説明

油組成物のための添加剤

【課題】鋭い終留出物と低終点を有する燃料の低温特性を改善する組成物の提供。
【解決手段】エチレンから誘導された単位に加えて、少なくとも1つのエチレンポリマーが、下記式(I):


を有する単位を含み、必要により下記式(II):


を有する単位を含んでもよく[R1基は、各々独立して水素又はメチル; R2基は、各々独立して、炭素原子5個以上を有するアルキル基; R3基は、各々独立して水素又はメチル; R4基は、各々独立して炭素原子1〜4個を有するアルキル基], エチレンポリマーにおける式(I)の単位の割合が16〜30モル%であり; エチレンポリマーにおける式(I)の単位と式(II)の全割合が19〜30モル%であるポリオキシアルキレン化合物とエチレンポリマーを含む添加剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油組成物のための添加剤、主に燃料油組成物のための添加剤、特に低温でワックス形成しやすい燃料油組成物のための添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料油は、石油から誘導されるにしても植物源からにしても、燃料の流動する能力を消失させるゲル構造を形成するように低温でワックスのプレートのような大きな結晶又は球晶として沈殿させる傾向がある成分、例えば、n-アルカン又はメチルn-アルカノエートを含有する。燃料がなお流動する最低温度は流動点として知られる。
燃料の温度が降下し、流動点に近づくにつれて、ラインやポンプによって燃料を輸送するのに問題が生じる。更に、ワックスの結晶は、流動点よりも高い温度で、燃料パイプ、スクリーン、フィルターを詰まらせる傾向がある。これらの問題は、従来技術において十分認められており、種々の添加剤が提唱され、その多くは燃料油の流動点を低下させるために商業的に用いられている。同様に、他の添加剤も提唱され、サイズを減少させるために、また、形を与えるワックスの結晶の形状を変えるために商業的に用いられている。フィルターを詰まらせにくいので小さなサイズの結晶が望ましい。ディーゼル燃料からのワックスは、主にアルカンワックスであり、小板状物として結晶する。ある種の添加剤がこれを阻止し、ワックスを針晶にするようにさせ、得られた針晶はフィルターを通過しやすく、又は、小板状物であるよりはフィルタ上で結晶の多孔質層を形成する。添加剤は、また、燃料において懸濁液としてワックスの結晶を保持すること、沈降を減少させること、従って遮断の防止を援助することの効果を有することができる。
有効なワックス結晶変性(軽油ろ過目詰まり点(CFPP)や他の動作可能試験、また、模擬、現地性能で測定した)は、エチレン-酢酸ビニル(EVAC)又はプロピオン酸ビニル共重合体系流れ向上剤によって達成することができる。
英国明細書第1,086,036号、欧州特許出願第527,322号、及び同第518,406号には、コーティングのためのラテックスとして適切なターポリマーが記載され、これらのターポリマーはエチレンと第三級又は第四級脂肪族カルボン酸のビニルエステルと更に酢酸ビニルであってもよいエステルモノマーと共重合することにより形成されている。
英国明細書第1,314,855号には、エチレン、酢酸ビニル、炭素原子8〜30個を有する飽和カルボン酸であってもよい長鎖カルボン酸のビニルエステルのターポリマーが記載されている。これらのターポリマーは粘度指数向上剤として潤滑油に用いられるように記載されている。
英国明細書第1,244,512号には、エチレン、C2〜C4モノカルボン酸のビニルエステル、好ましくは下記式
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、Xは、水素又はメチル基であり、Yは、OOCR又は-COORであり、ここで、Rは、好ましくはC10〜C16直鎖又は分枝鎖アルキル基である。)
を有するC10〜C22アルキル基を有する少量の不飽和エステルのターポリマーが記載されている。
国際出願第96/07718号には、エチレン単位と異なるビニルエステル単位を有する油溶性エチレンターポリマー、及び燃料油組成物の低温流動性を改善するための添加剤としてのそれらの使用が開示されている。ポリマー例1〜4は、種々の割合の2つの不飽和エステルを有し、数平均分子量と枝分れ特性が異なっている、エチレン-酢酸ビニル-ビニル2-エチルヘキサノエートターポリマーである。
国際出願第96/07718号のポリマーは、有効な低温流れ向上剤であり、市販のビニルエステルモノマーから製造されるという利点がある。
欧州特許第0 061 895号には、留出油燃料のための流れ向上剤として有効なポリオキシアルキレンエステル及びエーテルのようなポリオキシアルキレン化合物が記載されている。これらは、EVAポリマーと組合わせて用いることができる。
欧州特許第1 007 606号には、留出油燃料のための流れ向上剤としてエチレン/ビニルエステルコポリマーとターポリマーの使用が記載されている。これらは、欧州特許第0061 895号に記載されるようなポリオキシアルキレン化合物と組み合わせることができる。欧州特許第1 007 606号のエチレンビニルエステルコポリマーの最大ビニルエステル含量は18モル%であり、その割合は酢酸ビニルである。
上記の流れ向上剤は概ね有効であるが、それらがある種の燃料に用いられる場合、有効性の低下を本出願人は見出した。特に、終留出物が鋭く終点の低い燃料に用いるために、酢酸ビニルより高い高割合のビニルエステルを有するエチレン/ビニルエステルポリマーと、ポリオキシアルキレン化合物との組合わせが高性能を示すことを出願人は見出した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、第1態様によれば、本発明は、少なくとも1つのポリオキシアルキレン化合物と少なくとも1つのエチレンポリマーを含む添加剤組成物を提供し、ここで、エチレンから誘導された単位に加えて、少なくとも1つのエチレンポリマーは、下記式(I):
【0006】
【化2】

【0007】
を有する単位と、任意に、下記式(II):
【0008】
【化3】

【0009】
を有する単位を含み、
ここで、R1基は、各々独立して水素又はメチルであり; R2基は、各々独立して、炭素原子5個以上を有するアルキル基であり; R3基は、各々独立して水素又はメチルであり; R4基は、各々独立して、炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり; エチレンポリマーにおける式(I)の単位の割合が16〜30モル%であり;エチレンポリマーにおける式(I)の単位と式(II)の全割合が19〜30モル%である。
エチレンポリマーにおける式(I)の単位の割合は、好ましくは18〜30モル%、更に好ましくは20〜30モル%、例えば、22〜28モル%である。
エチレンポリマーにおける式(I)と式(II)の単位の全割合は、好ましくは20〜30モル%、更に好ましくは22〜28モル%である。疑いを避けるために、エチレンポリマーが式(II)の単位を有しない実施態様を本発明が含むことは明らかである。エチレンポリマーにおける式(I)と(II)の単位の割合が重要であることがわかった。エチレンポリマーにおける式(I)と式(II)の単位の全割合が好適範囲より多くても少なくても性能が不十分なことがわかった。式(I)の単位の割合が低すぎると、有害であることもわかった。
好ましくは、R2は、炭素原子7〜15個を有する分枝鎖アルキル基である。2-エチルヘキサノエート、ビニルネオデカノエート、トリプロピレン(例えばイソノニル)のようなモノマーから誘導される単位が特に好ましい。
有利には、R1とR3は共に水素である。
ポリマーは、少なくとも2つの異なる反復モノマー単位を有する。即ち、少なくとも2つの異なるモノマーから誘導できる。式(II)の単位が含まれる場合、ポリマーは、少なくとも3つの異なる反復モノマー単位を有する。また、4つ以上のモノマーから誘導できるポリマーも含まれる。例えば、ポリマーは、式(I)又は(II)の2つ以上の異なる単位を含有することができ、及び/又は下記式(III):
【0010】
【化4】

【0011】
(式中、R5は、R4で定義したもの以外の炭素原子5個以上を有するヒドロカルビル基である。)
の単位を含有することができる。
本明細書に用いらる“ヒドロカルビル”という用語は、炭素原子が分子の残りに直接結合し且つ炭化水素又は主に炭化水素特性を有する基を意味する。特に、脂肪族基(例えば、アルキル)、脂環式基(例えば、シクロアルキル)、芳香族、脂肪族、脂環式置換の芳香族基、芳香族置換の脂肪族、脂環式基を含む炭化水素基を挙げることができる。脂肪族基は、有利には飽和されている。これらの基は、それらの存在が基の主な炭化水素特性を変えななければ非炭化水素置換基を有してもよい。例としては、ケト、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アシルが含まれる。ヒドロカルビル基が置換される場合、単一(モノ)置換基が好ましい。置換されたヒドロカルビル基の例としては、2-ケトプロピル、エトキシエチル、プロポキシプロピルが含まれる。基は、また、又は、或いは、炭素原子から構成される鎖又は環において炭素以外の原子を含有することができる。適切なヘテロ原子としては、例えば、窒素、硫黄、、好ましくは、酸素が含まれる。有利には、ヒドロカルビル基は、炭素原子を多くても30個、好ましくは多くても15個、更に好ましくは多くても10個、最も好ましくは多くても8個含有する。
ポリマーは、また、上述のもの以外の式の単位、例えば、下記式(IV)
-CH2CHR6- (IV)
(式中、R6は-OHである)
の単位又は下記式(V)
-CCH3(CH2R7)CHR8- (V)
(式中、R7とR8は各々の独立して水素又は炭素原子4個までを有するアルキル基である。)
の単位を有することができ、単位(V)はイソブチレン、2-メチルブタ-2-エン又は2-メチルペンタ-2-エンから有利には誘導されている。
【0012】
少なくとも1つのエチレンポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは3000〜8000、更に好ましくは4000〜8000、最も好ましくは4000〜7000の範囲にある。ポリスチレン鎖と比較して、本明細書のMnはGPCで測定されるその値を意味する。
少なくとも1つのエチレンポリマーの枝分れ度は、100のメチレン単位につきメチル基が好ましくは2〜5、更に好ましくは2〜4、例えば2〜3.5の範囲にある。ポリマーの枝分れ度は、NMRで測定され、R2基におけるメチル基とメチレン基の数を修正した場合、100メチレン単位に対するメチル基の数である。枝分れ度の計算の例については欧州特許第1 007 606号の図1とその説明に言及されている。エチレンポリマーの枝分れ度のNMR定量に用いられる条件の詳細は、当業者に既知である。例えば、当業者は、十分に分割されないNMRスペクトルを避けなければならず且つ適切な条件を選ぶことを知っている。通常は、高周波NMR計測器から得られるNMRスペクトルが好ましい。適切なNMR溶媒は、双方の良好なシグナル分解能を確実にするとともに溶媒からのシグナルとポリマーからのシグナル間の妨害を最小にするように選ばれる。出願人は、重水素を含むクロロホルムの溶媒を用いて400Mhz以上で動作するNMR計測器から約40℃で得られるスペクトルが適切であることがわかった。1H NMR実験も13C NMR実験も所望により用いることができる。
また、本発明の第1の態様に従って2つ以上のポリマーの混合物を含む組成物を提供することは本発明の範囲内である。
好ましくは、少なくとも1つのポリオキシアルキレン化合物は、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンエーテル、混合ポリオキシアルキレンエステル/エーテル又はその混合物を含んでいる。
少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのC10〜C30直鎖アルキル基と分子量5,000まで、好ましくは200〜5,000のポリオキシアルキレングリコール基を有するポリオキシアルキレン化合物が特に好ましく、前記ポリオキシアルキレングリコールにおけるアルキレン基は炭素原子1〜4個を有する。これらの材料は、欧州特許出願第0 061 895号の主題をなしている。このような他の添加剤は、米国特許第4,491,455号に記載されている。
【0013】
好ましいエステル、エーテル又はエステル/エーテルは、下記一般式
R31-O-(D)-O-R32
(式中、R31、R32は、同じでも異なってもよく、
(a) n-アルキル-
(b) n-アルキル-CO-
(c) n-アルキル-O-CO(CH2)x-又は
(d) n-アルキル-O-CO(CH2)x-CO-
であり、
xは、例えば、1〜30であり、アルキル基は直鎖であり、炭素原子10〜30個を有し、Dはアルキレン基が炭素原子1〜4個を有するグリコールのポリアルキレンセグメント、例えば、実質的に線状であるポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン又はポリオキシトリメチレン部分であり; 低級アルキル側鎖(例えば、ポリオキシプロピレングリコールにおける)を有するある枝分れ度は存在することができるが、グリコールが実質的に線状であることが好ましい。)
を有するものである。Dは、また、窒素を有してもよい。
適切なグリコールの例は、分子量が100〜5,000、好ましくは200〜2,000である実質的に線状のポリエチレングリコール(PEG)やポリプロピレングリコール(PPG)である。エステルが好ましく、グリコールと反応させてエステル添加剤を形成するのに炭素原子10-30個を有する脂肪酸が有効であり、C18 - C24脂肪酸、特にベヘン酸を用いることが好ましい。エステルは、また、ポリエトキシル化脂肪酸又はポリエトキシル化アルコールアルコールをエステル化することによって調製することができる。
ポリオキシアルキレンジエステル、ジエーテル、エーテル/エステル及びその混合物は添加剤として適切であり、微量のモノエーテルやモノエステル(製造工程でしばしば形成される)が存在する場合、狭い沸騰蒸留物に用いるのにジエステルが好ましい。多量のジアルキル化合物が存在することが好ましい。特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリエチレン/ポリプロピレングリコール混合物のステアリン酸ジエステル又はベヘン酸ジエステルが好ましい。
【0014】
ポリオキシアルキレン化合物の他の例は日本特許公報2-51477や3-34790に記載され、エステル化アルコキシル化アミンは欧州特許出願第117,108号や同第326,356号に記載されている。
添加剤組成物におけるポリオキシアルキレン化合物の量とエチレンポリマーの量との比は、好ましくは1:99〜99:1の範囲にあり、更に好ましくは1:10〜10:1の範囲にあり、例えば、1:2又は1:1である。
好ましい実施態様においては、添加剤組成物は更に櫛型ポリマーを含んでいる。これにより、更にCFPPで測定された場合、低温流れ性能が改善されることになる。
櫛型ポリマーは、ヒドロカルビル基を有する枝分れがポリマー主鎖からペンダントであるポリマーであり、“Comb-Like Polymers. Structure and Properties", N. A. Plate and V. P. Shibaev, J. Poly. Sci. Macromolecular Revs., 8, p 117 to 253 (1974)に記載されている。
一般的には、櫛ポリマーは、通常炭素原子10〜30個を有する1つ以上の長鎖ヒドロカルビル枝分れ、例えば、オキシヒドロカルビル枝分れ、ポリマー主鎖からペンダントを有し、前記枝分れが骨格鎖に直接又は間接に結合されている。間接結合の例は、間に置かれた原子又は基をによる結合を含み、結合が、塩におけるような共有結合及び/又はイオン結合を含むことができる。
有利には、櫛型ポリマーは、側鎖が少なくとも6原子、好ましくは少なくとも10原子を有する、少なくとも25モルパーセント、好ましくは少なくとも40モルパーセント、更に好ましくは少なくとも50モルパーセントの単位を有するホモポリマー又はコポリマーである。
好ましい櫛型ポリマーの例として、下記一般式
【0015】
【化5】

【0016】
(式中、D = R11、COOR11、OCOR11、R12COOR11又はOR11
E = H、CH3、D、又はR12
G = H又はD
J = H、R12、R12COOR11、又はアリール又は複素環基、
K = H 、COOR12、OCOR12、OR12又はCOOH、
L = H 、R12、COOR12、OCOR12、COOH、又はアリール、
R11 ≧C10ヒドロカルビル、
R12≧C1ヒドロカルビル又はヒドロカルビレン、
mとnは、モル分率であり、mは有限であり、好ましくは1.0〜0.4の範囲内にあり、nは1未満であり、好ましくは0〜0.6の範囲内にある。R11は、有利には炭素原子10〜30個を有するヒドロカルビル基であり、R12は、有利には炭素原子1〜30個を有するヒドロカルビル基又はヒドロカルビレン基である。)
を有するポリマーを挙げることができる。
櫛型ポリマーは、所望により又は必要とされる場合、他のモノマーから誘導される単位を含有することができる。
これらの櫛型ポリマーは、無水マレイン酸又はフマル酸又はイタコン酸と、スチレンを含む他のエチレン系不飽和のモノマー、例えば、α-オレフィン、又は不飽和エステル、例えば、酢酸ビニルのコポリマー又はフマル酸又はイタコン酸のホモポリマーであってもよい。等モル量のコモノマーを用いることが好ましいが不可欠でなく、2:1〜1:2の範囲のモル割合が適切である。例えば、マレイン酸無水物と共重合することができるオレフィンの例としては、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、及び1‐オクタデセンが含まれる。
【0017】
櫛型ポリマーの酸基又は無水物基は、あらゆる適切な手法でエステル化することができ、マレイン酸無水物又はフマル酸が少なくとも50%エステル化されることが好ましいが不可欠でない。用いることができるアルコールの例としては、n-デカン-1-オール、n-ドデカン-1-オール、n-テトラデカン-1-オール、n-ヘキサデカン-1-オール、及びn-オクタデカン-1-オールが含まれる。アルコールは、また、1鎖につき1つまでのメチル分枝を含んでもよく、例えば、1-メチルペンタデカン-1-オール又は2-メチルトリデカン-1-オールを含むことができる。アルコールは、ノルマルアルコールと単一メチル分枝アルコールの混合物であってもよい。市販のアルコール混合物よりむしろ純粋なアルコールを用いることが好ましいが、混合物が用いられる場合には、R12はアルキル基における平均炭素原子数を意味し; 1位又は2位に枝分れを有するアルコールが用いられる場合には、R12はアルコールの直鎖主鎖セグメントを意味する。
これらの櫛型ポリマーは、特に、例えば、欧州特許第153176号、欧州特許第153177号、欧州特許第225688号、国際出願第91/16407号に記載される、フマレート又はイタコネートポリマーやコポリマーであってもよい。
特に好ましいフマレート櫛型ポリマーは、例えば、フマル酸エステルと酢酸ビニルの等モル混合物を溶液共重合によって製造された、アルキル基が炭素原子10〜20個を有するアルキルフマレートと酢酸ビニルのコポリマー、特にアルキル基が炭素原子12個を有するか又はアルキル基がC12/C14アルキル基の混合物であるポリマーである。混合物が用いられる場合、有利には正常なC12とC14のノルマルアルコールの1:1質量混合物である。更にまた、C12エステルと混合C12/C14エステルとの混合物が、有利に用いることができる。このような混合物においては、C12とC12/C14との比は、質量で有利には1:1〜4:1、好ましくは2:1〜7:2、最も好ましくは約3:1の範囲にある。特に好ましい櫛型ポリマーは、気相浸透圧測定で測定した場合、数平均分子量が、1,000〜100,000、特に1,000〜30,000であるものである。
【0018】
他の適切な櫛型ポリマーは、α-オレフィンのポリマーやコポリマー、スチレンとマレイン酸無水物のエステル化コポリマー、スチレンとフマル酸のエステル化コポリマーであり; 2つ以上の櫛型ポリマーの混合物は本発明に従って用いることができ、上記のように、このような使用は有利なものである。櫛型ポリマーの他の例は、炭化水素ポリマー、例えば、エチレンと少なくとも1つのα-オレフィンのコポリマーであり、α-オレフィンは好ましくは多くても炭素原子20個を有し、例はn-デセン-1、n-ドデセン-1である。好ましくは、このようなコポリマーの数平均分子量は、GPCで測定した少なくとも30,000である。炭化水素コポリマーは、当該技術において既知である方法によって、例えば、チーグラー触媒を用いて調製することができる。
好ましくは、添加剤組成物における櫛型ポリマーの量とエチレンポリマーの量との比は、1:99〜99:1の範囲、更に好ましくは1:10〜10:1の範囲、例えば、1:1である。
添加剤組成物における櫛型ポリマーの量とポリオキシアルキレン化合物の量との比は、好ましくは1:99〜99:1の範囲、更に好ましくは1:10〜10:1の範囲、例えば、1:1である。
第2態様によれば、本発明は、第1態様の添加剤組成物とそのための相互に適合する溶媒を含む添加剤濃縮物組成物を提供する。
第3態様によれば、本発明は、油と少量の第1又は第2態様の組成物を含む油組成物を提供する。
第4態様によれば、本発明は、油の低温特性を改善するための第1又は第2態様の組成物の使用を提供する。
第5態様によれば、本発明は、油の低温特性を改善するための方法であって、油に第1又は第2態様の組成物を添加することを含む、前記方法を提供する。
本発明の添加剤組成物の更に有利な特徴は、燃料油の流動点についてのそれらの効果である。ポリオキシアルキレン化合物は、通常は、単独で使われる場合、あるとしても燃料油の流動点についての効果がほとんどない。本発明の第1態様に相対して定義されたエチレンポリマーは、単独で使われる場合、燃料油の流動点を著しく減少させることができるが、2つの化学種の組合わせにより流動点低下が特に良好であることが認められた。このように、本発明の第1態様に相対して定義された組成物は、測定されたCFPPと流動点双方の同時の低下に有効である。櫛型ポリマーの添加により、良好な流動点低下の利点を維持しつつ、上記CFPP性能が増加する。
【0019】
好ましくは、油は、燃料油、例えば、石油系燃料油、特に中間留出燃料油である。このような留出燃料油は、通常は110℃〜500℃、例えば、150℃〜400℃の範囲内で沸騰する。燃料油は、大気中の蒸留物又は減圧蒸留物、分離ガス油、又はあらゆる割合の直留におけるブレンド、熱的に及び/又は触媒的に分解された留出油を含むことができる。最も共通の石油留出物燃料は、灯油、ジェット燃料、ディーゼル燃料、暖房用オイル、重質油である。暖房用オイルは、大気中のストレート留出油であることができ、少量の、例えば、35wt%までの減圧ガスオイル又は分離ガス油の又はその双方を含有することができる。上述の低温フローの問題は、ディーゼル燃料と暖房用オイルにおいて通常最も直面している。本発明は、また、単独で又は石油留出油と混合して用いられる植物系の燃料油、例えば、なたね油メチルエステル(RME))に適用できる。
他の燃料油の例には、フィッシャー-トロプシュ燃料が含まれる。FT燃料としても知られるフィッシャー-トロプシュ燃料は、ガスを液体に変換する(GTL)燃料、石炭変換燃料として記載されるものを含んでいる。このような燃料を製造するために、シンガス(CO + H2)がまず生成され、次に、フィッシャー‐トロプシュ法によって直鎖パラフィンに変換される。直鎖パラフィンは、次に、種々の炭化水素、例えば、イソパラフィン、シクロパラフィン、芳香族化合物を得るために、接触分解/改質又は異性化、水素化分解、水素異性化のような方法によって改良することができる。得られたFT燃料は、それだけで又は本明細書に挙げられた他の燃料成分や燃料タイプと組合わせて用いることができる。
燃料油の硫黄含量は、好ましくは多くても0.2質量%、特に多くても0.05質量%である。更に低レベルの硫黄を有する燃料、例えば、50ppm/質量未満の硫黄、好ましくは20ppm未満、例えば10ppm以下を有する燃料も適切である。
本発明の添加剤は、特に鋭い終留出物と低終点(FBP)を有する燃料に用いるのに適切である。このような燃料は、FBP-90%蒸留が30℃以下、例えば、25〜20℃、FBPが370℃以下、例えば、360℃未満として特徴づけることができる。FBP-90%蒸留は、FBPと燃料の容量の90%が蒸留した温度との違いを意味する。この種の燃料の例は、北欧州暖房用オイル及び日本語、ナローカット、極端な低硫黄ディーゼル燃料である。
【0020】
或はまた、油は動物油、植物油又はミネラル油であってもよい潤滑油、例えば、ナフサ又はスピンドル油からSAE 30、40又は50の潤滑油グレードまでの範囲にある石油系油分、ヒマシ油、魚油又は酸化させた鉱油であってもよい。このような油は、その用途によっては添加剤を含有することができ; 例は、粘度指数向上剤、例えばエチレン-プロピレンコポリマー、コハク酸系分散剤、金属含有分散添加剤及びジアルキルジチオリン酸亜鉛耐摩耗添加剤である。
添加剤組成物は、また、追加の低温流れ向上剤を含むことができる。
低温特性を改善するための他の添加剤としては、極性窒素化合物が含まれる。このような化合物は、1つ以上、好ましくは2つ以上の式>NR13の置換基を持っている油溶性の極性窒素化合物であり、ここで、R13は8〜40原子を有するヒドロカルビル基であり、置換基又は1つ以上の置換基はそこから誘導されたカチオンの形であってもよい。油溶性極性窒素化合物は、一般的には、燃料におけるワックス結晶成長抑制剤として作用することができるものである。例えば、以下の化合物:
少なくとも1モル割合のヒドロカルビル置換アミンと1〜4つのカルボン酸基又はその無水物を有する1モル割合のヒドロカルビル酸とを反応させることによって形成されたアミン塩及び/又はアミドの1つ以上を含み、式>NR13の置換基は式-N R13 R14を有し、ここで、R13は上で定義され、R14は水素又はR14であるが、R13とR14が同じでも異なってもよく、前記置換基は化合物のアミン塩及び/又はアミド基の部分を構成している。
全炭素原子30〜300個、好ましくは50〜150個を有するエステル/アミドを用いることができる。これらの窒素化合物は、米国特許第4,211,534号に記載されている。適切なアミンは、主にC12〜C40第一級、第二級、第三級又は第四級アミン又はその混合物であるが、得られた窒素化合物が油溶性であれば、更に短鎖アミンを用いることができ、通常は約30〜300の全炭素原子を有する。窒素化合物は、少なくとも1つの直鎖C8〜C40、好ましくはC14〜C24アルキルセグメントを有することが好ましい。
【0021】
適切なアミンは、第一級、第二級、第三級又は第四級を含むが、好ましくは第二級である。第三級と四級アミンのみがアミン塩を形成する。アミンの例としては、テトラデシルアミン、ココアミン、水素添加された獣脂アミンが含まれる。第二級アミンの例としては、ジオクタセジルアミンやメチルベヘニルアミンが含まれる。天然材料から誘導されるアミン混合物もまた適切である。好ましいアミンは、第二級水素添加獣脂アミンであり、アルキル基は約4%のC14、31%のC16、59%のC18から構成される水素添加された獣脂脂肪から誘導される。
窒素化合物を調製するのに適切なカルボン酸及びそれらの無水物の例としては、エチレンジアミン四酢酸、環状骨格に基づくカルボン酸、例えば、ジアルキルスピロビスラクトンを含むシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-ジカルボン酸が含まれる。通常、これらの酸は、環状部分に炭素原子約5〜13個を有する。本発明において有効な好ましい酸は、ベンゼンジカルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸である。フタル酸とその無水物が特に好ましい。特に好ましい化合物は、1モル部分の無水フタル酸と2モル部分の二水素添加された獣脂アミンとを反応させることによって形成されたアミド-アミン塩である。他の好ましい化合物は、このアミド-アミン塩を脱水することによって形成されたジアミドである。
他の例は、長鎖アルキル又はアルキレン置換ジカルボン酸誘導体、例えば、置換されたコハク酸のモノアミドのアミン塩であり、それらの例は、当該技術において既知であり、例えば、米国特許第4,147,520号に記載されている。適切なアミンは、上記のものであってもよい。
他の例は、凝縮物、例えば、欧州特許出願第327423号に記載されるものである。
低温特性を改善するための添加剤は、更に環構造に下記の一般式
-A-N R15 R16
(式中、Aは1つ以上のヘテロ原子によって任意に中断された直鎖又は分枝鎖脂肪族ヒドロカルビレン基であり、R15、R16は、同じか又は異なり、各々独立して1つ以上のヘテロ原子によって任意に中断された9〜40原子を有するヒドロカルビル基である。)
を有する少なくとも2つの置換基を持っている環状の環構造を有する化合物であり、置換基は同じか又は異なり、化合物は任意にその塩の形にある。有利には、Aは炭素原子1〜20個有し、好ましくはメチレン基又はポリメチレン基である。このような化合物は、国際出願第93/04148号に記載されている。
炭化水素ポリマーも適切である。例は、一般式:
【0022】
【化6】

【0023】
(式中、T = H又はR21、ここで
R21 = C1〜C40ヒドロカルビル、
U = H、T、又はアリール、
vとwは、モル分率であり、vは1.0〜0.0の範囲にあり、wは0.0〜1.0の範囲にある。)
を有するものである。
炭化水素ポリマーは、直接モノエチレン系不飽和モノマーから又は間接的にポリ不飽和のモノマー、例えば、イソプレンやブタジエンからポリマーを水素添加することにより製造することができる。
炭化水素ポリマーの例は、国際出願第91/11488号に開示されている。
好ましいコポリマーは、数平均分子量が少なくとも30,000である、エチレンα-オレフィンコポリマーである。好ましくは、α-オレフィンは炭素原子を多くても28個有する。このようなオレフィンの例は、プロピレン、ブテン、イソブテン、n-オクテン-1、イソオクテン-1、n-デセン-1、n-ドデセン-1である。コポリマーは、また、少量の、例えば、10質量%までの、他の共重合性単量体、例えば、α-オレフィン、及び非共役ジエン以外のオレフィンを含むことができる。好ましいコポリマーは、エチレン-プロピレンコポリマーである。
エチレンα-オレフィンコポリマーの数平均分子量は、上記のように、ポリスチレン標準と相対してゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定された場合、好ましくは少なくとも30,000、有利には少なくとも60,000、好ましくは少なくとも80,000である。機能的に上限は生じないが、約150,000より大きい分子量の高粘度から混合の難しさが生じ、好ましい分子量範囲は、60,000や80,000〜120,000である。
有利には、コポリマーのモルエチレン含有量は、50〜85パーセントである。更に有利には、エチレン含有量は、57〜80%の範囲内にあり、好ましくは、58〜73%; 更に好ましくは62〜71%、最も好ましくは65〜70%の範囲内にある。
【0024】
好ましいエチレンα-オレフィンコポリマーは、モルエチレン含量が62〜71%、数平均分子量が60,000〜120,000の範囲のエチレン-プロピレンコポリマーであり; 特に好ましいコポリマーは、エチレン含量が62〜71%、分子量が80,000〜100,000のエチレン-プロピレンコポリマーである。
コポリマーは、当該技術において既知の方法のいずれかによって、例えばチーグラー触媒を用いて調製することができる。非常に結晶性のポリマーが低温で燃料油に比較的不溶性であるので、ポリマーは実質的に非晶質でなければならない。
他の適切な炭化水素ポリマーとしては、気相浸透圧測定で測定された場合、数平均分子量が好ましくは多くても7,500、更に好ましくは1,000〜6,000、例えば、2,000〜5,000が含まれる。適切なα-オレフィンは、上記の通り、又はスチレンであり、プロピレンも更にまた好ましい。有利には、エチレン含量は、60〜77モルパーセントであるが、エチレン-プロピレンコポリマーについては86質量モルパーセントまでのエチレンが有利に用いることができる。
炭化水素ポリマーは、最も好ましくは、線状ジエンと、少なくとも1つの非結晶性ブロックのエンド・ツー・エンド重合によって得られる、少なくとも1つの結晶性ブロックを含む、油溶性水素添加ブロックジエンポリマーであってもよく、非結晶性ブロックは線状ジエンの1,2‐立体配置重合によって、分枝のジエンの重合によって、又はこのような重合の混合物によって得られる。
有利には、水素添加の前のブロックコポリマーは、ブタジエンだけから、又はブタジエンと下記式
CH2=CR22−CR23=CH2
(式中、R22はC1〜C8アルキル基であり、R23は水素又はC1〜C8アルキル基である。)
を有する少なくとも1つのコモノマーから誘導される単位を含んでいる。有利には、コモノマーにおける全炭素原子数は5〜8であり、コモノマーは有利にはイソプレンである。有利には、コポリマーは、ブタジエンから誘導される少なくとも10質量%の単位を含有する。
一般に、1つ又は複数の結晶性ブロックは主にブタジエンの1,4-重合又はエンド・ツー・エンド重合から得られた単位の水素添加生成物であり、1つ又は複数の非結晶性ブロックは、ブタジエンの1,2-重合から又はアルキル置換ブタジエンの1,4-重合から得られた単位の水素添加生成物である。
【0025】
添加剤濃縮物(本発明の第2態様)
本発明の添加剤濃縮物は、油又は油と混合できる溶媒中の添加剤組成物の有利には3〜75%、好ましくは10〜65%含有する。
添加剤を留出燃料のようなバルク油に組み込むための手段として適切な溶媒と混合した添加剤を含む濃縮物が便利であり、当該技術において既知の方法で組込むことができる。濃縮物は、また、必要に応じて他の添加剤を含有することができ、好ましくは、3〜75wt %、更に好ましくは3〜60wt %、最も好ましくは10〜50wt %の、好ましくは油に可溶性の添加剤を含有する。溶媒の例は、炭化水素溶媒、例えば、ナフサ、灯油、ディーゼル、暖房用オイルのような石油留分; 芳香族留分のような芳香族炭化水素、例えば、‘SOLVESSO’商品名として販売されているもの; アルコール及び/又はエステル; ヘキサン、ペンタン、イソパラフィンのようなパラフィン系炭化水素を含む有機溶媒である。溶媒が添加剤との適合性や油との適合性を考慮して選ばなければならないことは当然のことである。
【0026】
油組成物(本発明の第3態様)
本発明の油組成物は、有利には、油の質量に基づいて0.0005%〜1%、有利には0.001〜0.1%、好ましくは0.01〜0.06%の質量による割合で本発明の添加剤組成物を含有する。
【実施例】
【0027】
ここで、本発明を単に一例として記載する。
CFPP性能
355℃の終点と14℃のFBP-90%蒸留を有する暖房用オイルの試料を、200ppmのポリオキシアルキレン化合物(ポリエチレングリコールジベヘネート、分子量約600(PEG600))だけで処理した。これにより、燃料のCFPPが-7.5℃に低下した、(ベース燃料の-2.5℃と比較して)。ポリオキシアルキレン化合物のみを用いて更に改善を達成することはできなかった。
単位がビニル2‐エチルヘキサノエートを含む、式(I)の単位の18.6モル%を有する400ppmのエチレンポリマーのみで処理した同じ油から、-7.0℃のCFPPが得られた。このエチレンポリマーと上記ポリオキシアルキレン化合物と併用は、-6.0℃までCFPP性能の悪化を招いた。
単位がビニル2‐エチルヘキサノエートを含む式(I)の単位の27.4モル%を有する400ppmのエチレンポリマーのみで処理した同じ油から、-3.0℃のCFPPが得られた。しかしなから、この場合、上記ポリオキシアルキレン化合物を添加することにより-10.5℃までCFPP低下が更に著しくなった。本実施例は、本発明の添加剤組成物、即ち、ポリオキシアルキレン化合物とビニルエステルの割合が酢酸ビニルより高いエチレンポリマーの組合わせの有効性を示すものである。
結果を下記の表1に示す。










【0028】

表1
【0029】
組成物A‐Kは、200ppmのポリエチレングリコールヒベヘネート(分子量約600(PEG600))と400ppmのエチレンポリマーを表1に示された式(I)と(II)の単位の割合で構成された。表1の最終欄は、200ppmの櫛型ポリマー(C12/C14混合アルキルフマレート/酢酸ビニルコポリマー)を添加した組成物A‐Kの結果を示すものである。これらの3成分組成物においては、200ppmの各化学種を用いた。これらの結果は、良好なCFPP性能を示し、櫛型ポリマーによって更に増進を示している。
2つの比較例については不十分な性能が観察された。比較例1は、式(I)と(II)の単位の合計量が多く、比較例2は、式(I)の単位の割合が本発明において必要とされるより低い。これらのデータは、式(I)と(II)の単位の相対量と合計量の重要性を示している。
流動点に対する添加剤組成物の効果
下記表2は、燃料の流動点を測定する実験の結果を挙げたものである。用いた燃料は、上記CFPP試験に用いたものと同様であり、流動点はいかなる添加剤も存在しない-3℃であった。
【0030】

表2
【0031】
表2の結果から明らかなように、PEG600単独は、燃料の流動点を低下させることに効果がない。エチレンポリマー単独を添加すると(表1からの組成物Hに用いた)流動点が-45℃に低下した。これは、PEG600とエチレンポリマーの組合わせによって更に改善されている。全3成分の組合わせも、良好な流動点低下を示した。比較すると、櫛型ポリマー単独(C12/C14混合アルキルフマレート/酢酸ビニルコポリマー)と、櫛型ポリマーとPEG600との組合わせ共に有効がなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリオキシアルキレン化合物と少なくとも1つのエチレンポリマーを含む添加剤組成物であって、少なくとも1つのエチレンポリマーが、エチレンから誘導された単位に加えて、下記式(I):
【化1】

を有する単位を含み、必要により下記式(II):
【化2】

を有する単位を含んでもよく、
ここで、R1基は、各々独立して水素又はメチルであり; R2基は、各々独立して、炭素原子5個以上を有するアルキル基であり; R3基は、各々独立して水素又はメチルであり; R4基は、各々独立して炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり; エチレンポリマーにおける式(I)の単位の割合が16〜30モル%であり; エチレンポリマーにおける式(I)と式(II)の単位の全割合が19〜30モル%である、前記添加剤組成物。
【請求項2】
R2が、炭素原子7〜15個を有する分枝鎖アルキル基である、請求項1記載の添加剤組成物。
【請求項3】
R4がエチル又はメチルである、請求項1又は請求項2記載の添加剤組成物。
【請求項4】
少なくとも1つのポリオキシアルキレン化合物が、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンエーテル、混合ポリオキシアルキレンエステル/エーテル又はその混合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのポリオキシアルキレン化合物が少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのC10〜C30直鎖アルキル基と分子量5,000まで、好ましくは200〜5,000のポリオキシアルキレングリコール基を有し、前記ポリオキシアルキレングリコールにおけるアルキル基が炭素原子1〜4個を有する、請求項4記載の添加剤組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの櫛型ポリマーを更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの櫛型ポリマーが、アルキル基が炭素原子10〜20個を有する少なくとも1つのアルキルフマレートと、酢酸ビニル、特にアルキル基が炭素原子12個を有するか又はアルキル基がC12/C14アルキル基の混合物を含む酢酸ビニルとのコポリマーを含む、請求項6記載の添加剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の添加剤組成物とそのための相互に適合できる溶媒を含む、添加剤濃縮物組成物。
【請求項9】
油と少量の請求項1〜7のいずれか1項に記載の添加剤組成物、又は請求項8記載の添加剤濃縮物を含む、油組成物。
【請求項10】
油の低温特性を改善するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の添加剤組成物、又は請求項8記載の添加剤濃縮物の使用。
【請求項11】
油が、FBP-90%蒸留が30℃以下でFBPが370℃以下の燃料油を含む、請求項10記載の使用。
【請求項12】
油の低温特性を改善するための方法であって、油に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の添加剤組成物を添加すること、又は請求項8記載の添加剤濃縮物を添加することを含む、前記方法。
【請求項13】
油が、FBP-90%蒸留が30℃以下でFBPが370℃以下の燃料油を含んでいる、請求項12記載の方法。

【公開番号】特開2006−219672(P2006−219672A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33668(P2006−33668)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(500010875)インフィニューム インターナショナル リミテッド (132)
【Fターム(参考)】