂製ケーシングが設けられていてもよい。このケーシングに対して倒伏する倒伏姿勢と起立する起立姿勢との間で姿勢変化することができるように当該ケーシングに回動可能に設けられ、起立することによって上記電極接続部材が上記離反姿勢になることを許容し、倒伏することによって上記電極接続部材を近接姿勢に変化させる樹脂製レバーが設けられているのが好ましい。
【0012】
この構成では、水分センサ用コネクタの外周面は樹脂が露出することになる。したがって、水分センサ用コネクタは、人の肌に対して優しく接することができる。しかも、樹脂製レバーが倒伏されることによって上記電極接続部材が近接姿勢となり、これにより、電極接続部材が一層簡単且つ確実に上記吸水性シート及び電極に固定される。一方、樹脂製レバーが起立されることによって上記電極接続部材が上記吸水性シート及び電極から離反し、これにより、電極接続部材が一層簡単に上記吸水性シート及び電極から取り外される。すなわち、樹脂製レバーの起伏動作のみによって、水分センサ用コネクタが水分センサに対して簡単に着脱される。
【0013】
(4) 上記樹脂製レバーは、上記電極接続部材に常時接触して弾性力を受ける接触面を備え、当該接触面は、当該樹脂製レバーが上記起立姿勢である場合に上記電極接続部材の弾性力によって当該起立姿勢に保持され、上記倒伏姿勢である場合に上記電極接続部材の弾性力によって当該倒伏姿勢に保持されるように形成されているのが好ましい。
【0014】
この場合、樹脂製レバーは、トグルを構成する。したがって、上記電極接続部材の姿勢変化がなお一層容易なものとなる。
【0015】
(5) 上記樹脂製レバーは、指掛部を備えているのが好ましい。
【0016】
この指掛部が設けられることにより、樹脂製レバーの操作がより簡単になる。
【0017】
(6) 上記樹脂製ケーシングの底面に複数の突起が形成されているのが好ましい。
【0018】
この水分センサ用コネクタは、典型的には成人用オムツに搭載された水分センサに取り付けられるものであるから、水分センサ用コネクタが使用されているときは、上記樹脂製ケーシングが人体に触れることも多い。その場合、この樹脂製ケーシングの底面、すなわち、人体に触れる面に複数の突起が形成されていれば、樹脂製ケーシングと人体との間に隙間が形成され、通気性が向上する。これにより、長時間にわたって樹脂製ケーシングが人体に触れていても、皮膚がかぶれたりすることが防止される。
【0019】
(7) 上記樹脂製ケーシング及び樹脂製レバーの外縁部は、面取加工がなされているのが好ましい。
【0020】
これにより、樹脂製ケーシング及び樹脂製レバーは、人体に一層優しく接する。
【0021】
(8) 上記樹脂製ケーシングの縦方向寸法は、25mm以上45mm以下に設定され、横方向寸法は、35mm以上60mm以下に設定され、高さ方向寸法は、5mm以上15mm以下に設定されているのが好ましい。
【0022】
樹脂製ケーシングが上記サイズに設定されることにより、例えば、成人用オムツを着用する者が痴呆であっても、容易に口内に挿入等されることがない。
【0023】
(9) 上記突刺刃は、上記本体にスポット溶接されているのが好ましい。
【0024】
これにより、突刺刃が簡単且つ確実にしかも安価に取り付けられるという利点がある。
【0025】
(10)上記電極接続部材は、ステンレス鋼から構成されるのが好ましい。
【0026】
これにより、水分センサが尿センサとして使用されたときに、尿が電極接続部材に付着した場合であっても、電極接続部材が容易に腐食されることはない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、突刺刃が吸水性シートを突き刺すことによって水分センサ用コネクタは確実に水分センサに固定され得る。しかも、突刺刃は吸水性シートを突き刺しているだけであるから、容易に吸水性シートから抜脱され、これにより、水分センサ用コネクタは、水分センサから容易に取り外される。したがって、上記水分センサが尿センサとして成人用オムツ等に使用された場合に、上記水分センサ用コネクタを成人用オムツに着脱する作業が簡単になる。その結果、オムツが必要な成人を介護する者は、オムツの取替作業を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る水分センサ用コネクタを備えた通信装置の斜視図である。
【0030】
この通信装置10は、典型的には成人用オムツに装着される。例えば介護が必要な痴呆老人が成人用オムツを使用し、これを介護者が定期的に取り替える。成人用オムツの取り替えは、排尿等の後に直ちに行われるべきであるが、排尿等の時期は、従来から排尿報知装置によって介護者に知らされるようになっている。排尿報知装置は、排尿等の時期をブザー等で報知するが、このブザーを作動させる信号は、上記通信装置10から送信される。
【0031】
詳述すれば、一般に成人用オムツは、尿の存在を検知する水分センサを備えている。この水分センサは、一対の電極を備えている(図6参照)。水分センサは、吸水性シートに導電性インクが印刷されることにより構成される。吸水性シートは、例えば和紙が採用される。導電性インクは、例えば銀ペーストが採用される。吸水性シートが乾燥状態にあるときは、一対の電極間が絶縁状態となり、排尿等により吸水性シートが水分を含んだときは、一対の電極間が導通状態となる。通信装置10は、このように上記一対の電極が導通状態となったタイミングを検出し、これに基づいて上記ブザーを作動させる信号を出力するようになっている。
【0032】
図1が示すように、この通信装置10は、上記成人用オムツに備えられた水分センサに着脱されるコネクタ11(水分センサ用コネクタ)と、このコネクタ11に接続された発信器12とを備えている。コネクタ11と発信器12とは、コード16によって接続されている。
【0033】
コネクタ11は、ケーシング13と、ケーシング13に設けられたレバー14とを備えており、このレバー14は、ケーシング13に対して回動することができるようになっており、後述のように、ケーシング13と協働して水分センサを挟持すると共に当該水分センサと電気的に接続されるようになっている。
【0034】
図2は、コネクタ11の斜視図である。
【0035】
図2が示すように、上記レバー14は、一対の脚部21を備えており、この脚部21が支持軸15を介してケーシング13に取り付けられている。脚部21は、支持軸15を中心に回動することができ、これにより、ケーシング13に対して回動自在となっている。すなわち、レバー14は、図1が示すようにケーシング13に対して倒伏した姿勢と、図2が示すようにケーシング13に対して起立した姿勢との間で姿勢変化自在となっている。ケーシング13に対して倒伏した姿勢は、「倒伏姿勢」と定義され、ケーシング13に対して起立した姿勢は、「起立姿勢」と定義される。
【0036】
ケーシング13は、樹脂からなる。ケーシング13は、全体として薄肉の直方体状に形成されている。ただし、ケーシング13の周面(外縁部)は、面取加工がなされており、滑らかな曲面に形成されている。このため、上記介護者や被介護者は、ケーシング13を触ったときに滑らかで肌に優しい感触が得られるようになっている。図2が示すように、ケーシング13の手前側に段部17が形成されている。そして、この段部17に連続してケーシング13の内奥部に一対の端子収容部18が設けられている。この端子収容部18は、上記段部17の壁面19に連続してケーシング13の内奥側に形成された収容空間から構成されている。上記レバー14の一対の脚部21は、この端子収容室18に嵌め込まれている。
【0037】
各端子収容部18に、それぞれ、電極接続部材20が嵌め込まれている。この電極接続部材20は、上記レバー14の下方に配置されている。具体的には、レバー14の脚部21の下方に配置され、この脚部21に常時接触している。後に詳述されるが、この電極接続部材20は、細長帯状の部材が略U字状に屈曲ないし湾曲されることにより構成されており、その先端部分が上記端子収容部18から上記段部17側に突出し露出している(図2参照)。
【0038】
図3は、ケーシング13内に配置された電極接続部材20とレバー14の脚部21との位置関係を示す図である。
【0039】
図2及び図3が示すように、上記端子収容部18に嵌め込まれた電極接続部材20は、ステンレス鋼からなる。もっとも、電極接続部材20を構成する材料は、ステンレス鋼に限定されるものではなく、金属板その他の導電性を有するものであれば他のものが採用され得る。本実施形態では、細長帯状のステンレス鋼板が略中央部で湾曲され、全体として略U字状に形成されている。
【0040】
電極接続部材20は、一対のアーム22、23を備えた本体24と、一方のアーム22の先端部に設けられた突刺刃25とを有する。前述のように電極接続部材20が略U字状に形成されていることから、上記一対のアーム22、23は、互いに対向している。本実施形態では、上記突刺刃25は、4本の鋭利な針状部を備えている。この突刺刃25は、一方のアーム22から他方のアーム23側へ突出している。また、他方のアーム23は、図2が示すように、孔部26を備えている。本体24が弾性的に変形し、一方のアーム22が他方のアーム23側へ変位したときは、上記突刺刃25は、後述のようにして孔部26に挿入するようになっている。この突刺刃25もステンレス鋼からなる。本実施形態では、突刺刃25は、スポット溶接により本体24に固着されている。もっとも、突刺刃25が本体24と一体的に設けられていてもよい。
【0041】
電極接続部材20がステンレス鋼からなるので、この電極接続部材20は弾性変形が可能である。すなわち、対向するアーム22、23は、図3の実線が示すように互いに離反した離反姿勢と、図3の二点差線が示すように互いに近接した近接姿勢との間で自由に姿勢変化することができる。そして、対向するアーム22、23が近接姿勢となったときに、上記突刺刃25が上記孔部26に嵌め込まれるようになっている。なお、一対の電極接続部材20に上記コード16が接続されている。したがって、各電極接続部材20間が絶縁状態であるか又は導通状態であるかの判断は、両者間に所定の電圧が印加されることによって容易に行われる。
【0042】
上記レバー14も樹脂からなる。レバー14は、全体として薄肉の板状に形成されている。ただし、レバー14の周面(外縁部)も上記ケーシング13と同様に面取加工がなされ、滑らかな曲面に形成されている。このため、上記介護者や被介護者は、レバー14を触ったときに滑らかで肌に優しい感触が得られるようになっている。
【0043】
上記レバー14は、前述のように倒伏姿勢と起立姿勢との間で姿勢変化する。そして、レバー14が起立姿勢にあるときは、すなわち、図3においてレバー14の脚部21が実践で示される姿勢にあるときは、一方のアーム22が他方のアーム23から離反する。また、レバー14が倒伏姿勢にあるときは、すなわち、図3においてレバー14の脚部21が二点差線で示される姿勢にあるときは、一方のアーム22が他方のアーム23に近接する。
【0044】
詳述すれば、脚部21は、上記アーム22に接触する接触面27、28を備えている。レバー14が起立姿勢にあるときは、接触面27がアーム22に接触する。このとき、接触面27は、アーム22から所定の弾性力を受けることになる。図3が示すように、レバー14を支持する上記支持軸15は、接触面27がアーム22に接触している状態で、当該接触面27の中央よりも後方側に配置されている。したがって、レバー14が起立姿勢にあるときは、当該レバー14は、支持軸15を中心として左回りに回動する方向に付勢されることになる。つまり、レバー14は、当該起立姿勢に保持される。一方、レバー14が倒伏姿勢にあるときは、接触面28がアーム22に接触する。このとき、接触面28は、アーム22から所定の弾性力を受けることになる。レバー14を支持する上記支持軸15は、図3が示すように接触面28がアーム22に接触している状態で、当該接触面28の中央よりも前方側に配置されている。したがって、レバー14は、支持軸15を中心として右回りに回動する方向に付勢されることになる。つまり、レバー14は、当該倒伏姿勢に保持される。
【0045】
図1及び図2が示すように、レバー14の中央部に指掛部29が形成されている。この指掛部29は、レバー14の上縁部30が膨出されることにより構成されている。この指掛部29が設けられることにより、レバー14が倒伏姿勢にあるときでも(図1参照)、例えば介護者が容易に指をレバー14に掛けることができる。したがって、レバー14の操作が簡単になる。
【0046】
図4は、コネクタの拡大斜視図であって、ケーシング13の裏面31の構造が詳細に示されている。
【0047】
本実施形態では、ケーシング13の裏面31(底面)に複数の突起32が形成されている。この突起32は、球状に形成されており、これにより、上記介護者や被介護者が突起32に触れたときに、滑らかで肌に優しい感触が得られるようになっている。もっとも、突起32の形状は、球状に限定されるものではなく、要するに、介護者等が触ることにより、強い刺激を受けることがない形状であればよい。また、本実施形態では、突起32は、上記裏面31に略均等に配置されているが、突起32の数量も特に限定されるものではない。
【0048】
また、図1が示すように、ケーシング13の外形寸法は、縦寸法aが35mm、横寸法bが44mm、高さ寸法cが10mmに設定されている。もっとも、上記縦寸歩aは、25mm以上45mm以下に設定され、横寸法bは、35mm以上60mm以下、高さ寸法cは、5mm以上15mm以下に設定され得る。ケーシング13がかかる寸法に設定されることによる作用効果については後述される。
【0049】
図1が示すように、発信器12は、前述のように上記コネクタ11と接続されている。発信器12は、従来から一般的に使用されている既知のものである。発信器12は、図示されていない電圧装置を内蔵しており、この電圧装置は、上記一対の電極接続部材20間に一定の電圧を印加する。そして、発信器12は、一対の電極接続部材20間に流れる電流を測定し、この電流の大きさが予め定められた所定値以上となったときに上記ブザーを作動させる信号を出力する。
【0050】
この通信装置10は、次の要領で使用される。
【0051】
まず、上記コネクタ11が上記水分センサを備えた成人用オムツに取り付けられる。このとき、コネクタ11は、水分センサを電極接続部材20によって挟み込んで保持する。つまり、例えば介護者がコネクタ11のレバー14を操作して起立姿勢に変化させる。さらに、介護者は、上記水分センサを上記電極接続部材20のアーム22、23間に配置し、レバー14を倒伏姿勢へ変化させる。これにより、突刺刃25が水分センサの吸水性シートを突き刺し、電極接続部材20が吸水性シートに印刷された一対の電極間に架け渡される。このように、突刺刃25が吸水シート及び電極を突き刺すので、上記コネクタ11は、簡単に且つ確実に水分センサに固定される。また、突刺刃25は吸水性シートを突き刺しているだけであるから、この突刺刃25は、簡単に吸水性シートから抜き取られる。したがって、コネクタ11は、吸水性シートから容易に取り外される。すなわち、この通信装置10は、上記コネクタ11を備えているから、このコネクタ11を成人用オムツに着脱する作業が簡単になる。その結果、オムツが必要な成人を介護する者は、オムツの取替作業を迅速に行うことができる。
【0052】
特に本実施形態に係るコネクタ11は、上記電極接続部材20が上記吸水性シート及び電極を突き刺すが、このとき、一方のアーム22に設けられた突刺刃25が他方のアーム23に設けられた孔部26に嵌め込まれるので、電極接続部材20は、一層確実に上記吸水性シート及び電極を貫き、水分センサに固定される。しかも、この電極接続部材20は、弾性的に変形し、一対のアーム22、23が離反姿勢又は近接姿勢に変化する。したがって、介護者が上記レバー14を起立姿勢に変化させたときは、電極接続部材20は、直ちに上記吸水性シート及び電極から離反するという利点がある。
【0053】
また、本実施形態では、コネクタ11が樹脂から構成されるので、コネクタ11は、人の肌に対して優しく接することができる。しかも、介護者は、レバー14を起立させ又は倒伏させる動作のみによって、きわめて簡単にコネクタ11を水分センサに対して着脱することができるという利点もある。
【0054】
さらに、前述のように、レバー14は、上記起立姿勢であるときは電極接続部材20の弾性力によって当該起立姿勢に保持され、一方、上記倒伏姿勢であるときは電極接続部材20の弾性力によって当該倒伏姿勢に保持される。すなわち、レバー14は、上記接触面27、28が形成されることによってトグルを構成する。したがって、電極接続部材20の姿勢変化が容易且つ確実なものとなるうえ、介護者等が意図しないときにレバー14が起立姿勢となってコネクタ11が水分センサから外れてしまうことが防止される。
【0055】
上記レバー14が上記指掛部29を備えているので、例えば介護者は、レバー14の操作をより簡単に行うことができる。
【0056】
また、コネクタ11のケーシング13の裏面31に複数の突起32が形成されているから、当該ケーシング13の裏面31の通気性が向上する。詳述すれば、このコネクタ11は、前述のように介護が必要な成人用のオムツに取り付けられるものであるから、このコネクタ11がオムツに取り付けられているときは、上記ケーシング13が人体に触れることも考えられる。その場合、このケーシング13の裏面31に上記時32が形成されることによって、当該ケーシング13と人体との間に隙間が形成され、通気性が向上する。これにより、長時間にわたってケーシング13が人体に触れていても、皮膚がかぶれたりすることが防止される。
【0057】
前述のように、上記ケーシング13及びレバー14の外縁部が曲面状に形成されていることから、介護者等にとってコネクタ11を触ったときに滑らかな感触が得られるという利点がある。しかも、ケーシングの外形寸法が前述のように設定されているから、例えば、成人用オムツを着用する者が痴呆であっても、コネクタ11は、容易に口内に挿入等されることがなく、安全性が高い。
【0058】
加えて、上記アーム22に設けられた突刺刃25は、上記本体24にスポット溶接されているから、当該突刺刃25は、簡単且つ確実にしかも安価に本体24に固定されるという利点がある。
【0059】
さらに、電極接続部材20がステンレス鋼から構成されているので、上記水分センサが尿センサとして使用されたときに、尿が電極接続部材20に付着した場合であっても、電極接続部材20が容易に腐食されることはないという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、水分センサに着脱されるコネクタ及びこれを備えた通信装置に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る水分センサ用コネクタを備えた通信装置の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る水分センサ用コネクタの斜視図である。
【図3】図3は、発明の一実施形態に係るコネクタのケーシング内に配置された電極接続部材とレバーの脚部との位置関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るコネクタの拡大斜視図である。
【図5】図5は、介護が必要な成人が着用する従来のオムツの斜視図である。
【図6】図6は、従来のオムツの平面図である。
【符号の説明】
【0062】
10・・・通信装置
11・・・コネクタ
12・・・発信器
13・・・ケーシング
14・・・レバー
15・・・支持軸
16・・・コード
17・・・段部
18・・・端子収容部
19・・・壁面
20・・・電極接続部材
21・・・脚部
22・・・アーム
23・・・アーム
24・・・本体
25・・・突刺刃
26・・・孔部
27・・・接触面
28・・・接触面
29・・・指掛部
30・・・上縁部
31・・・ケーシングの裏面
32・・・突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性シートに導電性インクが印刷されることによって乾燥時に絶縁状態となると共に水分吸収時に導通状態となる一対の電極が形成された水分センサに接続され得る水分センサ用コネクタであって、
上記吸水性シートを挟み込むことによって上記一対の電極間に架け渡すように配置される導電性を有する電極接続部材を備え、
当該電極接続部材は、上記吸水性シート及び導電性インクを突き刺す突刺刃を備えている水分センサ用コネクタ。
【請求項2】
上記電極接続部材は、
帯状の金属板が略U字状に屈曲されることによって、互いに離反する離反姿勢と近接する近接姿勢との間で弾性的に変位する一対のアームが形成された本体を備え、
上記突刺刃は、一方のアームの先端部に他方のアーム側へ突出するように設けられ、
他方のアームの先端部に上記突刺刃が嵌め込まれる孔部が設けられている請求項1に記載の水分センサ用コネクタ。
【請求項3】
上記電極接続部材を収容保持する樹脂製ケーシングと、
ケーシングに対して倒伏する倒伏姿勢と起立する起立姿勢との間で姿勢変化することができるように当該ケーシングに回動可能に設けられ、起立することによって上記電極接続部材が上記離反姿勢になることを許容し、倒伏することによって上記電極接続部材を近接姿勢に変化させる樹脂製レバーとを備えた請求項2に記載の水分センサ用コネクタ。
【請求項4】
上記樹脂製レバーは、上記電極接続部材に常時接触して弾性力を受ける接触面を備え、
当該接触面は、当該樹脂製レバーが上記起立姿勢である場合に上記電極接続部材の弾性力によって当該起立姿勢に保持され、上記倒伏姿勢である場合に上記電極接続部材の弾性力によって当該倒伏姿勢に保持されるように形成されている請求項3に記載の水分センサ用コネクタ。
【請求項5】
上記樹脂製レバーは、指掛部を備えている請求項3又は4に記載の水分センサ用コネクタ。
【請求項6】
上記樹脂製ケーシングの底面に複数の突起が形成されている請求項3から5のいずれかに記載の水分センサ用コネクタ。
【請求項7】
上記樹脂製ケーシング及び樹脂製レバーの外縁部は、面取加工がなされている請求項3から6のいずれかに記載の水分センサ用コネクタ。
【請求項8】
上記樹脂製ケーシングの縦方向寸法は、25mm以上45mm以下に設定され、横方向寸法は、35mm以上60mm以下に設定され、高さ方向寸法は、5mm以上15mm以下に設定されている請求項3から7のいずれかに記載の水分センサ用コネクタ。
【請求項9】
上記突刺刃は、上記本体にスポット溶接されている請求項2から8のいずれかに記載の水分センサ用コネクタ。
【請求項10】
上記電極接続部材は、ステンレス鋼からなる請求項1から9のいずれかに記載の水分センサ用コネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−132703(P2007−132703A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323660(P2005−323660)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(502361979)株式会社アワジテック (8)
【Fターム(参考)】