説明

油圧制御装置

【課題】ポンプ回転数制御方式を採用して余剰油が発生しにくい場合であっても負荷・作動速度の大小に関わらずアキュムレータの蓄圧を安定化させる。
【解決手段】油圧制御装置2は、主油路301bと接続されるアキュムレータ70と、主油路301bよりアキュムレータ70に向けて分岐される蓄圧用油路701と、入力ポート361と、優先ポート362と、バイパスポート363と、を有し、蓄圧用油路701上に入力ポート361と優先ポート362とが配置され、バイパスポート363が主油路301cと接続されており、アキュムレータ70の蓄圧時には、入力ポート361に流入される圧油のうち、予め設定される前記アキュムレータ70の蓄圧用流量分の圧油が優先ポート362より流出され、該流入された圧油の流量から該蓄圧用流量を差し引いた余剰流量分の圧油がバイパスポート363より流出されるように構成されているプライオリティ弁36と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧システムは、油圧ポンプから油圧アクチュエータ(片ロッド油圧シリンダ、油圧モータ等)に向けて吐出される圧油の圧力、方向、又は流量のうち少なくともいずれかを油圧制御弁(圧力制御弁、電磁切換弁、流量制御弁等)を用いて制御するシステムであり、建設機械、産業車両、産業機械又は船舶等において幅広く利用されている。なお、油圧システムの一部を構成する油圧制御装置は、油圧ポンプの小型化や油圧ポンプの故障や停電などの緊急時の対策を考慮に入れて、補助動力源としてアキュムレータを備えている場合がある。アキュムレータは、油圧のエネルギーを蓄積する油圧機器であり、そのエネルギー蓄積方式としては、気体式、ばね式、又はおもり式が採用され得る。また、アキュムレータの蓄圧方式としては、次のような方式が採用され得る。
【0003】
第1の蓄圧方式は、油圧アクチュエータを駆動する油圧ポンプとは別に蓄圧専用ポンプを設置して蓄圧を行う方式である。例えば、特許文献1の段落0006には、「従来の油圧回路では、アクチュエータを蓄圧する蓄圧ポンプ駆動用として専用の電動機を設置しなければならない」ことが記載されている。
【0004】
第2の蓄圧方式は、油圧ポンプの遊休時に蓄圧する方式である。保持動作の多い設備のために主回路への流量が少なくてもよい場合や、油圧アクチュエータを間欠的に作動させるサイクル運転の間に蓄圧モードが設けられる場合に採用される。例えば、特許文献2の段落0039には、「片ロッド油圧シリンダ部の遊休時間に圧油供給装置から供給される圧油をアキュムレータの圧油室に貯える」ことが記載されている。
【0005】
第3の蓄圧方式は、油圧ポンプより吐出される圧油により油圧アクチュエータを駆動した際に発生する余剰油を利用して蓄圧する方式である。例えば、特許文献3の段落番号0013には、「蓄圧手段は、油圧制御手段からの余剰油を用いて、昇圧手段、例えば、余剰油の油圧により余剰油を昇圧する片ロッド油圧シリンダや、余剰油の油圧により駆動力を発生する油圧モータの駆動力により、圧油を昇圧する高圧ポンプなどにより昇圧された圧油(片ロッド油圧シリンダの場合、余剰油)を蓄圧する」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−327714号公報
【特許文献2】特開2004−58204号公報
【特許文献3】特開2007−292133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記第1乃至第3の蓄圧方式については次のような課題がある。
【0008】
上記第1の蓄圧方式の場合には、蓄圧専用ポンプのみならず、該蓄圧専用ポンプ周辺の油圧機器(電動機)や配管を設ける必要があり、油圧制御装置全体のコンパクト化を実現できないという課題がある。
【0009】
上記第2の蓄圧方式の場合には、油圧ポンプにより油圧アクチュエータが駆動される際に発生する余剰油を有効利用できず、省エネルギー化の面で改善の余地がある。
【0010】
上記第3の蓄圧方式の場合には、省エネルギー化等の対策として可変速モータによるポンプ回転数制御方式が採用されるときには、油圧ポンプから油圧アクチュエータに向けて必要な流量だけしか圧油を吐出しないため、アキュムレータの蓄圧を行うだけの十分な余剰油が発生しにくいという課題がある。
【0011】
そこで、本発明は、可変速モータによるポンプ回転数制御方式を採用して余剰油が発生しにくい場合であっても、負荷・作動速度の大小に関わらずアキュムレータの蓄圧を安定して行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための主たる本発明は、可変速モータにより駆動され、該可変速モータの回転数に応じた量の圧油を吐出する油圧ポンプを含み、該油圧ポンプから吐出される圧油を油圧アクチュエータとの間で供給及び受給して該油圧アクチュエータを駆動する駆動油圧回路と、アキュムレータを含み、前記圧油を該アキュムレータに蓄積しかつ所定の場合に該アキュムレータに蓄積された圧油を前記アクチュエータに供給するよう構成された蓄圧油圧回路と、入力ポートと、第1の出力ポートと、第2の出力ポートと、を有し、該入力ポートが前記駆動油圧回路の前記油圧ポンプから吐出される圧油が流れる第1の主油路に接続され、該第1の出力ポートが前記蓄圧油圧回路の前記アキュムレータに至る油路に接続され、該第2の出力ポートが前記駆動油圧回路の前記油圧アクチュエータに圧油を供給する第2の主油路に接続され、かつ前記入力ポートに流入する圧油のうち、予め設定される前記アキュムレータの蓄圧用流量の圧油が前記第1の出力ポートより流出し、該入力ポートに流入される流量から該蓄圧用流量を差し引いた余剰流量の圧油が前記第2の出力ポートより流出するように構成されている流量制御機構と、を備える、油圧制御装置である。
【0013】
上記の油圧制御装置によれば、可変速モータによるポンプ回転数制御方式を採用した油圧システムである場合において、第1の主油路からアキュムレータへ向う蓄圧用の油路上に流量制御機構を配置したことによって、第1の出力ポートや第2の出力ポートの負荷や油圧アクチュエータの作動速度に関らず、安定した流量の圧油をアキュムレータの蓄圧に利用することができる。また、アキュムレータの蓄圧専用ポンプが不要となり、油圧制御装置、ひいては油圧システムのコンパクト化を実現することができる。
【0014】
上記の油圧制御装置において、前記第1の主油路と前記第2の主油路とを択一的に連通又は遮断する連通/遮断器をさらに備えてもよい。
【0015】
上記の油圧制御装置において、前記アキュムレータに蓄圧される圧力を検出する圧力検出器をさらに備え、前記連通/遮断器は、前記圧力検出器により検出される圧力が所定圧力を上回る場合には前記第1の主油路と前記第2の主油路とを連通し、前記圧力検出器により検出される圧力が所定圧力を下回る場合には前記第1の主油路と前記第2の主油路とを遮断するように構成されていてもよい。
【0016】
上記の油圧制御装置によれば、アキュムレータの蓄圧時には、上記の連通/遮断器によって油圧ポンプから第1の主油路、第2の主油路を介して油圧アクチュエータに直接的に圧油が供給されず、流量制御機構の入力ポートに確実に圧油を供給することができる。また、流量制御機構の入力ポートから第2の出力ポート、第2の主油路を介して油圧アクチュエータに圧油がバイパス供給される。このため、アクチュエータの蓄圧中であっても油圧アクチュエータの作動を継続させることができる。
【0017】
上記の油圧制御装置において、前記流量制御機構は、プライオリティ弁である、としてもよい。
【0018】
上記の油圧制御装置において、入力ポートが前記流量制御機構の入力ポートを構成しており、出力ポートが前記流量制御機構の第1の出力ポートを構成している流量調整弁と、入力ポートが前記流量調整弁の入力ポートと接続され、出力ポートが前記流量制御機構の第2の出力ポートを構成している圧力制御弁とを備え、前記圧力制御弁は、前記流量調整弁及び前記圧力制御弁の入力ポートの油圧が所定の圧力を上回り、かつ前記流量調整弁の出力ポートの油圧が所定の圧力を上回る場合には前記圧力制御弁の入力ポートと前記該圧力制御弁の出力ポートとを連通させるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可変速モータによるポンプ回転数制御方式を採用して余剰油が発生しにくい場合であってもアキュムレータの蓄圧を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る油圧制御装置の全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る油圧制御装置の全体構成を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る油圧制御装置の全体構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0022】
(実施の形態1)
[油圧制御装置の全体構成及び機能]
図1は、本発明の実施の形態1に係る油圧アクチュエータを制御する油圧制御装置の構成を示した図である。
【0023】
なお、図1に示す油圧制御装置2は、省エネルギー化、低騒音並びに油圧システムのコンパクト化のために、ポンプ回転数制御方式を採用している。ポンプ回転数制御方式とは、可変速モータにより油圧ポンプの回転数を可変速させる制御方式のことである。ポンプ回転数制御方式によって、例えば、圧力保持状態の際にポンプ回転数を減速させて省エネルギー化を図ることができる。
【0024】
また、油圧制御装置2は、緊急時の補助動力源としてのアキュムレータ70を備えており、油圧アクチュエータとして採用される片ロッドタイプの油圧シリンダ10の駆動を制御するとともに、可逆回転形ポンプ21からアキュムレータ70への蓄圧並びにアキュムレータ70から油圧シリンダ10への蓄圧油の排出を制御するものである。
【0025】
さらに、油圧制御装置2は、可逆回転形ポンプ21からアキュムレータ70への蓄圧中においては、油圧シリンダ10の負荷や作動速度の大小に関らず、可逆回転形ポンプ21より油圧シリンダ10を駆動するための駆動油圧回路の油系統とアキュムレータ70を蓄圧するための蓄圧油圧回路の油系統との双方に圧油が確実に流れるように構成されている。なお、アキュムレータ70の蓄圧の有無に関わらず油圧シリンダ10の駆動が継続して行われるようにも構成されている。
【0026】
さらに、油圧制御装置2は、可逆回転形ポンプ21からアキュムレータ70への蓄圧が完了すると、可逆回転形ポンプ21から油圧シリンダ10に向けて必要最小限の圧油のみを供給させるために、可逆回転形ポンプ21から油圧シリンダ10を駆動するための駆動油圧回路の油系統のみに圧油が供給されるように構成されている。
【0027】
かかる油圧制御装置2の全体構成としては、ポンプユニット20aと、バルブユニット30aと、アキュムレータ70と、油タンク50と、制御盤60と、が備えられている。なお、本発明に係る駆動油圧回路は、ポンプユニット20aと、バルブユニット30aの一部と、油タンク50と、により構成されるものである。また、本発明に係る蓄圧油圧回路は、ポンプユニット20aと、バルブユニット30aの一部と、アキュムレータ70と、により構成されるものである。
【0028】
ポンプユニット20aは、可逆回転形ポンプ21と、可変速モータ22と、回転数検出器23と、チェック弁24a、24bとを有する。
【0029】
可逆回転形ポンプ21は、2つの入出力ポートを備えており、駆動軸の回転方向を変えることによって圧油の流れる方向を反転させる油圧ポンプである。なお、可逆回転形ポンプ21は、可変容量形ポンプでもあり、例えば圧力保持状態(ポンプ流量不要時)におけるエネルギー損失の極小化(ポンプ容量の低減化)を図るべく、コントローラ61からの操作指令に基づいて予め定めておいたポンプ容量を切り替えるソレノイドバルブを備えている。
【0030】
可逆回転形ポンプ21の一方の入出力ポート210aには主油路301aの一端が接続されており、可逆回転形ポンプ21の他方の入出力ポート210bには主油路301bの一端が接続されている。主油路301aの他端は油圧シリンダ10のヘッド室11と接続されており、電磁切換弁35により主油路301bと連通又は遮断される主油路301cの他端は油圧シリンダ10のロッド室12と接続されている。
【0031】
なお、本実施の形態において、主油路301aは、可逆回転形ポンプ21の一方の入出力ポート210aからパイロットチェック弁31aを介して油圧シリンダ10のヘッド室11までの間に配設される油路であり、入出力ポート210aから吐出される圧油をパイロットチェック弁31aを介してヘッド室11に供給するとともに、ヘッド室11からパイロットチェック弁31aを介して入出力ポート210aに向う圧油を受給する油路である。つまり、主油路301aは、本発明に係る第1の主油路とも第2の主油路ともなりえる。
【0032】
主油路301bは、可逆回転形ポンプ21の他方の入出力ポート210bから電磁切換弁35までの間に配設される油路であり、入出力ポート210bから吐出される圧油を電磁切換弁35、パイロットチェック弁31bを介してロッド室12に供給するとともに、ロッド室12からパイロットチェック弁31b、電磁切換弁35を介して入出力ポート210bに向う圧油を受給する油路である。つまり、主油路301bは、電磁切換弁35が遮断位置の場合には、入出力ポート210bから吐出される圧油が流れる本発明に係る第1の主油路のみに相当し、電磁切換弁35が連通位置の場合には、本発明に係る第1の主油路とも第2の主油路ともなりえる。
【0033】
主油路301cは、電磁切換弁35からパイロットチェック弁31bを介して油圧シリンダ10のロッド室12までの間に配設される油路であり、パイロットチェック弁31bを介してロッド室12に供給するとともに、ロッド室12からパイロットチェック弁31b、電磁切換弁35を介して入出力ポート210bに向う圧油を受給する油路である。つまり、主油路301cは、電磁切換弁35が遮断位置の場合には、油圧シリンダ10に圧油を供給する本発明に係る第2の主油路のみに相当し、電磁切換弁35が連通位置の場合には、本発明に係る第1の主油路とも第2の主油路ともなりえる。
【0034】
可変速モータ22は、可逆回転形ポンプ21の駆動軸を駆動するモータであるとともに、サーボドライブユニット62からの回転数指令に基づいて回転数を切り替える交流サーボモータでもある。可変速モータ22は、サーボドライブユニット62の可変速サーボ制御のために、パルスジェネレータを用いた回転数検出器23を備えている。なお、本実施形態では、可変速モータ22は同期モータを用いているが、誘導モータを用いてもよい。また、回転数検出器23は、パルスジェネレータに限定されず、回転位置を検出するエンコーダを採用してもよい。
【0035】
バルブユニット30aは、油圧シリンダ10を駆動する駆動油圧回路の構成として、3ポートの油圧切換弁32と、チェック弁33aと、リリーフ弁34a、34bと、電磁切換弁35と、を有する。
【0036】
油圧切換弁32は、2つの入口ポートX、Yと1つの出口ポートZとを有し、主油路301a及び主油路301cと油タンク50との間に設けられている。油圧切換弁32は、その入口ポートXが主油路301aと接続され、その入口ポートYが主油路301cと接続され、その出口ポートZが油タンク50側の油路と接続されている。つまり、油圧シリンダ10のロッドを前進(ヘッド側からロッド側への移動)させる場合には、入口ポートXに供給される圧油の油圧により入口ポートYと出口ポートZとが連通し、油圧シリンダ10のロッドを後退(ロッド側からヘッド側への移動)させる場合には、入口ポートYに供給される圧油の油圧により入口ポートXと出口ポートZとが連通する。
【0037】
チェック弁33aは、油圧切換弁32の出力ポートZと油タンク50との間の排油路(戻り油路)501上に設けられている。なお、チェック弁33aの入口ポートが油圧切換弁32の出力ポートZに接続されており、チェック弁33aの出口ポートが油タンク50に接続されている。つまり、チェック弁33aは、油タンク50から油圧切換弁32の出力ポートZへの逆流を防止する役割を果たす。
【0038】
電磁切換弁35は、主油路301bと主油路301cとを択一的に連通又は遮断する本発明に係る連通/遮断器に対応した弁である。電磁切換弁35は、主油路301c上においてパイロットチェック弁31bと可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bとの間に設けられている。電磁切換弁35は、アキュムレータ70の蓄圧時以外の場合には、主油路301bと主油路301cとを連通させ、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bと油圧シリンダ10のロッド室12との間の圧油の双方向の流れを許可する(オン)。一方、アキュムレータ70の蓄圧時の場合には、主油路301bと主油路301cとを遮断させ、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bから油圧シリンダ10のロッド室12への圧油の流れを阻止する(オフ)役割を果たす。なお、図1中に示す電磁切換弁35の状態は、オフの状態を示している。
【0039】
また、バルブユニット30aは、アキュムレータ70の使用及び蓄圧を行う蓄圧駆動回路の構成として、プライオリティ弁36と、電磁切換弁37と、パイロットチェック弁31a、31b、31cと、圧力センサ40と、を有する。
【0040】
プライオリティ弁36は、入口ポート361と、優先ポート362と、バイパスポート363と、を有しており、主油路301bからアキュムレータ70に向う蓄圧用油路701上に設けられている。また、蓄圧用油路701の起点を主油路301aではなく主油路301bとしたのは、油圧シリンダ10がロッド室12からヘッド室11に向けて後退する場合に余剰油が発生しやすいために、アキュムレータ70の蓄圧用流量を確保し易くなるからである。なお、蓄圧用油路701の起点を主油路301aに設けても良く、この場合でも蓄圧用油路701の起点を主油路301bに設けたときと同様の機能を発揮する。
【0041】
プライオリティ弁36は、入口ポート361へ流入される流量(流入流量)や各ポート362、363の負荷に関らず、入口ポート361へ流入された圧油のうち、優先ポート362に設定された流量(蓄圧用流量)の圧油が、優先ポート362に優先して流れ、流入流量から蓄圧用流量を差し引いた余剰流量の圧油がバイパスポート363に向けて流れるように構成されている。
【0042】
例えば、入口ポート361の単位時間(分)あたりの定格流量として50(L/分)が設定され、優先ポート362の単位時間(分)あたりの定格流量として10(L/分)が設定され、かつバイパスポート363の単位時間(分)あたりの定格流量として40(L/分)が設定される場合とする。この場合、入口ポート361に単位時間(分)あたりに流入される圧油の流量が20(L)であるとき、入口ポート361に流入された流量の圧油のうち10(L)の圧油が優先ポート362より流出され、余剰分の10(L)の圧油がバイパスポート363より流出される。例えば、入口ポート361に単位時間(分)あたりに流入される圧油の流量が5(L)であるとき、優先ポート362とバイパスポート363との間の負荷の大小に関らず、入口ポート361に流入された5(L)の圧油の全てが優先ポート362より流出される。
【0043】
電磁切換弁37は、アキュムレータ70の蓄圧油を使用する際にはパイロットチェック弁31a、31b、31cから排油路501に向かう油路を選択し(オフ)、ポンプで油圧シリンダ10を駆動する際には蓄圧用油路701からパイロットチェック弁31a、31b、31cに向う油路を選択する(オン)ように構成されている。なお、図1中に示す電磁切換弁37の状態は、オフの状態を示している。
【0044】
パイロットチェック弁31aは、主油路301aに設けられ、その入口ポートが可逆回転形ポンプ21側に配置され、その出口ポートが油圧シリンダ10側に設けられるように構成されている。なお、そのパイロット口は電磁切換弁37と接続されている。
【0045】
パイロットチェック弁31bは、主油路301cに設けられ、その入口ポートが可逆回転形ポンプ21側に配置され、その出口ポートが油圧シリンダ10側に設けられるように構成されている。なお、そのパイロット口は電磁切換弁37と接続されている。
【0046】
つまり、パイロットチェック弁31a、31bは、アキュムレータ70の蓄圧油を使用する際には油圧シリンダ10のヘッド室11及びロッド室12から可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210a、210bに向う圧油の流れを遮断し、油圧シリンダ10を駆動する際には油圧シリンダ10のヘッド室11及びロッド室12と可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210a、210bとの間の圧油の双方向の流れを許可する役割を果たす。
【0047】
パイロットチェック弁31cは、アキュムレータ70と主油路301aとの間に設けられ、その入口ポートがアキュムレータ70側に配置され、その出口ポートが油圧シリンダ10側に設けられるように構成されている。なお、そのパイロット口は電磁切換弁37と接続されている。パイロットチェック弁31cは、アキュムレータ70の蓄圧油を使用する際にはアキュムレータ70から主油路301aに向う蓄圧油の流れを許容し、ポンプで油圧シリンダ10を駆動する際にはアキュムレータ70から主油路301aに向う蓄圧油の流れを遮断する役割を果たす。
【0048】
圧力センサ40は、蓄圧用油路701上に設けられ、アキュムレータ70に蓄圧される圧力を間接的に検出するものである。なお、圧力センサ40は、アキュムレータ70に蓄圧される圧力を直接的に検出するように構成してもよい。また、圧力センサ40に限らず圧力スイッチを採用してもよい。
【0049】
なお、バルブユニット30aは、上記構成の保護として、リリーフ弁34a、34b、34c、34dと、ストップ弁38a、38bと、絞り39a、39b、39cとを有する。リリーフ弁34a、34b、34c、34dは、自身が設けられた位置に流れる圧油の油圧を監視しており、該油圧が所定圧力を上回る場合には、排油路501を介して油タンク50に圧油を排出する役割を果たす。ストップ弁38a、38bは、アキュムレータの補修時等に手動操作により圧油の流れを連通/遮断する役割を果たす。絞り39a、39b、39cは、自身が設けられた位置に流れる圧油の流量を制限する役割を果たす。
【0050】
制御盤60は、コントローラ61と、サーボドライブユニット62と、を有し、油圧制御装置2全体の油圧制御(ポンプ回転数制御、アキュムレータの蓄圧及び排出など)を司っている。
【0051】
コントローラ61は、少なくともCPUとメモリとを有しており、図示しない外部装置からの油圧シリンダ10のロッド位置を指示する位置指令と、位置センサ13により検出される油圧シリンダ10のロッド位置情報とを取得し、油圧シリンダ10のロッド位置をフィードバック制御するように構成されている。具体的には、コントローラ61は、ロッド位置情報を取得する毎に、位置指令とロッド位置情報との偏差に応じた可変速モータ22の回転数指令を生成してサーボドライブユニット62に出力する。
【0052】
また、コントローラ61は、可逆回転形ポンプ21が具備するソレノイドバルブのオンオフを切り替える操作指令を出力する。かかる操作指令により、可逆回転形ポンプ21の容量を変更することができる。例えば、アキュムレータ蓄圧時など高圧となる場合には小容量を選択してモータトルクを低減させ、通常動作時など圧力が低い場合には大容量を選択してモータ回転数を低減させる。
【0053】
さらに、コントローラ61は、圧力センサ40により検出されるアキュムレータ70の圧力情報を取得して、アキュムレータ70の蓄圧の要否を判別する。具体的には、コントローラ61は、圧力センサ40により検出される圧力情報がアキュムレータ70の所定圧力を上回るか否かを監視しており、圧力センサ40により検出される圧力情報がアキュムレータ70の所定圧力を下回る場合には、アキュムレータ70の蓄圧が必要であると判別する。また、コントローラ61は、アキュムレータ70の蓄圧が必要であると判別した場合には、電磁切換弁35の所定の切り替え操作を指示する操作指令を出力する。
【0054】
サーボドライブユニット62は、少なくともCPUとメモリとを有しており、コントローラ61から生成される回転数指令と、回転数検出器23により検出される回転数情報とを取得し、可変速モータ22の回転数をフィードバック制御するように構成されている。具体的には、サーボドライブユニット62は、回転数情報を取得する毎に、回転数指令と回転数情報との偏差に応じたインバータ指令を生成して可変速モータ22に出力する。
【0055】
アキュムレータ70は、本実施形態では気体式を採用するが、おもり式やばね式を採用してもよい。
【0056】
[油圧シリンダ駆動時の動作]
図1に示した油圧制御装置2の油圧シリンダ10駆動時の動作について説明する。
【0057】
油圧シリンダ10駆動時の場合、電磁切換弁35は、コントローラ61からの操作指令により、主油路301bと主油路301cとが連通し、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bと油圧シリンダ10のロッド室12との間の圧油の双方向の流れを許可している。また、電磁切換弁37は、コントローラ61からの操作指令により、蓄圧用油路701からパイロットチェック弁31a、31b、31cに向う油路を選択している。これにより、パイロットチェック弁31a、31bは、油圧シリンダ10のヘッド室11及びロッド室12と可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210a、210bとの間の圧油の双方向の流れを許可している。また、パイロットチェック弁31cは、アキュムレータ70から油圧シリンダ10のヘッド室11に向う蓄圧油の流れを遮断している。
【0058】
油圧シリンダ10のロッドをヘッド室11側からロッド室12側に向けて前進させるときには、可逆回転形ポンプ21は、ロッド室12の圧油をパイロットチェック弁31b及び電磁切換弁35を介して入出力ポート210bより吸い込み、入出力ポート210aからパイロットチェック弁31aを介してヘッド室11に向けて圧油を吐出する。なお、ヘッド室11の受圧面積がロッド室12の受圧面積よりも大きい関係上、ヘッド室11に向けて吐出した圧油と同じ量の圧油がロッド室12から戻ってこないため、入出力ポート210bに吸い込まれる圧油が不足する。その圧油の不足分を補償するために、補助油タンク50に貯蔵される圧油がチェック弁24bを介して可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bに吸い込まれる。
【0059】
油圧シリンダ10のロッドをロッド室12側からヘッド室11側に向けて後退させるときには、可逆回転形ポンプ21は、ヘッド室11の圧油をパイロットチェック弁31aを介して入出力ポート210aより吸い込み、入出力ポート210bから電磁切換弁35及びパイロットチェック弁31bを介してロッド室12に向けて圧油を吐出する。なお、ロッド室12に向けて吐出した圧油よりもヘッド室11から過剰な圧油が戻ってくる。そこで、油圧切換弁32は、ヘッド室11からの余剰油を排油路501を介して油タンク50に排油するために、入力ポートXと出力ポートZとを連通させている。
【0060】
[アキュムレータ使用時の動作]
図1に示した油圧制御装置2のアキュムレータ70使用時の動作について説明する。なお、アキュムレータ70使用時とは、可逆回転形ポンプ21や可変速モータ22の故障や停電などの緊急時にアキュムレータ70に蓄圧されている蓄圧油が利用される状況や、可逆回転形ポンプ21が吐出する圧油の流量を増大するためにアキュムレータ70に蓄圧されている蓄圧油が補助的に利用される状況のことを指している。本実施形態では、前者を想定しており、特に、油圧シリンダ10のロッドをヘッド室11側からロッド室12側に向けて前進させる過程において可逆回転形ポンプ21の故障などが発生した場合に、アキュムレータ70の蓄圧油を利用してロッドをロッド室12の端まで完全に前進させる緊急動作を想定している。
【0061】
かかるアキュムレータ70使用時では、電磁切換弁37は、コントローラ61からの操作指令により、パイロットチェック弁31a、31b、31cから排油路501に向かう油路を選択している。これにより、パイロットチェック弁31a、31bは、油圧シリンダ10のヘッド室11及びロッド室12から可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210a、210bへと向かう圧油の流れを遮断している。また、パイロットチェック弁31cは、アキュムレータ70から油圧シリンダ10のヘッド室11に向う蓄圧油の流れを許可している。
【0062】
そして、アキュムレータ70の蓄圧油は、絞り39b、ストップ弁38a及びパイロットチェック弁31cを介して油圧シリンダ10のヘッド室11に供給される。これにより、油圧シリンダ10のロッド位置がロッド室12の端まで強制的に移動する緊急動作が開始される。なお、ストップ弁38a、パイロットチェック弁31c、油圧シリンダ10、チェック弁33c、絞り39aから成るループ状の油圧回路を構成しており、ロッド室12から吐出される圧油を、チェック弁33c、絞り39aを介してパイロットチェック弁31cの入口ポートへと戻らせることにより、油圧シリンダ10のロッドの移動時のアキュムレータからの供給油量の低減を図っている。
【0063】
[アキュムレータ蓄圧時の動作]
図1に示した油圧制御装置2のアキュムレータ70蓄圧時の動作について説明する。
【0064】
まず、上記の油圧シリンダ10駆動時の動作が、アキュムレータ70の蓄圧が不要な状況下で行われている場合とする。この場合、電磁切換弁35は、コントローラ61からの操作指令により、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bと油圧シリンダ10のロッド室12との間の圧油の双方向の流れを許可している。また、電磁切換弁37は、コントローラ61からの操作指令により、蓄圧用油路701からパイロットチェック弁31a、31b、31cに向う油路を選択している。
【0065】
なお、アキュムレータ70の蓄圧が不要である場合には、プライオリティ弁36の優先ポート362の油圧よりも油圧シリンダ10の作動圧の方が確実に低くなるため、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bからプライオリティ弁36に向けて圧油が流れることはない。また、油圧シリンダ10のロッド室12からパイロットチェック弁31bを介してプライオリティ弁36のバイパスポート363に向けて圧油が流れることもない。さらに、優先ポート362側には逆流防止用のチェック弁33bが設けられており、アキュムレータ70からプライオリティ弁36に向けて蓄圧油が流入されることはない。
【0066】
ところで、上記の油圧シリンダ10駆動時において、コントローラ61は、圧力センサ40により検出される圧力情報がアキュムレータ70の所定圧力を上回るか否かを監視している。コントローラ61は、圧力センサ40により検出される圧力情報がアキュムレータ70の所定圧力を下回る場合には、アキュムレータ70の蓄圧が必要であると判別する。そして、コントローラ61は、電磁切換弁35に対して、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bから油圧シリンダ10のロッド室12への圧油の流れを阻止する操作指令を出力する。つまり、主油路301bと主油路301cとが遮断され、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bから吐出される圧油が、電磁切換弁35によって油圧シリンダ10のロッド室12に向けて直接流れず、プライオリティ弁36の入力ポート361に向って流れるようにする。
【0067】
つぎに、油圧シリンダ10のロッドを後退させる際に、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bから吐出される圧油は、プライオリティ弁36の入力ポート361に流入されることになる。そして、入口ポート361へ流入された圧油のうち、優先ポート362の蓄圧用流量分の圧油が優先ポート362の方に優先して流れ、入口ポート361の流入流量から優先ポート362の蓄圧用流量を差し引いた余剰流量分の圧油がバイパスポート363に向けて流れる。この結果、優先ポート362に向けて流れた圧油によりアキュムレータ70の蓄圧が開始される。また、バイパスポート363に向けた圧油により油圧シリンダ10の駆動(ロッドの後退)が継続して行われる。
【0068】
つぎに、コントローラ61は、圧力センサ40により検出された圧力情報が所定圧力を上回り、アキュムレータ70の蓄圧を完了すべきことを判別する。このとき、コントローラ61は、電磁切換弁35に対して、蓄圧開始前の状態に戻すように操作指令を出力する。つまり、可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bと油圧シリンダ10のロッド室12との間の圧油の双方向の流れを許可する。すると、上記の蓄圧開始前と同様に、プライオリティ弁36の優先ポート362の圧力よりも油圧シリンダ10の作動圧が低くなるため、プライオリティ弁36に向けて圧油が流れなくなる。これにより、アキュムレータ70の蓄圧が完了する。
【0069】
[効果]
以上、本実施の形態によれば、可変速モータ22によるポンプ回転数制御方式を採用した油圧システムである場合において、主油路301bからアキュムレータ70へ向う蓄圧用油路701上にプライオリティ弁36を配置したことによって、優先ポート362やバイパスポート363の負荷や油圧シリンダ10の作動速度に関らず、安定した流量の圧油をアキュムレータ70の蓄圧に利用することができる。また、アキュムレータ70の蓄圧専用ポンプが不要となり、油圧制御装置2、ひいては油圧システムのコンパクト化を実現することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、油圧シリンダ10のロッドの位置をフィードバック制御する場合には、アキュムレータ70の蓄圧のためにプライオリティ弁36の優先ポート362から流れ出る流量分を補償した形で可逆回転形ポンプ21の入出力ポート210bより圧油が吐出される。このため、入出力ポート210bから吐出される流量からアキュムレータ70の蓄圧用の流量を差し引いた余剰流量の圧油が確実に発生してバイパスポート363を介して油圧シリンダ10のロッド室12へと向うことになるため、アキュムレータ70の蓄圧有無に関わらず、安定した油圧シリンダ10の位置制御が可能となる。
【0071】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2に係る油圧アクチュエータを制御する油圧制御装置の構成を示した図である。
【0072】
なお、図2に示す油圧制御装置4が図1に示す油圧制御装置2と相違する点は、プライオリティ弁36が、流量調整弁364と圧力制御弁365とを組み合わせた流量制御機構に置き換わった点である。なお、上記の相違する点以外については、図2に示すバルブユニット30bは、図1に示すバルブユニット30aと同様である。
【0073】
流量調整弁364は、主油路301bとアキュムレータ70との間の蓄圧用油路701上に設けられる。流量調整弁364は単位時間(分)あたりの定格流量(L)が設定されている。流量調整弁364の入力ポートに流入される流量は、上記の単位時間あたりの定格流量に調整された後、アキュムレータ70に向けて該定格流量の圧油が流出される。
【0074】
圧力制御弁365は、主油路301bと流量調整弁364との間の蓄圧用油路701より分岐され、かつパイロットチェック弁31bと電磁切換弁35との間の主油路301cに向う油路上に設けられる。なお、圧力制御弁365は、流量調整弁364の入力ポートの油圧が入力ポート用の所定圧力を上回り、かつ流量調整弁364の出力ポートの油圧が出力ポート用の所定圧力を上回る場合、流量調整弁364の入力ポートに向けて流入される流量から流量調整弁364の定格流量を差し引いた余剰流量の圧油を油圧シリンダ10のロッド室12に向けて流出する。つまり、圧力制御弁365を含めた分岐路は、プライオリティ弁36のバイパスポート363の役割を果たしている。
【0075】
本実施の形態においても、プライオリティ弁36と同等の機能を具備する流量制御機構を用いており、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3に係る油圧アクチュエータを制御する油圧制御装置の構成を示した図である。
【0077】
なお、図3に示す油圧制御装置6が図1に示す油圧制御装置2と相違する点は、図1に示す油圧制御装置2は油圧シリンダ10の駆動により余剰油が発生した場合に油タンク50に該余剰油を排油するのに対し、図3に示す油圧制御装置6は油ポンプ25から吐出される圧油が油圧シリンダ10を介して油タンク50に必ず戻ることである。
【0078】
このため、図3に示す油圧制御装置は、図1に示す油圧制御装置2と対比して、可逆回転形ポンプ21が吐出される圧油の流れが単一方向に流れる油圧ポンプ25に置き換わり、油圧切換弁32が4ポート電磁切換弁28に置き換わり、チェック弁33a、リリーフ弁34a、34b、及びチェック弁24a、24bが省略され、保護用のリリーフ弁26が新たに設けられている。なお、図3に示すその他のポンプユニット20b及びバルブユニット30cの構成は、図1に示すポンプユニット20a及びバルブユニット30aと同様である。
【0079】
油ポンプ25は、一つの吐出口のみが設けられており、その駆動軸に接続される可変速モータ22によって回転数制御が行われ、さらに予め定めておいたポンプ容量を切り替えるソレノイドバルブを具備している。
【0080】
4ポート電磁切換弁28は、主油路301a上に配置される2つのポートX、Zと、主油路301b上に配置される2つのポートY、Wとを有している。ポートXはパイロットチェック弁31aの入力ポートと接続され、ポートZは油圧ポンプ25の吐出口と接続されている。また、ポートYは電磁切換弁35と接続され、ポートWは油タンク50と接続されている。油圧シリンダ10のロッドを前進させる場合には、ポートXとポートZとが接続されるとともに、ポートYとポートWとが接続されるように、4ポート電磁切換弁28の操作が行われる。一方、油圧シリンダ10のロッドを後退させる場合には、ポートXとポートWとが接続されるとともに、ポートYとポートZとが接続されるように、4ポート電磁切換弁28の操作が行われる。
【0081】
リリーフ弁26は、油圧ポンプ25の吐出口の油圧が所定の所定圧力を上回る場合には、油圧ポンプ25より吐出される圧油を油タンク50に排油する圧力制御弁である。
【0082】
本実施の形態によれば、油ポンプ25から吐出される圧油が油圧シリンダ10を介して油タンク50に必ず戻るような油圧システムであっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0083】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、油圧アクチュエータに対して必要な分だけ圧油を供給するために油圧ポンプの回転数制御を行う油圧制御装置に利用すると有益である。
【符号の説明】
【0085】
2、4、6 油圧制御装置
10 油圧シリンダ
11 ヘッド室
12 ロッド室
13 位置センサ
20a、20b ポンプユニット
21 可逆回転形ポンプ
22 可変速モータ
23 回転数検出器
24a、24b チェック弁
25 油圧ポンプ
26 リリーフ弁
28 4ポート電磁切換弁
30a、30b、30c バルブユニット
31a、31b、31c パイロットチェック弁
32 油圧切換弁
33a、33b、33c チェック弁
34a、34b、34c、34d リリーフ弁
38a、38b ストップ弁
39a、39b、39c 絞り
35 電磁切換弁
36 プライオリティ弁
361 入力ポート
362 優先ポート
363 バイパスポート
37 電磁切換弁
301a 主油路
301b 主油路(第1の主油路)
301c 主油路(第2の主油路)
40 圧力センサ
50 油タンク
501 排油路
60 制御盤
61 コントローラ
62 サーボドライブユニット
70 アキュムレータ
701 蓄圧用油路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変速モータにより駆動され、該可変速モータの回転数に応じた量の圧油を吐出する油圧ポンプを含み、該油圧ポンプから吐出される圧油を油圧アクチュエータとの間で供給及び受給して該油圧アクチュエータを駆動する駆動油圧回路と、
アキュムレータを含み、前記圧油を該アキュムレータに蓄積しかつ所定の場合に該アキュムレータに蓄積された圧油を前記油圧アクチュエータに供給するよう構成された蓄圧油圧回路と、
入力ポートと、第1の出力ポートと、第2の出力ポートと、を有し、該入力ポートが前記駆動油圧回路の前記油圧ポンプから吐出される圧油が流れる第1の主油路に接続され、該第1の出力ポートが前記蓄圧油圧回路の前記アキュムレータに至る油路に接続され、該第2の出力ポートが前記駆動油圧回路の前記アクチュエータに圧油を供給する第2の主油路に接続され、かつ該入力ポートに流入される圧油のうち、予め設定される前記アキュムレータの蓄圧用流量の圧油が該第1の出力ポートより流出し、該入力ポートに流入される流量から該蓄圧用流量を差し引いた余剰流量の圧油が前記第2の出力ポートより流出するように構成されている流量制御機構と、
を備える、油圧制御装置。
【請求項2】
前記第1の主油路と前記第2の主油路とを択一的に連通又は遮断する連通/遮断器をさらに備える、請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記アキュムレータに蓄圧される圧力を検出する圧力検出器をさらに備え、
前記連通/遮断器は、
前記圧力検出器により検出される圧力が所定圧力を上回る場合には前記第1の主油路と前記第2の主油路とを連通し、前記圧力検出器により検出される圧力が所定圧力を下回る場合には前記第1の主油路と前記第2の主油路とを遮断するように構成されている、請求項2に記載の油圧制御装置。
【請求項4】
前記流量制御機構は、プライオリティ弁である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の油圧制御装置。
【請求項5】
前記流量制御機構は、
入力ポートが前記流量制御機構の入力ポートを構成しており、出力ポートが前記流量制御機構の第1の出力ポートを構成している流量調整弁と、
入力ポートが前記流量調整弁の入力ポートと接続され、出力ポートが前記流量制御機構の第2の出力ポートを構成している圧力制御弁とを備え、
前記圧力制御弁は、
前記流量調整弁及び前記圧力制御弁の入力ポートの油圧が所定の圧力を上回り、かつ前記流量調整弁の出力ポートの油圧が所定の圧力を上回る場合には前記圧力制御弁の入力ポートと該圧力制御弁の出力ポートとを連通させるように構成されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の油圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−102608(P2011−102608A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257452(P2009−257452)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(592216188)株式会社カワサキプレシジョンマシナリ (67)
【Fターム(参考)】