説明

泡状洗浄剤組成物

【課題】 泡立ち、泡の保持性及び泡質に優れ、すすぎ時の泡切れが良く、洗浄後にぬめり感がなく、さっぱりと洗い上がり、乾燥後にはつっぱり感が残らないとともに、メイクや皮脂等に対する洗浄力に優れ、保存安定性にも優れる泡状洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】 炭素数12〜22の脂肪酸塩(a成分)、特定のアミドベタイン型両性界面活性剤、アルキルアミノジカルボン酸型両性界面活性剤及びアミドアミノ酸型両性界面活性剤から選ばれる1種以上(b成分)、並びに特定のアシルアルキルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(c成分)を特定割合で混合した界面活性剤混合物に、炭素数2〜6の2価アルコール(d成分)を特定の割合で配合する。好ましくは、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、「PC」称す)の単独重量体、または、該PCと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体(e成分)をさらに特定量配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡立ち、泡の保持性、泡質に優れ、すすぎ時の泡切れがよく、洗浄後にぬめり感がなく、さっぱりと洗い上がり、乾燥後にはつっぱり感が残らないとともに、メイクや皮脂等に対する洗浄力に優れ、保存安定性にも優れる泡状洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄料(洗浄剤)は使用時に水やお湯を加えて、手やタオルで泡立てて使用されてきたが、近年では、トリガー式、スクイズ式、エアゾール式又はポンプ式等のフォーマー容器から吐出させ、起泡させて用いる泡状洗浄剤が使用されている。このフォーマー容器は、洗浄剤を空気と混合し、泡生成手段(例えば、多孔体)を通過させることにより、泡沫として吐出するものである。
【0003】
しかし、泡状洗浄剤において、泡立ち、泡の保持性及び泡質に優れ、さらに洗浄後の使用感にも優れた泡沫を得ることは容易ではない。例えば、泡立ちを向上させるべく多量の界面活性剤を配合した場合には洗浄剤の粘性が上がり、フォーマー容器による泡立て(起泡)に支障が生じる場合がある。一方、このような不具合を軽減するために洗浄剤の粘性を下げるべく多量の溶剤を配合した場合には、泡の保持性、泡質が悪くなり、洗浄後にぬめり感が生じる等の問題がある。
【0004】
下記特許文献1には、エーテルリン酸塩と一価アルコール、多価アルコールを配合し、泡質や吐出し後の泡保持性を改良した泡状洗浄剤が、また、下記特許文献2及び下記特許文献3には、アミノ酸系界面活性剤や脂肪酸塩を特定量配合することで泡質を改良した泡状洗浄剤が提案されている。しかしながら、これら洗浄剤の泡質や泡の持続性は充分に改良されているとは言い難く、洗浄後のぬめり感や乾燥後のつっぱり感を有し、また、泡切れや洗浄後のさっぱり感も充分でなかった。
【0005】
一方、下記特許文献4及び下記特許文献5には、脂肪酸のトリエタノールアミン塩とこれ以外の塩を配合する、或いは、アミノ酸系界面活性剤と塩をそれぞれ配合することにより、低温での使用性(低温でのフォーマー容器による泡立ち性)を改良した泡状洗浄剤が提案されているが、これらの洗浄剤も、泡質、泡の持続性は充分でなく、また、洗浄後のぬめり感や乾燥後のつっぱり感を有し、泡切れや洗浄後のさっぱり感も充分でなかった。また、これらの泡状洗浄剤組成物は低温下での保存安定性やメイク等の汚れに対する洗浄力が充分でなかった。
また、下記特許文献6及び下記特許文献7には、フォーマー容器自体を改良することにより、洗浄剤の起泡のしやすさや泡質等を改善することが試みられているが、洗浄力や洗浄時(使用時)および使用後の感触の問題を解消することはできなかった。
【特許文献1】特開平5−132700号公報
【特許文献2】特開平7−252132号公報
【特許文献3】特開平7−252133号公報
【特許文献4】特開平8−092064号公報
【特許文献5】特開平8−143899号公報
【特許文献6】特開平7−315463号公報
【特許文献7】特開平8−230961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み成されたもので、その解決しようとする課題は、泡立ち、泡の保持性及び泡質に優れ、すすぎ時の泡切れが良く、洗浄後にぬめり感がなく、さっぱりと洗い上がり、乾燥後にはつっぱり感が残らないとともに、メイクや皮脂等に対する洗浄力に優れ、保存安定性にも優れる泡状洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、脂肪酸塩、特定の両性界面活性剤及び特定の陰イオン性界面活性剤を特定割合で混合した特定の界面活性剤混合物を、特定の多価アルコールと特定の割合で組み合わせて得られる組成物によれば、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]下記のaを1〜10重量%、bを0.5〜5重量%、cを0.1〜3重量%、dを2〜20重量%含有し、a、b及びcの合計含有量(a+b+c)が3〜12重量%、aの含有量とbとcの合計含有量との重量比(a/(b+c))が1/1〜10/1、a、b及びcの合計含有量とdの含有量との重量比((a+b+c)/d)が1/5〜1/1である、泡状洗浄剤組成物。
a.炭素数12〜22の脂肪酸塩
b.式(1):
【0009】
【化1】

【0010】
(式中のRは炭素数8〜20のアシル基を示す。)
で示されるアミドベタイン型両性界面活性剤、
式(2):
【0011】
【化2】

【0012】
(式中のRは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、M、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を示す。mおよびnはそれぞれ1〜3の整数を示す。)
で示されるアルキルアミノジカルボン酸型両性界面活性剤及び
式(3):
【0013】
【化3】

【0014】
(式中のRは炭素数8〜20のアシル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸陽イオン基を示す。)
で示されるアミドアミノ酸型両性界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上
c.式(4):
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、Rは炭素数8〜20のアシル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸陽イオン基を示す。)
で示されるアシルアルキルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤
d.炭素数2〜6の2価アルコール
[2]さらに、下記eを0.001〜1重量%含有する、上記 [1]記載の泡状洗浄剤組成物。
e.式(5):
【0017】
【化5】

【0018】
(式中Rは水素原子又はメチル基、R、R及びRは炭素数1〜8のアルキル基、pは2〜4の整数である。)
で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン由来の構成単位A及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位Bを100/0〜10/90(A/B)の重量比で含有し、これら構成単位の含有量が60〜100重量%であるポリマー
【0019】
本発明でいう「泡状洗浄剤組成物」とは、フォーマー容器から吐出させることで起泡して泡状となり、該泡状の状態で使用する洗浄剤組成物のことであり、「起泡性洗浄剤組成物」とも呼ばれるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の泡状洗浄剤組成物は、泡立ち、泡の保持性及び泡質の何れもが良好で、しかも、すすぎ時の泡切れがよく、洗浄後の肌のぬめり感がなく、かつ、つっぱらずにさっぱりと洗い上げるとともに、メイクや皮脂等の汚れを落とす効果に優れ、さらに保存安定性にも優れるという、効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の泡状洗浄剤組成物(以下、単に「洗浄剤」とも略称する。)に使用されるa成分は炭素数12〜22の脂肪酸塩である。当該脂肪酸塩は、直鎖若しくは分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の炭素数が12〜22の脂肪酸の塩であり、炭素数が同一の単一化合物(単一脂肪酸)の塩であっても、炭素数が異なる化合物の混合物よりなる混合脂肪酸の塩であってもよい。
炭素数が12〜22の脂肪酸としては、例えば、飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられ、不飽和脂肪酸としては、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、混合脂肪酸としては、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。当該脂肪酸は炭素数12〜18のものがより好ましい。
脂肪酸塩を形成するアルカリ化合物としてはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸陽イオン基が挙げられる。アルカリ金属原子としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、1/2アルカリ土類金属原子としては、1/2カルシウム、1/2マグネシウムが挙げられ、有機アンモニウムとしては、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムが挙げられ、塩基性アミノ酸陽イオン基としては、リジンの陽イオン性残基、アルギニンの陽イオン性残基が挙げられる。好ましくはナトリウム、カリウム又はトリエタノールアミンである。
当該a成分の脂肪酸塩は1種又は2種以上が使用される。
【0022】
本発明で使用するb成分は、前記の式(1)で示されるアミドベタイン型両性界面活性剤、前記の式(2)で示されるアルキルアミノジカルボン酸型両性界面活性剤及び前記の式(3)で示されるアミドアミノ酸型両性界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上である。
【0023】
式(1)で示されるアミドベタイン型両性界面活性剤において、式中のRは炭素数8〜20のアシル基であり、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、また、飽和でも不飽和でもよい。例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸の残基が挙げられ、中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸の残基が好ましい。該アシル基の炭素数が8未満であると、洗浄剤の起泡性が悪くなり、また、炭素数が20を超えると、洗浄剤の安定性が悪くなる。当該アミドベタイン型両性界面活性剤は1種を使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0024】
式(2)で示されるアルキルアミノジカルボン酸型両性界面活性剤において、式中のRは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等のアルキル基;テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、イソオクタデセニル基、エイコセニル基等のアルケニル基;およびヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基、牛脂アルキル基等の混合アルキル基等が挙げられ、これらの中でも炭素数12〜18のものが好ましい。炭素数が8未満の場合、洗浄剤の起泡性および泡質が悪くなり、炭素数が20を超えると洗浄剤の保存安定性が悪くなる。
また、式(2)中のMとMは水素原子又はアルカリ金属原子であり、アルカリ金属原子としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。好ましくは水素原子又はナトリウムである。MとMは同一でも、異なっていてもよい。また、式(2)中のmおよびnは1〜3の整数であり、好ましくは1ないし2の整数であり、より好ましくはm、nがともに1である。m、nの少なくとも一方が0の場合は洗浄剤の安定性が悪くなり、m、nの少なくとも一方が3を超える場合は洗浄剤の泡質が悪くなる。
当該アルキルアミノジカルボン酸型両性界面活性剤1種を使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
式(3)で示されるアミドアミノ酸型両性界面活性剤において、式中のRは炭素数8〜20のアシル基であり、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、また、飽和でも不飽和でもよい。具体例としては、式(1)のRと同様のものが挙げられ、中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の残基が好ましい。炭素数が8未満の場合、洗浄剤による洗浄後の感触が悪くなり、炭素数が20を超えると洗浄剤の起泡性が悪くなる。
また、式(3)中のMは水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸陽イオン基であり、アルカリ金属原子としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、1/2アルカリ土類金属原子としては、例えば1/2カルシウム、1/2マグネシウムが挙げられ、有機アンモニウムとしては、例えばモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムが挙げられ、塩基性アミノ酸陽イオン基としては、例えばリジンの陽イオン性残基、アルギニンの陽イオン性残基が挙げられる。好ましくはアルカリ金属原子であり、特に好ましくはナトリウム、カリウムである。
当該アミドアミノ酸型両性界面活性剤は1種を使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明の泡状洗浄剤組成物に使用するc成分は、前記の式(4)で示されるアシルアルキルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤である。
式(4)中のRは炭素数8〜20のアシル基であり、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、また、飽和でも不飽和でもよい。具体例としては、式(1)のRと同様のものが挙げられ、中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の残基が好ましい。炭素数が8未満の場合、洗浄剤の皮膚への刺激が強くなり、炭素数が20を超えると起泡力が低下する。
また、式(4)中のRは炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。また、Mはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸陽イオン基であり、これらの具体例としては、式(3)のMで挙げたものと同様のものが挙げられる。該Mは好ましくはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子であり、特に好ましくはナトリウム、カリウム、1/2カルシウム、1/2マグネシウムである。
当該アシルアルキルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤は1種を使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0027】
本発明の泡状洗浄剤組成物に使用するd成分は、炭素数2〜6の2価アルコールである。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、中でも洗浄剤のメイク汚れに対する洗浄性や、泡質の点から1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。当該2価アルコールは1種を使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明の泡状洗浄剤組成物においては、泡質、洗浄後の感触をさらに向上させるために、上記a〜d成分に加えて、さらにe成分を配合するのが好ましい。
該e成分は、前記の式(5)で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、PCとも略称する。)の単独重合体若しくはPCと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、又はPCと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれらに共重合性を示す他の単量体との共重合体からなるポリマーである。
【0029】
式(5)で示されるPCにおいて、式中、Rは水素原子又はメチル基である。また、R、RおよびRは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。R、RおよびRは同一でも、異なっていてもよい。また、pは2〜4の整数である。特に好ましいPCは、式中のR、R、RおよびRがメチル基で、pが2の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンである。
【0030】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(「(メタ)アクリル」はメタクリル又はアクリルを示す。)を構成するアルコール残基(アルキル基)は炭素数1〜6であり、好ましくは炭素数2〜5、より好ましくは炭素数3〜4である。該(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル等が挙げられる。
【0031】
PCと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合性を示す他の単量体としては、付加重合可能な二重結合を有する化合物であり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、スチレン等のオレフィン系炭化水素およびそれらの異性化オレフィン、多量化オレフィン、又はこれらに各種誘導体を導入したオレフィン性化合物;アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸およびそれらの多量体、無水物、炭素数1〜6の多価アルコールとのエステル、又はカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ニトリル基等を導入したエチレン性不飽和カルボン酸誘導体;ビニルアルコールおよびこれらと各種カルボン酸とのエステル、各種アルコールとのエーテル、又はこれらにカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ニトリル基等を導入したビニルアルコール誘導体等が挙げられる。
【0032】
該e成分のポリマーは、PC由来の構成単位(構成単位A)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位(構成単位B)を100/0〜10/90(A/B)の重量比で含有することが重要であり、好ましくは100/0〜30/70、さらに好ましくは95/5〜50/50である。また、PC由来の構成単位(構成単位A)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位(構成単位B)の合計含有量が60〜100重量%であることが重要であり、好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%である。なお、ここでの「合計含有量」とは、当該ポリマーが(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位(構成単位B)を含まない場合、PC由来の構成単位(構成単位A)の含有量である。
【0033】
また、該e成分のポリマーの分子量は10,000〜10,000,000が好ましく、より好ましくは50,000〜5,000,000である。なお、ここでの「分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリエチレングリコールを用いた検量線により換算した「重量平均分子量」のことである。
【0034】
本発明の泡状洗浄剤組成物において、a成分(炭素数12〜22の脂肪酸塩)の配合量は1〜10重量%であり、好ましくは3〜10重量%、更に好ましくは5〜9重量%である。1重量%未満では、充分な、泡立ち、泡の保持性、泡質、洗浄力およびさっぱり感が得られない。また、10重量%を超えると洗浄後のつっぱり感が強くなり、また、保存安定性が悪くなる場合がある。また、b成分(式(1)で示されるアミドベタイン型両性界面活性剤、式(2)で示されるアルキルアミノジカルボン酸型両性界面活性剤及び式(3)で示されるアミドアミノ酸型両性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤)の配合量は0.5〜5重量%であり、好ましくは1〜5重量%、さらに好ましくは2〜4%である。0.5重量%未満では泡質が悪く、洗浄後につっぱり感が残り、5重量%を超えるとぬめり感が残り、すすぎ性が悪い。また、c成分(式(4)で示されるアシルアルキルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤)の配合量は0.1〜3重量%であり、好ましくは0.5〜3%である。0.1重量%未満では泡質が悪く、洗浄後につっぱり感が残り、3重量%を超えるとぬめり感が残り、すすぎ性が悪くなる。
【0035】
また、a成分の含有量とb成分とc成分の合計含有量との重量比(a/(b+c))は1/1〜10/1であり、好ましくは、1/1〜8/1、さらに好ましくは1/1〜6/1である。該重量比が1/1より小さい場合、洗浄後にぬめり感が残り、さっぱり感が充分でなく、また、該重量比が10/1より大きい場合、保存安定性が悪く、つっぱり感を生じる場合がある。
【0036】
また、a成分、b成分およびc成分の合計含有量(a+b+c)は3〜12重量%、好ましくは、6〜11重量%である。3重量%未満の場合は泡保持性、泡質が不良であり、12重量%を超える場合は、洗浄剤組成物の粘性が高くなりやすく、泡立ち、泡質が悪くなる。
【0037】
また、d成分(炭素数2〜6の2価アルコール)の配合量は2〜20重量であり、好ましくは3〜18重量%、更に好ましくは5〜15重量%である。2重量%未満では洗浄力が充分でない。20重量%を超えると泡立ち、泡保持性、および泡質が悪くなるとともに、ぬめり感が残り、すすぎ性が悪く、さっぱり感が充分でなくなる。
【0038】
また、a成分、b成分およびc成分の合計含有量とd成分の重量比((a+b+c)/d)は、1/5〜1/1である。該重量比が1/5より小さい場合は、泡立ち、泡保持性及び泡質が不良となり、洗浄後にぬめりが残り、すすぎ性が悪く、さっぱり感が充分でなない。また、該重量比が1/1より大きい場合は、保存安定性が悪くなる。
【0039】
また、本発明において、泡質の改善、洗浄後の感触の向上のために添加することが好ましいe成分の配合量は0.001〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%である。0.001重量%未満の場合は、泡質の改善や洗浄後の感触改善効果が充分でなく、1重量%を超える場合は配合自体が困難になる場合がある。
【0040】
本発明の泡状洗浄剤組成物においては、洗浄剤に常用されている添加剤を本発明の性能を損なわない範囲で配合することも可能である。例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素系油、牛脂、豚脂、魚油等の天然油脂類、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等の合成トリグリセライド、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル油、ミツロウ、カルナバロウ等のロウ類、直鎖及び環状のジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン誘導体、セラミド、コレステロール、レシチン等の油性基剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド等の非イオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド等の半極性界面活性剤、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム等の水溶性高分子、クエン酸塩、リンゴ酸塩、食塩等の有機又は無機塩類、pH調製剤である酸及びアルカリ、殺菌剤、キレート剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、動植物由来の天然エキス、色素及び香料等を配合できる。
【0041】
本発明の泡状洗浄剤組成物に使用する各配合成分は市販品を使用しても、公知の方法(定法)で製造して使用してもよい。本発明の泡状洗浄剤組成物は、定法に従って、上記の各配合成分と必要に応じて配合する添加剤を所定量の精製水と攪拌・混合することにより調製される。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物を起泡させるために使用するフォーマー容器は、単数又は複数の一定孔径の多孔体を用い、所定の割合で洗浄剤組成物と空気を混合し、該洗浄剤組成物を起泡させて泡状物として吐出させるものである。これにより、クリーミィな泡を形成することができ、洗浄時に良好な感触を得ることができる。多孔体としては、ネット、スポンジ等があげられるが、目詰り解消の点からネットを用いることが好ましい。ネットのメッシュとしては、100〜400メッシュが好ましい。本発明の洗浄剤組成物をフォーマー容器に充填する場合、上記のように泡を形成することができる容器であれば、その種類は特に制限されるものではなく、公知の各種フォーマー容器を好適に使用することができるが、これらの中でも、使用性の点を考慮すれば、キャップの頭部を手指で押圧することにより使用するポンプ式フォーマーがより好ましい。
【0043】
本発明の泡状洗浄剤組成物は、例えば、洗顔フォーム、クレンジングフォーム、シェービングフォーム、ボディーフォーム、ヘアフォーム等に使用でき、中でも、洗顔フォーム、クレンジングフォーム等に好適である。
【実施例】
【0044】
以下、実施例と比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1〜5、比較例1〜7)
表1及び表2の上欄に示す各成分を定法に従って攪拌・混合することにより、実施例1〜5、比較例1〜7の各泡状洗浄剤組成物を調製し、それぞれについて性能評価を行った。なお、e成分のポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重量平均分子量は80,000、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体の共重合比(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体)は90/10(重量比)、重量平均分子量は600,000である。
評価項目と評価方法は以下の通りであり、評価結果は表1及び表2の下欄に示す。
【0046】
(1)泡立ちの評価
20mlビーカーに大和製罐株式会社製のポンプフォーマー容器(型番 F2)で1回吐出した直後に、ビーカー中の泡の高さを測定した。この操作を3回繰り返し、平均の泡の高さが15mm以上の場合を、泡立ちが良好な泡状洗浄剤と評価した。
【0047】
(2)泡の保持性の評価
20mlビーカーに大和製罐株式会社製のポンプフォーマー容器(型番 F2)で1回吐出した直後に、ビーカー中の泡の高さを測定した。ビーカーを放置し5分後の泡の高さを測定し次の式から泡の保持性を評価した。3回操作の平均値を算出し、90%以上の場合を泡の保持性が良好な泡状洗浄剤と評価した。
泡の保持性(%)={(5分後の泡の高さ)/(直後)}×100
なお、ここでの「吐出した直後」とは、吐出から5秒以内のことである。
【0048】
(3)泡質の評価
10名の男女をパネラーとし、大和製罐(株)製ポンプフォーマー容器(型番 F2)で吐出した時の泡質について下記のように判定し、10名の平均値が1.5点以上を泡質が優れていると評価した。
【0049】
2点:泡質が良好であると感じた場合
1点:泡質が若干粗いと感じた場合
0点:泡質が粗いと感じた場合
【0050】
(4)メイクに対する洗浄性の評価
10名の女性をパネラーとし、口紅およびファンデーションを使用した状態で大和製罐(株)製ポンプフォーマー容器(型番 F2)を3プッシュして吐出した洗浄剤を用いて洗顔した時の洗浄感を下記のように判定し、10名の平均値が1.5点以上をメイク落ちが良いと評価した。
2点:メイクが充分落ちると感じた場合
1点:メイクが若干残ると感じた場合
0点:メイクの落ちが悪いと感じた場合
【0051】
(5)すすぎ性の評価
10名の男女をパネラーとし、大和製罐(株)製ポンプフォーマー容器(型番 F2)を3プッシュして吐出した洗浄剤を用いて洗顔し、すすぎ時のすすぎのし易さについて下記のように判定し、10名の平均値が1.5点以上をすすぎ性良好と評価した。
2点:すすぎやすいと感じた場合
1点:若干すすぎにくいと感じた場合
0点:非常にすすぎにくいと感じた場合
【0052】
(6)洗顔後のぬめり感の評価
10名の男女をパネラーとし、大和製罐(株)製ポンプフォーマー容器(型番 F2)を3プッシュして吐出した洗浄剤を用いて洗顔し、すすいだ後のぬめり感について下記のように判定し、10名の平均値が1.5点以上をぬめりが少ないと評価した。
2点:ぬめり感が無いと感じた場合
1点:ぬめり感が若干あると感じた場合
0点:ぬめり感が非常にあると感じた場合
【0053】
(7)洗顔後のさっぱり感の評価
10名の男女をパネラーとし、大和製罐(株)製ポンプフォーマー容器(型番 F2)を3プッシュして吐出した洗浄剤を用いて洗顔した後のさっぱり感について下記のように判定し、10名の平均値が1.5点以上をさっぱり感があると判定した。
2点:洗顔後にさっぱりすると感じた場合
1点:洗顔後にややさっぱりすると感じた場合
0点:洗顔後にさっぱり感が無いと感じた場合
【0054】
(8)乾燥後のつっぱり感の評価
10名の男女をパネラーとし、大和製罐(株)製ポンプフォーマー容器(型番 F2)を3プッシュして吐出した洗浄剤を用いて洗顔した後の肌のつっぱり感について下記のように判定し、10名の平均値が1.5点以上をつっぱり感が無いと判定した。
2点:乾燥後の肌がつっぱらないと感じた場合
1点:乾燥後の肌がややつっぱると感じた場合
0点:乾燥後の肌が非常につっぱると感じた場合
【0055】
(9)保存安定性の評価
各組成物を透明ガラス容器に密封して−5℃、25℃、45℃で1ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す3段階で評価した。
○:保存安定性良好(いずれの温度条件においても液状を保ち、外観の変化がない。)
△:保存安定性やや不良(いずれかの温度条件において外観が若干変化する。)
×:保存安定性不良(いずれかの温度条件において外観の変化が著しい。)
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
実施例1〜5より、本発明の泡状洗浄剤組成物はいずれも泡立ち、泡質、泡の保持性に優れ、すすぎ時の泡切れ、洗浄後にぬめり感がなく、さっぱりと洗い上がり、乾燥後にはつっぱり感が残らないとともに、メイクや皮脂等に対する洗浄力に優れ、保存安定性にも優れていた。
【0059】
一方、比較例1〜7では充分な性能が得られなかった。比較例1では、a成分の含有量、a、b及びc成分の合計含有量(a+b+c)が多すぎ、また、a、b及びc成分の合計含有量とd成分の含有量との重量比((a+b+c)/d)が大き過ぎるため、泡立ち、泡質が悪く、乾燥後につっぱり感があった。また、保存安定性が悪かった。比較例2では、b、cおよびd成分の各含有量と、a、b及びc成分の合計含有量(a+b+c)が多すぎ、aの含有量とbとcの合計含有量との重量比(a/(b+c))が小さい(すなわち、a成分の割合が少な過ぎる)ため、泡立ち、泡の保持性、泡質、すすぎ性、さっぱり感が悪く、ぬめり感が残った。また保存安定性が悪かった。比較例3では、d成分を含有しないため、洗浄力が悪かった。比較例4では、a成分を含有しないため、泡立ち、泡の保持性、泡質及び洗浄力が悪く、洗浄後のさっぱり感が悪かった。比較例5では、b成分を含有しないため、また、比較例6では、c成分を含有しないため、泡質が悪く、乾燥後につっぱり感が残った。比較例7では、d成分のかわりに他の成分を含有するため、泡の保持性、洗浄力が悪く、保存安定性も充分でなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記aを1〜10重量%、bを0.5〜5重量%、cを0.1〜3重量%、dを2〜20重量%含有し、a、b及びcの合計含有量(a+b+c)が3〜12重量%、aの含有量とbとcの合計含有量との重量比(a/(b+c))が1/1〜10/1、a、b及びcの合計含有量とdの含有量との重量比((a+b+c)/d)が1/5〜1/1である、泡状洗浄剤組成物。
a.炭素数12〜22の脂肪酸塩
b.式(1):
【化1】

(式中のRは炭素数8〜20のアシル基を示す。)
で示されるアミドベタイン型両性界面活性剤、
式(2):
【化2】

(式中のRは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、M、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を示す。mおよびnはそれぞれ1〜3の整数を示す。)
で示されるアルキルアミノジカルボン酸型両性界面活性剤及び
式(3):
【化3】

(式中のRは炭素数8〜20のアシル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸陽イオン基を示す。)
で示されるアミドアミノ酸型両性界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上
c.式(4):
【化4】

(式中、Rは炭素数8〜20のアシル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸陽イオン基を示す。)
で示されるアシルアルキルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤
d.炭素数2〜6の2価アルコール
【請求項2】
さらに、下記eを0.001〜1重量%含有する、請求項1記載の泡状洗浄剤組成物。
e.式(5):
【化5】

(式中Rは水素原子又はメチル基、R、R及びRは炭素数1〜8のアルキル基、pは2〜4の整数である。)
で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン由来の構成単位(構成単位A)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位(構成単位B)を100/0〜10/90(A/B)の重量比で含有し、これら構成単位の含有量が60〜100重量%であるポリマー


【公開番号】特開2006−96699(P2006−96699A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284453(P2004−284453)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】