説明

水分散性配合物中の改良された透明度を有するスルホポリエステル及びそれから製造された製品

5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールの反応生成物からの繰り返し残基単位を含むスルホポリエステルは、a)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.030よりも大きい酸度、b)スルホポリエステルの量基準で、27ppmよりも低い、金属として測定してチタン濃度又はc)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)として測定して0.010よりも大きい酸度、6.0よりも小さいpH及び0.0335モル/kg(スルホポリエステル)よりも小さい塩基の濃度から選択された、少なくとも1種の性質を有する。本発明の水分散性又は水散逸性スルホポリエステルの製造方法が開示される。0.001〜35重量%の本発明のスルホポリエステルを有する水性分散液も開示される。このスルホポリエステルは、ポンプ又はエーロゾルスプレーアプリケーターに適しているヘアスプレー配合物を製造する際に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2004年9月1日出願の米国特許出願第60/606,700号の、前に出願された特許出願(その全部の開示を参照して本明細書に含める)に対する利益を請求する。
【0002】
本発明は、水分散性又は水散逸性(water-dissipative)スルホポリエステル及びそれから製造された製品に関する。更に詳しくは、本発明の一つの面は、スルホポリエステルの1g当たり、0.030よりも大きい酸の水素イオンミリ当量(meqH+/g)を有する、水分散性又は水散逸性のスルホポリエステルに関する。本発明の他の面は、その中に分散された35重量%以下の水散逸性スルホポリエステルを有する水性分散液であって、分散液が0.030meqH+/gよりも大きい酸度を有する水性分散液である。本発明の更に他の面は、0.5重量%〜35重量%のスルホポリエステルを有し、そして20NTUよりも小さい改良された透明度を有する、本発明の分散液から製造されたヘアスプレー配合物である。
【背景技術】
【0003】
エーテル基及びスルホネート基を含有し、グリコール残基及びジカルボン酸残基並びに芳香族核に結合され、そして金属塩の形であるスルホネート基を含有する少なくとも1種の二官能性コモノマーを有する、水分散性又は水散逸性のスルホポリエステル及びポリエステルアミドは、当業者に公知である。特に、このようなスルホポリエステルは、水性分散液中に、好ましくは約80℃よりも低い温度で、溶解、分散又は他の方法で散逸させることができ、そして接着剤、被覆材料、フィルム、包装材料及び他の製品に於ける有用性を有する。例えば、特許文献1には、グリコール成分又は残基、ジカルボン酸成分又は残基及び二官能性スルホモノマー成分を有するスルホポリエステルが開示されている。当業者は、本明細書及び結論づける特許請求の範囲で使用する用語「残基(residue)」又は「成分」が、部分(moiety)が化学種から実際に得られたか否かに関わらず、特定の反応図式又は続く配合物若しくは化学製品中の化学種の得られる生成物である部分を指すことを理解するであろう。従って、例えば、ポリエステル中のエチレングリコール残基は、そのポリエステルを製造するためにエチレングリコールが使用されたか否かに関わらず、1個又はそれ以上の−OCH2CH2O−繰り返し単位を指す。
【0004】
特に関心のあるスルホポリエステルは、最終配合物若しくは使用に於いて特別の透明度を必要とする及び/又は予定の長さの時間後に特別の透明度を留めていることを必要とするものである。これに関して、特に有用なスルホポリエステルは、0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有する。このスルホポリエステルは、100モル%のジカルボン酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル(dimethyl-5-sodiosulfoisophthalate)及び74〜80モル%のイソフタル酸を含む二酸残基並びに100モル%のジオール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールを含むジオール残基を有する。35重量%以下のスルホポリエステルを有する水性分散液を製造することができる。しかしながら、このような分散液に付随する問題点は、凝集塊又は沈殿が水性分散液中に形成することである。このような分散液を、ヘアスプレーの製造に於いて使用する場合に、このような凝集塊は、汚染物質が存在しているという印象を与えるであろう。更に、このような凝集塊は、製品の濁り度を増加して、そうでなければ透明な配合物の曇りになり得ることが観察された。
【0005】
【特許文献1】1973年5月22日にCharles Kiblerに対して発行された米国特許第3,734,874号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、水分散性又は水散逸性であり、速い乾燥時間を有するこのようなヘアスプレー配合物のために適しており、そして減少した凝集塊を有し、20NTUよりも小さい改良された透明度を有する、スルホポリエステルについてのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔に言うと、本発明の一つの面は、0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を含有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステル組成物であって、このスルホポリエステルが、a)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度、b)スルホポリエステルの量基準で、金属として測定して、27ppmよりも低いチタン濃度若しくはc)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.010よりも大きい酸度、6.0よりも小さいpH及び0.0335モル/kg(スルホポリエステル)よりも小さいスルホポリエステル製造プロセスに添加された塩基の濃度又はこれらの組合せから選択された、少なくとも1種の性質を有するスルホポリエステル組成物である。このスルホポリエステルの酸度及びpHは、脱イオン水(demineralized water)中の20重量%分散液中で測定したものである。
【0008】
本発明の他の面は、ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度を有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステル組成物の製造方法である。
【0009】
本発明の別の面は、スルホポリエステルの量基準で、27ppmよりも低いチタン濃度を有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステル組成物の製造方法である。
【0010】
本発明の更に別の面は、ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.010よりも大きい酸度、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液として測定して、6.0よりも小さいpHを有し、そして0.0335モル/kg(スルホポリエステル)よりも小さい、製造プロセスの間にスルホポリエステルに添加された塩基を有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステル組成物の製造方法である。
【0011】
本発明の別の面は、0.001重量%から35重量%まで、好ましくは30重量%までのスルホポリエステルを有する水性分散液であって、スルホポリエステルが、0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、そして100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を有し、そしてこの分散液が、a)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.030よりも大きい酸度、b)スルホポリエステルの量基準で、27ppmよりも低い、金属として測定した、チタン濃度、c)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.010よりも大きい酸度、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液として測定して、6.0よりも小さいpH及び0.0335モル/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基の濃度(この塩基は、製造プロセスの間にスルホポリエステルに添加する)、又はこれらの組合せから選択された、少なくとも1種の性質を有する水性分散液である。好ましい態様に於いて、本発明のスルホポリエステルの20重量%分散液は、4時間よりも長い40℃での加速された凝集時間を有する。
【0012】
本発明の更に他の面は、20よりも小さいNTUを有するヘアスプレー配合物であって、(1)0.5〜12重量%の、0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、そして100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を有するスルホポリエステルであって、このスルホポリエステルは、a)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.030よりも大きい酸度、b)スルホポリエステルの量基準で、金属として測定して27ppmよりも低いチタン濃度、c)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.010よりも大きい酸度、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液として測定して6.0よりも小さいpH及び0.0335モル/kg(スルホポリエステル)よりも小さい、スルホポリエステル製造プロセスに添加された塩基の濃度又はこれらの組合せから選択された、少なくとも1種の性質を有し、そして(2)水/アルコール液体ビヒクル(ここで、このアルコールは、炭素数2〜4の脂肪族直鎖又は分枝鎖の一価アルコールである)を含むヘアスプレー配合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一つの面は、40℃〜50℃のガラス転移温度(Tg)及び0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステル組成物である。スルホポリエステルのインヘレント粘度は、60重量%のフェノール及び40重量%のテトラクロロエタンからなる溶媒100mL当たり、0.50gのポリマーを使用して、23℃で測定する。この水分散性又は水散逸性スルホポリエステルには、二官能性スルホモノマー、少なくとも1種のジカルボン酸及び少なくとも1種のジオールからの繰り返し単位が含有されている。このスルホポリエステルには、100モル%の二官能性スルホモノマー及びジカルボン酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸が含有されている。このスルホポリエステルのジオール成分には、100モル%のジオール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールが含有されている。本発明の組成物のスルホポリエステルは、a)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.030よりも大きい酸度、b)スルホポリエステルの量基準で、金属として測定して、27ppmよりも低いチタン濃度、又はc)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.010よりも大きい酸度、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液として測定して6.0よりも小さいpH及び0.0335モル/kg(スルホポリエステル)よりも小さい、スルホポリエステル製造プロセスに添加された塩基の濃度から選択された、少なくとも1種の性質を有していなくてはならない。当業者は、用語「少なくとも1種の性質」が、スルホポリエステルが、上記の性質(a)〜(c)の組合せを有し得ることを意味することを理解するであろう。有利なことに、迅速凝集方法によって測定したとき、4時間よりも長い凝集時間を有する本発明のスルホポリエステルから、水性分散液を製造できることが、予想外にも見出された。
【0014】
0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を含有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステルを製造する一般的な反応条件は、米国特許第5,660,816号明細書(その全部の開示を、参照して本明細書に含める)に記載されている。水分散性又は水散逸性スルホポリエステル組成物は、イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Company)、テネシー州キングスポート(Kingsport)から、イーストマンAQ(登録商標)48の商品名で入手可能である。
【0015】
上記のジカルボン酸及びジオール構成成分を有し、そしてミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.030よりも大きい酸度を有する、本発明の水分散性又は水散逸性スルホポリエステルを製造する際に、米国特許第5,660,816号明細書に記載されている一般的反応条件が、下記のことを除外して従われる。予定量のpH低下組成物又は化合物(pH-lowering composition or compound)が、1)反応剤を最初に混合する工程、2)オリゴマー又はモノマーを製造する反応剤のエステル化又はエステル交換反応の工程及び3)エステルモノマーの重縮合の工程を含むポリマープロセスの少なくとも1個の工程の間に添加される。用語「少なくとも1個の工程」は、pH低下化合物又は組成物を、プロセスの間の工程の全ての組合せに添加することを含むことが理解されるべきである。これらの工程の任意の1個の間に、プロセスに添加されるpH低下化合物又は組成物の量は、当業者によって容易に決定され、そしてpH低下化合物又は組成物の種類及び濃度に依存性である。好ましくは、pH低下化合物又は組成物は、工程(1)の間、即ち、反応剤の最初の混合時で、エステル化又はエステル交換反応の前に添加する。
【0016】
適切なpH低下化合物又は組成物は、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液中で測定して、pHを低下させることができ、HCl、HBr、HI、HClO4、H2SO4、HNO3、スルホン酸、亜硫酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及びこれらの混合物を含む。好ましいpH低下化合物又は組成物は、硫酸水素ナトリウム、H2SO4、硫酸ナトリウム及びこれらの混合物を含む。添加される酸は、3〜100重量%、好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは5〜20重量%、最も好ましくは5〜10重量%の濃度を有していてよい。しかしながら、当業者は、pH低下化合物又は組成物の濃度が、二次的であり、スルホポリエステルから製造された分散液の所望の酸度及び/又はpHを達成するための任意の濃度であってもよいことを理解するであろう。
【0017】
望ましくは、ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定した、上記のプロセスによって製造されたスルホポリエステルの酸度は、0.030〜0.060、好ましくは0.030〜0.055、更に好ましくは0.030〜0.045、最も好ましくは0.030〜0.040である。ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定した、スルホポリエステルの酸度は、最初にスルホポリエステルを水中に分散させることによって決定される。この分散液には、5〜35重量%のスルホポリエステルが含有されていてよく、好ましくは、20〜30重量%のスルホポリエステルが含有されている。この分散液は、水を40℃〜50℃に加熱し、急速に攪拌しながらスルホポリエステルを添加し、そしてスルホポリエステルが水中に分散されるまで、温度をこの範囲内に維持することによって製造することができる。室温にまで冷却した後、スルホポリエステル分散液を、既知の0.05〜0.1の規定度の水中の水酸化ナトリウムで、好ましくは0.05N溶液を使用して滴定する。滴定の終点は、電位差計によって決定する。
【0018】
本発明の他の面は、0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を含有し、そしてスルホポリエステルの量基準で、27ppmよりも低い、金属として測定した、チタン濃度を有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステルを製造する組成物及び方法である。スルホポリエステルの量基準で、27ppmよりも低いチタン濃度を有するスルホポリエステル組成物を製造するための一般的なプロセス条件は、下記のことを除外して、米国特許第5,660,816号明細書に記載されている。反応剤に添加され、そして得られるスルホポリエステル生成物中に存在する、金属として測定したチタンの量は、スルホポリエステルの量基準で27ppm(100万当たりの部)よりも低い。望ましくは、反応剤に添加され、そして得られるスルホポリエステル生成物中に存在する、金属として測定したチタンの量は、5ppm〜27ppm、更に好ましくは15ppm〜25ppmである。
【0019】
本発明の別の面は、0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を含有し、そしてミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.010よりも大きい酸度、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液として測定して、6.0よりも小さいpH及び0.0335当量/kg(スルホポリエステル)よりも小さい、スルホポリエステル製造プロセスに添加された塩基の濃度を有する、スルホポリエステルを製造する組成物及び方法である。適切な塩基には、これらに限定するものではないが、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びこれらの混合物が含まれる。本発明のこのスルホポリエステルを製造する一般的な方法は、下記、即ち、1)一般的にa)反応剤を最初に混合する工程、b)オリゴマー又はモノマーを製造する反応剤のエステル化又はエステル交換反応の工程及びc)エステルモノマーの重縮合の工程を含むプロセスの少なくとも1個の工程の間に、或る量のpH低下化合物を任意に添加することができること並びに2)スルホポリエステル製造プロセスに添加される塩基の量が、0.0335当量/kg(スルホポリエステル)よりも少ないことを除外して、米国特許第5,660,816号明細書に記載されている。
【0020】
好ましくは、スルホポリエステルの酸度は、ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.010〜0.085、更に好ましくは0.019〜0.060、最も好ましくは0.019〜0.040の範囲である。スルホポリエステルの酸度は、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液中で測定する。
【0021】
好ましくは、スルホポリエステルのpHは、3.0から6.0未満、更に好ましくは3.5〜5.95、最も好ましくは3.8〜5.95の範囲である。スルホポリエステルのpHは、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液中で測定する。
【0022】
スルホポリエステル製造プロセスに添加する塩基化合物の量は、0.0335当量/kg(スルホポリエステル)よりも小さい、好ましくは0.0258当量/kg(スルホポリエステル)よりも小さい、更に好ましくは0.0200当量/kg(スルホポリエステル)よりも小さい、最も好ましくは0.010当量/kg(スルホポリエステル)よりも小さい。pH低下化合物の上記の濃度範囲、pH及びスルホポリエステルに添加する塩基化合物の量は、明示的に記載されたものの間の全ての範囲及び濃度を含むことが理解されるべきである。更に、酸度、pH及びスルホポリエステルに添加する塩基化合物の量は、それらのそれぞれの範囲又は濃度内で独立に調節することができることが理解されるべきである。
【0023】
望ましいスルホポリエステル組成物は、0.010〜0.085ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度を有し、pHは3.0〜6.0であり、そして塩基化合物の濃度は0.0258当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い。更に望ましくは、スルホポリエステル組成物は、0.019〜0.060ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度、3.5〜5.95のpH及び0.0200当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度を有する。最も望ましくは、スルホポリエステル組成物は、0.019〜0.040ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度、3.8〜5.95のpH及び0.0100当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度を有する。ここで、スルホポリエステルの酸度及びpHは、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液中で測定し、そして添加した塩基化合物の量はスルホポリエステル製造プロセスへのものである。
【0024】
本発明の別の面は、0.001重量%から35重量%までの本発明のスルホポリエステルを有する水性分散液であって、水性分散液が、1)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度、2)スルホポリエステルの量基準で、27ppmよりも低い、金属として測定した、チタン濃度、3)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.010よりも大きい酸度、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液として測定した、6.0よりも小さいpH及び0.0335当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度から選択された、少なくとも1種の性質を含有する水性分散液である。有利には、本発明の水性分散液(群)は、4時間よりも長い、好ましくは7時間よりも長い、迅速凝集方法によって決定されたときの凝集時間を有する。
【0025】
本発明の水性分散液の製造に於いて、予定量の本発明のスルホポリエステル組成物を、水と混合して、0.001重量%〜35重量%のスルホポリエステルを有する水性分散液を製造する。更に特に、a)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度、b)スルホポリエステルの量基準で、金属として測定して、27ppmよりも低いチタン濃度又はc)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.010よりも大きい酸度、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液として測定して、6.0よりも小さいpH及び0.0335当量/kg前記の(スルホポリエステル)よりも低い、スルホポリエステル製造プロセスに添加された塩基化合物の濃度から選択された、少なくとも1種の性質を含有する、本発明の水分散性又は水散逸性スルホポリエステル組成物(群)は、1)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度、2)スルホポリエステルの量基準で27ppmよりも低い、金属として測定した、チタン濃度、3)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.010よりも大きい酸度、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液として測定した、6.0よりも小さいpH及びスルホポリエステル製造プロセスに添加した、0.0335当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度から選択された、それぞれ少なくとも1種の性質を有する水性分散液(群)を製造するのに使用される。従って、簡潔にするために、前記のそれぞれのスルホポリエステルから製造された水性分散液には、1)0.030〜0.060ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の好ましい酸濃度、0.030〜0.055ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の更に好ましい酸濃度及び0.030〜0.045ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の最も好ましい酸濃度、2)スルホポリエステルの量基準で、5〜27ppmの、金属として測定した、好ましいチタン濃度及び15〜25ppmの更に好ましいチタン濃度並びに/又は3)i)0.010〜0.085ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の好ましい酸度、3.0〜6.0のpH及び0.0258当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物、ii)0.019〜0.060ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の更に好ましい酸度、3.5〜5.95のpH及び0.020当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物並びにiii)0.019〜0.040ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の最も好ましい酸度、3.8〜5.95のpH及び0.010当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物を有する分散液が含まれ、ここで、酸度及びpHは、脱イオン水中の20%スルホポリエステル分散液として測定し、そして塩基は、製造プロセスの間にスルホポリエステルに添加する。好ましい態様に於いて、塩基は酢酸ナトリウムである。
【0026】
望ましくは、水は、30℃〜60℃の温度を有する、脱イオン水、例えば、蒸留水又は脱イオン水である。好ましくは、この水は、40℃〜55℃、更に好ましくは40℃〜50℃、最も好ましくは40℃〜45℃の温度を有する。
【0027】
ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度を有するスルホポリエステル水性分散液を製造する他の方法には、予定量の、イーストマン・ケミカル社から入手可能なスルホポリエステル、イーストマンAQ(登録商標)48を用意する工程、予定量の水を予定量の酸と混合して、酸溶液を形成する工程及びこのスルホポリエステルをこの酸溶液に添加して、ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度を有する分散液を製造するための、35重量%以下のスルホポリエステルを有する水性分散液を製造する工程が含まれる。望ましくは、35重量%水性分散液を製造するために添加する酸は、HCl、HBr、HI、HClO4、H2SO4、HNO3、硫酸水素ナトリウム、スルホン酸、酢酸、リン酸、亜リン酸、亜硫酸、トリクロロ酢酸、サリチル酸、フタル酸、亜硝酸、乳酸、ヨウ素酸、ギ酸、クエン酸、酒石酸及びクロロ酢酸からなる群から選択される。好ましい酸は、HCl、硫酸水素ナトリウム、H2SO4、リン酸、酢酸、サリチル酸、乳酸、ギ酸、酒石酸及びクエン酸である。更に好ましくは、水性分散液に添加される酸は、硫酸水素ナトリウム、硫酸及びこれらの混合物から選択される。
【0028】
本発明の更に別の面は、0.5〜95重量%、好ましくは1.0〜60重量%、更に好ましくは1.0〜45重量%、最も好ましくは5〜40重量%の、本発明のスルホポリエステル水性分散液(群)及び55重量%以下のアルコールを有する水/アルコール液体ビヒクルを含む、20よりも小さいNTUを有するヘアスプレー配合物であって、このアルコールが、炭素数2〜4の脂肪族直鎖又は分枝鎖の一価アルコールであり、重量%がヘアスプレー配合物中の構成成分の全重量基準であるヘアスプレー配合物である。
【0029】
生水には、一般的に、スルホポリエステル成分を沈殿させるかもしれないイオンが含有されているので、蒸留水又は脱イオン水が好ましい水の原料でる。好ましくは、アルコールがヘアスプレー配合物の重量基準で55重量%よりも少ない量で存在する、水/アルコール混合物を使用する。このアルコールは、液体ビヒクルとして水のみで製造された配合物に比較して、髪上での配合物のより速い乾燥をもたらす。このアルコールは、炭素数2〜4の脂肪族直鎖又は分枝鎖の一価アルコールである。イソプロパノール及びエタノールが、好ましいアルコールである。しかしながら、ポンプヘアスプレー配合物中に、追加の成分が使用される場合、液体ビヒクルの量は、比例的に減少するであろう。
【0030】
例えば、ヘアスプレー配合物に、更に0.5〜10重量%の、水溶性、水分散性、水/アルコール可溶性又は水/アルコール分散性のポリマー又は共樹脂(co-resin)が含有されていてよい。当業者は、幾つかの酸性の共樹脂が、水−アルコールブレンド中に可溶性になるために、塩基、例えば、アミノメチルプロパノールでの中和を必要とすることを認めるであろう。用語「水溶性」は、水100g当たり少なくとも1g、即ち、1%の溶解度、好ましくは少なくとも5重量%の溶解度を有し、そして液体ビヒクル中に可溶性又は他の方法で分散性でなくてはならない、任意の材料を指す。逆に、用語「水不溶性」は、水100g当たり1g未満、即ち、1重量%未満のレベルで不溶性である物質を指す。溶解度又は分散度は、環境条件(例えば、25℃の温度及び大気圧)で決定される。好ましくは、水溶性又は水/アルコール可溶性のポリマー又は共樹脂は、1,000〜2,000,000の重量平均分子量を有し、そしてアルキルビニルエーテル、アクリル酸アルキル、ビニルエステル、n−ビニルラクタム、アルキルアクリルアミド、半ビニルエステル/半アミド、無水マレイン酸の半エステル、ビニルピロリドン、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸並びにアクリル酸、クロトン酸及びメタクリル酸のエステル並びにこれらの混合物からなる群から選択された、少なくとも1種のビニルモノマーから製造される。この水溶性ポリマー又は樹脂は、米国特許第5,662,893号明細書(その開示を、参照して本明細書に含める)に更に詳細に記載されている。好ましい水/アルコール可溶性又は水/アルコール分散性のポリマーには、アミノメチルプロパノールのような塩基によって中和されたオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーが含まれる。水溶性、水/アルコール可溶性又は水/アルコール分散性のポリマーは、全配合物の、0.5重量%〜10重量%、一般的に0.5重量%〜5重量%、好ましくは0.5重量%〜4重量%のレベルで使用される。このポリマーの重量平均分子量は、臨界的ではなく、一般的に、1,000〜2,000,000の範囲内である。
【0031】
本発明のヘアスプレー配合物を、エーロゾルスプレーの形で使用するとき、エーロゾル配合物には噴射剤が含まれるであろう。噴射剤は、エーロゾルのために一般的に使用される任意の液化可能ガスであってもよい。噴射剤として使用するために適している材料の例は、クロロジフルオロメタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン、ジメチルエーテル、C1〜C4炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、n−ブタン及びイソブタン並びにこれらの混合物である。水溶性ガス、例えばジメチルエーテル、二酸化炭素及び/又は酸化窒素も、減少した引火性を有するエーロゾルを得るために使用することができる。好ましくは、噴射剤は、1,1−ジフルオロエタン、ジメチルエーテル又はこれらの組合せである。噴射剤の量は、典型的に、組成物の全重量基準で、10〜55重量%、好ましくは20〜45重量%である。しかしながら、噴射剤及びアルコールの合計量は、55重量%を超えてはならない。
【0032】
このヘアスプレー配合物には、また、このような配合物を一層受け入れられるようにするために適している、種々の他の任意の成分が含有されていてもよい。このような一般的な任意の成分は、当業者に公知である。例えば、本発明のヘアスプレー配合物には、また、0.01〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の非揮発性シリコーン化合物又は他のコンディショニング剤(群)、好ましくは、水不溶性乳化性コンディショニング剤が含有されていてもよい。好ましい非揮発性シリコーン化合物はジメチコーン(dimethicone)コポリオールである。非揮発性ジメチコーンコポリオールは、本発明の配合物に、髪上へのヘアスプレー液滴の良好な展開及び改良された櫛とき性を与えるために十分な量で添加される。
【0033】
本発明の水性配合物には、また、一般的なヘアスプレー補助剤が、一般的に0.01〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%の範囲内である量で含有されていてもよい。使用することができる添加物の中には、可塑剤、例えばグリコール、フタル酸エステル及びグリセリン;シリコーン;エモリエント;滑剤及び浸透剤、例えば種々のラノリン化合物;タンパク質加水分解物及び他のタンパク質誘導体;エチレン付加物及びポリオキシエチレンコレステロール;染料、染髪剤及び他の着色剤並びに香料がある。
【実施例】
【0034】
本発明を、下記に示す特別の実施例によって更に詳細に例示する。これらの実施例は、例示的態様であり、本発明の限定であることを意図しておらず、むしろ付属する特許請求の範囲の範囲及び内容内で広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。実施例中の全ての部及びパーセント(%)は、他の方法で記載しない限り重量基準である。
【0035】
例1(実施例)
本発明に従ったスルホポリエステルを、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、5−ソジオスルホイソフタル酸及びイソフタル酸を、容器に添加し、そして攪拌して、均一なブレンドを得ることによって製造した。酢酸ナトリウムを、このブレンドに、1ポンド当たり0.0036ポンド(酢酸ナトリウム0.043モル/スルホポリエステルkg)(理論的収量)の比で添加した。理論的収量基準で0.00435meqH+/gスルホポリエステルを与えるような8%硫酸の量を、このブレンドに添加した。或る量のチタン(IV)イソプロポキシド(スルホポリエステルの重量基準で、当量50ppm Ti金属)を、触媒として容器に添加した。エステル交換反応を、窒素雰囲気下で、約210℃〜230℃の温度で、約4時間実施した。重縮合を、2mmHgで270℃で数時間実施した。酸の添加は、スルホポリエステル中の黒色粒子物質の不存在によって証明されるように、如何なる炭化も起こさなかった。
【0036】
例2(比較例)
スルホポリエステルに追加の硫酸を添加しなかった以外は、上記の例1に記載したようにして、スルホポリエステルを製造した。スルホポリエステルの色データを、下記の表Iに示す。
【0037】
【表1】

【0038】
例3及び4(比較例)
上記比較例2の方法によって製造したスルホポリエステルの選択されたサンプルを、44℃及び54℃に加熱した水中に分散させて、スルホポリエステルの30重量%濃度を有する分散液を製造した。44℃で製造した分散液の酸度を、水酸化ナトリウム溶液を使用する滴定によって測定した。それぞれのスルホポリエステル分散液を、室温で貯蔵し、そして毎日観察して、凝集が起こるための時間を決定した。更に、それぞれの分散液を、それを製造した同じ日に使用して、5重量%のスルホポリエステル及び55重量%のエタノールを含有する水性アルコール溶液を製造した。この分散液の濁り度を、ハッチ2100N ISラボラトリー(Hach 2100N IS Laboratory)比濁計を使用して、計器メーカーによって与えられた手順を使用して、NTUで測定した。その結果を下記の表IIに示す。
【0039】
【表2】

【0040】
例5〜16(実施例)
例5〜14について、上記例1の方法によって製造したスルホポリエステルの選択されたサンプルを、44℃及び54℃に加熱した水中に分散させて、スルホポリエステルの30重量%濃度を有する分散液を製造した。例15及び16について、スルホポリエステルは、添加した8%硫酸の量が、0.0210meqH+/gスルホポリエステルであった以外は、例1の方法によって製造した。44℃で製造した分散液の酸度を、水酸化ナトリウム溶液を使用する滴定によって測定した。それぞれの分散液を観察して、凝集が起こるための時間の長さを決定した。更に、それぞれの分散液を、それを製造した同じ日に使用して、5重量%のスルホポリエステル及び55重量%のエタノールを含有する水性アルコール分散液を製造した。その結果を下記の表IIIに示す。
【0041】
【表3】

【0042】
これらの結果は、特にヘアスプレー配合物に於いて、0.030meqH+/gスルホポリエステルのグラムよりも大きい酸度を有するスルホポリエステル又はスルホポリエステルの分散液を製造することの利点を示している。従って、製造の間にスルホポリエステルに酸を添加すること又は他の方法でスルホポリエステルの酸度を増加させること若しくは分散液の酸度を増加させることは、凝集が起こるための時間を延長する。
【0043】
例17(実施例)
エーロゾルヘアスプレー配合物を、下記のようにして製造した。アミノメチルプロパノール(0.27g、AMP−95)を、30.8gの無水SDA−40B(特に変性したアルコール)に添加し、そして混合した。ナショナル・スターチ社(National Starch)からの樹脂であるバランス(Balance)47(1.53g)を、攪拌しながらゆっくり添加し、そして溶解するまで混合した。別の容器内で、54℃で製造した例15のスルホポリエステル/水分散液20.6gを、46.9gの水で希釈した。次いで、バランス47/アルコール溶液を、攪拌しながらスルホポリエステル分散液に添加した。この混合物(29.0g)を、ガラスエーロゾル容器内で、23.6mLのジメチルエーテル噴射剤と混合した。このエーロゾルヘアスプレーは、透明で、沈殿を含有していなかった。
【0044】
例18〜58(実施例)
下記の例に於いて、凝集時間は、加速凝集方法を使用して決定した。加速凝集方法を使用してスルホポリエステル及び分散液を評価する際に、スルホポリエステルの20重量%濃度を有する分散液を、或る量のスルホポリエステルを、約42℃に加熱した水中に、急速に攪拌しながら分散させることによって製造した。スルホポリエステルのより高い濃度を有する分散液に対して、20%濃度で凝集塊がより速く形成するので、20%濃度を選択した。次いで、約50mLの20%スルホポリエステル水性分散液を、約半インチ(1.27cm)直径を有するバイアルの中に注いだ。このバイアルに蓋をして、これを40℃のオーブン内に入れた。次いで、サンプルを30分間観察して、凝集が起こるための時間を決定した。
【0045】
下記の例に於いて、異なった量のpH低下化合物、即ち、酸、チタン(金属として)及び酢酸ナトリウム(塩基)を添加した以外は、例1に記載したようにして、スルホポリエステルを製造した。それぞれのサンプルは、表IVに於いて特定されたような、金属としてのチタンの濃度、添加された酢酸ナトリウム並びに測定された酸度レベル及びpHを有していた。それぞれのスルホポリエステルの20重量%濃度を有する分散液を製造し、そしてそれぞれについて凝集時間を、前記の加速凝集方法に従って決定した。それらの結果を下記の表IVに示す。
【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
例59〜73(実施例)
下記の例に於いて、それぞれ例34〜42及び53〜58のスルホポリエステルを、5重量%の特定されたスルホポリエステル及び55重量%のエタノールを有する溶液に配合した。この溶液について、NTUで測定された濁り度を、下記の表Vに示す。
【0049】
【表6】

【0050】
本発明を詳細に説明して、当業者は、本明細書に開示し、記載した本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明の種々の面に対して修正を行うことができることを認めるであろう。従って、本発明の範囲は、例示され、記載された特別の態様に限定されることは意図されず、本発明の範囲は付属する特許請求の範囲及びそれらの均等物によって決定されることが意図される。更に、本明細書中に示された、全ての特許、特許出願、刊行物及び参考文献は、本発明の実施に関係のある全ての開示について、それらの全部を参照して含められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を含有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステルであって、このスルホポリエステルが、
a)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度、
b)スルホポリエステルの量基準で、金属として測定して、27ppmよりも低いチタン濃度又は
c)ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.010よりも大きい酸度、6.0よりも小さいpH及び0.0335モル/kg(スルホポリエステル)よりも小さい塩基化合物の濃度
から選択された、少なくとも1種の性質を有し、酸度及びpHは、脱イオン水中の20%スルホポリエステル分散液中で測定され、そして前記塩基化合物の量がスルホポリエステル製造プロセスの間に添加されたものであるスルホポリエステル。
【請求項2】
0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を含有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステルであって、このスルホポリエステルが、ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.030よりも大きい酸度(脱イオン水中の20%スルホポリエステル分散液中で測定)を有するスルホポリエステル。
【請求項3】
0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を含有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステルであって、このスルホポリエステルが、スルホポリエステルの量基準で、27ppmよりも低い、金属として測定したチタン濃度を有するスルホポリエステル。
【請求項4】
0.24〜0.60dL/gのインヘレント粘度を有し、100モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及びイソフタル酸基準で、20〜26モル%の5−ソジオスルホイソフタル酸ジメチル及び74〜80モル%のイソフタル酸と、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコール基準で、10〜30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び90〜70モル%のジエチレングリコールとの反応生成物の繰り返し残基単位を含有する、水分散性又は水散逸性スルホポリエステルであって、このスルホポリエステルが、ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して、0.010よりも大きい酸度、6.0よりも小さいpH及び0.0335当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度を有し、酸度及びpHが、脱イオン水中の20%スルホポリエステル分散液中で測定され、そして前記塩基化合物の量がスルホポリエステル製造プロセスの間に添加されたものであるスルホポリエステル。
【請求項5】
前記酸度が0.030〜0.060である請求項2に記載のスルホポリエステル。
【請求項6】
前記酸度が0.030〜0.055である請求項2に記載のスルホポリエステル。
【請求項7】
前記酸度が0.030〜0.045である請求項2に記載のスルホポリエステル。
【請求項8】
前記チタン濃度が、スルホポリエステルの量基準で、金属として測定して、5〜27ppmである請求項1又は3に記載のスルホポリエステル。
【請求項9】
前記チタン濃度が、スルホポリエステルの量基準で、金属として測定して、15〜25ppmである請求項8に記載のスルホポリエステル。
【請求項10】
前記酸度が0.010〜0.085ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)であり、pHが3.0〜6.0であり、そして塩基化合物の濃度が0.0258当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い請求項1又は4に記載のスルホポリエステル。
【請求項11】
前記酸度が0.019〜0.060ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)であり、pHが3.5〜5.95であり、そして塩基化合物の濃度が0.0200当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い請求項10に記載のスルホポリエステル。
【請求項12】
前記酸度が0.019〜0.040ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)であり、pHが3.8〜5.95であり、そして塩基化合物の濃度が0.0100当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い請求項10に記載のスルホポリエステル。
【請求項13】
a)反応剤を混合する工程、b)モノマーを製造する反応剤のエステル化又はエステル交換反応の工程及びc)重縮合の工程を含んでなり、予定量のpH低下化合物を、ポリマープロセスの前記工程の少なくとも1個の間に添加する請求項2に記載の水分散性又は水散逸性スルホポリエステルの製造方法。
【請求項14】
a)反応剤を混合する工程、b)モノマーを製造する反応剤のエステル化又はエステル交換反応の工程及びc)重縮合の工程を含んでなり、予定量のpH低下化合物を、ポリマープロセスの前記工程の少なくとも1個の間に添加する請求項5に記載の水分散性又は水散逸性スルホポリエステルの製造方法。
【請求項15】
前記pH低下化合物を反応剤の最初の混合の間に添加する請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記pH低下化合物を反応剤のエステル化又はエステル交換反応の間に添加する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記pH低下化合物をエステルモノマーの重縮合の間に添加する請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記pH低下化合物がHCl、HBr、HI、HClO4、H2SO4、HNO3、スルホン酸、亜硫酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記pH低下化合物が硫酸水素ナトリウム、H2SO4、硫酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項15に記載の方法。
【請求項20】
予定量のチタンを反応剤に添加することを含んでなり、それによって、スルホポリエステル生成物に、スルホポリエステルの量基準で、金属として測定して、27ppmよりも低いチタンが含有される請求項3に記載の水分散性又は水散逸性スルホポリエステルの製造方法。
【請求項21】
反応剤に添加された、金属として測定したチタンの量が、スルホポリエステルの量基準で5ppm〜27ppmである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
反応剤に添加された、金属として測定したチタンの量が、スルホポリエステルの量基準で15ppm〜25ppmである請求項20に記載の方法。
【請求項23】
a)反応剤を混合する工程、b)モノマーを製造する反応剤のエステル化又はエステル交換反応の工程及びc)重縮合の工程を含んでなり、予定量の塩基化合物を、ポリマープロセスの前記工程の少なくとも1個の間に添加する請求項1に記載の水分散性又は水散逸性スルホポリエステルの製造方法。
【請求項24】
a)反応剤を混合する工程、b)モノマーを製造する反応剤のエステル化又はエステル交換反応の工程及びc)重縮合の工程を含んでなり、予定量の塩基化合物を、ポリマープロセスの前記工程の少なくとも1個の間に添加する請求項4に記載の水分散性又は水散逸性スルホポリエステルの製造方法。
【請求項25】
更に、或る量のpH低下化合物を、前記工程の少なくとも1個に添加して、スルホポリエステルの酸度を0.010〜0.085ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)にすることを含んでなり、pHが3.0〜6.0未満であり、そしてスルホポリエステル製造プロセスに添加される塩基化合物の量が0.0258当量/kg(スルホポリエステル)よりも低く、そしてスルホポリエステルの酸度及びpHが、脱イオン水中の20重量%スルホポリエステル分散液中で測定される請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
添加されるpH低下化合物の量が、スルホポリエステルの酸度を、0.019〜0.060ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)にし、そしてスルホポリエステルプロセスに添加される塩基化合物の量が、0.0200当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い請求項25に記載の方法。
【請求項27】
添加されるpH低下化合物の量が、スルホポリエステルの酸度を、0.019〜0.040ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)にし、そしてスルホポリエステルプロセスに添加される塩基化合物の量が0.0100モル/kg(スルホポリエステル)よりも低い請求項25に記載の方法。
【請求項28】
添加されるpH低下化合物がHCl、HBr、HI、HClO4、H2SO4、HNO3、スルホン酸、亜硫酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記pH低下化合物が硫酸水素ナトリウム、H2SO4、硫酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
pHが3.5〜5.95であり、そして塩基化合物が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記分散液が、0.030ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)よりも大きい酸度(脱イオン水中の20%スルホポリエステル分散液として測定)を有する、0.001重量%〜35重量%の請求項2に記載のスルホポリエステルを含んでなる水性分散液。
【請求項32】
前記分散液が0.030〜0.060ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度を有する請求項31に記載の水性分散液。
【請求項33】
前記分散液が0.030〜0.055ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度を有する請求項31に記載の水性分散液。
【請求項34】
前記分散液が0.030〜0.045ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度を有する請求項31に記載の水性分散液。
【請求項35】
前記分散液が、スルホポリエステルの量基準で、27ppmよりも低い、金属として測定されたチタン濃度を有する、0.001重量%〜35重量%の請求項3に記載のスルホポリエステルを含んでなる水性分散液。
【請求項36】
前記分散液が、スルホポリエステルの量基準で、5〜27ppmの、金属として測定したチタン濃度を有する請求項35に記載の水性分散液。
【請求項37】
前記分散液が、スルホポリエステルの量基準で、15〜25ppmの、金属として測定したチタン濃度を有する請求項35に記載の水性分散液。
【請求項38】
前記分散液が、ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)で測定して0.010ミリよりも大きい酸度、6.0よりも小さいpH及び0.0335モル/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度を有し、そして酸度及びpHが、脱イオン水中の20%スルホポリエステル分散液として測定され、塩基化合物の量が、スルホポリエステル製造プロセスの間に添加される、0.001重量%〜35重量%の請求項4に記載のスルホポリエステルを含んでなる水性分散液。
【請求項39】
前記分散液が0.010〜0.085ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度、3.0〜6.0のpH及び0.0258当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度を有する請求項38に記載の水性分散液。
【請求項40】
前記分散液が、0.019〜0.060ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度、3.5〜5.95のpH及び0.0200当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度を有する請求項38に記載の水性分散液。
【請求項41】
前記分散液が、0.019〜0.040ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)の酸度、3.8〜5.95のpH及び0.0100当量/kg(スルホポリエステル)よりも低い塩基化合物の濃度を有する請求項38に記載の水性分散液。
【請求項42】
a.予定量のスルホポリエステルを用意する工程、
b.予定量の水を予定量の酸と混合して、酸溶液を形成する工程及び
c.スルホポリエステルと酸溶液とを混合して、35重量%以下のスルホポリエステルを有する水性分散液を製造する工程
を含んでなる方法によって製造されたスルホポリエステル0.001重量%〜35重量%を有する水性分散液であって、前記水性分散液が0.030ミリ当量H+/g(スルホポリエステル)よりも大きい酸度を有する分散液。
【請求項43】
前記酸が硫酸水素ナトリウム、H2SO4、HCl、酢酸、サリチル酸、乳酸、ギ酸、酒石酸、クエン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記酸がHCl、硫酸水素ナトリウム、硫酸及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記分散液が、加速凝集塊形成手順を使用して測定して、4時間よりも長い凝集時間を有する請求項31、35、38又は42の何れか1項に記載の水性分散液。
【請求項46】
前記分散液が15〜30重量%のスルホポリエステルの濃度を有する請求項45に記載の水性分散液。
【請求項47】
ヘアスプレー配合物中の構成成分の全重量基準で、
a.0.5〜95重量%の請求項31に記載の水性分散液及び
b.55重量%以下の炭素数2〜4の直鎖又は分枝鎖の一価アルコールを含んでなるヘアスプレー配合物。
【請求項48】
ヘアスプレー配合物中の構成成分の全重量基準で、
a.0.5〜60重量%の請求項35に記載の水性分散液及び
b.55重量%以下の炭素数2〜4の直鎖又は分枝鎖の一価アルコールを含んでなるヘアスプレー配合物。
【請求項49】
ヘアスプレー配合物中の構成成分の全重量基準で、
a.0.5〜60重量%の請求項38に記載の水性分散液及び
b.55重量%以下の炭素数2〜4の直鎖又は分枝鎖の一価アルコールを含んでなるヘアスプレー配合物。
【請求項50】
水性分散液の濃度が1.0〜45重量%である請求項47、48又は49に記載のヘアスプレー配合物。
【請求項51】
水性分散液の濃度が1.0〜45重量%である請求項50に記載のヘアスプレー配合物。
【請求項52】
水性分散液の濃度が5〜40重量%である請求項50に記載のヘアスプレー配合物。
【請求項53】
前記ヘアスプレー配合物が20NTUよりも小さい濁り度を有する請求項52に記載のヘアスプレー配合物。

【公表番号】特表2008−511724(P2008−511724A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529976(P2007−529976)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029451
【国際公開番号】WO2006/028680
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】