説明

油性固形化粧料

【課題】
本発明は、油性固形化粧料に関し、更に詳しくは密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさを有する油性固形化粧料に関するものである。
【解決手段】
(A)RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂、(B)ラウロイルリシン粉末、(C)表面に複数の突起物を有する球状シリコーン粒子、(D)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物;
を配合することを特徴とする油性固形化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性固形化粧料に関し、更に詳しくは密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさを有する油性固形化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワックス、皮膜形成剤、粉体等が使用された油性固形化粧料は、密着感、化粧持ちに優れているため、広く用いられている。近年、油性固形化粧料には、肌への密着感が高く、化粧持ちに優れながらも、肌上での伸び広がりに優れ、感触が良好であることが求められており、こうした市場要求にこたえるべく、様々な検討がなされてきた。例えば、付着力、隠ぺい力、分散性を向上させるためにN―長鎖アシル塩基性アミノ酸を使用する技術(特許文献1)や、密着感および化粧崩れ防止を高めるため球状シリコーン粒子とポリオルガノシロキサンを組み合わせて使用する技術(特許文献2)、弾力感があり、伸び広がり及び化粧膜の均一性を高めるため部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物と低粘度シリコーン油とイヌリン脂肪酸エステルを組み合わせて使用する技術(特許文献3)等があった。
しかしながら、特許文献1の技術では、とまりの良い伸びのなめらかさ、ソフトな感触(弾力感)が十分ではなかった。また、特許文献2の技術では、更に化粧持ちを向上させるために、球状シリコーン粒子の量を増やすと使用感がざらついてしまい、満足がいく使用感を得ることが困難であった。更に、化粧膜の弾力感が不足していた。特許文献3の技術で得られる化粧膜では、密着感が弱く化粧持ちが充分ではなかった。
油性固型化粧料、特にアイカラーやほほ紅のように肌に色彩を付与するメークアップ化粧料は、肌上で塗布した化粧料を指などで伸ばして色をぼかすメークをされることが多く、のび広がりし易くも、化粧膜が肌に密着し、化粧持ちがよい油性固型化粧料の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−337519号公報
【特許文献2】特開2008−137953号公報
【特許文献3】特開2008−273942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした実情から、密着性や化粧持ちの良さを持った油性化粧料に関し、ぼかし易さを実現する為に、肌上への伸び広がりに優れながらも、とまりがよく、化粧持ちがよい、弾力のあるソフトな感触を持つ油性固形化粧料の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者らは鋭意検討の結果、油性化粧料に、粉体として形状に特徴のあるシリコーン樹脂とラウロイルリシン粉末の肌への付着の良さに着目し、弾力性を持ち感触に優れる部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、やわらかい膜でありながら耐水・耐皮脂性に優れるシリコーン樹脂と組合せることで、肌への伸びがよい滑らかな使用性をもちながらも、密着感のあるとまりが良い膜を作り、密着感、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすい滑らかな伸び広がりの使用性を有する油性固形化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、油性固形化粧料に関し、更に詳しくは密着感および化粧持ちに優れ、いつまでも伸び広がり続けることなく化粧部位にすぐに均一な化粧膜を形成するといったとまりの良い伸びの滑らかさ、膜がやわらかく指取れの良いソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさを有する油性固形化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(A)のRSiO1.5単位とRSiO0.5単位から成るシリコーン樹脂は、RSiO1.5単位より成るシラノール基含有オルガノポリシルセスキオキサン(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)のシラノール基を、トリオルガノシリル基で封鎖したものである。成分(A)は有機溶剤に可溶な被膜形成性の樹脂であり、有機溶剤に不溶な、一般的にシリコーン樹脂粉体として知られているものとは異なる。成分(A)は化粧料に用いることで、肌への密着感や、化粧持ちを向上させることができる。具体的には、INCI名称(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling Name)でポリメチルシルセスキオキサンで表されるSILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等が挙げられる。本発明における成分(A)の配合量は、2.5〜8質量%(以下、単に%とする)が好ましく、更に好ましくは4〜6%である。この範囲であれば、肌への密着感や、化粧持ちなどの効果が十分に発揮される。
【0008】
本発明の油性固形化粧料に使用される成分(B)のラウロイルリシンは、リシンとラウリン酸のアミドの粉末である。成分(B)の形状は、薄片や板状が好ましく、平均粒径は肌への密着感の観点より、1〜30μmが好ましい。この範囲のラウロイルリシン粉末としてはアミホープLL(味の素社製)等があげられる。本発明の油性固形化粧料における、成分(B)の配合量は、1〜9%が好ましく、4〜7%が特に好ましい。この範囲で用いると、肌への密着感や、化粧持ちなどの効果が十分に発揮される。
【0009】
本発明の油性化粧料に使用される成分(C)の表面に複数の突起物を有する球状シリコーン粒子は、その形状に特徴があり、粒子表面全体に複数の微小突起を有し、いわゆる金平糖のような形状をなすシリコーン樹脂粉体である。平均粒子径は特に限定されるものではないが、3.5〜10μmが好ましい。突起は科学的に結合しており、容易に欠落することがない。突起部分は、突起物の直径の平均値/母体粒子の直径が、0.01〜0.3であり、かつ、突起物の高さの平均値/母体粒子の直径が、0.01〜0.3であることが好ましい。このような球状シリコーン粒子の市販品としては、INCI名称がポリメチルシルセスキオキサンであるTOSPEARL 150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。本発明における成分(C)の配合量は、全油性固形化粧料中の3〜15%が好ましく、更に好ましくは7〜13%である。この範囲であれば、とまりの良いのびのなめらかさ、肌への密着感、化粧持ちなどの効果が十分に発揮される。
尚、上記平均粒径は、突起物を含む球状シリコーン粒子の平均粒径をいい、粒度分布測定装置(Coulter社製、レーザー散乱・回折型コールターLSシリーズ)により、突起物の直径の平均値、突起物の高さの平均値、母体粒子の直径は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用することにより測定することができる。
【0010】
本発明に用いられる成分(D)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物とは、ベンゼンに不溶であるが、自重と同重量以上のベンゼンを含みうる三次元架橋構造を有するオルガノポリシロキサン重合物であり、特公平8−6035号公報等に記載されているものが例示される。部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、オルガノポリシロキサンを架橋結合させて得られる重合物であり、一部に三次元架橋構造を有し、RSiO単位及びRSiO1.5単位よりなり、RSiO0.5単位及び/又はSiO単位を含んでいても良い。式中のRは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等などのアリール基、及びビニル基等の脂肪族不飽和基などが例示され、同種又は異なった種類であっても良く、例えばINCI名称(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。市販品としては、低粘度シリコーン油との混合物があり、KSG−15(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー5部とデカメチルシクロペンタシロキサン95部)、KSG−16((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー25部とメチルポリシロキサン75部)、KSG−18((ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15部とメチルフェニルポリシロキサン85部)、KSG−43((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー30部とトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル70部)(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。本発明においては(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーがソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさの点において好ましい。本発明における成分(D)の配合量は、1.5〜6%が好ましく、更に好ましくは2.5〜4%である。この範囲であれば、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさなどの効果が十分に発揮される。
【0011】
本発明の油性固形化粧料には、上記の(A)〜(D)の必須成分に加え、本発明の効果を妨げない範囲で、油性成分、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤等、通常化粧品に配合される他の成分を配合することができる。
【0012】
成分(B)、(C)以外の粉体としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、ラメ類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。 具体的には、合成金雲母、雲母、セリサイト、タルク、カオリン、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、無水ケイ酸被覆雲母チタン、紺青処理雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化鉄被覆無水ケイ酸、魚鱗箔、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、無水ケイ酸酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等の樹脂積層末のラメ剤、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー等の有機粉体類、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体類、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体類、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸等の複合粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。尚、これら粉体は、フッ素化合物、シリコーン化合物、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素、水性高分子等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。
【0013】
本発明に使用される粉体の配合量は、成分(B)及び(C)も含めて、全油性固形化粧料中の25〜50%が好ましく、更に好ましくは35〜45%である。この範囲であれば、密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさの効果が十分に発揮される。
【0014】
油性成分としては、化粧料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、ポリイソブチレン、ポリブテン、セレシンワックス、オゾケライトワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類、ホホバ油、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、ロジン酸ペンタエリスリチル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、トリグリセライド、リンゴ酸ジイソステアリル、トリメリト酸トリデシル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性オルガノポリシロキサン、ベヘニル変性オルガノポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0015】
水性成分としては、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
界面活性剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に制約されず、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2ペンタジオール等が挙げられる。
【0016】
本発明の油性固型化粧料は、特に限定されないが、化粧持続効果に優れることからメーキャップ化粧料に有利である。具体的には、アイライナー、アイカラー、ファンデーション、ほほ紅、口紅等があげられる。中でも、今回顕著な効果である密着感、化粧持ち、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさは、特にアイカラー、ほほ紅で求められる効果である。
本発明の油性固形化粧料は、常温で流動性を有しないものであり、油剤を主成分とする油性、外層を油剤の連続相とする油中水型に適用されうるが、水の含有量が1%以下である実質的に水を含まない油性が好ましい。
【実施例】
【0017】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜4:油性固形ほほ紅(固形状)
下記表1に示す処方の油性固形ほほ紅を調製し、密着感、化粧持ち、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさについて下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0018】
【表1】

※1:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※2:SR1000(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※3:アミホープLL(板状、平均粒子径:長径12μm、短径10μm、厚さ0.4μm、味の素社製)
※4:TOSPEARL 150KA(平均粒子径3.5〜6.5μm、モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※5:サンシンセリサイト FSE(板状、平均粒子径10μm、三信鉱工業社製)
※6:トスパール 2000B*(平均粒子径6μm、モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※7:KSG―15((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー:5%、デカメチルシクロペンタシロキサン:95%、信越化学工業社製)
※8:KSG―43((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー:30%、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル:70%、信越化学工業社製)
※9:チミカゴールドスパークル(BASF社製)

【0019】
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を100℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(7)〜(15)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを容器に充填してほほ紅を得た。
【0020】
(評価方法)
下記評価項目について下記方法により評価を行った。
(評価項目)
イ.ソフトな感触(弾力感)
ロ.とまりの良い伸びの滑らかさ
ハ.密着感
ニ.ぼかしやすさ
ホ.化粧持ち
イ〜ホの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。イについては、各試料自体がソフトで感触のよいものかどうか、ロについては、各試料の塗布時の伸び広がりがをもちながらも、密着感のある均一な化粧膜を形成するか、ニについては、指や化粧具を用いて化粧膜をぼかしやすく、自然な化粧効果が得られやすいかどうかを使用時に評価した。なお、ホについては各試料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらった後、6時間後に汗などでにじんだりしていないか、化粧膜が部分的に剥離していないか等を評価した。
【0021】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0022】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜6のほほ紅は、比較例1〜4のほほ紅に比べ、密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさに優れたものであった。
一方、成分(A)のシリコーン樹脂の代わりにRSiO1.5単位を有しないシリコーン樹脂を配合した比較例1では、化粧持ちの良さ、とまりの良い伸びの滑らかさにおいて、満足のいくものが得られなかった。成分(B)ラウロイルリシン粉末の代わりに板状粉体であるセリサイトを配合した比較例2では、肌への密着感、化粧持ちの良さにおいて、満足のいくものが得られなかった。成分(C)表面に化学的に結合してなる突起物を有する球状シリコーン粒子の代わりに真球状シリコーン樹脂粉末を配合した比較例3では、肌への密着感、化粧持ちの良さ、とまりの良い伸びの滑らかさにおいて、満足のいくものが得られなかった。成分(D)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の代わりに有機シリコーン樹脂を配合した比較例4では、肌への密着感、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさの点で、満足のいくものが得られなかった。
【0023】
実施例6:油性ファンデーション(固形状)
(成分) (%)
(1)成分(A)のシリコーン樹脂※1 10
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 10
(3)ジメチルポリシロキサン 残量
(4)ポリエチレンワックス 3
(5)マイクロクリスタリンワックス 3
(6)ラウロイルリシン粉末※3 2
(7)表面に複数の突起物を有する球状シリコーン粒子※4 1
(8)(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーと
デカメチルシクロペンタシロキサン混合物※7 30
(9)酸化チタン 2
(10)ベンガラ 1
(11)黄酸化鉄 2
(12)マイカ 10
(13)ローズマリーエキス 0.1
(14)香料 0.1
※9:KSG−18((ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー:15%、メチルフェニルポリシロキサン:85%、信越化学工業社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を100℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(6)〜(14)を加え均一に分散する。
C.Bを金皿に流し込み、冷却固化して油性ファンデーションを得た。
本発明の実施例6の油性ファンデーションは、密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさを有する優れたものであった。
【0024】
実施例7:油性アイカラー(固形状)
(成分) (%)
(1)成分(A)のシリコーン樹脂※1 1
(2)メチルフェニルポリシロキサン 5
(3)トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル 残量
(4)キャンデリラロウ 5
(5)カルナウバロウ 3
(6)ラウロイルリシン粉末※3 0.5
(7)表面に複数の突起物を有する球状シリコーン粒子※4 15
(8)(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーと
デカメチルシクロペンタシロキサンの混合物※7 5
(9)雲母チタン※10 10
(10)赤色202号 0.1
(11)酢酸トコフェロール 0.1
(12)フェノキシエタノール 0.5
※10:チミロンスーパーレッド(メルク社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を100℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(6)〜(12)を加え均一に分散する。
C.Bを100℃にて加熱溶解し、金皿に流し込み、冷却固化して油性アイカラーを得た。
本発明の実施例7の油性アイカラーは、密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)、ぼかしやすさを有する優れたものであった。
【0025】
実施例8:油性アイライナー(固形状)
(成分) (%)
(1)成分(A)のシリコーン樹脂※1 5
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 5
(3)トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル 残量
(4)パラフィンワックス 1.5
(5)マイクロクリスタリンワックス 0.5
(6)ラウロイルリシン粉末※3 6
(7)表面に複数の突起物を有する球状シリコーン粒子※4 2
(8)(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーと
デカメチルシクロペンタシロキサンの混合物※7 23
(9)(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーと
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルの混合物※8 6
(10)酸化チタン 0.4
(11)黒酸化鉄 15
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を100℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(6)〜(11)を加え均一に分散する。
C.Bを100℃にて加熱溶解し、金皿に流し込み、冷却固化して油性アイライナーを得た。
本発明の実施例8の油性アイライナーは、密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)に優れたものであった。
【0026】
実施例9:スティック状口紅
(成分) (%)
(1)成分(A)のシリコーン樹脂※1 5
(2)メチルフェニルポリシロキサン 5
(3)トリイソステアリン酸グリセリル 残量
(4)エチレン・プロピレンコポリマー※11 8
(5)マイクロクリスタリンワックス 2
(6)ラウロイルリシン粉末※3 1
(7)表面に複数の突起物を有する球状シリコーン粒子※4 2
(8)(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーと
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルの混合物※8 6
(9)酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)※12 10
(10)酸化チタン 1
(11)赤色202号 0.1
(12)黄色4号 0.05
(13)炭酸カルシウム 0.1
(14)天然ビタミンE 0.05
※11:EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)
※12:メタシャインMC1080RC−R(大東化成工業社製)2%パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を100℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(6)〜(14)を加え均一に分散する。
C:Bを100℃にて加熱溶解し、脱泡後、スティック状容器に直接流し込み、冷却固化して、スティック状口紅を得た。
本発明の実施例9のスティック状口紅は、密着感および化粧持ちに優れ、とまりの良い伸びの滑らかさ、ソフトな感触(弾力感)に優れたものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D);
(A)RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂;
(B)ラウロイルリシン粉末;
(C)表面に複数の突起物を有する球状シリコーン粒子;
(D)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物;
を配合することを特徴とする油性固形化粧料。
【請求項2】
成分(B)及び成分(C)を含めた粉体を25〜50質量%配合することを特徴とする請求項1記載の油性固形化粧料。
【請求項3】
上記成分(A)を2.5〜8質量%、上記成分(B)を1〜9質量%、上記成分(C)を3〜15質量%、上記成分(D)を1.5〜6質量%配合することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の油性固形化粧料。
【請求項4】
上記成分(D)が(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー及び/または(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油性固形化粧料。
【請求項5】
ほほ紅またはアイカラーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油性固形化粧料。


【公開番号】特開2012−184206(P2012−184206A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49884(P2011−49884)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】