説明

治具取付装置、及びこれを備えているインペラナット締緩装置

【課題】回転体に治具固定のための構造が予め形成されていなくても、作業治具を回転体に取り付けられるようにする。
【解決手段】治具取付装置60bは、回転体であるインペラ10の外周を囲み、作業治具40を取り付けるための治具取付ネジ孔が形成されている環状のフレーム61bと、このフレームの周方向に間隔をあけて複数設けられ、端部がフレーム61bの径方向に移動してインペラ10の外周面13に圧接可能な圧接体71bと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業治具を回転体に取り付ける治具取付装置、及びこれを備えているインペラナット締緩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントにおける一次冷却材ポンプ等の縦型遠心ポンプは、ケーシングと、このケーシング内に回転可能に配置されているインペラと、このインペラが一端部に固定されている回転軸と、回転軸の他端側を回転可能に支持する軸受等と、を備えている。
【0003】
回転体であるインペラは、回転軸の一方の端部側に挿通された後、この回転軸の一方の端部にインペラナットを捩じ込むことで固定される。このインペラナットの締緩(締め付けること及び緩めること)には、大きなトルクを必要とする。特に、長期間ポンプを運転した後では、インペラナットと回転軸との間の摩擦力が増大して、インペラナットを緩めることが極めて困難になることがある。
【0004】
そこで、以下の特許文献1では、回転体であるインペラの取付及び取外作業の容易化を図る作業治具を提案している。
【0005】
この作業治具は、ナットランナ及びナットランナ支持板を有している。ナットランナは、インペラナットが相対回転不能に嵌合するナット側嵌合穴、及び油圧レンチの出力端が相対回転不能に嵌合するレンチ側嵌合穴が形成されている。また、ナットランナ支持板は、出力端がレンチ側嵌合穴に嵌合している油圧レンチの反力を受ける反力受け部と、ナットランナの先端部が相対回転可能に挿通される挿通孔と、インペラに捩じ込まれる治具取付ボルトが挿通される治具取付ボルト孔が形成されている。
【0006】
この作業治具を用いて、インペラを回転軸に取り付ける際には、まず、インペラを回転軸の一方の端部側に挿通させた後、この回転軸の一方の端部にインペラナットを軽く捩じ込む。次に、ナットランナのナット側嵌合穴にインペラナットを嵌合させ、さらに、ナットランナ支持板の挿通孔に、ナットランナの先端部を挿通させる。この状態のナットランナ支持板の治具取付ボルト孔に治具取付ボルトを挿通させ、この治具取付ボルトを予めインペラに形成されているネジ孔に捩じ込んで、ナットランナ支持板をインペラに固定する。次に、油圧レンチの胴体をナットランナ支持板の反力受け部に接触させた状態で、この油圧レンチの出力端をナットランナの先端部に形成されているレンチ側嵌合穴に嵌合させる。そして、この油圧レンチを作動させて、ナットランナと共に、このナットランナに相対回転不能に嵌合しているインペラナットを回転させて、このインペラナットを回転軸に強固に締結する。
【0007】
この作業治具を用いて、インペラを回転軸から取り外す際には、回転軸に捩じ込まれているインペラナットに、前述したように、ナットランナを取り付け、さらにインペラにナットランナ支持板を固定し、これらに油圧レンチを取り付けて、締め付け時とは逆方向に油圧レンチを作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3403020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載の作業治具は、ナットランナ支持板をインペラにボルトで固定するために、インペラに予めネジ孔が形成されている必要があり、ネジ孔が形成されていないインペラにはナットランナ支持板を固定することができず、当該作業治具を使用できない、という問題点がある。
【0010】
そこで、本発明では、回転体に治具固定のための構造が予め形成されていなくても、この作業治具を回転体に取り付けることができる治具取付装置、及びこれを備えているインペラナット締緩装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するための発明に係る治具取付装置は、
回転軸線回りに回転する回転体に作業治具を取り付ける治具取付装置において、前記回転体における前記回転軸線回りの外周を囲み、前記作業治具を取り付けるための作業治具を回転体に取り付ける治具取付装置において、前記回転体の回転軸線回りの該回転体の外周を囲み、前記作業治具を取り付けるための治具取付部が形成されている環状のフレームと、環状の前記フレームに、該フレームの周方向に間隔をあけて複数設けられ、端部が該フレームの径方向に移動して前記回転体の外周面に圧接可能な圧接体と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
当該治具取付装置では、環状のフレームの内周側に回転体を配置し、圧接体の端部をこの回転体の外周面に圧接させることで、当該治具取付装置を回転体に対して相対移動不能にする。この状態で、フレームの治具取付部に作業治具を取り付ける。この結果、作業治具は、治具取付装置を介して回転体に取り付けられる。
【0013】
よって、当該治具取付装置によれば、回転体に治具固定のための構造が予め形成されていなくても、この作業治具を回転体に取り付けることができる。
【0014】
ここで、前記治具取付装置において、環状の前記フレームには、内周側から外周側に向って凹んだ複数のシリンダ室が形成されていると共に、該外周側から該シリンダ室内に駆動流体を供給する流体供給孔が形成され、前記圧接体は、前記シリンダ室に挿入され、該シリンダ室から前記径方向における前記内周側に出没可能なピストンを有してもよい。
【0015】
当該治具取付装置では、フレームにシリンダ室が形成され、ここにピストンを配置することで、別途、圧接体として機能する流体圧シリンダを設けなくてもよいので、部品点数を少なくすることができる。
【0016】
また、前記治具取付装置において、前記ピストンの少なくとも前記内周側の面を含む部分は、粘弾性材で形成されていることが好ましい。
【0017】
当該治具取付装置では、ピストン中で回転体の外周面に圧接する部分が粘弾性材で形成されているため、回転体の外周面を傷付けることなく、当該治具取付装置を回転体に取り付けることができる。
【0018】
また、治具取付装置において、前記ピストンは、前記粘弾性材で形成されたピストン本体と、該ピストンの移動方向に対して垂直な方向における該ピストンの剛性を高める補強部材とを有してもよい。
【0019】
当該治具取付装置では、ピストンの一部を粘弾性材で形成することの利点を生かしつつも、ピストンの強度を確保することができる。
【0020】
また、治具取付装置において、前記シリンダ室内から前記内周側へ移動した前記ピストンを前記外周側へ付勢する付勢部材を備えていてもよい。
【0021】
当該治具取付装置では、ピストンが内周側へ移動しているとき、シリンダ室内から駆動流体が排出可能な状態になると、付勢部材によりピストンを直ちに元の位置に戻すことができる。よって、当該治具取付装置では、回転体に取り付けられている治具取付装置を、短時間で且つ容易に回転体から取り外すことができる。
【0022】
また、前記治具取付装置において、環状の前記フレームには、外周側から内周側に貫通した複数のネジ孔が形成され、前記圧接体は、前記ネジ孔に螺合可能な圧接ネジを有してもよい。
【0023】
この場合、前記圧接体は、前記圧接ネジと、該圧接ネジの先端部に取り付けられ、前記回転体の前記外周面に圧接可能なパッドと、を有してもよい。
【0024】
また、前記治具取付装置において、前記圧接体は、流体圧シリンダを有し、前記流体圧シリンダは、シリンダケーシングと、該シリンダケーシング内で往復移動可能なピストンと、該ピストンに固定され、該シリンダケーシングから該ピストンの往復移動方向の一方の側に突出しているピストンロッドと、を有し、環状の前記フレームには、外周側から内周側に貫通した複数の圧接体挿通孔が形成され、前記流体圧シリンダのシリンダケーシングは、前記ピストンロッドが前記圧接体挿通孔に挿通されて前記内周側を向くように、前記フレームに固定されていてもよい。
【0025】
この場合、前記圧接体は、前記流体圧シリンダと、該流体圧シリンダの前記ピストンロッドの先端部に取り付けられ、前記回転体の前記外周面に圧接可能なパッドと、を有してもよい。
【0026】
ここで、パッドを有する治具取付装置において、前記パッドの少なくとも前記内周側に面を含む部分は、粘弾性材で形成されていてもよい。
【0027】
当該治具取付装置では、圧接体中で回転体の外周面に圧接する部分が粘弾性材で形成されているため、回転体の外周面を傷付けることなく、当該治具取付装置を回転体に取り付けることができる。
【0028】
また、圧接体の一部が粘弾性材で形成されている治具取付装置において、前記粘弾性材はゴムであることが好ましい。
【0029】
当該治具取付装置では、圧接体と回転体の外周面との間に作用する摩擦力を高めることができる。
【0030】
また、前記治具取付装置において、前記回転体は、前記回転軸線を通る前記貫通孔が形成されているインペラであり、前記作業治具は、前記インペラの前記貫通孔に回転軸の一方の端部が挿通された状態で、該一方の端部にインペラナットを捩じ込む流体圧レンチが取り付けられる治具であり、前記インペラナットが相対回転不能に嵌合するナット側嵌合穴、及び前記流体圧レンチの出力端が相対回転不能に嵌合するレンチ側嵌合穴が形成されているナットランナと、前記出力端が前記レンチ側嵌合穴に嵌合している前記流体レンチの反力を受ける反力受け部、前記ナットランナの前記レンチ側嵌合穴が形成されている側の端部が相対回転可能に挿通されるランナ挿通孔、及び治具取付ボルトが挿通されるボルト孔が形成されているナットランナ支持板と、を有しており、前記フレームの前記治具取付部は、前記ナットランナ支持板の前記ボルト孔に挿通された前記治具取付ボルトが捩じ込まれる治具取付ネジ孔であってもよい。
【0031】
この場合、上記治具取付装置と上記作業治具とでインペラナット締緩装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明では、回転体に治具固定のための構造が予め形成されていなくても、作業治具を回転体に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る第一実施形態におけるインペラナット締緩装置の平面図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態におけるインペラナット締緩装置の断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図1におけるV−V線断面図である。
【図6】本発明に係る第二実施形態におけるインペラナット締緩装置の平面図である。
【図7】本発明に係る第二実施形態におけるインペラナット締緩装置の断面図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線断面図である。
【図10】図6におけるX−X線断面図である。
【図11】本発明に係る第三実施形態におけるインペラナット締緩装置の平面図である。
【図12】本発明に係る第三実施形態におけるインペラナット締緩装置の断面図である。
【図13】図11におけるXIII−XIII線断面図である。
【図14】本発明に係る第三実施形態におけるインペラナット締緩装置の空気圧発生装置の構成を示す説明図である。
【図15】本発明に係る第三実施形態における第一変形例の治具取付装置の要部断面図である。
【図16】本発明に係る第三実施形態における第二変形例の治具取付装置の要部断面図である。
【図17】本発明に係る第三実施形態における第三変形例の治具取付装置の要部断面図である。
【図18】縦型遠心ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係るインペラナット締緩装置の各種実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
まず、インペラナット締緩装置の実施形態について説明する前に、このインペラナット締緩装置が使用される装置について説明する。
【0036】
このインペラナット締緩装置が使用される装置は、ケーシング内に回転体が回転可能に配置されている回転機械であり、例えば、原子力プラントにおける一次冷却材ポンプ等の縦型遠心ポンプである。
【0037】
このポンプ1は、図18に示すように、回転体であるインペラ10と、このインペラ10の回転軸20と、インペラ10が回転可能に収納されるケーシング25と、回転軸20を回転可能に支持する軸受26と、軸受26をケーシング25に固定するための軸箱27と、を備えている。
【0038】
回転軸20の一方の端部には、インペラ10を固定するための雄ネジ21が形成され、他方の端部には、モータを接続するためのカップリング24が設けられている。
【0039】
インペラ10には、その回転軸線Aを通る貫通孔11が形成されている。このインペラ10は、回転軸20の一方の端部が貫通孔11に挿通された状態で、この一方の端部に形成されている雄ネジ21にインペラナット15を捩じ込み、さらに、このインペラナット15を介して回転軸20に回止めボルト19を捩じ込むことで、回転軸20に固定されている。
【0040】
以下で説明するインペラナット締緩装置は、インペラ10を回転軸20に対して取付及び取外する際に、インペラナット15を締緩(締め付けること及び緩めること)するための装置である。
【0041】
「第一実施形態」
次に、本発明に係るインペラナット締緩装置の第一実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0042】
本実施形態のインペラナット締緩装置は、図1及び図2に示すように、回転軸20の雄ネジ21にインペラナット15を捩じ込む油圧レンチ30が取り付けられる作業治具40と、この作業治具40をインペラ10に取り付ける治具取付装置60と、を備えている。なお、図2は、図18と上下方向を逆にして描いた図である。
【0043】
作業治具40は、筒状のナットランナ41と、ナットランナ支持板51とを備えている。筒状のナットランナ41は、インペラナット15に相対回転不能に嵌合するナット側嵌合穴42、及び油圧レンチ30の出力端31に相対回転不能に嵌合するレンチ側嵌合穴43が形成されている。また、ナットランナ支持板51には、出力端31がナットランナ41のレンチ側嵌合穴43に嵌合している油圧レンチ30の反力を受ける反力受け部55が形成されている。
【0044】
インペラナット15には、その中心軸線を通る貫通孔16が形成されていると共に、この貫通孔16の一方の側に回転軸20の雄ネジ21が螺合可能な雌ネジ17が形成されている。さらに、このインペラナット15には、雌ネジ17と反対側に、断面が角形の角形頭部18が形成されている。前述のナットランナ41のナット側嵌合穴42には、このインペラナット15の角形頭部18が嵌合する。
【0045】
ナットランナ支持板51は、長手方向の長さがインペラ10の吸込口側端部12の外径とほぼ同じである。このナットランナ支持板51は、板状の板部52と、板部52の長手方向の両側に形成されているフランジ部56と、を有している。板部52の長手方向の中央部には、ナットランナ41のレンチ側嵌合穴43が形成されている側の端部が相対回転可能に挿通されるランナ挿通孔53が形成されている。このランナ挿通孔53には、オイルレス軸受54が設けられている。筒状のナットランナ41は、このランナ挿通孔53に設けられているオイルレス軸受54により、ナットランナ支持板51に相対回転可能に取り付けられる。さらに、この板部52には、前述の反力受け部55が形成されている。各フランジ部56には、治具取付ボルト59が挿通される複数のボルト孔57が形成されている。なお、フランジ部56に対するボルト孔57の貫通方向は、板部52に対するランナ挿通孔53の貫通方向と同じ方向である。
【0046】
治具取付装置60は、インペラ10の吸込口側端部12の外周を囲める環状のフレーム61と、このフレーム61に設けられ、端部がフレーム61の径方向に移動してインペラ10の吸込口側端部12の外周面13に圧接可能な複数の圧接体71と、を備えている。
【0047】
フレーム61は、環状を成し、内径がインペラ10の吸込口側端部12の外径よりも僅かに大きなフレーム本体部62と、環状のフレーム本体部62の軸線が延びる軸線方向の一方の端側に内周側に突出したフランジ部66と、を有している。
【0048】
環状のフレーム本体部62には、図3〜図5に示すように、内周側から外周側へ凹んだ溝63と、外周側からこの溝63に貫通した複数の圧接体ネジ孔64とが形成されている。複数の圧接体ネジ孔64は、環状のフレーム本体部62の周方向において等間隔に形成されている。また、フランジ部66には、環状のフレーム本体部62の軸線方向に貫通した複数の治具取付ネジ孔67が形成されている。
【0049】
圧接体71は、フレーム61の圧接体ネジ孔64に螺合可能な圧接ネジ72と、この圧接ネジ72の先端に取り付けられているパッド77及び止め具79と、を有している。圧接ネジ72は、フレーム61の圧接体ネジ孔64に螺合可能な雄ネジ部73と、雄ネジ部73の一方の端部に形成されているネジ頭部74と、雄ネジ部73の他方の端部に形成されている円柱状のパッド取付部75と、を有している。この円柱状のパッド取付部75は、雄ネジ部73の外径よりも小さな外径を成し、ネジ頭部74から遠ざかる方向に延びている。パッド77は、フレーム61の溝63に対して、このフレーム61の径方向に出没可能な大きさに形成されている。また、このパッド77には、溝63に対する出没方向に貫通し、圧接ネジ72のパッド取付部75が挿通される挿通孔78が形成されている。止め具79は、この挿通孔78の内径よりも大きな外径を成し、パッド77の挿通孔78に圧接ネジ72のパッド取付部75が挿通された状態で、このパッド取付部75の先端に取り付けられ、圧接ネジ72に対してパッド77を相対移動不能に拘束する。
【0050】
次に、回転軸20に対するインペラ10の取り付け作業及び取り外し作業について説明する。
【0051】
インペラ10を回転軸20に取り付ける際には、まず、インペラ10の貫通孔11に、回転軸20の一方の端部を挿通させる。次に、この回転軸20の一方の端部に形成されている雄ネジ21に、インペラナット15を軽く捩じ込む。回転軸20にインペラナット15が捩じ込まれると、回転軸20からインペラ10は抜けなくなる。
【0052】
次に、図1及び図2に示すように、治具取付装置60をインペラ10に取り付ける。この際、まず、治具取付装置60の環状のフレーム61をインペラ10に外周に配置する。具体的には、図3〜図5に示すように、環状のフレーム本体部62の内周面65と、インペラ10の吸込口側端部12の外周面13とを対向させ、このインペラ10の回転軸線方向における吸込口側端面14にフレーム61のフランジ部66を接触させる。そして、治具取付装置60の複数の圧接ネジ72を外周側からフレーム61の圧接体ネジ孔64に捩じ込み、各圧接ネジ72の先端部に取り付けられているパッド77をフレーム本体部62の内周面65から突出させて、インペラ10の吸込口側端部12の外周面13に押付ける。この結果、治具取付装置60のフレーム61とインペラ10とは、治具取付装置60のパッド77とインペラ10の外周面13との間に作用する摩擦力により、相対移動不能になる。
【0053】
続いて、図1及び図2に示すように、インペラナット15の角形頭部18がナットランナ41のナット側嵌合穴42に嵌合するよう、ナットランナ41をインペラナット15に装着する。次に、インペラナット15に装着された筒状のナットランナ41をナットランナ支持板51のランナ挿通孔53に挿通させる。この過程で、ナットランナ支持板51のフランジ部56は、治具取付装置60のフレーム61のフランジ部66に接触する。次に、ナットランナ支持板51のフランジ部56に形成されているボルト孔57に、治具取付ボルト59を挿通させ、この治具取付ボルト59をフレーム61のフランジ部66に形成されている治具取付ネジ孔67(治具取付部)に捩じ込み、ナットランナ支持板51を治具取付装置60のフレーム61に固定する。
【0054】
次に、ナットランナ41のレンチ側嵌合穴43に、油圧レンチ30の出力端31を嵌合させると共に、油圧レンチ30のケーシング32をナットランナ支持板51の反力受け部55に接触させる。
【0055】
次に、油圧レンチ30に接続されている油圧ポンプ35(図2)を作動させて、油圧レンチ30の出力端31を回転駆動させて、この出力端31が嵌合しているナットランナ41を介して、インペラナット15を回転させて、このインペラナット15を回転軸20に強固に捩じ込む。
【0056】
この際、ナットランナ支持板51の反力受け部55には、油圧レンチ30がインペラナット15に加える回転トルクと反対方向の反力がかかる。このため、ナットランナ支持板51が取り付けられている治具取付装置60には、インペラナット15に加える回転トルクと反対向きの回転トルクがかかることになる。このため、治具取付装置60は、この回転トルクの向き回転しようとするが、治具取付装置60の圧接体71の先端部を成すパッド77と、インペラ10の外周面13との間に作用する摩擦力により回転しない。
【0057】
そして、油圧レンチ30、作業治具40、治具取付装置60を順次外してから、インペラナット15の貫通孔16に回止めボルト19(図18)を挿通させて、この回止めボルト19を回転軸20に捩じ込む。以上で、インペラ10の回転軸20への取付作業が終了する。
【0058】
回転軸20からインペラ10を取り外す際には、まず、回止めボルト19を回転軸20から外す。次に、インペラ10に治具取付装置60を前述したように取り付ける。さらに、前述したように、作業治具40及び油圧レンチ30をこれらに取り付ける。
【0059】
次に、油圧レンチ30に接続されている油圧ポンプ35を作動させて、油圧レンチ30の出力端31を取付時とは逆向きに回転駆動させて、この出力端31が嵌合しているナットランナ41を介して、インペラナット15を回転させて、回転軸20に強固に捩じ込まれているインペラナット15を緩める。
【0060】
そして、油圧レンチ30、作業治具40、治具取付装置60を順次外してから、インペラナット15を回転軸20から完全に外して、この回転軸20からインペラ10を外す。以上で、回転軸20からのインペラ10の取外作業が終了する。
【0061】
以上、本実施形態では、回転体であるインペラ10に治具固定のための構造が予め形成されていなくても、この作業治具40をインペラ10に取り付けることができる。よって、本実施形態よれば、インペラ10に治具固定のための構造が予め形成されていなくても、回転軸20に対するインペラ10の取付作業及び取外作業を比較的容易に行うことができる。
【0062】
「第二実施形態」
次に、本発明に係るインペラナット締緩装置の第二実施形態について、図6〜図10を用いて説明する。
【0063】
本実施形態のインペラナット締緩装置も、図6及び図7に示すように、第一実施形態と同様、油圧レンチ30が取り付けられる作業治具40と、この作業治具40をインペラ10に取り付ける治具取付装置60aと、を備えている。なお、本実施形態における作業治具40は第一実施形態の作業治具40と同一であり、本実施形態における治具取付装置60aは第一実施形態の治具取付装置60と異なっている。よって、以下では、主として、本実施形態における治具取付装置60aについて説明する。
【0064】
本実施形態の治具取付装置60aは、インペラ10の吸込口側端部12の外周を囲める環状のフレーム61aと、このフレーム61aに設けられ、端部がフレーム61aの径方向に移動してインペラ10の吸込口側の外周面13に圧接可能な複数の圧接体71aと、圧接体71aを油圧駆動する油圧ポンプ80と、を備えている。
【0065】
フレーム61aは、第一実施形態のフレーム61と同様、環状のフレーム本体部62aと、環状のフレーム本体部62aから内周側に突出したフランジ部66と、を有している。
【0066】
環状のフレーム本体部62aには、図8〜図10に示すように、内周側から外周側へ凹んだ溝63と、外周側からこの溝63に貫通した複数の圧接体挿通孔64aとが形成されている。複数の圧接体挿通孔64aは、環状のフレーム本体部62aの周方向において等間隔に形成されている。また、フランジ部66には、第一実施形態のフランジ部66と同様、環状のフレーム本体部62aの軸線方向に貫通した複数の治具取付ネジ孔67が形成されている。
【0067】
圧接体71aは、油圧シリンダ72aを有している。この油圧シリンダ72aは、シリンダケーシング74aと、シリンダケーシング74a内で往復移動可能なピストン(図示されていない)と、このピストンに固定され、シリンダケーシング74aからピストンの往復移動方向の一方の側に突出しているピストンロッド73aと、を有している。圧接体71aは、さらに、この油圧シリンダ72aのピストンロッド73aの先端部に取り付けられているパッド77及び止め具79と、を有している。
【0068】
油圧シリンダ72aのシリンダケーシング74aは、フレーム61aの圧接体挿通孔64aの外周側寄りの部分に挿入されて、このフレーム61aに固定されている。油圧シリンダ72aのピストンロッド73aの先端部には、円柱状のパッド取付部75が形成されている。パッド77は、フレーム61aの溝63に対して、このフレーム61aの径方向に出没可能な大きさに形成されている。また、このパッド77には、溝63に対する出没方向に貫通し、油圧シリンダ72aのパッド取付部75が挿通される挿通孔78が形成されている。止め具79は、この挿通孔78の内径よりも大きな外径を成し、パッド77の挿通孔78に油圧シリンダ72aのパッド取付部75が挿通された状態で、このパッド取付部75の先端に取り付けられ、油圧シリンダ72aのピストンロッド73aに対してパッド77を相対移動不能に拘束する。
【0069】
複数の油圧シリンダ72aのシリンダケーシング74aは、それぞれ、油圧ホース81により油圧ポンプ80と接続されている。
【0070】
次に、回転軸20に対するインペラ10の取付作業及び取外作業について説明する。本実施形態におけるインペラ10の取付作業及び取外作業は、基本的に第一実施形態と同様である。但し、治具取付装置60aの構成が第一実施形態と異なるため、インペラ10に対するこの治具取付装置60aの取り付け方が第一実施形態と若干異なる。
【0071】
治具取付装置60aをインペラ10に取り付け際には、まず、第一実施形態と同様に、治具取付装置60aの環状のフレーム61aをインペラ10に外周に配置する。次に、油圧ポンプ80を駆動して、複数の圧接体71aの油圧シリンダ72aに油圧をかける。各油圧シリンダ72aに油圧がかかると、各油圧シリンダ72aのピストンロッド73a及びこれに取り付けられているパッド77が移動して、このパッド77がインペラ10の吸込口側端部12の外周面13に押付けられる。この結果、第一実施形態と同様、治具取付装置60aのフレーム61aとインペラ10とは、治具取付装置60aのパッド77とインペラ10の外周面13との間に作用する摩擦力により、相対移動不能になる。
【0072】
以上、本実施形態でも、インペラ10に治具固定のための構造が予め形成されていなくても、この作業治具40をインペラ10に取り付けることができる。また、本実施形態では、油圧ポンプ80を駆動することで、複数の全ての圧接体71aが作動するので、第一実施形態よりも、インペラ10に治具取付装置60aを容易に取り付けることができる。
【0073】
「第三実施形態」
次に、本発明に係るインペラナット締緩装置の第三実施形態について、図11〜図14を用いて説明する。
【0074】
本実施形態のインペラナット締緩装置も、以上の各実施形態と同様、図11及び図12に示すように、油圧レンチ30が取り付けられる作業治具40と、この作業治具40をインペラ10に取り付ける治具取付装置60bと、を備えている。なお、本実施形態における作業治具40も第一実施形態の作業治具40と同一であり、本実施形態における治具取付装置60bが第一及び第二実施形態の治具取付装置60,60aと異なっている。よって、以下では、主として、本実施形態における治具取付装置60bについて説明する。
【0075】
本実施形態の治具取付装置60bは、インペラ10の吸込口側端部12の外周を囲める環状のフレーム61bと、このフレーム61bに設けられ、端部がフレーム61bの径方向に移動してインペラ10の吸込口側の外周面13に圧接可能な複数の圧接体71bと、圧接体71bを空気圧駆動する空気圧発生装置80bと、を備えている。
【0076】
フレーム61bは、第一及び第二実施形態のフレーム61,61aと同様、環状のフレーム本体部62bと、環状のフレーム本体部62bから内周側に突出したフランジ部66と、を有している。
【0077】
環状のフレーム本体部62bには、図13に示すように、内周側から外周側へ凹んだ複数のシリンダ室63bと、外周側からシリンダ室63b内に空気を供給する空気供給孔64bとが形成されている。フレーム本体部62aの複数のシリンダ室63bは、いずれも円筒状に形成されている。また、フランジ部66には、第一及び第二実施形態のフランジ部66と同様、環状のフレーム本体部62bの軸線方向に貫通した複数の治具取付ネジ孔67が形成されている。
【0078】
圧接体71bは、円筒状のピストン72bと、このピストン72bの外周に取り付けられているOリング73bと、を有している。円筒状のピストン72bは、フレーム61bに形成されている円筒状のシリンダ室63bに摺動可能に納まるサイズに形成されている。このピストン72bには、このピストン72bを基準にして、シリンダ室63b内の外周側の空気圧室から、ピストン72bの外周面13とシリンダ室63bの内周面65との間を通って空気が漏れ出るのを防ぐために、前述したようにOリング73bが設けられている。このピストン72bは、粘弾性材の一種であるウレタンゴムで形成されている。
【0079】
空気圧発生装置80bは、図14に示すように、圧縮空気を生成する圧縮機84と、圧縮機84からの圧縮空気の圧力を調節する空気圧調節装置85と、を有している。空気圧調節装置85は、圧縮機84からの圧縮空気を清浄化するフィルタ86と、フィルタ86を通過した圧縮空気を目的の圧力にして出力するレギュレータ87と、レギュレータ87の上流側(一次側)の圧力が所定以上の圧力になると、圧縮機84からの圧縮空気を外部へ逃がす安全弁88と、消音器89と、を有している。レギュレータ87の下流側(二次側)には、空気圧ホース81bが接続されている。この空気圧ホース81bは、図13に示すように、フレーム61bの複数の空気供給孔64bに接続されている。
【0080】
次に、回転軸20に対するインペラ10の取付作業及び取外作業について説明する。本実施形態におけるインペラ10の取付作業及び取外作業は、基本的に第一及び第二実施形態と同様である。但し、治具取付装置60bの構成が第一及び第二実施形態と異なるため、インペラ10に対するこの治具取付装置60bの取り付け方が第一及び第二実施形態と若干異なる。
【0081】
治具取付装置60bをインペラ10に取り付け際には、まず、第一及び第二実施形態と同様に、治具取付装置60bの環状のフレーム61bをインペラ10に外周に配置する。次に、空気圧発生装置80bを駆動して、フレーム61bに形成されている複数のシリンダ室63b内に圧縮空気を供給する。各シリンダ室63b内に圧縮空気が供給されると、ピストン72bの先端部がフレーム本体部62bの内周面65から突出して、このピストン72bがインペラ10の吸込口側端部12の外周面13に押付けられる。この結果、治具取付装置60bのフレーム61bとインペラ10とは、治具取付装置60bのピストン72bとインペラ10の外周面13との間に作用する摩擦力により、相対移動不能になる。
【0082】
以上、本実施形態でも、インペラ10に治具固定のための構造が予め形成されていなくても、この作業治具40をインペラ10に取り付けることができる。また、本実施形態も、第二実施形態と同様、空気圧発生装置80bを駆動することで、複数の全ての圧接体71bが作動するので、第一実施形態よりも、インペラ10に治具取付装置60bを容易に取り付けることができる。
【0083】
さらに、本実施形態では、フレーム61bにシリンダ室63bを形成し、このシリンダ室63bにピストン72bを挿入しているため、第一及び第二実施形態よりも部品点数を少なくすることができ、治具取付装置60bの製造コストを抑えることができる。また、本実施形態では、空気圧でピストン72bを移動させているため、ピストン72bとインペラ10の吸込口側端部12の外周面13との間隔が複数のピストン72b毎に異なる場合でも、複数のピストン72b毎の間隔の相違を吸収することができる。よって、この意味で、第二実施形態においても、油圧シリンダ72aの代わりに空気圧シリンダを用い、油圧ポンプ80の代わりに空気圧発生装置を用いてもよい。
【0084】
さらに、本実施形態では、インペラ10の吸込口側端部12の外周面13に接するピストン72bが粘弾性材で柔らかく且つ摩擦係数の高いゴムで形成されているため、圧接体71bとインペラ10の吸込口側端部12の外周面13との間の摩擦力を高めることができる上に、この外周面13の傷付きを最小限に抑えることができる。よって、以上の実施形態においても、圧接体中で、インペラ10の吸込口側端部12の外周面13と接する部分をゴムで形成してもよい。
【0085】
次に、以上で説明した第三実施形態における治具取付装置60bの各種変形例について説明する。
【0086】
治具取付装置60bの第一及び第二変形例は、図15及び図16に示すように、治具取付装置の構成要素であるピストンの変形例である。
【0087】
これらの変形例のピストン72c,72dは、いずれも、ウレタンゴムで形成されている円柱状のピストン本体74c,74dと、ピストン本体74c,74dを補強する補強部材75c,75dと、を有している。各ピストン72c,72dの補強部材75c,75dは、いずれも円筒状を成し、ステンレス等の金属で形成されている。また、これらの補強部材75c,75dのフレーム61bの内周側の端部は、ピストン本体74c,74dの内周側の端部よりも外周側に位置している。これは、ピストン72c,72d中で、インペラ10の吸込口側端部12の外周面13と接する部分の全てをゴム製にするためである。なお、第一変形例の補強部材75cは、図15に示すように、円柱状のピストン本体74cの外周に設けられ、第二変形例の補強部材75d、図16に示すように、円柱状のピストン本体74dの内部に設けられている。
【0088】
前述したように、作業治具40に取り付けた油圧レンチ30を駆動させて、インペラナット15に回転トルクを加えている際、治具取付装置には、インペラナット15に加わる回転トルクと反対向きの回転トルクがかかる。この反対向きの回転トルクは、第三実施形態において、円筒状のピストン72bに対して、ピストン72bの径方向にせん断力として作用する。
【0089】
そこで、これらの変形例では、ゴム製のピストン本体74c,74dに、金属製の補強部材75c,75dを設けることで、ピストン72c,72dに作用するせん断力に対する強度を高めている。
【0090】
次に、図17を用いて、第三実施形態における治具取付装置60bの第三変形例について説明する。
【0091】
本変形例の治具取付装置60eは、フレーム61b及びピストン72eの他に、ピストン72eをフレーム61bの外周側へ付勢する付勢部材としてのコイルバネ91と、このコイルバネ91の一方の端部に接する円板状のバネ受け93と、このコイルバネ91の他方の端部に接する円筒状のバネ押え95と、を備えている。
【0092】
ピストン72eは、外径の大きな大径部74eと大径部74eに対して外径の小さい小径部75eとを有している。このピストン72eは、大径部74e側がフレーム61bの外周側に位置するよう、シリンダ室63b内に収められている。小径部75eの回りには、フレーム61bの外周側から順に、バネ受け93、コイルバネ91、バネ押え95が設けられている。バネ押え95の外周には雄ネジ96が形成されている。また、フレーム61bの内周側であってシリンダ室63bの内壁にはこのバネ押え95の雄ネジ96が螺合可能な雌ネジ97が形成されている。バネ押え95は、このシリンダ室63bの雌ネジ97に捩じ込まれて、フレーム61bに固定されている。
【0093】
本変形例では、シリンダ室63bの空気圧室に圧縮空気が供給されて、ピストン72eがフレーム本体部62bの内周面65からさらに内周側に突出すると、コイルバネ91は縮む。空気圧発生装置80bが動作して、空気圧室内から圧縮空気が排気可能な状態になると、コイルバネ91の復元力によりピストン72eは、フレーム61bの外周側に移動し、元の位置に戻り、シリンダ室63b内の圧縮空気は排気される。すなわち、本変形例では、ピストン72eがフレーム本体部62bの内周面65から突出しているときに、空気圧室内から圧縮空気が排気可能な状態になると、コイルバネ91の復元力によりピストン72eを直ちに元の位置に戻すことができる。
【0094】
よって、本変形例では、インペラ10に取り付けられている治具取付装置60eを、短時間で且つ容易にインペラ10から取り外すことができる。
【0095】
なお、本変形例は第三実施形態の変形例であるが、先に説明した第一及び第二変形においても、第三変形例と同様、ピストン72c,72dをフレーム61bの外周側へ付勢する付勢部材を設けてもよい。
【0096】
また、以上の各実施形態及び各変形例では、治具取付装置として、回転軸20に対してインペラ10を取付及び取外する際に使用する作業治具40を、回転体としてのインペラ10に取り付けるためのものを例示しているが、本発明に係る治具取付装置は、これに限定されるものではなく、何らかの回転体に作業治具を取り付けたい場合であれば、如何なる場合でも適用できる。例えば、回転軸に対して軸シールを取付及び取外する際に使用する作業治具を、回転体としての回転軸に取り付ける場合等にも適用できる。
【符号の説明】
【0097】
1:ポンプ1、10:インペラ、12:(インペラの)吸込口側端部、13:(インペラの吸込口側端部の)外周面、15:インペラナット、20:回転軸、21:(回転軸の)雄ネジ、30:油圧レンチ、31:(油圧レンチの)出力端、40:作業治具、41:ナットランナ、42:ナット側嵌合穴、43:レンチ側嵌合穴、51:ナットランナ支持板、53:ランナ挿通孔、55:反力受け部、57:ボルト孔、59:治具取付ボルト、60,60a,60b,60d:治具取付装置、61,61a,61b:フレーム、63:溝、64:圧接体ネジ孔、63b:シリンダ室、64a:圧接体挿通孔、64b:空気供給孔、65:(フレームの)内周面、67:治具取付ネジ孔(治具取付部)、71,71a,71b:圧接体、72:圧接ネジ、72a:油圧シリンダ、72b,72c,72d,72e:ピストン、73a:ピストンロッド、74a:シリンダケーシング、75c,75e:補強部材、77:パッド、79:止め具、80:油圧ポンプ、80b:空気圧発生装置、91:コイルバネ(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線回りに回転する回転体に作業治具を取り付ける治具取付装置において、
前記回転体における前記回転軸線回りの外周を囲み、前記作業治具を取り付けるための治具取付部が形成されている環状のフレームと、
環状の前記フレームに、該フレームの周方向に間隔をあけて複数設けられ、端部が該フレームの径方向に移動して前記回転体の外周面に圧接可能な圧接体と、
を備えていることを特徴とする治具取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の治具取付装置において、
環状の前記フレームには、内周側から外周側に向って凹んだ複数のシリンダ室が形成されていると共に、該外周側から該シリンダ室内に駆動流体を供給する流体供給孔が形成され、
前記圧接体は、前記シリンダ室に挿入され、該シリンダ室から前記径方向における前記内周側に出没可能なピストンを有する、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項3】
請求項2に記載の治具取付装置において、
前記ピストンの少なくとも前記内周側の面を含む部分は、粘弾性材で形成されている、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項4】
請求項3に記載の治具取付装置において、
前記ピストンは、前記粘弾性材で形成されたピストン本体と、該ピストンの移動方向に対して垂直な方向における該ピストンの剛性を高める補強部材と、を有する、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の治具取付装置において、
前記シリンダ室内から前記内周側へ移動した前記ピストンを前記外周側へ付勢する付勢部材を備えている、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項6】
請求項1に記載の治具取付装置において、
環状の前記フレームには、外周側から内周側に貫通した複数のネジ孔が形成され、
前記圧接体は、前記ネジ孔に螺合可能な圧接ネジを有する、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項7】
請求項6に記載の回転体の治具取付装置において、
前記圧接体は、前記圧接ネジと、該圧接ネジの先端部に取り付けられ、前記回転体の前記外周面に圧接可能なパッドと、を有する、
ことを特徴とする回転体の治具取付装置。
【請求項8】
請求項1に記載の治具取付装置において、
前記圧接体は、流体圧シリンダを有し、
前記流体圧シリンダは、シリンダケーシングと、該シリンダケーシング内で往復移動可能なピストンと、該ピストンに固定され、該シリンダケーシングから該ピストンの往復移動方向の一方の側に突出しているピストンロッドと、を有し、
環状の前記フレームには、外周側から内周側に貫通した複数の圧接体挿通孔が形成され、
前記流体圧シリンダの前記シリンダケーシングは、前記ピストンロッドが前記圧接体挿通孔に挿通されて前記内周側を向くように、前記フレームに固定されている、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項9】
請求項8に記載の治具取付装置において、
前記圧接体は、前記流体圧シリンダと、該流体圧シリンダの前記ピストンロッドの先端部に取り付けられ、前記回転体の前記外周面に圧接可能なパッドと、を有する、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項10】
請求項7又は9に記載の治具取付装置において、
前記パッドの少なくとも前記内周側に面を含む部分は、粘弾性材で形成されている
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項11】
請求項3又は10に記載の治具取付装置において、
前記粘弾性材は、ゴムである、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の治具取付装置において、
前記回転体は、前記回転軸線を通る貫通孔が形成されているインペラであり、
前記作業治具は、
前記インペラの前記貫通孔に回転軸の一方の端部が挿通された状態で、該一方の端部にインペラナットを捩じ込む流体圧レンチが取り付けられる治具であり、
前記インペラナットが相対回転不能に嵌合するナット側嵌合穴、及び前記流体圧レンチの出力端が相対回転不能に嵌合するレンチ側嵌合穴が形成されているナットランナと、
前記出力端が前記レンチ側嵌合穴に嵌合している前記流体レンチの反力を受ける反力受け部、前記ナットランナの前記レンチ側嵌合穴が形成されている側の端部が相対回転可能に挿通されるランナ挿通孔、及び治具取付ボルトが挿通されるボルト孔が形成されているナットランナ支持板と、
を有しており、
前記フレームの前記治具取付部は、前記ナットランナ支持板の前記ボルト孔に挿通された前記治具取付ボルトが捩じ込まれる治具取付ネジ孔である、
ことを特徴とする治具取付装置。
【請求項13】
請求項12に記載の治具取付装置と、
前記作業治具と、
を備えていることを特徴とするインペラナット締緩装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−36369(P2013−36369A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171626(P2011−171626)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】