説明

水質浄化装置

【課題】発明は、農地から流出される排水中に含まれる窒素、リンに加え溶存態有機物を効率的に除去できる水質浄化装置を提供することを目的とする。
【解決手段】農地からの排水を排水路2に排出する排水枡3が設置された畦畔1部分に、農地からの排水を流入する流入口16と、流入された農地排水を前記排水枡3に流出する流出口17とが設けられた水質浄化槽10が前記排水枡3に隣接して埋設されて設置されている。前記水質浄化槽10内には水質浄化水路が形成され、該水質浄化水路には農地排水を浄化する浄化体25が収納されており、農地排水に含まれている環境負荷物質を除去する。
水田の畦畔1部分に、水田からの排水が流入口18から流入されて流出口21から流出される浄化部11を形成し、浄化部11を仕切り壁16,17で区画して複数の浄化体25を配置する収納部を形成している。該収納部に木材を高温で炭化させて製造した炭化材を収納している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田等の農地から排水路等に流出する農地排水を浄化する水質浄化装置に関し、農地排水中に含まれる窒素、リン等に加え、特に溶存態有機物を除去するための水質浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水田から排水路に水田排水を流出するための排水枡に関する技術には、水田水位を一定に保つことが出来る水位調節装置が備わっているもの、用水の供給、排水を容易に自動で行うことが出来る用水管理システムをもつもの、これら両方の機能をあわせ持つものが開発されている。また、耕作区である水田への用水供給、田面水位の維持等を簡単な操作で確実に行うことができ、さらに農薬や肥料等とともに、用水が余剰水として流出する量を低減する技術が開発されている(特許文献1)。
【0003】
一方、農業地域から流出する農薬、肥料を含む農地排水等は、窒素化合物やリン等を含有していることから、河川や排水路に流入することにより、富栄養化、悪臭、水質汚濁、水生物への悪影響等の問題を引き起こすことがある。そこで、水田の排水口を中心として、湾曲状をなす薄板状の内囲いと外囲いとを設置し、この内囲いと外囲いで囲まれる中に、炭、活性炭、貝殻等からなる浄化材を入れて農薬成分等を除去して水田からの排水の浄化を図ることが考えられている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−243749号公報
【特許文献2】特開2003−71437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の環境保全型農業の推進により、農業地域からの窒素、リン等の栄養塩の流出は減少傾向にある。特許文献1のものは、農業水利システムを利用して、用排水路およびポンプ施設を用いた高度な循環・反復灌漑を行い、各水田に供給された用水が余剰水として排出されるのを最小限に抑える用水管理を行うことにより、各水田に施用された農薬や肥料等が用水と共に外部に流出する量を低減することができる。また、特許文献2のものは、水田からの排水を炭、活性炭、貝殻等からなる浄化材中を通過させ、農業排水中に含まれる農薬や肥料を除去するものであり、河川や湖沼を汚染する農薬成分等を除去することができる。
【0006】
ところが、農地からの排水には、植物の葉や茎の部分が腐植してできた有機物が溶け込んでいる。この有機物は水となじみにくい腐食物質で、天然水中に存在する溶存態有機物のうち30〜80%を占め、微生物では分解されにくい難分解性の有機物である。近年、難分解性有機物の蓄積が湖沼の生態系に大きな影響を及ぼしているといわれており、その発生源の一つが水田から特に代かき、田植え時に流出する農地排水であるという指摘がなされている。そして、農地で発生した負荷物質は、排水路等に流出され、希釈・拡散されたものを除去するよりも、圃場(水田)排水口で汚染濃度の高いうちに除去した方が労力もコストもかからないので、水田からの表面排水中の有機物を、効率的、かつ低コストに除去する方法を開発することは、農村及び周辺地域の水環境を保全する上で喫緊の課題といえる。
【0007】
しかしながら、特許文献1のものは、水田に施用された農薬や肥料等が外部に流出するのを少なくするが、水田における植物体由来の難分解性有機物等の負荷蓄積については、何ら解決するものではない。特許文献2のものは、水田の排水に含まれる難分解性有機物を除去することについては考慮されておらず、また、湾曲状をなす薄板状の内囲いと外囲いとを水田に設置する設置作業が面倒である。
【0008】
また、森林の維持管理のために間伐を実施しており、この間伐材の有効活用も求められている。
【0009】
そこで、本発明者らは、間伐材を活用して水田から流出される排水中に含まれる溶存態有機物を除去すべく種々の実験を行った。その結果、図8に示すように、木材を450℃の温度で炭化した炭化物や木材を650℃の温度で炭化した炭化物、すなわち、通常の炭では排水中に含まれる溶存態有機物を効率的に除去することができず、1050℃の高温で木材を炭化した炭化物によって初めて効率的に除去できることを知得した。
【0010】
本発明は、この知見に基づいて上述の課題を解決するためのものであり、水田等の農地から排水路に流出される農地排水を効率的に浄化する水質浄化装置及を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明に係る畦畔埋設型の水質浄化装置は、農地からの排水を排水路に排出する排水枡が設置された畦畔部分に、農地からの排水を流入する流入口と、流入された農地排水を前記排水枡に流出する流出口とが設けられた水質浄化槽が前記排水枡に隣接して埋設されて設置され、前記水質浄化槽内には水質浄化水路が形成され、該水質浄化水路には農地排水を浄化する浄化体が収納されていることを特徴としている。
【0012】
本発明では、水質浄化装置が畦畔部分に埋設して設置されており、水質浄化装置によって水田等の農作業面積が狭くなることがないので、農作業に何ら影響を及ぼすことなく、農地からの排水を浄化することができ、農地排水中に含まれている土壌粒子等の浮遊物質及びそれに吸着されて運ばれる栄養塩素類等の環境負荷物質を除去することができる。
【0013】
本発明に係る畦畔埋設型の水質浄化装置は、水質浄化水路が、水質浄化槽を仕切り壁で区切って屈曲されて形成されており、該水質浄化水路は、浄化体を収納する複数の収納部に仕切られていることを特徴としている。本発明では、水質浄化水路が仕切り壁で屈曲されて形成され、水質浄化水路が長く形成されているので、農地排水中に含まれている土壌粒子等の浮遊物質及びそれに吸着されて運ばれる栄養塩素類等の環境負荷物質を効果的に除去することができ、また、浄化体を収納する浄化部の数を調整することにより水質浄化装置によって浄化する水量と浄化する程度を調節できる。
【0014】
また、本発明に係る畦畔埋設型の水質浄化装置は、排水枡の両側に水質浄化槽が設置さていることを特徴としており、2つの水質浄化装置によって多くの量の農地排水を浄化することができる。
【0015】
本発明に係る畦畔埋設型の水質浄化装置は、水質浄化槽の排水枡側の側壁が排水桝の側壁と兼用されていて、水質浄化槽と排水枡とが一体に形成されていることを特徴としており、水質浄化槽と排水枡とを少ないコンクリート等の材料で構築することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る簡易設置型の水質浄化装置は、農地からの排水を流入するための流入口が形成されている前壁、取り入れた農地排水を流出するための流出口が形成されている後壁、及び、左右壁とで水質浄化部が形成され、該水質浄化部は、仕切り壁で水質浄化水路が屈曲されて形成されており、該水質浄化水路には、農地排水を浄化する浄化体を収納する複数の収納部が設けられていることを特徴としている。
【0017】
本発明では、既存の排水桝の排水口に水質浄化装置を簡単・容易に設置して農地からの排水を浄化することができ、不要のときには簡単に取り除くことができ、水質浄化部の水質浄化水路が仕切り壁で屈曲されて形成されており、水質浄化水路が長く形成されているので、農地排水中に含まれている環境負荷物質を効果的に除去することができる。
【0018】
さらに、本発明に係る水質浄化装置は、浄化体が網体で形成された袋の中に炭化材が充填されていることを特徴としており、炭化材によってする環境負荷物質を効果的に除去することができるとともに、浄化体を浄化水路に簡単・容易に浄化部の収納配置できる。
【0019】
本発明に係る水質浄化装置は、浄化体に充填されている炭化材が木材を1000℃以上の温度で炭化して製造されていることを特徴としており、浄化体によって溶存態有機物を効率的に除去して閉鎖性水域の水質の悪化を防止できる。
【0020】
本発明に係る水質浄化装置は、好ましくは、浄化体に充填されている炭化材が間伐材を炭化して製造されており、間伐材の有効利用を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る畦畔埋設型の水質浄化装置では、水質浄化槽が畦畔に埋設して設置されており、水質浄化装置によって水田等の農作業面積が狭くなることがないので、農作業に悪影響を及ぼすことなく、農地からの排水を浄化することができ、また、水質浄化槽の水質浄化水路が仕切り壁で屈曲されて形成されており、水質浄化水路が長く形成されているので、農地排水中に含まれている環境負荷物質を効果的に除去し、農地から環境負荷物質が河川等に流入されるのを軽減できる。さらに、本発明に係る簡易設置型の水質浄化装置では、既存の排水桝の排水口に水質浄化装置を簡単・容易に設置して農地からの排水を浄化することができ、また、水質浄化部の水質浄化水路が仕切り壁で屈曲されて形成されており、水質浄化水路が長く形成されているので、農地排水中に含まれている環境負荷物質を効果的に除去し、農地から環境負荷物質が河川等に流入されるのを軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明に係る水質浄化装置について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る水質浄化装置を示す斜視図である。
【0023】
水田の畦畔1には、水田からの排水を排水路2に流出するためのコンクリート製の排水枡3が設けられている。排水枡3における水田側の排水口4の両側には凹溝5が形成されており、凹溝5には上下動する可動式の堰板6が設けられている。堰板6は、上下動し排水口4を開閉するとともに、その排水口4の開口の大きさを調整することにより、排水口4から排水路2に流出される排水量を調整できる。
【0024】
本実施形態の水質浄化装置はコンクリート製の水質浄化槽10で構成されており、その水質浄化槽10が排水枡3の両側における水田の畦畔1に埋設して設置されている。水質浄化槽10は、水田側の前壁11、排水路2側の後壁12、左右の側壁13、14とで構成されており、排水枡3側の側壁14は排水枡3の側壁と兼用されている。水質浄化槽10の前壁11には、水田からの排水が水質浄化槽10内に流入するための流入口16が開口されており、排水枡3側の側壁14には、その後壁12側に流出口17が開口されている。流入口16には、凹溝内を上下動して流入口16を開閉する開閉蓋19が設けられている。
【0025】
水質浄化槽10の内部には仕切り壁15が設置されており、仕切り壁15の一端は排水枡3側の側壁14に連接され、他端部は側壁13との間で通過口18が形成されており、流入口16から流出口17に至るU字状に屈曲された水質浄化水路が形成されている。水質浄化水路はグリッド20で6区画の収納部に仕切られている。
【0026】
水質浄化槽10の上には、踏み板を構成する蓋体22が着脱自在に載置されており、図示されていないが排水枡3の上にも、踏み板を構成する蓋体が着脱自在にそれぞれ載置されている。本実施形態では、排水枡3の両側に水質浄化槽10が埋設されて設けられているが、片側にのみ水質浄化槽10を設けてもよい。水質浄化槽10の深さは、田面高及び水田から流出される排水量を考慮して設計される。
【0027】
図2は、水田の排水を浄化する浄化体を示しており、浄化体25は、ナイロンの網体で形成した直方体形状の袋26の中にスギの間伐材を高温(1050℃)で炭化して製造した浄化材(炭化材)を充填して構成されており、その大きさは浄化部との間にすき間ができない程度の大きさとしている。炭化材(浄化材)を間伐材で製造すると間伐材の有効活用を図れるが、袋26の中に入れる炭化材は間伐材に限られず、木材であればよい。また、袋26には炭化材以外の浄化材をさらに加えて充填し、水田からの排水中に含まれる各種の環境負荷物質を除去できるようにしてもよい。
【0028】
次に、図3に基づいてこの水質浄化装置による水田排水の水質浄化について説明する。通常時は、水田排水は畦畔に埋設された水質浄化槽10の水質浄化水路を経由して排水枡3から排水路2に排水される。
【0029】
水質浄化槽10の上に載置されている蓋体22を取り外して水質浄化槽10の上部を解放し、水質浄化槽10の6区画の収納部に浄化体25を収納配置する。そして、流入口16の開閉蓋19を持ち上げて開くと、水田からの排水が水質浄化槽10内に流入し、その排水は、水質浄化槽10の6区画の収納部に配置されている浄化体25中を通過して流出口17から排水桝3を介して排水路2に排出される。水田からの排水は、水質浄化槽10内をU状に流れ排水が浄化材(炭化材)と長く接触するので、排水に含まれる溶存態有機物、土壌粒子等の浮遊物質及びそれに吸着されて運ばれる栄養塩素類等の環境負荷物質が浄化体25の浄化材によって効率よく吸着された後排水路2に流出されるので、河川等に流入される環境負荷物質を減少することができる。また、浄化体25が目詰まりして排水不良となった時や降雨等の余剰水を排水する時には、排水枡3の堰板6を上動して排水口4を開き、降雨等の余剰水を排水枡3から排水路2に直接排水する。
【0030】
この実施形態では、畦畔部分を有効利用して水質浄化装置を畦畔1部分に埋設して設置しており、水田の農作業面積が狭くならないので、水田作業に悪影響を及ぼすことなく、水田からの排水を浄化することができる。
【0031】
また、水質浄化槽10における多くの区画の収納部に浄化体25を収納すると、水田排水からの溶存態有機物等の環境負荷物質の除去率を高くすることができ、少ない区画の収納部に浄化体25を収納すると、水田から水質浄化水路を通って排出される排水量を増やすことができ、水質浄化槽10に収納する浄化体25の数によって水質浄化水路からの水田排水量を調節できる。さらに、収納部に配置する浄化体25は全て同じものにする必要はなく、浄化体25に入れる浄化材の粒径を変え、流入口16側の収納部に配置する浄化体25には粒径の大きい浄化材を入れてもよいし、浄化材の種類を変えてもよい。
【0032】
図4には、図1で示した畦畔埋設型の水質浄化装置の変形例を示している。図1の実施形態では、水質浄化槽10の流入口16が前壁11に開口されていたが、図4に示す変形例では、流入口16′を排水枡3側の側壁14における水田側に開口し、また、排水枡3には、流入口16′と流出口17との間に、上下位置を調整できる開閉扉21を設けている。そして、堰板6を上動して排水口4を開くとともに、開閉扉21を閉じることにより、水田からの排水は、流入口16′から水質浄化槽10内に流入し、水質浄化水路を通って流出口17から排水枡3を介して排水路2に排出される。
【0033】
次に、図5、6により本発明に係る水質浄化装置の他の実施形態について説明する。図5は水質浄化装置の斜視図である。
【0034】
本実施形態の水質浄化装置は、畦畔に埋設されておらず、排水枡が設置されている水田位置に簡易に設置できるものである。
【0035】
本実施形態の簡易設置型の水質浄化装置は、アクリル板で構成されており、天板31には、左側壁32と右側壁33と前後壁34,35とが固着されて水質浄化部30が形成されている。
【0036】
前壁34にはその左側壁32側に、水田からの排水が水質浄化部30に流入するための流入口36が開口されている。後壁35にはその右側壁33側に、水質浄化部30からの排水が流出するための流出口37が形成されている。
【0037】
水質浄化部30は第1仕切り壁38と第2仕切り壁39とで区画され、水質浄化部30の前壁34と第1仕切り壁38との間に第1収納部が、第1仕切り壁38と第2仕切り壁39との間に第2収納部が、第2仕切り壁39と後壁35との間に第3収納部がそれぞれ形成さている。第1仕切り壁38は、その一端が左側壁32に固着されており、その他端は右側壁33との間で第1通過口40が形成されている。第2仕切り壁39は、その一端が右側壁33に固着されており、その他端は左側壁32との間で第2通過口41が形成されている。
【0038】
水質浄化部30内には、第1仕切り壁38と第2仕切り壁39とによって、前壁34の流入口36から後壁35の流出口37に至る千鳥状の長い水質浄化水路が形成されている。
【0039】
図6に基づいて簡易設置型の水質浄化装置による水田排水の水質浄化について説明する。水質浄化装置における水質浄化部30の第1収納部、第2収納部及び第3収納部に浄化体25をそれぞれ収納する。そして、水質浄化装置を、天板31を上方にし、その後壁35の流出口37を排水桝3の排水口4に合わせて設置する。
【0040】
水田からの排水は流入口36を通って水質浄化部30に流入し、水質浄化部30の第1収納部、第1通過口40、第2収納部、第2通過口41及び第3収納部をそれぞれ順に流れ、それぞれの収納部に配置されている浄化体25中を通過して流出口37から排水桝3を介して排水路2に流出される。水田からの排水は、長い水質浄化水路を流れる間に溶存態有機物、土壌粒子等の浮遊物質及びそれに吸着されて運ばれる栄養塩素類等の環境負荷物質が浄化体25の浄化材(炭化物)によって効率よく吸着された後、排水路に流出されるので、河川等に流出する環境負荷物質を減少することができる。本実施形態によると畦畔を改造することなく水田に簡易に設置することができ、また、不要のときは簡単に取り除くことができる。
【0041】
図7は、図5で示した簡易設置型の水質浄化装置の変形例を示している。この水質浄化装置は、金属板で構成された、左側壁32′と右側壁33′と前後壁34′,35′とで水質浄化部30′が形成されており、天板を備えていない。
【0042】
前壁34′にはその左側壁32′側に、多数の小孔よって水田からの排水が水質浄化部30′に流入するための流入口36′が形成されている。後壁35′にはその右側壁33′側に、水質浄化部30′からの排水が流出するための流出口37′が形成されている。
【0043】
水質浄化部30′は第1仕切り壁38′と第2仕切り壁39′とで区画され、水質浄化部30′の前壁34′と第1仕切り壁38′との間に第1収納部が、第1仕切り壁38′と第2仕切り壁39′との間に第2収納部が、第2仕切り壁39′と後壁35′との間に第3収納部がそれぞれ形成さている。第1仕切り壁38′における、右側壁33′側には多数の小孔よって第1通過口40′が形成され、第2仕切り壁39における、左側壁32′側には多数の小孔よって第2通過口41′が形成されている。
【0044】
この実施形態では、前後壁34′、35′と第1、2仕切り壁32′、33′を両端で支持することができるので、天板がなくても充分強度が得られる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではなく、例えば、前記実施形態では水質浄化部30,30が3つの収納部に区画されているが、これより多くても少なくてもよく、また、浄化体25がナイロンの網体で形成した袋26で構成されているが、金網で構成しても多数の小孔を形成した金属板で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る畦畔埋設型の水質浄化装置の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明に係る水質浄化装置の浄化体の斜視図。
【図3】本発明に係る畦畔埋設型の水質浄化装置に浄化体を収納した状態の平面図。
【図4】本発明に係る畦畔埋設型の水質浄化装置の変形例を示す一部拡大平面図。
【図5】本発明に係る簡易設置型の水質浄化装置の実施形態を示す斜視図。
【図6】本発明の水質浄化装置を水田に設置した平面図。
【図7】本発明に係る簡易設置型の水質浄化装置の他の実施形態を示す斜視図。
【図8】炭化物の違いにより溶存態有機物の吸着量が異なることを示すグラフ図。
【符号の説明】
【0047】
1…畦畔、2…排水路、3…排水枡、4…排水口、5…凹溝、6…堰板、
10…水質浄化槽、11…前壁、12…後壁、13,14…側壁、
15…仕切り壁、16…流入口、17…流出口、18…通過口、
19…開閉蓋、20…グリッド、21…開閉扉、25…浄化体、
26…袋、30,30′…水質浄化部、31…天板、32…左側壁、
33,33′…右側壁、34…前壁、35,35′…後壁、
36…流入口、37…流出口、38…第1仕切り壁、39…第2仕切り壁、
40…第1通過口、41…第2通過口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農地からの排水を排水路に排出する排水枡が設置された畦畔部分に、農地からの排水を流入する流入口と、流入された農地排水を前記排水枡に流出する流出口とが設けられた水質浄化槽が前記排水枡に隣接して埋設されて設置され、前記水質浄化槽内には水質浄化水路が形成され、該水質浄化水路には農地排水を浄化する浄化体が収納されていることを特徴とする畦畔埋設型の水質浄化装置。
【請求項2】
前記水質浄化水路は、前記水質浄化槽が仕切り壁で区切られて屈曲されて形成されており、該水質浄化水路は、前記浄化体を収納する複数の収納部に仕切られていることを特徴とする請求項1に記載の畦畔埋設型の水質浄化装置。
【請求項3】
前記排水枡の両側に前記水質浄化槽が設置さていることを特徴とする請求項1又は2に記載の畦畔埋設型の水質浄化装置。
【請求項4】
前記水質浄化槽の排水枡側の側壁は、前記排水桝の側壁と兼用されていて、水質浄化槽と排水枡とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の畦畔埋設型の水質浄化装置。
【請求項5】
農地からの排水を流入するための流入口が形成されている前壁、取り入れた農地排水を流出するための流出口が形成されている後壁、及び、左右壁とで水質浄化部が形成され、該水質浄化部は、仕切り壁で水質浄化水路が屈曲されて形成されており、該水質浄化水路には、農地排水を浄化する浄化体を収納する複数の収納部が設けられていることを特徴とする簡易設置型の水質浄化装置。
【請求項6】
前記浄化体は、網体で形成された袋の中に炭化材が充填されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の水質浄化装置。
【請求項7】
前記炭化材は木材を1000℃以上の温度で炭化して製造されていることを特徴とする請求項6に記載の水質浄化装置。
【請求項8】
前記炭化材は間伐材を炭化して製造されていることを特徴とする請求項7に記載の水質浄化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−149248(P2008−149248A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339053(P2006−339053)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年度農業土木学会大会講演会にて発表 主催者名:社団法人 農業土木学会 開催日:平成18年8月18日〜平成18年8月11日 演題番号:2−49 講演要旨集発行日:平成18年7月26日
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】