説明

汚染土壌区域改善方法

【課題】汚染物質の不活性化処理と、特定の鉱石による吸着除去と、バイオ菌による分解除去とを可能とし、汚染土壌対策法をクリアーする汚染土壌及び汚染水を総合的に改善する方法を提供する。
【解決手段】土壌を泥状化し、礫やその他の非処理物質を除去する前処理工程と、汚染土壌にあってはその団粒化の過程で重金属類をシリカ成分皮膜をもって包皮固定させる不活性化処理工程と、バイオ菌を利用して有機物質を分解する分解除去処理工程と、不活性化されなかった他の重金属類や分解不可能な物質を濾過槽に通すことで吸着する吸着除去処理工程と、汚染物質が除去された土壌は乾燥して埋め戻し、汚染物質が除去された処理水或いは分解除去処理工程及び吸着除去処理工程によって汚染物質が除去された地下水にあっては清澄化水として地下水域に戻すか或いは別途排水する後処理工程とからなることを特徴とする汚染土壌区域改善方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物(VOC)及び重金属類等の汚染物質を含んでいる土壌及び特定区域内の地下水から当該汚染物質を分解除去して改善された土壌と地下水域を得るための汚染土壌区域改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚染土壌対策法第5条第4項には、工場跡地等の汚染指定区域の指定解除は土壌の特定有害物質による汚染の除去が条件とされており、原位置において特定有害物質の浄化除去を行うことが認められている。この条件として、土壌中に含有する重金属類の量が基準以下であり、且つ特定有害物質の不溶出化を行わなければ指定解除には至らないと解釈されている。また、浄化には土壌を洗浄し、有害物質を除去する装置が開発されているが、それらの装置は砂質土には有効だが、粘土質や腐葉土等には適さなかった。つまりシルト質土の含有率が30%未満の土壌でないと有効に対応できないことや、洗浄汚濁水が地下水へ混入拡散する虞もあった。これらのことを解決するための低コストでの対策技術がないことが現状であった。一方、原位置において汚染土壌を改善することが考えられているが、それらに含まれる重金属類は元素が多いことで不可能であったし、有機化合物は多種ある有機物の一部のみがバイオ菌による分解処理が行われるのみで、十分な土壌改善には至らなかった。更に、地下水帯の土壌及び地下水域への汚染拡散が行われる虞があり、これを防止する目的で遮蔽壁を施すことが義務付けられているが、この地下水帯及び地下水を土壌と同時に改善する技術は見当たらなかった。上記のことから現在まで一般的に「土の総入れ替え」を行い、運ばれた土壌は中間処理や最終処分場への埋め立てによって処理されているが、処分場周辺の汚染や不適正処理によって汚染が拡散し新たな環境問題になっている現状がある。
【0003】
また、従来のバイオによる汚染土壌対策としては、例えば特許文献1に開示されているような浄化方法が存在する。この技術は、汚染物質を浄化する芽胞形成細菌の芽胞を汚染物質で汚染された汚染土壌或いは/及び汚染地下水等に添加し、その発芽を誘導し、汚染土壌或いは/及び汚染地下水等を浄化することを特徴とするものであり、被浄化物質である汚染物質の分解能を有する芽胞形成細菌の芽胞を汚染土壌又は汚染地下水中に添加し、汚染領域に多く到達させた後に発芽を誘導することによって、被浄化物質である汚染物質の分解を行うというものであった。
【0004】
また、従来の電解凝集結合剤を使って汚泥を固化させることで土壌の改善を行う対策としては、例えば特許文献2に開示されているような難溺泥土即効固化剤が存在する。この技術は、処理する無シリカの状態にある汚泥土壌を酸化状態の健康土壌に改質すると共に、汚泥の固化が即効的に行われ、汚泥の搬出,撤去の大幅な効率化が可能な難溺泥土即効固化剤を使用している。すなわち、この難溺泥土即効固化剤は、純水、過硫酸アンモニウム、硝酸カルシウム、ホスホン酸及び希硫酸を所定の重量比で混合してなる電解凝集結合剤に、高重合ポリアクリル酸ナトリウム、珪藻土、フライアッシュ等の処理剤を所定の重量比で混合して構成されている。
【特許文献1】特開2008−188510号公報
【特許文献2】特開2001−104998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のバイオや不溶化等による汚染土壌の改善対策は、長期的な安全が担保されていないことや、土壌中には様々な汚染物が含まれており、特定の汚染物を除去しても土壌の浄化としての総合対策とはなっていないのが実状であった。しかも、地下水帯に存在する汚染土壌及び地下水帯を含め汚染区域全体を低コストで総合的に改良する汚染土壌改善工法の技術がないことから、掘削運搬除去を行って汚染土壌を処分場に埋め立てるか、中間処理を行ってその害を無くすものとしているが、不適正処理例が数多く発覚している。また、埋め立て処分場周辺の汚染も環境問題化しており、従来のような土壌の総入れ替えによる方法では、コストが掛かり過ぎてしまうこと並びに環境対策上からも好ましいものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、土壌及び地下水に含まれる汚染物質に対して特定の鉱石による吸着除去と、バイオ菌による分解除去とを同時に行うことを可能とし、土の総入れ替えを行うことなく、汚染土壌対策法をクリアーするところまで汚染土壌及び汚染地下水を総合的に改善することができる汚染土壌区域改善方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にあっては、土壌を泥状化し、礫やその他の非処理物質を除去する前処理工程と、汚染土壌にあってはその団粒化の過程で重金属類をシリカ成分皮膜をもって包皮固定させる不活性化処理工程と、バイオ菌を利用して有機物質を分解する分解除去処理工程と、不活性化されなかった他の重金属類や分解不可能な物質を濾過槽に通すことで吸着する吸着除去処理工程と、汚染物質が除去された土壌は乾燥して埋め戻し、上記各工程により汚染物質が除去された処理水或いは分解除去処理工程及び吸着除去処理工程によって汚染物質が除去された地下水にあっては清澄化水として地下水域に戻すか或いは別途排水する後処理工程とからなる汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0008】
また、上記前処理工程は、土壌に加水し或いは洗浄・分級プラントにより洗浄することにより土壌を濃縮・減容化した状態で加水して泥状化し、礫や木、ゴミ、その他の非処理物質を除去する汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0009】
更に、上記前処理工程は、土壌に加水し或いは洗浄・分級プラントにより洗浄することにより土壌を濃縮・減容化した状態で加水して泥状化し、礫や木、ゴミ、その他の非処理物質を除去し、同時に、検査装置により土壌を分析して非汚染土壌と判別されたものは後処理工程の埋め戻し工程へ、汚染土壌と判別されたものは不活性化処理工程へと分級してなる汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0010】
また、上記不活性化処理工程は、土壌コロイドに作用することで瞬時に団粒化すると同時に重金属類はコロイドに包蔵されるものとする強アルカリ性のA液と、アルカリが中和されると同時にシリカ成分がガラス皮膜に変質し、土壌コロイド全体を完全に包み込むことで長期にわたり不活性化状態となるようにする中和改良剤(pH調整剤)によるB液との2液タイプによる汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0011】
更に、上記分解除去処理工程は、浮上分離処理、接触曝気処理、濾過処理が順次行われ、濾過処理においてバイオ菌による有機物質を分解処理して除去する汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0012】
また、上記吸着除去処理工程は、不活性化処理工程で不活性化されなかった他の重金属類、及び分解除去処理工程で分解不可能であった有機物質を、粉末或いは塊状の濾過材の吸着作用とイオン交換作用により、吸着除去する汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0013】
更に、上記濾過材は、吸着作用とイオン交換作用及びミネラルを溶出する等の各作用を有する斑状花崗閃緑岩鉱石を使用する汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0014】
また、上記後処理工程は、土壌にあっては養生ピットで自然乾燥して所定区域へ埋め戻し、清澄化水にあってはバイオ菌及びミネラルを含んで地下水域に戻すか或いは別途排水する汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0015】
更に、上記後処理工程は、検査装置により非汚染土壌と判別された土壌は自然乾燥後、原位置に埋め戻し、不活性化処理工程、分解除去処理工程及び吸着除去処理工程を経て汚染物質が除去された土壌は自然乾燥後、遮蔽壁に囲まれた特定区域に埋め戻す汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【0016】
また、上記特定区域は、遮蔽壁で囲まれた区域全面に遮水シートを敷設し、該遮水シート上に汚染物質が除去された乾燥土壌を埋め戻す汚染土壌区域改善方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、汚染土壌や汚染地下水に含まれる汚染物質に対して不活性化処理と、特定の鉱石による吸着除去と、バイオ菌による分解除去とが同時に可能となり、土の総入れ替えを行うことなく、汚染土壌対策法をクリアーするところまで汚染土壌及び汚染地下水を総合的に改善することを可能とした。
【0018】
すなわち、本発明は、汚染土壌を泥状化し、礫やその他の非処理物質を除去する前処理工程と、汚染土壌の団粒化の過程で重金属類をシリカ成分皮膜をもって包皮固定させる不活性化処理工程と、バイオ菌を利用して有機物質を分解する分解除去処理工程と、不活性化されなかった他の重金属類や分解不可能な物質を濾過槽に通すことで吸着する吸着除去処理工程と、汚染物質が除去された土壌は乾燥して埋め戻し、上記各工程により汚染物質が除去された処理水或いは分解除去処理工程及び吸着除去処理工程によって汚染物質が除去された地下水にあっては清澄化水として地下水域に戻すか或いは別途排水する後処理工程とからなるので、汚染物質の不活性化、特定の鉱石による吸着除去、バイオ菌による分解除去のそれぞれが同時に進行する循環型のオンサイト工法が構築できることを可能とした。
【0019】
しかも、上記のように活性化した水を汚染区域に戻すことで、バイオ菌が投入され、原土中の好気性菌や微生物が活性化し、浄化・分解を促進させることができる。このとき、汚染物質を不活性化処理工程によって団粒子構造に改良することで、有機物を餌とし、硝化分解活動をしている好気性微生物は自身が窒息しない「気相」をつくりだすことができ、更に、上記のように改良された地下水は酸素溶存量DO及びミネラル成分が増えて活性化されているため、外部に排出された際の微生物等の活性化にもつながり、自然浄化作用が促進されることになる。
【0020】
また、上記不活性化処理工程は、土壌コロイドに作用することで瞬時に団粒化すると同時に重金属類はコロイドに包蔵されるものとする強アルカリ性のA液と、アルカリが中和されると同時にシリカ成分がガラス皮膜に変質し、土壌コロイド全体を完全に包み込むことで不活性化状態となるようにする中和改良剤(pH調整剤)によるB液との2液タイプによるものとしたので、泥土は安定的な固定化状態となり、殆ど半永久的に溶出しない不活性化状態が確実に得られることになる。
【0021】
更に、上記分解除去処理工程は、浮上分離処理、接触曝気処理、濾過処理が順次行われる浮上分解槽よりなり、濾過処理におけるバイオ菌により、前記不活性化処理工程によって団粒子構造に改良された土壌が通気性、保水性、疎水性を有し、土中の好気性微生物の活性につながることから、地下水を緩やかに循環させた時に、バイオ菌による濾過材で揮発性有機化合物(VOC)やベンゼン等の有機化学物質を効率良く且つ確実に分解することを可能とした。
【0022】
また、上記吸着除去処理工程は、不活性化処理工程で不活性化されなかった他の重金属類、及び分解除去処理工程で分解不可能であった有機物質を、特定鉱石による濾過材の吸着作用とイオン交換作用により吸着除去するものとしたので、他の重金属類や分解不可能な物質を完全に除去することを可能とした。
【0023】
更に、上記特定鉱石は、吸着作用とイオン交換作用及びミネラルを溶出する斑状花崗閃緑岩鉱石を使用したので、例えば水銀、銅、鉛、カドミウム等の有害重金属類を低コストで効率良く除去し、清澄化水として地下水域に戻された地下水或いは別途排出される水の活性化を促進し、自然浄化作用を可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施する最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明に係る汚染土壌区域改善方法は、汚染土壌或いは汚染土壌と疑わしき土壌に加水し或いは洗浄・分級プラントにより洗浄することにより土壌を濃縮・減容化した状態で加水して泥状化し、礫や木、ゴミ、その他の非処理物質を除去する前処理工程と、汚染土壌にあってはその団粒子化の過程で重金属類をシリカ成分(ガラス)皮膜をもって包皮状に固定させ、土壌溶出量基準以下に適合する状態とする2液タイプによる不活性化処理工程と、バイオ菌を利用して揮発性有機化合物(VOC)やベンゼン等の有機物質を分解する分解除去処理工程と、不活性化されなかった他の重金属類、及び分解除去処理工程で分解不可能であった有機物質を濾過装置に通すことで吸着する吸着除去処理工程と、養生ピットで自然乾燥して所定区域へ埋め戻す土壌と、上記各工程により汚染物質が除去された処理水或いは分解除去処理工程及び吸着除去処理工程によって汚染物質が除去された地下水は清澄化水として地下水域に戻す等の後処理工程の各処理工程からなる循環型のオンサイト工法である。
【0026】
除去可能な具体的汚染対象物質は、図10に示すように、水銀(活用場所は大気中の微生物)・六価クロム(活用場所は排水処理中の微生物)等の重金属、PCB(活用場所は土壌中及び排水処理中の微生物)・トリクロロエチレン(活用場所は土壌中及び排水処理中の微生物)・テトラクロロエチレン(活用場所は土壌中及び排水処理中の微生物)・農薬(活用場所は土壌中の微生物)・ダイオキシン(活用場所は土壌中の微生物)・環境ホルモン(活用場所は土壌中の微生物)等の有害化学物質、BOD・COD(活用場所は排水処理中の微生物)・窒素(活用場所は土壌中、水域中及び排水処理中の微生物)・リン(活用場所は排水処理中の微生物)・油(活用場所は土壌中、水域中及び排水処理中の微生物)等の有機汚濁物質がある。
【0027】
前処理工程及び不活性化処理工程は、図1に示すように、重機31を使って掘削除去された土壌を加水し泥土にしてから洗浄するための選別機32を備えている。この選別機32によって選別され洗浄された後の泥土は、運転管理室33の管理の下で送泥ポンプ34により混合機35に移送されるようにしてある。この前処理工程は、土壌に加水し或いは洗浄・分級プラントにより洗浄することにより土壌を濃縮・減容化した状態で加水して泥状化し、同時に礫や木、ゴミ、その他の非処理物質を除去することになる。
【0028】
汚染土壌にあっては次の工程に移行し、混合機35には上方から強アルカリ性のA液が投入されるA液タンク36が設けられている。このA液が土壌コロイドに作用することで瞬時に団粒化すると同時に重金属類はコロイドに包蔵されることになる。
【0029】
更に、混合機35には上方から中和改良剤(pH調整剤)であるB液が投入されるB液タンク37が設けられており、このB液の投入後、混合して養生ピット38で約40日間自然乾燥することで、アルカリが中和されると同時にシリカ成分がガラス皮膜に変質し、土壌コロイド全体を完全に包み込むことになる。すなわち泥土は安定的な固定化となり、殆ど半永久的に溶出しない不活性化状態となる。乾燥し、不活性化した泥土は原位置に埋め戻されることになる。
【0030】
上記2液タイプによる不活性化処理工程としては、塩素を含まない溶媒にホスホン酸と硫酸マグネシウムを混合し、数分間撹拌してから硫酸アルミニウムとポリ硫酸第二鉄を投与し、更に数分間撹拌してなる無機電解凝集剤を使用することができる。
【0031】
具体的には、この無機電解凝集剤は、地下水等の塩素が混入されない清水を溶媒とし、該溶媒50〜100gにホスホン酸5〜10gと硫酸マグネシウム15〜30gを投入し、2〜3分間軽く撹拌した後、硫酸アルミニウム350g〜700gとポリ硫酸第二鉄を投入し、5〜10分間程度軽く撹拌して得るものである。
【0032】
そして、泥土に無機電解凝集剤を投与すると同時に土粒子補強剤としてケイ酸ナトリウム及びpH調整剤として炭酸カルシウムを混合した水溶液を投与することにより泥土を改質する。この時に生じる汚濁水は順次清澄化される。
【0033】
或いは、泥土を自然沈殿槽にストックし、該自然沈殿槽において2〜3時間程度静置後、浮水を清澄処理し放流した後に、底泥中に上記無機電解凝集剤を投与し、更に土粒子補強剤としてケイ酸ナトリウム及びpH調整剤として炭酸カルシウムを混合した水溶液を投与することにより泥土を改質するものとしても良い。
【0034】
無機電解凝集剤、土粒子補強剤及びpH調整剤は、イオン価の異なる無機金属正荷電物質を、一溶媒液中に特殊装置を用いて合成し、単一正荷電ではなし得ない反応を、その相乗効果から高正荷電に改質した強力イオン結合土壌改良剤である。
【0035】
この土壌改良剤は、水和反応時に無機系特有のイオン増加現象が起こり、数系統の正荷電物質が底泥中で同時反応を起し、各々の特徴をもって、その役割を担い、異性荷電との強い衝突結合を起こし、汚濁粒子及び底泥の電気二重層の殻を破壊する。すなわち中和することになり、ファンデルワールスの法則に基づく電解結合が起こり団粒子に成長する。
【0036】
成長した団粒子は親水基を失っているため、拘束水分子は自由水に変わり、粒子結合の電解圧縮力により粒間から押し出され(疎水化現象)、経時と共に強固に結合し、疎永性団粒子となる(不可逆性)。従って、処理土壌は二度と再泥化を起こすことなく、構築する活性団粒子内に各種の栄養塩等を包含し、シリカ被膜及びヒドロシキアパタイトにて溶出することなく保持することになる。
【0037】
他の2液タイプによる不活性化処理工程としては、電解凝集結合剤とこれに混合される処理剤とからなる即効性の固化剤を使用することができる。この電解凝集結合剤は、純水,過硫酸アンモニウム,硝酸カルシウム,ホスホン酸及び希硫酸を所定の重量比で混合したものからなり、前記処理剤は、高重合ポリアクリル酸ナトリウム、珪藻土、フライアッシュからなり、当該処理剤を電解凝集結合剤に所定の重量比で混合して固化剤を形成し、該固化剤にケイ酸ナトリウムを混合して形成される。
【0038】
処理剤としての高重合ポリアクリル酸ナトリウムは驚異的な吸水力を有するものであり、これにより汚泥の固化が促進されるのであるが、高重合ポリアクリル酸ナトリウムは疎水性が低いことから、これを補填すべく珪藻土やフライアッシュが用いられる。珪藻土及びフライアッシュにより、通気性,疎水性,保水性,分散性が向上する。従って、この3種の処理剤を用いることにより汚泥の即効固化ができると共に通気性,保水性,疎水性のある団粒子を形成することができる。
【0039】
また、上記電解凝集結合剤を用いることにより還元土壌が酸化土壌となり、シリカの成分も多くなり健康土壌に改質することができ、しかもケイ酸ナトリウムを用いることにより泥土成分中の無シリカの改善や土壌硬化が一層促進され、加えて消石灰を使用することによりPH調整が自由に行われる。
【0040】
分解除去処理工程は、前記不活性化処理工程によって団粒子構造に改良された土壌が通気性、保水性、疎水性を有し、土中の好気性微生物の活性につながることから、地下水を緩やかに循環させた時に、これにバイオ菌を投入して揮発性有機化合物(VOC)やベンゼン等の有機化学物質を分解するものである。
【0041】
すなわち、図2(a)、(b)、(c)及び図3に示すように、遮蔽壁Aによって囲まれた管理用井戸内部の地下水を、フィルタ3を介して揚水ポンプ2で揚上させ、流量制御装置4によって流量を制御しながら中継タンク1内に送られるようになっている。この中継タンク1内には吸着作用とイオン交換作用及びミネラルを溶出する濾過材5が投入設置されている。
【0042】
この中継タンク1は、必要によって計量分析槽1´を介して浮上分解槽11に接続され、該浮上分解槽11内にはバイオフリンジ14が施されている。そして、該浮上分解槽11の上方にはエアーフィルタ付ポンプ12及びホルミックチューブ13(斑状花崗閃緑岩鉱石、望ましくは大広石で製造したチューブ)が配され、これらを介して槽底部に微細気泡発生装置15が設けられている。
【0043】
この浮上分解槽11の上部は濾過槽21に接続され、該濾過槽21内には吸着作用とイオン交換作用及びミネラルを溶出する濾過材22が投入設置され、槽底部には上方の吸気口を介して撹拌水中ポンプ23が配されている。
【0044】
中継タンク1内に配されている濾過材5及び濾過槽21に配されている濾過材22は、吸着作用とイオン交換作用により水銀、銅、鉛、カドミウム等の有害重金属類を効率良く除去する斑状花崗閃緑岩鉱石を粉末状或いは塊状にしたものを使用するが、最適な鉱石として大広石(商品名)と称するものを使用している。
【0045】
上記鉱石は、超多孔性のため表面積が極めて広く、且つ主成分が無水珪酸、酸化アルミニウムであることから、上記吸着作用とイオン交換作用に優れている。大腸菌の吸着試験でも、常に高い除去率を示している。
【0046】
また、濾過槽21の上部から分岐管24を介して一部が放流口又は検査用取水口に接続され、他の一部は高い透水力と持久性を備えた透水管25を介して地下水域の帯水層に還流されるようになっている。図2(c)は、地下水の循環を示す揚上した区域の概略断面図を示している。
【0047】
吸着作用とイオン交換作用及びミネラルを溶出する濾過材5,22及びホルミックチューブ13は、学術名が斑状花崗閃緑岩の鉱石を使用し、該鉱石の成分は無水珪酸、酸化アルミニウムを主成分とし、その他、鉄、カルシウム、マンガン、マグネシウム、ケイ素、ナトリウム、リン、チタン等の人体に必要なミネラルを含有している超多成分鉱石である。この濾過材5,22及びホルミックチューブ13は、吸着作用とイオン交換作用との相乗効果により、水銀、銅、鉛、カドミウム等の有害重金属類を効率良く除去する鉱石である。最適なものとして大広石(商品名)がある。
【0048】
バイオ菌による汚泥分解メカニズムは、図7に示すように、細胞膜がリン脂質でできており疎水性があるため、一般活性汚泥菌では分解が困難であるのに対し、バイオ菌は、リパーゼ等の脂肪分解酵素を作り出すことで細胞膜を分解し、グリセリンと脂肪酸に分解できる。これをまた別の消化酵素がそれぞれを分解し、最終的には水と炭酸ガスにエネルギー化して行く。
【0049】
バイオ菌が作り出すアミノ酸類としては、図8に示すように、グリシン・アラニン・バリン・ロイシン・イソロイシン・セリン・プロリン・トレオニン・アスパラギン酸・アスパラギン・グルタミン酸・グルタミン・ヒスジン・リジン・シスチン・アルギン・メチオニン・フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン等がある。
【0050】
想定される消化酵素とその働きを一覧表として図9に示している。酵素の種類は、加水分解酵素・酸化還元酵素・脱離酵素・転移酵素・合成酵素に分けられ、バイオ菌の働きが明確に示されている。
【0051】
斑状花崗閃緑岩鉱石の内、大広石よりなる濾過材5,22及びホルミックチューブ13の吸着力は、図5(a)に示すように、7日後において鉛とメチレンブルーが100%、銅が92.2%、水銀が79.5%、カドミウムが63.0%、フッ素が38.0%、六価クロムが24.2%であった。また、ミネラル溶出量(mg/リットル)は、図5(b)に示すように、カリウムが17.2、ナトリウムが13.7、カルシウムが12.4、マグネシウムが4.28、ケイ素が3.19、アルミニウムが0.14、マンガンが0.04、鉄が0.01であった。
【0052】
バイオレメディエーションのモニタリングの進行状況は土壌や地下水の酸化還元電位、pH、湿度、DO、酸素濃度、電子受容体/供与体濃度、分解生成物(二酸化炭素等)等を測定することにより間接的に監視できる。その生物学的分解速度と酸化還元電位の関係は図6に示される通りである。特に、二価の水銀を金属水銀に還元する微生物が六価クロムを三価に還元し沈殿除去するバイオ菌が存在している。また、有機塩素化合物を分解する微生物も存在する。
【0053】
上記においては、地下水の清澄化に沿って説明したが、上記した汚染土壌の改善工程によって生じる汚濁水或いは浮水についても、同様の処理をすることになる。
【0054】
次に、以上のように構成された最良の形態についての使用、動作の一例を説明する。先ず、図1に示すように、不活性化処理工程にて、重機31を使って掘削除去された汚染土壌或いは汚染土壌と疑わしき土壌を加水し泥土にしてから、選別機32に投入し、そこで洗浄して大きな礫や砂分、木、ゴミ等を取り除く。
【0055】
この取り除かれた内の礫や砂分等は安全であることを確認した上で掘削現場に埋め戻されるか別途処理される。
【0056】
洗浄後の泥土は、運転管理室33の管理の下で送泥ポンプ34により混合機35に移送される。この混合機35には、A液タンク36から、シリカがイオン化された状態にある強アルカリ性のA液が投入されて十分に撹拌混合される。このとき、A液が土壌コロイドに作用すると瞬時に団粒化すると同時に重金属類はコロイドに包蔵される。
【0057】
そして、B液タンク37から中和改良剤(pH調整剤)であるB液が投入され、混合後約40日間養生ピット38で自然乾燥することで、アルカリが中和されると同時にシリカ成分がガラス皮膜に変質し、土壌コロイド全体を完全に包み込む。従って、泥土は、安定的な固定化となり、殆ど半永久的に溶出しなくなり、再度の泥土化が抑止された不活性化状態となる。
【0058】
また、図2(a)、(b)、(c)及び図3に示すように、遮蔽壁Aで囲まれた特定区域の地下水を揚水ポンプ2により中継タンク1に揚上させ、斑状花崗閃緑岩鉱石よりなる濾過材5を介して汚物を沈殿分離させる。
【0059】
この沈殿分離後の被処理水は、必要に応じて計量分析槽1´を通じて隣の浮上分解槽11に送られ、そこで微細気泡発生装置15の作動で、バイオフリンジ14を通して曝気処理される。
【0060】
曝気処理後には、隣の濾過槽21に送られ、濾過材5の吸着作用とイオン交換作用により、被処理水に含まれている水銀、銅、鉛、カドミウム等の有害重金属類が効率良く除去される。
【0061】
そして、濾過槽21により吸着及びイオン交換作用により清澄処理され、ミネラルが付与された処理水は、分岐管24を介して、一部が放流口又は検査用取水口に接続され、他の一部は高い透水力と持久性を備えた透水管25を介して特定区域の地下水帯に還流される。
【0062】
こうして、図4に示すように、ミネラルを含む活性化した水を汚染区域に戻すことで、バイオ菌及び原土中の好気性菌や微生物が活性化し、浄化・分解を促進させる。このときの最大の特徴は汚染物質を不活性化処理工程によって団粒子構造に改良することで、有機物を餌とし、硝化分解活動をしている好気性微生物は自身が窒息しない「気相」をつくりだしている。
【0063】
しかも、上記のように改良された地下水は酸素溶存量DO及びミネラル成分が増えて活性化されているため、外部に排出された際の微生物等の活性にもつながり、自然浄化作用が促進されることから、例えば赤潮等の発生を抑制することも可能となる。
【0064】
上記では、地下水に沿って説明したが、汚染土壌の改善工程により生じる汚濁水や浮水も、上記同様の処理により清澄化水とすることができる。
【0065】
上記した不活性化処理工程と分解除去処理工程とを組み合わせて土壌改良の試験を行った公的機関による結果証明を以下に示している。
【0066】
採取場所がベンゼン含有土壌溶解水である汚染されている試料Xの分析結果(平成理研株式会社の計量証明書)は、ベンゼン濃度が1590mg/L(計量方法JIS−K0125−5)となった。
【0067】
また、採取場所がバイオ菌分解処理水である試料Yの分析結果(平成理研株式会社の計量証明書)は、ベンゼン濃度が0.01mg/L以下(計量方法JIS−K0125−5)と極端に減少した。
【0068】
また、汚水内には、バイオ菌は一般細菌として約1300000000個/g(衛生試験法1.3.1.2.(4)、(24時間平板培養法)による)存在している。
【0069】
例えば、汚染土壌に含まれている総水銀0.08mg/リットル・ヒ素8mg/リットル、セレン0.7mg/リットル、フッ素化合物39.5mg/リットル、ホウ素11mg/リットル、鉛14mg/リットルが、不活性化処理工程Pにより、総水銀0.0005mg/リットル以下・ヒ素0.001mg/リットル以下、セレン0.001mg/リットル以下、フッ素化合物0.2mg/リットル以下、ホウ素0.1mg/リットル以下、鉛0.005mg/リットル以下となった。
【0070】
また、汚染土壌に含まれている総水銀0.0067mg/リットル・ヒ素0.32mg/リットル、セレン0.04mg/リットル、ベンゼン0.01mg/リットル、鉛2.83mg/リットルが、分解除去処理工程により、総水銀0.005mg/リットル以下・ヒ素0.001mg/リットル以下、セレン0.001mg/リットル以下、ベンゼン0.01mg/リットル以下、鉛0.01mg/リットル以下となった。
【実施例2】
【0071】
汚染土壌区域として認定された汚染箇所においては、汚染が当該汚染土壌区域全体に及ぶことは少なく、特定の箇所に限定されていることが多い。これは当該区域の過去において汚染物質を取り扱ったり排出していた箇所であるとか或いはその近接箇所に限定されることが多い。従って、当該箇所において予め汚染されている土壌であるかどうかを検査する工程が必要となる。その際、汚染土壌には該当しないが、それに近似した検査結果が得られた土壌にあっては次の工程へ移行させ、そうでない土壌については現状維持とすることになる。
【0072】
図11(a)は、汚染箇所或いはそれに近似した箇所(以下、汚染区画41という)と検査によってそうでなかった非汚染区画42とに区別したものである。例えば、30m×30m毎に調査し、汚染区画41を特定することになる。
【0073】
汚染区画41として認められた場合には、上記実施例1と同様の工程を経ることになるが、当該汚染区画41にはそうでない土壌も存在することになる。そこで図12に示すように、前処理工程において、汚染土壌に加水し或いは洗浄・分級プラントにより洗浄することにより土壌を濃縮・減容化した状態で加水して泥状化し、礫や木、ゴミ、その他の非処理物質を除去し、同時に、検査装置43により土壌の汚染度を検査し、分級装置44により汚染土壌と非汚染土壌とに分別し、汚染土壌にあっては次の工程となる不活性化処理工程へ移送し、非汚染土壌にあっては養生ピット38´へと移送することになる。
【0074】
非汚染土壌にあっては自然乾燥後、原位置となる区域に埋め戻すことになるが、汚染土壌として不活性化処理された土壌にあっては別途封じ込め区域45へ自然乾燥後に埋め戻すことになる。
【0075】
図11(b)に示すように、不活性化処理された土壌は、当該汚染土壌区域の改善が求められる全区域の内、例えば、図13(b)に示すような植栽基盤として盛土された森林区域やアスファルト等で表面仕上げされた道路や駐車場区域等の特定された封じ込め区域45へ埋め戻されることになる。
【0076】
図13(a)に示すように、封じ込め区域45は、遮蔽壁A´で当該区域を取り囲み、且つ遮水シート46を敷き詰め、その上方空間に不活性化処理された土壌を埋め戻すことになる。
【0077】
上記汚染土壌を特定し、その特定された汚染土壌のみを処理することにより不活性化処理の対象となる土壌量を減少することができ、且つそれらを特定の区域に封じ込めることにより、汚染土壌区域の安全性を一層強化することが可能となる。更に、封じ込め区域45は、改善区域全体から比較すれば小区域となり、当該区域を取り囲む遮蔽壁A´の設置箇所や遮水シート46の敷設面積を少なくすることができ、合理的な汚染土壌区域の改善手段となる。
【0078】
上記遮蔽壁A´及び遮水シート46による施工は、図14(a)、(b)、(c)に示すように、鉛直遮水工工事による。
鉛直遮水工は、ソイルセメント壁体に高密度ポリエチレンシートによる遮水層を挿入した三層構造の遮蔽壁A´によるものとする。
構築された遮蔽壁A´は、ソイルセメント壁体自体が難透水性で、更にジオロック挿入した三層構造から成るため、信頼性の高い遮水性能を発揮することが可能である。また、ジオロックは、耐薬品性・耐久性に優れた高密度ポリエチレンシートと、その接合部には水膨潤性の止水材(シール材)を用いることで連続する遮蔽壁A´を構築することが可能となる。
ソイルセメント壁の施工方法としては、TRDや掘削置換えなどが選定できるため、陸上におけるあらゆる土質に対応可能である。施工可能深度は概ね20m程度で難透水層へ達するように施工する。
表面遮水工は、高密度ポリエチレンシート(HDPEシート)によるものとし、シートの上下を保護マットにより保護する。機械的強度や耐候性、耐薬品性、耐熱性等の耐久性に優れており、且つフレキシブルな材質により、地盤変形への追従性に優れている。また、遮蔽壁及び掘削面に敷設する遮水シートと同じ材質を使用することで、遮蔽壁と直接溶着することが可能であり、表面遮水工と鉛直遮水工を一体化した一体構造として不活性化処理土壌を封じ込めることが可能となる。
【0079】
地下水又は汚濁水或いは浮水等の汚染水については、実施例1と同様の処理となる。
【0080】
なお、本発明に係る前処理工程、不活性化処理工程、分解除去処理工程、吸着除去処理工程及び後処理工程の各工程における各種装置を含む具体的な構成は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での改良変形等は本発明に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における不活性化処理工程の一例を示す説明図である。
【図2(a)−(b)】(a)同じく分解除去処理工程及び吸着除去処理工程の一例を示す平面図での説明図、(b)断面図での説明図である。
【図2(c)】同じく土壌及び地下水域の概略断面図での説明図である。
【図3】同じく分解除去処理工程及び吸着除去処理工程の処理の流れを示す説明図である。
【図4】同じく活性化した清澄水を汚染区域に戻すことで、バイオ菌及び原土中の好気性菌や微生物が活性化し、浄化・分解を促進させる動作を説明する説明図である。
【図5】大広石を使った濾過材の一例を示すもので、(a)は大広石の吸着力、(b)は大広石のミネラル溶出量を表形態で示した図である。
【図6】バイオレメディエーションのモニタリングにおいて生物学的分解速度と酸化還元電位の関係を示した図である。
【図7】バイオ菌による分解メカニズムを示す説明図である。
【図8】バイオ菌が作り出すアミノ酸類の一例を表で示した図である。
【図9】消化酵素とその働きの一覧表を示す図である。
【図10】汚染対象物質と活用場所を表で示した図である。
【図11】(a)汚染土壌及び非汚染土壌の区域を示した平面図、(b)汚染土壌を不活性化処理して特定の区域に埋め戻した平面図である。
【図12】本発明を実施するための最良の形態における他の実施例の不活性化処理工程の一例を示す説明図である。
【図13】(a)、(b)不活性化処理した土壌を特定の区域に埋め戻した状態の概略断面図である。
【図14】(a)遮蔽壁を使用する鉛直遮水工の断面図、(b)遮水シートの連結部の断面図、(c)遮蔽壁の断面図である。
【符号の説明】
【0082】
A、A´ 遮蔽壁
1 中継タンク
1´ 計量分析槽
2 揚水ポンプ
3 フィルタ
4 流量制御装置
5、22 濾過材
11 浮上分解槽
12 エアーフィルタ付ポンプ
13 ホルミックチューブ
14 バイオフリンジ
15 微細気泡発生装置
21 濾過槽
23 撹拌水中ポンプ
24 分岐管
25 透水管
31 重機
32 選別機
33 運転管理室
34 送泥ポンプ
35 混合機
36 A液タンク
37 B液タンク
38、38´ 養生ピット
41 汚染区画
42 非汚染区画
43 検査装置
44 分級装置
45 封じ込め区域
46 遮水シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌を泥状化し、礫やその他の非処理物質を除去する前処理工程と、汚染土壌にあってはその団粒化の過程で重金属類をシリカ成分皮膜をもって包皮固定させる不活性化処理工程と、バイオ菌を利用して有機物質を分解する分解除去処理工程と、不活性化されなかった他の重金属類や分解不可能な物質を濾過槽に通すことで吸着する吸着除去処理工程と、汚染物質が除去された土壌は乾燥して埋め戻し、上記各工程により汚染物質が除去された処理水或いは分解除去処理工程及び吸着除去処理工程によって汚染物質が除去された地下水にあっては清澄化水として地下水域に戻すか或いは別途排水する後処理工程とからなることを特徴とする汚染土壌区域改善方法。
【請求項2】
前処理工程は、土壌に加水し或いは洗浄・分級プラントにより洗浄することにより土壌を濃縮・減容化した状態で加水して泥状化し、礫や木、ゴミ、その他の非処理物質を除去することを特徴とする請求項1記載の汚染土壌区域改善方法。
【請求項3】
前処理工程は、土壌に加水し或いは洗浄・分級プラントにより洗浄することにより土壌を濃縮・減容化した状態で加水して泥状化し、礫や木、ゴミ、その他の非処理物質を除去し、同時に、検査装置により土壌を分析して非汚染土壌と判別されたものは後処理工程の埋め戻し工程へ、汚染土壌と判別されたものは不活性化処理工程へと分級してなることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌区域改善方法。
【請求項4】
不活性化処理工程は、土壌コロイドに作用することで瞬時に団粒化すると同時に重金属類はコロイドに包蔵されるものとする強アルカリ性のA液と、アルカリが中和されると同時にシリカ成分がガラス皮膜に変質し、土壌コロイド全体を完全に包み込むことで長期にわたり不活性化状態となるようにする中和改良剤(pH調整剤)によるB液との2液タイプによることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の汚染土壌区域改善方法。
【請求項5】
分解除去処理工程は、浮上分離処理、接触曝気処理、濾過処理が順次行われ、濾過処理においてバイオ菌による有機物質を分解処理して除去することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の汚染土壌区域改善方法。
【請求項6】
吸着除去処理工程は、不活性化処理工程で不活性化されなかった他の重金属類、及び分解除去処理工程で分解不可能であった有機物質を、粉末或いは塊状の濾過材の吸着作用とイオン交換作用により、吸着除去することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の汚染土壌区域改善方法。
【請求項7】
濾過材は、吸着作用とイオン交換作用及びミネラルを溶出する等の各作用を有する斑状花崗閃緑岩鉱石を使用することを特徴とする請求項6記載の汚染土壌区域改善方法。
【請求項8】
後処理工程は、土壌にあっては養生ピットで自然乾燥して所定区域へ埋め戻し、清澄化水にあってはバイオ菌及びミネラルを含んで地下水域に戻すか或いは別途排水することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の汚染土壌区域改善方法。
【請求項9】
後処理工程は、検査装置により非汚染土壌と判別された土壌は自然乾燥後、原位置に埋め戻し、不活性化処理工程、分解除去処理工程及び吸着除去処理工程を経て汚染物質が除去された土壌は自然乾燥後、遮蔽壁に囲まれた特定区域に埋め戻すことを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の汚染土壌区域改善方法。
【請求項10】
特定区域は、遮蔽壁で囲まれた区域全面に遮水シートを敷設し、該遮水シート上に汚染物質が除去された乾燥土壌を埋め戻すことを特徴とする請求項9記載の汚染土壌区域改善方法。

【図1】
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【図2(a)−(b)】
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【図2(c)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−149042(P2010−149042A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329724(P2008−329724)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(500037827)エコム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】