説明

泡状の化粧品組成物

本発明は、少なくとも1つの水相、タルク、および1つのUVサンスクリーン剤成分を生理学的に許容できる媒質中に含む、泡状の化粧品組成物に関する。本発明は同様に、少なくとも1つの水相、総重量に対して少なくとも1重量%の少なくとも1つの無機充填剤、および1つのUVサンスクリーン剤成分を生理学的に許容できる媒質中に含む、泡状の化粧品組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角質物質に対するケアおよび/またはメーキャップのための泡状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る組成物は、例えば、角質物質、特に皮膚、口唇、まつげ、まゆ毛、またはつめのメーキャップまたはケアのための組成物であり得る。この組成物は、着色されていてもいなくてもよい。
【0003】
メーキャップ組成物は、例えば、ファンデーション、フェースパウダー、アイシャドウ、コンシーラ、ほお紅、口紅、リップクリーム、リップグロス、マスカラ、アイライナー、および身体のメーキャップまたは皮膚用の着色製品から選択され得る。それは特に、ファンデーションベースであり得る。
【0004】
ケア用組成物は、まつげ、唇または身体や顔の皮膚のケア製品、特に日焼け止め製品であり得る。
【0005】
化粧品組成物の中に気体、一般的には空気を導入して、それに軽い質感および泡状の外観を与えることは、すでに提案されてきた。これはオーバーランニング(overrunning)として公知である。こうして得られた泡状のエマルジョンは、塗布時の軽い付け心地のため、高く評価されている。
【0006】
このタイプの化粧品組成物は、一般に使用直前に生成される一時的な泡状形態である。
【0007】
これらは、高圧ガスを用いることにより加圧容器から分配されて泡状となるエアロゾル製品であるか、または分配ヘッドに連結された機械式ポンプを用いて容器から分配される組成物のいずれかである。
【0008】
しかしながら、現在利用可能な泡状組成物は、第一に泡状物の質、第2に泡状物の持続性の観点から見て、つねに完全に満足のいくものではない。ほとんどの場合、一般的に分配時に生成される泡状物の様相は非常に急速に劣化する。より特定的には、ムースは非常に急速につぶれる傾向がある。
【0009】
少なくとも1つの水相と少なくとも1つの充填剤を含みかつ0.12g/cm以下の密度を有する改善されたオーバーラン組成物は、すでに仏国特許第0553803号明細書中に記載されている。
【0010】
しかしながら無機充填剤、そしてより特定的にはタルクが実質的な量で存在することは、泡状物の経時的安定性にとって不利であると思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、少なくとも1つの水相およびタルクを含み、泡状物が満足のいく経時的安定性を示す泡状組成物に対する必要性がなおも残っている。
【0012】
同様に、少なくとも1つの水相、および総重量に対して少なくとも1重量%の少なくとも1つの無機充填剤を含み、泡状物が満足のいく経時的安定性を示す泡状組成物に対する必要性も残っている。
【0013】
本発明は、特に安定性の観点から見てこれらの必要性の一部または全てを満たす改善された密度をもつ泡状組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
意外にも、一部の特定のUVサンスクリーン剤成分を使用することがこれらの目的のために有利であることが見出されている。
【0015】
米国特許出願公開第2005/0079142号明細書から、少なくとも1つの極性油成分を含む、自己発泡性、泡状物様、後発泡性または可発泡性の化粧品および皮膚用製剤の発泡を促進するために、1つ以上のUVフィルタ物質を使用してもよい、ということが公知である。
【0016】
しかしながら、この文献は、かかるUVサンスクリーン剤成分が、特に無機充填剤、特にタルクを含む泡状組成物においても有用であるかもしれないということを教示していない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
したがって、本発明は、その一態様によると、少なくとも1つの水相、タルク、および1つのUVサンスクリーン剤成分を生理学的に許容できる媒質中に含む、泡状の化粧品組成物に関する。
【0018】
その別の態様によると、本発明は、少なくとも1つの水相、総重量に対して少なくとも1重量%の少なくとも1つの無機充填剤、および1つのUVサンスクリーン剤成分を生理学的に許容できる媒質中に含む、泡状の化粧品組成物に関する。
【0019】
本発明に係る泡状組成物は、特に均質性、泡状物安定性および製品の外観の観点からみて、優れた経時的安定性を示す。
【0020】
本発明に係る泡状組成物は、1つの製品の形に包装されたベース組成物から得てもよい。この製品は、ベース組成物の他に高圧ガスを含んでいてもよい。
【0021】
したがって、本発明はさらに、
a.少なくとも1つの区画を画定する容器と;
b.生理学的に許容できる媒質中に少なくとも1つの水相、タルク、および1つのUVサンスクリーン剤成分を含む、前記区画内に入れられている組成物と;
c.前記区画の内部で前記組成物を加圧するための高圧ガスと;
d.前記加圧された組成物を泡状形態で送出するために、前記区画と選択的に流体連絡される開口部を有する分注ヘッドと、
を含む製品に関する。
【0022】
本発明は同様に、さらに、
a.少なくとも1つの区画を画定する容器と;
b.生理学的に許容できる媒質中に少なくとも1つの水相、総重量に対して少なくとも1重量%の少なくとも1つの無機充填剤、および1つのUVサンスクリーン剤成分を含む、前記区画内に入れられている組成物と;
c.前記区画の内部で前記組成物を加圧するための高圧ガスと;
d.前記加圧された組成物を泡状形態で送出するために、前記区画と選択的に流体連絡される開口部を有する分注ヘッドと、
を含む製品にも関する。
【0023】
さらに別の実施形態によると、本発明は以上で定義した製品の1つとアプリケータとを含むキットに関する。
【0024】
本発明は同様に、処置されるおよび/またはメーキャップされる表面に対して、以上で定義した泡状組成物または以上で定義した製品の1つにより送出される泡状組成物を塗布することを含む、身体、特に人体、特に顔のケアおよび/またはメーキャップのための方法にも関する。
【0025】
本発明に関して、「(1つまたは複数の)組成物」という用語は、化粧品組成物および/またはベース組成物を意味する。
【0026】
本発明に関して、生理学的に許容できる媒質とは、皮膚、目および/または毛髪と相容性があり、したがって化粧品および/または皮膚用組成物を調合するのに有用である媒質である。
【0027】
「(前記)泡状組成物(Composition in (the) foam form)」および「泡状形態の組成物(composition in the form of a foam)」という用語は同じものを意味し、泡の形をした気相(例えば空気)を含む組成物を意味するものと理解される;別の同義語は、「体積膨張した組成物(composition expanded in volume)」である。
【0028】
本発明に係る泡状形態の組成物は、いくつかの点で有利である。それは手による取扱いが容易である。皮膚に塗布した時、軽く、さわやかな感触があり、クリーミーで、溶けるようなムースの質感をもつ。皮膚上で容易にかつ薄く広がり、目に見える痕を残さずに皮膚の均質なメーキャップを提供する。その上、皮膚に塗布した後、得られるメーキャップまたは被着物は、粉末状でビロードのような仕上りを有し、乾燥やこわばりといった影響は全く無く、快適に使用できる。メーキャップまたは処置後の皮膚は、心地よく柔らかい。
【0029】
泡状組成物は好ましくは、軽い質感を示し、落すのが簡単で、角質物質上に容易に広がる。
【0030】
無機充填剤
例示的な一実施形態において、本発明に係る組成物は、タルクを含んでいてもよい。
【0031】
特に、LUZENAC社によりLUZENAC PHARMA M(登録商標)という商標名で販売されている、形が平板状でサイズが約7.6μmであるタルクを挙げることができる。
【0032】
別の例示的実施形態において、本発明に係る組成物は、その総重量に対して少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%、例えば少なくとも3重量%、例えば少なくとも5重量%の少なくとも1つの無機充填剤を含んでいてもよい。
【0033】
本発明に関して、「無機充填剤」という用語は、共に顔料とみなされているTiOおよびZnOを含まない。
【0034】
前記無機充填剤は、例えば、タルク、シリカ、雲母、カオリン、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイトおよびその混合物からなる群から選択され得る。
【0035】
それは、特にタルク、特には以上で記述された通りであってもよい。
【0036】
タルクは、組成物の総重量に対して1〜25重量%、例えば1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0037】
本発明に係る組成物はさらに少なくともシリカを含んでいてもよい。
【0038】
それは例えば、表面処理済みシリカ、例えば特にシリコーン処理済みシリカ、例えばメチコン処理済みシリカであってもよい。
【0039】
特に、MIYOSHI社によりSI−SB700(登録商標)の商標名で販売されている、球状でサイズが約5.1μmのシリカを挙げることができる。
【0040】
シリカは、組成物の総重量に対して0.1〜10重量%、例えば1〜8重量%、好ましくは1〜3重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0041】
本発明に係る組成物は、0.1〜100μm、例えば1〜10μm、特に2〜8μmの範囲の粒径を有する無機充填剤、特にタルクおよび/またはシリカを含んでいてもよい。
【0042】
例示的な一実施形態によると、組成物は、タルクおよびシリカを、特に0.1〜10、例えば0.2〜8、例えば0.5〜1.5の範囲、特に約1の[タルク/シリカ]重量比で含んでいてもよい。
【0043】
UVサンスクリーン剤成分
本発明に係わるサンスクリーン組成物は、親水性および/または脂溶性であり、UV−Aおよび/またはUV−B領域内で活性な有機および/または無機UVサンスクリーン剤成分を含む。
【0044】
特に、本発明に係わるUVサンスクリーン剤成分は、8.0〜9.5の範囲の溶解パラメータを有すると考えられる。前記UVサンスクリーン剤成分は優れた可塑剤機能を有する。
【0045】
有利には、本発明に係わるUVサンスクリーン剤は、150〜500g/molの範囲の分子量を有し、疎水性部位および極性部位と結合するベンゼン核または電子共鳴基を含むと考えられる。
【0046】
親水性および/または脂溶性有機UVサンスクリーン剤成分は、特に、ジベンゾイルメタン誘導体;桂皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β−ジフェニルアクリレート誘導体;P−アミノ安息香酸(PABA)誘導体;およびそれらの混合物から選択される。
【0047】
有機UVサンスクリーン剤成分の例としては、そのINCI名で次のように記されるものを挙げることができる:
− パラ−アミノ安息香酸誘導体:
− PABA、
− エチルPABA、
− エチルジヒドロキシプロピルPABA、
− エチルヘキシルジメチルPABA、特にISPにより「Escalol 507」という商標名で販売、
− グリセリルPABA、
− ジベンゾイルメタン誘導体:
− ブチルメトキシジベンゾイルメタン、特にHoffmann−LaRocheにより「Parsol 1789」という商標名で販売、
− イソプロピルジベンゾイルメタン、
− サリチル酸誘導体:
− ホモサレート、Rona/EM Industriesにより「Eusolex HMS」という商標名で販売、
− サリチル酸エチルヘキシル、Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan OS」という商標名で販売、
− サリチル酸ジプロピレングリコール、Scherにより「Dipsal」という商標名で販売、
− サリチル酸TEA、Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan TS」という商標名で販売、
− 桂皮酸誘導体:
− メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、特にHoffmann−LaRocheにより「Parsol MCX」という商標名で販売、
− メトキシ桂皮酸イソプロピル、
− メトキシ桂皮酸イソアミル、Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan E 1000」という商標名で販売、
− シノキセート、
− メトキシ桂皮酸DEA、
− メチル桂皮酸ジイソプロピル、
− ジメトキシ桂皮酸エチルへキサン酸グリセリル、
− β,β−ジフェニルアクリレート誘導体:
− オクトクリレン、特にBASFにより「Uvinul N539」という商標名で販売、
− エトクリレン、特にBASFにより「Uvinul N35」という商標名で販売、
− ベンゾフェノン誘導体:
− ベンゾフェノン−1、BASFにより「Uvinul 400」という商標名で販売、
− ベンゾフェノン−2、BASFにより「Uvinul D50」という商標名で販売、
− ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、BASFにより「Uvinul M40」という商標名で販売、
− ベンゾフェノン−4、BASFにより「Uvinul MS40」という商標名で販売、
− ベンゾフェノン−5、
− ベンゾフェノン−6、Norquayにより「Helisorb 11」という商標名で販売、
およびそれらの混合物。
【0048】
好ましいUVサンスクリーン剤成分は、桂皮酸誘導体、β,βジフェニルアクリレート誘導体、サリチル酸誘導体、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
好ましいUVサンスクリーン剤成分は、特にメトキシ桂皮酸エチルヘキシル、オクトクリレンおよびサリチル酸エチルヘキシル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
BASF社によりUVINUL MC80(登録商標)という商標名で販売されているメトキシ桂皮酸エチルヘキシル、SYMRISE社によりNEO HELIOPAN OS(登録商標)という商標名で販売されているサリチル酸エチルヘキシル、およびSYMRISE社よりNEO HELIOPAN303(登録商標)という商標名で販売されているオクトクリレンを特に挙げることができる。
【0051】
本発明に係わる組成物は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜30重量%、例えば0.5〜20重量%、例えば1〜15重量%、および例えば少なくとも1重量%のUVサンスクリーン剤成分を含んでいてもよい。
【0052】
例示的な一実施形態によると、組成物は、無機充填剤、および少なくとも1つのUVサンスクリーン剤成分を、0.20〜10、例えば1〜9.5、好ましくは3〜9の範囲の[無機充填剤/UVサンスクリーン剤成分]重量比で含んでいてもよい。
【0053】
別の例示的実施形態によると、組成物は、タルク、および少なくとも1つのUVサンスクリーン剤成分を、0.1〜10、例えば0.5〜8、好ましくは1〜5の範囲の[タルク/UVサンスクリーン剤成分]重量比で含んでいてもよい。
【0054】
さらに別の例示的実施形態によると、組成物は、シリカおよび少なくとも1つのUVサンスクリーン剤成分を、0.1〜10、例えば0.4〜8、好ましくは1〜5の範囲の[シリカ/UVサンスクリーン剤成分]重量比で含んでいてもよい。
【0055】
空気または不活性ガス
本発明に係わる泡状組成物は、ベース組成物および空気または不活性ガスを用いてムースの形で安定的に形成される。
【0056】
空気または不活性ガスは、特に、泡状組成物の体積の10%〜500%および好ましくは20%〜200%、例えば30%〜100%を占めていてもよい。
【0057】
この体積は、ベース組成物および泡状組成物の密度を比較することによって計算してもよい。
【0058】
空気以外に、泡状組成物を得ることを可能にする気体は、特に不活性ガス、例えば窒素、二酸化炭素、窒素酸化物、希ガスまたは前記気体の混合物である。組成物が酸化感受性化合物を含む場合、窒素または二酸化炭素などの無酸素気体を使用することが好ましい。
【0059】
泡状組成物を得るのに役立つベース組成物は、それが空気または不活性ガスを含まないかぎり、密度がより高いという点を除き、泡状組成物と類似の組成を有する。
【0060】
ベース組成物内に導入される気体の量は、例えば0.12g/cm以下の所望の値まで泡状組成物の密度を調整するために寄与する。
【0061】
本発明の泡状組成物は、以下のプロトコルにしたがって約20℃の温度および大気圧で測定した場合に、例えば0.12g/cm以下、例えば0.02〜0.11g/cm、および好ましくは0.06〜0.10g/cmの範囲の密度を有していてもよい。
【0062】
密度測定
底面の直径が46mmで高さが30mmの円筒形充填空間を画定する50ml入りの研磨済みPlexiglas(登録商標)のゴブレット(V)内に導入した50mlの組成物について試験を実施した。ゴブレットは厚み10mmの底面壁と厚み12mmの側面壁を有している。
【0063】
測定の前に、特徴づけされる組成物およびゴブレットを、約20℃の温度に維持する。ゴブレットの風袋の重さを量り、重量値(M)を記録する。その後、ゴブレットの充填中に気泡が形成しないようにしながら、全容積を占めるように泡状組成物をゴブレット内に導入する。アセンブリを10秒間放置してムースを完全に膨張させる。その後、ゴブレットの上面の盛り上がりを平らにしてから秤量する(M)。密度は、ρ=(M−M)/50という従来の計算方法にしたがって査定される。
【0064】
安定性測定
本発明に係わる泡状組成物は、満足のいく安定性を示し、これは、密度測定に関して上述したプロトコルにしたがって10分後にゴブレット内に残留するムースの体積(V)を測定することによって計算することができる。
【0065】
/Vの比は、10分後の泡状組成物の体積と10秒後の泡状組成物の体積の比に対応する。
【0066】
「満足のいく安定性」という表現は、0.85超、特に0.90超、例えば0.95超のV/V比をもつ泡状組成物に特にあてはまる。
【0067】
所与の重量の泡状組成物について、泡状組成物の体積は、泡状組成物の密度に反比例する。したがって、10秒後に測定された泡状組成物の密度と10分後に測定された泡状組成物の密度の間の比は、0.85超、特に0.90超、例えば0.95超であってもよい。
【0068】
本発明係わる泡状組成物の内部では、空気界面(air pause)は有利には、20μm〜500μm、好ましくは100μm〜300μmの数平均サイズを有していてもよい。
【0069】
水相
本発明に係わる組成物は一般に、水および任意選択により親水性有機溶媒、例えばモノアルコールおよびポリオール、特にC〜Cポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコールまたはグリセロールを含む水相を含んでいる。
【0070】
言うまでもないが、溶剤は、所望のムースの質感との溶剤との相溶性に応じて選択される。
【0071】
本発明に係わる組成物は、ベタ付き感を誘発しないようにグリセロールを含まなくてもよい。
【0072】
組成物は有利には、水を含んでいる。組成物は特に、その総重量に対して35%〜95%、さらには40%〜85%の水、特に55%〜80%の水、例えば45%〜75%の水を含んでいてもよい。
【0073】
本発明に係わる組成物は同様に、海水、特に総重量に対して少なくとも1重量%、特に1〜20重量%、例えば5〜15重量%の海水を含んでいてもよい。
【0074】
一実施形態によると、本発明の組成物は、その総重量に対して少なくとも30重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば40〜95重量%、例えば40〜85重量%、例えば45〜80重量%、例えば45〜75重量%の水および/または1種または複数種の水溶性溶剤を含んでいてもよい。
【0075】
追加の充填剤
本発明に係わる組成物は同様に、タルク、およびシリカとは異なる、少なくとも1つの追加の充填剤をも含んでいてもよい。
【0076】
「充填剤」という用語は、組成物が製造される温度の如何に関わらず、組成物の媒質中に不溶性である、あらゆる形状の無色または白色の無機または合成の粒子を意味するものとして理解されるべきである。
【0077】
追加の充填剤は、結晶学的形態(例えば層状結晶、立方晶系結晶、六方晶、斜方晶など)の如何に関わらず、プレートレット形状、球状、または長円形などあらゆる形状の無機または有機充填剤であってもよい。雲母、カオリン、ポリアミド(Nylon(登録商標))粉末、ポリ−β−アラニン粉末、ポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))粉末、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマーミクロスフェア例えばポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルの中空ポリマーミクロスフェア、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie)、またはアクリル酸コポリマーの中空ポリマーミクロスフェア、シリコーン樹脂粉末、特にシルセスキオキサン粉末(特に欧州特許第293795号明細書に記載されているシリコーン樹脂粉末;例えば東芝製のTospearls(登録商標))、エラストマポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、および8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導された金属せっけん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、またはミリスチン酸マグネシウム、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0078】
有利には、追加の充填剤は、低密度充填剤から選択される。「低密度」という用語は、例えば、3.5g/cm未満、特に3g/cm未満の密度を有する充填剤を意味する。何らかの理論に束縛されることは望まないが、過度に高い密度の充填剤を含む組成物は、より高い気孔率のムースを形成すると思われる。
【0079】
組成物は、その総重量に対して0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%、および優先的には1重量%〜10重量%の範囲の含有量で、低密度の追加の充填剤を含んでいてもよい。
【0080】
組成物は、同様に、低い屈折率を有しかつ/または組成物の水および/または油を実質的に吸収しない追加の充填剤を含んでいてもよい。
【0081】
低い屈折率とは、例えば1.7未満、例えば1.6未満の屈折率である。組成物の水および/または油を実質的に吸収しない充填剤は有利にも、組成物に透明な外観を与えるのに寄与する。
【0082】
低い屈折率を有しかつ/または組成物の水および油を実質的に吸収しない追加の充填剤は、組成物中に、その総重量に対して0.1重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%、および優先的には1重量%〜10重量%の含有量で存在してもよい。
【0083】
1.6未満の屈折率を有し、組成物の水および油を実質的に吸収せず、かつ3g/cm未満の密度を有する追加の充填剤に含まれるものとしては、例えば、フルオロフロゴパイトおよびそれらの混合物を挙げることができる。
【0084】
いずれのものであれ、追加の充填剤は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜35重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%、および優先的には1重量%〜25重量%の範囲の含有量で組成物中に存在してもよい。
【0085】
有利には、本発明に係る考慮対象の充填剤は、泡状組成物の内部でのそれらの分散性を改善するために表面処理されてもよい。当業者はこのような処理についての知識を有しており、こうして処理された一部の充填剤は市販もされている。
【0086】
言うまでもないが、本発明に係る組成物は、高い密度または屈折率を有するかまたは組成物の水および/または油を吸収する追加の充填剤を、満足のいく密度と特に低い気孔率および満足のいく透明性を有するムースを得るように調整された量であれば、含んでいてもよい。
【0087】
生理学的に許容できる媒質
本発明の組成物は同様に、少なくとも1つのアニオン界面活性剤を含んでもよい。
【0088】
これは好ましくは、サルフェート類、エーテルサルフェート類およびその塩から選択された、少なくとも1つの発泡性アニオン界面活性剤である。サルフェート類およびエーテルサルフェート類の塩のうち、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩が優先的に選択される。こうして使用されてもよい発泡性アニオン界面活性剤は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、特にHenkel社からTexaponという名で販売されている製品である。
【0089】
一般に、本発明の組成物は、その総重量に対して0.5重量%〜50重量%、および好ましくは2重量%〜30重量%の範囲の量のアニオン界面活性剤を含む。
【0090】
一実施形態によると、本発明に係わる組成物は、その総重量に対して5重量%未満、好ましくは3重量%未満、例えば1重量%未満のアニオン界面活性剤を含んでいてもよい。
【0091】
本発明に係わる組成物は、水中油型エマルジョンのために従来使用されている、あらゆる乳化剤から選択され得る乳化剤を含む可能性がある。
【0092】
挙げることができる乳化剤の例としては、以下のものがある:
(1)9以上のHLBを有する非イオン界面活性剤、例えばグリセロールのオキシエチレン化脂肪酸エステル;ソルビタンのオキシエチレン化脂肪酸エステル;オキシエチレン化脂肪酸誘導体;糖の脂肪酸エステル、特にステアリン酸スクロースなどのスクロースの脂肪酸エステル、例えば、Goldschmidt社によりTegosoft PSE 141Gの名で販売されている製品;アルキルポリグルコシドエーテルおよびそれらの混合物;
(2)シリコーン乳化剤、例えばオキシエチレン化ポリジメチルシロキサン(ジメチコンコポリオール)、例えば、Dow Corning社により「DC2−5695」の名で販売されている製品。
【0093】
本発明に係わる組成物は、その総重量に対して例えば0.5重量%〜50重量%、好ましくは2重量%〜15重量%、およびさらに好ましくは4重量%〜10重量%の1つまたは複数の乳化剤を含んでいてもよい。
【0094】
一実施形態によると、本発明に係わる組成物は、その総重量に対して5重量%未満、好ましくは3重量%未満、例えば1重量%未満の1つまたは複数の乳化剤を含んでいてもよい。
【0095】
一実施形態によると、本発明に係わる組成物は、その総重量に対して5重量%未満、例えば2重量%未満、特に1重量%未満の炭化水素ベースの乳化剤および/または共乳化剤を含んでいてもよい。
【0096】
本発明に係わる組成物は、一般に固体または液体脂肪質物質、特に液体脂肪質物質を含む。
【0097】
したがって、本発明に係わる組成物は、揮発性油および不揮発性油およびそれらの混合物から選択され得る少なくとも1種の油を含む油相を含んでいてもよい。有利には、組成物は、少なくとも1種の揮発性油と少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0098】
本発明に係わる組成物は少なくとも1種の揮発性油を含んでいてもよい。
【0099】
本発明に関して、「揮発性油」という用語は、室温、大気圧で皮膚に接触した場合に蒸発可能である、あらゆる油を意味する。本発明の揮発性油は、室温、大気圧で、特に0.13Pa〜40000Pa(0.001〜300mmHg)、および好ましくは1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の非ゼロ蒸気圧を有する、室温で液体の揮発性化粧用油である。
【0100】
揮発性油は、炭化水素ベースの揮発性油、揮発性シリコーン油および揮発性フルオロ油、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0101】
「炭化水素ベースの油」という用語は、主として水素および炭素原子および、場合によっては酸素、窒素、硫黄および/またはリン原子を含む油を意味する。
【0102】
炭化水素ベースの揮発性油は、8〜16個の炭素原子を含む炭化水素ベースの油、特に分岐C〜C16アルカン類、例えば石油由来のC〜C16イソアルカン類(イソパラフィン類としても公知)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとしても公知)、イソデカンおよびイソヘキサデカン、例えばIsopar(登録商標)およびPermethyl(登録商標)の商標名で販売されている油から選択され得る。
【0103】
同じく使用してもよい揮発性油としては、揮発性シリコーン類、例えば揮発性直鎖または環状シリコーン油、特に粘度が5センチストーク(5×10−6/秒)以下で特に2〜10個のケイ素原子、好ましくは2〜7個のケイ素原子を含むシリコーン類があり、これらのシリコーン類は任意選択により、1〜10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含む。本発明において使用してもよい揮発性シリコーン油としては、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0104】
同様に使用してもよい揮発性油は、揮発性フルオロ油である。ノナフルオロエトキシブタン、ノナフルオロメトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサンおよびドデカフルオロペンタン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0105】
本発明に係わる組成物は少なくとも1つの不揮発性油を含んでいてもよい。
【0106】
「不揮発性油」という用語は、室温大気圧で少なくとも数時間皮膚上に残留し、特に0.13Pa(0.01mmHg)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0107】
これらの不揮発性油は、特に動物または植物由来の炭化水素ベースの油、またはシリコーン油、またはそれらの混合物であってもよい。「炭化水素ベースの油」という用語は、主として水素および炭素原子、および場合によっては酸素、窒素、硫黄および/またはリン原子を含む油を意味する。
【0108】
不揮発性油は、特に、フッ素化されていてもよい炭化水素ベースの不揮発性油、および/または不揮発性シリコーン油から選択され得る。
【0109】
特に挙げることができる炭化水素ベースの不揮発性油としては、以下のものが含まれる:
− 動物由来の炭化水素ベースの油;
− 植物由来の炭化水素ベースの油、例えばグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド類(なおその脂肪酸はC〜C24の可変的鎖長を有していてよく、これらの鎖は場合によって直鎖または分岐鎖、かつ飽和または不飽和である);これらの油は特に、ヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリド類、あるいは、小麦胚種油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボガド油、オリーブ油、大豆油、甘扁桃油、ヤシ油、菜種油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、菜種油、ブラックカラント油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイノキ油、トケイソウ油またはジャコウバラ油;シアバター;またはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド類、例えばStearineries Dubois社より販売されているものまたはDynamit Nobel社よりMiglyol810(登録商標)、812(登録商標)および818(登録商標)の名で販売されているもの;
− 10〜40個の炭素原子を含む合成エーテル類;
− 鉱物または合成由来の直鎖または分岐炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン類、水素化ポリイソブテン例えばParleam(登録商標)、スクアランおよび液体パラフィン類およびそれらの混合物;
− 合成エステル、例えば構造式RCOORの油(なお式中、R+R≧10を条件として、Rは、1〜40個の炭素原子を含む、直鎖または分岐脂肪酸残基を表わし、Rは、1〜40個の炭素原子を含む、炭化水素ベースの鎖、特に分岐鎖を表わす)、例えばピュアセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸のC12〜C15アルキルエステル類、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、或いはアルコールまたはポリアルコールヘプタノエート類、オクタノエート類、デカノエート類またはリシノレート類、例えば2オクタン酸プロピレングリコール;水酸化エステル類、例えば乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリルまたは乳酸2−オクチルドデシル;ポリオールエステル類およびペンタエリスリトールエステル類;
− 12〜26個の炭素原子を含む分岐および/または不飽和炭素ベース鎖を伴う室温で液体である脂肪アルコール類、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノールまたは2−ウンデシルペンタデカノール、および
− 高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸またはリノレン酸およびそれらの混合物。
【0110】
本発明に係わる組成物中で使用してもよい不揮発性シリコーン油は、不揮発性ポリジメチルシロキサン類(PDMS)、ペンダント基でありかつ/またはシリコーン鎖の終端にある、2〜24個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン類、フェニルシリコーン類、例えばフェニルトリメチコン類、フェニルジメチコン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルジメチコン類およびジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン類、およびそれらの混合物であってもよい。
【0111】
本発明に係る組成物は有利には、その総重量に対して1重量%〜40重量%、好ましくは2重量%〜30重量%、およびさらに好ましくは5重量%〜20重量%の油相を含む。
【0112】
油相中に存在してもよいその他の脂肪質物質は、例えば脂肪酸、脂肪アルコール例えばセチルアルコールおよびロウであってもよい。
【0113】
したがって、脂肪相は、ロウなどの室温(20℃)で固体である化合物も含んでいてよく、これらの構成要素は場合によって泡状組成物の安定性を改善する。これらの化合物は、固体の融点より高い温度まで加熱されて油相に対し溶融形態かまたは固体形態のいずれかで添加される。これらの化合物は、ロウまたはロウに類似の化合物、例えば天然の再生可能なロウ(昆虫ロウ、動物性ロウおよび植物性ロウ)、化石ロウ(石油ロウ、リグナイトロウ、泥炭ロウまたは地ロウ)、合成ロウ(フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、またはアミドワックス)、高融点パラフィン類、エステル類、脂肪類、長鎖カルボン酸またはC10〜C22の長鎖アルコール類であってよく、これらのロウは、室温(20℃)より高い融点または凝固点を有する。
【0114】
一実施形態によると、本発明に係わる組成物は、その総重量に対して5重量%未満、好ましくは3重量%未満、例えば1重量%未満、さらには0.5重量%未満の脂肪アルコール類を含んでいてもよい。
【0115】
本発明に係わる組成物は、顔料、真珠母、脂溶性染料および水溶性染料、ならびにそれらの混合物から特に選択される少なくとも1つの染料を含んでいてもよい。
【0116】
「顔料」という用語は、生理学的媒質中で不溶性であり、組成物を着色するように意図されている、あらゆる形状の白色または有色の無機または有機粒子を意味するものとして理解すべきである。
【0117】
「真珠母」という用語は、特に一部の軟体動物がその貝殻の中で産生する、または合成したあらゆる形状の玉虫色の粒子を意味するものとして理解するべきである。
【0118】
「染料」という用語は一般に、水または脂肪質物質、例えば油に可溶性である有機化合物を意味するものとして理解すべきである。
【0119】
顔料は、白色または有色、および無機および/または有機顔料であってもよい。挙げることができる無機顔料は、二酸化チタン、任意選択により表面処理された酸化ジルコンおよび酸化セリウム、および同様に酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色または赤色)または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物およびフェリックブルー(ferric blue)および金属粉末、例えばアルミニウム粉末または銅粉末である。
【0120】
挙げることができる一例としては、MT−100AQという名で販売されているシリカ/水酸化アルミニウム/アルギン酸混合物で表面処理された微粉化された二酸化チタン粉末がある。
【0121】
挙げることができる有機顔料としては、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、および、コチニールカルミンまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムに基づくレーキがある。
【0122】
真珠箔は、白色真珠箔例えばチタンまたはオキシ塩化ビスマスでコーティングされた雲母、有色真珠箔例えば酸化鉄でコーティングされたチタン雲母、特にフェリックブルーまたは酸化クロムでコーティングされたチタン雲母、上述のタイプの有機顔料でコーティングされたチタン雲母、と同様にオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠箔から選択され得る。
【0123】
脂溶性染料としては、例えばスーダンレッド、D&CレッドNo17、D&CグリーンNo6、β−カロテン、大豆油、スーダンブラウン、D&CイエローNo11、D&CバイオレットNo2、D&CオレンジNo5、キノリンイエロー、アナトーおよびブロモ酸類がある。
【0124】
染料は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%、優先的には1重量%〜15重量%、およびより優先的には5重量%〜15重量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0125】
公知の要領で、本発明の組成物は、化粧品中では一般的であるアジュバント、例えば保湿剤、保存剤、酸化防止剤、錯化剤、溶剤、香料、殺菌剤、臭気吸収剤、ビタミン、保湿剤、セルフタンニング化合物およびしわ取り活性剤を含んでいてもよい。これらのさまざまなアジュバントの量は、考慮対象の分野において従来使用されるもの、例えば組成物の総重量の0.01%〜20%である。その性質に応じて、これらのアジュバントは脂肪相中、水相中および/または脂質小胞中に導入されてもよい。
【0126】
一実施形態によると、組成物は、その総重量に対して1重量%超、例えば1〜35重量%、例えば少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも15重量%、例えば少なくとも20重量%の粒子材料を含んでいてもよい。
【0127】
言うまでもないが、当業者であれば、想定される添加により、本発明に係わる組成物の有利な特性が不利な影響を受けないかまたは実質的に受けないような形で、これまたはこれらの任意選択的な1つまたは複数の追加の化合物および/またはその量を入念に選択するであろう。
【0128】
本発明に係わる泡状組成物は、頭皮を含めた皮膚、唇および毛髪の多様な処置、特に化粧的な処置において、皮膚、唇および/または毛髪の、特に処置、保護またはケアのために、および/または皮膚および/または唇のメーキャップのために応用される。それは同様に、乾燥肌および/または乾燥唇の処置のためにも意図されていてもよい。
【0129】
こうして、本発明の主題は、同様に、皮膚、唇および/または毛髪の処置、保護またはケア、および/または皮膚および/または唇のメーキャップ、特にファンデーションまたはファンデーションベースの調製を目的とした、以上で定義した通りの泡状組成物の化粧品向け使用にもある。
【0130】
本発明の主題は同様に、ファンデーションタイプのメーキャップ化粧品を調製するためのベースとして役立つ泡状組成物を形成する目的での、以上で定義されている通りの製品の使用にもある。
【0131】
本発明に係わる組成物の非限定的な例として、より詳細には、少なくともタルク、シリカ、ならびにメトキシ桂皮酸エチルヘキシル、オクトクリレンおよびサリチル酸エチルヘキシルから選択されたUVサンスクリーン剤成分を組合せたものを挙げることができる。
【0132】
前記組成物はさらに、シリカ/水酸化アルミニウム/アルギン酸混合物で表面処理された、炭酸カルシウムおよび微粉末化された二酸化チタン粉末を含んでいてもよい。
【0133】
体積膨張前の組成物は、懸濁液、分散、溶液またはゲル形態で提供可能である。
【0134】
調製方法
泡状組成物は、分配装置中のベース組成物から得られてもよい。この分配装置は、ベース組成物以外に高圧ガスを含む噴霧器であってもよい。
【0135】
この高圧ガスは、ベース組成物の20重量%未満、および特にベース組成物の総重量の1重量%〜10重量%、例えば2重量%〜8重量%、例えば少なくとも5重量%を占めていてもよい。使用してもよい高圧ガスは、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素および揮発性炭化水素、例えばブタン、イソブタン、プロパン、エタン、ペンタン、イソドデカンまたはイソヘキサデカンおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0136】
それは特に、0.1〜1の範囲、特に0.31の[プロパン/ブタン]重量比のプロパン/ブタン混合物(液化石油ガスまたはLPG)であってもよい。
【0137】
噴霧器内の高圧ガス、例えば前記プロパン/ブタン混合物の圧力は、0.20〜0.50MPa、例えば0.20〜0.40、特に0.25〜0.35MPaの範囲であってもよい。
【0138】
本発明で利用される組成物は、圧縮ガス例えば空気、クロロフルオロカーボンベースの化合物、窒素、二酸化炭素、酸素またはヘリウムを混合、撹拌または分散させるための方法、発泡剤例えば界面活性剤の存在下で混合および撹拌するための方法によって調製可能である。
【0139】
特に、この組成物は、一般に高温条件下で撹拌しながら成分を混合することおよびその後気体の作用下で体積を膨張させることによって調製され、組成物の冷却段の間または組成物の調製後に、例えばMondomixタイプの体積膨張用装置、Kenwoodタイプのビーター、剥離型表面交換器(scraped−surface exchanger)またはダイナミックミキサー(例えばIMTタイプ)を用いて、気体を導入することが可能である。気体は好ましくは空気または窒素である。
【0140】
本発明に係る組成物は、組成物を含む少なくとも1つの区画を画定する容器の中に包装され得、この容器は閉鎖部品により閉鎖される。容器に製品分注用の手段を具備することができる。特に、容器にポンプを具備することができる。
【0141】
容器はポットであり得る。
【0142】
容器を少なくとも部分的に熱可塑性樹脂で作ることができる。熱可塑性樹脂の例としてポリプロピレンまたはポリエチレンを挙げることができる。あるいは、容器は、非熱可塑性材料、特にガラスまたは金属(または合金)で作られている。
【0143】
例えば指またはアプリケータを用いて組成物を適用することができる。
【0144】
容器は好ましくは、角質物質に組成物を塗布するように構成された少なくとも1つの塗布用構成要素を含むアプリケータと組合せて使用される。
【0145】
別の有利な実施形態によると、アプリケータは、塗布用ノズルを含む。
【実施例】
【0146】
以下の実施例は、本発明を限定することなく例示を目的として提示されるものである。特に指定のない限り、量は重量パーセントで示される。
【0147】
実施例1
以下のベース組成物を調製した(成分は、そのINCI名で呼称されており、その含有量は重量%単位で表わされている)。
【0148】
【表1】

【0149】
a)手順
1.粉末相を粉末ミキサーで混合する。
2.主ケトル内に混合済み粉末相を添加する。
3.主ケトル内に加熱済み水相(75〜85℃)を添加する。
4.主ケトル内に加熱済み油相(75〜85℃)を添加する。
5.主ケトル内で均質化する。
6.混合後に、室温で冷却する。
7.主ケトル内に界面活性剤および香料相を添加する。
8.主ケトル内で均質化する。
9.仕上げてバルクを作る。
(充填方法)
10.バルクを噴霧器パッケージ内に注ぐ。
11.LPGを噴霧器パッケージ内に添加する(5%、0.31MPa)。
【0150】
b)密度
これらの泡状組成物の密度は
【数1】

という従来の計算方法にしたがって、以上で記述したプロトコルによって測定した。
【0151】
結果を以下の表に示す。
【0152】
【表2】

【0153】
これらの泡状組成物は全て、0.12g/cm未満(さらには0.10g/cm未満)の密度を有し、この密度は、約20℃の温度および大気圧で測定される。
【0154】
c)安定性
次に、これらの泡状組成物の安定性を10分後の泡状組成物の体積と10秒後の泡状組成物の体積の間の比に対応する体積比V/Vを介して、先に詳述したプロトコルにしたがって査定した。
【0155】
結果を以下の表に示す。
【0156】
【表3】

【0157】
本発明に係わるUVサンスクリーン剤成分をさらに含む泡状組成物は、満足のいく経時的安定性を示す。
【0158】
こうして、本発明に係わる泡状組成物のみが、改善された密度と経時的な泡状物安定性を同時に示す。
【0159】
実施例2
以下のベース組成物を調製した(成分はそのINCI名で呼称されており、その含有量は重量%単位で表わされている)。
【0160】
【表4】

【0161】
これらの組成物を、実施例1で詳述した手順によって調製した。
【0162】
b)密度
これらの組成物の密度を、実施例1で記述したプロトコルによって測定した。
【0163】
結果を以下の表に示す。
【0164】
【表5】

【0165】
c)安定性
泡状物安定性を、実施例1で記述したプロトコルによって測定した。
【0166】
結果を以下の表に示す。
【0167】
【表6】

【0168】
本発明に係わる組成物は全て、満足のいく経時的安定性を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの水相、タルク、および1つのUVサンスクリーン剤成分を生理学的に許容できる媒質中に含む、泡状の化粧品組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの水相、総重量に対して少なくとも1重量%の少なくとも1つの無機充填剤、および1つのUVサンスクリーン剤成分を生理学的に許容できる媒質中に含む、泡状の化粧品組成物。
【請求項3】
総重量に対して、少なくとも2重量%、例えば少なくとも3重量%、例えば少なくとも5重量%の少なくとも1つの無機充填剤を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記無機充填剤が、タルク、シリカ、雲母、カオリン、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイトおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
0.12g/cm以下、例えば0.02〜0.11g/cmおよび好ましくは0.06〜0.10g/cmの範囲の密度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
総重量に対して1〜25重量%、例えば1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%のタルクを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくともシリカをさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
総重量に対して0.1〜10重量%、例えば1〜8重量%、好ましくは1〜3重量%のシリカを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
タルクおよびシリカを、0.1〜10、例えば0.2〜8、例えば0.5〜1.5の範囲、特に約1の[タルク/シリカ]重量比で含む、請求項8に記載の組成物。
ジベンゾイルメタン誘導体;桂皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β−ジフェニルアクリレート誘導体;p−アミノ安息香酸(PABA)誘導体;およびそれらの混合物由来の少なくとも1つのUVサンスクリーン剤成分を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
総重量に対して0.1〜30重量%、例えば0.5〜20重量%、例えば1〜15重量%、例えば少なくとも1重量%のUVサンスクリーン剤成分を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
総重量に対して少なくとも30重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば40〜95重量%、例えば40〜85重量%、例えば45〜80重量%、例えば45〜75重量%の水および/または1種または複数種の水溶性溶剤を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
a.少なくとも1つの区画を画定する容器と;
b.生理学的に許容できる媒質中に少なくとも1つの水相、タルク、および1つのUVサンスクリーン剤成分を含む、前記区画内に入れられている組成物と;
c.前記区画の内部で前記組成物を加圧するための高圧ガスと;
d.前記加圧された組成物を泡状形態で送出するために、前記区画と選択的に流体連絡される開口部を有する分注ヘッドと、
を含む製品。
【請求項13】
a.少なくとも1つの区画を画定する容器と;
b.生理学的に許容できる媒質中に少なくとも1つの水相、総重量に対して少なくとも1重量%の少なくとも1つの無機充填剤、および1つのUVサンスクリーン剤成分を含む、前記区画内に入れられている組成物と;
c.前記区画の内部で前記組成物を加圧するための高圧ガスと;
d.前記加圧された組成物を泡状形態で送出するために、前記区画と選択的に流体連絡される開口部を有する分注ヘッドと、
を含む製品。
【請求項14】
前記高圧ガスが、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素および揮発性炭化水素、例えばブタン、イソブタン、プロパン、エタン、ペンタン、イソドデカンまたはイソヘキサデカンおよびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項13または14に記載の製品。
【請求項15】
前記高圧ガスが、0.1〜1の範囲、特に0.31の[プロパン/ブタン]重量比のプロパン/ブタン混合物である、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記組成物の総重量に対して1重量%〜10重量%、例えば2〜8重量%、例えば少なくとも5重量%の高圧ガスを含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の製品。
【請求項17】
請求項13〜17のいずれか一項に記載の製品とアプリケータとを含むキット。
【請求項18】
処置されるおよび/またはメーキャップされる表面に対して、請求項1〜12のいずれか一項に記載の泡状組成物または請求項13〜17のいずれか一項に記載の製品により送出される泡状組成物を塗布することを含む、身体のケアおよび/またはメーキャップのための方法。

【公表番号】特表2012−516318(P2012−516318A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546975(P2011−546975)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050368
【国際公開番号】WO2010/086695
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】