治療支援装置およびその利用方法
【課題】 片側椎弓根アプローチによる経皮的椎体形成術の精度向上のための支援装置および該装置使用方法の提供。
【解決手段】 手術前に穿刺角度を決定する。撮影系保持装置5に保持されたX線発生部1、X線検出部2を用いて被検体の透視画像を作成する。表示部7は透視画像とアイソセンタマーカーを重畳表示する。撮影系保持装置5を回転させて被検体の正面および側面から透視画像を作成し、ターゲットポイントとアイソセンタマーカーとの重なりを確認した後、決定した穿刺角度の位置から透視画像を撮影する。アイソセンタマーカー位置から穿刺し、側面からの透視画像でアイソセンタマーカー位置まで針を進める。正面からの画像でアイソセンタマーカーと針先の重なりを確認した後、骨セメントを注入する。
【解決手段】 手術前に穿刺角度を決定する。撮影系保持装置5に保持されたX線発生部1、X線検出部2を用いて被検体の透視画像を作成する。表示部7は透視画像とアイソセンタマーカーを重畳表示する。撮影系保持装置5を回転させて被検体の正面および側面から透視画像を作成し、ターゲットポイントとアイソセンタマーカーとの重なりを確認した後、決定した穿刺角度の位置から透視画像を撮影する。アイソセンタマーカー位置から穿刺し、側面からの透視画像でアイソセンタマーカー位置まで針を進める。正面からの画像でアイソセンタマーカーと針先の重なりを確認した後、骨セメントを注入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療支援装置および該装置の利用方法に関し、特に経皮的椎体形成術の支援に有用な装置および該装置を用いた経皮的椎体形成術に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮的椎体形成術(percutaneous vertebroplasty;PVP)は、椎体圧迫骨折や悪性腫瘍による除痛効果を主たる目的とした、骨セメントを椎体の損傷部位に注入して椎体を補強・維持する方法である。1987年フランスにて始められた比較的新しい治療法であるが、近年わが国においても多くの施設で施行されるようになっている。PVPは、IVR(Interventional radiology)-CT装置を用いて椎体を透視し、椎体の椎弓根の位置から穿刺針により注入する、椎弓根アプローチ(transpedicular approach)が基本である。椎弓根は椎体の背側左右に位置し、椎弓根アプローチには左右両側から穿刺する両側椎弓根アプローチと片側のみから穿刺する片側椎弓根アプローチとがある。初期の報告では両側椎弓根アプローチによるものが多いが、片側椎弓根アプローチは、両側アプローチと比較して、使用する穿刺針の減少による経費削減、穿刺回数削減による合併症(穿刺部出血・血腫、疼痛)の軽減、被爆量の削減、手技施行時間の短縮が図れるという利点がある。従って、片側アプローチは、患者、術者の負担を軽減する望ましい穿刺方法である。
【0003】
一般に、PVPの成否の手技上のキーポイントは、骨セメントを骨外に漏出せずに椎体内に片寄りなく分布させることであるといわれている。片側アプローチ法における理想的な穿刺ターゲットポイントは、椎体正中前1/3部分である。このターゲットポイントに穿刺可能であれば、骨セメント製剤が椎体内両側に分布し、両側アプローチは不要とされている。しかし、PVPの片側椎弓根アプローチ法に関する報告はごくわずかであり、穿刺の具体的方法に関する情報は少ない。一般に穿刺方法は、椎弓根が正面に来る斜位方向を、椎弓根の透視画面上の影をターゲットとして穿刺している。Kimら(非特許文献1)は、透視下穿刺の際に「スコッチテリアの首」が見える程度にC-armを斜位にし、腰椎に関しては30°前後が望ましいと述べている。またDavidら(非特許文献2)は、Kimらの論文を参考に20°程度の斜位で「スコッチテリアの首」が見える状態で穿刺すると述べている。治療効果については、両側アプローチと有意差がないとし、全例片側椎弓根アプローチを施行する旨を記述している。しかし、いずれの論文においても、穿刺方法に関する具体的な検討はなされていない。
【0004】
このように具体的手法の情報に乏しいことから、現在は、片側アプローチか両側アプローチかの選択は、術者の習熟度や主観により決定されており、その選択は、概して穿刺時に決められることがほとんどである。そのため、片側アプローチによる経皮的椎体形成術は、現在のところ、実施率および精度ともに必ずしも高いとはいえない状況にある。
【非特許文献1】Unilateral Transpedicullar Percutanous Vertebroplasty: Initial Experience. Ann K. Kim, et al. Radiology 2002; 222:737-741
【非特許文献2】David FK, Mary EJ, Percutanous Vertebroplasty. Radiology 2003; 229:27-36
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記状況を鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、片側椎弓根アプローチによる経皮的椎体形成術の精度向上のための支援装置およびシミュレーション方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意努力を行った。本発明者らは、透視画像ガイド下の片側椎弓根アプローチを実施するにあたり、穿刺角度を事前に決定する方法を生み出した。しかし、理想的な穿刺角度が得られても、正確にその角度で穿刺できる手段がなければ、片側椎弓根アプローチの成功率の向上は望めない。そこで本発明者らは、IVR-CT装置の特徴を生かした片側アプローチ方法を考え付いた。被検体を挟むようにX線発生装置とX線検出装置が配置されたIVR-CT装置は、被検体の様々な角度からの透視画像を可能にする。すなわち、IVR-CT装置を回転させて上記の事前に決定した角度から被検体を撮影し、該画像の下で穿刺し、さらに被検体の正面および側面両方向の画像で穿刺針先端位置を確認することにより、片側椎弓根アプローチを実施することを考え付いた。上記の方法で決定する穿刺角度はターゲットポイントを中心とした角度であるため、上記方法で決定する穿刺角度を生かしながら被検体のターゲットポイントに確実に穿刺するためには、ターゲットポイントがIVR-CT装置のX線画像の回転中心と一致することが重要である(図2)。ところが、これまでのIVR-CT装置には、アイソセンタを表示するものはなかった。そこで本発明者らは、IVR-CT装置の改良にとりくみ、ついにX線発生装置から発生するX線の回転中心であるアイソセンタをモニタに表示する装置の開発に成功した。すなわち本発明は、経皮的椎体形成術の支援に有用な装置および該装置を用いた経皮的椎体形成術に関し、具体的には以下のとおりである。
【0007】
(1)被検体に対してX線を照射するX線発生部1と、
前記X線発生部と被検体を挟んで対向に配置され前記X線発生部によって照射されたX線を検出するX線検出器21と、
前記X線発生部1および前記X線検出器21を保持し、前記被検体の周囲で回転し、前記回転によりX線発生部1が前記被検体の周囲で回転することを可能にする撮影系保持装置5と、
前記撮影系保持装置5の回転により回転するX線発生部1から発射されるX線の回転中心であるアイソセンタの位置を表すアイソセンタマーカーを操作者の指示に応じて前記X線検出器21によって検出された被験体のX線画像に重ねて表示する表示部7と、
を備えたことを特徴とする経皮的椎体形成術支援装置、
(2)前記表示部7がアイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備えたことを特徴とする、(1)記載の経皮的椎体形成術支援装置、
(3)前記表示部7が前記アイソセンタマーカーを前記X線検出部2によって検出されたX線画像の画面中央に表示することを特徴とする、(1)または(2)記載の経皮的椎体形成術支援装置、
(4)アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備え、前記アイソセンタマーカー表示部71は、入力された映像信号の画面中心部にマーカーを前記モニタ72に表示することを可能にすることを特徴とする、モニタ装置、
(5)下記(i)から(vi)の工程を含む、経皮的椎体形成術、
(i)(1)に記載の装置を用い、腹臥位の被検体の正面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(ii)(1)に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(iii)(1)に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の横軸周囲で前記横軸穿刺角度回転させた位置から腹臥位の被検体を撮影し、アイソセンタマーカー位置に重なる被検体の位置から穿刺する工程と、
(iv)(1)に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、該側面像におけるアイソセンタマーカー位置まで穿刺針先端を進める工程と、
(v)(1)に記載の装置を用い、被検体の正面像を撮影し、該正面像におけるアイソセンタマーカー位置と穿刺針先端の重なりを確認する工程と、
(vi)上記(v)の穿刺針先端位置において骨セメントを注入する工程、
(6)下記(i)から(vii)の工程を含む、経皮的椎体形成術、
(i)(1)に記載の装置を用い、腹臥位の被検体の正面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(ii)(1)に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(iii)(1)に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の横軸周囲で前記横軸穿刺角度回転させる工程と、
(iv)(1)に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の頭尾軸周囲で前記頭尾軸穿刺角度回転させた位置から腹臥位の被検体を撮影し、アイソセンタマーカー位置に重なる被検体の位置から穿刺する工程と、
(v)(1)に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、該側面像におけるアイソセンタマーカー位置まで穿刺針先端を進める工程と、
(vi)(1)に記載の装置を用い、被検体の正面像を撮影し、該正面像におけるアイソセンタマーカー位置と穿刺針先端の重なりを確認する工程と、
(vii)上記(v)の穿刺針先端位置において骨セメントを注入する工程。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、透視画像を撮影する装置を用いた経皮的椎体形成術において、ターゲットポイントに正確に穿刺するための穿刺角度を求め、該穿刺角度の位置に正確に透視画像撮影装置を回転させることが可能になり、該装置を使用した片側アプローチによる経皮的椎体形成術の成功率が飛躍的に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
[実施例1]
実施例1は、操作者の指示に従い、X線発生装置から発生するX線の回転中心であるアイソセンタの位置を表示するマーカー(以下、アイソセンタマーカーまたはIMと記載)をモニタ画面上に表示する治療支援装置である。
【0011】
(装置の構成)
実施例1における治療支援装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、治療支援装置の構成概要を示す。
治療支援装置100は、複数のユニットからなり、具体的には、被検体150に対してX線を照射するX線発生部1と、被検体150を透過したX線をX線検出器21によって検出し、電荷信号に変換するX線検出部2と、X線発生部1とX線検出器21とを保持し、被検体150の周囲で回転する撮影系保持装置5と、被検体150を載置するための天板10と、撮影系保持装置5の回転または移動および天板10の移動を行う移動制御部3と、X線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部4と、X線検出部2にから送られた電荷信号をもとに画像データを作成・記憶し、記憶した複数の画像データから透視画像データを作成する画像データ作成部6と、透視画像データを表示し、または透視画像データと後述するアイソセンタマーカーとを重畳表示する表示部7と、操作者が種々のコマンドを入力するための操作部8と、上記各ユニットを統合制御する主制御部9とを備える。
【0012】
X線発生部1は、X線管15と、X線絞り16とを備える。X線管15は、電子線を高電圧で加速し、陽極に衝突させてX線を発生する真空管であり、被検体150にX線を照射する。X線絞り16は、X線管15から発生したX線を線錘とし、X線照射範囲のサイズおよび形状を調整する。
【0013】
本実施例のX線検出部2は、X線検出器21と、A/D変換器22とを備える。X線検出器21は、X線検出器21に入射したX線を電荷に変換し、変換した電荷を画素毎に設置された信号蓄積コンデンサに保存し、保存した電荷を再び外部に取り出し、電圧に変換する。A/D変換器22は、X線検出器21の出力をデジタル信号に変換する。なお、本実施例のX線検出部2は、検出したX線を直接電荷に変換するが、X線検出部2は検出したX線を一旦光に変換した後に電荷に変換するものであってもよい。
【0014】
撮影系保持装置5は、X線発生部1とX線検出器21とを保持する。撮影系保持装置5において、X線発生部1とX線検出部2とは、被検体を間に挟み、相対する場所に位置する。撮影系保持装置5は、本実施例においては、シングルCアームである。なお、撮影系保持装置5はダブルCアーム、Ωアーム、バイプレーン型やIVR-CTであってもよい。
【0015】
移動制御部3は、天板移動制御部32と保持装置移動制御部31とを備える。天板移動制御部32は、天板10を被検体の頭尾軸方向に移動させる。保持装置移動制御部31は、撮影系保持装置5を天板10に載置された被検体の頭尾軸方向に回転(CRA‐CAU回転)または、被検体の横軸方向(被検体の胴の周囲を回る方向)に回転(LAO‐RAO回転)させる。また保持装置移動制御部31は、撮影系保持装置5を頭尾軸方向に移動、または被検体の左右方向に移動させる。
【0016】
高電圧発生部4は、高電圧発生器42と、X線制御部41とを備える。高電圧発生器42は、X線管15に加える直流高電圧を発生する。X線制御部41は、直流高電圧の大きさおよび印加時間、電流量等を制御する。
【0017】
画像データ作成部6は、画像データ記憶部61と、画像演算処理部63と、D/A変換器62とを備える。画像データ記憶部61はX線検出部2によって検出されたX線投影データを保存する。画像演算処理部63は、画像データ記憶部61から受け取ったデータについて、X線透視画像データ作成等の加工をし、加工したX線投影データを画像データ記憶部61に送る。
【0018】
操作部8は、キーボード、ジョイスティック等のコマンド入力部を備える。コマンド入力部は、被検体情報、撮影部位、撮影倍率、X線照射条件、撮影の開始または終了、撮影系保持装置5および天板10の回転または移動等に関し、操作者の指示を受け付ける。例えば、操作者は、撮影系保持装置5の回転角度を操作部8のコマンド入力部に指定することにより、撮影系保持装置5を所望の角度に回転させることができる。
【0019】
表示部7は、アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とアイソセンタマーカーON/OFF指示入力部73を備える。アイソセンタマーカー表示部71は、画像データ記憶部61から供給されるX線透視画像データにアイソセンタマーカーを付して表示用画像データを作成する。モニタ72は、アイソセンタマーカー表示部71によって作成された表示用画像データを表示する。モニタ72は、液晶またはCRTのいずれであってもよい。アイソセンタマーカーON/OFF指示入力部は、アイソセンタマーカーの表示/非表示に関する操作者の指示を受け付ける。
【0020】
(アイソセンタマーカーデータの作成と表示)
披検者を透過し、X線検出部2で検出されたX線信号は、画像データ作成部6を経由し、アイソセンタマーカー表示部71へ入力される。実施例1の装置では、画面上、アイソセンタは画面の中央に位置する。アイソセンタマーカー表示部71は、入力された映像信号の画面中心部にマーカー(白点等の印)を重ね合わせ、映像信号として出力する。検査室内に設置されたモニタ72はこの映像信号を受け取り、アイソセンタマーカーが重ね合わされた透視画像をリアルタイムに表示する。すなわち、アイソセンタマーカー表示部71はモニタ72へ入力される映像信号(透視像)を、モニタ72の手前で受取り、映像信号に対して画面中心部にマーカーを重ね合わせる機構を有する。
【0021】
(装置操作)
以下に、本装置を用いて経皮的椎体形成術を行う場合の装置操作について説明する。
まず、本装置を用いた経皮的椎体形成術に先立ち、横軸穿刺角度(PAC)を決定する工程、さらに必要に応じて頭尾軸穿刺角度(CPA)を決定する工程を実施する。頭尾軸穿刺角度(CPA)を決定する必要がある場合は、例えば、脊椎の湾曲がひどく、椎体が頭尾軸方向に強く傾斜している場合である。横軸穿刺角度を決定する工程および頭尾軸穿刺角度を決定する工程は、経皮的椎体形成術と連続しなくてもよい。例えば、経皮的椎体形成術の前日または前日以前に実施することができる。
【0022】
横軸穿刺角度(PAC)を決定する工程、すなわち、経皮的椎体形成術の二次元穿刺シミュレーション方法は、以下の(i)から(iii)の工程を含む。
(i)X線CT装置を用い被験体の水平断面画像を撮影する工程と、
(ii)前記水平断面画像において、椎体の中心をとおる正中線を引く工程と、
(iii)前記水平断面画像において、前記椎体正中線を3等分し、前記椎体正中線の腹側から1/3の点である穿刺ターゲットポイントと椎弓根の中心とを結ぶ線を引き、前記穿刺ターゲットポイントと椎弓根の中心とを結ぶ線と前記正中線との交差する角度を求めることにより、横軸穿刺角度を決定する工程。
【0023】
具体的には、横軸穿刺角度(PAC)の決定は、以下のように行う。まず、マルチスライスCT等のX線CT装置を用い、被検体の水平断面像を撮影する。撮影した水平断面像の中から左右両方の椎弓根を含む断面像を選択する。選択した水平断面像において、椎体の中心をとおる正中線を引く(図3)。次に、椎体部分の正中線を三等分し、腹側から1/3の位置を穿刺ターゲットポイントとする(図4)。続いて、上記水平断面像において、椎弓根を経由する穿刺経路にあたる線を引く。上記穿刺経路の線と正中線が交差する角度を求め、該角度を横軸穿刺角度として決定する(図5)。上述の横軸穿刺角度を求める際には、適当な映像加工支援システムを用いることができる。例えば放射線PACS/RISを用いて行うことができる。
【0024】
頭尾軸穿刺角度(CPA)を決定する工程、すなわち、経皮的椎体形成術の三次元穿刺シミュレーション方法は、以下の工程を含む。
(i)被検体の水平断面画像から矢状断再構成像を作成する工程と、
(ii)椎弓根を経由して矢状断再構成像における穿刺ターゲットポイントを通る線と腹臥位に対して垂直な線とが交差する角度を求めることにより、頭尾軸穿刺角度を決定する工程。
【0025】
頭尾軸穿刺角度(CPA)の決定は、具体的には、以下のように行う。X線CT装置によって撮影した水平断面像から、放射線PACS/RIS等の映像加工支援システムによって、矢状断の再構成像を作成する。損傷している椎体において、腹側1/3の位置をターゲットポイントとして定め、椎弓根の中心を経由しターゲットポイントを通る線を引く。次に、腹臥位に対して垂直な線(天板に対して垂直な線)を引く。上記椎弓根を経由しターゲットポイントを通る線と上記腹臥位に対して垂直な線との交差する角度を求め、該角度を頭尾軸穿刺角度として決定する(図6)。
【0026】
本発明の装置を用いた経皮的形成術は、例えば、以下のように実施できる。以下、経皮的形成術のフローチャート(図7、図8)を用いながら説明する。
【0027】
操作者は、アイソセンタマーカー(以下、場合により「IM」と称する。)の表示コマンドをアイソセンタマーカーON/OFF指示入力部73から入力する(図7のステップ101、図8のステップ201)。IM表示指示の信号は、アイソセンタマーカー表示部71に受信され、モニタ72にIMが表示される(図7のステップ102、図8のステップ202)。一方、操作者は、周知の方法によって被検体に造影剤を投与する。例えば、造影剤自動注入器によって被検体に造影剤を投与する。操作者は、被検体の損傷椎体を含む椎骨の正面(腹側)から透視画像を表示するため、コマンドを操作部8から入力する。保持装置移動制御部31は、撮影位置を指示するコマンドを受信すると、被検体の正面位置の撮影が可能となるように撮影系保持装置5を回転させる。透視画像表示の信号が、主制御部9を経由して画像データ作成部6に入力されると、画像データ作成部6は造影剤投与前の画像および造影剤投与後の画像からX線透視画像データを作成する。X線透視画像データは、表示部7に送信される。表示部7のアイソセンタマーカー表示部71は、X線透視画像データの中心部にIMを重ねあわせ、モニタ72にIMと被検体正面からの透視画像が重畳表示される(図7のステップ103、図8のステップ203)。
【0028】
操作者は、被検体の正面画像において、ターゲットポイントとIMが重なるかどうか目視で判断する(図7のステップ104、図8のステップ204)。重ならない場合は、天板10の移動コマンドを操作部8に入力して天板10を移動させ、再度、透視画像上でターゲットポイントとIMとの重なりを判断する(図7のステップ105、図8のステップ205)。ターゲットポイントとIMが重なる場合は、操作者は、撮影系保持装置5の横軸方向の回転コマンドを入力し、例えば、撮影系保持装置5を90度のLAO回転(被験者左側に横軸方向回転)またはRAO回転(被験者右側に横軸方向回転)させるコマンドを入力し、検体の側面撮影可能な位置に撮影系保持装置5をLAO‐RAO回転させる(図7のステップ106、図8のステップ206)。操作者は正面画像の場合と同様に、側面画像についてもターゲットポイントとIMとの重なりを判断し(図7のステップ109、図8のステップ209)、必要に応じて天板10を移動させる(図7のステップ110、図8のステップ210)。
【0029】
操作者は、正面画像および側面画像の両方においてターゲットポイントとIMとの重なりを確認した後(図9)、操作部8から撮影系保持装置5を横軸方向にLAO‐RAO回転させるコマンドを入力し、PAC角度からの透視画像を撮影する(図7のステップ111、図8のステップ211)。撮影系保持装置5をPAC角度の位置に回転させるコマンドを保持装置移動制御部31が受信すると、保持装置移動制御部31は撮影系保持装置5を被検体の正面撮影位置からPAC角度撮影位置までLAO‐RAO回転させる(図7のステップ112、図8のステップ212)。操作者は、このPAC角度の撮影下のIM位置から被検体に穿刺する(図7のステップ113、図8のステップ213)。次に、操作者は、撮影系保持装置5を被験者の側面位置に回転させるコマンドを入力し、被検体の側面から透視画像を撮影する(図7のステップ114)。側面からの透視画像で穿刺した針を確認しながら、針先がターゲットポイントに重なるまで針を進める(図7のステップ115)。操作者は、撮影系保持装置5を被験者の正面撮影位置に回転させるコマンドを入力し(図7のステップ116)、被検体の正面から透視画像を撮影し、針先とターゲットポイントの重なりを目視で確認する(図7のステップ117、図10)。再度、撮影系保持装置5を被験者の側面位置に回転させるコマンドを入力し(図7のステップ118)、側面透視撮影の下で骨セメントを注入する(図7のステップ119、図10)。
【0030】
CPA角度を決定している場合は、操作者は、撮影系保持装置5をPAC角度でLAO‐RAO回転させた後、操作部8から撮影系保持装置5を頭尾軸方向に回転させるコマンドとしてCPA角度を入力し(図8のステップ213)、撮影系保持装置5を頭尾軸方向にCPA角度回転させて透視画像を撮影する。この位置における透視画像上のIM位置から被検体に穿刺する(図8のステップ215)。以後の工程(図8のステップ216以降)は、CPA角度の回転を行わない場合(図7のステップ114以降)と同様である。
【0031】
[実施例2]
実施例2は、回転するX線検出器を備えた透視画像装置と組み合わせて用いるモニタ装置であって、アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備え、前記アイソセンタマーカー表示部71は、透視画像の映像信号の画面中心部にマーカーを前記モニタ72に表示することを可能にすることを特徴とする、モニタ装置である。
【0032】
本発明のモニタ装置の構成は、実施例1の表示部7として上述した説明と同様である。すなわち実施例2のモニタ装置は、アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とアイソセンタマーカーON/OFF指示入力部73を備える。
【0033】
本発明のモニタ装置では、アイソセンタマーカーを映像信号の画面中心部として表示する。そのため、実施例2のモニタ装置は、実施例1の装置の表示部7として使用できる他、X線を利用した透視画像撮影装置であって、透視画像撮影のために装置から発生されるX線がアイソセンタを中心に回転する装置と組み合わせて、経皮的椎体形成術支援用途に用いることができる。例えば、X線を利用した透視画像撮影装置であって、透視画像撮影のために装置から発生されるX線がアイソセンタを中心に回転する装置であれば、IVR-CT装置の他、消化管撮影用透視画像装置と組み合わせて使用することも可能である。
【0034】
[実施例3]
実施例3では、実施例1に記載した本発明の治療支援装置を用いて行った経皮的椎体形成術について記載する。
【0035】
(3‐1)経皮的椎体形成術の対象
2004年5月までに術前穿刺シミュレーションを行わずに透視下PVPを施行した23症例34椎体をhistorical control群(以下、A群)とし、2004年5月以降のシミュレーション施行後に透視下PVPを施行した24症例39椎体を対象群(以下、B群)とした。A群は女性10例、男性8例(判明分のみ)、年齢37〜90歳(中央値68歳)で、原因疾患の内訳は骨粗鬆症圧迫骨折11症例14椎体、多発性骨髄腫1症例1椎体、転移性骨腫瘍11症例17椎体であり、穿刺椎体はTh8(第8胸椎)〜L5(第5腰椎)まで広く分布していた。B群は女性23例、男性1例、年齢58〜93歳(中央値75.5歳)であり、原因疾患の内訳は骨粗鬆症圧迫骨折20例36椎体、転移性骨腫瘍3例4椎体で、穿刺椎体はTh6(第6胸椎)〜L5(第5腰椎)であった。
【0036】
(3‐2)術前CT穿刺シミュレーションの方法
東芝メディカル社製Multi-Slice CT(Asteion, Aquilion)を用いて水平断を撮影した。水平断の元画像に加えて、矢状断、冠状断の多断面再構成像(multiplanar reconstruction;以下、MPR)を作成した。この時点で複数名の放射線科専門医により、椎弓根や椎体の状態の確認を行い、PVPの適応判断、および片側椎弓根アプローチが可能か否かを決定した。
【0037】
上記水平断画像から、GE横河メディカル社製の放射線PACS/RISを用いて横軸穿刺角度(PAC)の決定を行った。まず、PACS/RISにより椎弓根(原則として両側)レベルの水平断像を選択し、まず椎体の中心に沿った正中線を定めた(図3)。次にこの正中線を椎体内で三等分に分割し(図4)、腹側から1/3の位置を穿刺ターゲットポイントとした。つづいて椎弓根を経由する穿刺経路に線を引き、この直線と正中線がなす角度を横軸穿刺角度(Puncture angle on CT;以下、PAC)とした(図5)。
【0038】
(3‐3)PVPのための位置決め
被検者を腹臥位にし、アイソセンタマーカー(IM)表示機能のあるSingle C-arm血管撮影装置を用いて被験者の画像を撮影した。まず、様々な程度にローテーションしている標的椎体の正面像を得るため、椎体棘突起の正面像が得られるまでC-armを回転させた。続いて、正面と側面それぞれの透視モニタ上にて穿刺ターゲットポイントをIMの位置に合わせた(図9)。続いて正面像撮影位置にC-armを戻し、その位置からPACと同角度にC-armを回転させた。この時点で透視モニタ上のIMが椎弓根内に位置していることを確認できれば、位置決め終了とした。IMが椎弓根内から外れている場合は、位置決め中の患者の体動、または検査台の誤操作による位置ズレが原因であるため、最初から位置決めをやり直した。
【0039】
(3‐4)透視下穿刺
位置決め終了後、IMを標的としてOsteo-site bone biopsy needle 13G ,15cm(Cook社製、US)で透視下穿刺した。椎弓根に刺入後は、側面透視に切り替え、IMで示された穿刺target pointまで穿刺針を先進させた。つづいて、正面透視に戻して穿刺針先端がIMの示す正中レベルに到達、または越えていることを確認して穿刺終了とした(図10)。
【0040】
(3‐5)骨セメント製剤注入
骨セメント製剤は、本施術では、Surgical Simplex P (PMMA; ポリメチルメタクリレート、日本ストライカー社製)40gに滅菌バリウム6gを加え、2〜3分間溶剤で混和したものを用いた。骨セメント製剤がソフトクリーム状に溶けたあたりで骨セメント注入器Osteoject(Integra NeuroScience社製)にて注入した。骨セメント製剤は、透視下側面像にて行い、脊柱管内や血管内への漏出がないことを確認しながら注入した。注入されたセメントが、椎体後縁付近に達した時点で注入を止め、穿刺針を抜き手技終了とした。
【0041】
(3‐6)PVP結果の検討方法
A,B両群におけるPVP結果について、片側椎弓根アプローチによる椎体正中穿刺成功率(Success rate;以下、SR)、治療前後のVisual Analogue Scale Score (VAS値)による除痛効果、並びに手技時間の点から、比較検討を行った。シミュレーションにて、あらかじめ片側アプローチ法が困難と判断した症例は、評価対象から除外した。検討方法を説明する。
【0042】
SRの判定方法は、穿刺針の先端が正面像にて椎体正中に達したか否かの視覚的評価と、骨セメント製剤が正中を越えて分布したか否かの客観的評価の両方を必要十分条件とした。
【0043】
骨セメント製剤の分布の評価は、術後翌日に施行した椎体CTの水平断における分布状況をもとに判断した。SRの結果はA,B両群について百分率で表示し、χ2検定およびFisherの直接確率検定(直接検定)にて統計的有意差を検証した。また、B群についてはPACと実際の穿刺角度の結果を平均値±標準偏差で示し、studentのt検定(両側検定)によってP<0.05で統計的有意差を検証した。
【0044】
除痛効果については、VAS値をPVP前後に測定し、Tukey-Kramer検定を用いた主観的な疼痛評価を行った。また、有効性治療効果として、治療後VAS値0〜2または治療前より5以上低下した場合を著効、治療前よりVAS値が2以上5未満低下している場合を有効、これ以外を不変と判定した。P<0.05でχ2検定(独立性の検定)による統計的有意差の検証を行った。
【0045】
手技施行時間は、便宜的に血管室入室から退室にかかる時間とした。PVPにおける1回あたりの穿刺数が1〜5ヵ所とばらつきがあり、所要時間のみでは客観的なPVP手技施行時間の評価が困難であるため、統計学的評価として、A群、B群それぞれ穿刺数と手技施行時間の相関関係を最小2乗法にて解析し、穿刺あたりの手技施行時間の予測を行った。
【0046】
(3‐7)PVP結果の検討結果
A群におけるSRは56%(19/34椎体)、B群ではシミュレーションにてあらかじめ片側アプローチが困難と判断された2椎体を除き、SRは100%(37/37椎体)であった。B群では、予定外に追加穿刺を行った症例はなく、全例において骨セメント製剤が正中を越えた分布を示した。Yeats補正χ2検定およびFisherの直接確率検定による統計的有意差の評価を行ったところ、いずれの検定でもP<0.001となり、A群とB群のSRに有意差が認められ、B群のSRが有意に高かった。
【0047】
B群のPACと実際の穿刺角度について評価を行ったところ、PACの平均値±標準偏差は29.0±4.56°、実際の穿刺角度では28.67±4.54°であった。studentのt検定(両側検定)ではP=0.99であり、統計的に有意差は認められなかった。PACと実際の穿刺角度の一致は、92%(29/34椎体)であった。さらに椎体別のPACを平均値±標準誤差で表してみると、Th11(26.0±2.0)、Th12(28.5±1.89)、L1(27.0±3.30)、L2(26.8±3.19)、L3(30.5±0.50)、L4(32.8±1.16)、L5(40±0)となり、椎体間で平均値に違いが認められた。
【0048】
除痛効果においては、A群の治療前VAS値の平均値±標準偏差は7.67±2.10であり、B群では7.25±2.17であった。治療後は、A群1.84±1.93、B群2.11±2.17であった。A群、B群の治療前後のPVPには、5%の有意水準において平均値に統計的有意差は認められなかった。
【0049】
手技施行時間と穿刺回数ついての統計的相関関係は、A群の1回穿刺にかかる手技施行時間の予測値は73.12分、B群の予測値は35.96分となった(図11)尚、A群,B群ともに、PVPを施行した全症例において、特に合併症は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例1に記載した装置の構成を示す図である。
【図2】IVR-CT装置のX線発生装置を回転させる際に、ターゲットポイントとアイソセンタの重なりが重要であることを説明する図である。
【図3】横軸穿刺角度の決定において、椎弓根を含む断面像に椎体の中心をとおる正中線を引いた図である。
【図4】横軸穿刺角度の決定において、前記椎体正中線を3等分し、前記椎体正中線の腹側から1/3の点である穿刺ターゲットポイントを決定した図である。
【図5】横軸穿刺角度の決定において、穿刺ターゲットポイントと椎弓根の中心とを結ぶ線を引き、前記穿刺ターゲットポイントと椎弓根の中心とを結ぶ線と前記正中線との交差する角度を求めることにより、横軸穿刺角度を決定した図である。
【図6】頭尾軸穿刺角度の決定方法を説明する図である。
【図7】本発明の装置を用いて経皮的椎体形成術を行う場合の本発明の装置の操作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の装置を用いて経皮的椎体形成術を行う場合の本発明の装置の操作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の装置を用いた経皮的椎体形成術を行う場合の、正面画像および側面画像においてターゲットポイントとIMとの重なりを確認する操作を示す図である。正面画像(図9左)、側面画像(図9右)。
【図10】本発明の装置を用いた経皮的椎体形成術を行う場合の、被検体側面からの透視画像で確認しながら穿刺針をターゲットポイントまで進めたことを示す図(図10上)と正面からの透視画像で針先とターゲットポイントの重なりを確認する図(図10下)である。
【図11】本発明の装置を用いた経皮的椎体形成術は、本装置を用いないで行う従来型の経皮的椎体形成術よりも施術時間が大幅に短縮されることを示すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
1 X線発生部
2 X線検出部
3 移動制御部
4 高電圧発生部
5 撮影系保持装置
6 画像データ作成部
7 表示部
8 操作部
9 主制御部
10 天板
15 X線管
16 X線絞り
21 X線検出器
22 A/D変換器
31 保持装置移動制御部
32 天板移動制御部
41 X線制御部
42 高電圧発生器
61 画像データ記憶部
62 D/A変換器
63 画像演算処理部
71 アイソセンタマーカー表示部
72 モニタ
73 アイソセンタマーカーON/OFF指示入力部
100 治療支援装置
150 被検体
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療支援装置および該装置の利用方法に関し、特に経皮的椎体形成術の支援に有用な装置および該装置を用いた経皮的椎体形成術に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮的椎体形成術(percutaneous vertebroplasty;PVP)は、椎体圧迫骨折や悪性腫瘍による除痛効果を主たる目的とした、骨セメントを椎体の損傷部位に注入して椎体を補強・維持する方法である。1987年フランスにて始められた比較的新しい治療法であるが、近年わが国においても多くの施設で施行されるようになっている。PVPは、IVR(Interventional radiology)-CT装置を用いて椎体を透視し、椎体の椎弓根の位置から穿刺針により注入する、椎弓根アプローチ(transpedicular approach)が基本である。椎弓根は椎体の背側左右に位置し、椎弓根アプローチには左右両側から穿刺する両側椎弓根アプローチと片側のみから穿刺する片側椎弓根アプローチとがある。初期の報告では両側椎弓根アプローチによるものが多いが、片側椎弓根アプローチは、両側アプローチと比較して、使用する穿刺針の減少による経費削減、穿刺回数削減による合併症(穿刺部出血・血腫、疼痛)の軽減、被爆量の削減、手技施行時間の短縮が図れるという利点がある。従って、片側アプローチは、患者、術者の負担を軽減する望ましい穿刺方法である。
【0003】
一般に、PVPの成否の手技上のキーポイントは、骨セメントを骨外に漏出せずに椎体内に片寄りなく分布させることであるといわれている。片側アプローチ法における理想的な穿刺ターゲットポイントは、椎体正中前1/3部分である。このターゲットポイントに穿刺可能であれば、骨セメント製剤が椎体内両側に分布し、両側アプローチは不要とされている。しかし、PVPの片側椎弓根アプローチ法に関する報告はごくわずかであり、穿刺の具体的方法に関する情報は少ない。一般に穿刺方法は、椎弓根が正面に来る斜位方向を、椎弓根の透視画面上の影をターゲットとして穿刺している。Kimら(非特許文献1)は、透視下穿刺の際に「スコッチテリアの首」が見える程度にC-armを斜位にし、腰椎に関しては30°前後が望ましいと述べている。またDavidら(非特許文献2)は、Kimらの論文を参考に20°程度の斜位で「スコッチテリアの首」が見える状態で穿刺すると述べている。治療効果については、両側アプローチと有意差がないとし、全例片側椎弓根アプローチを施行する旨を記述している。しかし、いずれの論文においても、穿刺方法に関する具体的な検討はなされていない。
【0004】
このように具体的手法の情報に乏しいことから、現在は、片側アプローチか両側アプローチかの選択は、術者の習熟度や主観により決定されており、その選択は、概して穿刺時に決められることがほとんどである。そのため、片側アプローチによる経皮的椎体形成術は、現在のところ、実施率および精度ともに必ずしも高いとはいえない状況にある。
【非特許文献1】Unilateral Transpedicullar Percutanous Vertebroplasty: Initial Experience. Ann K. Kim, et al. Radiology 2002; 222:737-741
【非特許文献2】David FK, Mary EJ, Percutanous Vertebroplasty. Radiology 2003; 229:27-36
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記状況を鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、片側椎弓根アプローチによる経皮的椎体形成術の精度向上のための支援装置およびシミュレーション方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意努力を行った。本発明者らは、透視画像ガイド下の片側椎弓根アプローチを実施するにあたり、穿刺角度を事前に決定する方法を生み出した。しかし、理想的な穿刺角度が得られても、正確にその角度で穿刺できる手段がなければ、片側椎弓根アプローチの成功率の向上は望めない。そこで本発明者らは、IVR-CT装置の特徴を生かした片側アプローチ方法を考え付いた。被検体を挟むようにX線発生装置とX線検出装置が配置されたIVR-CT装置は、被検体の様々な角度からの透視画像を可能にする。すなわち、IVR-CT装置を回転させて上記の事前に決定した角度から被検体を撮影し、該画像の下で穿刺し、さらに被検体の正面および側面両方向の画像で穿刺針先端位置を確認することにより、片側椎弓根アプローチを実施することを考え付いた。上記の方法で決定する穿刺角度はターゲットポイントを中心とした角度であるため、上記方法で決定する穿刺角度を生かしながら被検体のターゲットポイントに確実に穿刺するためには、ターゲットポイントがIVR-CT装置のX線画像の回転中心と一致することが重要である(図2)。ところが、これまでのIVR-CT装置には、アイソセンタを表示するものはなかった。そこで本発明者らは、IVR-CT装置の改良にとりくみ、ついにX線発生装置から発生するX線の回転中心であるアイソセンタをモニタに表示する装置の開発に成功した。すなわち本発明は、経皮的椎体形成術の支援に有用な装置および該装置を用いた経皮的椎体形成術に関し、具体的には以下のとおりである。
【0007】
(1)被検体に対してX線を照射するX線発生部1と、
前記X線発生部と被検体を挟んで対向に配置され前記X線発生部によって照射されたX線を検出するX線検出器21と、
前記X線発生部1および前記X線検出器21を保持し、前記被検体の周囲で回転し、前記回転によりX線発生部1が前記被検体の周囲で回転することを可能にする撮影系保持装置5と、
前記撮影系保持装置5の回転により回転するX線発生部1から発射されるX線の回転中心であるアイソセンタの位置を表すアイソセンタマーカーを操作者の指示に応じて前記X線検出器21によって検出された被験体のX線画像に重ねて表示する表示部7と、
を備えたことを特徴とする経皮的椎体形成術支援装置、
(2)前記表示部7がアイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備えたことを特徴とする、(1)記載の経皮的椎体形成術支援装置、
(3)前記表示部7が前記アイソセンタマーカーを前記X線検出部2によって検出されたX線画像の画面中央に表示することを特徴とする、(1)または(2)記載の経皮的椎体形成術支援装置、
(4)アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備え、前記アイソセンタマーカー表示部71は、入力された映像信号の画面中心部にマーカーを前記モニタ72に表示することを可能にすることを特徴とする、モニタ装置、
(5)下記(i)から(vi)の工程を含む、経皮的椎体形成術、
(i)(1)に記載の装置を用い、腹臥位の被検体の正面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(ii)(1)に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(iii)(1)に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の横軸周囲で前記横軸穿刺角度回転させた位置から腹臥位の被検体を撮影し、アイソセンタマーカー位置に重なる被検体の位置から穿刺する工程と、
(iv)(1)に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、該側面像におけるアイソセンタマーカー位置まで穿刺針先端を進める工程と、
(v)(1)に記載の装置を用い、被検体の正面像を撮影し、該正面像におけるアイソセンタマーカー位置と穿刺針先端の重なりを確認する工程と、
(vi)上記(v)の穿刺針先端位置において骨セメントを注入する工程、
(6)下記(i)から(vii)の工程を含む、経皮的椎体形成術、
(i)(1)に記載の装置を用い、腹臥位の被検体の正面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(ii)(1)に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(iii)(1)に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の横軸周囲で前記横軸穿刺角度回転させる工程と、
(iv)(1)に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の頭尾軸周囲で前記頭尾軸穿刺角度回転させた位置から腹臥位の被検体を撮影し、アイソセンタマーカー位置に重なる被検体の位置から穿刺する工程と、
(v)(1)に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、該側面像におけるアイソセンタマーカー位置まで穿刺針先端を進める工程と、
(vi)(1)に記載の装置を用い、被検体の正面像を撮影し、該正面像におけるアイソセンタマーカー位置と穿刺針先端の重なりを確認する工程と、
(vii)上記(v)の穿刺針先端位置において骨セメントを注入する工程。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、透視画像を撮影する装置を用いた経皮的椎体形成術において、ターゲットポイントに正確に穿刺するための穿刺角度を求め、該穿刺角度の位置に正確に透視画像撮影装置を回転させることが可能になり、該装置を使用した片側アプローチによる経皮的椎体形成術の成功率が飛躍的に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
[実施例1]
実施例1は、操作者の指示に従い、X線発生装置から発生するX線の回転中心であるアイソセンタの位置を表示するマーカー(以下、アイソセンタマーカーまたはIMと記載)をモニタ画面上に表示する治療支援装置である。
【0011】
(装置の構成)
実施例1における治療支援装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、治療支援装置の構成概要を示す。
治療支援装置100は、複数のユニットからなり、具体的には、被検体150に対してX線を照射するX線発生部1と、被検体150を透過したX線をX線検出器21によって検出し、電荷信号に変換するX線検出部2と、X線発生部1とX線検出器21とを保持し、被検体150の周囲で回転する撮影系保持装置5と、被検体150を載置するための天板10と、撮影系保持装置5の回転または移動および天板10の移動を行う移動制御部3と、X線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部4と、X線検出部2にから送られた電荷信号をもとに画像データを作成・記憶し、記憶した複数の画像データから透視画像データを作成する画像データ作成部6と、透視画像データを表示し、または透視画像データと後述するアイソセンタマーカーとを重畳表示する表示部7と、操作者が種々のコマンドを入力するための操作部8と、上記各ユニットを統合制御する主制御部9とを備える。
【0012】
X線発生部1は、X線管15と、X線絞り16とを備える。X線管15は、電子線を高電圧で加速し、陽極に衝突させてX線を発生する真空管であり、被検体150にX線を照射する。X線絞り16は、X線管15から発生したX線を線錘とし、X線照射範囲のサイズおよび形状を調整する。
【0013】
本実施例のX線検出部2は、X線検出器21と、A/D変換器22とを備える。X線検出器21は、X線検出器21に入射したX線を電荷に変換し、変換した電荷を画素毎に設置された信号蓄積コンデンサに保存し、保存した電荷を再び外部に取り出し、電圧に変換する。A/D変換器22は、X線検出器21の出力をデジタル信号に変換する。なお、本実施例のX線検出部2は、検出したX線を直接電荷に変換するが、X線検出部2は検出したX線を一旦光に変換した後に電荷に変換するものであってもよい。
【0014】
撮影系保持装置5は、X線発生部1とX線検出器21とを保持する。撮影系保持装置5において、X線発生部1とX線検出部2とは、被検体を間に挟み、相対する場所に位置する。撮影系保持装置5は、本実施例においては、シングルCアームである。なお、撮影系保持装置5はダブルCアーム、Ωアーム、バイプレーン型やIVR-CTであってもよい。
【0015】
移動制御部3は、天板移動制御部32と保持装置移動制御部31とを備える。天板移動制御部32は、天板10を被検体の頭尾軸方向に移動させる。保持装置移動制御部31は、撮影系保持装置5を天板10に載置された被検体の頭尾軸方向に回転(CRA‐CAU回転)または、被検体の横軸方向(被検体の胴の周囲を回る方向)に回転(LAO‐RAO回転)させる。また保持装置移動制御部31は、撮影系保持装置5を頭尾軸方向に移動、または被検体の左右方向に移動させる。
【0016】
高電圧発生部4は、高電圧発生器42と、X線制御部41とを備える。高電圧発生器42は、X線管15に加える直流高電圧を発生する。X線制御部41は、直流高電圧の大きさおよび印加時間、電流量等を制御する。
【0017】
画像データ作成部6は、画像データ記憶部61と、画像演算処理部63と、D/A変換器62とを備える。画像データ記憶部61はX線検出部2によって検出されたX線投影データを保存する。画像演算処理部63は、画像データ記憶部61から受け取ったデータについて、X線透視画像データ作成等の加工をし、加工したX線投影データを画像データ記憶部61に送る。
【0018】
操作部8は、キーボード、ジョイスティック等のコマンド入力部を備える。コマンド入力部は、被検体情報、撮影部位、撮影倍率、X線照射条件、撮影の開始または終了、撮影系保持装置5および天板10の回転または移動等に関し、操作者の指示を受け付ける。例えば、操作者は、撮影系保持装置5の回転角度を操作部8のコマンド入力部に指定することにより、撮影系保持装置5を所望の角度に回転させることができる。
【0019】
表示部7は、アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とアイソセンタマーカーON/OFF指示入力部73を備える。アイソセンタマーカー表示部71は、画像データ記憶部61から供給されるX線透視画像データにアイソセンタマーカーを付して表示用画像データを作成する。モニタ72は、アイソセンタマーカー表示部71によって作成された表示用画像データを表示する。モニタ72は、液晶またはCRTのいずれであってもよい。アイソセンタマーカーON/OFF指示入力部は、アイソセンタマーカーの表示/非表示に関する操作者の指示を受け付ける。
【0020】
(アイソセンタマーカーデータの作成と表示)
披検者を透過し、X線検出部2で検出されたX線信号は、画像データ作成部6を経由し、アイソセンタマーカー表示部71へ入力される。実施例1の装置では、画面上、アイソセンタは画面の中央に位置する。アイソセンタマーカー表示部71は、入力された映像信号の画面中心部にマーカー(白点等の印)を重ね合わせ、映像信号として出力する。検査室内に設置されたモニタ72はこの映像信号を受け取り、アイソセンタマーカーが重ね合わされた透視画像をリアルタイムに表示する。すなわち、アイソセンタマーカー表示部71はモニタ72へ入力される映像信号(透視像)を、モニタ72の手前で受取り、映像信号に対して画面中心部にマーカーを重ね合わせる機構を有する。
【0021】
(装置操作)
以下に、本装置を用いて経皮的椎体形成術を行う場合の装置操作について説明する。
まず、本装置を用いた経皮的椎体形成術に先立ち、横軸穿刺角度(PAC)を決定する工程、さらに必要に応じて頭尾軸穿刺角度(CPA)を決定する工程を実施する。頭尾軸穿刺角度(CPA)を決定する必要がある場合は、例えば、脊椎の湾曲がひどく、椎体が頭尾軸方向に強く傾斜している場合である。横軸穿刺角度を決定する工程および頭尾軸穿刺角度を決定する工程は、経皮的椎体形成術と連続しなくてもよい。例えば、経皮的椎体形成術の前日または前日以前に実施することができる。
【0022】
横軸穿刺角度(PAC)を決定する工程、すなわち、経皮的椎体形成術の二次元穿刺シミュレーション方法は、以下の(i)から(iii)の工程を含む。
(i)X線CT装置を用い被験体の水平断面画像を撮影する工程と、
(ii)前記水平断面画像において、椎体の中心をとおる正中線を引く工程と、
(iii)前記水平断面画像において、前記椎体正中線を3等分し、前記椎体正中線の腹側から1/3の点である穿刺ターゲットポイントと椎弓根の中心とを結ぶ線を引き、前記穿刺ターゲットポイントと椎弓根の中心とを結ぶ線と前記正中線との交差する角度を求めることにより、横軸穿刺角度を決定する工程。
【0023】
具体的には、横軸穿刺角度(PAC)の決定は、以下のように行う。まず、マルチスライスCT等のX線CT装置を用い、被検体の水平断面像を撮影する。撮影した水平断面像の中から左右両方の椎弓根を含む断面像を選択する。選択した水平断面像において、椎体の中心をとおる正中線を引く(図3)。次に、椎体部分の正中線を三等分し、腹側から1/3の位置を穿刺ターゲットポイントとする(図4)。続いて、上記水平断面像において、椎弓根を経由する穿刺経路にあたる線を引く。上記穿刺経路の線と正中線が交差する角度を求め、該角度を横軸穿刺角度として決定する(図5)。上述の横軸穿刺角度を求める際には、適当な映像加工支援システムを用いることができる。例えば放射線PACS/RISを用いて行うことができる。
【0024】
頭尾軸穿刺角度(CPA)を決定する工程、すなわち、経皮的椎体形成術の三次元穿刺シミュレーション方法は、以下の工程を含む。
(i)被検体の水平断面画像から矢状断再構成像を作成する工程と、
(ii)椎弓根を経由して矢状断再構成像における穿刺ターゲットポイントを通る線と腹臥位に対して垂直な線とが交差する角度を求めることにより、頭尾軸穿刺角度を決定する工程。
【0025】
頭尾軸穿刺角度(CPA)の決定は、具体的には、以下のように行う。X線CT装置によって撮影した水平断面像から、放射線PACS/RIS等の映像加工支援システムによって、矢状断の再構成像を作成する。損傷している椎体において、腹側1/3の位置をターゲットポイントとして定め、椎弓根の中心を経由しターゲットポイントを通る線を引く。次に、腹臥位に対して垂直な線(天板に対して垂直な線)を引く。上記椎弓根を経由しターゲットポイントを通る線と上記腹臥位に対して垂直な線との交差する角度を求め、該角度を頭尾軸穿刺角度として決定する(図6)。
【0026】
本発明の装置を用いた経皮的形成術は、例えば、以下のように実施できる。以下、経皮的形成術のフローチャート(図7、図8)を用いながら説明する。
【0027】
操作者は、アイソセンタマーカー(以下、場合により「IM」と称する。)の表示コマンドをアイソセンタマーカーON/OFF指示入力部73から入力する(図7のステップ101、図8のステップ201)。IM表示指示の信号は、アイソセンタマーカー表示部71に受信され、モニタ72にIMが表示される(図7のステップ102、図8のステップ202)。一方、操作者は、周知の方法によって被検体に造影剤を投与する。例えば、造影剤自動注入器によって被検体に造影剤を投与する。操作者は、被検体の損傷椎体を含む椎骨の正面(腹側)から透視画像を表示するため、コマンドを操作部8から入力する。保持装置移動制御部31は、撮影位置を指示するコマンドを受信すると、被検体の正面位置の撮影が可能となるように撮影系保持装置5を回転させる。透視画像表示の信号が、主制御部9を経由して画像データ作成部6に入力されると、画像データ作成部6は造影剤投与前の画像および造影剤投与後の画像からX線透視画像データを作成する。X線透視画像データは、表示部7に送信される。表示部7のアイソセンタマーカー表示部71は、X線透視画像データの中心部にIMを重ねあわせ、モニタ72にIMと被検体正面からの透視画像が重畳表示される(図7のステップ103、図8のステップ203)。
【0028】
操作者は、被検体の正面画像において、ターゲットポイントとIMが重なるかどうか目視で判断する(図7のステップ104、図8のステップ204)。重ならない場合は、天板10の移動コマンドを操作部8に入力して天板10を移動させ、再度、透視画像上でターゲットポイントとIMとの重なりを判断する(図7のステップ105、図8のステップ205)。ターゲットポイントとIMが重なる場合は、操作者は、撮影系保持装置5の横軸方向の回転コマンドを入力し、例えば、撮影系保持装置5を90度のLAO回転(被験者左側に横軸方向回転)またはRAO回転(被験者右側に横軸方向回転)させるコマンドを入力し、検体の側面撮影可能な位置に撮影系保持装置5をLAO‐RAO回転させる(図7のステップ106、図8のステップ206)。操作者は正面画像の場合と同様に、側面画像についてもターゲットポイントとIMとの重なりを判断し(図7のステップ109、図8のステップ209)、必要に応じて天板10を移動させる(図7のステップ110、図8のステップ210)。
【0029】
操作者は、正面画像および側面画像の両方においてターゲットポイントとIMとの重なりを確認した後(図9)、操作部8から撮影系保持装置5を横軸方向にLAO‐RAO回転させるコマンドを入力し、PAC角度からの透視画像を撮影する(図7のステップ111、図8のステップ211)。撮影系保持装置5をPAC角度の位置に回転させるコマンドを保持装置移動制御部31が受信すると、保持装置移動制御部31は撮影系保持装置5を被検体の正面撮影位置からPAC角度撮影位置までLAO‐RAO回転させる(図7のステップ112、図8のステップ212)。操作者は、このPAC角度の撮影下のIM位置から被検体に穿刺する(図7のステップ113、図8のステップ213)。次に、操作者は、撮影系保持装置5を被験者の側面位置に回転させるコマンドを入力し、被検体の側面から透視画像を撮影する(図7のステップ114)。側面からの透視画像で穿刺した針を確認しながら、針先がターゲットポイントに重なるまで針を進める(図7のステップ115)。操作者は、撮影系保持装置5を被験者の正面撮影位置に回転させるコマンドを入力し(図7のステップ116)、被検体の正面から透視画像を撮影し、針先とターゲットポイントの重なりを目視で確認する(図7のステップ117、図10)。再度、撮影系保持装置5を被験者の側面位置に回転させるコマンドを入力し(図7のステップ118)、側面透視撮影の下で骨セメントを注入する(図7のステップ119、図10)。
【0030】
CPA角度を決定している場合は、操作者は、撮影系保持装置5をPAC角度でLAO‐RAO回転させた後、操作部8から撮影系保持装置5を頭尾軸方向に回転させるコマンドとしてCPA角度を入力し(図8のステップ213)、撮影系保持装置5を頭尾軸方向にCPA角度回転させて透視画像を撮影する。この位置における透視画像上のIM位置から被検体に穿刺する(図8のステップ215)。以後の工程(図8のステップ216以降)は、CPA角度の回転を行わない場合(図7のステップ114以降)と同様である。
【0031】
[実施例2]
実施例2は、回転するX線検出器を備えた透視画像装置と組み合わせて用いるモニタ装置であって、アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備え、前記アイソセンタマーカー表示部71は、透視画像の映像信号の画面中心部にマーカーを前記モニタ72に表示することを可能にすることを特徴とする、モニタ装置である。
【0032】
本発明のモニタ装置の構成は、実施例1の表示部7として上述した説明と同様である。すなわち実施例2のモニタ装置は、アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とアイソセンタマーカーON/OFF指示入力部73を備える。
【0033】
本発明のモニタ装置では、アイソセンタマーカーを映像信号の画面中心部として表示する。そのため、実施例2のモニタ装置は、実施例1の装置の表示部7として使用できる他、X線を利用した透視画像撮影装置であって、透視画像撮影のために装置から発生されるX線がアイソセンタを中心に回転する装置と組み合わせて、経皮的椎体形成術支援用途に用いることができる。例えば、X線を利用した透視画像撮影装置であって、透視画像撮影のために装置から発生されるX線がアイソセンタを中心に回転する装置であれば、IVR-CT装置の他、消化管撮影用透視画像装置と組み合わせて使用することも可能である。
【0034】
[実施例3]
実施例3では、実施例1に記載した本発明の治療支援装置を用いて行った経皮的椎体形成術について記載する。
【0035】
(3‐1)経皮的椎体形成術の対象
2004年5月までに術前穿刺シミュレーションを行わずに透視下PVPを施行した23症例34椎体をhistorical control群(以下、A群)とし、2004年5月以降のシミュレーション施行後に透視下PVPを施行した24症例39椎体を対象群(以下、B群)とした。A群は女性10例、男性8例(判明分のみ)、年齢37〜90歳(中央値68歳)で、原因疾患の内訳は骨粗鬆症圧迫骨折11症例14椎体、多発性骨髄腫1症例1椎体、転移性骨腫瘍11症例17椎体であり、穿刺椎体はTh8(第8胸椎)〜L5(第5腰椎)まで広く分布していた。B群は女性23例、男性1例、年齢58〜93歳(中央値75.5歳)であり、原因疾患の内訳は骨粗鬆症圧迫骨折20例36椎体、転移性骨腫瘍3例4椎体で、穿刺椎体はTh6(第6胸椎)〜L5(第5腰椎)であった。
【0036】
(3‐2)術前CT穿刺シミュレーションの方法
東芝メディカル社製Multi-Slice CT(Asteion, Aquilion)を用いて水平断を撮影した。水平断の元画像に加えて、矢状断、冠状断の多断面再構成像(multiplanar reconstruction;以下、MPR)を作成した。この時点で複数名の放射線科専門医により、椎弓根や椎体の状態の確認を行い、PVPの適応判断、および片側椎弓根アプローチが可能か否かを決定した。
【0037】
上記水平断画像から、GE横河メディカル社製の放射線PACS/RISを用いて横軸穿刺角度(PAC)の決定を行った。まず、PACS/RISにより椎弓根(原則として両側)レベルの水平断像を選択し、まず椎体の中心に沿った正中線を定めた(図3)。次にこの正中線を椎体内で三等分に分割し(図4)、腹側から1/3の位置を穿刺ターゲットポイントとした。つづいて椎弓根を経由する穿刺経路に線を引き、この直線と正中線がなす角度を横軸穿刺角度(Puncture angle on CT;以下、PAC)とした(図5)。
【0038】
(3‐3)PVPのための位置決め
被検者を腹臥位にし、アイソセンタマーカー(IM)表示機能のあるSingle C-arm血管撮影装置を用いて被験者の画像を撮影した。まず、様々な程度にローテーションしている標的椎体の正面像を得るため、椎体棘突起の正面像が得られるまでC-armを回転させた。続いて、正面と側面それぞれの透視モニタ上にて穿刺ターゲットポイントをIMの位置に合わせた(図9)。続いて正面像撮影位置にC-armを戻し、その位置からPACと同角度にC-armを回転させた。この時点で透視モニタ上のIMが椎弓根内に位置していることを確認できれば、位置決め終了とした。IMが椎弓根内から外れている場合は、位置決め中の患者の体動、または検査台の誤操作による位置ズレが原因であるため、最初から位置決めをやり直した。
【0039】
(3‐4)透視下穿刺
位置決め終了後、IMを標的としてOsteo-site bone biopsy needle 13G ,15cm(Cook社製、US)で透視下穿刺した。椎弓根に刺入後は、側面透視に切り替え、IMで示された穿刺target pointまで穿刺針を先進させた。つづいて、正面透視に戻して穿刺針先端がIMの示す正中レベルに到達、または越えていることを確認して穿刺終了とした(図10)。
【0040】
(3‐5)骨セメント製剤注入
骨セメント製剤は、本施術では、Surgical Simplex P (PMMA; ポリメチルメタクリレート、日本ストライカー社製)40gに滅菌バリウム6gを加え、2〜3分間溶剤で混和したものを用いた。骨セメント製剤がソフトクリーム状に溶けたあたりで骨セメント注入器Osteoject(Integra NeuroScience社製)にて注入した。骨セメント製剤は、透視下側面像にて行い、脊柱管内や血管内への漏出がないことを確認しながら注入した。注入されたセメントが、椎体後縁付近に達した時点で注入を止め、穿刺針を抜き手技終了とした。
【0041】
(3‐6)PVP結果の検討方法
A,B両群におけるPVP結果について、片側椎弓根アプローチによる椎体正中穿刺成功率(Success rate;以下、SR)、治療前後のVisual Analogue Scale Score (VAS値)による除痛効果、並びに手技時間の点から、比較検討を行った。シミュレーションにて、あらかじめ片側アプローチ法が困難と判断した症例は、評価対象から除外した。検討方法を説明する。
【0042】
SRの判定方法は、穿刺針の先端が正面像にて椎体正中に達したか否かの視覚的評価と、骨セメント製剤が正中を越えて分布したか否かの客観的評価の両方を必要十分条件とした。
【0043】
骨セメント製剤の分布の評価は、術後翌日に施行した椎体CTの水平断における分布状況をもとに判断した。SRの結果はA,B両群について百分率で表示し、χ2検定およびFisherの直接確率検定(直接検定)にて統計的有意差を検証した。また、B群についてはPACと実際の穿刺角度の結果を平均値±標準偏差で示し、studentのt検定(両側検定)によってP<0.05で統計的有意差を検証した。
【0044】
除痛効果については、VAS値をPVP前後に測定し、Tukey-Kramer検定を用いた主観的な疼痛評価を行った。また、有効性治療効果として、治療後VAS値0〜2または治療前より5以上低下した場合を著効、治療前よりVAS値が2以上5未満低下している場合を有効、これ以外を不変と判定した。P<0.05でχ2検定(独立性の検定)による統計的有意差の検証を行った。
【0045】
手技施行時間は、便宜的に血管室入室から退室にかかる時間とした。PVPにおける1回あたりの穿刺数が1〜5ヵ所とばらつきがあり、所要時間のみでは客観的なPVP手技施行時間の評価が困難であるため、統計学的評価として、A群、B群それぞれ穿刺数と手技施行時間の相関関係を最小2乗法にて解析し、穿刺あたりの手技施行時間の予測を行った。
【0046】
(3‐7)PVP結果の検討結果
A群におけるSRは56%(19/34椎体)、B群ではシミュレーションにてあらかじめ片側アプローチが困難と判断された2椎体を除き、SRは100%(37/37椎体)であった。B群では、予定外に追加穿刺を行った症例はなく、全例において骨セメント製剤が正中を越えた分布を示した。Yeats補正χ2検定およびFisherの直接確率検定による統計的有意差の評価を行ったところ、いずれの検定でもP<0.001となり、A群とB群のSRに有意差が認められ、B群のSRが有意に高かった。
【0047】
B群のPACと実際の穿刺角度について評価を行ったところ、PACの平均値±標準偏差は29.0±4.56°、実際の穿刺角度では28.67±4.54°であった。studentのt検定(両側検定)ではP=0.99であり、統計的に有意差は認められなかった。PACと実際の穿刺角度の一致は、92%(29/34椎体)であった。さらに椎体別のPACを平均値±標準誤差で表してみると、Th11(26.0±2.0)、Th12(28.5±1.89)、L1(27.0±3.30)、L2(26.8±3.19)、L3(30.5±0.50)、L4(32.8±1.16)、L5(40±0)となり、椎体間で平均値に違いが認められた。
【0048】
除痛効果においては、A群の治療前VAS値の平均値±標準偏差は7.67±2.10であり、B群では7.25±2.17であった。治療後は、A群1.84±1.93、B群2.11±2.17であった。A群、B群の治療前後のPVPには、5%の有意水準において平均値に統計的有意差は認められなかった。
【0049】
手技施行時間と穿刺回数ついての統計的相関関係は、A群の1回穿刺にかかる手技施行時間の予測値は73.12分、B群の予測値は35.96分となった(図11)尚、A群,B群ともに、PVPを施行した全症例において、特に合併症は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例1に記載した装置の構成を示す図である。
【図2】IVR-CT装置のX線発生装置を回転させる際に、ターゲットポイントとアイソセンタの重なりが重要であることを説明する図である。
【図3】横軸穿刺角度の決定において、椎弓根を含む断面像に椎体の中心をとおる正中線を引いた図である。
【図4】横軸穿刺角度の決定において、前記椎体正中線を3等分し、前記椎体正中線の腹側から1/3の点である穿刺ターゲットポイントを決定した図である。
【図5】横軸穿刺角度の決定において、穿刺ターゲットポイントと椎弓根の中心とを結ぶ線を引き、前記穿刺ターゲットポイントと椎弓根の中心とを結ぶ線と前記正中線との交差する角度を求めることにより、横軸穿刺角度を決定した図である。
【図6】頭尾軸穿刺角度の決定方法を説明する図である。
【図7】本発明の装置を用いて経皮的椎体形成術を行う場合の本発明の装置の操作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の装置を用いて経皮的椎体形成術を行う場合の本発明の装置の操作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の装置を用いた経皮的椎体形成術を行う場合の、正面画像および側面画像においてターゲットポイントとIMとの重なりを確認する操作を示す図である。正面画像(図9左)、側面画像(図9右)。
【図10】本発明の装置を用いた経皮的椎体形成術を行う場合の、被検体側面からの透視画像で確認しながら穿刺針をターゲットポイントまで進めたことを示す図(図10上)と正面からの透視画像で針先とターゲットポイントの重なりを確認する図(図10下)である。
【図11】本発明の装置を用いた経皮的椎体形成術は、本装置を用いないで行う従来型の経皮的椎体形成術よりも施術時間が大幅に短縮されることを示すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
1 X線発生部
2 X線検出部
3 移動制御部
4 高電圧発生部
5 撮影系保持装置
6 画像データ作成部
7 表示部
8 操作部
9 主制御部
10 天板
15 X線管
16 X線絞り
21 X線検出器
22 A/D変換器
31 保持装置移動制御部
32 天板移動制御部
41 X線制御部
42 高電圧発生器
61 画像データ記憶部
62 D/A変換器
63 画像演算処理部
71 アイソセンタマーカー表示部
72 モニタ
73 アイソセンタマーカーON/OFF指示入力部
100 治療支援装置
150 被検体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対してX線を照射するX線発生部1と、
前記X線発生部と被検体を挟んで対向に配置され前記X線発生部によって照射されたX線を検出するX線検出器21と、
前記X線発生部1および前記X線検出器21を保持し、前記被検体の周囲で回転し、前記回転によりX線発生部1が前記被検体の周囲で回転することを可能にする撮影系保持装置5と、
前記撮影系保持装置5の回転により回転するX線発生部1から発射されるX線の回転中心であるアイソセンタの位置を表すアイソセンタマーカーを操作者の指示に応じて前記X線検出器21によって検出された被験体のX線画像に重ねて表示する表示部7と、
を備えたことを特徴とする経皮的椎体形成術支援装置。
【請求項2】
前記表示部7がアイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備えたことを特徴とする、請求項1記載の経皮的椎体形成術支援装置。
【請求項3】
前記表示部7が前記アイソセンタマーカーを前記X線検出部2によって検出されたX線画像の画面中央に表示することを特徴とする、請求項1または2記載の経皮的椎体形成術支援装置。
【請求項4】
アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備え、前記アイソセンタマーカー表示部71は、入力された映像信号の画面中心部にマーカーを前記モニタ72に表示することを可能にすることを特徴とする、モニタ装置。
【請求項5】
下記(i)から(vi)の工程を含む、経皮的椎体形成術。
(i)請求項1に記載の装置を用い、腹臥位の被検体の正面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(ii)請求項1に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(iii)請求項1に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の横軸周囲で前記横軸穿刺角度回転させた位置から腹臥位の被検体を撮影し、アイソセンタマーカー位置に重なる被検体の位置から穿刺する工程と、
(iv)請求項1に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、該側面像におけるアイソセンタマーカー位置まで穿刺針先端を進める工程と、
(v)請求項1に記載の装置を用い、被検体の正面像を撮影し、該正面像におけるアイソセンタマーカー位置と穿刺針先端の重なりを確認する工程と、
(vi)上記(v)の穿刺針先端位置において骨セメントを注入する工程
【請求項6】
下記(i)から(vii)の工程を含む、経皮的椎体形成術。
(i)請求項1に記載の装置を用い、腹臥位の被検体の正面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(ii)請求項1に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(iii)請求項1に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の横軸周囲で前記横軸穿刺角度回転させる工程と、
(iv)請求項1に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の頭尾軸周囲で前記頭尾軸穿刺角度回転させた位置から腹臥位の被検体を撮影し、アイソセンタマーカー位置に重なる被検体の位置から穿刺する工程と、
(v)請求項1に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、該側面像におけるアイソセンタマーカー位置まで穿刺針先端を進める工程と、
(vi)請求項1に記載の装置を用い、被検体の正面像を撮影し、該正面像におけるアイソセンタマーカー位置と穿刺針先端の重なりを確認する工程と、
(vii)上記(v)の穿刺針先端位置において骨セメントを注入する工程
【請求項1】
被検体に対してX線を照射するX線発生部1と、
前記X線発生部と被検体を挟んで対向に配置され前記X線発生部によって照射されたX線を検出するX線検出器21と、
前記X線発生部1および前記X線検出器21を保持し、前記被検体の周囲で回転し、前記回転によりX線発生部1が前記被検体の周囲で回転することを可能にする撮影系保持装置5と、
前記撮影系保持装置5の回転により回転するX線発生部1から発射されるX線の回転中心であるアイソセンタの位置を表すアイソセンタマーカーを操作者の指示に応じて前記X線検出器21によって検出された被験体のX線画像に重ねて表示する表示部7と、
を備えたことを特徴とする経皮的椎体形成術支援装置。
【請求項2】
前記表示部7がアイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備えたことを特徴とする、請求項1記載の経皮的椎体形成術支援装置。
【請求項3】
前記表示部7が前記アイソセンタマーカーを前記X線検出部2によって検出されたX線画像の画面中央に表示することを特徴とする、請求項1または2記載の経皮的椎体形成術支援装置。
【請求項4】
アイソセンタマーカー表示部71とモニタ72とを備え、前記アイソセンタマーカー表示部71は、入力された映像信号の画面中心部にマーカーを前記モニタ72に表示することを可能にすることを特徴とする、モニタ装置。
【請求項5】
下記(i)から(vi)の工程を含む、経皮的椎体形成術。
(i)請求項1に記載の装置を用い、腹臥位の被検体の正面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(ii)請求項1に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(iii)請求項1に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の横軸周囲で前記横軸穿刺角度回転させた位置から腹臥位の被検体を撮影し、アイソセンタマーカー位置に重なる被検体の位置から穿刺する工程と、
(iv)請求項1に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、該側面像におけるアイソセンタマーカー位置まで穿刺針先端を進める工程と、
(v)請求項1に記載の装置を用い、被検体の正面像を撮影し、該正面像におけるアイソセンタマーカー位置と穿刺針先端の重なりを確認する工程と、
(vi)上記(v)の穿刺針先端位置において骨セメントを注入する工程
【請求項6】
下記(i)から(vii)の工程を含む、経皮的椎体形成術。
(i)請求項1に記載の装置を用い、腹臥位の被検体の正面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(ii)請求項1に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、穿刺ターゲットポイントをアイソセンタマーカーに重ねる工程と、
(iii)請求項1に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の横軸周囲で前記横軸穿刺角度回転させる工程と、
(iv)請求項1に記載の装置を用い、前記X線検出部および前記X線発生部を前記被検体の頭尾軸周囲で前記頭尾軸穿刺角度回転させた位置から腹臥位の被検体を撮影し、アイソセンタマーカー位置に重なる被検体の位置から穿刺する工程と、
(v)請求項1に記載の装置を用い、被検体の側面像を撮影し、該側面像におけるアイソセンタマーカー位置まで穿刺針先端を進める工程と、
(vi)請求項1に記載の装置を用い、被検体の正面像を撮影し、該正面像におけるアイソセンタマーカー位置と穿刺針先端の重なりを確認する工程と、
(vii)上記(v)の穿刺針先端位置において骨セメントを注入する工程
【図1】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−54397(P2007−54397A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244657(P2005−244657)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年4月8日から10日 社団法人日本医学放射線学会主催の「第64回 日本医学放射線学会学術集会」において文書をもって発表
【出願人】(596165589)学校法人 聖マリアンナ医科大学 (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年4月8日から10日 社団法人日本医学放射線学会主催の「第64回 日本医学放射線学会学術集会」において文書をもって発表
【出願人】(596165589)学校法人 聖マリアンナ医科大学 (53)
【Fターム(参考)】
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