説明

汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法及び装置

【課題】 脱水助剤を外部より供給することなく汚泥を効率よく脱水処理し、汚泥と廃棄物炭化物の脱水ケーキの乾燥に要する外部燃料を削減できるようにする。
【解決手段】 廃棄物13を炭化処理して熱分解ガス11と炭化物12を回収する外熱キルン炉1と、排水処理施設Bを備える。廃棄物処理施設Bより回収される脱水ケーキ35を、熱分解ガス11の燃焼により発生させる加熱ガス14を外熱キルン炉1にて廃棄物13の炭化処理用の熱源に供した後の排加熱ガス14aを熱源として乾燥処理する乾燥機36を備える。乾燥機36の下流側に成形装置37を備える。外熱キルン炉1より回収される炭化物12を脱水助剤として排水処理施設Bにて汚泥34の脱水処理を行い、得られる汚泥34と炭化物12の混合物の脱水ケーキ35を乾燥機36で乾燥した後、成形装置37で成形して混合燃料40を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理施設や下水処理施設より排出される汚泥と、都市ごみ等の廃棄物を炭化処理して得られる廃棄物炭化物とを原料として固形燃料を製造する汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排水処理施設(下水処理施設を含む)より排出される汚泥は、通常の脱水処理を行っただけでは70〜80%程度の含水率であるため、このように多量の水分を含む汚泥(脱水汚泥)をバイオマス燃料として使用するためには乾燥させることが必要である。そこで、上記汚泥を乾燥させて乾燥汚泥とすれば、該乾燥汚泥には異物も含まれず、性状も均一であることから、炭化処理することなく燃料として使用することが可能である。
【0003】
この種の汚泥の燃料化方法としては、たとえば、下水汚泥を乾燥機にて水分が10%以下となるまで乾燥させてなる乾燥汚泥とし、該乾燥汚泥の一部を炭化炉で炭化、賦活して汚泥活性炭とした後、該汚泥活性炭を、上記乾燥汚泥の残部に添加して均一に混合し、形成される混合物を成型機にて造粒して固形燃料化するようにした下水汚泥を原料とする固形燃料の製造方法が従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、都市ごみ等の廃棄物は、水分は汚泥に比べて少ないが、乾燥しただけでは見かけ比重が小さく、性状が不均一である。更に、異物や、有害ガスの発生源となることが懸念される塩化ビニル等の塩素含有プラスチックも含まれているため、そのままでは燃料として使用することは難しい。
【0005】
そのために、上記都市ごみ等の廃棄物を燃料として有効利用するための手法として、近年では、廃棄物を廃棄物炭化炉にて低酸素雰囲気下で加熱して炭化処理(熱分解処理)して可燃性の熱分解ガスと熱分解残渣としての廃棄物炭化物(以下、単に炭化物という)を発生させた後、上記炭化物を回収して各種施設の石炭焚きボイラ等で燃料として利用するようにする廃棄物炭化システム(たとえば、特許文献2参照)が注目され、実用化が進められてきている。このように廃棄物を炭化処理して得られる炭化物は、金属や不燃物等の異物を選別除去しさえすれば性状はほぼ均一となり、塩素分はガス化して揮散するか無機塩化され、カロリー的にも高いため、燃料としては優れたものになる。
【0006】
上記のように廃棄物を炭化処理する廃棄物炭化炉(熱分解炉)としては、部分燃焼(内燃)式の廃棄物炭化炉と、外熱式の廃棄物炭化炉が従来知られている。
【0007】
このうち、部分燃焼式の廃棄物炭化炉は、炉内に供給される廃棄物の一部を燃焼させ、この燃焼により発生する燃焼熱を熱源として廃棄物の残部を直接的に加熱して炭化処理させるようにしてある。したがって、この種の部分燃焼式の廃棄物炭化炉では、供給される廃棄物の一部は燃焼させるが、その燃焼熱を熱源として廃棄物の残部を加熱して炭化処理する際に発生する可燃性の熱分解ガス(乾留ガス)は、上記廃棄物炭化炉より外部へ取り出して回収することが可能となる。
【0008】
したがって、上記部分燃焼式の廃棄物炭化炉においては、上記都市ごみ等の廃棄物を自己熱によって炭化処理できると共に、可燃性の熱分解ガスが回収できて、熱量的には余剰がある。
【0009】
一方、外熱式の廃棄物炭化炉は、炉内に供給される廃棄物を、外熱により間接加熱して炭化処理するようにしてある。具体的には、たとえば、図3に上記外熱式の廃棄物炭化炉の一例として、外熱キルン式の廃棄物炭化炉(外熱キルン炉)1を示す如く、かかる外熱キルン炉1は、内筒3と外筒4とからなる二重筒構造として内外筒間に加熱流路5を設けてなるキルン炉本体2を、一端の入口6側よりも他端の出口7側が僅かに低くなるように傾斜させて横置きに配置して回転駆動できるよう備えてある。上記キルン炉本体2の長手方向一端の入口6には、給じん機8を介して投入ホッパ9を設けると共に、上記キルン炉本体2の長手方向他端の出口7に、熱分解ガス11と熱分解残渣としての炭化物12とを分離するための分離室10を設けた構成としてある。これにより、キルン炉本体2を低速で回転させた状態において上記投入ホッパ9内に投入された廃棄物13を給じん機8によってキルン炉本体2の内筒3内に徐々に供給しつつ、上記内外筒間の加熱流路5に高温の加熱ガス14を流通させることにより、上記キルン炉本体2内の廃棄物13を外熱により間接的に加熱して、乾燥、炭化処理するようにしてある。この炭化処理により発生する熱分解ガス11と熱分解残渣としての炭化物12は、上記分離室10にて分離させた後、熱分解ガス11は上記分離室10の上部に接続した熱分解ガス取出ライン15へ回収し、炭化物12は上記分離室10の下端部に接続した炭化物取出ライン(熱分解残渣ライン)16を通して回収できるようにしてある。
【0010】
更に、上記熱分解ガス取出ライン15には、途中位置より分岐ライン(回収ライン)17を分岐させて設けると共に、該分岐ライン17を、燃焼炉としての熱風発生炉18に接続して、上記外熱キルン炉1より熱分解ガス取出ライン15へ回収される熱分解ガス11の一部を、上記分岐ライン17を経て上記熱風発生炉18へ供給して熱回収空気19により燃焼させて高温の加熱ガス(熱風)14を発生させることができるようにし、この熱風発生炉18で発生させる高温の加熱ガス14を、加熱ガス供給ライン20を通して上記外熱キルン炉1のキルン炉本体2の出口7側端部に設けてあるガス入口21より加熱流路5へ供給して、該加熱流路5内をキルン炉本体2の出口7側から入口6側へ流通させることにより、上記廃棄物13を加熱して炭化処理するための熱源とすることができるようにしてある。
【0011】
したがって、上記のように熱分解ガス11の燃焼熱を熱源とすることにより、上記外熱キルン炉1のような外熱式の廃棄物炭化炉においても廃棄物13を自己熱によって炭化処理できると共に、熱分解ガス取出ライン15へ回収される熱分解ガス11から上記熱風発生炉18で消費される一部を除いた熱分解ガス11の残部は可燃性ガスとして回収できるため、熱量的には余剰がある。
【0012】
なお、図3では、外熱キルン炉1より熱分解ガス取出ライン15へ回収された後、上記熱風発生炉18で消費される一部を除いた熱分解ガス11の残部は、上記外熱キルン炉1より炭化物取出ライン16へ回収された後、金属類22の分離回収が行われた炭化物12と共に溶融炉23へ送って更に燃焼させて、灰分等を溶融スラグ24化させるようにしてある。
【0013】
25は上記外熱キルン炉1の投入ホッパ9へ投入する廃棄物13を予め乾燥させるための通気乾燥機であり、該通気乾燥機25には、上記外熱キルン炉1に供給する加熱ガス14を加熱流路5に流通させて廃棄物13の炭化処理用の熱源に供した後、キルン炉本体2の入口6側端部に上記加熱流路5と連通させて設けたガス出口26より排出される排加熱ガス(燃焼排ガス)14aを、加熱ガス循環ファン28を備えた加熱ガス回収ライン(燃焼排ガスライン)27を通して導くことにより、上記排加熱ガス14aに残存する熱を、上記通気乾燥機25における廃棄物13の乾燥用の熱源として利用できるようにしてある。上記通気乾燥機25より排出される廃棄物乾燥排気(乾燥排ガス)29は、排気ライン30を通して上記熱風発生炉18へ循環させるようにしてあると共に、余剰分は、上記排気ライン30より分岐させた排気ライン31を通して上記溶融炉23の排ガス出口部23aへ導いて、高温処理できるようにしてある。又、32は上記熱分解ガス取出ライン15における分岐ライン17の分岐位置よりも上流側位置に設けた熱分解ガスファン、33は上記熱分解ガス取出ライン15における上記熱分解ガスファン32よりも上流側位置に設けた集じん器である(たとえば、特許文献3参照)。
【0014】
ところで、上記廃棄物13の炭化物12は、水で洗浄すると炭化物12中に塩として存在する塩素分が水に溶け出すため、結果的に脱塩できることが知られている。又、炭化物は一般に脱水性がよく、洗浄後に脱水すると30〜40%程度まで脱水可能であることも知られている。
【0015】
更に、下水汚泥の脱水時に、炭化物を脱水助剤として添加する考えが近年提案されてきている(たとえば、特許文献4参照)。
【0016】
【特許文献1】特開平11−323359号公報
【特許文献2】特開2001−271080号公報
【特許文献3】特開平11−141834号公報
【特許文献4】特開2005−170748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところが、上記特許文献1に示されているように、従来、汚泥を燃料として利用できるようにするためには、乾燥処理が必要となるが、上記したように、脱水汚泥に含まれている70〜80%もの水分を、10%以下となるまで乾燥させるためには多量の熱量が必要であり、この熱量を外部燃料に依存すると多量の燃料が必要になってしまう。又、上記汚泥の乾燥に伴って排出される汚泥乾燥排気は、水分のほかに臭気を含んでいるため、該汚泥乾燥排気の脱臭処理を行うための脱臭機器、たとえば、上記汚泥乾燥排気を750〜800℃に加熱して高温処理を行う脱臭機器が別途必要になり、該脱臭機器の設置コストや、排ガス昇温用の灯油費用等のランニングコストが必要となる。
【0018】
更に、乾燥汚泥を燃料として見た場合は、灰分の割合が高く、見かけ上の発熱量はあまり高くない。
【0019】
一方、特許文献2に示されたように、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理することにより発生する炭化物を回収して燃料化を図る場合、上記廃棄物炭化炉より取り出される炭化物は高温状態となっているが、この高温状態のままでは着火し易いため、該炭化物を冷却する工程が必要とされる。
【0020】
又、上記廃棄物炭化炉より回収される炭化物は乾いた粉状となっており、そのままでは飛散しやすいためハンドリングに注意が必要になると共に、炭化物が飛散して作業環境が悪化しないようにするための対策が必要とされる。更に、乾燥状態の炭化物は、そのままでは成形が困難なため、固形燃料として成形するには、水や薬剤(バインダ)を外部より添加する必要が生じる。
【0021】
なお、上記特許文献3には、廃棄物13を熱分解して得られる炭化物12を原料として固形燃料化する考えについては記載されていない。しかも、汚泥の処理に関する記載は全くない。
【0022】
特許文献4には、汚泥を原料として燃料化する考えについては記載されていない。
【0023】
そこで、本発明者は、汚泥の燃料化を図る際に、多量の外部燃料を要することなく汚泥を乾燥処理できるようにすると共に、汚泥の乾燥処理時に生じる汚泥乾燥排気を別途脱臭機器を要することなく脱臭処理できるようにするための工夫、研究、並びに、都市ごみ等の廃棄物の炭化物の燃料化を図る際に、廃棄物炭化炉より回収される廃棄物炭化物の洗浄、脱塩処理を不要とすることができるようにすると共に、乾いた粉状の炭化物を外部より水や薬剤を添加することなく飛散防止を図ったり、成形性を向上化させることができるようにするための工夫、研究を重ねた。その結果、上記汚泥を乾燥するためには多量の熱量が必要とされるのに対し、都市ごみ等の廃棄物は自己熱によって炭化処理できると共に熱量的には余剰がある点、汚泥の乾燥に伴って排出される汚泥乾燥排気は脱臭処理を行う必要があるのに対し、廃棄物を炭化処理する設備には、通常、該炭化処理に伴って生じる可燃性の熱分解ガスを燃焼させる燃焼炉が具備される点、更には、汚泥に脱水助剤を添加すれば該汚泥の脱水処理を効率よく実施できるのに対し、炭化物は脱水助剤としての効果を有する点、廃棄物炭化炉より取り出される炭化物に水を加えて湿潤化させることで該炭化物の飛散防止を図ったり、成形性の向上化が図れるのに対し、汚泥は水中に分散された状態から脱水して回収を図るようにしている点、等に着目して、廃棄物炭化処理施設と排水処理施設とを有機的に結合すれば、上述したような該各設備に足りない点を互いに補い合って汚泥と廃棄物炭化物を効率よく混合して燃料化できることを見出し本発明をなした。
【0024】
したがって、本発明の目的とするところは、汚泥と都市ごみ等の廃棄物の炭化物を一緒に燃料化することにより、汚泥を乾燥するために使用する外部燃料をゼロもしくは最小にでき、且つ汚泥乾燥排気の臭気を、脱臭機器を要することなく処理でき、更には、廃棄物炭化炉より回収される廃棄物炭化物の洗浄、脱塩処理を不要にできると共に、炭化物の飛散防止及び炭化物の成形性の向上化を容易に図ることができる汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、上記課題を解決するために、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理してなる廃棄物炭化物を、排水処理施設へ汚泥の脱水助剤として供給し、該排水処理施設における汚泥の脱水処理により形成される汚泥と上記廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを、所要の含水率となるよう乾燥させた後、成形して汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料を製造する汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法、及び、廃棄物を炭化処理する廃棄物炭化炉と、排水処理施設とを備えて、上記廃棄物炭化炉より回収される廃棄物炭化物を上記排水処理施設へ汚泥の脱水助剤として供給できるようにし、更に、該排水処理施設における汚泥の脱水処理により形成される汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機にて乾燥された上記汚泥と廃棄物炭化物の混合物を所要形状に成形する成形装置とを備えてなる構成を有する汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造装置とする。
【0026】
又、上記において、汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させるための熱源として、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスの燃焼熱を利用するようにする方法、及び、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスの燃焼熱を汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキの乾燥処理用の乾燥機の熱源とするようにした装置とする。
【0027】
更に、上記各構成における廃棄物炭化炉を、該廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼して発生させる高温の加熱ガスを廃棄物の炭化処理用の熱源とする外熱式の廃棄物炭化炉とし、且つ汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させるための熱源として、上記加熱ガスを上記外熱式の廃棄物炭化炉にて廃棄物の炭化処理用の熱源に供した後に該廃棄物炭化炉より排出される排加熱ガスに残存する熱を利用するようにする方法、及び、廃棄物炭化炉を、該廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼して発生させる高温の加熱ガスを廃棄物の炭化処理用の熱源とする外熱式の廃棄物炭化炉とし、更に、上記加熱ガスを上記外熱式の廃棄物炭化炉にて廃棄物の炭化処理用の熱源に供した後に該廃棄物炭化炉より排出される排加熱ガスに残存する熱を、汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキの乾燥処理用の乾燥機の熱源とするようにした装置とする。
【0028】
上述の各構成において、汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させる際に生じる乾燥排気を、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼させる炉に供給するようにする方法、及び、乾燥機にて汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させる際に生じる乾燥排気を、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼させる炉に供給するようにした装置とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理してなる廃棄物炭化物を、排水処理施設へ汚泥の脱水助剤として供給し、該排水処理施設における汚泥の脱水処理により形成される汚泥と上記廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを、乾燥機で所要の含水率となるよう乾燥させた後、成形装置で成形して汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料を製造する汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法及び装置としてあるので、汚泥の脱水処理を、外部より供給する脱水助剤を不要もしくは最小にして実施できる。又、汚泥を単独で脱水する場合に比して大幅に脱水性を向上させることができる。
(2)廃棄物炭化炉より回収される廃棄物炭化物は、排水処理施設へ汚泥の脱水助剤として供給することに伴い、該廃棄物炭化物中に含まれる塩を多量の水に希釈した後、脱水することで塩濃度を容易に低減できる。よって、上記廃棄物炭化物の洗浄脱塩装置、及び、廃棄物炭化物を洗浄して脱塩するための工程を廃棄物炭化炉の下流側に設ける必要をなくすことができて、該廃棄物炭化炉に塩含有排水の処理を行うための排水処理設備を装備する必要をなくすことができる。
(3)上記廃棄物炭化物は、上記したように湿式で処理することにより、粉状の廃棄物炭化物が飛散する虞を未然に防止できて、ハンドリングが容易になると共に、上記粉状の廃棄物炭化物が飛散して作業環境が悪化する虞を解消できる。更に、上記廃棄物炭化物は湿潤されると成形性が高まる性質を有しているため、上記汚泥と混合されて形成される混合物は成形を容易なものとすることができる。又、上記廃棄物炭化物は、脱水処理前の汚泥と混合するようにしてあるため、汚泥と廃棄物炭化物とを効率よく混合できる。よって、上記脱水ケーキを乾燥機にて所要の含水率まで乾燥してなる混合物を成形装置で成形することにより、均質で且つ均一な形状の混合燃料を製造することができる。
(4)上記製造される混合燃料は、廃棄物炭化物を含んでいることから、汚泥のみを原料とする固形燃料に比して燃料としての安定性を高めることが可能になると共に、臭気を低減させ、発熱量を向上させることできて、燃料としての付加価値を高めることができる。
(5)上記廃棄物炭化炉より回収する熱分解ガスを燃焼させる燃焼炉の下流側に設ける排ガス処理設備での排ガスの洗浄処理等に伴って発生するプラント排水を、排水処理施設で排水処理すれば、プラント排水用の排水処理設備を別途設ける必要をなくすことができる。又、上記排水処理施設にて排水処理した後の処理水を、上記排ガス処理設備へプラント用水の一部として供給することも可能になる。更に、上記排水処理施設にて発生する廃棄物を廃棄物炭化炉へ供給して他の廃棄物と一緒に炭化処理することも可能になる。
(6)乾燥機にて汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させるための熱源として、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスの燃焼熱を利用するようにすることにより、上記汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥機で乾燥させるために要する外部燃料をゼロもしくは最小にできる。
(7)廃棄物炭化炉を、該廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼して発生させる高温の加熱ガスを廃棄物の炭化処理用の熱源とする外熱式の廃棄物炭化炉とし、且つ乾燥機にて汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させるための熱源として、上記加熱ガスを上記外熱式の廃棄物炭化炉にて廃棄物の炭化処理用の熱源に供した後に該廃棄物炭化炉より排出される排加熱ガスに残存する熱を利用するようにすることにより、上記外熱式の廃棄物炭化炉より排出される排加熱ガスの有する熱量を、汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキの乾燥処理用の熱源として有効利用することができる。
(8)汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥機にて乾燥させる際に生じる乾燥排気を、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼させる炉に供給するようにすることにより、上記汚泥と廃棄物炭化物の脱水ケーキの乾燥処理に伴って生じる臭気のある乾燥排気を、別途脱臭機器を要することなく高温処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1及び図2は本発明の汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法及び装置の実施の一形態を示すもので、都市ごみ等の廃棄物13を炭化処理して熱分解ガス11と廃棄物炭化物(以下、単に炭化物という)12とを回収できるようにしてある廃棄物炭化炉1を有する廃棄物炭化処理施設Aと、排水処理施設Bとを備えて、上記廃棄物炭化処理施設Aにおける廃棄物炭化炉1より回収される炭化物12を、上記排水処理施設Bへ汚泥34の脱水助剤として供給できるようにする。更に、上記排水処理施設Bにて上記炭化物12を脱水助剤として用いて汚泥34を脱水処理して形成させる汚泥34と炭化物12の混合物の脱水ケーキ35を、上記廃棄物炭化炉1より回収される熱分解ガス11を所要の炉で燃焼させることによって発生させる高温のガスを熱源として乾燥処理する乾燥機36と、該乾燥機36にて乾燥処理された汚泥34と炭化物12との混合物39を所要形状に成形する成形装置37とを設ける。更に又、上記乾燥機36にて上記汚泥と炭化物の混合物の脱水ケーキ35の乾燥処理時に該乾燥機36より排出される乾燥排気38は、上記廃棄物炭化炉より回収される熱分解ガス11を燃焼させる所要の燃焼炉へ供給できるようにする。これにより、上記廃棄物炭化炉1にて廃棄物13を炭化処理して回収される炭化物12を脱水助剤として上記排水処理施設Bにて汚泥の脱水処理を行わせ、この脱水処理により形成される汚泥と炭化物の脱水ケーキ35を、上記乾燥機36にて所要の含水率、たとえば、5〜20%程度の含水率となるように乾燥処理し、しかる後、上記所要の含水率まで乾燥処理した後の汚泥34と炭化物12の混合物39を、上記成形装置37で成形して汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料(以下、単に混合燃料と云う)40を製造するようにする。更に、上記乾燥機36より排出される臭気を含んだ乾燥排気38は、廃棄物炭化炉1より回収される熱分解ガス11を所要の燃焼炉で燃焼させる際の燃焼熱により高温処理できるようにする。
【0032】
詳述すると、上記廃棄物炭化炉1は、たとえば、図3に示したと同様の外熱キルン炉とする。外熱キルン炉1には、燃焼炉としての熱風発生炉18を付設して、上記外熱キルン炉1の分離室10より熱分解ガス取出ライン15へ回収される熱分解ガス11の一部を、該熱分解ガス取出ライン15より分岐させた分岐ライン17を介し上記熱風発生炉18へ燃料として供給できるようにする。且つ該熱風発生炉18で上記熱分解ガス11を燃焼させて発生させる高温の加熱ガス14を、加熱ガス供給ライン20を介し上記外熱キルン炉1のガス入口21へ導いて加熱流路5に流通させることにより、該外熱キルン炉1にて上記加熱ガス14を熱源として廃棄物13を間接加熱して炭化処理できるようにしてある。
【0033】
更に、上記外熱キルン炉1にて廃棄物13を炭化処理することにより生成する炭化物12を湿式で処理できるようにするために、上記外熱キルン炉1の分離室10の下側に水槽41を接続して、上記外熱キルン炉1より回収する炭化物12を、上記水槽41に落下投入させて、該水槽41内にて比重差で不燃物42を分離すると共に、該不燃物42が分離された炭化物12をスラリー状の炭化物スラリー12aとして回収できるようにする。
【0034】
上記水槽41における上記炭化物スラリー12aの出口側には、スラリーポンプ44を備えた炭化物スラリーライン43を介して上記排水処理施設B、より具体的には、たとえば、排水処理施設Bの図示しない汚泥濃縮槽(シックナー)を接続する。これにより、上記スラリーポンプ44の運転により上記炭化物スラリー12aを、上記排水処理施設Bの汚泥濃縮槽へ供給することにより、上記排水処理施設Bにて、上記炭化物スラリー12a中の炭化物12を脱水助剤として混合した状態の汚泥34を所要の脱水機(図示せず)により脱水処理して、上記汚泥34と炭化物12の混合物の脱水ケーキ35を回収できるようにしてある。
【0035】
上記乾燥機36は、たとえば、通気型の乾燥機とし、該乾燥機36の入口側に設けた供給機36aに、上記排水処理施設Bより上記脱水ケーキ35を導く脱水ケーキ回収ライン45を接続すると共に、該乾燥機36の胴部に、上記外熱キルン炉1のガス出口26を、加熱ガス循環ファン28を備えた加熱ガス回収ライン27を介し接続する。これにより、上記加熱ガス14を外熱キルン炉1の加熱流路5に流通させて廃棄物13の炭化処理用の熱源に供した後に上記ガス出口26より排出される排加熱ガス14aを、加熱ガス回収ライン27を介し上記乾燥機36へ導いて、該乾燥機36内に供給機36aより供給される上記脱水ケーキ35と直接的に接触させ、該排加熱ガス14aに残存する熱を、上記したように脱水ケーキ35を所要の含水率の混合物39となるように乾燥処理するための熱源として利用できるようにしてある。
【0036】
上記乾燥機36における乾燥排気38の出口には、上記熱風発生炉18を、乾燥機排気ファン47を備えた排気ライン46を介して接続すると共に、上記排気ライン46より分岐させた排気ライン48を、上記熱分解ガス取出ライン15の下流側に設けた所要の燃焼炉49に接続する。これにより、上記乾燥機36より排出される臭気を含んだ乾燥排気38を、排気ライン46を通して上記熱風発生炉18へ循環させて、該熱風発生炉18にて、熱分解ガス11を燃焼させるときの燃焼熱により高温処理できるようにしてある。更に、上記乾燥排気38の余剰分は、排気ライン48を通して上記燃焼炉49へ導いて、該燃焼炉49にて上記熱分解ガス11を補助燃料50と共に燃焼させるときの燃焼熱により高温処理できるようにしてある。
【0037】
上記外熱キルン炉1のガス出口26より排出される排加熱ガス14aのうち、上記乾燥機36へ供給されない余剰分は、上記加熱ガス回収ライン27における加熱ガス循環ファン28よりも下流側位置より分岐させたバイパスライン51を通して上記排気ライン46における所要個所へ直接導くようにしてある。
【0038】
52は熱分解ガス取出ライン15における分岐ライン17の分岐個所よりも下流側位置に設けた流量調整弁、53は上記分岐ライン17に設けた流量調整弁であり、該各流量調整弁52と53とを適宜制御することにより、熱風発生炉18への熱分解ガス11の供給量を調整できるようにしてある。54は加熱ガス回収ライン27における加熱ガス循環ファン28よりも上流側位置に設けた流量調整弁であり、上記加熱ガス循環ファン28の運転時に該流量調整弁54を適宜調整することにより、熱風発生炉18より外熱キルン炉1の加熱流路5へ流通させる加熱ガス14の流量を制御できるようにしてある。55は加熱ガス回収ライン27におけるバイパスライン51の分岐個所よりも下流側位置に設けた流量調整弁、56は上記バイパスライン51に設けた流量調整弁、57は排気ライン46における上記乾燥機排気ファン47よりも上流側位置に設けた流量調整弁であり、該各流量調整弁55と56と57とを適宜制御することにより、外熱キルン炉1より加熱ガス回収ライン27へ回収される排加熱ガス14aのうち、上記乾燥機36へ供給される排加熱ガス14aの量を制御して、該乾燥機36にて脱水ケーキ35を乾燥処理して上記所要の含水率の汚泥と炭化物の混合物39を得ることができるよう該脱水ケーキ35に加える熱量を調整できるようにしてある。58は排気ライン46における排気ライン48の分岐個所よりも下流側位置に設けた流量調整弁、59は上記排気ライン48に設けた流量調整弁であり、該各流量調整弁58と59とを適宜調整することにより、熱風発生炉18へ循環させる乾燥排気38の循環量を調整できるようにしてある。
【0039】
60は上記燃焼炉49より排出される燃焼排ガスを処理する排ガス処理設備である。その他、図3に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0040】
以上の構成としてあることにより、上記廃棄物炭化処理施設Aの外熱キルン炉1では、図3に示したものと同様に、廃棄物13の自己熱による炭化処理が行われて可燃性の熱分解ガス11と炭化物12が生成され、更に、上記炭化物12は、炭化物スラリー12aとして回収される。
【0041】
一方、排水処理施設では上記廃棄物炭化処理施設Aより供給される上記炭化物スラリー12a中の炭化物12を脱水助剤として混合することにより、効率よく脱水処理が行われて汚泥34と炭化物12の混合物の脱水ケーキ35が形成される。この脱水処理により、上記脱水ケーキ35は、40〜60%程度まで含水率が低下されるようになる。
【0042】
上記のように炭化物12が汚泥34と混合される際、上記炭化物12に含まれていた塩は、上記汚泥34と混合される時点で多量の水と混合されることになるため、結果的に希釈されて一次脱塩(減塩)される。更に、上記した脱水処理に伴って、上記脱水ケーキ35中に残留する塩濃度(Cl濃度)は更に低下させられるようになる。
【0043】
その後、上記脱水ケーキ35は、上記乾燥機36にて、上記外熱キルン炉1より回収される熱分解ガス11の一部を熱風発生炉18で燃焼させて発生させてなる高温の加熱ガス14を上記外熱キルン炉1における廃棄物13の炭化処理用の熱源に供した後に該外熱キルン炉1より回収される排加熱ガス14aに残存する熱を熱源として、上記所要の含水率まで乾燥処理されて上記汚泥34と炭化物12の混合物39とされる。この乾燥処理に伴って生じる臭気のある乾燥排気38は、排気ライン46を通して熱分解ガス11を燃焼させる熱風発生炉18へ循環させられて高温処理され、余剰分は、排気ライン48を通して熱分解ガス11を燃焼させる燃焼炉49へ導かれて高温処理されるため、いずれの炉18,49においても臭気の処理が行われるようになる。
【0044】
次いで、上記混合物39を上記成形装置37で所要形状に成形又は造粒し、養生することにより、所要形状の混合燃料40が製造されるようになる。
【0045】
このように、本発明の汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法及び装置によれば、汚泥34の脱水処理を、外部より供給すべき脱水助剤を不要もしくは最小にして実施できると共に、上記汚泥34に炭化物12を混合してなる混合物とすることで、40〜60%程度の含水率となるまで脱水できるようになることから、汚泥34を単独で脱水する場合に比して大幅に脱水性を向上させることができる。
【0046】
更に、上記汚泥34と炭化物12の混合物の脱水ケーキ35を乾燥機36で乾燥させるための熱量は、外熱キルン炉1にて廃棄物13を炭化処理する際に生じる熱分解ガス11の燃焼熱により供給できる。したがって、上記脱水ケーキ35の乾燥に要する外部燃料をゼロもしくは最小にできる。又、上記脱水ケーキ35の乾燥処理に伴って生じる臭気のある乾燥排気38は、別途脱臭機器を要することなく高温処理することができる。
【0047】
一方、外熱キルン炉1より回収される炭化物12は、排水処理施設Bへ汚泥34の脱水助剤として供給することに伴い、該炭化物12中に含まれる塩を多量の水に希釈した後、脱水することで塩濃度を容易に低減できる。よって、上記炭化物12の洗浄脱塩装置、及び、炭化物12を洗浄して脱塩する工程を廃棄物炭化処理施設A側に設ける必要をなくすことができて、該廃棄物炭化処理施設A側での塩含有排水の処理が不要となる。
【0048】
更に、上記炭化物12は、上記したように湿式で処理することにより、粉状の炭化物12が飛散する虞を未然に防止できて、ハンドリングが容易になると共に、上記粉状の炭化物12が飛散して作業環境が悪化する虞を解消できる。更に、上記炭化物12は湿潤されると成形性が高まる性質を有しているため、上記汚泥34と一緒に形成する混合物39の成形を容易なものとすることができる。又、上記炭化物12は、脱水処理前の汚泥34と混合するようにしてあるため、汚泥34と炭化物12とを効率よく混合できる。よって、上記脱水ケーキ35を乾燥機36にて所要の含水率まで乾燥してなる混合物39を成形装置37で成形することにより、均質で且つ均一な形状の混合燃料40を製造することができる。
【0049】
上記製造される混合燃料40は、炭化物12を含んでいることから、汚泥34のみを原料とする固形燃料に比して燃料としての安定性を高めることが可能になると共に、臭気を低減させ、発熱量を向上させることできて、燃料としての付加価値を高めることができる。
【0050】
上記廃棄物炭化処理施設Aにて外熱キルン炉1より回収する熱分解ガス11を燃焼させる燃焼炉49の下流側に設ける排ガス処理設備60では、通常、排ガスの洗浄処理等に伴ってプラント排水が発生する。このことに鑑みて、上記廃棄物炭化処理施設Aと排水処理施設Bとを併設するようにすれば、図2に示す如く、上記廃棄物炭化処理施設A側で生じるプラント排水61の排水処理を上記排水処理施設Bで行うことが可能になることから、廃棄物炭化処理施設A側に、プラント排水用の排水処理設備を別途設ける必要をなくすことができる。又、上記排水処理施設Bにて排水処理した後の処理水62を、上記廃棄物炭化処理施設A側へプラント用水の一部として供給することも可能になる。
【0051】
更に、上述したように、上記廃棄物炭化処理施設Aより上記排水処理施設Bへ炭化物スラリー12aを炭化物スラリーライン43を通して配管輸送することが可能になる。又、上記排水処理施設Bにて発生する廃棄物13を廃棄物炭化処理施設Aへ直接搬送して他の廃棄物13と一緒に炭化処理することも可能になる。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、廃棄物炭化炉としては外熱キルン炉1を示したが、廃棄物13を低酸素雰囲気下で炭化処理して炭化物12と可燃性の熱分解ガス11を回収でき、更に、該回収される熱分解ガス11を燃焼させて発生させてなる高温の加熱ガス14を廃棄物13の炭化処理用の熱源とすることができるようにしてある外熱式の廃棄物炭化炉であり、且つ上記加熱ガス14を該廃棄物炭化炉における廃棄物13の炭化処理用の熱源に供した後の排加熱ガス14aを、上記乾燥機36へ汚泥34と炭化物12の混合物の脱水ケーキ35を乾燥処理するための熱源として供給できるようにしてあれば、廃棄物炭化炉は外熱キルン炉1以外のいかなる形式の外熱式の廃棄物炭化炉を採用してもよい。更に、上記実施の形態では、乾燥機36における汚泥34と炭化物12の混合物の脱水ケーキ35の乾燥処理用の熱源として、熱風発生炉18で熱分解ガス11を燃焼させることにより発生させる加熱ガス14を外熱キルン炉1における廃棄物13の炭化処理用の熱源に供した後の排加熱ガス14aに残存する熱を利用するものとして示したが、上記熱分解ガス11の燃焼熱を上記乾燥機36へ供給できるようにしてあれば、たとえば、図1に二点鎖線で示す如く、外熱キルン炉1より回収する熱分解ガス11を所要の燃焼炉49で燃焼させる際に生じる燃焼排ガスを上記乾燥機36へ直接導くようにしてもよい。更には、廃棄物炭化炉として部分燃焼式の廃棄物炭化炉を採用して、該部分燃焼式の廃棄物炭化炉より回収される可燃性の熱分解ガス11を所要の燃焼炉で燃焼させる際に生じる燃焼熱を、たとえば、高温の燃焼排ガスの形で乾燥機36へ導いて、汚泥34と炭化物12の混合物の脱水ケーキ35の乾燥処理用の熱源として利用するようにしてもよい。
【0053】
上記乾燥機36は、通気式のものとして示したが、外熱式のものでもよい。この場合、該外熱式の乾燥機より排出される水蒸気(水分)と臭気を含むガスを、上記外熱キルン炉1に付設する熱風発生炉18や燃焼炉49のような廃棄物炭化炉より回収される熱分解ガス11を燃焼させる炉へ導いて高温処理させるようにすればよい。
【0054】
上記においては、廃棄物炭化処理施設Aで生じる炭化物12を排水処理施設B側へ供給する際、炭化物12をスラリー化させてなる炭化物スラリー12aの状態で炭化物スラリーライン43を通して配管輸送するものとして示したが、上記炭化物スラリー12aをローリー車で排水処理施設Bへ搬送するようにしてもよい。更には、上記廃棄物炭化処理施設Aにて外熱キルン炉1より回収される炭化物12を、乾式で取り出すようにして、乾燥状態の炭化物12を磁選後破砕処理し、更に篩い分けして取り出す粉状の炭化物12を、飛散防止のために若干加湿した状態でトラック等により排水処理施設B側へ搬送するようにしてもよい。
【0055】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法及び装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】図1における廃棄物炭化処理施設と排水処理施設との有機的な結合状態の概略を示す図である。
【図3】従来提案されている廃棄物炭化炉の一例として外熱キルン炉を示す概要図である。
【符号の説明】
【0057】
B 排水処理施設
1 外熱キルン炉(廃棄物炭化炉)
11 熱分解ガス
12 廃棄物炭化物
13 廃棄物
14 加熱ガス
14a 排加熱ガス
18 熱風発生炉(炉)
34 汚泥
35 脱水ケーキ
36 乾燥機
37 成形装置
38 乾燥排気
39 混合物
40 混合燃料
49 燃焼炉(炉)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理してなる廃棄物炭化物を、排水処理施設へ汚泥の脱水助剤として供給し、該排水処理施設における汚泥の脱水処理により形成される汚泥と上記廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを、所要の含水率となるよう乾燥させた後、成形して汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料を製造することを特徴とする汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法。
【請求項2】
汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させるための熱源として、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスの燃焼熱を利用するようにする請求項1記載の汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法。
【請求項3】
廃棄物炭化炉を、該廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼して発生させる高温の加熱ガスを廃棄物の炭化処理用の熱源とする外熱式の廃棄物炭化炉とし、且つ汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させるための熱源として、上記加熱ガスを上記外熱式の廃棄物炭化炉にて廃棄物の炭化処理用の熱源に供した後に該廃棄物炭化炉より排出される排加熱ガスに残存する熱を利用するようにする請求項1又は2記載の汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法。
【請求項4】
汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させる際に生じる乾燥排気を、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼させる炉に供給するようにする請求項1、2又は3記載の汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造方法。
【請求項5】
廃棄物を炭化処理する廃棄物炭化炉と、排水処理施設とを備えて、上記廃棄物炭化炉より回収される廃棄物炭化物を上記排水処理施設へ汚泥の脱水助剤として供給できるようにし、更に、該排水処理施設における汚泥の脱水処理により形成される汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機にて乾燥された上記汚泥と廃棄物炭化物の混合物を所要形状に成形する成形装置とを備えてなる構成を有することを特徴とする汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造装置。
【請求項6】
廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスの燃焼熱を汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキの乾燥処理用の乾燥機の熱源とするようにした請求項5記載の汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造装置。
【請求項7】
廃棄物炭化炉を、該廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼して発生させる高温の加熱ガスを廃棄物の炭化処理用の熱源とする外熱式の廃棄物炭化炉とし、更に、上記加熱ガスを上記外熱式の廃棄物炭化炉にて廃棄物の炭化処理用の熱源に供した後に該廃棄物炭化炉より排出される排加熱ガスに残存する熱を、汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキの乾燥処理用の乾燥機の熱源とするようにした請求項5又は6記載の乾燥汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造装置。
【請求項8】
乾燥機にて汚泥と廃棄物炭化物の混合物の脱水ケーキを乾燥させる際に生じる乾燥排気を、廃棄物炭化炉にて廃棄物を炭化処理する際に発生する熱分解ガスを燃焼させる炉に供給するようにした請求項5、6又は7記載の乾燥汚泥と廃棄物炭化物の混合燃料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−314625(P2007−314625A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143874(P2006−143874)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】