油圧駆動装置
【課題】油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがなく、かつ、必要に応じて油圧シリンダの作動速度を速くすることができる油圧駆動装置を提供する。
【解決手段】油圧供給源Tから供給される作動油の流量を増大させて油圧シリンダ4側へ供給するための第2差動回路24と、油圧回路を流れる作動油の流量が予め設定した基準値を越えたときに第2差動回路24を油圧回路に接続するように切り換わる第2流量増大切換弁23を、油圧回路の前記油圧シリンダ4側に配設した。第1流量増大切換弁21を切換操作して第1差動回路20を油圧回路に接続することにより、油圧回路内の作動油の流量が基準値を越えることによって、第2流量増大切換弁23が第2差動回路24を油圧回路に接続するように切り換わるようにした。
【解決手段】油圧供給源Tから供給される作動油の流量を増大させて油圧シリンダ4側へ供給するための第2差動回路24と、油圧回路を流れる作動油の流量が予め設定した基準値を越えたときに第2差動回路24を油圧回路に接続するように切り換わる第2流量増大切換弁23を、油圧回路の前記油圧シリンダ4側に配設した。第1流量増大切換弁21を切換操作して第1差動回路20を油圧回路に接続することにより、油圧回路内の作動油の流量が基準値を越えることによって、第2流量増大切換弁23が第2差動回路24を油圧回路に接続するように切り換わるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメント駆動用の油圧シリンダに油圧供給源から作動油を供給することによって、前記油圧シリンダを伸縮させるように構成した油圧駆動装置に関し、特に、油圧シリンダの作動速度を速くするための差動回路を備えた油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図6に示す農業用トラクタに使用する荷役機械Aは、車体1の前方に昇降可能に取り付けたリフトアーム2と、リフトアーム2の先端に前傾側又は後傾側に傾動可能に取り付けたバケット等の各種アタッチメント3を備えている。アタッチメント3は、第1油圧シリンダ4を介してリフトアーム2に取り付けられ、リフトアーム2は、第2油圧シリンダ5を介して車体1に取り付けられている。これら第1油圧シリンダ4及び第2油圧シリンダ5には、ポンプPによって油圧供給源Tから作動油が供給されるようになっている。
【0003】
車体1には、油圧供給源Tから第1油圧シリンダ4への油圧回路を切り換える第1操作用切換弁6と、油圧供給源Tから第2油圧シリンダ5への油圧回路を切り換える第2操作用切換弁7が配設されている。また、車体1の運転席横には2本の操作レバー8,9が配設されている。2本の操作レバー8,9を個別に操作することによって、第1操作用切換弁6及び第2操作用切換弁7を切り換えて、アタッチメント3とリフトアーム2を操作可能に構成されている。なお、現在では、1本の操作レバーによって第1操作用切換弁6及び第2操作用切換弁7を切換操作する荷役機械が周知となっている。
【0004】
上記荷役機械によって作業を行う場合、先端作業機で掬い取った作業対象物を運搬車等に排出する速度は、作業能率を向上させるために急速に作業可能であること、と同時に、根葉類などのつぶれやすいものを荷下ろしする時などは、作業対象物の保護のために、排出速度を低速にコントロールすることが要求される。つまり、増速ダンプと普通のダンプを任意に選択できることが望まれる。
【0005】
また、油圧シリンダを備えた上記荷役機械において、バケット等のアタッチメントから堆肥を放出するような場合は、パワーを若干犠牲にしても油圧シリンダの伸長速度をより速くしたいという要望がある。そこで、油圧シリンダの伸長速度を上げるために、荷役機械の油圧回路に差動回路を組み込むことが従来から行われている。
【0006】
図7に、差動回路13を組み込んだ荷役機械の油圧回路の一例を示す。なお、図7において、図6と同一の符号は図6と同一の部材を示している。図7に示す例では、第1油圧シリンダ4を操作するための第1操作用切換弁6を切換操作することによって、差動回路13を油圧回路14に対して接続又は非接続となるように構成している。図7においては、差動回路13は油圧回路14に非接続となっている。
【0007】
そして、図8に示すように、差動回路13を油圧回路14に接続した場合、ポンプPから供給された作動油は、同図の矢印に示す経路を通って第1油圧シリンダ4の(ロッドを配設していない)第1室4aへ送られる。このとき、第1油圧シリンダ4が伸長する方向に押し出されることにより、第1油圧シリンダ4の(ロッドを配設した)第2室4bから流出した作動油が、差動回路13側へ戻される。差動回路13に戻された作動油は、そのまま第1室4a側へ供給される。これにより、第1室4aに流入する作動油の量(流量)が増大するため、第1油圧シリンダ4の伸長速度が速くなる。
【0008】
しかしながら、実際の荷役機械において、図8に示す上記第1操作用切換弁6を、第1油圧シリンダ4に対して近い位置に配設するのは、構造上困難であることが多い。そのため、第1操作用切換弁6と第1油圧シリンダ4は互いに離れた位置に配設され、それらを連結する(図8の符号Hに相当する)配管も長くなる。第1油圧シリンダ4と第1操作用切換弁6を連結する配管が長くなることによって、第1油圧シリンダ4と差動回路13間の圧力損失が大きくなり、第1油圧シリンダ4の伸長速度を効果的に上げることができないといった問題がある。
【0009】
上記問題を解決するために、例えば、特許文献1に示す荷役機械は、図9に示すように、第1操作用切換弁6とは別の流量増大切換弁15を、第1油圧シリンダ4に対して近い位置に配設し、その流量増大切換弁15に差動回路16を設けている。
【0010】
第1操作用切換弁6と流量増大切換弁15を図10に示すように切り換えた場合、ポンプPによって供給された作動油は、第1操作用切換弁6と流量増大切換弁15を介して、第1油圧シリンダ4の第1室4aへ送られる。このとき、同時に、第1油圧シリンダ4の第2室4bから流出した作動油が、差動回路16側へ戻される。差動回路16に戻された作動油は、そのまま第1室4a側へ供給され、第1室4aに流入する作動油の量(流量)が増大する。この場合、差動回路16は第1油圧シリンダ4に対して近い位置に配設されているため、圧力損失を低減させることができ、第1油圧シリンダ4の伸長速度を効果的に上げることが可能である。
【0011】
なお、流量増大切換弁15としては、運転席から遠隔操作可能な電気制御式のものや、油圧回路内の作動油の流量に基づいて切り換わる流量連動式のものなどが採用されている。流量連動式の切換弁は、例えば、その内部に絞り部を有し、絞り部の前後における圧力差が予め設定した所定の切換基準値を上回った場合、差動回路を接続するように切り換わるように構成してある。
【特許文献1】実願昭54−41461号のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記図10に示す流量増大切換弁15として電気制御式のものを採用した場合は、操作機構の追加を行わなければならず、製造コストの削減や省スペース化等の観点から不利である。
【0013】
また、流量連動式の流量増大切換弁15は、油圧回路内の作動油の流量変動によって意図しない切換が行われわれる場合がある。このため、油圧シリンダの伸長速度が不測に速くなる不具合が生じる。以下、この油圧シリンダの伸長速度が不測に速くなる不具合について、例えば図11に示す荷役機械を例に説明する。
【0014】
図11に示す荷役機械は、1つの操作用切換弁の切換操作によって、2つの油圧シリンダを連動させることができる油圧駆動装置の油圧回路(例えば、特許第3542373号公報参照)に、流量増大切換弁を設けたものである。図11に示すように、荷役機械は、アタッチメント3用の第1油圧シリンダ4と、リフトアーム2用の第2油圧シリンダ5と、第1油圧シリンダ4を操作するための第1操作切換弁17と、第2油圧シリンダ5を操作するための第2操作用切換弁18と、差動回路16を有する流量増大切換弁15を備えている。
【0015】
この荷役機械は、上記2つの操作用切換弁17,18のうち、リフトアーム2用の第2操作切換弁18のみを切換操作することによって、リフトアーム2を昇降させると共に、アタッチメント3としてのバケットを地面に対して所定の角度に維持しつつ連動させることができる。
【0016】
具体的には、図12に示すように、第2操作用切換弁18を切り換えた場合、ポンプPによって供給された作動油は、第2操作用切換弁18を介して、第2油圧シリンダ5の第1室5aへ送られる。これにより、第2油圧シリンダ5を伸長させてリフトアーム2を上昇させる。このとき、第2油圧シリンダ5が伸長する方向に押し出されることにより、第2油圧シリンダ5の第2室5bから流出した作動油が、第2操作用切換弁18へ戻される。第2操作用切換弁18に戻された作動油は、第1油圧シリンダ4の第1室4aへ送られる。そして、第1室4aへ送られた作動油によって第1油圧シリンダ4を伸長させて、アタッチメント3が前傾側に傾動する。このように1つの操作用切換弁(第2操作用切換弁)18を切り換えることによって、アタッチメント3を地面に対して所定の角度に維持しつつリフトアーム2に連動させるようにしている。
【0017】
しかし、アタッチメント3をリフトアーム2に連動させる際に、流量増大切換弁15の意図しない切換が起こり、差動回路16が油圧回路に接続されると、図12に示すように第1油圧シリンダ4の第2室4bから流出した作動油が、差動回路16側へ戻される。そして、差動回路16に戻された作動油が、第1室4a側へ供給されると、第1室4aに流入する作動油の量(流量)が増大し、第1油圧シリンダ4の伸長速度が不測に速くなる。このため、リフトアーム2の上昇速度とアタッチメント3の傾動速度のバランスが崩れ、アタッチメント3を地面に対して所定の角度に維持できない不具合が生じることとなる。
【0018】
流量増大切換弁に設けた絞り部の径を大きくして、流量増大切換弁を切り換える切換基準値を上げることにより、流量増大切換弁の意図しない切換を抑制することが可能である。しかし、流量増大切換弁は切り換わりにくくなるが、反対に、アタッチメントの作動速度を速くしたい場合に、流量増大切換弁が切り換わりにくくなる弊害が生じる。従って、従来の油圧駆動装置の構造では、油圧シリンダの伸長速度が不測に速くなるのを防止し、かつ、必要な時に伸長速度を速くすることができなかった。
【0019】
本発明は、斯かる実情に鑑みて、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがなく、かつ、必要に応じて油圧シリンダの作動速度を速くすることができる油圧駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
1請求項に係る発明は、アタッチメント駆動用の油圧シリンダと、前記油圧シリンダ内に作動油を供給する油圧供給源と、前記油圧シリンダと前記油圧供給源を接続した油圧回路と、前記油圧回路を切換操作して前記油圧シリンダを伸縮させる操作用切換弁を備えた油圧駆動装置において、前記油圧供給源から供給される作動油の流量を増大させて前記油圧シリンダ側へ供給するための第1差動回路と、前記第1差動回路の前記油圧回路への接続及び非接続を選択して切り換え操作するための第1流量増大切換弁を、前記油圧回路の前記油圧供給源側に配設すると共に、前記油圧供給源から供給される作動油の流量を増大させて前記油圧シリンダ側へ供給するための第2差動回路と、前記油圧回路を流れる作動油の流量が予め設定した基準値を越えたときに前記第2差動回路を前記油圧回路に接続するように切り換わる第2流量増大切換弁を、前記油圧回路の前記油圧シリンダ側に配設し、前記第1流量増大切換弁を切換操作して前記第1差動回路を前記油圧回路に接続することにより、前記油圧回路内の作動油の流量が前記基準値を越えることによって、前記第2流量増大切換弁が前記第2差動回路を前記油圧回路に接続するように切り換わるように構成したものである。
【0021】
第1流量増大切換弁を切換操作して第1差動回路を油圧回路に接続すると、油圧回路内の作動油の流量が増大し、油圧回路内の作動油の流量が予め設定した基準値を越える。これによって、第2流量増大切換弁が切り換わり第2差動回路を油圧回路に接続する。第2差動回路が油圧回路に接続されると、油圧シリンダへ供給する作動油の流量が増大するため、これに伴って油圧シリンダの作動速度が速くなる。本発明の構成では、第2差動回路が油圧シリンダ側に配設されているため、第2差動回路と油圧シリンダとの間の油圧回路を短く設定することが可能である。このため、第2差動回路及び油圧シリンダ間の圧力損失を低減させることができ、油圧シリンダの作動速度を効果的に上げることができる。
【0022】
このように、本発明の油圧駆動装置は、第2差動回路を油圧回路に接続するための第2流量増大切換弁の切換を、第1流量増大切換弁の切換操作によって制御することができる。これにより、第2流量増大切換弁の意図しない切換が行われることがなく、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることを防止することができる。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1に記載の油圧駆動装置において、前記操作用切換弁によって、前記第1差動回路を切換操作するように構成したものである。
【0024】
これにより、部品点数を減らすことができ、コスト削減及び省スペース化等を図れる。
【0025】
請求項3の発明は、請求項1に記載の油圧駆動装置において、アタッチメントを前傾側又は後傾側に傾動させるための第1油圧シリンダと、リフトアームを昇降させるための第2油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダに作動油を供給する油圧供給源と、前記第1油圧シリンダと前記第2油圧シリンダを前記油圧供給源に対して接続した油圧回路と、前記油圧回路を切換操作して前記第1油圧シリンダを伸縮させる第1操作用切換弁と、前記油圧回路を切換操作して前記第2油圧シリンダを伸縮させる第2操作用切換弁を備えた油圧駆動装置において、前記第1差動回路と、前記第1流量増大切換弁と、前記第2差動回路と、前記第2流量増大切換弁を、前記油圧回路における前記第1油圧シリンダと前記油圧供給源との間、及び前記第2油圧シリンダと前記油圧供給源との間の少なくとも一方に配設したものである。
【0026】
アタッチメント用の第1油圧シリンダ及びリフトアーム用の第2油圧シリンダの少なくとも一方の作動速度を、速く作動させたり、通常の速度で作動させたりすることができる。また、上記と同様に、第2流量増大切換弁の意図しない切換が行われないため、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがない。
【0027】
請求項4の発明は、請求項3に記載の油圧駆動装置において、前記第2操作用切換弁を切換操作して前記第2油圧シリンダに作動油を供給することによって前記リフトアームを昇降させる際、当該リフトアームの昇降に伴って、前記アタッチメントが地面に対して所定の角度を維持しつつ傾動するように、第2油圧シリンダからの作動油が第1油圧シリンダに供給されるように構成したものである。
【0028】
これにより、アタッチメントを地面に対して所定の角度に維持しつつリフトアームに連動させることができる。また、上記と同様に、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがないため、アタッチメントとリフトアーム間の速度バランスの安定性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の油圧駆動装置によれば、第2差動回路を油圧回路に接続するための第2流量増大切換弁の切換を、第1流量増大切換弁の切換操作によって制御することができる。これにより、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがないので、安定した操作性を得ることができ、装置の信頼性も向上することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る油圧駆動装置を、農業用トラクタに適用した実施例について、図1〜図5を参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、前記農業用トラクタAは、車体1の前方に昇降可能に取り付けたリフトアーム2と、リフトアーム2の先端に前傾側又は後傾側に傾動可能に取り付けたアタッチメント3を備えている。アタッチメント3は、第1油圧シリンダ4を介してリフトアーム2に取り付けられ、リフトアーム2は、第2油圧シリンダ5を介して車体1に取り付けられている。これら第1油圧シリンダ4及び第2油圧シリンダ5には、ポンプPによって油圧供給源Tから作動油が供給されるようになっている。
【0032】
また、車体1には、油圧供給源Tから第1油圧シリンダ4への油圧回路を切り換える第1操作用切換弁21と、油圧供給源Tから第2油圧シリンダ5への油圧回路を切り換える第2操作用切換弁22が配設されている。車体1の運転席の横には1本の操作レバー19が配設され、この操作レバー19によって、第1操作用切換弁21及び第2操作用切換弁22を切換操作できるように構成されている。
【0033】
図2に、農業用トラクタに設けた油圧駆動装置の油圧回路を示す。なお、図2において、図1と同一の符号は図1と同一の部材を示す。図2に示す油圧回路を介して、第1油圧シリンダ4、第2油圧シリンダ5、第1操作用切換弁21、第2操作用切換弁22、油圧供給源T、ポンプPは、互いに接続されている。第1操作用切換弁21は、第1油圧シリンダ4の(ロッドを配設していない)第1室4a及び(ロッドを配設している)第2室4bに対して個別に接続されている。また、第2操作用切換弁22は、第2油圧シリンダ5の(ロッドを配設していない)第1室5a及び(ロッドを配設している)第2室5bに対して個別に接続されている。
【0034】
第1操作用切換弁21は、図2の右から順に、第1位置Q1、第2位置Q2、第3位置Q3、第4位置Q4に切換可能となっている。図2では、第1操作用切換弁21は第2位置Q2に配置されている。第2位置Q2はニュートラル位置であり、この位置に第1操作用切換弁21が配置されている場合は、作動油が第1油圧シリンダ4へ供給されず、アタッチメント3は傾動しない。また、第1位置Q1は、第1油圧シリンダ4を退縮させてアタッチメント3を後傾側に傾動させるための位置であり、第3位置Q3は、第1油圧シリンダ4を伸長させてアタッチメント3を前傾側に傾動させるための位置である。また、第1操作用切換弁21を第4位置Q4に切り換えた場合、差動回路20が油圧回路に接続され、第1油圧シリンダ4へ供給する作動油の流量が増加するようになっている。
【0035】
なお、第1差動回路20を、第1操作用切換弁21と独立して配設された別の切換弁(流量増大切換弁)に設けることも可能である(図示省略)。しかし、図2に示すように、第1差動回路20を第1操作用切換弁21に設けた方が、部品点数を減らすことができるため、コスト削減及び省スペース化等を図れる点で好ましい。
【0036】
第2操作用切換弁22は、図2の右から順に、第1位置R1、第2位置R2、第3位置R3、第4位置R4に切換可能となっている。図2では、第2操作用切換弁22は第2位置R2に配置されている。第2位置R2はニュートラル位置であり、この位置に第2操作用切換弁22が配置されている場合、作動油が第2油圧シリンダ5へ供給されず、リフトアーム2は昇降しない。また、第1位置R1は、第2油圧シリンダ5を伸長させてリフトアーム2を上昇させるための位置であり、第3位置R3は、第2油圧シリンダ5を退縮させてリフトアーム2を下降させるための位置である。また、第4位置R4は、アタッチメント3及びリフトアーム2をフリーに動くようにするための位置であり、例えば、地面の凹凸に沿ってアタッチメント3を動かす作業などに適用される。
【0037】
また、油圧供給源Tと第1油圧シリンダ4とを接続する油圧回路の第1油圧シリンダ4側に、流量増大切換弁23が配設されている。流量増大切換弁23は、差動回路24を有する。以下、前記第1操作用切換弁21が有する差動回路20を第1差動回路と呼び、流量増大切換弁23が有する差動回路24を第2差動回路と呼ぶことにする。
【0038】
流量増大切換弁23は、油圧回路内を流れる作動油の流量に基づいて自動で切り換わるように構成されている。詳しくは、流量増大切換弁23の内部に絞り部25,26が配設されており、絞り部25,26の前後における圧力差が予め設定した所定の切換基準値を跨いで変化した場合に切り換わるようになっている。本実施例では、油圧回路内の作用油の流量が上記切換基準値を上回った場合、第2差動回路24を油圧回路に接続するように流量増大切換弁23が切り換わる。反対に、油圧回路内の作動油の流量が切換基準値を下回った場合、第2差動回路24を油圧回路に対して非接続となるように流量増大切換弁23が切り換わるように構成されている。
【0039】
また、図2において、符号27,28,30,31はリリーフ弁、符号29は排出弁を示す。具体的に、排出弁29は、第2操作用切換弁22を第4位置R4に配置した際、第1油圧シリンダ4の第2室4bからの作動油を排出する。また、符号32は油量分流調整手段としての分流弁を示す。
【0040】
以下、本発明の油圧駆動装置によるアタッチメント及びリフトアームの操作方法について説明する。
まず、図3と図4に基づいて、アタッチメントの傾動速度を上げて操作する方法について説明する。図3に示すように、第1操作用切換弁21を第4位置Q4に配置する。一方、第2操作用切換弁22は第2位置R2(ニュートラル位置)に配置されている。第1操作用切換弁21を第4位置Q4に配置することにより、第1差動回路20が油圧回路に接続される。ポンプPから供給された作動油は、図の矢印に示す経路を通って第1油圧シリンダ4の第1室4aへ送られる。このとき、第1油圧シリンダ4が伸長する方向に押し出されることによって、第1油圧シリンダ4の第2室4bから流出した作動油が、第1差動回路20側へ戻される。そして、第1差動回路20に戻された作動油は、第1室4a側へ供給されるため、第1差動回路20と第1油圧シリンダ4の間の油圧回路において作動油の流量が増加する。同時に、流量増大切換弁23内の作動油の流量も増加する。これにより、流量増大切換弁23内の作動油の流量が予め設定した切換基準値を上回り、流量増大切換弁23は図4に示す状態に切り換えられる。
【0041】
図4に示すように、流量増大切換弁23が切り換えられることによって、第2差動回路24が油圧回路に接続される。第2差動回路24が油圧回路に接続されると、第1油圧シリンダ4の第2室4bから流出した作動油は第2差動回路24へ流入する。そして、第2差動回路24に流入した作動油は、第1室4a側へ供給される。その結果、第1室4aに流入する作動油の量(流量)が増大し、第1油圧シリンダ4の伸長速度が速くなる。これにより、アタッチメント3を前傾側に傾動させる速度を速くすることができる。
【0042】
また、本発明に係る油圧駆動装置の油圧回路の構造では、第2差動回路24を第1油圧シリンダ4に近い位置に配設することができるため、第2差動回路24と第1油圧シリンダ4との間の配管を短く設定することが可能である。このため、第2差動回路24と第1油圧シリンダ4との間の圧力損失を低減させることができ、第1油圧シリンダ4の伸長速度を効果的に上げることができる。
【0043】
その後、アタッチメント3の傾動を停止させるには、第1操作用切換弁21を切り換えて、第1操作用切換弁21を第2位置Q2(ニュートラル位置)に配置する。これにより、第1油圧シリンダ4への作動油の供給が停止し、第1油圧シリンダ4の作動が停止する。このとき、流量増大切換弁23内の作動油の流れも停止する。その結果、流量増大切換弁23は第2差動回路24を油圧回路に対して非接続とするように切り換わる。
【0044】
また、第1操作用切換弁21を第3位置Q3に切り換えた場合、第1差動回路20は油圧回路に対して非接続となっており、油圧回路内の作動油の流量は切換基準値を越えない。従って、第2流量増大切換弁23は切り換わることがなく、第2差動回路24を油圧回路に対して非接続状態で維持される。第2差動回路24が油圧回路に接続されていない状態では、第1油圧シリンダ4は通常の速度で作動するため、アタッチメント3を通常の作動速度で操作することができる。
【0045】
次に、図5に基づいて、アタッチメントを地面に対して水平(所定の角度)に維持しつつリフトアームに連動させる方法について説明する。図5に示すように、第2操作用切換弁22を切換操作して第1位置R1に配置する。なお、第1操作用切換弁21は、第2位置Q2(ニュートラル位置)に配置されている。
【0046】
第2操作用切換弁22を第1位置R1に配置した場合、ポンプPによって供給された作動油は、図の矢印に示す経路を通って第2油圧シリンダ5の第1室5aへ送られる。これにより、第2油圧シリンダ5を伸長させてリフトアーム2を上昇させる。このとき、第2油圧シリンダ5が伸長する方向に押し出されることにより、第2油圧シリンダ5の第2室5bから流出した作動油が、第2操作用切換弁22へ戻される。第2操作用切換弁22に戻された作動油は、第1油圧シリンダ4の第1室4aへ送られる。これにより、第1油圧シリンダ4を伸長させてアタッチメント3を前傾側に傾動させる。このように、リフトアーム2に連動させてアタッチメント3を傾動させることによって、アタッチメント3を地面に対して水平(所定の角度)に保ったままリフトアーム2を上昇させることができる。
【0047】
また、上述のように、第1操作用切換弁21は、第2位置Q2(ニュートラル位置)に配置されている。すなわち、第1差動回路20は油圧回路に対して接続されていない状態となっている。このため、油圧回路内の作動油の流量は増大することがなく、流量増大切換弁23が第2差動回路24を油圧回路に接続するように切り換わることもない。
【0048】
本発明に係る油圧駆動装置は、流量増大切換弁23の意図しない切換が起こらないように、流量増大切換弁23の絞り部25,26の径を比較的大きく設定して、流量増大切換弁23の切換基準値を上げている。これにより、アタッチメント3を水平に維持しつつリフトアーム2に連動させる際、作動油の流量が多少増大しても流量増大切換弁23が切り換わらないため、アタッチメント3用の第1油圧シリンダ4の伸長速度が不測に速くなることを防止できる。一方、流量増大切換弁23の切換基準値を上げても、第1差動回路20を油圧回路に接続することによって、切換基準値を越える流量を流量増大切換弁23に供給することができる。従って、第1油圧シリンダ4の伸長速度を速くしたい場合は、第1操作用切換弁21を切換操作して、第1差動回路20を油圧回路に接続することによって、流量増大切換弁23へ送る作動油の流量を増大させることが可能となる。このように、本発明に係る油圧駆動装置によれば、アタッチメント3の傾動速度が不測に速くなることがなく、安定した操作性を得ることができ、装置の信頼性も向上することとなる。
【0049】
なお、詳しい説明は省略するが、第2操作用切換弁22を図2に示す状態から第3位置R3に切り換えることによって、アタッチメント3を地面に対して水平に保ったままリフトアーム2を下降させることもできる。この場合も、第1差動回路20を油圧回路に対して接続しない状態とすることによって、流量増大切換弁23の意図しない切換が起こらないようにすることができる。
【0050】
以上、本発明に係る油圧駆動装置の一実施例について説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明の構成を、農業用トラクタのフロントローダー以外に、建設機械のホイルローダー、あるいはその他の荷役機械の作業用油圧機構にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る油圧駆動装置を適用した農業用トラクタの概略図である。
【図2】本発明に係る油圧駆動装置の油圧回路の一実施例を示す図である。
【図3】本発明に係る油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図4】本発明に係る油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図5】本発明に係る油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図6】従来の油圧駆動装置を搭載した農業用トラクタの概略図である。
【図7】差動回路を設けた従来の油圧駆動装置の油圧回路を示す図である。
【図8】図7に示す油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図9】油圧シリンダ側に差動回路を設けた従来の油圧駆動装置の油圧回路を示す図である。
【図10】図9に示す油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図11】アタッチメントとリフトアームを連動可能な従来の油圧駆動装置に差動回路を設けた例を示す図である。
【図12】図11に示す油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
2 リフトアーム
3 アタッチメント
4 第1油圧シリンダ
5 第2油圧シリンダ
20 第1差動回路
21 第1操作用切換弁
22 第2操作用切換弁
23 流量増大切換弁
24 第2差動回路
T 油圧供給源
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメント駆動用の油圧シリンダに油圧供給源から作動油を供給することによって、前記油圧シリンダを伸縮させるように構成した油圧駆動装置に関し、特に、油圧シリンダの作動速度を速くするための差動回路を備えた油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図6に示す農業用トラクタに使用する荷役機械Aは、車体1の前方に昇降可能に取り付けたリフトアーム2と、リフトアーム2の先端に前傾側又は後傾側に傾動可能に取り付けたバケット等の各種アタッチメント3を備えている。アタッチメント3は、第1油圧シリンダ4を介してリフトアーム2に取り付けられ、リフトアーム2は、第2油圧シリンダ5を介して車体1に取り付けられている。これら第1油圧シリンダ4及び第2油圧シリンダ5には、ポンプPによって油圧供給源Tから作動油が供給されるようになっている。
【0003】
車体1には、油圧供給源Tから第1油圧シリンダ4への油圧回路を切り換える第1操作用切換弁6と、油圧供給源Tから第2油圧シリンダ5への油圧回路を切り換える第2操作用切換弁7が配設されている。また、車体1の運転席横には2本の操作レバー8,9が配設されている。2本の操作レバー8,9を個別に操作することによって、第1操作用切換弁6及び第2操作用切換弁7を切り換えて、アタッチメント3とリフトアーム2を操作可能に構成されている。なお、現在では、1本の操作レバーによって第1操作用切換弁6及び第2操作用切換弁7を切換操作する荷役機械が周知となっている。
【0004】
上記荷役機械によって作業を行う場合、先端作業機で掬い取った作業対象物を運搬車等に排出する速度は、作業能率を向上させるために急速に作業可能であること、と同時に、根葉類などのつぶれやすいものを荷下ろしする時などは、作業対象物の保護のために、排出速度を低速にコントロールすることが要求される。つまり、増速ダンプと普通のダンプを任意に選択できることが望まれる。
【0005】
また、油圧シリンダを備えた上記荷役機械において、バケット等のアタッチメントから堆肥を放出するような場合は、パワーを若干犠牲にしても油圧シリンダの伸長速度をより速くしたいという要望がある。そこで、油圧シリンダの伸長速度を上げるために、荷役機械の油圧回路に差動回路を組み込むことが従来から行われている。
【0006】
図7に、差動回路13を組み込んだ荷役機械の油圧回路の一例を示す。なお、図7において、図6と同一の符号は図6と同一の部材を示している。図7に示す例では、第1油圧シリンダ4を操作するための第1操作用切換弁6を切換操作することによって、差動回路13を油圧回路14に対して接続又は非接続となるように構成している。図7においては、差動回路13は油圧回路14に非接続となっている。
【0007】
そして、図8に示すように、差動回路13を油圧回路14に接続した場合、ポンプPから供給された作動油は、同図の矢印に示す経路を通って第1油圧シリンダ4の(ロッドを配設していない)第1室4aへ送られる。このとき、第1油圧シリンダ4が伸長する方向に押し出されることにより、第1油圧シリンダ4の(ロッドを配設した)第2室4bから流出した作動油が、差動回路13側へ戻される。差動回路13に戻された作動油は、そのまま第1室4a側へ供給される。これにより、第1室4aに流入する作動油の量(流量)が増大するため、第1油圧シリンダ4の伸長速度が速くなる。
【0008】
しかしながら、実際の荷役機械において、図8に示す上記第1操作用切換弁6を、第1油圧シリンダ4に対して近い位置に配設するのは、構造上困難であることが多い。そのため、第1操作用切換弁6と第1油圧シリンダ4は互いに離れた位置に配設され、それらを連結する(図8の符号Hに相当する)配管も長くなる。第1油圧シリンダ4と第1操作用切換弁6を連結する配管が長くなることによって、第1油圧シリンダ4と差動回路13間の圧力損失が大きくなり、第1油圧シリンダ4の伸長速度を効果的に上げることができないといった問題がある。
【0009】
上記問題を解決するために、例えば、特許文献1に示す荷役機械は、図9に示すように、第1操作用切換弁6とは別の流量増大切換弁15を、第1油圧シリンダ4に対して近い位置に配設し、その流量増大切換弁15に差動回路16を設けている。
【0010】
第1操作用切換弁6と流量増大切換弁15を図10に示すように切り換えた場合、ポンプPによって供給された作動油は、第1操作用切換弁6と流量増大切換弁15を介して、第1油圧シリンダ4の第1室4aへ送られる。このとき、同時に、第1油圧シリンダ4の第2室4bから流出した作動油が、差動回路16側へ戻される。差動回路16に戻された作動油は、そのまま第1室4a側へ供給され、第1室4aに流入する作動油の量(流量)が増大する。この場合、差動回路16は第1油圧シリンダ4に対して近い位置に配設されているため、圧力損失を低減させることができ、第1油圧シリンダ4の伸長速度を効果的に上げることが可能である。
【0011】
なお、流量増大切換弁15としては、運転席から遠隔操作可能な電気制御式のものや、油圧回路内の作動油の流量に基づいて切り換わる流量連動式のものなどが採用されている。流量連動式の切換弁は、例えば、その内部に絞り部を有し、絞り部の前後における圧力差が予め設定した所定の切換基準値を上回った場合、差動回路を接続するように切り換わるように構成してある。
【特許文献1】実願昭54−41461号のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記図10に示す流量増大切換弁15として電気制御式のものを採用した場合は、操作機構の追加を行わなければならず、製造コストの削減や省スペース化等の観点から不利である。
【0013】
また、流量連動式の流量増大切換弁15は、油圧回路内の作動油の流量変動によって意図しない切換が行われわれる場合がある。このため、油圧シリンダの伸長速度が不測に速くなる不具合が生じる。以下、この油圧シリンダの伸長速度が不測に速くなる不具合について、例えば図11に示す荷役機械を例に説明する。
【0014】
図11に示す荷役機械は、1つの操作用切換弁の切換操作によって、2つの油圧シリンダを連動させることができる油圧駆動装置の油圧回路(例えば、特許第3542373号公報参照)に、流量増大切換弁を設けたものである。図11に示すように、荷役機械は、アタッチメント3用の第1油圧シリンダ4と、リフトアーム2用の第2油圧シリンダ5と、第1油圧シリンダ4を操作するための第1操作切換弁17と、第2油圧シリンダ5を操作するための第2操作用切換弁18と、差動回路16を有する流量増大切換弁15を備えている。
【0015】
この荷役機械は、上記2つの操作用切換弁17,18のうち、リフトアーム2用の第2操作切換弁18のみを切換操作することによって、リフトアーム2を昇降させると共に、アタッチメント3としてのバケットを地面に対して所定の角度に維持しつつ連動させることができる。
【0016】
具体的には、図12に示すように、第2操作用切換弁18を切り換えた場合、ポンプPによって供給された作動油は、第2操作用切換弁18を介して、第2油圧シリンダ5の第1室5aへ送られる。これにより、第2油圧シリンダ5を伸長させてリフトアーム2を上昇させる。このとき、第2油圧シリンダ5が伸長する方向に押し出されることにより、第2油圧シリンダ5の第2室5bから流出した作動油が、第2操作用切換弁18へ戻される。第2操作用切換弁18に戻された作動油は、第1油圧シリンダ4の第1室4aへ送られる。そして、第1室4aへ送られた作動油によって第1油圧シリンダ4を伸長させて、アタッチメント3が前傾側に傾動する。このように1つの操作用切換弁(第2操作用切換弁)18を切り換えることによって、アタッチメント3を地面に対して所定の角度に維持しつつリフトアーム2に連動させるようにしている。
【0017】
しかし、アタッチメント3をリフトアーム2に連動させる際に、流量増大切換弁15の意図しない切換が起こり、差動回路16が油圧回路に接続されると、図12に示すように第1油圧シリンダ4の第2室4bから流出した作動油が、差動回路16側へ戻される。そして、差動回路16に戻された作動油が、第1室4a側へ供給されると、第1室4aに流入する作動油の量(流量)が増大し、第1油圧シリンダ4の伸長速度が不測に速くなる。このため、リフトアーム2の上昇速度とアタッチメント3の傾動速度のバランスが崩れ、アタッチメント3を地面に対して所定の角度に維持できない不具合が生じることとなる。
【0018】
流量増大切換弁に設けた絞り部の径を大きくして、流量増大切換弁を切り換える切換基準値を上げることにより、流量増大切換弁の意図しない切換を抑制することが可能である。しかし、流量増大切換弁は切り換わりにくくなるが、反対に、アタッチメントの作動速度を速くしたい場合に、流量増大切換弁が切り換わりにくくなる弊害が生じる。従って、従来の油圧駆動装置の構造では、油圧シリンダの伸長速度が不測に速くなるのを防止し、かつ、必要な時に伸長速度を速くすることができなかった。
【0019】
本発明は、斯かる実情に鑑みて、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがなく、かつ、必要に応じて油圧シリンダの作動速度を速くすることができる油圧駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
1請求項に係る発明は、アタッチメント駆動用の油圧シリンダと、前記油圧シリンダ内に作動油を供給する油圧供給源と、前記油圧シリンダと前記油圧供給源を接続した油圧回路と、前記油圧回路を切換操作して前記油圧シリンダを伸縮させる操作用切換弁を備えた油圧駆動装置において、前記油圧供給源から供給される作動油の流量を増大させて前記油圧シリンダ側へ供給するための第1差動回路と、前記第1差動回路の前記油圧回路への接続及び非接続を選択して切り換え操作するための第1流量増大切換弁を、前記油圧回路の前記油圧供給源側に配設すると共に、前記油圧供給源から供給される作動油の流量を増大させて前記油圧シリンダ側へ供給するための第2差動回路と、前記油圧回路を流れる作動油の流量が予め設定した基準値を越えたときに前記第2差動回路を前記油圧回路に接続するように切り換わる第2流量増大切換弁を、前記油圧回路の前記油圧シリンダ側に配設し、前記第1流量増大切換弁を切換操作して前記第1差動回路を前記油圧回路に接続することにより、前記油圧回路内の作動油の流量が前記基準値を越えることによって、前記第2流量増大切換弁が前記第2差動回路を前記油圧回路に接続するように切り換わるように構成したものである。
【0021】
第1流量増大切換弁を切換操作して第1差動回路を油圧回路に接続すると、油圧回路内の作動油の流量が増大し、油圧回路内の作動油の流量が予め設定した基準値を越える。これによって、第2流量増大切換弁が切り換わり第2差動回路を油圧回路に接続する。第2差動回路が油圧回路に接続されると、油圧シリンダへ供給する作動油の流量が増大するため、これに伴って油圧シリンダの作動速度が速くなる。本発明の構成では、第2差動回路が油圧シリンダ側に配設されているため、第2差動回路と油圧シリンダとの間の油圧回路を短く設定することが可能である。このため、第2差動回路及び油圧シリンダ間の圧力損失を低減させることができ、油圧シリンダの作動速度を効果的に上げることができる。
【0022】
このように、本発明の油圧駆動装置は、第2差動回路を油圧回路に接続するための第2流量増大切換弁の切換を、第1流量増大切換弁の切換操作によって制御することができる。これにより、第2流量増大切換弁の意図しない切換が行われることがなく、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることを防止することができる。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1に記載の油圧駆動装置において、前記操作用切換弁によって、前記第1差動回路を切換操作するように構成したものである。
【0024】
これにより、部品点数を減らすことができ、コスト削減及び省スペース化等を図れる。
【0025】
請求項3の発明は、請求項1に記載の油圧駆動装置において、アタッチメントを前傾側又は後傾側に傾動させるための第1油圧シリンダと、リフトアームを昇降させるための第2油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダに作動油を供給する油圧供給源と、前記第1油圧シリンダと前記第2油圧シリンダを前記油圧供給源に対して接続した油圧回路と、前記油圧回路を切換操作して前記第1油圧シリンダを伸縮させる第1操作用切換弁と、前記油圧回路を切換操作して前記第2油圧シリンダを伸縮させる第2操作用切換弁を備えた油圧駆動装置において、前記第1差動回路と、前記第1流量増大切換弁と、前記第2差動回路と、前記第2流量増大切換弁を、前記油圧回路における前記第1油圧シリンダと前記油圧供給源との間、及び前記第2油圧シリンダと前記油圧供給源との間の少なくとも一方に配設したものである。
【0026】
アタッチメント用の第1油圧シリンダ及びリフトアーム用の第2油圧シリンダの少なくとも一方の作動速度を、速く作動させたり、通常の速度で作動させたりすることができる。また、上記と同様に、第2流量増大切換弁の意図しない切換が行われないため、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがない。
【0027】
請求項4の発明は、請求項3に記載の油圧駆動装置において、前記第2操作用切換弁を切換操作して前記第2油圧シリンダに作動油を供給することによって前記リフトアームを昇降させる際、当該リフトアームの昇降に伴って、前記アタッチメントが地面に対して所定の角度を維持しつつ傾動するように、第2油圧シリンダからの作動油が第1油圧シリンダに供給されるように構成したものである。
【0028】
これにより、アタッチメントを地面に対して所定の角度に維持しつつリフトアームに連動させることができる。また、上記と同様に、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがないため、アタッチメントとリフトアーム間の速度バランスの安定性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の油圧駆動装置によれば、第2差動回路を油圧回路に接続するための第2流量増大切換弁の切換を、第1流量増大切換弁の切換操作によって制御することができる。これにより、油圧シリンダの作動速度が不測に速くなることがないので、安定した操作性を得ることができ、装置の信頼性も向上することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る油圧駆動装置を、農業用トラクタに適用した実施例について、図1〜図5を参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、前記農業用トラクタAは、車体1の前方に昇降可能に取り付けたリフトアーム2と、リフトアーム2の先端に前傾側又は後傾側に傾動可能に取り付けたアタッチメント3を備えている。アタッチメント3は、第1油圧シリンダ4を介してリフトアーム2に取り付けられ、リフトアーム2は、第2油圧シリンダ5を介して車体1に取り付けられている。これら第1油圧シリンダ4及び第2油圧シリンダ5には、ポンプPによって油圧供給源Tから作動油が供給されるようになっている。
【0032】
また、車体1には、油圧供給源Tから第1油圧シリンダ4への油圧回路を切り換える第1操作用切換弁21と、油圧供給源Tから第2油圧シリンダ5への油圧回路を切り換える第2操作用切換弁22が配設されている。車体1の運転席の横には1本の操作レバー19が配設され、この操作レバー19によって、第1操作用切換弁21及び第2操作用切換弁22を切換操作できるように構成されている。
【0033】
図2に、農業用トラクタに設けた油圧駆動装置の油圧回路を示す。なお、図2において、図1と同一の符号は図1と同一の部材を示す。図2に示す油圧回路を介して、第1油圧シリンダ4、第2油圧シリンダ5、第1操作用切換弁21、第2操作用切換弁22、油圧供給源T、ポンプPは、互いに接続されている。第1操作用切換弁21は、第1油圧シリンダ4の(ロッドを配設していない)第1室4a及び(ロッドを配設している)第2室4bに対して個別に接続されている。また、第2操作用切換弁22は、第2油圧シリンダ5の(ロッドを配設していない)第1室5a及び(ロッドを配設している)第2室5bに対して個別に接続されている。
【0034】
第1操作用切換弁21は、図2の右から順に、第1位置Q1、第2位置Q2、第3位置Q3、第4位置Q4に切換可能となっている。図2では、第1操作用切換弁21は第2位置Q2に配置されている。第2位置Q2はニュートラル位置であり、この位置に第1操作用切換弁21が配置されている場合は、作動油が第1油圧シリンダ4へ供給されず、アタッチメント3は傾動しない。また、第1位置Q1は、第1油圧シリンダ4を退縮させてアタッチメント3を後傾側に傾動させるための位置であり、第3位置Q3は、第1油圧シリンダ4を伸長させてアタッチメント3を前傾側に傾動させるための位置である。また、第1操作用切換弁21を第4位置Q4に切り換えた場合、差動回路20が油圧回路に接続され、第1油圧シリンダ4へ供給する作動油の流量が増加するようになっている。
【0035】
なお、第1差動回路20を、第1操作用切換弁21と独立して配設された別の切換弁(流量増大切換弁)に設けることも可能である(図示省略)。しかし、図2に示すように、第1差動回路20を第1操作用切換弁21に設けた方が、部品点数を減らすことができるため、コスト削減及び省スペース化等を図れる点で好ましい。
【0036】
第2操作用切換弁22は、図2の右から順に、第1位置R1、第2位置R2、第3位置R3、第4位置R4に切換可能となっている。図2では、第2操作用切換弁22は第2位置R2に配置されている。第2位置R2はニュートラル位置であり、この位置に第2操作用切換弁22が配置されている場合、作動油が第2油圧シリンダ5へ供給されず、リフトアーム2は昇降しない。また、第1位置R1は、第2油圧シリンダ5を伸長させてリフトアーム2を上昇させるための位置であり、第3位置R3は、第2油圧シリンダ5を退縮させてリフトアーム2を下降させるための位置である。また、第4位置R4は、アタッチメント3及びリフトアーム2をフリーに動くようにするための位置であり、例えば、地面の凹凸に沿ってアタッチメント3を動かす作業などに適用される。
【0037】
また、油圧供給源Tと第1油圧シリンダ4とを接続する油圧回路の第1油圧シリンダ4側に、流量増大切換弁23が配設されている。流量増大切換弁23は、差動回路24を有する。以下、前記第1操作用切換弁21が有する差動回路20を第1差動回路と呼び、流量増大切換弁23が有する差動回路24を第2差動回路と呼ぶことにする。
【0038】
流量増大切換弁23は、油圧回路内を流れる作動油の流量に基づいて自動で切り換わるように構成されている。詳しくは、流量増大切換弁23の内部に絞り部25,26が配設されており、絞り部25,26の前後における圧力差が予め設定した所定の切換基準値を跨いで変化した場合に切り換わるようになっている。本実施例では、油圧回路内の作用油の流量が上記切換基準値を上回った場合、第2差動回路24を油圧回路に接続するように流量増大切換弁23が切り換わる。反対に、油圧回路内の作動油の流量が切換基準値を下回った場合、第2差動回路24を油圧回路に対して非接続となるように流量増大切換弁23が切り換わるように構成されている。
【0039】
また、図2において、符号27,28,30,31はリリーフ弁、符号29は排出弁を示す。具体的に、排出弁29は、第2操作用切換弁22を第4位置R4に配置した際、第1油圧シリンダ4の第2室4bからの作動油を排出する。また、符号32は油量分流調整手段としての分流弁を示す。
【0040】
以下、本発明の油圧駆動装置によるアタッチメント及びリフトアームの操作方法について説明する。
まず、図3と図4に基づいて、アタッチメントの傾動速度を上げて操作する方法について説明する。図3に示すように、第1操作用切換弁21を第4位置Q4に配置する。一方、第2操作用切換弁22は第2位置R2(ニュートラル位置)に配置されている。第1操作用切換弁21を第4位置Q4に配置することにより、第1差動回路20が油圧回路に接続される。ポンプPから供給された作動油は、図の矢印に示す経路を通って第1油圧シリンダ4の第1室4aへ送られる。このとき、第1油圧シリンダ4が伸長する方向に押し出されることによって、第1油圧シリンダ4の第2室4bから流出した作動油が、第1差動回路20側へ戻される。そして、第1差動回路20に戻された作動油は、第1室4a側へ供給されるため、第1差動回路20と第1油圧シリンダ4の間の油圧回路において作動油の流量が増加する。同時に、流量増大切換弁23内の作動油の流量も増加する。これにより、流量増大切換弁23内の作動油の流量が予め設定した切換基準値を上回り、流量増大切換弁23は図4に示す状態に切り換えられる。
【0041】
図4に示すように、流量増大切換弁23が切り換えられることによって、第2差動回路24が油圧回路に接続される。第2差動回路24が油圧回路に接続されると、第1油圧シリンダ4の第2室4bから流出した作動油は第2差動回路24へ流入する。そして、第2差動回路24に流入した作動油は、第1室4a側へ供給される。その結果、第1室4aに流入する作動油の量(流量)が増大し、第1油圧シリンダ4の伸長速度が速くなる。これにより、アタッチメント3を前傾側に傾動させる速度を速くすることができる。
【0042】
また、本発明に係る油圧駆動装置の油圧回路の構造では、第2差動回路24を第1油圧シリンダ4に近い位置に配設することができるため、第2差動回路24と第1油圧シリンダ4との間の配管を短く設定することが可能である。このため、第2差動回路24と第1油圧シリンダ4との間の圧力損失を低減させることができ、第1油圧シリンダ4の伸長速度を効果的に上げることができる。
【0043】
その後、アタッチメント3の傾動を停止させるには、第1操作用切換弁21を切り換えて、第1操作用切換弁21を第2位置Q2(ニュートラル位置)に配置する。これにより、第1油圧シリンダ4への作動油の供給が停止し、第1油圧シリンダ4の作動が停止する。このとき、流量増大切換弁23内の作動油の流れも停止する。その結果、流量増大切換弁23は第2差動回路24を油圧回路に対して非接続とするように切り換わる。
【0044】
また、第1操作用切換弁21を第3位置Q3に切り換えた場合、第1差動回路20は油圧回路に対して非接続となっており、油圧回路内の作動油の流量は切換基準値を越えない。従って、第2流量増大切換弁23は切り換わることがなく、第2差動回路24を油圧回路に対して非接続状態で維持される。第2差動回路24が油圧回路に接続されていない状態では、第1油圧シリンダ4は通常の速度で作動するため、アタッチメント3を通常の作動速度で操作することができる。
【0045】
次に、図5に基づいて、アタッチメントを地面に対して水平(所定の角度)に維持しつつリフトアームに連動させる方法について説明する。図5に示すように、第2操作用切換弁22を切換操作して第1位置R1に配置する。なお、第1操作用切換弁21は、第2位置Q2(ニュートラル位置)に配置されている。
【0046】
第2操作用切換弁22を第1位置R1に配置した場合、ポンプPによって供給された作動油は、図の矢印に示す経路を通って第2油圧シリンダ5の第1室5aへ送られる。これにより、第2油圧シリンダ5を伸長させてリフトアーム2を上昇させる。このとき、第2油圧シリンダ5が伸長する方向に押し出されることにより、第2油圧シリンダ5の第2室5bから流出した作動油が、第2操作用切換弁22へ戻される。第2操作用切換弁22に戻された作動油は、第1油圧シリンダ4の第1室4aへ送られる。これにより、第1油圧シリンダ4を伸長させてアタッチメント3を前傾側に傾動させる。このように、リフトアーム2に連動させてアタッチメント3を傾動させることによって、アタッチメント3を地面に対して水平(所定の角度)に保ったままリフトアーム2を上昇させることができる。
【0047】
また、上述のように、第1操作用切換弁21は、第2位置Q2(ニュートラル位置)に配置されている。すなわち、第1差動回路20は油圧回路に対して接続されていない状態となっている。このため、油圧回路内の作動油の流量は増大することがなく、流量増大切換弁23が第2差動回路24を油圧回路に接続するように切り換わることもない。
【0048】
本発明に係る油圧駆動装置は、流量増大切換弁23の意図しない切換が起こらないように、流量増大切換弁23の絞り部25,26の径を比較的大きく設定して、流量増大切換弁23の切換基準値を上げている。これにより、アタッチメント3を水平に維持しつつリフトアーム2に連動させる際、作動油の流量が多少増大しても流量増大切換弁23が切り換わらないため、アタッチメント3用の第1油圧シリンダ4の伸長速度が不測に速くなることを防止できる。一方、流量増大切換弁23の切換基準値を上げても、第1差動回路20を油圧回路に接続することによって、切換基準値を越える流量を流量増大切換弁23に供給することができる。従って、第1油圧シリンダ4の伸長速度を速くしたい場合は、第1操作用切換弁21を切換操作して、第1差動回路20を油圧回路に接続することによって、流量増大切換弁23へ送る作動油の流量を増大させることが可能となる。このように、本発明に係る油圧駆動装置によれば、アタッチメント3の傾動速度が不測に速くなることがなく、安定した操作性を得ることができ、装置の信頼性も向上することとなる。
【0049】
なお、詳しい説明は省略するが、第2操作用切換弁22を図2に示す状態から第3位置R3に切り換えることによって、アタッチメント3を地面に対して水平に保ったままリフトアーム2を下降させることもできる。この場合も、第1差動回路20を油圧回路に対して接続しない状態とすることによって、流量増大切換弁23の意図しない切換が起こらないようにすることができる。
【0050】
以上、本発明に係る油圧駆動装置の一実施例について説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明の構成を、農業用トラクタのフロントローダー以外に、建設機械のホイルローダー、あるいはその他の荷役機械の作業用油圧機構にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る油圧駆動装置を適用した農業用トラクタの概略図である。
【図2】本発明に係る油圧駆動装置の油圧回路の一実施例を示す図である。
【図3】本発明に係る油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図4】本発明に係る油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図5】本発明に係る油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図6】従来の油圧駆動装置を搭載した農業用トラクタの概略図である。
【図7】差動回路を設けた従来の油圧駆動装置の油圧回路を示す図である。
【図8】図7に示す油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図9】油圧シリンダ側に差動回路を設けた従来の油圧駆動装置の油圧回路を示す図である。
【図10】図9に示す油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【図11】アタッチメントとリフトアームを連動可能な従来の油圧駆動装置に差動回路を設けた例を示す図である。
【図12】図11に示す油圧駆動装置の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
2 リフトアーム
3 アタッチメント
4 第1油圧シリンダ
5 第2油圧シリンダ
20 第1差動回路
21 第1操作用切換弁
22 第2操作用切換弁
23 流量増大切換弁
24 第2差動回路
T 油圧供給源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アタッチメント駆動用の油圧シリンダと、前記油圧シリンダ内に作動油を供給する油圧供給源と、前記油圧シリンダと前記油圧供給源を接続した油圧回路と、前記油圧回路を切換操作して前記油圧シリンダを伸縮させる操作用切換弁を備えた油圧駆動装置において、
前記油圧供給源から供給される作動油の流量を増大させて前記油圧シリンダ側へ供給するための第1差動回路と、前記第1差動回路の前記油圧回路への接続及び非接続を選択して切り換え操作するための第1流量増大切換弁を、前記油圧回路の前記油圧供給源側に配設すると共に、
前記油圧供給源から供給される作動油の流量を増大させて前記油圧シリンダ側へ供給するための第2差動回路と、前記油圧回路を流れる作動油の流量が予め設定した基準値を越えたときに前記第2差動回路を前記油圧回路に接続するように切り換わる第2流量増大切換弁を、前記油圧回路の前記油圧シリンダ側に配設し、
前記第1流量増大切換弁を切換操作して前記第1差動回路を前記油圧回路に接続することにより、前記油圧回路内の作動油の流量が前記基準値を越えることによって、前記第2流量増大切換弁が前記第2差動回路を前記油圧回路に接続するように切り換わることを特徴とする油圧駆動装置。
【請求項2】
前記操作用切換弁によって、前記第1差動回路を切換操作するように構成した請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項3】
アタッチメントを前傾側又は後傾側に傾動させるための第1油圧シリンダと、リフトアームを昇降させるための第2油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダに作動油を供給する油圧供給源と、前記第1油圧シリンダと前記第2油圧シリンダを前記油圧供給源に対して接続した油圧回路と、前記油圧回路を切換操作して前記第1油圧シリンダを伸縮させる第1操作用切換弁と、前記油圧回路を切換操作して前記第2油圧シリンダを伸縮させる第2操作用切換弁を備えた油圧駆動装置において、
前記第1差動回路と、前記第1流量増大切換弁と、前記第2差動回路と、前記第2流量増大切換弁を、前記油圧回路における前記第1油圧シリンダと前記油圧供給源との間、及び前記第2油圧シリンダと前記油圧供給源との間の少なくとも一方に配設した請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項4】
前記第2操作用切換弁を切換操作して前記第2油圧シリンダに作動油を供給することによって前記リフトアームを昇降させる際、当該リフトアームの昇降に伴って、前記アタッチメントが地面に対して所定の角度を維持しつつ傾動するように、第2油圧シリンダからの作動油が第1油圧シリンダに供給されるように構成した請求項3に記載の油圧駆動装置。
【請求項1】
アタッチメント駆動用の油圧シリンダと、前記油圧シリンダ内に作動油を供給する油圧供給源と、前記油圧シリンダと前記油圧供給源を接続した油圧回路と、前記油圧回路を切換操作して前記油圧シリンダを伸縮させる操作用切換弁を備えた油圧駆動装置において、
前記油圧供給源から供給される作動油の流量を増大させて前記油圧シリンダ側へ供給するための第1差動回路と、前記第1差動回路の前記油圧回路への接続及び非接続を選択して切り換え操作するための第1流量増大切換弁を、前記油圧回路の前記油圧供給源側に配設すると共に、
前記油圧供給源から供給される作動油の流量を増大させて前記油圧シリンダ側へ供給するための第2差動回路と、前記油圧回路を流れる作動油の流量が予め設定した基準値を越えたときに前記第2差動回路を前記油圧回路に接続するように切り換わる第2流量増大切換弁を、前記油圧回路の前記油圧シリンダ側に配設し、
前記第1流量増大切換弁を切換操作して前記第1差動回路を前記油圧回路に接続することにより、前記油圧回路内の作動油の流量が前記基準値を越えることによって、前記第2流量増大切換弁が前記第2差動回路を前記油圧回路に接続するように切り換わることを特徴とする油圧駆動装置。
【請求項2】
前記操作用切換弁によって、前記第1差動回路を切換操作するように構成した請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項3】
アタッチメントを前傾側又は後傾側に傾動させるための第1油圧シリンダと、リフトアームを昇降させるための第2油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダに作動油を供給する油圧供給源と、前記第1油圧シリンダと前記第2油圧シリンダを前記油圧供給源に対して接続した油圧回路と、前記油圧回路を切換操作して前記第1油圧シリンダを伸縮させる第1操作用切換弁と、前記油圧回路を切換操作して前記第2油圧シリンダを伸縮させる第2操作用切換弁を備えた油圧駆動装置において、
前記第1差動回路と、前記第1流量増大切換弁と、前記第2差動回路と、前記第2流量増大切換弁を、前記油圧回路における前記第1油圧シリンダと前記油圧供給源との間、及び前記第2油圧シリンダと前記油圧供給源との間の少なくとも一方に配設した請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項4】
前記第2操作用切換弁を切換操作して前記第2油圧シリンダに作動油を供給することによって前記リフトアームを昇降させる際、当該リフトアームの昇降に伴って、前記アタッチメントが地面に対して所定の角度を維持しつつ傾動するように、第2油圧シリンダからの作動油が第1油圧シリンダに供給されるように構成した請求項3に記載の油圧駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−287650(P2009−287650A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139953(P2008−139953)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000177184)三陽機器株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000177184)三陽機器株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]