説明

油性化粧料

【課題】 、界面活性剤濃度が15〜60質量%と高濃度であるにもかかわらず、アクネ菌に対して資化性が低くニキビになり難く、しかも皮膚に対する刺激が低く高い安全性を有する油性化粧料を提供する。
【解決手段】 ポリグリセリン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル型ノニオン界面活性剤を含有し、界面活性剤を油性化粧料全量に対し15〜60質量%含有することを特徴とする油性化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は界面活性剤含有濃度が高いにもかかわらず、低刺激性かつアクネ菌に対して低資化性の油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油性クレンジング剤は、メイクアップ除去料として、その優れた洗浄効果の高さから、多数の提案がなされており、また商品としても様々なものが上市されている。なかでも、特定の非イオン性界面活性剤と水と液状の油分を必須成分とするクレンジング化粧料(特許文献1参照)、特定の非イオン性界面活性剤と分子内に疎水性基と極性基を有する化合物と液状の油分を必須成分とする液状油性皮膚洗浄料(特許文献2参照)、分子内に分岐鎖を有する脂肪酸エステルを特定量含有する油性成分、水酸基を3個以上有する多価アルコ−ル、特定の非イオン性界面活性剤を含有する油性洗浄料(特許文献3参照公報)、ブドウ種子油を含有する油性化粧料(特許文献4参照)等が提案されている。
【0003】
また、メイクアップ除去料以外の提案としては、特定の非イオン性界面活性剤と水と液状の油分を必須成分とするオイル含有組成物(特許文献5参照)、特定のアルキルリン酸エステル系界面活性剤と液状の油分と水と多価アルコ−ルを必須成分とし、透明である皮膚化粧料(特許文献6参照)、特定の親水性界面活性剤と分子内に水酸基を有する水溶性物質と油性成分と水を必須成分とする液晶構造体を基剤とする(特許文献7参照)等が提案されている。
【0004】
また、油性浴用剤は、香りによるアロマテラピー効果に加え、入浴後の肌にしっとり感を付与する目的で使用される。油性入浴剤は、使用時の油分の溶解、分散などの状態から(a)フローティングバスタイプ(油滴として表面に浮く)、(b)スプレッディングバスタイプ(油膜として広がる)、(c)ディスパーションバスタイプ(油分が微粒子となり浴湯中に分散する)、(d)ミルクバスタイプ(油分が浴湯中に白濁分散する)の4種類に分類される。これらの中でもミルクバスタイプは肌がべたつかずさらさらしており、好まれている。ミルクバスは、油成分と界面活性剤からなり、多量の湯中に白濁分散させるために、高濃度の界面活性剤を配合することが多い。(非特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】特開平3−161428号公報
【特許文献2】特開平11−35421号公報
【特許文献3】特開2001−342115号公報
【特許文献4】特開2003−0470730号公報
【特許文献5】特開平1−238518号公報
【特許文献6】特公平7−78009号公報
【特許文献7】特開平1−53845号公報
【非特許文献1】光井武雄編、「新化粧品学」、第2版、南山堂、2001年1月18日、p.520−521
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のオイルクレンジングや油性浴用剤は、油分を多量に含有するため、にきびなどの原因となりやすいという欠点があった。また、洗い流し性やクレンジング力、白濁安定性を向上させるため界面活性剤配合量が多くなりがちで、皮膚に対する安全性の確保が困難である、という欠点もあった。
【0007】
そこで本発明においては、界面活性剤濃度が15〜60質量%と高濃度であるにもかかわらず、アクネ菌に対して資化性が低くニキビになり難く、しかも皮膚に対する刺激が低く高い安全性を有する油性化粧料を得ることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、油性化粧料を調製するにあたり、特定の非イオン性界面活性剤を組み合わせて配合することにより、界面活性剤濃度が15〜60質量%と高濃度であるにもかかわらず、アクネ菌に対する資化性が低くニキビになり難く、しかも皮膚に対する刺激が低く高い安全性を有する油性化粧料が得られることを見いだした。
【0009】
本発明の油性化粧料は、ポリグリセリン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル型ノニオン界面活性剤を含有し、界面活性剤を油性化粧料全量に対し15〜60質量%含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の油性化粧料において、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤としては、常温で液状若しくはペースト状の外観を有するものを用いることにより、使用時の伸び及び肌なじみが良好になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、界面活性剤濃度が15〜60質量%と高濃度であるにもかかわらず、アクネ菌に対する資化性が低くニキビになり難く、しかも皮膚に対する刺激が低く高い安全性を有する油性化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。まず、本発明の油性化粧料の各成分について説明する。
【0013】
本発明の油性化粧料は、ポリグリセリン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル型ノニオン界面活性剤を含有する。
【0014】
ポリグリセリン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤としては、重合度3〜15のポリグリセリンと、炭素数8〜22の脂肪酸とのエステルが好ましい。かかるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル,ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル,ペンタグリセリンモノラウリン酸エステル,デカグリセリンモノラウリン酸エステル,ペンタグリセリンモノミリスチン酸エステル,デカグリセリンモノミリスチン酸エステル,ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル,ヘキサグリセリンセスキステアリン酸エステル,デカグリセリンモノステアリン酸エステル,デカグリセリンジステアリン酸エステル,デカグリセリントリステアリン酸エステル,ヘキサグリセリンモノイソステアリン酸エステル,デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル,デカグリセリンジイソステアリン酸エステル,デカグリセリンモノカプリン酸エステル,ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル,ペンタグリセリンモノオレイン酸エステル,デカグリセリンモノオレイン酸エステル等が例示される。中でも、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル,ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル,デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が例示され、これらの中でも、デカグリセリンモノラウリン酸エステルを用いることが、アクネ菌に対する資化性の点から好ましい。
【0015】
ポリグリセリン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤の油性化粧料への配合量としては、1〜20質量%が好ましい。1質量%未満の配合では、アクネ菌に対する資化性が高くなる可能性がある。また20質量%を超えて配合してもこれ以上のアクネ菌に対する資化性の向上は認められない。
【0016】
ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレングリセリルに脂肪酸がエステル結合した構造で、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体がある。本発明においてはトリエステル体を用いることが、クレンジグ力の点から好ましい。エステル結合する脂肪酸としては、炭素数8〜22の脂肪酸が用いられ、例えばオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等が挙げられるが、これらのうち、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、オレイン酸を用いることにより、常温で液状若しくはペースト状の親水性ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤を得ることができ、肌上での伸びの点から好ましい。エチレンオキシド(以下、EOと略記する)の重合度としては5〜60のものが使用後のさっぱり感の点から好ましい。具体的には、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(3)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(10)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(40)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(50)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(60)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(3)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(10)グリセリル、、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(40)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(50)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(60)グリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレン(10)グリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレン(60)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(3)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(6)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(8)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(10)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(25)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(40)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(50)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(60)グリセリルが例示される。本発明の油性化粧料においては、オキシエチレン鎖長の異なる2種以上のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤を併用して用いることにより、HLB値の異なるものを選択することにより、クレンジング力,しっとり感と洗い流したあとのさっぱり感が両立した、良好な使用感の油性化粧料を得ることができる。
【0017】
ポオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤の油性化粧料への配合量としては、1〜40質量%が好ましい。1質量%未満の配合では、クレンジング力や洗い流した後のさっぱり感が低下したり、油中に分散させた場合に均一に白濁せず油浮きの原因となる可能性がある。
【0018】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル型ノニオン界面活性剤としては、通常皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されない。グリセリン1モルに対して脂肪酸を1〜2モルで反応させたグリセリン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを付加して製造される。使用される脂肪酸は炭素数8〜24の直鎖または分岐の脂肪酸であり、エチレンオキシドの付加モル数は平均で5〜80である。例えば、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレン(7)モノヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン(30)モノヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン(80)モノ牛脂脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン(3)イソステアリン酸グリセリル,ポリオキシエチレン(5)イソステアリン酸グリセリル,ポリオキシエチレン(6)イソステアリン酸グリセリル,ポリオキシエチレン(8)イソステアリン酸グリセリル,ポリオキシエチレン(10)イソステアリン酸グリセリル,ポリオキシエチレン(15)イソステアリン酸グリセリル,ポリオキシエチレン(20)イソステアリン酸グリセリル,ポリオキシエチレン(25)イソステアリン酸グリセリル,ポリオキシエチレン(7)(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、モノ[ポリオキシエチレン(20)イソステアリン酸]グリセリル、ジ[ポリオキシエチレン(20)イソステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
【0019】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル型ノニオン界面活性剤の油性化粧料への配合量としては、1〜40質量%が好ましい。1質量%未満の配合では、クレンジング力や洗い流した後のさっぱり感が低下したり、湯中に分散させた場合に均一に白濁せず油浮きの原因となる可能性がある。
【0020】
本発明の油性化粧料においては、ポリグリセリン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル型ノニオン界面活性剤以外の界面活性剤を配合することを妨げない。
【0021】
本発明の油性化粧料は、油性化粧料全量に対し15〜60質量%の界面活性剤を含有する。15質量%未満の配合では、充分なクレンジング力を得られにくくなったり、湯中での白濁が充分ではなく油浮きの原因となったりする可能性がある。60質量%を超えて配合すると、皮膚刺激性の原因となったり、しっとり感が低下する原因となる可能性がある。
【0022】
本発明の油性化粧料は、外観を透明にするために、精製水を配合することができる。精製水の配合量としては、油性化粧料の性質上0.05〜10質量%の配合が好ましい。
【0023】
本発明の油性化粧料は、液状若しくは、ゲル化剤を添加してゲル状の形態で提供される。ゲル化剤としては、通常油性化粧料のゲル化剤として配合されるものであれば特に限定されず、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、ショ糖パルミチン酸エステル、でんぷんパルミチン酸エステル、バクモンドウステアリン酸エステルなどの多糖脂肪酸エステル、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト等の有機変性粘土鉱物、12−ヒドロキシステアリン酸、煙霧状シリカ粉末等があげられる。
【0024】
本発明の油性化粧料に配合される油性成分としては、通常油性化粧料に配合されるものであれば特に限定されないが、常温で液状若しくはペースト状のものを用いることが好ましい。具体的には、例えばスクワラン、α−オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、流動パラフィン、ワセリンなどの炭化水素類、オリーブ油、メドフォーム油、アボカド油、アルモンド油、ゴマ油、ツバキ油、シソ油、綿実油、ヒマワリ油、ナタネ油、オレンジ油、グレープフルーツシード油、グレープシード油、ナタネ油、パーム油、サフラワー油、ホホバ油等の植物油、ミンク油、卵黄油、馬油、ラノリン類などの動物油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、エチルヘキサン酸セチルなどのエステル油等が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上を組み合わせて使用される。
【0025】
また、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、さらに保湿剤、安定剤、酸化防止剤、着色料、香料、抗炎症剤、殺菌剤、抗菌剤などを添加してもよい。
【0026】
本発明の油性化粧料は、油性クレンジング化粧料、油性入浴剤として好適に使用される。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]
表1に示す処方にて、全成分を均一に混合することにより、油性クレンジング化粧料を調製した。
【0029】
【表1】

【0030】
[細胞毒性試験]
ヒト子宮頚部ガン由来細胞株HeLa細胞を、1ウェル当たり4.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に10%のウシ胎児血清(FBS)と0.03%のL−グルタミンを添加したものを基本培地として用いた。72時間嫌気培養後、基本培地に各濃度に調製したサンプルを添加した培地に交換し、さらに48時間嫌気培養した。培地を生理食塩水で2回洗浄し、0.5mg/mLのMTT(3−[4,5−Dimethylthiazole−2−yl]−2,5−dipyenyltetrazolium bromide)溶液を2時間接触させ、精製した青色ホルマザンを0.04N塩酸−イソプロパノールで抽出し、590nmの波長の吸光度を測定することにより定量した。被験物質を含まない場合の吸光度を100%とし、50%の吸光度を示す濃度をEC50値とした。細胞毒性試験は、表2に示す基準で判断し、結果を表3にまとめる。
【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
[比較例1]
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 38.0(質量%)
(2)ジプロピレングリコール 20.0
(3)オクチルドデカノール 10.0
(4)トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル 10.0
(5)炭酸ジカプリリル 10.0
(6)ポリオキシエチレン(7)(カプリル/カプリン酸)グリセリル 10.0
(7)精製水 2.0
【0034】
表3より、本発明の実施例は他の一般的なクレンジングオイルである比較例1と比較して、高い安全性を有するものであることは、明らかである。
【0035】
[資化性試験]
GAM液体培地にて培養したアクネ菌(Propionibacterium acnes)を、被験物質を1%、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレングリコール(20)を9%含有するアクネ用NYT培地に5.2×105cfu/mLとなるように播種して培養し、24時間後及び48時間後の残存菌数をカウントした。変法GAM寒天培地に塗沫し、37℃で5日間嫌気培養し、出現するコロニー数をカウントして残存するアクネ菌数/mLを算出した。なお、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレングリコール(20)を10%添加して培養し、アクネ菌に対して資化性を示さないことを確認した。また被験物質を添加せずに培養したものを、コントロールとして同時に試験を行った。
【0036】
[比較例2]
(1)ベニバナ油 35.0(質量%)
(2)スクワラン 38.0
(3)テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 5.0
(4)トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル 20.0
(5)精製水 2.0
【0037】
[比較例3]
(1)流動パラフィン 38.0
(2)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 40.0
(3)ジイソステアリン酸ポリオキシエチレン(8)グリセリル 18.0
(4)リイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル 2.0
(5)精製水 2.0
【0038】
【表4】

【0039】
表4に示した通り、市販されている通常のクレンジングオイルでは、明らかなアクネ菌の増殖促進効果が認められており、アクネ菌に対する資化性が高いことが認められている。これに対し、本発明の実施例は、アクネ菌に対し資化性を示さなかった。
【0040】
[使用試験]
ニキビを気にする10〜20才台の女性10名を一群として、1日1回、5日間連続して通常に使用させ、クレンジング力、皮膚刺激及び皮膚トラブルに関するアンケートを行った。結果は各項目に対して該当すると評価したパネラーの数で表4に示した。
【0041】
【表4】

【0042】
表4に示したとおり、本発明の実施例はクレンジング力が良好であり、ニキビ症状に改善傾向が認められ、しかも皮膚刺激性や皮膚が乾燥するなどの皮膚トラブルの認められない高い安全性を示すものであった。
【0043】
表5に記載した入浴剤を調製し、実施例1と同様の使用試験を行った。結果は表5に記載した通り、浴湯が均一に白濁し、アクネ症状に改善傾向が認められ、安全性に問題も無く、しかも風呂上りにしっとりする良好な使用感を有していた。
【0044】
【表5】

【0045】
表6に、クレンジングオイルの実施例並びに使用試験結果を示す。
【0046】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリグリセリン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤と、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル型ノニオン界面活性剤を含有し、界面活性剤濃度が油性化粧料全量に対し15〜60質量%である、油性化粧料。
【請求項2】
ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤が、常温で液状若しくはペースト状のポリオキシエチレン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤である、請求項1に記載の油性化粧料。

【公開番号】特開2008−13504(P2008−13504A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187336(P2006−187336)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】