説明

河川航行船舶用の高度浄水装置

【課題】本発明は河川航行船舶用の高度浄水装置に関し、河川を航行する船舶において、河川から取水した原水を限られたスペースの船上にて高度処理を施し、安全で美味しい飲料水として浄水するものであり、上水システムの簡素化と高度化をはかる。
【解決手段】本発明は、河川を航行する船舶1に設備され、河川から取水される原水W1を浄水するものにして、原水の除砂を行うサイクロンセパレータ5と、膜モジュール2を浸漬して生物活性炭3を投入した処理機構部4と、該処理機構部の流出側に設けられる浄水加圧溜めとしてのハイドロフォークタンク6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は河川航行船舶用の高度浄水装置に関し、河川を航行する船舶において、河川から取水した原水を限られたスペースの船上にて高度処理を施し、安全で美味しい飲料水として浄水するものであり、上水システムの簡素化と高度化をはかったものである。
【背景技術】
【0002】
河川を航行する船舶の飲用水としては、国内において見られるように陸上の水道水から船内に設置の清水タンクに供給して貯溜する方策と、国外において見られるものであるが、河川を航行する大型船舶は船内に浄水装置を設置し、この浄水装置により河川から取水した原水を浄水しようとする方策と、があった。
【0003】
そして、現状の河川航行船舶用の浄水装置には、例えば、河川から吸引ポンプにより取水する原水から砂を除砂するサイクロンセパレータと、除砂後の河川水を流速を増加させた状態で流れ落とすことにより、多数のハニカム構造の収容部内にアルミナ(Al23)のような凝集剤を添加することにより河川水中に含まれる微細な粒状の固形物を凝集し、沈殿させる傾斜板と、堆積される砂の間を通過させて汚れを取り除く砂濾過機構と、殺菌剤、例えば次亜塩素酸ソーダにより汚れが除かれた河川水を殺菌し、浄水が行われるものがある。
【0004】
ところで、凝集剤としてアルミナ(Al23)を用いることと、殺菌剤として、例えば次亜塩素酸ソーダを用いることとは、従来知られているところである(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−1359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の河川航行船舶用の浄水装置によって処理された浄水は、クリプトスポリジウムのような耐塩素性病原生物は浄水から除去できないほか、トリハロメタン前駆物質、色度、アンモニア性窒素、陰イオン界面活性剤、臭気物質等の除去は不十分であり、そのまま引用水として口にすることは避けられている。そして、煮沸後に飲用しても美味しくはない。
【0006】
ところで、上記従来の河川航行船舶用の浄水装置によって処理された浄水は、凝集剤の添加量が水質を左右することになるが、濁度が3,000にも達する河川においては、取水された河川水への添加量が多くなり、人体への影響も懸念されるので、その管理は厳重に行わなければならず、また、砂ろ過の逆洗いも頻繁に行う必要があり、これらに多大な労力を要する。
【0007】
本発明は上記従来の欠点を解決するためになされたものであり、クリプトスポリジウムのような耐塩素性病原性細菌、トリハロメタン前駆物質、色度、アンモニア性窒素、陰イオン界面活性剤、臭気物質等の浄水からの除去が行え、煮沸することなく安全性が高く、美味しい高度な飲料水を得られる河川航行船舶用の高度浄水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされ、請求項1に記載の発明は、河川を航行する船舶に設備され、河川から取水される原水を浄水するものにして、前記原水の除砂を行うサイクロンセパレータと、該サイクロンセパレータの流出側に設けられ、膜モジュールを浸漬して生物活性炭を投入した処理機構部と、該処理機構部の流出側に設けられる浄水加圧溜めとしてのハイドロフォークタンクと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2の発明は、請求項1において、水中での有機物、活性炭内のバクテリヤによる生物分解効能によるトリハロメタン前駆物質のような有機物、アンモニア性窒素、又は、前記膜モジュールの表面に付着した有機物によって前記処理機構部に投入した生物活性炭の吸着能が低下した際に、前記サイクロンセパレータの流入側に設けた取水ポンプの吸引力により、前記処理機構部の下部に設けたドレーン管を通じて前記サイクロンセパレータ内に循環し、前記サイクロンセパレータの下部に設けた活性炭ドレーン管を通じてサイクロンセパレータにより分離、回収することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3の発明は、請求項1、または2において、前記サイクロンセパレータの流入側に設けられた取水ポンプの吸込側通路を2方向に分岐し、そのうちの一方の通路を河川からの取水管とし、他方の通路を前記処理機構部の下部に接続されたドレーン管に連結し、前記サイクロンセパレータの下部に設けられるドレーン管を2方向に分岐し、このうちの一方のドレーン管を河川に排出する砂ドレーン管とし、他方のドレーン管を前記処理機構部からの生物活性炭を回収可能に活性炭ドレンタンク内に導入される前記活性炭ドレーン管としたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4の発明は、請求項1−3の何れかにおいて、前記処理機構部の流出側に接続された処理ポンプの発停を前記ハイドロフォークタンクに設けたスィッチ手段としての接点付圧力スィッチにより制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、河川を航行する船舶に設備され、河川から取水される原水を浄水するものにして、前記原水の除砂を行うサイクロンセパレータと、該サイクロンセパレータの流出側に設けられ、膜モジュールを浸漬して生物活性炭を投入した処理機構部と、該処理機構部の流出側に設けられる浄水加圧溜めとしてのハイドロフォークタンクと、を備えるので、凝集沈殿や砂ろ過等の前処理は必要とされず、サイクロンセパレータにて砂が除去された後に、膜モジュールが浸漬された処理機構部内には生物活性炭が投入されているため、生物活性炭が有機物を吸着し、膜表面に付着した有機物を掻き取り目詰まりを防止し、有機物やアンモニア性窒素を低減したり、トリハロメタンの生成を抑制し、膜モジュールでは濁質やクリプトスポリジウム等の耐塩素性病原生細菌を阻止する等の高度浄水処理を達成することができる。そして、この高度浄水処理がなされた浄水は、処理機構部の後段に設けられたハイドロフォークタンクに加圧移送され、飲用に供される。
【0013】
また、本発明の請求項2の発明によれば、請求項1において、水中での有機物、活性炭内のバクテリヤによる生物分解効能によるトリハロメタン前駆物質のような有機物、アンモニア性窒素、又は、前記膜モジュールの表面に付着した有機物によって前記処理機構部に投入した生物活性炭の吸着能が低下した際に、前記サイクロンセパレータの流入側に設けた取水ポンプの吸引力により、前記処理機構部の下部に設けたドレーン管を通じて前記サイクロンセパレータ内に循環し、前記サイクロンセパレータの下部に設けた活性炭ドレーン管を通じてサイクロンセパレータにより分離、回収するので、細菌や有機物に対する生物活性炭の吸着能が低下されると、取水ポンプの吸引により、生物活性炭は取水ポンプの駆動により処理機構部の下部からドレーン管を通じて吸引され、取水ポンプの吐出側からサイクロンセパレータ内に移送される。そして、吸着能が低下された生物活性炭はサイクロンセパレータ内に移送されると、原水から除砂された砂から分離、除去され、サイクロンセパレータの下方に設けられた活性炭ドレンタンク内に回収されるとともに、吸着能を有する新鮮な生物活性炭が処理機構部に補充され、浄水に供される。
【0014】
また、本発明の請求項3の発明によれば、請求項1、または2において、前記サイクロンセパレータの流入側に設けられた取水ポンプの吸込側通路を2方向に分岐し、そのうちの一方の通路を河川からの取水管とし、他方の通路を前記処理機構部の下部に接続されたドレーン管に連結し、前記サイクロンセパレータの下部に設けられるドレーン管を2方向に分岐し、このうちの一方のドレーン管を河川に排出する砂ドレーン管とし、他方のドレーン管を前記処理機構部からの生物活性炭を回収可能に活性炭ドレンタンク内に導入される前記活性炭ドレーン管としたので、容易に処理機構部内の生物活性炭を吸引し、サイクロンセパレータで分離され、活性炭ドレンタンクに回収することができる。
【0015】
また、本発明の請求項4の発明によれば、請求項1−3の何れかにおいて、前記処理機構部の流出側に接続された処理ポンプの発停を前記ハイドロフォークタンクに設けたスィッチ手段としての接点付圧力スィッチにより制御するので、処理ポンプが処理機構部からの処理水の吸引とハイドロフォータンクへの加圧供給を行う。そして、ハイドロフォータンク内の圧力が、設定値に低下すれば、接点付圧力スィッチが作動し、処理水ポンプに運転信号を発し、処理ポンプが回動される。また、ハイドロフォータンク内の圧力が、設定値以上に上昇すると、処理ポンプは停止信号を受けて停止される。また、サイクロンセパレータの取水ポンプと処理機構部に設けられる曝気ブロアは処理ポンプと連動して運転される。このように、河川航行船舶用の高度浄水装置は、構造簡単で簡素にしてコンパクトであって容易に製作でき、また、専門家によらずとも、運転管理が容易になり、設備も限られた設置スペースに設置することができ、さらには、間歇運転が可能であり、省エネルギー化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に従って本発明の実施の最良の形態により、本発明の詳細を説明する。
【0017】
図1は本発明の河川航行船舶用高度浄水装置の実施形態を示す配管系統図である。
【0018】
本発明の実施形態は、河川を航行する船舶1に設備され、河川から取水される原水W1を浄水にするものにして、前記原水W1の除砂を行うサイクロンセパレータ5と、該サイクロンセパレータ5の流出側に設けられ、膜モジュール2を浸漬して生物活性炭3を投入した処理機構部4と、該処理機構部4の流出側に設けられる浄水加圧溜めとしてのハイドロフォークタンク6と、を備える。
【0019】
前記膜モジュール2は、精密ろ過膜(MF膜)が使用される。この精密ろ過膜は、孔径が最大でも0.2ミクロンを有し、原水W1中の濁質や大きさが5ミクロン程度のクリプトスポリジウム(病原性原生物)のような細菌を除去するようになっている。
【0020】
前記生物活性炭3は、本実施形態では粒状活性炭が使用される。この粒状活性炭は、内面に無数の細かい孔が形成され、1g当たりに約1,000m2の内部表面積を有することにより、吸着能に優れ、水中で有機物が吸着され、活性炭内のバクテリヤによる生物分解効果により、トリハロメタン前駆物質をはじめとする有機物やアンモニア性窒素を除去、低減する。とりわけ、当該生物活性炭3は膜モジュール2の表面に付着した有機物を除去することによりその目詰防止をはかる。
【0021】
前記処理機構部4は、タンク4Aの下部が、図1に示すように、角度約60度の逆台形に形成されることにより、前記生物活性炭3がタンク4A内において万遍なく且つ均等な対流が促されることにより、タンク4A内の片隅に偏って沈降し、原水W1の浄化が停滞を起こさないようにして原水W1の浄化を効率良く行われるようにしている。
【0022】
7は処理機構部4のタンク4Aの外部に設けられた曝気ブロワであり、この曝気ブロワ7にはタンク4A内の底部近くに、且つ膜モジュール2の下部に接続された気泡発生手段7Aが設けられているので、この気泡発生手段7Aから多数の泡を発生させることにより空気を前記タンク4A内に供給し、前記生物活性炭3の効能を活性化するようにしている。
【0023】
8は前記膜モジュール2に一端が接続され、タンク4Aの外部から導出されて処理ポンプP2に他端が接続された連結管であり、タンク4Aの後段に設けられた処理ポンプP2により前記膜モジュール2によりろ過されたろ液を吸引することにより処理水W2がハイドロフォークタンク6内に貯留されるようになっている。
【0024】
9は薬液タンクであり、この薬液タンク9内には消毒液として次亜塩素酸ナトリウム溶液10が収容され、処理水W2が前記ハイドロフォークタンク6内に吸飲されて移送される途中で薬液ポンプP3が駆動されることにより消毒液は薬液タンク9から処理水W2内に所定量が注入される。
【0025】
また、前記サイクロンセパレータ5の前段に設けられた取水ポンプP1の吸込側通路を2方向に分岐し、そのうちの一方の通路11aを河川からの原水W1の取水管12とし、他方の通路11bを前記処理機構部4の下部に接続されたドレーン管13に連結し、また、前記サイクロンセパレータ5の下部に設けられるドレーン管を2方向に分岐し、このうちの一方のドレーン管14aを前記サイクロンセパレータ5によって原水W1から除砂されて分離、回収された砂を河川に排出する砂ドレーン管15とし、他方のドレーン管14bを前記処理機構部4にて原水W1を浄化するために有機物や細菌等を吸着、除去したことにより吸着能が低下した生物活性炭3を回収可能に活性炭ドレーンタンク16内に導入するようにしている。
【0026】
また、17は前記ハイドロフォークタンク6に設けたスィッチ手段としての接点付圧力スィッチであり、この接点付圧力スィッチ17は前記処理機構部4の後段に接続された処理ポンプP2の発停を制御するためのものである。また、この接点付圧力スィッチ17は、前述のように、処理ポンプP2の発停を制御するのはもとより、取水ポンプP1、曝気ブロワ7、薬液ポンプP3の発停とも連動される。
【0027】
本発明の河川航行船舶用高度浄水装置の実施形態は以上の構成からなり、河川を航行する船舶1において、河川から原水W1を取水して浄水するのには、取水ポンプP1を駆動して通路11aを通じて河川から原水W1を取水し、サイクロンセパレータ5にて除砂が行われる。このように、サイクロンセパレータ5により除砂が行われるので、浄水の前処理として沈殿槽を設ける等の設備は不要であり、小規模化される。
【0028】
それから、サイクロンセパレータ5により除砂が行われた原水W1は、後段の処理機構部4へと送られ、浄水が行われる。処理機構部4は、精密ろ過膜(MF膜)により形成される膜モジュール2が浸漬され、生物活性炭3が投入されているので、この膜モジュール2により原水W1中の濁質や大きさが5ミクロン程度のクリプトスポリジウム(病原性原生物)のような細菌は完全に除去される。そして、生物活性炭3により原水W1中の有機物が吸着され、活性炭内のバクテリヤによる生物分解効果により、トリハロメタン前駆物質をはじめとする有機物やアンモニア性窒素は除去され、低減される。とりわけ、当該生物活性炭3は膜モジュール2の表面に付着した有機物が除去され、その目詰が防止される。
【0029】
この際、前記処理機構部4は、タンク4Aの下部が、図1に示すように、角度約60度の逆台形に形成されているので、前記生物活性炭3がタンク4A内において万遍なく且つ均等な対流が促されるため、タンク4A内の片隅に偏って沈降し、原水W1の浄化が停滞を起こさないようにして原水W1の浄化を効率良く行うようにしている。
【0030】
そして、細菌や有機物が生物活性炭3により吸着、除去されて生物活性炭3の吸着能が低下されると、取水ポンプP1の吸引により、生物活性炭3は取水ポンプP1の駆動により処理機構部4の下部からドレーン管13を通じて吸引され、取水ポンプP1の吐出側からサイクロンセパレータ5内に移送される。そして、吸着能が低下された生物活性炭3はサイクロンセパレータ5内に移送されると、砂が分離、除去され、サイクロンセパレータ5の下方に設けられた活性炭ドレーンタンク16内に回収されるとともに、吸着能を有する新鮮な生物活性炭3が処理機構部4に補充され、浄水を行うのに供される。また、サイクロンセパレータ5にて原水W1から除砂された砂は砂ドレーン管15から河川に戻される。
【0031】
このように、取水ポンプP1と、取水ポンプP1の後段の流出側に接続されたサイクロンセパレータ5とは、取水ポンプP1の吸引により原水W1を取水するのと、原水W1から砂を除砂するのと、処理機構部4において原水W1を浄化するのに有機物や細菌等を吸着、除去したことにより吸着能が低下した生物活性炭3を処理機構部4からサイクロンセパレータ5に吸引して循環することにより分離、回収するのと、河川から取水された原水W1から除砂される砂を分離・排出するのと、の一連の手順、操作の2役を1つの機器で担うので、本実施形態の河川航行船舶用の高度浄水装置はコンパクトであり、河川を航行する船舶1のように限られたスペースに設備されるのに好適である。
【0032】
また、処理機構部4のタンク4A内の底部近くには、膜モジュール2の下部に、曝気ブロワ7に接続された気泡発生手段7Aが設けられているので、この気泡発生手段7Aから多数の泡を発生させることにより空気を前記タンク4A内に供給し、前記生物活性炭3の効能を活性化することにより、原水W1を効率的に浄水するようにしている。
【0033】
そして、処理ポンプP2が駆動されることにより、前記膜モジュール2に一端が接続され、タンク4Aの外部に導出されて処理ポンプP2に他端が接続された連結管8を通じてタンク4Aの後段に設けられた処理ポンプP2により前記膜モジュール2によりろ過されたろ液が吸引されて処理水W2がハイドロフォークタンク6内に貯留される。
【0034】
また、薬液タンク9内には消毒液として次亜塩素酸ナトリウム溶液10が収容されているので、処理水W2が前記ハイドロフォークタンク6内に移送される途中で薬液ポンプP3が駆動されることにより消毒液は薬液タンク9から処理水W2内に所定量が注入されて消毒が行われる。
【0035】
そして、前記ハイドロフォークタンク6には、スィッチ手段としての接点付圧力スィッチ17が設けられているので、この接点付圧力スィッチ17により前記処理機構部4の後段に接続された処理ポンプP2の発停は制御される。こうして、処理ポンプP2が処理機構部4からの処理水W2の吸引とハイドロフォータンク6への加圧供給を行う。
【0036】
そして、ハイドロフォータンク6内の圧力が、設定値に低下すれば、接点付圧力スィッチ17が作動し、処理水ポンプP2に運転信号を発し、処理ポンプP2が回動され、ハイドロフオークタンク6内に処理水W2が供給される。また、ハイドロフォータンク6内の圧力が、設定値以上に上昇すると、処理ポンプP2は停止信号を受けて停止され、ハイドロフォークタンク6内への処理水W2の供給が停止される。
【0037】
また、サイクロンセパレータ5の取水ポンプP1と処理機構部4に設けられる曝気ブロア7は、接点付圧力スィッチ17からの信号により処理ポンプP2と連動して運転されるとともに、薬液ポンプP3に連動されて薬液が供給されて消毒が行われる。このように、河川航行船舶用の高度浄水装置は、構造簡単で簡素にしてコンパクトであって容易に製作でき、また、専門家によらずとも、運転管理が容易になり、設備も限られた設置スペースに設置することができ、さらには、間歇運転が可能であり、省エネルギー化に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は河川航行船舶用の高度浄水装置に関し、河川を航行する船舶において、河川から取水した原水を限られたスペースの船上にて高度処理を施し、安全で美味しい飲料水として浄水するものであり、上水システムの簡素化と高度化をはかるという用途・機能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は本発明の河川航行船舶用の高度浄水装置の実施形態を示す配管系統図である。
【符号の説明】
【0040】
1 船舶
2 膜モジュール
3 生物活性炭
4 処理機構部
5 サイクロセパレータ
6 ハイドロフォ−クタンク
7 曝気ブロア
8 連結管
9 薬液タンク
10 次亜塩素酸ナトリウム
11a 一方の通路
11b 他方の通路
12 取水管
13 ドレーン管
14a ドレーン管
14b ドレーン管
15 砂ドレーン管
16 活性炭ドレーンタンク
P1 取水ポンプ
P2 処理ポンプ
W1 原水
W2 処理水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川を航行する船舶に設備され、河川から取水される原水を浄水するものにして、前記原水の除砂を行うサイクロンセパレータと、該サイクロンセパレータの流出側に設けられ、膜モジュールを浸漬して生物活性炭を投入した処理機構部と、該処理機構部の流出側に設けられる浄水加圧溜めとしてのハイドロフォークタンクと、を備えることを特徴とする河川航行船舶用の高度浄水装置。
【請求項2】
水中での有機物、活性炭内のバクテリヤによる生物分解効能によるトリハロメタン前駆物質のような有機物、アンモニア性窒素、又は、前記膜モジュールの表面に付着した有機物によって前記処理機構部に投入した生物活性炭の吸着能が低下した際に、前記サイクロンセパレータの流入側に設けた取水ポンプの吸引力により、前記処理機構部の下部に設けたドレーン管を通じて前記サイクロンセパレータ内に循環し、前記サイクロンセパレータの下部に設けた活性炭ドレーン管を通じてサイクロンセパレータにより分離、回収することを特徴とする請求項1に記載の河川航行船舶用の高度浄水装置。
【請求項3】
前記サイクロンセパレータの流入側に設けられた取水ポンプの吸込側通路を2方向に分岐し、そのうちの一方の通路を河川からの取水管とし、他方の通路を前記処理機構部の下部に接続されたドレーン管に連結し、前記サイクロンセパレータの下部に設けられるドレーン管を2方向に分岐し、このうちの一方のドレーン管を河川に排出する砂ドレーン管とし、他方のドレーン管を前記処理機構部からの生物活性炭を回収可能に活性炭ドレンタンク内に導入される前記活性炭ドレーン管としたことを特徴とする請求項1、または2に記載の河川航行船舶用の高度浄水装置。
【請求項4】
前記処理機構部の流出側に接続された処理ポンプの発停を前記ハイドロフォークタンクに設けたスイッチ手段としての接点付圧力スィッチにより制御することを特徴とする請求項1−3の何れかの請求項に記載の河川航行船舶用の高度浄水装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−160525(P2009−160525A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−939(P2008−939)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000205144)大晃機械工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】