説明

水滴検出装置及び水滴制御装置

【課題】高分子系の透明電極であっても、温度の影響の抑制された好適な水滴量を検出することができる水滴検出装置及び水滴制御装置を提供する。
【解決手段】車両のフロントガラスの室内側に設置された透明な高分子材料からなる互いに対峙する第1及び第2電極3,4と、その静電容量を検出する静電容量検出回路16と、検出された静電容量に基づきフロントガラスに付着する雨滴量を検出する検知回路17と、第1及び第2電極3,4の温度を表す信号を生成する温度検知用電極5と、生成された信号に基づき、検知回路17により検出される雨滴量の第1及び第2電極3,4の温度に基づく変化を緩和するように雨滴量を補正する温度補正回路20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水滴検出装置及び水滴制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水滴検出装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この水滴検出装置は、車両のウインドガラスに設けたITO(インジウム錫酸化物)等の金属系の透明電極を用いてその静電容量変化を検出し、ウインドガラスに付着した雨滴等の水滴量を検出するものである。この場合の透明電極は、温度の影響を受けにくいことから、該透明電極を用いてその静電容量変化を検出すれば、温度の影響の抑制された好適な水滴量の検出が可能である。
【特許文献1】実開平5−62365号公報
【特許文献2】特開平11−119238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年では、例えば特許文献2に記載されるように、高分子系の透明電極も存在する。水滴検出装置にこのような高分子系の透明電極を採用する場合、温度により該透明電極の抵抗値が変化し静電容量も変化することが本出願人により確認されている。これは、透明電極の静電容量と抵抗値との積からなる時定数の影響と考えられる。従って、この静電容量の温度依存性により、水滴量の検出に誤差が生じてしまう。
【0004】
本発明の目的は、高分子系の透明電極であっても、温度の影響の抑制された好適な水滴量を検出することができる水滴検出装置及び水滴制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のウインドガラスの室内側に設置された高分子材料からなる互いに対峙する複数の透明電極と、前記透明電極の静電容量を検出する静電容量検出手段と、前記検出された静電容量に基づき前記ウインドガラスに付着する水滴量を検出する水滴検出手段とを備えた水滴検出装置において、前記透明電極の温度を表す信号を生成する信号生成手段と、前記生成された信号に基づき、前記水滴検出手段により検出される前記水滴量の前記透明電極の温度に基づく変化を緩和するように前記水滴量を補正する補正手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
同構成によれば、前記信号生成手段により、前記透明電極の温度を表す信号が生成される。そして、この信号に基づいて、前記補正手段により、前記水滴検出手段により検出される前記水滴量が前記透明電極の温度に基づく変化を緩和するように補正される。従って、高分子材料からなる前記透明電極であっても、その温度の影響を緩和したより正確な水滴量を検出することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水滴検出装置において、前記信号生成手段は、前記ウインドガラスの室内側に設置され前記透明電極と同じ高分子材料からなる電極を備え、前記透明電極の温度を表す信号として、前記電極の抵抗値を表す信号を生成してなることを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、前記信号生成手段を、前記透明電極と同じ高分子材料からなる電極にて構成することで、該電極を前記透明電極の製造に合わせて製造することができる。そして、前記補正手段による前記水滴量の補正に係る信号(透明電極の温度を表す信号)として、前記透明電極と同等の温度依存性を有する前記電極の抵抗値を表す信号が利用されることで、例えば温度補正のための専用の温度検出センサを割愛することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水滴検出装置において、前記電極は、前記複数の透明電極を包囲するように配置されていることを要旨とする。
同構成によれば、前記電極は、前記複数の透明電極を包囲するように配置されていることで、前記電極の抵抗値を表す信号には、前記複数の透明電極の全領域に亘る平均的な温度が反映される。つまり、前記電極の抵抗値を表す信号に、前記複数の透明電極の局部的な温度のみが反映されることを回避でき、ひいては前記補正手段による前記水滴量の補正を更に正確に行うことができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水滴検出装置において、前記ウインドガラスの外面を払拭するワイパーブレードの払拭領域に相対向する領域であって、少なくとも一部が前記ウインドガラスの有色若しくは黒色の塗装領域又はセラミック処理を施した領域に配置されてなることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、水滴検出装置は、ワイパーブレードの払拭領域に相対向する領域に配置される。このため、水滴検出装置は、ワイパーブレードの払拭動作に伴う水滴量の変化を検出することができ、例えば該水滴量の変化を前記ワイパーブレードの動作制御(駆動又は停止)に利用することができる。又、水滴検出装置は、少なくとも一部が前記ウインドガラスの有色若しくは黒色の塗装領域(いわゆるクロセラ領域)又はセラミック処理を施した領域に配置されるので、搭乗者(運転者など)の視界を狭めたり、邪魔することなく、水滴検出センサを配置することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水滴検出装置と、前記ウインドガラスの外面を払拭するワイパーブレードを駆動するワイパ制御手段と、前記ウインドガラスの内面に付着した水滴を除去する水滴除去装置を駆動する水滴除去装置制御手段と、前記水滴検出手段に検出された水滴量に基づき、前記ウインドガラスに付着した水滴量の変化を判断する判断手段とを備え、水滴が付着した前記ウインドガラスに対して前記ワイパ制御手段により前記ワイパーブレードを作動させたとき、前記判断手段により水滴量が減少したと判断された場合には前記ワイパ制御手段により前記ワイパーブレードを間欠的に作動させ、一方、前記判断手段により水滴量が減少しないと判断された場合には前記水滴除去装置制御手段により前記水滴除去装置を作動させる水滴制御装置において、外気温を検出する外気温検出手段と、前記検出された外気温と単調非減少の関係で、前記ワイパ制御手段により前記ワイパーブレードを間欠的に作動させるときの間隔を設定する設定手段とを備えたことを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、前記設定手段により、前記ワイパ制御手段による前記ワイパーブレードの間欠的な作動の間隔、即ち払拭の間欠時間が、前記検出された外気温と単調非減少の関係で設定される。従って、例えば降雪時など外気温の低いときには比較的短い払拭の間欠時間が設定され、反対に降雨時など外気温の高いときには比較的長い払拭の間欠時間が設定されるように該間欠時間が適宜変更されることで、搭乗者(運転者など)が感じる違和感を緩和することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明では、高分子系の透明電極であっても、温度の影響の抑制された好適な水滴量を検出することができる水滴検出装置及び水滴制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1及び図2は、本実施形態に係る水滴検出装置としての雨滴検出装置10が備える雨滴検出センサ1の平面図及び断面図である。
【0016】
同図に示されるように、雨滴検出センサ1は、フィルム2を備えるとともに、該フィルム2の上面2aに印刷成形された透明電極としての第1電極3、第2電極4及び信号生成手段を構成する温度検知用電極5を備えている。フィルム2は、例えばPETなどの透明樹脂からなる長方形且つ薄板状の膜であって、可撓性を有し、屈曲可能に形成されている。第1電極3、第2電極4及び温度検知用電極5は、例えばエチレンジオキシチオーフェンなどの導電性を有する有機高分子材料からなる薄板状の透明な電極であって、可撓性を有し、屈曲可能に形成されている。尚、フィルム2には、一側(図1において左下側)の角部から外側に突出する延出片2bが形成されている。
【0017】
第1電極3は、等間隔に並設された4本の電極本体3aと、各電極本体3aのうち、フィルム2の左端2c側の先端をそれぞれ接続する接続部3bとを有して櫛歯状に成形されている。電極本体3aは、フィルム2の幅W方向と平行に延設され、接続部3bは、フィルム2の左端2cに沿って高さH方向に延びている。又、接続部3bの前記延出片2bに隣接する基端3cには、円形の端部3dが形成されている。
【0018】
第2電極4は、フィルム2の幅W方向と平行に等間隔に並設された4本の電極本体4aと、各電極本体4aのうち、フィルム2の右端2d側の先端をそれぞれ接続する接続部4bとを有して櫛歯状に成形されている。各電極本体4aは、第1電極3の各電極本体3aから高さH方向に所定距離だけそれぞれ離間している。これにより、フィルム2の上面2aの幅W方向には、第1電極3の電極本体3aと第2電極4の電極本体4aとが等間隔で交互に並設される。
【0019】
又、最下段の電極本体4aの先端から屈曲されて前記延出片2bに隣接する基端4cには、円形の端部4dが形成されている。
温度検知用電極5は、第1及び第2電極3,4の下側で、フィルム2の幅W方向と平行に延設された矩形のループ形状を呈するとともに、両端部の前記延出片2bに隣接する基端5a,5bには、円形の端部5c,5dがそれぞれ形成されている。
【0020】
前記各端部3d,4d,5c,5d上には、前記延出片2bにおいてフィルム2の高さH方向に延設された導電ペースト6が印刷してある。これら導電ペースト6は、第1電極3、第2電極4及び温度検知用電極5と次段の回路とを電気的に接続する端子を構成する。
【0021】
このように第1電極3、第2電極4及び温度検知用電極5が形成されたフィルム2は、前記延出片2bを露出させる態様で、例えばアクリルを成分とする紫外線保護膜7にて被覆されている。この紫外線保護膜7は、第1電極3、第2電極4及び温度検知用電極5の全領域を覆うとともに、導電ペースト6の一部を被覆しない(露出させる)。
【0022】
そして、紫外線保護膜7と同じ部分(紫外線保護膜7の全面)には、絶縁性及び透明性を有する接着剤膜8が印刷される。
これにより、雨滴検出センサ1は、第1電極3の電極本体3aと、第2電極4の電極本体4aとにより、7つのコンデンサC1〜C7を構成し、それらのコンデンサC1〜C7は、端部3d,4dの間に直列接続されている。尚、紫外線保護膜7の比誘電率をεr、第1及び第2電極3,4の面積及び間隔を、それぞれ面積S及び間隔dとした場合、その単位長さ当たりの静電容量Cは、以下の数式(1)となり、各電極3,4間の物質の比誘電率εrに比例する。全体としての全静電容量Caは、各コンデンサC1〜C7の静電容量の約1/7になる(Ca=C/7)。
【0023】
【数1】

図3及び図4は、雨滴検出センサ1の取付位置を説明する図であって、図3は、車両BのウインドガラスとしてのフロントガラスFの断面図、図4は車外からみたフロントガラスFの正面図である。図3に示すように、雨滴検出センサ1は、フロントガラスFの車室側の内面Faに貼着され、図4に示すように、内面Faのうち、ワイパーブレード21a,21bが払拭するフロントガラスFの外面の払拭領域11に相対向するように設けられている。より具体的には、フロントガラスFの内面Faの下部には、車両Bの意匠性を向上する目的で有色若しくは黒色の塗装を施した塗装領域(いわゆるクロセラ領域)12が設けられており、雨滴検出センサ1は、この塗装領域12内に完全に収められる態様で内面Faに取り付けられている。この塗装領域12は、室内側からの視野に全く影響しない領域である。従って、運転者などの搭乗者の視野に雨滴検出センサ1が入ることはない。
【0024】
又、フロントガラスFの内面Faは曲面であるが、フィルム2及び各電極3,4は、可撓性を有しているので、雨滴検出センサ1を、フロントガラスFの曲面形状に沿って、内面Faに密着した状態で取り付けることができる。このため、雨滴検出センサ1の各電極3,4と、フロントガラスFの外面Fbとの距離を、予め設定した距離にすることができるので、取付誤差を抑制することができる。
【0025】
又、図3に示すように、雨滴検出センサ1は、雨滴検出装置10を構成する制御装置14に前記導電ペースト6を介して電気的に接続されている。雨滴検出装置10は、車両のフロントガラスFに付着した雨滴などの水滴を検出する。
【0026】
図5に示すように、制御装置14は、共振回路15、静電容量検出手段としての静電容量検出回路16、水滴検出手段としての検知回路17、補正手段としての温度補正回路20を備えている。共振回路15は、雨滴検出センサ1、コイル18及び交流電源19を備えている。雨滴検出センサ1は、前記端部3dが導電ペースト6を介して接地され、前記端部4dが導電ペースト6を介して静電容量検出回路16に電気的に接続されている。又、端部3d,4d間には、コイル18及び交流電源19が、コンデンサC1〜C7とそれぞれ並列接続される。交流電源19は、供給する電源の周波数を所定範囲内で徐々に変化させて供給する。
【0027】
静電容量検出回路16には、交流電源19からの電源供給に基づく共振回路15からの出力電圧Vが入力される。静電容量検出回路16は、その出力電圧Vのピーク値に基づいて、共振回路15の共振周波数foを検出し、検出した共振周波数foとコイルのインダクタンスLを用いて、次の数式(2)により、雨滴検出センサ1全体の全静電容量Caを算出する。
【0028】
【数2】

検知回路17は、静電容量検出回路16が検出した全静電容量Caに基づいて、フロントガラスFの外面Fbに付着した水滴量を検出するとともに、該水滴量を表す検出信号Sbを前記温度補正回路20に出力する。
【0029】
即ち、図6(a)に示すように、第1電極3の電極本体3aと、第2電極4の電極本体4aとの間に雨滴W1(水滴)が付着すると、図中1点鎖線で示す、電極本体3a,4aの間の電気力線上において、空気より比誘電率εrが大きい水が位置することになる。数式(1)に示すように、比誘電率εrと各コンデンサC1〜C7の静電容量Cとは比例するので、前記静電容量検出回路16において全静電容量Caの増加が検出される。図6(b)に水滴量と静電容量との関係を示すように、全静電容量Caは、フロントガラスFの外面Fbに付着した雨滴量とほぼ比例する。検知回路17は、このような一定の関係を有する全静電容量Caに基づいて、フロントガラスFの外面Fbに付着した水滴量を検出する。
【0030】
前記温度検知用電極5は、前記端部5c,5dが導電ペースト6を介して温度補正回路20にそれぞれ電気的に接続されている。そして、温度補正回路20には、温度検知用電極5の抵抗値を表す信号が入力される。この温度検知用電極5の抵抗値は、その温度に応じて変化するもので、該温度検知用電極5の抵抗値を表す信号は、実質的に同一材料からなる第1及び第2電極3,4の温度(以下、センサ温度ともいう)を表す信号に相当する。温度補正回路20は、この信号に基づいてセンサ温度に応じた全静電容量Caの変化分を補償するように前記検出信号Sbを補正する。
【0031】
即ち、図7(a)(b)にセンサ温度と静電容量及び抵抗値との関係をそれぞれ示すように、センサ温度が高くなるに従い、第1及び第2電極3,4の抵抗値が小さくなり、これに対応して第1及び第2電極3,4の静電容量が大きくなっていることが確認される。これは、第1及び第2電極3,4の静電容量(全静電容量Ca)と抵抗値との積からなる時定数の影響と考えられる。温度補正回路20は、このようなセンサ温度に対する全静電容量Caの関係に基づいて、全静電容量Caの変化分を補償するように前記検出信号Sbを補正する。
【0032】
尚、温度補正回路20は、ワイパモータ22を駆動制御するワイパ制御回路23に電気的に接続されており、前述の態様で前記検出信号Sbを補正した水滴検出信号Vaを前記ワイパ制御回路23に出力する。この水滴検出信号Vaは、温度依存性の緩和された全静電容量Caを表す電圧値を有する。
【0033】
ワイパ制御回路23のコンパレータ24は、その非反転端子(+)が前記温度補正回路20に接続され、反転端子(−)が抵抗25a,25bとから構成される基準電圧生成回路25に接続されている。基準電圧生成回路25は、バッテリ電源+Bに接続され、抵抗25a,25bの分圧比で決まる一定電圧値の基準信号Vkをコンパレータ24の反転端子(−)に対して出力している。
【0034】
基準信号Vkの電圧値は、水滴検出信号Vaの電圧値との比較に基づく雨滴の検出に好適な値に設定されている。コンパレータ24は、水滴検出信号Vaの電圧値と基準信号Vkの電圧値を比較する。詳述すると、水滴検出信号Vaの電圧値が基準信号Vkの電圧値未満のとき、コンパレータ24は、低電位(Lレベル)の判定信号S1を出力端子から出力する。言い換えると、雨滴W1(水滴)が付着してない、又は、ワイパーブレード21a,21bを作動させる必要性がない程度に雨滴W1(水滴)が付着している場合は、コンパレータ24は、Lレベルの判定信号S1を出力する。
【0035】
一方、水滴検出信号Vaの電圧値が基準信号Vkの電圧値以上のとき、コンパレータ24は、高電位(Hレベル)の判定信号S1を出力端子から出力する。言い換えると、ワイパーブレード21a,21bを作動させる必要性がある程度に雨滴W1(水滴)が多く付着して水滴検出信号Vaの電圧値が大きい場合は、コンパレータ24は、Hレベルの判定信号S1を出力する。
【0036】
コンパレータ24の出力端子は、バッファ26を介してトランジスタ27のベース端子に接続されている。このトランジスタ27は、そのエミッタ端子が接地され、コレクタ端子がリレー28を介してバッテリ電源+Bと接続されている。バッファ26は、コンパレータ24からHレベルの判定信号S1を入力することで、トランジスタ27のベース端子にHレベルの駆動制御信号S2(オン信号)を出力する。又、バッファ26は、コンパレータ24からLレベルの判定信号S1を入力することで、トランジスタ27のベース端子にLレベルの駆動制御信号S2(オフ信号)を出力する。トランジスタ27は、Hレベルの駆動制御信号S2(オン信号)が入力されるとオンし、Lレベルの駆動制御信号S2(オフ信号)が入力されるとオフする。
【0037】
リレー28は、励磁コイル28aと第1スイッチSW1、第2スイッチSW2を有している。励磁コイル28aは、トランジスタ27のコレクタ端子とバッテリ電源+Bとの間に接続されている。第1スイッチSW1は、接点T1,T2と共用可動接点C1とからなり、接点T1はバッテリ電源+Bに接続され、接点T2はワイパモータ22に接続されている。共用可動接点C1は、励磁コイル28aが励磁されているとき、接点T1,T2と接続し、第1スイッチSW1をオンさせてワイパモータ22にバッテリ電源+Bを供給する。
【0038】
第2スイッチSW2は、接点T3,T4と前記した共用可動接点C1とからなり、接点T3は位置検出スイッチ29の可動接点T7に接続され、接点T4はワイパモータ22に接続されている。共用可動接点C1は、励磁コイル28aが非励磁のとき、接点T3,T4と接続し、第2スイッチSW2をオンさせて位置検出スイッチ29を介してワイパモータ22にバッテリ電源+Bを供給する。
【0039】
位置検出スイッチ29は切換スイッチであって、接点T5,T6と可動接点T7とからなり、接点T5はバッテリ電源+Bに接続され、接点T6は接地されている。位置検出スイッチ29の可動接点T7は、接点T5,T6のいずれかと電気的に接続する。可動接点T7は、ワイパモータ22の回転と連動し、ワイパーブレード21a,21bが前記払拭領域11の下端である所定の停止位置に位置する回転位置にワイパモータ22があるとき、接点T6と接続される。このとき、可動接点T7は接地されることで、接点T3の電位は0ボルトとなる。
【0040】
又、位置検出スイッチ29の可動接点T7は、ワイパーブレード21a,21bが前記停止位置以外に位置する回転位置にワイパモータ22があるとき、接点T5と接続される。このとき、可動接点T7はバッテリ電源+Bが印加されることで、接点T3の電位は高電位となる。つまり、ワイパモータ22には、共用可動接点C1の接続状態に応じたオン状態の第1スイッチSW1又は第2スイッチSW2を介してバッテリ電源+Bが供給される。
【0041】
次に、本実施形態の動作について総括的に説明する。
まず、雨滴がフロントガラスFに付着し始めたとする。このとき、ワイパーブレード21a,21bが停止位置に位置するため、位置検出スイッチ29の可動接点T7が接点T6に接続されている。この状態で、雨滴がフロントガラスFに付着すると、全静電容量Caの増加に合わせて、温度補正回路20から出力される水滴検出信号Vaの電圧値が上昇する。これに伴い、温度補正回路20に接続されたコンパレータ24の非反転端子(+)の電位(水滴検出信号Vaの電圧値)が、反転端子(−)の電位(基準信号Vkの電圧値)よりも大きくなると、コンパレータ24からHレベルの判定信号S1がバッファ26に対して出力される。これにより、バッファ26は、Hレベルの駆動制御信号S2をトランジスタ27に出力し、該トランジスタ27をオンさせる。
【0042】
トランジスタ27がオンされると、リレー28の励磁コイル28aが励磁され、第1スイッチSW1がオン状態となる。これにより、バッテリ電源+Bが、オン状態の第1スイッチSW1を介してワイパモータ22に供給される。その結果、ワイパモータ22が回転し、ワイパーブレード21a,21bが払拭動作を開始する。尚、ワイパーブレード21a,21bが前記停止位置以外に位置する回転位置にワイパモータ22があれば、位置検出スイッチ29の可動接点T7が接点T5に接続されることは既述のとおりである。
【0043】
そして、払拭により、雨滴が無くなった場合には、温度補正回路20から出力される水滴検出信号Vaの電圧値が減少することで、コンパレータ24からLレベルの判定信号S1がバッファ26に対して出力される。これにより、バッファ26は、Lレベルの駆動制御信号S2をトランジスタ27に出力し、該トランジスタ27をオフさせる。
【0044】
トランジスタ27がオフされると、リレー28の励磁コイル28aは消磁され、共用可動接点C1は第1スイッチSW1をオフさせる。このとき、第2スイッチSW2がオンするが、ワイパーブレード21a,21bが前記停止位置以外に位置する回転位置にワイパモータ22があれば、位置検出スイッチ29の可動接点T7が接点T5に接続されているため、ワイパモータ22にバッテリ電源+Bが供給され続ける。その後、ワイパーブレード21a,21bが前記停止位置に位置する回転位置にワイパモータ22が達すれば、位置検出スイッチ29の可動接点T7が接点T6に接続され、ワイパモータ22にバッテリ電源+Bが供給されずワイパモータ22は停止する。
【0045】
以上により、フロントガラスFへの雨滴の付着に合わせたワイパモータ22の駆動、即ちワイパーブレード21a,21bの払拭動作が行われる。雨滴量の検出に係る水滴検出信号Vaは、雨滴検出センサ1(全静電容量Ca)の温度依存性が緩和されていることは既述のとおりである。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、前記温度検知用電極5により、前記第1及び第2電極3,4の温度を表す信号(抵抗値を表す信号)が生成される。そして、この信号に基づいて、前記温度補正回路20により、前記検知回路17により検出される雨滴量(水滴量)が前記第1及び第2電極3,4の温度に基づく変化を緩和するように補正される。従って、高分子材料からなる前記第1及び第2電極3,4であっても、その温度の影響を緩和したより正確な水滴量を検出することができる。
【0047】
(2)本実施形態では、前記第1及び第2電極3,4と同じ高分子材料からなる前記温度検知用電極5により、前記第1及び第2電極3,4の温度を表す信号を生成することで、該温度検知用電極5を前記第1及び第2電極3,4の製造に合わせて製造することができる。そして、前記温度補正回路20による雨滴量(水滴量)の補正に係る信号(第1及び第2電極3,4の温度を表す信号)として、第1及び第2電極3,4と同等の温度依存性を有する前記温度検知用電極5の抵抗値を表す信号が利用されることで、例えば温度補正のための専用の温度検出センサを割愛することができる。
【0048】
(3)本実施形態では、雨滴検出装置10は、ワイパーブレード21a,21bの払拭領域11に相対向する領域に配置される。このため、雨滴検出装置10は、ワイパーブレード21a,21bの払拭動作に伴う雨滴量(水滴量)の変化を検出することができ、例えば該雨滴量の変化を前記ワイパーブレードの動作制御(駆動又は停止)に利用することができる。又、雨滴検出装置10は、前記フロントガラスFの塗装領域12(クロセラ領域)に配置されるので、運転者などの搭乗者の視界を狭めたり、邪魔することなく、雨滴検出装置10を配置することができる。つまり、第1及び第2電極3,4等は、透明電極であっても光透過率は100%ではないため、搭乗者の視野に入れば違和感を与えてしまうが、視野から隠したことでこのような違和感を軽減することができる。特に、雨滴検出装置10を配置にあたり、光透過率、空間などの制約で他の自動車部品の設置が困難な場所(塗装領域12)を活用することができる。
【0049】
さらに、雨滴検出装置10は、運転者の視点からみてルームミラー37(図3参照)の背後の領域、即ち他の自動車部品にとって重要な設置位置に設ける必要がないため、他の自動車部品との競合を回避することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図8〜図11に従って説明する。尚、第2の実施形態は、前記フロントガラスFの外面Fbに付着した雨滴(水滴)に加えて、その内面Faに付着した水滴を除去することが第1の実施形態と異なる構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0051】
図8は、本実施形態に係る水滴制御装置の電気的構成を示すブロック図である。同図に示されるように、この水滴制御装置は、センサ検出回路31、ワイパ制御手段としてのワイパ制御回路32、前記ワイパモータ22、水滴除去装置制御手段としてのブロア制御回路33及びブロアモータ34を備えて構成される。
【0052】
センサ検出回路31は、前記雨滴検出センサ1(第1及び第2電極3,4、温度検知用電極5)、共振回路15、静電容量検出回路16、検知回路17及び温度補正回路20を備えており、第1の実施形態に準じて水滴検出信号を生成する。この水滴検出信号が、温度依存性の緩和された全静電容量Caを表す電圧値を有することは既述のとおりである。又、センサ検出回路31は、この水滴検出信号Vaの電圧値(全静電容量Ca)に基づいて、フロントガラスFの外面Fbの雨滴付着状態を判断する。センサ検出回路31は、タイマ31a及びメモリ31bを備えており、タイマ31aにて計測した所定時間毎に得られる水滴検出信号Vaの電圧値を順次メモリ31bに格納する。
【0053】
そして、センサ検出回路31は、例えば水滴検出信号Vaの電圧値が所定閾値以上になると、フロントガラスFの外面Fbに付着した雨滴を除去するためにワイパーブレード21a,21bによる払拭動作を開始する。
【0054】
即ち、センサ検出回路31は、ワイパ制御回路32に払拭開始信号を出力する。ワイパ制御回路32は、その払拭開始信号に基づいて前記ワイパモータ22を駆動させ、ワイパーブレード21a,21bによるフロントガラスFの外面Fbの払拭動作を開始させる。尚、雨滴量(水滴検出信号Vaの電圧値)によって、ワイパーブレード21a,21bの払拭速度を調節してもよい。
【0055】
ワイパーブレード21a,21bがフロントガラスFの外面Fbの雨滴W1を払拭すると、払拭領域11の雨滴量が減少する。このため、雨滴検出センサ1と相対向する領域の雨滴W1も払拭され、水滴検出信号Vaの電圧値(全静電容量Ca)も小さくなる。センサ検出回路31が、ワイパーブレード21a,21bによる払拭動作の開始により、雨滴量(全静電容量Ca)が減少したと判断した場合には、前記センサ検出回路31は、ワイパーブレード21a,21bによる払拭動作を間欠的に作動させるように前記ワイパ制御回路32を制御する。
【0056】
尚、センサ検出回路31には、外気温を検出するための外気温検出手段としての温度センサ36が接続されており、センサ検出回路31は、検出された外気温に基づいて、ワイパーブレード21a,21bによる払拭動作を間欠的に作動させる際の間隔(払拭の間欠時間)を変更する。
【0057】
具体的には、図9に検出された外気温Tと払拭の間欠時間tとの関係を示すように、外気温Tが所定温度Taよりも小さいときには、間欠時間tとして所定時間t1が設定される。又、外気温Tが所定温度Tb(>Ta)よりも大きいときには、間欠時間tとして所定時間t2(>t1)が設定される。そして、外気温Tが所定温度Ta以上、所定温度Tb以下の範囲(Ta≦T≦Tb)にあるときには、外気温Tに対し間欠時間tが比例関係で連続的に変化するように設定される。つまり、払拭の間欠時間tは、外気温Tと単調非減少の関係で設定される(設定手段)。これは、例えば降雪時など外気温の低いときには比較的短い払拭の間欠時間を設定し、反対に降雨時など外気温の高いときには比較的長い払拭の間欠時間を設定するように該間欠時間を適宜変更することで、運転者が感じる違和感を緩和するためである。
【0058】
一方、センサ検出回路31が、ワイパーブレード21a,21bにより払拭動作を開始しても、雨滴量(水滴検出信号Vaの電圧値)が減少しないと判断した場合には、図10(a)に示すように、フロントガラスFの内面Faに微小水滴W2(水滴)が付着していると判断する。即ち、フロントガラスFに貼着された雨滴検出センサ1のフィルム2の下面に微小水滴W2が付着すると、この微小水滴W2が、図中1点鎖線で示す、各電極本体3a,4aの間の電気力線上に位置する。このため、フロントガラスFの外面Fbに雨滴W1が付着していなくても、内面Faの微小水滴W2により各コンデンサC1〜C7の全静電容量Caが増加する。図10(b)に水滴量と静電容量との関係を示すように、全静電容量Caは、フロントガラスFの内面Faに付着した水滴量とほぼ比例する。このようにフロントガラスFの内面Faが微小水滴W2の付着により曇った場合、センサ検出回路31は、微小水滴W2を除去すべく、車内に設けられた水滴除去装置としてのブロアーファン35(図3参照)を作動させる。
【0059】
即ち、センサ検出回路31は、フロントガラスFの内面Faに微小水滴W2が付着していると判断すると、ブロア制御回路33に作動開始信号を出力する。ブロア制御回路33は、その作動開始信号に基づいて、ブロアーファン35を作動させ、フロントガラスFの内面Faに向かって熱風を送り出す。その結果、雨滴検出センサ1のフィルム2の下面に付着した微小水滴W2が減少して、センサ検出回路31は、水滴検出信号Vaの電圧値の減少を検出する。このとき、センサ検出回路31は、ブロアーファン35の風量を弱くしたり、所定時間作動させたりして、フロントガラスFの曇りを解消する。
【0060】
次に、本実施形態の制御態様について、図11のフローチャートに従って説明する。まず、センサ検出回路31は、イグニッションのオン信号等、雨滴検出を開始するための信号入力を待機する(ステップS1)。そして、センサ検出回路31は、図示しない入出力部を介してその信号を入力し、雨滴検出を開始すると判断すると(ステップS1においてYES)、前記水滴検出信号Vaの生成等に係る各種信号の入力処理を行う(ステップS2)。
【0061】
センサ検出回路31は、水滴検出信号Vaの電圧値と所定閾値との大小比較に基づき、フロントガラスFに雨滴W1又は微小水滴W2が付着しているか否かを判断する。(ステップS3)。この判断に係る水滴検出信号Va(全静電容量Ca)は、温度依存性が緩和されていることはいうまでもない。
【0062】
水滴検出信号Vaの電圧値が所定閾値未満のとき、センサ検出回路31は、雨滴W1又は微小水滴W2がフロントガラスFに付着していないと判断する(ステップS3においてNO)。そして、センサ検出回路31は、タイマ31aにより時間を計測し(ステップS4)、次の水滴検出信号Vaの電圧値を取得するまでのサンプリング間隔である所定時間t0が経過するまで待機する(ステップS5)。そして、所定時間t0が経過したと判断すると(ステップS5においてYES)、雨滴検出終了か否かを判断し(ステップS15)、雨滴検出を継続する場合には(ステップS15においてNO)、ステップS2に戻り、各種信号の入力処理を再び行う。又、イグニッションのオフ信号等の信号を入力した場合、雨滴検出を終了すると判断して(ステップS15においてYES)、検出処理を終了する。
【0063】
一方、水滴検出信号Vaの電圧値が所定閾値以上のとき、センサ検出回路31は、雨滴W1又は微小水滴W2がフロントガラスFに付着していると判断して(ステップS3においてYES)、ワイパ制御回路32を介してワイパモータ22を所定回転速度で駆動し、ワイパーブレード21a,21bを作動させる(ステップS6)。これにより、ワイパーブレード21a,21bは、フロントガラスFの外面Fbの払拭領域11を払拭する。
【0064】
センサ検出回路31は、ワイパーブレード21a,21bを一旦作動させた後、水滴検出信号Vaの電圧値を再度取得し、全静電容量Ca(水滴検出信号Vaの電圧値)が減少したか否かを判断する(ステップS7:判断手段)。全静電容量Caが、ワイパーブレード21a,21bによる払拭動作によって減少している場合(ステップS7においてYES)、センサ検出回路31は、外気温Tに基づいて払拭の間欠時間tを設定する(ステップS8)。
【0065】
次いで、センサ検出回路31は、タイマ31aにより時間を計測し(ステップS9)、前記間欠時間tが経過するまで待機する(ステップS10)。そして、間欠時間tが経過したと判断すると(ステップS10においてYES)、雨滴検出終了であるか否かを判断し(ステップS15)、終了でないと判断した場合には(ステップS15においてNO)、ステップS2に戻り、上記した処理を繰り返す。つまり、ステップS6におけるワイパーブレード21a,21bの作動が繰り返されるとき、該ワイパーブレード21a,21bの作動は、前記間欠時間tごとに間欠的に行われる。
【0066】
一方、ワイパーブレード21a,21bを作動させたにも関わらず、全静電容量Ca(水滴検出信号Vaの電圧値)が減少(変化)しないと判断した場合(ステップS7においてNO)、センサ検出回路31は、車内の湿度上昇等により、フロントガラスFの内面Faに微小水滴W2が付着していると判断する。このため、センサ検出回路31は、フロントガラスFの曇りを除去するために、ブロア制御回路33を介して、ブロアモータ34を駆動し、ブロアーファン35を作動させる(ステップS11)。
【0067】
ブロアーファン35を作動させると、センサ検出回路31は、タイマ31aに基づき経過時間をカウントしながら(ステップS12)、所定時間tdの経過を待機する(ステップS13)。所定時間tdが経過すると(ステップS13においてYES)、センサ検出回路31は、ブロアーファン35の作動を停止する(ステップS14)。そして、センサ検出回路31は、雨滴検出終了であるか否かを判断し(ステップS15)、終了でないと判断した場合には(ステップS15においてNO)、ステップS2に戻り、上記した処理を繰り返す。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)〜(3)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、前記センサ検出回路31により、前記ワイパ制御回路32による前記ワイパーブレード21a,21bの間欠的な作動の間隔、即ち払拭の間欠時間tが、前記検出された外気温Tと単調非減少の関係で設定される。従って、例えば降雪時など外気温の低いときには比較的短い払拭の間欠時間tが設定され、反対に降雨時など外気温の高いときには比較的長い払拭の間欠時間tが設定されるように該間欠時間が適宜変更されることで、運転者が感じる違和感を緩和することができる。
【0069】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図12に示すように、前記第1及び第2電極3,4を包囲するように配置した温度検知用電極41であってもよい。この温度検知用電極41は、第1及び第2電極3,4を包囲するようにフィルム2の周縁部に沿って成形された矩形のループ形状を呈する。この場合、温度検知用電極41は、前記第1及び第2電極3,4を包囲するように配置されていることで、温度検知用電極41の抵抗値を表す信号には、前記第1及び第2電極3,4の全領域に亘る平均的な温度が反映される。つまり、前記温度検知用電極41の抵抗値を表す信号に、前記第1及び第2電極3,4の局部的な温度のみが反映されることを回避でき、ひいては前記温度補正回路20による雨滴量(水滴量)の補正を更に正確に行うことができる。
【0070】
・図13に示すように、雨滴検出センサ1(雨滴検出装置10)は、少なくとも一部が前記塗装領域12に配置されていればよい。即ち、雨滴検出センサ1(雨滴検出装置10)は、払拭領域11にあればその一部が塗装領域12からはみ出していてもよい。この場合であっても、概ね搭乗者の視界を狭めたり、邪魔することなく、雨滴検出装置10を配置することができる。
【0071】
・前記第2の実施形態においては、ブロアーファン35を所定時間td作動させた後に該ブロアーファン35の作動を停止したが、運転者等によるスイッチ等の入力操作が行われるまで、ブロアーファン35の作動を継続するようにしてもよい。
【0072】
・前記各実施形態において、雨滴検出センサ1(雨滴検出装置10)は、払拭領域11であれば、少なくとも一部をフロントガラスFのセラミック処理を施した領域に配置してもよい。この場合であっても、搭乗者の視界を狭めたり、邪魔することなく、雨滴検出装置10を配置することができる。
【0073】
・前記各実施形態において、雨滴検出センサ1(雨滴検出装置10)は、ルームミラー37(図3参照)の背後の領域に配置してもよい。この場合であっても、搭乗者の視界を狭めたり、邪魔することなく、雨滴検出装置10を配置することができる。
【0074】
・前記各実施形態において、前記第1及び第2電極3,4の温度を表す信号の生成を、専用の温度検出センサで行ってもよい。
・前記各実施形態においては、前記温度補正回路20において、検知回路17からの水滴量を表す検出信号Sbを温度検知用電極5の抵抗値を表す信号(第1及び第2電極3,4の温度を表す信号)に基づき補正して、温度依存性の緩和された水滴量(水滴検出信号Va)を取得した。これに対し、例えば制御装置14が演算処理機能を有するのであれば、温度検知用電極5の抵抗値を表す信号(第1及び第2電極3,4の温度を表す信号)に基づき、温度補償のための補正データを算出し、該補正データに基づいて温度依存性の緩和された水滴量を取得してもよい。
【0075】
・前記各実施形態において、雨滴検出センサ1(雨滴検出装置10)を、フロントガラスF以外のその他のガラス(サイドウインド、リヤウインドなど)に取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す平面図。
【図2】同実施形態を示す断面図。
【図3】雨滴検出センサの取付位置の説明図。
【図4】雨滴検出センサの取付位置の説明図。
【図5】同実施形態の電気的構成を示すブロック図。
【図6】(a)は雨滴が付着したときの静電容量の変化を説明する断面図であり、(b)は雨滴量と全静電容量の関係を示すグラフ。
【図7】(a)(b)は、センサ温度と静電容量及び抵抗値との関係を示すグラフ。
【図8】本発明の第2の実施形態の電気的構成を示すブロック図。
【図9】外気温と間欠時間との関係を示すグラフ。
【図10】(a)は水滴が付着したときの静電容量の変化を説明する断面図であり、(b)は水滴量と全静電容量の関係を示すグラフ。
【図11】同実施形態の制御態様を示すフローチャート。
【図12】本発明の変形形態を示す平面図。
【図13】本発明の変形形態の取付位置の説明図。
【符号の説明】
【0077】
B…車両、F…ウインドガラスとしてのフロントガラス、Fa…内面、Fb…外面、1…雨滴検出センサ、3…透明電極としての第1電極、4…透明電極としての第2電極、5…信号生成手段を構成する電極としての温度検知用電極、10…水滴検出装置としての雨滴検出装置、11…払拭領域、12…塗装領域、16…静電容量検出手段としての静電容量検出回路、17…水滴検出手段としての検知回路、20…補正手段としての温度補正回路、21a,21b…ワイパーブレード、31…静電容量検出手段、水滴検出手段、補正手段、信号生成手段、判断手段及び設定手段としてのセンサ検出回路、32…ワイパ制御手段としてのワイパ制御回路、33…水滴除去装置制御手段としてのブロア制御回路、35…水滴除去装置としてのブロアーファン、36…外気温検出手段としての温度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドガラスの室内側に設置された高分子材料からなる互いに対峙する複数の透明電極と、
前記透明電極の静電容量を検出する静電容量検出手段と、
前記検出された静電容量に基づき前記ウインドガラスに付着する水滴量を検出する水滴検出手段とを備えた水滴検出装置において、
前記透明電極の温度を表す信号を生成する信号生成手段と、
前記生成された信号に基づき、前記水滴検出手段により検出される前記水滴量の前記透明電極の温度に基づく変化を緩和するように前記水滴量を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする水滴検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水滴検出装置において、
前記信号生成手段は、
前記ウインドガラスの室内側に設置され前記透明電極と同じ高分子材料からなる電極を備え、
前記透明電極の温度を表す信号として、前記電極の抵抗値を表す信号を生成してなることを特徴とする水滴検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水滴検出装置において、
前記電極は、前記複数の透明電極を包囲するように配置されていることを特徴とする水滴検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水滴検出装置において、
前記ウインドガラスの外面を払拭するワイパーブレードの払拭領域に相対向する領域であって、少なくとも一部が前記ウインドガラスの有色若しくは黒色の塗装領域又はセラミック処理を施した領域に配置されてなることを特徴とする水滴検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の水滴検出装置と、
前記ウインドガラスの外面を払拭するワイパーブレードを駆動するワイパ制御手段と、
前記ウインドガラスの内面に付着した水滴を除去する水滴除去装置を駆動する水滴除去装置制御手段と、
前記水滴検出手段に検出された水滴量に基づき、前記ウインドガラスに付着した水滴量の変化を判断する判断手段とを備え、
水滴が付着した前記ウインドガラスに対して前記ワイパ制御手段により前記ワイパーブレードを作動させたとき、前記判断手段により水滴量が減少したと判断された場合には前記ワイパ制御手段により前記ワイパーブレードを間欠的に作動させ、一方、前記判断手段により水滴量が減少しないと判断された場合には前記水滴除去装置制御手段により前記水滴除去装置を作動させる水滴制御装置において、
外気温を検出する外気温検出手段と、
前記検出された外気温と単調非減少の関係で、前記ワイパ制御手段により前記ワイパーブレードを間欠的に作動させるときの間隔を設定する設定手段とを備えたことを特徴とする水滴制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−256516(P2008−256516A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98620(P2007−98620)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】