説明

水素生成装置及び燃料電池システム

【課題】原料ガスの供給圧が変動すると、リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が変動する。
【解決手段】原料ガスを用いて水素含有ガスを生成する改質器1と、改質器1に供給される原料ガスが流れる原料ガス供給路3と、改質器1に供給される原料ガスに含まれる硫黄化合物を除去する水添脱硫器5と、改質器1より送出される水素含有ガスを水添脱硫器5に流入前の原料ガスに供給するためのリサイクル流路8と、リサイクル流路8との合流箇所よりも上流の原料ガス供給路3の圧力を検知する圧力検知器7と、リサイクル流路8に設けられた流量制御器10と、圧力検知器7の検出値を考慮して、リサイクル流路8を流れる水素含有ガスの流量が水添脱硫器5への原料ガスの流入量に応じた下限値以上になるように流量制御器を制御する制御器11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水添脱硫器を搭載する水素生成装置及び燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムとして、固体高分子膜を電解質に用いた固体高分子形燃料電池が知られている。この固体高分子形燃料電池は、例えば、水素生成装置において都市ガス等の炭化水素を水蒸気改質して得られた水素を主成分とする燃料ガスと、空気中の酸素との電気化学反応により発電を行うものである。
【0003】
この水蒸気改質反応に用いられる改質触媒は、都市ガス等の原料ガスに含まれる硫黄分によって性能低下が起こるため、改質部の上流に硫黄分を除去する脱硫装置を配置する必要がある。この脱硫装置としては、原料ガス中の硫黄分をそのまま吸着除去する吸着脱硫器の他、原料ガスに水素を添加して硫黄分を硫化水素に変換した後に吸着除去する水添脱硫器がよく知られている。
【0004】
ところで、水添脱硫器においては、原料ガスに添加する水素を供給する装置が必要であり、例えば、水素生成装置で生成した水素含有ガスをリサイクル流路を介して原料ガスに添加する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−356308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のように水添脱硫を用いた水素生成装置では、原料ガスの供給圧が変動すると、リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が変動する。このため、場合によっては、水添脱硫に必要な量の水素含有ガスが供給されなくなり、水添脱硫触媒を劣化させる可能性があるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、原料ガスの供給圧の変動によって原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が必要量を下回る可能性が、従来に比べ、低減される水素生成装置及びこれを燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水素生成装置は、原料ガスを用いて水素含有ガスを生成する改質器と、前記改質器に供給される原料ガスが流れる原料ガス供給路と、前記改質器に供給される原料ガスに含まれる硫黄化合物を除去する水添脱硫器と、前記水素生成器より送出される水素含有ガスを前記水添脱硫器に流入前の原料ガスに供給するためのリサイクル流路と、前記リサイクル流路との合流箇所よりも上流の原料ガス供給路の圧力を検知する圧力検知器と、前記リサイクル流路に設けられた流量制御器と、前記圧力検知器の検出値を考慮して、前記リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が下限値以上になるように前記流量制御器を制御する制御器とを備える。
また、本発明の燃料電池システムは、上記本発明の水素生成装置と、前記水素生成装置より供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原料ガスの供給圧の変動によって原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が必要量を下回る可能性が、従来の水素生成装置に比べ、低減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1の水素生成装置の概略構成の一例を示す図
【図2】実施の形態1の水素生成装置の動作の一例を示すフロー図
【図3】変形例の水素生成装置の動作の一例を示すフロー図
【図4】実施の形態2の水素生成装置の動作の一例を示すフロー図
【図5】実施の形態3の水素生成装置の動作の一例を示すフロー図
【図6】実施の形態4の燃料電池システムの概略構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
実施の形態1の水素生成装置は、原料ガスを用いて水素含有ガスを生成する改質器と、改質器に供給される原料ガスが流れる原料ガス供給路と、改質器に供給される原料ガスに含まれる硫黄化合物を除去する水添脱硫器と、改質器より送出される水素含有ガスを水添脱硫器に流入前の原料ガスに供給するためのリサイクル流路と、リサイクル流路との合流箇所よりも上流の原料ガス供給路の圧力を検知する圧力検知器と、リサイクル流路に設けられた流量制御器と、圧力検知器の検出値を考慮して、リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が下限値以上になるように流量制御器を制御する制御器とを備える。
【0012】
かかる構成により、原料ガスの供給圧の変動によって原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が必要量を下回る可能性が、従来の水素生成装置に比べ、低減される。
【0013】
次に、本実施の形態の水素生成装置の一例について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態の水素生成装置の概略構成の一例を示す図である。
【0015】
本実施の形態の水素生成装置は、改質器1と、原料ガス供給路3と、水添脱硫器5と、原料ガス供給器6と、圧力検知器7と、リサイクル流路8と、流量制御器10と、制御器11とを備える。
【0016】
改質器1は、原料ガスを用いて水素含有ガスを生成する。具体的には、改質器1内の改質器(図示せず)において、原料ガスが改質反応して、水素含有ガスが生成される。改質反応は、いずれの形態であってもよく、例えば、水蒸気改質反応、オートサーマル反応及び部分酸化反応等が挙げられる。図1には示されていないが、各改質反応において必要となる機器は適宜設けられる。例えば、改質反応が水蒸気改質反応であれば、改質器を加熱する燃焼器、水蒸気を生成する蒸発器、及び蒸発器に水を供給する水供給器が設けられる。改質反応がオートサーマル反応であれば、水素生成装置100には、さらに、改質器に空気を供給する空気供給器(図示せず)が設けられる。なお、原料ガスは、メタンを主成分とする都市ガス、天然ガス、LPG等の少なくとも炭素及び水素から構成される有機化合物を含むガスである。
【0017】
なお、改質器1の下流に改質器1で生成された水素含有ガス中の一酸化炭素を低減するためのCO低減器を設けても構わない。CO低減器は、シフト反応により一酸化炭素を低減させる変成器と、酸化反応及びメタン化反応の少なくともいずれか一方により一酸化炭素を低減させるCO除去器との少なくともいずれか一方を備える。
【0018】
燃焼器2は、改質器1を加熱する。燃焼器2の燃料は、いずれの燃料であってもよいが、例えば、改質器1より排出される水素含有ガスが用いられる。
【0019】
原料ガス供給路3は、改質器に供給される原料ガスが流れる流路である。
【0020】
水添脱硫器5は、改質器1に供給される原料ガス中の硫黄化合物を除去する。水添脱硫器5は、容器に水添脱硫用の脱硫剤が充填され構成される。水添脱流用の脱硫剤は、例えば、原料ガス中の硫黄化合物を硫化水素に変換するCoMo系触媒と、その下流に設けられる、硫化水素を吸着除去する硫黄吸着剤であるZnO系触媒、またはCuZn系触媒とで構成される。水添脱硫用の脱硫剤は、本例に限定されるものではなく、硫黄化合物を硫化水素に変換する機能と硫化水素を吸着する機能を共に有するCuZn系触媒のみで構成されても構わない。
【0021】
原料ガス供給器6は、改質器へ供給する原料ガスの流量を調整する機器であり、例えば、昇圧器と流量調整弁により構成されるが、これらのいずれか一方により構成されてもよい。昇圧器は、例えば、定容積型ポンプが用いられるが、これに限定されるものではない。
原料ガスは、原料ガス供給源より供給される。原料ガス源は、所定の供給圧を有しており、例えば、原料ガスボンベ、原料ガスインフラ等が挙げられる。
【0022】
圧力検知器7は、リサイクル流路8との合流箇所よりも上流の原料ガス供給路3の圧力を検知する。
【0023】
リサイクル流路8は、改質器1より送出される水素含有ガスを水添脱硫器5よりも上流の原料ガス供給路3内の原料ガスに供給するための流路である。リサイクル流路8の上流端は、改質器1より送出された水素含有ガスが流れる流路であれば、いずれの箇所に接続されていても構わない。例えば、改質器1の下流に水素含有ガス中の一酸化炭素を低減するCO低減器を設けた場合、リサイクル流路8の上流端は、改質器1とCO低減器との間の流路に接続されていてもよいし、CO低減器に接続されていてもよいし、CO低減器の下流に接続されていてもよい。なお、CO低減器が、シフト反応により一酸化炭素を低減する変成器と、酸化反応及びメタン化反応の少なくともいずれか一方により一酸化炭素を低減するCO除去器とを備える場合、リサイクル流路8の上流端を変成器とCO除去器との間の流路に接続するよう構成しても構わない。また、リサイクル流路8の下流端を、水素含有ガスを利用する水素利用機器の下流の流路に接続しても構わない。
【0024】
流量制御器10は、リサイクル流路8に設けられている。流量制御器10は、リサイクル流路8を流れる水素含有ガスの流量を調整する。流量制御器10は、水素含有ガスの流路を調整できれば、いずれの構成であってもよく、例えば、流量調整弁等が用いられる。
【0025】
制御器11は、流量制御器10を制御する。制御器11は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリーが例示される。制御器は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
次に、水素生成装置100の動作の一例について説明する。なお、以下に説明する動作は、制御器11の制御により実行される。
図2は、本実施の形態の水素生成装置100の動作の一例を示すフロー図である。
図2に示すように、制御器11は、まず、改質器1に供給する目標原料流量を決定し(ステップS101)、上記目標原料流量からリサイクル流路8の入口の圧力を推定する(ステップS102)。具体的には、制御器11が、記憶部(図示せず)に記憶された目標原料流量とリサイクル流路8の入口の圧力との対応関係を示すテーブルデータを参照し、ステップS101で決定された目標原料流量に基づきリサイクル流路8の入口の圧力を推定する。なお、上記データは、水素生成装置100の実験データ等に基づき作成される。
次に、制御器11は、圧力検知器7で検知された原料ガス供給路3の圧力値を取得し、この圧力値と上記リサイクル流路の入口の圧力との差圧を算定し、この算定された差圧からリサイクル流路8を流れる水素含有ガス流量(以下、リサイクルガス流量)を推定する(ステップS104)。なお、ステップS101〜S104で説明した原料ガスの供給圧を考慮したリサイクルガス流量の推定方法は、一例であり、原料ガスの供給圧を考慮して、リサイクルガス流量を推定可能であれば、いずれの方法であっても構わない。
そして、制御器11は、目標原料流量に対する推定したリサイクルガス流量の比率(以下、添加率)が下限値A1以上であるか否かを判定する(ステップS105)。なお、上記下限値A1は、原料ガス中の硫黄化合物を水添脱硫するのに必要な水素含有ガスの添加率の下限値(例えば、0.01%)である。
添加率が下限値A1未満である場合(ステップS105でNo)、添加率を増加させるよう流量制御器10を制御する(ステップS106)。具体的には、流量制御器10が、流量調整弁であるとき、制御器11は、流量調整弁の開度を大きくして、リサイクル流路8を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率(添加率)を増加させる。そして、制御器11は、流量調整弁を制御して添加率を下限値A1以上にする。
一方、添加率が下限値A1以上であるとき(ステップS105でYes)、流量制御器10の操作量を維持し、フローを終了する(エンド)。例えば、流量制御器10が、流量調整弁であるとき、制御器11は、流量調整弁の開度を維持し、フローを終了する。なお、添加率が下限値A1以上であるとき、添加率が下限値A1以上となる範囲であれば、流量制御器10の操作量を変更しても構わない。
上記フローでは、制御器11が添加率を算定し、直接的に添加率を用いて制御したが、添加率を算定せずに間接的に添加率を用いた制御を行っても構わない。例えば、ステップS105−S106を目標原料流量に応じて定められたリサイクルガス流量の下限値V1に基づき実行してもよい。この下限値V1は、各目標原料流量に対して下限値A1を乗じた値となる。
[変形例]
変形例の水素生成装置は、制御器は、圧力検知器の検出値を考慮して、リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が上限値以下になるように流量制御器を制御する。
【0026】
かかる構成により、原料ガスの供給圧の変動によって原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が必要以上に供給され、水素生成装置の効率が低下する可能性が、従来の水素生成装置に比べ、低減される。
【0027】
本変形例の水素生成装置は、上記特徴以外は、実施の形態1の水素生成装置と同様に構成しても構わない。
【0028】
次に、本変形例の水素生成装置について詳細に説明する。
【0029】
本変形例の水素生成装置100は、実施の形態1の水素生成装置100と同様に構成されるので、その説明を省略する。
【0030】
次に、本変形例の水素生成装置100の動作の一例について説明する。なお、以下に説明する動作は、制御器11の制御により実行される。
【0031】
図3は、本変形例の水素生成装置100の動作の一例を示すフロー図である。
【0032】
図3に示すように、目標原料流量を決定してから添加率が下限値A1未満であるとき、リサイクルガス流量を増加させるように流量制御器10を制御するまでは(ステップS101〜S106)、実施の形態1と同様の動作であるのでその説明を省略する。
【0033】
制御器11が算定した添加率が、下限値A1以上であるとき(ステップS105でYes)、添加率が上限値A2以下であるか否かが判定される(ステップS107)。なお、上記上限値A2は、水素生成装置の効率が所定の効率(例えば、エネルギー効率80%)未満とならないよう設定され、水素生成装置の仕様により適宜設定される。
添加率が上限値A2より大きい場合(ステップS107でNo)、添加率を減少させるよう流量制御器10を制御する(ステップS108)。例えば、流量制御器10が、流量調整弁であるとき、制御器11は、流量調整弁の開度を小さくして、リサイクル流路8を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率(添加率)を増加させる。そして、制御器11は、流量調整弁を制御して添加率を上限値A2以下にする。
【0034】
一方、添加率が上限値A2以下であるとき(ステップS107でYes)、流量制御器10の操作量を維持し、フローを終了する(エンド)。例えば、流量制御器10が、流量調整弁であるとき、制御器11は、流量調整弁の開度を維持し、フローを終了する。
【0035】
なお、添加率が上限値A2以下であるとき、添加率が上限値A2以下となる範囲であれば、流量制御器10の操作量を変更しても構わない。
【0036】
上記フローでは、制御器11が添加率を算定し、直接的に添加率を用いて制御したが、添加率を算定せずに間接的に添加率を用いた制御を行っても構わない。例えば、ステップS107−S108を目標原料流量に応じて定められたリサイクルガス流量の上限値V2に基づき実行してもよい。この上限値V2は、各目標原料流量に対して上限値A2を乗じた値となる。
(実施の形態2)
実施の形態2の水素生成装置は、実施の形態1及び変形例の水素生成装置において、原料ガスを改質器に供給するための原料ガス供給器を備え、制御器は、圧力検知器の検出値を考慮して、リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が下限値以上になるように原料ガス供給器を制御する。
【0037】
かかる構成により、原料ガスの供給圧の変動によって原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が必要量を下回る可能性が、従来の水素生成装置に比べ、低減される。
【0038】
本実施の形態の水素生成装置は、上記特徴以外は、実施の形態1及びこの変形例の水素生成装置のいずれかと同様に構成しても構わない。
【0039】
次に、本実施の形態の水素生成装置の一例について説明する。
【0040】
本実施の形態の水素生成装置の概略構成は、図1に示す実施の形態1の水素生成装置の概略構成と同様であるのでその説明を省略する。
次に、水素生成装置100の動作の一例について説明する。なお、以下に説明する動作は、制御器11の制御により実行される。
図4は、本実施の形態の水素生成装置100の動作の一例を示すフロー図である。
図4に示すように、目標原料流量を決定してから制御器11により算定される添加率が下限値A1以上であるか否かを判定するまでは(ステップS101〜S105)、実施の形態1と同様の動作であるのでその説明を省略する。
制御器11は、添加率が下限値A1未満であるとき(ステップS105でNo)、添加率を増加させるよう原料ガス供給器6及び流量制御器10を制御する(ステップS108)。例えば、原料ガス供給器6が昇圧器で、流量制御器10が、流量調整弁であるとき、制御器11は、昇圧器の操作量を上げるとともに流量調整弁の開度を大きくして、リサイクル流路8を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率(添加率)を増加させる。そして、制御器11は、流量調整弁を制御して添加率を下限値A1以上にする。
一方、添加率が下限値A1以上であるときは(ステップS105でYes)、原料ガス供給器6及び流量制御器10の操作量を維持し、フローを終了する。例えば、原料ガス供給器6が昇圧器で、流量制御器10が流量調整弁であるとき、制御器11は、昇圧器の操作量及び流量調整弁の開度を維持し、フローを終了する。
なお、添加率が下限値A1以上であるとき、添加率が下限値A1以上となる範囲であれば、原料ガス供給器6及び流量制御器10の少なくともいずれか一方の操作量を変更しても構わない。
上記フローでは、制御器11が添加率を算定し、直接的に添加率を用いて制御したが、添加率を算定せずに間接的に添加率を用いた制御を行っても構わない。例えば、ステップS105、S110を目標原料流量に応じて定められたリサイクルガス流量の下限値V1に基づき実行してもよい。この下限値V1は、各目標原料流量に対して下限値A1を乗じた値となる。
(実施の形態3)
実施の形態3の水素生成装置は、実施の形態1及びこの変形例の水素生成装置において、原料ガスを前記改質器に供給するための原料ガス供給器を備え、制御器は、圧力検知器の検出値を考慮して、リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が上限値以下になるように原料ガス供給器を制御する。
【0041】
かかる構成により、原料ガスの供給圧の変動によって原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が必要以上に供給され、素生成装置の効率が低下する可能性が、従来の水素生成装置に比べ、低減される。
【0042】
本実施の形態の水素生成装置は、上記特徴以外は、実施の形態1及びこの変形例の水素生成装置のいずれかと同様に構成しても構わない。
【0043】
次に、本変形例の水素生成装置について詳細に説明する。
【0044】
本実施の形態の水素生成装置100は、実施の形態1の水素生成装置100と同様に構成されるので、その説明を省略する。
【0045】
次に、本実施の形態の水素生成装置100の動作の一例について説明する。なお、以下に説明する動作は、制御器11の制御により実行される。
【0046】
図5は、本実施の形態の水素生成装置100の動作の一例を示すフロー図である。
【0047】
図5に示すように、添加率が上限値A2以下であるか否かを判定するまでは(ステップS101〜S107)、実施の形態1の変形例の水素生成装置と同様の動作であるのでその説明を省略する。
【0048】
制御器11は、添加率が上限値A2より大きい場合(ステップS107でNo)、リサイクルガス流量を減少させるよう原料ガス供給器6を制御する(ステップS111)。例えば、原料ガス供給器6が、昇圧器であるとき、制御器11は、リサイクルガス流量が、上限値A2以下になるよう昇圧器の操作量を小さくする。
【0049】
一方、添加率が上限値A2以下であるとき(ステップS107でYes)、原料ガス供給器6及び流量制御器10の操作量を維持し、フローを終了する(エンド)。例えば、原料ガス供給器6が昇圧器で、流量制御器10が流量調整弁であるとき、制御器11は、昇圧器の操作量及び流量調整弁の開度を維持し、フローを終了する。
【0050】
なお、添加率が上限値A2以下であるとき、添加率が上限値A2以下となる範囲であれば、原料ガス供給器6及び流量制御器10の少なくともいずれか一方の操作量を変更しても構わない。
【0051】
なお、上記ステップS111で、制御器11が添加率を低下させるよう、原料ガス供給器6及び流量制御器10を制御しても構わない。
【0052】
上記ステップS106に代えてステップ110を実行しても構わない。
【0053】
上記フローでは、制御器11が添加率を算定し、直接的に添加率を用いて制御したが、添加率を算定せずに間接的に添加率を用いた制御を行っても構わない。例えば、ステップS107、S111を目標原料流量に応じて定められたリサイクルガス流量の上限値V2に基づき実行してもよい。この上限値V2は、各目標原料流量に対して上限値A2を乗じた値となる。
(実施の形態4)
実施の形態4の燃料電池システムは、実施の形態1、2及びこれらの変形例のいずれかの水素生成装置と、水素生成装置より供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池とを備える。
【0054】
図6は、実施の形態4の燃料電池システム200の概略構成の一例を示す図である。
【0055】
図6に示す例では、本実施の形態の燃料電池システム200は、実施の形態1の水素生成装置100と、燃料電池12とを備える。
【0056】
燃料電池12は、水素生成装置100より供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池である。燃料電池12は、いずれの種類の燃料電池であってもよく、例えば、高分子電解質形燃料電池(PEFC)、固体酸化物形燃料電池またはりん酸形燃料電池等を用いることができる。
【0057】
発電運転時において、燃料電池システム200は、水素生成装置100から供給される水素含有ガスを用いて発電する。
【0058】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の水素生成装置、及び燃料電池システムは、原料ガスの供給圧の変動によって原料ガスに添加される水素含有ガスの流量が必要量を下回る可能性が、従来の水素生成装置に比べ、低減され、水素生成装置及び燃料電池システムとして有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 改質器
2 燃焼器
3 原料ガス供給路
5 水添脱硫器
6 原料ガス供給器
7 圧力検知器
8 リサイクル流路
10 流量制御器
11 制御器
12 燃料電池
100 水素生成装置
200 燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスを用いて水素含有ガスを生成する改質器と、前記改質器に供給される原料ガスが流れる原料ガス供給路と、前記改質器に供給される原料ガスに含まれる硫黄化合物を除去する水添脱硫器と、前記改質器より送出される水素含有ガスを前記水添脱硫器に流入前の原料ガスに供給するためのリサイクル流路と、前記リサイクル流路との合流箇所よりも上流の原料ガス供給路の圧力を検知する圧力検知器と、前記リサイクル流路に設けられた流量制御器と、前記圧力検知器の検出値を考慮して、前記リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が下限値以上になるように前記流量制御器を制御する制御器とを備える、水素生成装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記圧力検知器の検出値を考慮して、前記リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が上限値以下になるように前記流量制御器を制御する、請求項1記載の水素生成装置。
【請求項3】
原料ガスを前記改質器に供給するための原料ガス供給器を備え、前記制御器は、前記圧力検知器の検出値を考慮して、前記リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が下限値以上になるように前記原料ガス供給器を制御する、請求項1または2に記載の水素生成装置。
【請求項4】
原料ガスを前記改質器に供給するための原料ガス供給器を備え、前記制御器は、前記圧力検知器の検出値を考慮して、前記リサイクル流路を介して原料ガスに添加される水素含有ガスの体積比率が上限値以下になるように前記原料ガス供給器を制御する、請求項1または2に記載の水素生成装置。
【請求項5】
請求項1−4のいずれかに記載の水素生成装置と、前記水素生成装置より供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池とを備える燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−250876(P2012−250876A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124806(P2011−124806)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】