説明

泡吐出容器

【課題】フォーマーキャップから容器本体内にディップチューブが延びている泡吐出容器において、空気導入路の空気取り入れ口を容器本体内の液面からできるだけ遠ざけ、かつフォーマーキャップをコンパクトに構成する。
【解決手段】泡吐出容器1が、可撓性を有する容器本体2、容器本体2の口部3に被着されるフォーマーキャップ10、及びフォーマーキャップ10から容器本体2内に延びたディップチューブ11を備える。フォーマーキャップ10は、ディップチューブ11に連通する外側筒状部20と、外側筒状部20内に嵌入された内側筒状部30と、内側筒状部30から延びる泡吐出路14を有する。外側筒状部20と内側筒状部30との間には空気導入路pと液導入路qとそれらが合流する気液合流部rが形成され、空気導入路pが気液合流部rよりも上方に空気取り入れ口p1を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する容器本体を押圧することにより、容器本体内の液体を泡状に吐出させる泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する容器本体を押圧することにより、容器本体内の液体を泡状に吐出させる泡吐出容器はスクイズフォーマー容器とも称され、各種化粧料や洗浄剤などを泡状に吐出させる場合に使用されている。
【0003】
泡吐出容器の一般的な形態の一つとして、気液混合室を有するフォーマーキャップが容器本体の口部に装着され、フォーマーキャップに、容器本体内に延びたディップチューブが接続され、容器本体内からディップチューブを通して供給された液体と、容器本体内の空間から供給された空気とを気液混合室で混合して起泡させるものがある。このような泡吐出容器では、従来、気液混合室に空気を供給する空気導入路の空気取り入れ口は、気液混合室よりも下方に設けられている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−3853号公報
【特許文献2】特許2934145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
気液混合室に空気を供給する空気導入路の空気取り入れ口が気液混合室よりも下方に設けられている従来の泡吐出容器では、容器本体内で液体が振とうされることなどにより液体が泡立った場合、その泡で空気導入路の空気取り入れ口が塞がれてしまい、気液混合室に十分に空気を供給できず、所期の泡質の泡を吐出できない場合がある。
【0006】
これに対しては、空気導入路の空気取り入れ口を容器本体内の液面からできるだけ遠ざけるために、気液混合室を容器本体の口部よりも上方に配置した泡吐出容器が提案されている。しかしながら、この泡吐出容器では、容器本体の口部からフォーマーキャップが大きく上方に突出し、泡吐出容器をコンパクトに構成することができない。
【0007】
そこで、本発明は、フォーマーキャップから容器本体内にディップチューブが延びている泡吐出容器において、空気導入路の空気取り入れ口を容器本体内の液面からできるだけ遠ざけ、かつフォーマーキャップをコンパクトに構成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、フォーマーキャップ内の気液混合部に、ディップチューブを通して容器本体内の液体を供給すると共に、容器本体内の空気を供給して液体を起泡させるにあたり、二つの筒状部材を重ね合わせ、それらの間隙に空気導入路と液導入路とそれらが合流する気液合流部を設け、空気導入路の空気取り入れ口を気液合流部よりも上方に設けることにより、コンパクトな構成で、空気取り入れ口を容器本体内の液面から離すことが可能となることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、可撓性を有する容器本体、容器本体の口部に被着されるフォーマーキャップ、及びフォーマーキャップから容器本体内に延びたディップチューブを備えた泡吐出容器であって、フォーマーキャップが、ディップチューブに連通する外側筒状部と、外側筒状部内に嵌入された内側筒状部と、内側筒状部から延びる泡吐出路を有し、
外側筒状部と内側筒状部との間に空気導入路と液導入路とそれらが合流する気液合流部が形成され、空気導入路が気液合流部よりも上方に空気取り入れ口を有する泡吐出容器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の泡吐出容器によれば、空気導入路の空気取り入れ口が、空気導入路と液導入路とが合流する気液合流部よりも上方に設けられるので、空気取り入れ口を容器本体内の液面から離すことが可能となる。そのため、容器本体内の液体が泡立った場合でも、その泡により空気取り入れ口が塞がれることを抑え、良好な泡の吐出を維持することができる。
【0011】
また、この場合に、空気導入路と液導入路とが合流する気液合流部を容器本体内の液面から離すことは不要であるため、フォーマーキャップを容器本体の口部から大きく上方に突出させることも不要となる。そのため、本発明の泡吐出容器によれば、フォーマーキャップをコンパクトに構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例の泡吐出容器の斜視図(a)及び正面図(b)である。
【図2】図2は、図1の泡出容器のフォーマーキャップの縦断面図である。
【図3】図3は、図1の泡吐出容器の気液合流部付近の液体の流れと気体の流れの説明図である。
【図4A】図4Aは、図1の泡吐出容器が使用する外側筒状部の上面図である。
【図4B】図4Bは、図1の泡吐出容器が使用する外側筒状部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
図1(a)は、本発明の一実施例の泡吐出容器1の斜視図、同図(b)はその正面図、図2は、その泡吐出容器1で容器本体の口部に装着されているフォーマーキャップ10の縦断面図である。
【0015】
この泡吐出容器1は、可撓性を有するプラスチック製で、起泡性の液体Aが収容される容器本体2と、容器本体2の口部に被着されるフォーマーキャップ10と、フォーマーキャップ10から容器本体2内に延びたディップチューブ11を備えており、泡吐出容器1を正立状態にして容器本体2の胴部を図1(b)のニ点鎖線で示すように押圧変形させることにより、フォーマーキャップ10の吐出口12から容器本体2内の液体Aを泡状に吐出させるものである。
【0016】
ここで、容器本体2の材質としては、所謂スクイズ性(即ち、押圧性及びスクイズバック性)が良好な、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂を単独又は適宜複数種混合して用いることができる。
【0017】
図2に示すように、フォーマーキャップ10は、容器本体2の口部3に螺合することにより着脱自体に被着している。また、フォーマーキャップ10は、ハウジング13内に外側筒状部20と、外側筒状部20内に嵌入された内側筒状部30を有する。ここで、外側筒状部20と内側筒状部30は、それらの下部20aおよび30aでは、外側筒状部20の内壁と内側筒状部30の外壁が直接対向しているが、上部20bおよび30bでは、ハウジング13から垂下した筒状壁15を、外側筒状部20の内壁と内側筒状部30の外壁とが挟持するように対向している。
【0018】
外側筒状部20は、その下端が、ディップチューブ11が嵌入されるディップチューブホルダー21となっており、外側筒状部20の内部が、嵌入されたディップチューブ11と連通している。この場合、ディップチューブ11は、泡吐出容器1を吐出口12側に傾けて使用したときに容器本体2内の液体Aを残り無く吐出できるようにく字型に屈曲し、容器本体2の底部においてディップチューブ11の先端開口部を吐出口12側に向けている。
【0019】
内側筒状部30は有底筒状で、その閉じられた底部31をディップチューブ11側に向けている。また、内側筒状部30は、ディップチューブ11と反対側の開口端に第1のメッシュ40を有し、泡吐出路14及び吐出口12に繋がっている。なお、第1メッシュ40と吐出口12との間の泡吐出路14内には、さらに第2メッシュ41が設けられている。
【0020】
外側筒状部20と内側筒状部30との間には、複数の空気導入路pと、複数の液導入路qと、空気導入路pと液導入路qとが合流し泡となる複数の気液合流部rが形成されており、各空気導入路pは気液合流部rと反対側の外側筒状部20の上端部で容器本体2内の上部空間2aに連通し、各液導入路qは気液合流部rと反対側端部でディップチューブ11に連通し、気液合流部rは、内側筒状部30に形成された連通孔32により内側筒状部30の内部と連通している。
【0021】
より具体的には、図3、図4A、図4Bに示すように、外側筒状部20の略上半分である上部20bには、外側筒状部20の内壁に、外側筒状部20の上端縁から中央部の気液合流部rに至る6本の縦溝22が形成されており、外側筒状部20と内側筒状部30との間に筒状壁15を嵌入させることにより、外側筒状部20の上部20bの内壁と筒状壁15との間隙、及び外側筒状部20の段部20cの内壁と内側筒状部30との間隙に空気導入路pが形成されるようにしている。そのため、図2に示すように、空気導入路pの空気取り入れ口p1 は、外側筒状部20の上端、すなわち水平に延びた泡吐出路14の直下に形成されることになり、容器本体2内において液体Aの液面から最大限離れた位置をとる。したがって、容器本体2内の液体Aが泡立った場合でも、その泡で空気取り入れ口p1が塞がれることを防止でき、良好な泡を吐出させることが可能となる。また、この場合に気液合流部rは容器本体2の口部3の上下方向の幅内、言い換えると口部3を形成し、外壁に螺子が設けられた筒の内部に位置しており、泡が生成する気液合流部rを容器本体2の口部3を形成する筒の上縁よりも上方に位置させることは不要である。したがって、この泡吐出容器1によればフォーマーキャップ10をコンパクトに構成することが可能となる。
【0022】
一方、外側筒状部20の略下半分である下部20aには、内側筒状部30に対向する内表面に、ディップチューブ11の挿入端の上近傍から外側筒状部20の中央部の気液合流部rに至る6本の縦溝23が形成されており、外側筒状部20と内側筒状部30との間隙に液導入路qが形成されるようにしている。
【0023】
このように空気導入路pと液導入路qをそれぞれ複数設けて空気と液体を混合することにより、気液混合効率を高め、泡質を均質化することができる。なお、図示したフォーマーキャップ10では、空気導入路pの横断面形状が矩形で液導入路qの同断面形状が半月状であるが、これらの横断面形状はこれに限られず、空気導入路pと液導入路qの横断面形状を同一としてもよい。
【0024】
本発明では、外側筒状部20の上部20bの内壁の溝22に空気導入路pを形成することに代えて、外側筒状部20に対向する筒状壁15や内側筒状部30の上部30bの外壁に溝を設けることにより形成してもよい。
【0025】
また、図示したフォーマーキャップ10のように、外側筒状部20と内側筒状部30との間に筒状壁15を嵌入させるとこれらの嵌合力を高めることができるので、泡吐出容器1の輸送時などにディップチューブ11に該ディップチューブ11の先端開口部の向きを変えさせる回転力がかかっても、ディップチューブ11の先端開口部の向きが変わることを防止でき、また空気導入路pの空気取り入れ口p1を液体Aの液面から大きく遠ざけることができるので好ましいが、外側筒状部20と内側筒状部30との間に筒状壁15を嵌入させることなく、外側筒状部20と内側筒状部30とを直接対向させ、内側筒状部30と筒状壁15の嵌合により、外側筒状部20と内側筒状部30とがハウジング13に固定されるようにしてもよい。その場合には、外側筒状部20の上部20bの内壁又は内側筒状部30の上部30bの外壁に溝を形成することにより、空気導入路pを形成することができる。
【0026】
液導入路qについても、外側筒状部20の下部20aの内壁の溝23から形成することに代えて、外側筒状部20の下部20aに対向する内側筒状部30の外壁の下部30aに形成した溝から形成してもよい。さらには、ディップチューブ11から供給された液体を複数の液導入路qで分岐させることなく、空気導入路pから供給される空気と混合してもよい。なお、気液混合効率を向上させる点からは、前述のように空気導入路pと液導入路qをそれぞれ複数設けて空気と液体を混合することが好ましい。
【0027】
一方、ハウジング13には、ハウジング13内から外への空気の流出を妨げ、ハウジング13外から内への空気の流入を可能とする逆止弁として、ボール弁16が設けられている。
【0028】
この泡吐出容器1は、次のように使用される。まず、容器本体2内に起泡性の液体Aを収容した状態で、容器本体2の胴部を押圧して凹ませる。これにより、容器本体2内の内圧が高まり、図3に示すように液体Aがディップチューブ11を通り、複数の液導入路qで分岐し、複数の気液合流部rに供給されると共に、容器本体2の上部空間に連通した複数の空気導入路pから空気Bが複数の気液合流部rに供給される。これにより複数の気液合流部rで液体Aが均質に起泡し、その泡Cが連通孔32を通して内側筒状部30の内部に吐出され、そこで複数の気液合流部rで形成された泡が合流する。合流した泡は、第1のメッシュ40、第2のメッシュ41を順次通って泡質が改善され、吐出口12から吐出される。次に、容器本体2への押圧を解除すると、容器本体2の可撓性により容器本体2は押圧前の形状に戻るので、その内部の圧力が減少する。内部の圧力が減少することで、ボール弁のボール17が自重でその掛止位置まで落ちてボール弁16が開き、その結果容器外の空気が容器本体2内に入り、容器本体2内が常圧に戻る。以降、この押圧とその解除を繰り返すことにより、容器本体2内の液体Aを泡状に吐出することができる。
【0029】
本発明の泡吐出容器は、種々の態様をとることができる。例えば、吐出口の形状等に特に制限はなく、櫛歯などの塗布具を装着させてもよい。また、泡吐出路14に設ける第1、第2のメッシュ40、41の配設位置は適宜変更することができ、メッシュの配設数を低減あるいは増加させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の泡吐出容器は、毛髪、顔、身体等に使用する化粧料や、バス、キッチン、トイレ等に使用する洗浄剤等を泡状に吐出させる容器として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 泡吐出容器
2 容器本体
3 口部
10 フォーマーキャップ
11 ディップチューブ
12 吐出口
13 ハウジング
14 泡吐出路
15 筒状壁
16 ボール弁
17 ボール
20 外側筒状部
21 ディップチューブホルダー
22 溝
23 溝
30 内側筒状部
31 底部
32 連通孔
40 第1のメッシュ
41 第2のメッシュ
A 液体
B 空気
C 泡
p 空気導入路
p1 空気取り入れ口
q 液導入路
r 気液合流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する容器本体、容器本体の口部に被着されるフォーマーキャップ、及びフォーマーキャップから容器本体内に延びたディップチューブを備えた泡吐出容器であって、フォーマーキャップが、ディップチューブに連通する外側筒状部と、外側筒状部内に嵌入された内側筒状部と、内側筒状部から延びる泡吐出路を有し、
外側筒状部と内側筒状部との間に空気導入路と液導入路とそれらが合流する気液合流部が形成され、空気導入路が気液合流部よりも上方に空気取り入れ口を有する泡吐出容器。
【請求項2】
空気導入路の空気取り入れ口が、外側筒状部の上端に形成されている請求項1記載の泡吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−251693(P2011−251693A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124644(P2010−124644)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】