説明

水素貯蔵用複合容器及び水素充填方法

【課題】多量の水素を貯蔵でき、水素充填時においてプレクールを必要としない、もしくは、プレクールが少なくてすみ、従来よりも簡便に水素を充填できる水素貯蔵用複合容器を提供すること。
【解決手段】ライナー2を繊維及び樹脂4で補強した複合容器であって、内部に、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.5質量%未満である充填材料を1〜25体積%存在させた、水素貯蔵用複合容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素貯蔵用複合容器及び水素充填方法に関する。より詳しくは、水素充填時にプレクールを必要としない、もしくは、プレクールが少なくてすむ水素貯蔵用の複合容器、及び、水素の充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、環境に配慮し、水素をエネルギーとし、燃料電池で発電し走行する燃料電池車(FCV)の開発、及び、FCVに水素を充填する水素ステーションインフラの整備が進められている。水素ステーションとしては、その場所で都市ガス、LPG、灯油などを改質して水素を製造するオンサイト型と、製油所などで水素を一括して製造し、水素を輸送してくるオフサイト型の2タイプが考えられる。
【0003】
オフサイト型では、水素を大量に製造及び精製することから、そのときに発生する二酸化炭素(CO)を分離回収し、貯留する(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)ことが可能であり、CO削減に大きな期待が寄せられている。
【0004】
水素を輸送する手段の一つとして、水素を35〜45MPa程度の圧力に圧縮して水素用高圧容器に充填し、その容器を数十本まとめてカードル化し、トレーラで運ぶことが検討されている。
【0005】
水素輸送トレーラ用容器は、現在、鋼製で19.6MPaのものが実用化されている。しかし、鋼製容器は重量が重いため、トレーラへの積載量が限られ、将来のFCV普及期には水素輸送量に問題がある。そのため、軽量なアルミライナーや樹脂ライナーを用いた複合容器(CFRP容器)を使ったトレーラでの輸送が検討されている。
【0006】
ところで、高圧水素容器の扱いに関しては、法令で定められた許容温度が存在し、一般高圧ガス保安規則によれば、貯蔵時は水素の温度を40℃以下にするよう規定されている。しかしながら、CFRP(炭素繊維強化樹脂)容器は、樹脂ライナー層やCFRP層の熱伝導率が低いため、水素を充填する際に水素の温度が法令で定める許容温度(40℃)を超えてしまう可能性がある。
【0007】
例えば、外気温25℃で200Lのアルミライナー製CFRP容器に、一定昇圧で40MPaまで90分かけて水素を充填した場合、20分で約40℃に到達し、90分で40MPaまで充填した直後の温度は約53℃となる。この場合、水素の温度を40℃以下に保ったまま水素をフル充填するためには、充填時間を長くするか、充填前の水素温度を下げるプレクールを施すしかない。
【0008】
充填時間を長くすることは、FCV普及期には実用的ではない。一方、プレクールを実施する場合には、設備コスト、ランニングコストが上昇し、水素供給コストが上昇してしまう。また、プレクールを実施する場合には多大な電力を消費し、現在検討されている商用の水素インフラストラクチャーが実現された際には消費電力の増大が予測されている。加えて、プレクールは外気温度の影響を受けやすく、電力需要の大きい夏季には冬季の1.5倍もの電力を必要とすることからも、省エネルギー効果及び環境負荷低減効果の観点からも好ましくないといえる(非特許文献1参照)。
【0009】
かかる課題の解決策として、特許文献1では水素を吸着した水素吸着合金を収容したパイプ状容器をライナーの一端から挿入し、多端から水素を導入する際に、水素吸蔵合金から水素が脱着する際の吸熱を利用して温度上昇を妨げる方法が開示されている。また、特許文献2に開示される発明では、外部から水素を導入する水素ガスフィルターを熱媒管に螺旋状に巻きつけた多数の複合管を貯蔵容器内に配置し、水素充填時に熱媒管に冷却水を流すことで温度上昇を妨げている。
【0010】
しかしながら、上記従来技術は冷却に使用する装置が共に大掛かりであり、操作も煩雑であるため、費用、利便性や汎用性の面からも更なる改善が求められるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−162812号公報
【特許文献2】特開2000−55300号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「平成21年度 水素・燃料電池実証プロジェクト JHFCセミナー」、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、p41、52、77、2010年3月2日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のような状況下、できるだけ多くの水素を貯蔵(輸送)でき、水素充填時においては、従来の充填よりも簡便な充填ができる水素貯蔵用複合容器が求められている。よって本発明は、できるだけ多くの水素を貯蔵できるとともに、水素充填時においてプレクールを必要としない、もしくは、プレクールが少なくてすみ、従来よりも簡便に水素を充填することができる水素貯蔵用複合容器、及び、水素充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、ライナーを繊維及び樹脂で補強した複合容器であって、内部に、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.5質量%未満である充填材料を1〜25体積%存在させた、水素貯蔵用複合容器を提供する。
【0015】
本発明の水素貯蔵用複合容器によれば、内部に上記充填材料が存在していることにより、容器内に水素を圧縮して充填する際に、水素の圧縮熱を充填材料が吸収し、温度上昇を抑制することができる。また、水素吸蔵能が0.5質量%未満である水素吸蔵能に乏しい充填材料を用いることで、水素が充填材料に吸着される際に発生する吸着熱を抑えることができ、水素の温度上昇をより一層抑制することができる。更に、充填材料の体積分だけ容器内の空間は減少するが、充填材料の存在により水素の温度を低く抑えることができるため、充填材料が存在しない場合と比較して、プレクールを行わずに同じ圧力で水素を充填した場合の水素貯蔵量を増大させることが可能である。よって、本発明の水素貯蔵容器によれば、限られた時間でできるだけ多くの水素を貯蔵できるとともに、水素充填時においてプレクールを不要とする、もしくは、プレクールを少なくすることが可能となる。
【0016】
ここで、上記充填材料は、密度が2g/cm以下、且つ、比熱が0.1cal/(K・g)以上のものであることが好ましい。かかる充填材料は比熱が高いため、水素を圧縮充填する際に発生する圧縮熱による温度上昇をより十分に抑制することができ、更に、密度が低いことから、水素充填時に発生する気流によって飛散又は流動しやすく、効率的に熱交換を行うことができる。
【0017】
また、上記充填材料は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び炭素系材料からなる群より選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
【0018】
また、上記充填材料の形状は、厚さ10〜1000μmに薄層化された形状、又は、直径1〜1000μmに微細化された形状であることが好ましい。かかる形状の充填材料は、水素充填時に発生する気流によってより流動又は飛散しやすく、且つ、表面積を大きくできるため、充填時の熱交換をより効率的に行うことができる。
【0019】
本発明の水素貯蔵用複合容器は、内部に更に、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.5質量%以上である多孔性炭素材料を、上記充填材料との合計量が25体積%以下となるように存在させたものであることが好ましい。上記充填材料と上記多孔性炭素材料とを併存させることで、水素充填時の温度上昇の抑制と水素貯蔵量とを高水準で両立させることができる。
【0020】
ここで、上記多孔性炭素材料は、BET法によって測定される比表面積が800〜3000m/g、且つ、ミクロ孔容積が0.5〜2cc/gのものであることが好ましい。また、上記多孔性炭素材料は、2回以上の賦活工程を経て形成された植物原料由来の活性炭であることが好ましい。更に、上記多孔性炭素材料は、Li原子を含む活性炭であることが好ましい。これらの条件を満たす多孔性炭素材料を用いることで、水素充填時の温度上昇の抑制と水素貯蔵量とをより高水準で両立させることができる。
【0021】
本発明はまた、ライナーを繊維及び樹脂で補強した複合容器であって、内部に、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.5質量%未満である充填材料を1〜25体積%存在させた水素貯蔵用複合容器に、水素を圧縮して充填する、水素充填方法を提供する。かかる水素充填方法によれば、内部に上記充填材料が存在していることにより、水素充填時の温度上昇を抑制することができ、水素充填時においてプレクールを不要とする、もしくは、プレクールを少なくすることが可能となるとともに、できるだけ多くの水素を貯蔵することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、できるだけ多くの水素を貯蔵できるとともに、水素充填時においてプレクールを必要としない、もしくは、プレクールが少なくてすみ、従来よりも簡便に水素を充填することができる水素貯蔵用複合容器、及び、水素充填方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る水素貯蔵用複合容器の概略部分断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る水素貯蔵用複合容器の概略部分断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る水素貯蔵用複合容器の概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0025】
図1〜3はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る水素貯蔵用複合容器の概略部分断面図である。図1〜3に示すように、水素貯蔵用複合容器1は、ライナー2を繊維及び樹脂4で補強した容器部6を備える。
【0026】
ライナー2は、両端部をドーム状(半球状)に形成した円柱体であり、内部は中空をなし、少なくとも一方の端部に、水素を充填するための構造を有するものである。両端部以外の円柱状の部位は、一定の直径で形成されていてもよいが、中央部の直径が多少大きい構造であってもよい。ライナー2を構成する材料としては、ステンレス、アルミニウム等の金属、あるいはポリエチレン等のプラスチックなど一定の強度が得られるものであればいかなるものであってもよい。
【0027】
本実施形態においてライナー2は、繊維及び樹脂4で補強される。補強の方法は任意であるが、容器部6は、例えば、樹脂で含浸した炭素繊維をライナー2に巻装することによって製造される。この場合、炭素繊維及び樹脂を含む炭素繊維層(補強層)により、ライナー2が補強されることとなる。巻装の方法は任意であり、例えば、あらかじめ樹脂を炭素繊維等に含浸してあるトウプリプレグを使用したり、炭素繊維を巻装時に液体状の樹脂に含浸し使用するなどの用法がある。使用する樹脂は一般的に熱硬化性の樹脂であり、典型的なものはエポキシ樹脂である。巻装の方法は、フープ巻き、ヘリカル巻き等により連続的に密に巻回する方法が挙げられる。こうした樹脂は、ライナー2に巻装した後、加熱され硬化される。
【0028】
繊維及び樹脂4を含む補強層の厚みは、水素充填圧力によって異なるが、一般的には5mm〜10cmであり、ライナー2の直径の3%〜20%程度である。
【0029】
図1に示すように、ライナー2の少なくとも一端に設けられた水素を充填する構造は、一般的に口金12と、ライナー2の外部にノズル状に伸びた水素供給管14とで構成される。水素供給管14は、必要に応じ、図1に示すようにライナー2の内部にも伸びていてもよい。その場合、水素供給管14のライナー2内部に伸びた部分(内部ノズル)は、例えば、無数の穴が開いたフィルター状の管となっており、この内部ノズルによって均一に水素が吹き込まれ、且つ、ライナー2内部全体に気流が起こるようにしてあってもよい。
【0030】
また、水素供給管としては、図2に示す水素供給管16のように短いものを使用してもよい。この場合、水素供給管16のライナー2内部に伸びた部分(内部ノズル)は、先端の開口部をフィルター等で覆った状態にしてもよいし、図1に示した水素供給管14と同様に、無数の穴が開いたフィルター状の管としてもよい。これにより、水素放出時に充填材料20が水素供給管を通って外部に噴出するのを防ぐことができる。
【0031】
本発明においては、ライナー2を繊維及び樹脂4で補強した容器部6内に、温度が303Kであり、水素の平衡圧が35MPaであるときに、水素吸蔵能が0.5質量%未満である充填材料20を、1〜25体積%存在させる。ここで、充填材料20の水素吸蔵能は、0.4質量%以下であることが好ましく、0.2〜0.3質量%であることがより好ましい。この水素吸蔵能が0.5質量%以上であると、水素が充填材料20に吸着されやすくなり、吸着熱の発生により水素の温度上昇を抑制する効果が低下する。
【0032】
また、充填材料20の密度は、2g/cm以下であることが好ましく、0.5〜1.5g/cmであることがより好ましく、0.7〜1.2g/cmであることがさらに好ましい。密度が2g/cmを超えると、水素充填時に充填材料20が飛散せずにライナー2の底部に密集しやすくなり、効率的な熱交換が行われにくくなる傾向がある。また、密度が高すぎると、充填材料20によりライナー2の内壁が傷つけられるおそれもあるため、好ましくない。一方、密度が0.5g/cm未満であると、充填材料20を容器内に充填しにくくなる傾向がある。なお、本明細書において、密度は、乾式密度測定により測定されたものである。
【0033】
充填材料20の比熱は、0.1cal/(K・g)以上であることが好ましく、0.2cal/(K・g)以上であることがより好ましく、0.2〜0.5cal/(K・g)であることがさらに好ましい。比熱が0.1cal/(K・g)未満であると、水素の温度上昇を十分に抑制するために多量の充填材料20が必要となり、比熱が0.5cal/(K・g)を超えると、充填材料20の放熱に時間がかかる傾向がある。
【0034】
充填材料20の量は、水素を充填するときに発熱する熱量と、充填材料20の吸収する熱量との関係において、容器部6内に充填された水素の温度が容器部6を構成する樹脂及び充填材料20の耐熱温度以下、または法令等に定められた温度以下となるように、調節することが望ましい。法令で定められた温度とは、例えば、現在の一般高圧ガス保安規則の規制で、水素充填時の容器あるいは水素の温度上限である40℃である。
【0035】
上記目的を達成するために必要な充填材料20の量は、ライナー2内部の全容積を基準として1〜25体積%であり、5〜25体積%であることが好ましい。この充填量が1体積%未満であると、水素の温度上昇を抑制する効果が十分に得られず、25体積%を超えると、充填材料20の体積によってライナー2内部の水素を貯蔵するための空間が減少し、水素貯蔵量が大幅に減少する。充填材料20の量を上記範囲内とすることで、例えば、内容量200L、充填圧力40MPaのアルミライナー製複合容器に水素を充填する場合、水素の温度を40℃以下に抑えつつ、水素を60〜100分程度で充填することが可能である。なお、後述する多孔性炭素材料を併用する場合、充填材料20の量は1体積%以上25体積%未満であり、1〜20体積%であることが好ましく、5〜17体積%であることがより好ましい。
【0036】
充填材料20は、BET法により測定される比表面積が1000m/g以下であることが好ましく、500〜1000m/gであることがより好ましい。BET比表面積を上記範囲内とすることで、水素との接触面積が増大するため、より効率的な熱交換が可能となり、水素の温度上昇をより十分に抑制することができる。
【0037】
充填材料20としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、炭素系材料などが挙げられるが、特に好ましいものは、熱容量の高い熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂、並びに活性炭などの炭素系材料である。
【0038】
熱容量の高い熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。熱容量の高い熱可塑性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。活性炭などの炭素系材料としては、木、籾殻、石炭などを炭化、賦活したもの、PAN系・ピッチ系の炭素繊維あるいはそれを賦活したものなどが挙げられる。ただし、本発明における充填材料20は、これらに限定されるものではない。充填材料20は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
本発明においては、充填材料20を容器部6の内部に存在させる際に、該充填材料20は任意の形態で存在させることができる。充填材料20の形状としては、薄層化された形状、微細化(微粉化)された形状等が挙げられる。
【0040】
充填材料20を薄層化された形状とする場合、薄層の厚さは10〜1000μmであることが好ましく、50〜100μmであることがより好ましい。薄層化の方法は任意であり、例えば、充填材料20として樹脂を用いる場合、原料となる樹脂を溶剤に溶かし、型枠に薄く延ばした後、溶剤を乾燥させる方法が挙げられる。薄層の形状としては、上記厚み以外の寸法は、口金12からライナー2内部に導入できる寸法であれば特に限定されない。例えば、充填材料20は、口金12から導入できる程度に横幅が狭く、縦の長さが長いリボン状(帯状)の形状であってもよく、口金12の幅よりも縦横の長さが長いシート状の形状であってもよく、口金12から導入できる程度に小片化された形状であってもよい。充填材料20をシート状の形状とした場合には、例えば、当該充填材料20を筒状に丸めて、或いは、折り畳んで口金12からライナー2内部に導入することができる。この場合、充填材料20は、ライナー2内部に導入された後、丸めた状態や折り畳んだ状態が解かれて広がってもよい。中でも、充填材料20は、水素充填時に飛散する形状のものであることが好ましく、好ましくは1cm角程度以下、より好ましくは0.3〜0.5mm角程度のサイズに切断して小片化したものであることが好ましい。
【0041】
充填材料20を微細化された形状とする場合、直径1〜1000μmに微細化することが好ましく、直径10〜100μmに微細化することがより好ましい。充填材料20を微細化された形状とした場合、水素充填時に飛散しやすいため好ましい。微細化された形状としては特に限定されないが、粒子状であることが好ましく、球形粒子状であることがより好ましい。本明細書において、微細化された充填材料20の直径は、光学顕微鏡観察により測定された平均直径を意味する。
【0042】
充填材料20としては、1種の充填材料を単独で用いてもよく、材質、物性、形状等が異なる2種以上の充填材料を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
更に、本発明においては、図3に示すように、多孔性炭素材料8を上記充填材料20と組み合わせて用いることができる。多孔性炭素材料8は表面積が大きく、多量の水素分子を吸着させることができるため、これを用いることで、更に水素貯蔵量を増大させることができる。なお、水素吸着の際に吸着熱が発生するが、多孔性炭素材料8自体の熱容量に加え、上記充填材料20の熱容量により効果的に温度上昇が抑制され、且つ、水素が低温を保つため、多孔性炭素材料8と充填材料20との併用による相乗的な効果により水素貯蔵量をより増加させることができる。
【0044】
多孔性炭素材料8をライナー2内部に存在させる方法は任意であるが、例えば、多孔性炭素材料8の粉末を蒸発の可能な有機溶媒に分散させた後、紙などの柔軟性のあるシートにキャストし、それを端部ドーム部材と一体成形された、気体が表面から噴出自在な内部ノズルに巻きつけた後、円柱の側面ともう一方の端部ドーム部材を成形するなどの方法がある。また、多孔性炭素材料8の粉末をキャストしたシートを、ライナー2の円柱部分や端部ドーム部材の内面に貼り付けてもよい。特に、図3に示すように、ライナー2内部表面に一定の量で多孔性炭素材料8を存在させれば、その熱容量による温度上昇の抑制効果に加え、断熱効果も生じるため好ましい。この製造方法は任意であるが、例えば、ライナー2内部の表面に樹脂等のバインダーを用いて多孔性炭素材料8を付着させてもよいし、あるいは多孔性炭素材料8の粉末を容易に蒸発させることができる有機溶媒に分散させた後、ライナー2内部の表面にキャストし、通気性のある網状の材料で押さえつけることで保持してもよい。また、図3において水素供給管14は、図2に示したような長さの短い水素供給管16に置き換えてもよい。
【0045】
多孔性炭素材料8としては、温度が303Kであり、水素の平衡圧が35MPaであるときに、水素吸蔵能が0.5質量%以上、好ましくは0.6〜3質量%であるものを用いることができる。多孔性炭素材料8は、ライナー2内に、ライナー2内部の全容積を基準として、充填材料20との合計量が25体積%以下となる範囲で、5〜24体積%存在させることが好ましく、8〜15体積%存在させることがより好ましい。多孔性炭素材料8の量が5体積%未満であると、水素吸蔵量の向上効果が低下する傾向があり、24体積%を超えると、多孔性炭素材料8の体積によってライナー2内部の水素を貯蔵するための空間が減少し、水素貯蔵量が低下する傾向がある。
【0046】
また、ライナー2内に存在させる充填材料20及び多孔性炭素材料8の合計量は、ライナー2内部の全容積を基準として25体積%以下とすることが好ましく、10〜25体積%とすることがより好ましい。充填材料20及び多孔性炭素材料8の合計量が25体積%を超えると、充填材料20及び多孔性炭素材料8の体積によってライナー2内部の水素を貯蔵するための空間が減少し、水素貯蔵量が低下する傾向がある。
【0047】
かかる多孔性炭素材料8は、一般的なものでも良いが、特に好ましいものは、水素の吸蔵能が高い、2回以上の賦活工程を経て形成された植物原料由来の活性炭である。さらに、多孔性炭素材料8は、Li原子を含む活性炭であることが好ましい。
【0048】
2回以上の賦活工程を経て形成された植物原料由来の活性炭とは、ヤシガラ、モミガラ、竹、木材チップ等の植物原料を炭化させた後に2回以上賦活させたものである。こうして得られる活性炭は、表面積が大きく水素の吸蔵しやすいミクロ孔の発達した活性炭であり、炭素以外の植物由来の成分が好ましく作用することによって、高度な水素吸蔵能を有する活性炭である。
【0049】
本発明においては、植物原料をそのまま、あるいは300〜1,000℃の温度で炭化処理したものを第一段の賦活処理に供する。必要に応じ、賦活の前に植物原料の粉砕を行ってもよい。
【0050】
賦活方法は、水蒸気賦活、アルカリ賦活等があり、どのような賦活方法でもよいが、特に好ましいのは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物を使用した賦活方法である。
【0051】
例えば、植物原料を炭化して得られた炭化物1質量部に対して、アルカリ金属水酸化物を0.2〜5質量部加え、温度500〜800℃程度で0.1〜5時間程度処理を行う。この際、アルカリ金属水酸化物として特に好ましいのは、水酸化カリウムである。この後、未反応のアルカリ金属水酸化物を洗浄によって除去する。洗浄では、必要に応じ塩酸等を使用してアルカリを除去することも可能である。その後、乾燥させた後、再度賦活する。この際は、水蒸気賦活をすることもよいし、同じようにアルカリ金属水酸化物を反応させてもよい。この際は、水酸化カリウムを使用してもよいし、ミクロ孔の形成がしやすいことから、水酸化リチウムを使用してもよく、いくつかのアルカリ金属水酸化物を併用してもよい。この後、同様に、必要に応じて洗浄して、乾燥させる。さらに賦活を繰り返してもよい。
【0052】
こうして製造された植物原料由来の活性炭は、BET法により測定される比表面積が800〜3000m/g、ミクロ孔容積が0.5〜2cc/gである。
【0053】
植物には、炭化しても炭素以外の成分が含まれており、水素との相互作用により、単なる活性炭よりも水素吸蔵能が優れるものである。一方で、炭素以外の成分は、賦活を妨げることがあり、二回以上賦活することにより、好ましい賦活と、細孔の形成が可能となるものである。
【0054】
Li原子を含む活性炭とは、一般の活性炭において、表面の含酸素官能基にLiイオンを結合(担持)させたものである。ここで、含酸素官能基は、フェノール性水酸基、キノン基、ラクトン性カルボキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0055】
多孔性炭素材の表面の一部と、その表面に形成されたフェノール性水酸基の構造の一例を、下記化学式(1)に示す。
【化1】



【0056】
多孔性炭素材の表面の一部と、その表面に形成されたキノン基の構造の一例を、下記化学式(2)に示す。
【化2】



【0057】
多孔性炭素材の表面の一部と、その表面に形成されたラクトン性カルボキシル基の構造の一例を、下記化学式(3)に示す。
【化3】



【0058】
多孔性炭素材の表面の一部と、その表面に形成されたカルボキシル基の構造の一例を、下記化学式(4)に示す。
【化4】



【0059】
下記化学式(5)は、含酸素官能基としてカルボキシル基と水酸基が形成された多孔性炭素材の表面の一部にLiが結合していない状態を示す。下記化学式(6)は、下記化学式(5)に示す多孔性炭素材の表面の一部にLiが結合している状態を示す。
【化5】



【化6】



【0060】
上記化学式(5)及び(6)に示すように、Liが、含酸素官能基に含まれる酸素に結合し、LiO基が形成されていることが好ましい。LiO基は、水素分子を強く吸着する性質を有する。したがって、LiO基が多孔性炭素材の表面に形成されることによって、水素吸蔵材における水素分子の吸着密度が増加して、水素吸蔵能が従来に比べて著しく向上する。
【0061】
含酸素官能基は、上述した官能基の中でも、フェノール性水酸基であることが特に好ましい。水素吸蔵能を向上させるためには、フェノール性水酸基に結合したLiのほうが他の含酸素官能基に結合したLiよりも好ましい。
【0062】
水素吸蔵材に含まれるLiの量は、0.1〜3mmol/g程度であればよい。ただし、水素吸蔵材に含まれるLiの量はこの範囲に限定されない。水素吸蔵材へのLiの導入量が大きいほど水素吸蔵能が向上する。
【0063】
こうしたLiを担持した活性炭は、上述の2回以上賦活をした植物原料由来の活性炭を使用してもよい。
【0064】
また、多孔性炭素材料8としては、繊維状原料の賦活物を用いてもよい。繊維状原料の賦活物は、賦活されたPAN(ポリアクリロニトリル)であることが好ましい。繊維状原料の賦活物は、上述した植物原料由来の活性炭と同様に、「炭化」及び「賦活」の2工程を含む製造方法により製造される。繊維状原料の賦活物も、2回以上賦活させたものであることが好ましい。また、繊維状原料の賦活物も、上述したようにLiを担持させたものであることが好ましい。こうして製造される繊維状原料の賦活物も、BET法により測定される比表面積が800〜3000m/g、ミクロ孔容積が0.5〜2cc/gである。
【0065】
ライナー2内には、充填材料20及び多孔性炭素材料8以外の他の材料を、本発明の効果を阻害しない範囲で充填することが可能である。このような他の材料としては、例えば、水素吸蔵合金を挙げることができる。しかしながら、水素吸蔵合金を収容した容器の場合、通常、水素の放出に熱を必要とし、容器の内部又は外部に配置するヒーター等の加熱装置が必要となるため、設備が大掛かりになり、操作も煩雑になる。したがって、費用、利便性や汎用性の観点から、本発明の水素貯蔵用複合容器は水素吸蔵合金を含まないことが好ましい。
【0066】
上述した水素貯蔵用複合容器1に水素を充填する場合、水素供給管からライナー2内部に水素を圧縮して充填する。このとき、充填材料20及び場合により併用される多孔性炭素材料8の熱容量が、水素の吸着熱と吸着されない水素の圧縮熱とを吸収することで、ライナー2内に充填された水素の温度が、容器部6を構成する樹脂及び充填材料20の耐熱温度以下、または法令等に定められた温度以下となるように、充填時の条件を調節することが望ましい。例えば、本発明の水素貯蔵用複合容器1を用いた場合、水素の温度を40℃以下に抑えつつ、内容量200Lの容器に、水素を40MPaまで60〜100分程度で充填することが可能である。
【0067】
以上、本発明の水素貯蔵用複合容器及び水素充填方法の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0069】
本実施例では、水素の温度を、一般高圧ガス保安規則の規制である40℃以下に保てるように検討した。なお、この温度では使用された充填材料(耐熱温度120℃以上)に何らの影響もないことを確認した。
【0070】
また、以下の実施例及び比較例における各材料の水素吸蔵能は、(株)レスカ製の水素吸蔵量測定装置を用い、測定試料の入ったサンプル管部分を303Kの水槽に浸した状態で、水素の平衡圧が35MPaであるときの水素吸蔵量を測定することにより求めたものである。
【0071】
(実施例1)
1μm以下の無数の穴が開いたフィルター状の水素供給管を備えたアルミライナー製CFRP容器を作製した。作製した容器の仕様は、内容量10L、内径160mm、長さ520mm、最小破裂圧力180MPaであった。
【0072】
ペレット状のフェノール樹脂(三井化学株式会社製、商品名:アドマー)を粉砕機にて微粉化し、粒子状の充填材料を得た。微粉化したフェノール樹脂粒子の平均直径は100μm、比熱は0.43cal/(K・g)、密度は1.3g/cm、BET比表面積はほぼ0m/g(窒素吸着量の測定限界以下)、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能はほぼ0質量%(水素吸蔵量の測定限界以下)であった。
【0073】
この充填材料を、作製した容器に3kg(容器内部の全容積を基準として23.1体積%)導入し、水素貯蔵用複合容器を得た。この水素貯蔵用複合容器内に、初期温度25℃の水素を5分間(200Lの容器に100分で充填することを想定)で40MPaまで充填した。充填直後の容器内の水素の温度は38℃であった。また、水素充填量は0.2kgであった。
【0074】
(実施例2)
ペレット状のポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン株式会社製、商品名:G900)をトルエンに濃度10質量%となるように溶解させ、300mm×300mmの平型トレーに180cm注いだ後、50℃で減圧しながらトルエンを除去した。得られたシート状のポリスチレン樹脂の膜厚は約200μmであった。このシート状ポリスチレン樹脂を裁断機で約0.5mm角に細分化した。この作業を繰り返し、充填材料を得た。この充填材料の比熱は0.32cal/(K・g)、密度は1.0g/cm、BET比表面積はほぼ0m/g(窒素吸着量の測定限界以下)、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能はほぼ0質量%(水素吸蔵量の測定限界以下)であった。
【0075】
この充填材料を、実施例1と同じ仕様の容器に2.5kg(容器内部の全容積を基準として23.8体積%)導入し、水素貯蔵用複合容器を得た。この水素貯蔵用複合容器内に、初期温度25℃の水素を5分間で40MPaまで充填した。充填直後の容器内の水素の温度は40℃であった。また、水素充填量は0.2kgであった。
【0076】
(実施例3)
比熱が0.21cal/(K・g)、密度が0.8g/cm、BET比表面積が950m/g、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.25質量%である粒状活性炭(クラレケミカル株式会社製、商品名:PDX)を、実施例1と同じ仕様の容器に4kg(容器内部の全容積を基準として18.2体積%)導入し、水素貯蔵用複合容器を得た。この水素貯蔵用複合容器内に、初期温度25℃の水素を5分間で40MPaまで充填した。充填直後の容器内の水素の温度は35℃であった。また、水素充填量は0.23kgであった。
【0077】
(実施例4)
ペレット状のポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製、商品名:G900)を用いて、実施例2と同様の方法で充填材料を得た。この充填材料を、実施例1と同じ仕様の容器に1kg(容器内部の全容積を基準として9.5体積%)導入した。
【0078】
一方、やしがらを700℃で焼成し、焼成後のやしがら1gあたり0.05molのKOHを加え、不活性ガス雰囲気下、750℃で2時間賦活処理した。その後、賦活後のやしがら1gあたり0.1molのLiOHにより、不活性ガス雰囲気下、750℃で再度賦活処理を行い、材料にLiを導入した。導入されたLi量は0.3質量%であった。得られた多孔性炭素材料は、BET法により測定される比表面積が2118m/g、ミクロ孔容積が1.402cc/gであった。得られた多孔性炭素材料の水素吸蔵能は、水素の平衡圧35MPa、温度30℃(303K)で1.3質量%であった。
【0079】
この多孔性炭素材料を上記容器にさらに2kg(8体積%)導入して水素貯蔵用複合容器を得た。
【0080】
この水素貯蔵用複合容器内に、初期温度25℃の水素を5分間で40MPaまで充填した。充填直後の容器内の水素の温度は40℃であった。また、水素充填量は0.25kgであった。
【0081】
(比較例1)
実施例1と同じ仕様の容器に充填材料を入れずに、初期温度25℃の水素を5分間で40MPaまで充填した。充填直後の容器内の水素の温度は58℃であった。また、容器内の水素の温度が40℃に到達したときの水素圧は22MPaであった。また、水素充填量は0.2kgであった。
【0082】
(比較例2)
比熱が0.1cal/(K・g)、密度が6g/cm、BET比表面積がほぼ0m/g(窒素吸着量の測定限界以下)、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.55質量%であるバナジウム(アルドリッチ社製)を、実施例1と同じ仕様の容器に2.4kg(容器内部の全容積を基準として3.9体積%)導入し、水素貯蔵用複合容器を得た。この水素貯蔵用複合容器内に、初期温度25℃の水素を5分間で40MPaまで充填した。充填直後の容器内の水素の温度は53℃であった。また、水素充填量は0.2kgであった。
【0083】
(比較例3)
ペレット状のポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製、商品名:G900)を用いて、実施例2と同様の方法で充填材料を得た。この充填材料を、実施例1と同じ仕様の容器に5kg(容器内部の全容積を基準として47.6体積%)導入し、水素貯蔵用複合容器を得た。この水素貯蔵用複合容器内に、初期温度25℃の水素を5分間で40MPaまで充填した。充填直後の容器内の水素の温度は45℃であった。本例では、充填材料の量が多すぎて熱が効率的に充填材料に吸収されず、吸熱効果が十分に得られなかったために水素の温度が上昇したものと考えられる。また、水素充填量は0.12kgであった。
【0084】
実施例及び比較例の結果から明らかなように、本発明の水素貯蔵用複合容器によれば、水素充填時にプレクールを行うことなく、水素の温度を40℃以下に抑えることができ、従来よりも簡便に水素を充填することができるとともに、十分な量の水素を貯蔵することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の水素貯蔵用複合容器は、来る水素社会において、水素輸送のための容器として使用する、あるいは水素自動車に組み込んでエンジンの燃料のタンクとして使用することができる。また、家庭用の燃料電池の燃料となる水素を貯蔵する容器として、かつてのプロパンガスボンベのような使用も可能である。すなわち、複雑で経費のかかる設備を持たなくても、水素貯蔵用複合容器から水素を供給することが可能となり、本発明は、エネルギーとしての水素の普及に大きく貢献するものである。本発明を実施することで、環境に貢献でき、持続的社会の実現の一助となることは明らかである。
【符号の説明】
【0086】
1…水素貯蔵用複合容器、2…ライナー、4…繊維及び樹脂、8…多孔性炭素材料、12…口金、14,16…水素供給管、20…充填材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーを繊維及び樹脂で補強した複合容器であって、
内部に、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.5質量%未満である充填材料を1〜25体積%存在させた、水素貯蔵用複合容器。
【請求項2】
前記充填材料は、密度が2g/cm以下、且つ、比熱が0.1cal/(K・g)以上のものである、請求項1記載の水素貯蔵用複合容器。
【請求項3】
前記充填材料は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び炭素系材料からなる群より選択される少なくとも1種を含むものである、請求項1又は2記載の水素貯蔵用複合容器。
【請求項4】
前記充填材料の形状は、厚さ10〜1000μmに薄層化された形状、又は、直径1〜1000μmに微細化された形状である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水素貯蔵用複合容器。
【請求項5】
内部に更に、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.5質量%以上である多孔性炭素材料を、前記充填材料との合計量が25体積%以下となるように存在させた、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水素貯蔵用複合容器。
【請求項6】
前記多孔性炭素材料は、BET法によって測定される比表面積が800〜3000m/g、且つ、ミクロ孔容積が0.5〜2cc/gであるものである、請求項5記載の水素貯蔵用複合容器。
【請求項7】
前記多孔性炭素材料は、2回以上の賦活工程を経て形成された植物原料由来の活性炭である、請求項5又は6記載の水素貯蔵用複合容器。
【請求項8】
前記多孔性炭素材料は、Li原子を含む活性炭である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の水素貯蔵用複合容器。
【請求項9】
ライナーを繊維及び樹脂で補強した複合容器であって、内部に、温度303K、水素の平衡圧35MPaであるときの水素吸蔵能が0.5質量%未満である充填材料を1〜25体積%存在させた水素貯蔵用複合容器に、水素を圧縮して充填する、水素充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−29180(P2013−29180A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166889(P2011−166889)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】