説明

油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法

【課題】油圧式エレベータの構造を活かしつつ、つるべ式エレベータにリニューアルする方法を提供することである。
【解決手段】油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法は、油圧式ジャッキ28のプランジャ32を最も下降させて、滑車44を取り外す工程と、通常のつるべ式エレベータに用いられる通常用釣合錘の重量を求める際に用いられる計算式から求めた値の2倍の重量を有する釣合錘64を設ける工程と、油圧式ジャッキ28は残したままの状態で、プランジャ32が最も上昇した際の上端部の高さ位置よりも高い位置に巻上機60を設ける工程と、ロープ66の他方端は綱止め部22に連結固定され、ロープ66の一方端を釣合錘64に設けられる返し車63を介して昇降路12の固定部67に連結固定する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法に係り、特に、油圧式で乗りかごを昇降させる油圧式エレベータを、つるべ式で乗りかごを昇降させるつるべ式エレベータにリニューアルする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる低層構造のマンション等では、昇降路の上方に機械室を設ける必要の無い油圧式エレベータが設置されている。しかしながら、油圧式エレベータは、乗りかごの重量が油圧式ジャッキに直接的に加わるため、乗りかごを上昇させるためには大きな動力が必要となる。すなわち、油圧式エレベータは、釣合錘を用いたつるべ式エレベータに比べ、多くの電力を消費することとなる。一方、つるべ式エレベータでは、近年、昇降路上に機械室が突出することの無い機械室レスのエレベータが開発されている。このため、つるべ式エレベータが、油圧式エレベータに代って、低層構造のマンション等においても広く用いられるようになっている。そして、既に油圧式エレベータが設置されている場合であっても、これをつるべ式エレベータにリニューアルすることが行われている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、昇降路内に油圧式ジャッキのシリンダ及びプランジャを備え、上記プランジャの頂部に固定された返し車に巻き掛けられた主索の一端にかご室を締結し、上記主索の他端を上記油圧式ジャッキのシリンダ側に締結して、上記油圧式ジャッキのプランジャの昇降とともに上記かご室を昇降させる間接式油圧エレベータをロープ式エレベータにリニューアルする方法が開示されている。
【0004】
ここでは、上記昇降路上部又はかごガイドレールの上端部に巻上機を設置し、上記油圧式ジャッキの作動油を抜き去るとともに、油圧式ジャッキのシリンダ上部のパッキンを除去し、上記油圧式ジャッキのプランジャの上部につり合いおもり吊り車を設け、上記油圧式ジャッキのプランジャと一体的に昇降するつり合いおもりを設置し、上記巻上機の綱車に巻き掛けられた主索の一端にかご室を締結し、主索の他端に上記つり合いおもり吊り車を介して上記つり合いおもり及び上記プランジャを吊り持ちすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−116231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、油圧式エレベータの油圧式ジャッキ等は、非常に重量が大きいため、撤去作業にかなりの労力を有する。したがって、油圧式エレベータの構造を活かしつつ、つるべ式エレベータにリニューアルすることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、油圧式エレベータの構造を活かしつつ、つるべ式エレベータにリニューアルする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る昇降路内に昇降可能に設けられた乗りかごと、一方端が前記昇降路の第1の固定部に連結固定され、他方端が前記乗りかごの底面を支える部材である綱止め部に連結固定された第1主ロープと、前記第1主ロープの中間部が巻きかけられる滑車部と、前記昇降路内において、前記乗りかごと前記昇降路の内壁との空間に立設されるジャッキレールに沿って、前記滑車部を昇降させる油圧式ジャッキ部と、を備える油圧式エレベータを、前記昇降路内に昇降可能に設けられた釣合錘と、巻上機とを備え、前記巻上機に巻き掛けられる第2主ロープにより前記釣合錘と前記乗りかごとをつるべ式に連結したつるべ式エレベータにリニューアルする方法であって、前記油圧式ジャッキ部のプランジャを最も下降させて、前記滑車部を取り外す工程と、通常のつるべ式エレベータに用いられる通常用釣合錘の重量を求める際に用いられる計算式から求めた値の2倍の重量を有する前記釣合錘を設ける工程と、前記油圧式ジャッキ部は残したままの状態で、前記プランジャが最も上昇した際の上端部の高さ位置よりも高い位置に前記巻上機を設ける工程と、前記第2主ロープの他方端は前記綱止め部に連結固定され、前記第2主ロープの一方端を前記釣合錘に設けられる返し車を介して前記昇降路の第2の固定部に連結固定する工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、前記ジャッキレールを前記釣合錘の昇降を案内するガイドレールとして用いる工程を備えることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、前記釣合錘において、前記綱止め部の外形に沿った切り欠き部を形成する工程を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、前記プランジャの上端部に前記釣合錘に対応する緩衝部材を設ける工程を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、前記昇降路内の空きスペースを使って前記巻上機を制御するつるべ式用制御盤を設ける工程を備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、作動油が溜められた作動油タンク部と、前記油圧式ジャッキ部と、の間に接続され作動油を流すための作動油用配管の中に、前記つるべ式用制御盤と前記巻上機とを接続する電力制御線を通す工程を備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、前記第1主ロープを前記第2主ロープとして用いる工程を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上記構成により、油圧式ジャッキ部のプランジャを最も下降させて、滑車部を取り外す工程と、通常のつるべ式エレベータに用いられる通常用釣合錘の重量を求める際に用いられる計算式から求めた値の2倍の重量を有する釣合錘を設ける工程と、油圧式ジャッキ部は残したままの状態で、プランジャが最も上昇した際の上端部の高さ位置よりも高い位置に巻上機を設ける工程と、第2主ロープの他方端は綱止め部に連結固定され、第2主ロープの一方端を釣合錘に設けられる返し車を介して昇降路の第2の固定部に連結固定する工程と、を備える。これにより、油圧式エレベータの構造を活かしつつ、つるべ式エレベータにリニューアルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る実施の形態において、リニューアルを行なう前の油圧式エレベータの概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、リニューアルが行なわれた後のつるべ式エレベータの概略構成を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、釣合錘とジャッキレールとの関係を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、油圧式エレベータをつるべ式エレベータへとリニューアルする手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る実施の形態において、リニューアルを行なう前の油圧式エレベータの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。また、以下では、全ての図面において、同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0018】
図1は、リニューアルを行なう前の油圧式エレベータ10の概略構成を示す図である。図5は、リニューアルを行なう前の油圧式エレベータ10の概略構成を示す斜視図である。油圧式エレベータ10は、建物内を縦方向に延伸する空間からなる昇降路12内を上下方向に昇降移動する乗りかご14を有する。乗りかご14には、建物のエレベータ乗場16に設置される乗場扉18に対向する側壁部に乗りかご扉20が設けられている。
【0019】
乗りかご14の下部には、乗りかご14を支える板状または枠状の綱止め部22が設けられている。綱止め部22には、例えば、ワイヤ製の複数のロープ24の各端部が連結固定されている。なお、図1においては、ロープ24が1本の実線で示されているが、複数のロープ24は、図1の奥行き方向に並んで配置されている。
【0020】
昇降路12の底部26には、油圧式ジャッキ28が立設されている。油圧式ジャッキ28は、円筒状をなすシリンダ30と、シリンダ30内に下端側が挿入されてシリンダ30の上端部から上方へ突出するプランジャ32とを含む。
【0021】
また、昇降路12の底部26または昇降路12に隣接して設けられる機械室34には、作動油を貯留する作動油タンク36と、作動油タンク36から作動油をシリンダ30内に高圧供給するための作動油ポンプ38が設置されている。作動油ポンプ38とシリンダ30の下部とを接続する作動油用配管39には、給油用電磁弁40が配置されている。また、シリンダ30の下部に接続されてシリンダ30から排出される作動油を作動油タンク36へ戻すための作動油用配管41には、排油用電磁弁42が配置されている。
【0022】
油圧式ジャッキ28のプランジャ32の上端部には、滑車44が回転可能に取り付けられており、その滑車44は、油圧式ジャッキ28に隣接して立設されるジャッキレール29に沿って昇降する。
【0023】
ロープ24は、一方の端部がロープ伸び補正機50を介して昇降路12の底部26に対して連結固定され、滑車44の上側に巻き掛けられている。そして、他方の端部が乗りかご14の綱止め部22に連結固定される。なお、ロープ伸び補正機50は、ロープ24の伸びを調整するための器具である。
【0024】
機械室34(または昇降路12の底部26)には、制御手段としての油圧式用制御盤52が設置されている。油圧式用制御盤52は、油圧式エレベータ10全体について統括的な制御を実行する機能を有し、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムや制御パラメータ閾値等を予め格納したROM、計測データ等を一時的に記憶して随時に読み出し可能なRAM等を含んで構成される。
【0025】
作動油タンク36には、油量センサ54が設置されている。油量センサ54は、赤外線や超音波等を用いて油面までの距離を測定することにより作動油タンク36内の油量を検出するためのもので、その検出値は油圧式用制御盤52へ送信されるようになっている。
【0026】
ここで、油圧式エレベータ10では、排油用電磁弁42が閉弁された状態で給油用電磁弁40が開弁され、作動油ポンプ38によって作動油が作動油タンク36からシリンダ30内へ高圧で送り込まれることで、プランジャ32が上方へ押し上げられる。これにより、プランジャ32の上端部に設けられる滑車44が上方移動することで、乗りかご14がロープ24を介して引き上げられて上昇移動する。このとき、動滑車の原理から滑車44すなわちプランジャ32の移動量に対して乗りかご14の移動量は2倍となる。
【0027】
乗りかご14が最上階のエレベータ乗場16に到達したとき、プランジャ32の下端部の受圧部33はシリンダ30内のほぼ最上位置にある。このとき、シリンダ30内の最上部31と受圧部33との間にはプランジャ32をさらに押し上げ可能な余裕量が残るように設計されている。
【0028】
一方、乗りかご14が下降移動するとき、給油用電磁弁40が閉弁された状態で排油用電磁弁42が開弁される。これにより、乗りかご14等の自重による重力作用によってプランジャ32が押し下げられることで、シリンダ30内の作動油が排油用電磁弁42を介して作動油タンク36へと戻る。そして、排油用電磁弁42の開度を徐々に小さくして乗りかご14の下降速度を漸減させ、完全閉弁によりプランジャ32および乗りかご14の下降移動が停止して、乗場呼び登録あるいは乗りかご内行き先階登録された所定階に着床する。
【0029】
次に、リニューアルが行なわれた後のつるべ式エレベータ11について説明する。図2は、リニューアルが行なわれた後のつるべ式エレベータ11の概略構成を示す図である。つるべ式エレベータ11と油圧式エレベータ10の相違点は、巻上機60と、緩衝部材62と、釣合錘64と、ロープ66と、つるべ式用制御盤68と、電力制御線70とを備える点である。
【0030】
巻上機60は、つるべ式用制御盤68の制御によって、巻き掛けられたロープ66を駆動させることで乗りかご14を昇降させるための装置である。また、巻上機60は、プランジャ32の下端部の受圧部33がシリンダ30内のほぼ最上位置にあるときの、プランジャ32の上端部よりも高い位置(滑車44が存在した高さ位置より高い位置)に設けられる。
【0031】
緩衝部材62は、釣合錘64が万一落下したときに備えて、昇降路12内の各要素を保護するために設けられる緩衝部材である。また、緩衝部材62は、プランジャ32の下端部の受圧部33がシリンダ30内の最下位置にした状態で、滑車44の代わりにプランジャ32の上端部に取り付けられている。
【0032】
釣合錘64は、通常のつるべ式エレベータに用いられる通常用釣合錘の重量を求める際に用いられる計算式から求めた値の2倍の重量を有する錘である。具体的には、例えば、乗りかご14の自重が500kgであり、一人当たりの体重を60kgとして、10人を乗車定員とした場合には、通常の場合であれば、{乗りかご14の自重(kg)+(一人当たりの体重(kg)×乗りかご14の乗車定員数)}÷2の式を用いて求めるため、上記の例で言えば、{500kg+(60kg×10)}÷2=550kgの錘となるが、この場合は2倍の重量を有するため、釣合錘64は、1100kgの重量を有している。
【0033】
ここで、図3を用いて、釣合錘64の具体的な構成について説明する。図3は、図2におけるA−A線断面図であり、釣合錘64とジャッキレール29との関係を示す図である。釣合錘64の上面には、返し車63が設けられている。そして、釣合錘64の端面602,604は、ジャッキレール29の外形に沿った形状を有する切り欠き602a,604aが設けられている。これにより、釣合錘64は、ジャッキレール29により昇降案内される。また、端面606には、綱止め部22の外形に沿った形状を有する切り欠き606aが設けられている。これにより、釣合錘64と綱止め部22とがそれぞれ昇降動作をする際に衝突することを防止することができる。
【0034】
再び図2に戻って、ロープ66は、乗りかご14を吊るすためのロープであり、巻上機60に巻き掛けられている。そして、ロープ66の一方端は綱止め部22に連結固定され、他方端は釣合錘64の返し車63を介して昇降路12の内壁に設けられる固定部67(巻上機60の下部近傍に配置される固定部材)に連結固定されている。
【0035】
つるべ式用制御盤68は、巻上機60の制御を含む、つるべ式エレベータ11全体について統括的な制御を実行する機能を有し、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムや制御パラメータ閾値等を予め格納したROM、計測データ等を一時的に記憶して随時に読み出し可能なRAM等を含んで構成される。
【0036】
電力制御線70は、つるべ式用制御盤68と受電盤71とを接続するケーブルである。ここで、作動油ポンプ38とシリンダ30の下部とを接続するために設けられていた作動油用配管39の一部を用い、電力制御線70は、作動油用配管39の内部を配線経路として通されている。
【0037】
次に、油圧式エレベータ10をつるべ式エレベータ11へとリニューアルする方法について説明する。図4は、油圧式エレベータ10をつるべ式エレベータ11へとリニューアルする手順を示すフローチャートである。
【0038】
まず、最初に、プランジャ32の下端部の受圧部33をシリンダ30内の最下位置とし、乗りかご14を最下階に移動させた上で油圧式エレベータ10を停止(油圧式制御盤52の電源もオフ)させ、図示しない固定手段を用いて乗りかご14が下降しないように固定する(S10)。
【0039】
次に、ロープ24のうち、一方端を綱止め部22から取り外し、他方端をロープ伸び補正機50から取り外した後で、滑車44をプランジャ32の上端部から取り外す(S12)。
【0040】
そして、滑車44が取り外された後のプランジャ32の上端部に、緩衝部材62を取り付ける(S14)。
【0041】
次に、ジャッキレール29の外形に沿った形状を有する切り欠き602a,604aと、綱止め部22の外形に沿った形状を有する切り欠き606aを形成して、通常のつるべ式エレベータに用いられる通常用釣合錘の重量を求める際に用いられる計算式から求めた値の2倍の重量を有するように製造された釣合錘64をジャッキレール29の間に設置する(S16)。
【0042】
その後、シリンダ30及びプランジャ32は残したままの状態で、プランジャ32の下端部の受圧部33がシリンダ30内のほぼ最上位置にあるときのプランジャ32の上端部の高さ位置より高い位置に巻上機60を設置する(S18)。
【0043】
そして、ロープ66を用意し、一方端を、返し車63を介して昇降路12の内壁に設けられる固定部67に連結固定し、他方端を綱止め部22に連結固定する(S20)。
【0044】
次に、巻上機60を制御するためのつるべ式用制御盤68を昇降路12や機械室34内の空きスペースを使って配置する(S22)。
【0045】
その後、作動油用配管39の一部は残したまま、作動油タンク36、作動油ポンプ38、給油用電磁弁40、排油用電磁弁42、作動油用配管41を取り外し、電力制御線70を残った作動油用配管39の中を通して、さらに電力制御線70を用いてつるべ式用制御盤68と受電盤71とを接続する(S24)。
【0046】
S14において用いた固定手段を取り外して、つるべ式制御盤68の電源をオンして、つるべ式エレベータ11の運転を開始する(S26)。
【0047】
上記のように、油圧式エレベータ10をつるべ式エレベータ11へと取り替えることで、シリンダ30及びプランジャ32といった非常に重たく撤去作業が困難な要素をそのまま残してリニューアルすることができるため、簡単にリニューアル作業を終えることができる。
【0048】
また、上記のように、油圧式エレベータ10をつるべ式エレベータ11へと取り替えることで、ジャッキレール29を釣合錘64のガイドレールとして流用することができ、油圧式エレベータ10の構造を活かすことができる。
【0049】
なお、上記では、ロープ24とロープ66とは異なるロープとして説明したが、油圧式でもつるべ式でも使用可能なロープであれば、油圧式で用いるロープ24を巻上機60に巻きかけてつるべ式で用いても良い。すなわち、ロープ24とロープ66とを共用することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 油圧式エレベータ、11 つるべ式エレベータ、12 昇降路、16 エレベータ乗場、18 乗場扉、20 乗りかご扉、22 綱止め部、24 ロープ、26 底部28 油圧式ジャッキ、29 ジャッキレール、30 シリンダ、31 最上部、32プランジャ、33 受圧部、34 機械室、36 作動油タンク、36 作動油タンク、38 作動油ポンプ、39,41 配管、40 給油用電磁弁、42 排油用電磁弁、44 滑車、50 ロープ伸び補正機、52 油圧式用制御盤、54 油量センサ、60 巻上機、62 緩衝部材、63 返し車、64 釣合錘、66 ロープ、68 つるべ式用制御盤、70 電力制御線、71 受電盤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に昇降可能に設けられた乗りかごと、一方端が前記昇降路の第1の固定部に連結固定され、他方端が前記乗りかごの底面を支える部材である綱止め部に連結固定された第1主ロープと、前記第1主ロープの中間部が巻きかけられる滑車部と、前記昇降路内において、前記乗りかごと前記昇降路の内壁との空間に立設されるジャッキレールに沿って、前記滑車部を昇降させる油圧式ジャッキ部と、を備える油圧式エレベータを、
前記昇降路内に昇降可能に設けられた釣合錘と、巻上機とを備え、前記巻上機に巻き掛けられる第2主ロープにより前記釣合錘と前記乗りかごとをつるべ式に連結したつるべ式エレベータにリニューアルする方法であって、
前記油圧式ジャッキ部のプランジャを最も下降させて、前記滑車部を取り外す工程と、
通常のつるべ式エレベータに用いられる通常用釣合錘の重量を求める際に用いられる計算式から求めた値の2倍の重量を有する前記釣合錘を設ける工程と、
前記油圧式ジャッキ部は残したままの状態で、前記プランジャが最も上昇した際の上端部の高さ位置よりも高い位置に前記巻上機を設ける工程と、
前記第2主ロープの他方端は前記綱止め部に連結固定され、前記第2主ロープの一方端を前記釣合錘に設けられる返し車を介して前記昇降路の第2の固定部に連結固定する工程と、
を備えることを特徴とする油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、
前記ジャッキレールを前記釣合錘の昇降を案内するガイドレールとして用いる工程を備えることを特徴とする油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、
前記釣合錘において、前記綱止め部の外形に沿った切り欠き部を形成する工程を備えることを特徴とする油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、
前記プランジャの上端部に前記釣合錘に対応する緩衝部材を設ける工程を備えることを特徴とする油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載の油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、
前記昇降路内の空きスペースを使って前記巻上機を制御するつるべ式用制御盤を設ける工程を備えることを特徴とする油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、
作動油が溜められた作動油タンク部と、前記油圧式ジャッキ部と、の間に接続され作動油を流すための作動油用配管の中に、前記つるべ式用制御盤と前記巻上機とを接続する電力制御線を通す工程を備えることを特徴とする油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1に記載の油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法において、
前記第1主ロープを前記第2主ロープとして用いる工程を備えることを特徴とする油圧式エレベータをつるべ式エレベータにリニューアルする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−158459(P2012−158459A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21134(P2011−21134)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】