説明

水浄化システムおよび方法

【課題】従来技術の問題を解決できる、浄水再循環ループを備えるタイプの水浄化システムを提供する。
【解決手段】本発明は、水浄化システム100に関し、この水浄化システム100は、水入口101によって1つのポイントで浄化されるべき水が供給され、浄水の少なくとも1つの出口ユースポイント102(を有する)、閉じた水再循環ループ106を含み、水の流れ方向に、入口ポイントの下流側にポンプ輸送手段103および少なくとも1つの出口ポイント102の上流側に水浄化手段150をループ上に(さらに)含み、水浄化システム100が、2つの独立の弁、すなわち、ポンプ輸送手段103の上流側にループ上の第1の弁130と、少なくとも1つのユースの出口ポイント102の上流側に第2の弁120とを含むことを特徴とする。本発明は、また水浄化方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水浄化システムにある。より正確には、本発明は、浄水再循環ループを備えるタイプの水浄化システムにある。本発明は、また、このシステムを使用した水浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの応用例は、特に生化学および化学分析実験室では、超純水の使用を必要とする。水浄化システムは、この目的のために構成された。
【0003】
これらの応用例が必要とする水の容積に応じて、浄化システムは、それらの最大の処理スループットで、最大の処理能力より極めて小さいスループットで、または時にはスループットなしでさえ、浄水を分配することを必要とする。さらに、いくつかの場合では、浄水の所定の容量を供給することが必要であり、したがって、ユーザが一定の容量の充填を監視する必要なく、一定の容量の分配を自動化できることが有益である。この種類のシステムにおけるスループットのこれらの変動は、多くの問題を、その純度を損なう特に水の停滞の問題を引き起こす。
【0004】
したがって、問題は、必要に応じて、
例えば、容器をできるだけ速く満たすために、浄水を最大処理スループットで分配し、
例えば、容器内の水のレベルを調整するために、浄水を非常に低いスループットで分配し、
例えば、容器を満たし、同時に、選択された動作モードによらず、またいつでも、特に水がしばらくの間、取り出されなかった場合に、可能なかぎり最高な水の品質を与えるために、一定の容積の水が分配されるようにプログラムすることによって、浄水を自動的に(容積モード)分配するように構成された、水浄化システムを構成することである。
【0005】
この技術的問題に対していくつかの解決方法が提案された。それらの解決方法は、一般に、水浄化システムを提供し、この水浄化システムは、1つのポイントで入口によって浄化されるべき水が供給され、かつ少なくとも1つの浄水のユースポイント出口をもつ水再循環ループと、ループ内に、入口ポイントの(水循環方向に対して)下流側に配置されたポンプ輸送手段および少なくとも1つの出口ポイントの上流側に配置された水浄化手段とを含む。再循環ループの構成は、水の停滞に関連する問題を回避し、ユーザがユースポイントでいつでも浄水を得ることを可能にしながら、システム内に水を永続的に循環させるための効果的な方法である。
【0006】
この種のシステムの第1の従来技術タイプは、出口ポイントおよび/または再循環ループに水を迂回させるために手動で動作される三方出口弁を含む。したがって、ユーザは、高スループットまたは低スループットで、同時に、水浄化手段を通る一定の流れを維持しながら、ユースポイントに浄水を分配することができる。
【0007】
このタイプの弁は手動であるので、それは所定の容積を満たすための自動分配モードを提供することができない。
【0008】
従来技術の水浄化システムの別のタイプは、出口のところに常時閉(NC)の流路および常時開(NO)の流路を備える、開閉タイプの三方ソレノイド弁を含む。
【0009】
分配スループットを調節する可能性はないけれども、このソレノイド弁は、ユーザが所定の容積を自動的に供給することを可能にする。
【0010】
1つの解決方法は、電磁的に制御された比例三方弁を使用して、容積モードにおける動作を引き起こすことであろう。しかし、このタイプの弁は、高価で、かさばり、かつ複雑である。この場合、容積分配モードは、弁の再循環位置から分配位置への急速な変化を強制し、応答時間および弁の慣性が、供給される容積の精度を決定する。
【0011】
さらに、すべての三方弁は、2つ(またはそれ以上)のユースポイントの同時の使用を除外する。
【0012】
従来技術システムの第3のタイプは、分配ポンプと、手動二方弁または二方ソレノイド弁と、ばね荷重式チェック弁とを再循環ループ内に含む。これは、ユーザが選択されたスループットで、同時にフィルタ手段内の一定の流れを維持しながら、浄水を分配することを可能にし、使用されない水はチェック弁を介して再循環させられる。このシステムでは、開閉タイプのソレノイド弁の解決方法の場合には、ユーザは、所定の容積を自動的に(容積モード)分配することができる。可変速度モータを備える分配ポンプの場合、どのようなスループットをもつ分配も可能であるが、水処理手段内の流れの変動を引き起こす。したがって、この後者の解決方法は、上で示されたような容積の動作モードを提供する。このタイプのシステムでは、ユースポイントは、フィルタを備えている。
【0013】
上記のタイプのシステムは、文献WO98/052874に詳細に説明されている。
【0014】
二方弁および事前荷重式チェック弁を備えるこのタイプのシステムについての問題は、処理手段の最大処理スループットにおいて、ユースポイントのフィルタ内に引き起こされた水頭損失が、チェック弁を開かせ、再循環ループ内のいくらかの水がそれを通ることを可能にし、システムの性能および容積分配機能を低下させることがあることである。さらに、このタイプのシステムでは、再循環モードにおいて、浄水が、チェック弁の較正圧力で再循環され、したがって、処理手段が加圧されたままで、スループットのピークが、分配弁が開いたときに起こることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第98/052874号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1094037号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/126972号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、これらの不利な点を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様は、水浄化システムを提案し、この水浄化システムは、水入口によって1つのポイントで浄化されるべき水が供給され、かつ浄水の少なくとも1つの出口ユースポイントを有する水再循環ループを含み、水の流れ方向に、入口ポイントの下流側にポンプ輸送手段および少なくとも1つの出口ポイントの上流側に水浄化手段をループ上にさらに含み、水浄化システムは、2つの独立の弁、すなわち、
ポンプ輸送手段の上流側にループ上の第1の弁と、
少なくとも1つのユースポイントの出口ポイントの上流側に第2の弁とを含むことを特徴とする。
【0018】
したがって、本発明は、2つの二方弁を使用することを提案し、それらの一方の二方弁は、追加の背圧装置(例えば事前荷重式チェック弁)なしで、再循環ループ内に、また他方の二方弁は、処理手段からの出口の下流側で、浄水を分配するために使用される。
【0019】
適用可能な場合には、組み合わせることができる本発明の好ましい特徴によれば、
2つの弁は、常時閉(NC)の流路をもつタイプのソレノイド弁であり、
システムは、ユーザインタフェースを含む、弁のための弁制御ユニットをさらに含み、
弁制御ユニットは、ユーザによって供給されたデータを保存する記憶装置をさらに含み、
水浄化システムは、浄化流体入口と3つの出口とを含む流体回路用のディストリビュータまたはマニホルドを形成する液圧連結器を含み、液圧連結器の入口は、パイプによって第1の出口に直接連結され、第2のパイプが、前記入口と前記第1の出口との間で第1のパイプに液圧的に連結され、かつシステムの他の2つの出口を形成する2つの端部をもつ第3のパイプに連結され、
水浄化システムは、液圧連結器の下流側で一緒になる2つの平行な枝管を含み、
2つの平行な枝管は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ四フッ化エチレンなどの熱可塑性材料から作製される。
【0020】
本発明は、上記の種類のシステムを使用する方法にも関し、この方法は、処理手段によって処理されたすべての水を再循環させるために、再循環弁と呼ばれる第1の弁を開くステップと、分配弁と呼ばれる第2の弁を閉めるステップとを含む。
【0021】
適用可能な場合には、組み合わせることができる本発明の好ましい特徴によれば、方法は、
低スループットで浄水を分配させるために、第1または再循環弁を開くステップと、分配弁と呼ばれる第2の弁を開くステップと、
高スループットで浄水を分配させるために、第1または再循環弁を閉じるステップと、分配弁と呼ばれる第2の弁を開くステップと、
ユーザによってユーザインタフェースに入力された供給されるべき浄水の容積に関する値を獲得するステップと、その値を制御ユニットの記憶装置に記憶するステップと、入力された容積の水を自動的に分配するステップとをさらに含み、瞬間的に分配弁を開け、また再循環弁を閉じることによって、再循環モードから分配モードへの急速な変化が得られる。
【0022】
二方の開閉タイプ常時閉(NC)ソレノイド弁が使用された場合、これは4つの状態の組合せ、すなわち各々がシステムの異なる動作モードに対応する、開−開、開−閉、閉−開、閉−閉を提供するので好ましい。
【0023】
この技術的解決方法は、上述の水浄化システムのためのすべての必要条件を満たすと同時に、経済的で使用が容易で保守が簡単な構成を提案する。特に、それは、上述の3つのモードにおける動作を提供する。
【0024】
再循環弁が開き、分配弁が閉じている再循環モードでは、水は、システムによって分配されず、出口弁は閉じている。したがって、処理手段を出て行くすべての水は、再循環弁を介して処理手段に再循環される。
【0025】
低スループット分配モード(滴状速度に等しいまたはそれに近いスループット)では、両方の弁は開いており、浄水を低スループットで分配し、再循環ループ内の残りの水を再循環させる。分配される製造された水の割合は、構成ならびに分配および再循環パイプの断面に応じる。
【0026】
高スループット分配モード(分配ポンプによって与えられる公称スループットに等しいスループット)では、再循環弁は閉じ分配弁は開いている。再循環はもはや可能ではなく、すべての処理された水は、分配弁を介して分配される。
【0027】
最後に、両方の弁が同時に閉じられる、2つの弁の状態の4番目の組合せは、4番目の動作モード、すなわち、分配ポンプが停止し、水処理ユニットがユースポイントから完全に分離された、アイドル位置モードをもたらす。
【0028】
このモードは、システムのメンテナンス、例えば、水処理手段の構成要素の交換のために使用される。
【0029】
適用可能な場合には、他のものと組み合わせることができる本発明の好ましい特徴によれば、ソレノイド弁制御システムは、再循環モードと、次に高スループットモードとを続けて組み合わせる、正確な事前設定された水の量を分配するための容積自動モードを有することができる。この容積動作モードでは、瞬間的に分配弁を開き、再循環弁を閉じることによって、再循環モードから分配モードへの急速な変化が得られる。これは、スループット、および容積の分配モードに変える前の再循環モードにおける水の品質を安定させ、これらの機能は、自動的にシステムによって制御される。
【0030】
本発明の第2の態様は、流体浄化システムの流体回路用のディストリビュータまたはマニホルドを形成し、かつ浄化流体入口と3つの出口をもつ液圧連結器を提案し、入口は、パイプによって3つの出口の第1の出口に直接連結され、第2のパイプが、前記入口と前記第1の出口との間で第1のパイプに液圧的に連結され、かつ連結器の他の2つの出口を形成する2つの端部をもつ第3のパイプに連結される。
【0031】
適用可能な場合には、組み合わせることができる本発明の好ましい特徴によれば、
液圧連結器は、対称的なパイプワークの構成要素であり、
第1のパイプは、その入口の断面より小さい出口の断面をもち、第3のパイプの2つの出口の断面は異なり、
第1のパイプの入口および出口の断面は、第3のパイプのそれぞれの出口の断面にほぼ等しく、
第2のパイプの断面は、連結器の第1の出口の断面より小さいかまたはそれに等しい。
【0032】
本発明は、水浄化システムにさらに関し、この水浄化システムは、水処理手段と、浄水の少なくとも1つのユースポイントとを含む浄水再循環ループを含み、水浄化システムは、処理手段の下流側に上述の連結器を備え、その連結器の入口は、前記処理手段の出口に連結され、その連結器の1つの出口は、処理手段の上流側で再循環ループに連結され、システムは、ユースポイントで一緒になりかつ連結器の他の2つの出口に連結される2つの平行な枝管を含む。
【0033】
好ましくは、再循環ループに連結された装置の出口は、前記第1のパイプによって入口に直接連結された装置の前記第1の出口とは別の出口である。
【0034】
適用可能な場合には、他のものと組み合わせることができる本発明の有利な態様によれば、処理手段の出口の後で、連結器の下流側の水浄化システムは、水浄化手段の下流側の2つの異なるポイントで、再循環ループに連結される2つの平行な枝管を備え、ユースポイントの入口で一緒になる。
【0035】
本発明の好ましい態様によれば、ループは、前記2つの平行な分岐枝管をそれに連結するための再循環ループ内に、H字形状のディストリビュータ(またはマニホルド)を形成し、かつH字形状のディストリビュータの中央部分を介して再循環ループの連続性を保証する、液圧連結器を有利に含む。
【0036】
この好ましい実施形態では、2つの平行な枝管は、上で説明された再循環弁および分配弁のそれぞれの状態によって様々な機能をもつ。
【0037】
したがって、本発明のこの好ましい実施形態では、再循環モードにおいて、再循環弁が開き、分配弁が閉じる場合、ディストリビュータの構成およびディストリビュータの入口および出口で得られる相対圧力のために、2つの平行な枝管は、好ましくはメインの再循環ループのスループットより小さいスループットを備える2次再循環ループのように振る舞う。2次再循環ループのスループットは、ディストリビュータの幾何学的形状および関連する流体回路の幾何学的形状に応じる。
【0038】
低スループット分配モードでは、両方の弁が開いており、2つの平行な枝管は単一の枝管のように振る舞い、それぞれが浄水をユースポイントに供給する。再循環される水に対する分配される水と割合は、部分的には水パイプの断面に応じ、また詳細にはH字形状の構成要素の幾何学的形状に応じる。
【0039】
高スループット分配モードでは、2つの平行な枝管は、単一の枝管のように振る舞い、浄水をユースポイントに供給する。
【0040】
2つの平行な枝管を提供することは、上で説明されたモードにおける2つの弁を備える本発明のシステムの全体の動作を少しも変えない。
【0041】
本発明のこの好ましい実施形態は、H字形状の液圧連結器の使用に限定されず、反対に、それについての原理および利点が上で説明された2つの平行な枝管を備える構成を利用する、当分野の技術者には明らかであろうすべての変形形態を含むことに留意されたい。
【0042】
さらに、2つの平行な枝管を備える構成は、2つの枝管を組み合わせたのと同じスループットをもたらす単一の枝管よりも、それぞれが小さい直径をもつ枝管の使用を可能にすることが理解されるであろう。
【0043】
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびポリ四フッ化エチレン(PTFE)は、このタイプのシステム内で浄水を循環させるためのパイプを作製するために特に適切な材料である。しかし、これらの材料は、特に、浄水を高いスループットで分配する大きな直径をもつ管の形状をとる場合、比較的剛性である。いくつかの応用例では、ユースポイントで浄水を分配するために柔軟な連結を提供することが有益である。この好ましい実施形態では、本発明のシステムの2つの平行な枝管を備える構造は、好ましくはPEまたはPP管から作製され、かつ好ましくは必要な柔軟性をそれらに与えるのに十分に小さな直径であり、同時に、2つの枝管を介して同時に最大のスループットで浄水の分配を可能にするのに十分に大きい直径である、2つの平行な枝管を使用することによって活用される。
【0044】
本発明の特徴および利点が、例示のためかつ非限定的な例として、また添付の図面に関連して与えられた本発明のシステムの1つの実施形態の以下の説明から現れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】再循環モードにおける本発明のシステムの好ましい実施形態の図である。
【図2】高スループット動作モードにおける本発明のシステムの好ましい実施形態の図である。
【図3a】低スループット動作モードにおける本発明のシステムの好ましい実施形態の図である。
【図3b】図3aの好ましい実施形態の変形形態を示す図である。
【図4】水処理手段を示す、前の図で示されたシステムの変形形態の図である。
【図5】ディストリビュータまたはマニホルドを形成する本発明による液圧連結器140の図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
特に図1から3に見られるように、本発明の水浄化システム100は、ソレノイド弁110を介して浄化されるべき水をシステムに供給する水供給ポイント101と、再循環ループ106とを含み、その再循環ループの第1の部分は、ポンプ103と、流量計104と、処理手段150とを含み、その再循環ループの第2の部分は、前記再循環ループ106に2つの別の点で連結したディストリビュータまたはマニホルド140を含み、第1の連結ポイントは、浄水入口であり、第2のポイントは、再循環ループを介して再循環ソレノイド弁130に連結された水出口であり、その再循環ソレノイド弁の出口は、システムの第1の部分に連結される。ディストリビュータ140は、一般にフィルタ107またはフィニシングカートリッジを介して、浄水をユースポイント102に分配するために、ディストリビュータ140の対向する側の分配ソレノイド弁120の入口のところで、端部が一緒になる2つの平行な水パイプにそれぞれ連結された、2つの別の連結端部をさらに含む。
【0047】
フィニシングまたはポリシングカートリッジは、作りだされる水の様々な使用に特定の最終的な浄化をもたらす。
【0048】
浄水に含まれる発熱物質およびヌクレアーゼのレベルを低減させるために、13000ダルトン未満のカットオフをもつ限外フィルタが、ポリシングカートリッジ内に配置される。
【0049】
浄水に含まれる内分泌攪乱物質を低減させるために、特定のタイプの活性炭素が、ポリシングカートリッジ内に配置される。液体クロマトグラフィにおけるベースラインを乱す硼素または珪酸または重金属または有機体の非常に低い濃度を必要とする他の応用例のために、特定の荷電材料(イオン交換樹脂、荷電繊維、合成炭素、C18グラフト材料)が、ポリシングカートリッジ内に配置される。
【0050】
図1は、ソレノイド弁130が開いて、ソレノイド弁120が閉じていることを示し、これらの位置は、それぞれ文字「O」および「C」で表される。弁のこの構成の結果、システムは、再循環モードで動作し、すなわち、浄水は、システムによって分配されず、したがって処理手段を出るすべての水は、ディストリビュータ140を通過し再循環ソレノイド弁130に再び戻る。この場合、ディストリビュータ140のH字形状の構成のために、2つの平行な枝管は、2次再循環ループとして振る舞い、ディストリビュータ140を通過する浄水の一部は、その中での水の循環を保証するために平行な枝管に迂回させられ、浄水の他の部分は、ディストリビュータ140のブリッジ141を介して再循環ループ106に直接送られる。
【0051】
図2では、ソレノイド弁130および120のそれぞれの横の文字「O」および「C」は、システムが、高スループット動作モードで動作していることを示す。この場合、処理手段150によって浄化されたすべての水は、ソレノイド弁120を介してユースポイント102に分配され、再循環ソレノイド弁130は閉じられている。この種のソレノイド弁130および120の構成では、平行な枝管は、単一の枝管のように振る舞い、図2内の矢印で示されるように、浄水はその中を同じ方向に流れる。
【0052】
図3aは、低スループット分配モードにおける同じシステムを示す。したがって、再循環弁および分配弁は、この図内に文字「O」で示されるように開いている。この場合、ディストリビュータ140から出て行く2つの平行な枝管は、単一の枝管のように振る舞い、ソレノイド弁120を介してユースポイントに浄水を供給し、ほとんどの浄水は、ループ106を介して直接ソレノイド弁130に再循環される。
【0053】
別の実施形態では、ばね荷重式チェック弁121が、平行な枝管と分散ソレノイド弁120との間に配置される。この種の別の構成が図3bに示される。この種のチェック弁は、他の動作モードにおけるスループットを低下させることなく、低スループット動作モードにおけるユースポイントでのスループットを低減させる。
【0054】
図4は、水処理手段が示されている図1から図3a、bに表されたものに類似したシステムの図である。したがって、再循環ループ106の第1の部分は、ポンプ103と、流量計104と、前処理ユニット151と、好ましくは185nmの波長で動作するUVランプ152と、フィニシングカートリッジ153と、全有機体含有量(TOC)センサ155に結合され、かつその出口がディストリビュータ140の入口142に連結される比抵抗セル154とを含む。この変形形態では、ディストリビュータ140の出口144は、別のディストリビュータ160の入口に連結され、別のディストリビュータ160は、ディストリビュータ140に類似し、かつ入口162ならびに3つの出口163、164、および165を有し、第2の分配ポイントに水を分配するための分配弁に2つの平行な枝管を介して連結される。他の実施形態では、同じ構成を使用しながら、ディストリビュータの数を増加させ、したがってユースポイントの数を増加させることが考えられる。各ユースポイントは、ユーザの様々な使用に特定のポリシングカートリッジを備えることができる。最後のディストリビュータの出口、ここではディストリビュータ160の出口164は、再循環ソレノイド弁130の上流側で再循環ループ106に連結される。さらに、この好ましい実施形態では、各分配ポイントは、これらのポイントの各々で分配される水に関する情報を示すためのディスプレイ148、168をもつ。このタイプの実施形態では、2人の(またはそれより多い)ユーザが、2つの(またはそれより多い)ユースポイントの各々で同時に水を引き出す場合、高スループットモードが優先し、スループットは、水頭損失に応じて、ユースポイントの各々に分配される。
【0055】
ユーザインタフェースと、ユーザによって供給されたデータを保存する記憶装置とをもつ弁制御ユニット156は、上述の様々の動作モードで、特に容積動作モードにおいてシステムの動作を制御する。
【0056】
図5は、本発明のディストリビュータ140の断面を示す。それは、それらの中心でブリッジ141によって連結された2つの対称なT字形状部材を含む。再循環ループ106に連結されるべき端部142、144は、2つの平行な枝管と協働する端部143、145より大きい直径をもつ。好ましい実施形態では、ブリッジ141の直径は、2つの平行な枝管と協働する端部の直径より幾分小さい。2つの平行な枝管の直径は、好ましくは6mmで、再循環ループと協働する端部の直径は、好ましくは8mmである。
【0057】
この好ましい実施形態では、2つの平行な枝管は、それらが柔軟であることを保証するために、好ましくは4mmの内径をもつPE管からなる。
【0058】
本発明のシステムは、有利には、供給圧力を約34.5kPaから約13.8kPaまで低減させるために、その入口を、圧力調整器を介してタンクまたはループに連結することができる。
【0059】
本発明の範囲から逸脱しない、上で示され説明された本システムの多くの修正形態または変形形態が、当分野の技術者には明らかであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
100 水浄化システム
101 水入口
102 ユースポイント
103 ポンプ
104 流量計
106 再循環ループ
107 フィルタ
110、120、130 ソレノイド弁
121 チェック弁
140 ディストリビュータまたはマニホルド
141 ブリッジ
142、143、144、145 端部
148、168 ディスプレイ
150 処理手段
151 前処理ユニット
152 UVランプ
153 フィニシングカートリッジ
154 比抵抗セル
155 全有機体含有量(TOC)センサ
156 制御ユニット
160 ディストリビュータ
162 入口
163、164、165 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水浄化システム(100)であって、水入口(101)によって1つのポイントで浄化されるべき水が供給され、浄水の少なくとも1つの出口ユースポイント(102)を有する、閉じた水再循環ループ(106)を含み、水の流れ方向に、入口ポイントの下流側にポンプ輸送手段(103)および少なくとも1つの出口ポイント(102)の上流側に水浄化手段(150)をループ上にさらに含み、水浄化システム(100)が、2つの独立の弁、すなわち、
ポンプ輸送手段(103)の上流側にループ上の第1の弁(130)と、
少なくとも1つのユースポイントの出口ポイント(102)の上流側に第2の弁(120)とを含むことを特徴とする水浄化システム(100)。
【請求項2】
2つの弁が、2つの常時閉(NC)の流路を備えるタイプのソレノイド弁であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ユーザインタフェースを含む、弁のための弁制御ユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
弁制御ユニットが、ユーザによって供給されたデータを保存するための記憶装置をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
フィルタまたはポリシングカートリッジが、第2の弁または各第2の弁と、対応する出口ユースポイントまたは各対応する出口ユースポイントとの間に配置されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
処理手段によって処理されたすべての水を再循環させるために、再循環弁と呼ばれる第1の弁を開くステップと、分配弁と呼ばれる第2の弁を閉めるステップとを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の水浄化システムを使用する方法。
【請求項7】
低スループットで浄水を分配させるために、再循環弁と呼ばれる第1の弁を開くステップと、分配弁と呼ばれる第2の弁を開くステップとを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の水浄化システムを使用する方法。
【請求項8】
高スループットで浄水を分配させるために、再循環弁と呼ばれる第1の弁を閉めるステップと、分配弁と呼ばれる第2の弁を開くステップとを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の水浄化システムを使用する方法。
【請求項9】
ユーザによってユーザインタフェースに入力された供給されるべき浄水の容積に関する値を獲得するステップと、前記値を制御ユニットの記憶装置に記憶するステップと、入力された容積の水を自動的に分配するステップとをさらに含み、瞬間的に分配弁を開け、また再循環弁を閉じることによって、再循環モードから分配モードへの急速な変化が得られることを特徴とする、請求項4に記載の水浄化システムを使用する請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
液圧連結器(140)を含み、該液圧連結器(140)が、流体浄化システムの流体回路用のディストリビュータまたはマニホルドを形成し、かつ浄化流体入口と3つの出口をもち、液圧連結器の入口が、パイプによって第1の出口に直接連結され、第2のパイプが、前記入口と前記第1の出口との間で第1のパイプに液圧的に連結され、かつ流体浄化システムの他の2つの出口を形成する2つの端部を有する第3のパイプに連結されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の水浄化システム。
【請求項11】
液圧連結器の下流側で一緒になる2つの平行な枝管を含むことを特徴とする、請求項10に記載の水浄化システム。
【請求項12】
2つの平行な枝管が、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ四フッ化エチレンから作られることを特徴とする、請求項11に記載の水浄化システム。
【請求項13】
水浄化方法であって、
水処理手段を使用して水を浄化するステップと、
再循環ラインに浄水を循環させるステップとを含み、さらに、
低スループットでの分配を得るために、再循環ラインを浄水分配ポイントに連結する浄水分配ラインを開け、浄水再循環ラインを開けるステップと、
高スループットでの分配を得るために、浄水分配ラインを開け、浄水分配ラインの下流側の再循環ラインを閉じるステップとの少なくとも1つを含むことを特徴とする水浄化方法。
【請求項14】
前述のステップとは無関係に、所定の容積の水の分配を得るために、浄水分配ラインを開け、かつ再循環ラインを閉じるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の水浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−125769(P2012−125769A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−70654(P2012−70654)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2007−8917(P2007−8917)の分割
【原出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】