波動水車
【課題】 本発明は、水路や海等において、波動を効率良く利用して回転する波動水車に関する。
【解決手段】 前後に長く垂直の板状の整流体2を、所定の間隔置きに左右方向へ多数並列し、左右に隣合う整流体2、2の対面間に、それぞれ揚力型ブレード8を備える縦軸水車4を立設した波動水車1。
【解決手段】 前後に長く垂直の板状の整流体2を、所定の間隔置きに左右方向へ多数並列し、左右に隣合う整流体2、2の対面間に、それぞれ揚力型ブレード8を備える縦軸水車4を立設した波動水車1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波動水車に係り、特に、海や水路において、波動を効率良く利用して回転する波動水車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水車は、水流によって一方向へ回転しており、水流の方向が変ると回転方向も逆回転をする。従って、水流の変化する場所において、水流の向きが変ると水車の回転方向が変り、水車による作動が停滞したり、或いは正常な作動をしなくなる。また特許文献1に記載の水力発電機は、堤防の内外の水位の変化を利用して水車を回転させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−274146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の水車は、水位差がなければ回転しないものであり、横軸のドラム型で水車の回転効率は低い。本発明は、波動の方向に関わりなく、水車の揚力型ブレードが一定方向へ回転するようにしたもので、回転効率が高い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の具体的な内容は次の通りである。
【0006】
(1) 前後に長く垂直の板状の整流体を、所定の間隔置きに左右方向へ多数並列し、左右に隣合う整流体の対面間に、それぞれ揚力型ブレードを備える縦軸水車を立設した波動水車。
【0007】
(2) 前記整流体における左右側端部の整流体は、中間の整流体よりも長く、かつ前後端部が外側方向へ反っている前記(1)に記載の波動水車。
【0008】
(3) 前記各整流体は、平面視で前後の中央部の幅を大とされている前記(1)又は(2)に記載の波動水車。
【0009】
(4) 前記縦軸風車は、左右の整流体における最大厚さ部分の対面間に配設されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の波動水車。
【0010】
(5) 前記波動水車は、1本の縦主軸に対して揚力型ブレードが多段に装着されている前記(1)〜(4)のいずれかに記載の波動水車。
【0011】
(6) 前記揚力型ブレードの上下におけるものの位相を異ならせている前記(5)に記載の波動水車。
【0012】
(7) 前記揚力型ブレードは、上下端部を内側面における前後線を基点として、これに直交して内側方向へ傾斜する傾斜部とした前記(1)〜(6)のいずれかに記載の波動水車。
【0013】
(8) 前記各左右の整流体の上面に軸支持体が架設され、その上面に縦軸と連結される発電機が配設されている前記(1)〜(7)のいずれかに記載の波動水車。
【0014】
(9) 並列した左右側端の整流体は、上流における外側方へ傾斜している前記(1)〜(8)のいずれかに記載の波動水車。
【0015】
(10) 並列した左右側端の整流体は、平面視で前後における両端部が、外側方へ傾斜している前記(1)〜(9)のいずれかに記載の波動水車。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、次のような効果が奏せられる。
【0017】
前記(1)に記載の波動水車は、多数並設された前後に長い垂直の整流体の、隣同士の間に揚力型ブレードを備えた縦軸水車が立設されているので、海中などにおいて、整流体によって集められた波動が、高速化されて、縦軸水車の揚力型ブレードに当って、これを回転させる。上げ潮や引き潮においても、波動は整流体によって縦軸水車に誘導され、揚力型ブレードは、波動の流動する方向に関わらず、同じ方向に回転するので、効率よく回転させることができる。
【0018】
前記(2)に記載の波動水車は、並列されている左右側端部の整流体が、中間の整流体よりも長く、かつ前後端部が外側方向へ反っているので、上げ潮や引き潮における波動を、効率良く縦軸水車に誘導する事ができる。
【0019】
前記(3)に記載の波動水車は、整流体によって水流が整流され、かつ中央の幅が最大とされているため、ここを通過するときに高速化されて、高速水流が縦軸水車の揚力型ブレードに当るので、効率の良い回転をさせることができる。
【0020】
前記(4)に記載の波動水車は、縦軸水車の左右に、整流体の最大幅の部分が位置して隘路となっているため、ここを通過するとき波動は高速化されて揚力型ブレードに当り、回転効率は高められる。
【0021】
前記(5)に記載の波動水車は、1本の縦軸に揚力型ブレードが多段に配設されているので、深い水中においても、水流を有効に利用することができる。
【0022】
前記(6)に記載の波動水車は、上下における揚力型ブレードの位相が違差されているので、回転時に、上下のブレードに当る水流の干渉が生じにくい。
【0023】
前記(7)に記載の波動水車は、揚力型ブレードの上下端部が、内側面における前後線を基点として、これに直交して内側方向へ傾斜する傾斜部としているので、回転に伴い、ブレードに当る水流は、上下の傾斜部方向へ流動し、傾斜部の内側面に沿って斜め上下方向で、回転方向の後方向へ流動するため、その水流の反作用により回転効率を高める。
また、この揚力型ブレードを備えた縦軸水車は、回転時に突然逆方向から波動が来るようになっても、回転方向に変化が無く回転し続ける。
【0024】
前記(8)に記載の波動水車は、整流体の上面に架設する軸支持体の上面に、発電機が配設されているので、水流や波動の高さが変動しても、発電機が水没する虞がなく、メンテナンスが容易となる。
【0025】
前記(9)に記載の波動水車は、並列した左右端部の整流体が、上流側の外側へ傾斜しているので、多くの水流を縦軸水車に誘導することができる。
【0026】
前記(10)に記載の波動水車は、平面視で整流体の前後端部が外側方へ傾斜しているので、何れの方向から水流や波動が来ても、縦軸水車へ効率良く誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る波動水車の平面図である。
【図2】図1の波動水車の正面図である。
【図3】図1の波動水車を水路に配設した状態の平面図である。
【図4】図1の波動水車における揚力型ブレードの正面図である。
【図5】図4におけるV−V線横断平面図である。
【図6】本発明の実施例2の波動水車の平面図である。
【図7】本発明の実施例3の波動水車の平面図である。
【図8】本発明の実施例4の波動水車の平面図である。
【図9】本発明の実施例5の波動水車の正面図である。
【図10】波動水車の縦軸と支持腕の関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明を、実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0029】
波動水車1は、水底に構築する基盤1Aの上に、一定の間隔をおいて左右方向に並設された複数の垂直の整流体2、2aと、左右に隣り合う整流体2、2a間に立設された、揚力型ブレード8を備える複数の縦軸水車4、4とで構成されている。
【0030】
左右外側の整流体2a、2aは、中央部の整流体2よりも前後の長さが長く形成され、その前後端部は外反りに形成してある。各整流体2、2aの上面間に跨って、帯状の軸支持体3が横架されている。
【0031】
縦軸水車4は、図2に示すように、縦軸5に固定された板状の固定部材6に取付けた、水平の支持腕7の先端に、垂直の揚力型ブレード8を装着して構成されている。各揚力型ブレード8の上下端部は、縦軸5方向へ傾斜する、内向き傾斜部8Aとされている。
【0032】
前面から整流体2、2の間に流入して、波動水車1の回転する揚力型ブレード8に当る水流は、下流には抜けることはなく、上下の内向き傾斜部8Aへと移動し、これに当ることによって、傾斜部8Aの内面に沿って斜め下方及び斜め上方へ抜け、揚力型ブレード8を効率良く回転させる。
【0033】
左右に隣り合う整流体2、2の間において、前記基盤1A及び軸支持体3には、互いに対向する上下の軸受9、9が設けられ、上下の軸受9、9により、縦軸水車4の縦軸5の上端及び下端が支持されている。また、軸支持体3の上面には、各縦軸5の上端と連携された発電機10が固定されている。
【0034】
図3は、水路11に波動水車1を配設した状態を示す平面図である。水路11を横断するように、波動水車1の一側端の整流体2を、水路11の1側内壁面に当接し、水路11の他側の側壁から一定間隔をフリーな水路11Aとし、波動水車1が配設されている。
【0035】
この波動水車1の上流側へ、フリーな水路11A側の整流体2から、他側の上流側の水路側壁へかけて、弧状に塵埃除去体12が設けられている。塵埃除去体12は、例えば網状のものである。これによって、水路11に流れて来た塵埃は、塵埃除去体12に引っ掛かるか、これに沿って下流に流れ去ることになる。
【0036】
図4は、図1における揚力型ブレード8の拡大正面図、図5は、図4におけるV−V線横断平面図である。図4に示すように、揚力型ブレード8の上下端部は、内側方向へ傾斜する傾斜部8Aとされている。
【0037】
図5に示すように、揚力型ブレード8の横断面において、内側面8Bは、前縁8Cから後縁8Dへかけて外側方向へやや傾斜している。この内側面8Bにおける前後線8aを基点として傾斜する傾斜部8Aは、前後線8aと直交する内側方向(X矢示)へ傾斜されている。
【0038】
図5において、上流から水流を受けると、縦軸水車4の揚力型ブレード8は、時計回りに回転する。図5においては、内側面8Bに水流を受けることにより、前縁8Cは前進する。その前進に伴い、前縁8Cに当る相対流(Y矢示)は、外側面8Eに沿って流れる。
【0039】
内側面8Bの長さよりも、外側面8Eの長さが長いが、前縁8Cから後縁8Dに達する時間は同じである。従って、内側面8Bよりも外側面8Eを通過する水流の速度が高速となって、負圧になるから、外側面8Eの後縁8D方向から、常圧の水流が押寄せて、揚力型ブレード8を、回転方向へ押すこととなる。
【0040】
回転に伴い、揚力型ブレード8の外周域に遠心力に伴う負圧が生じ、揚力型ブレードの回転半径内の流体は、水圧の差により外側方向へ移動する。その結果、揚力型ブレード8の内面における流体は上下方向へ移動し、傾斜部8Aの内側面に沿って、図4及び図5におけるX矢示方向へ抜けて、反動として回転速度が高まる。
【実施例2】
【0041】
図6は、波動水車の実施例2を示す平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。整流体2は、前後方向の中央部における幅を大とし、その最大厚さ2Aは、図6では前後方向の長さの約12%としてあるが、20%〜35%とする物もある。
【0042】
前後方向の先端は細くしてあり、水流が、前後方向の何れから来ても、隣合う整流体2、2の最大厚部分2Aの対向間は隘路となり、ここを波動が通過する際には加速され、縦軸水車4における揚力型ブレード8の回転速度を大とする。
【実施例3】
【0043】
図7は、本発明の波動水車1の実施例3の平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。この実施例において、左右側端における整流体2a、2aの上流側の端部を、外側方向へ傾斜させてある。
【0044】
これにより、海等において、上流からの水流の多くを、縦軸水車4に誘導することができる。また図示するように、その外側端の整流体2aを長くしておくことにより、より多くの水流を縦軸水車4へ誘導することができる。
【実施例4】
【0045】
図8は、本発明の波動水車1の実施例4を示す平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。
この実施例の波動水車1においては、左右両側端にある整流体2a、2aを前後に長くして、その両端部における内側面を、外側方へ向かって湾曲するように傾斜させてある。
【0046】
これにより、海において、上げ潮と引き潮の双方の波動を、広い範囲から縦軸水車4へと誘導することができる。その場合、この揚力型ブレード8は、何れの方向から波動が来ても、時計回りに回転し、停止するなどのロスが生じることはない。
【0047】
図9は、波動水車1の実施例5を示す平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して、説明を省略する。この波動水車1では、縦軸水車4における1本の縦軸5に、揚力型ブレード8が多段(図では2段)に設けられている。
【0048】
上下における揚力型ブレード8は、上下で重ならないように、位相を相違させてある。1段の揚力型ブレード8が2枚であれば、上下段で45度変位させる。1段の揚力型ブレード8が3枚であれば、上下段で30度変位させる。
【0049】
図10は、縦軸水車4における縦軸5と、支持腕7の関係を示す正面図である。縦軸5は、酸化を防止するために、心軸5Aの表面を被覆層5Bで被覆してある。被覆層5Bの材質としては、カーボン繊維、ガラス繊維などを使用したFRPが使用される。
【0050】
固定部材6は、水平方向に2っ割状とし、ボルト6Aにより固定してある。ボルト6Aの表面には、図示しないFRPの被覆層を形成してある。固定部材6の上面に、支持腕7の基部をボルト7Aにより固定してある。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この波動水車を、海中に設置することにより、波動を利用した水力発電機に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1.波動水車
1A.基盤
2.整流体
2A.最大厚さ部
2a.外側の整流体
3.軸支持体
4.縦軸水車
5.縦軸
5A.心軸
5B.被覆層
6.固定部材
6A.ボルト
7.支持腕
7A.ボルト
8.揚力型ブレード
8A.内向き傾斜部
8B.内側面
8C.前縁
8D.後縁
8E.外側面
8a.前後線
9.軸受
10.発電機
11.水路
11A.フリー水路
12.塵埃除去体
【技術分野】
【0001】
本発明は、波動水車に係り、特に、海や水路において、波動を効率良く利用して回転する波動水車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水車は、水流によって一方向へ回転しており、水流の方向が変ると回転方向も逆回転をする。従って、水流の変化する場所において、水流の向きが変ると水車の回転方向が変り、水車による作動が停滞したり、或いは正常な作動をしなくなる。また特許文献1に記載の水力発電機は、堤防の内外の水位の変化を利用して水車を回転させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−274146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の水車は、水位差がなければ回転しないものであり、横軸のドラム型で水車の回転効率は低い。本発明は、波動の方向に関わりなく、水車の揚力型ブレードが一定方向へ回転するようにしたもので、回転効率が高い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の具体的な内容は次の通りである。
【0006】
(1) 前後に長く垂直の板状の整流体を、所定の間隔置きに左右方向へ多数並列し、左右に隣合う整流体の対面間に、それぞれ揚力型ブレードを備える縦軸水車を立設した波動水車。
【0007】
(2) 前記整流体における左右側端部の整流体は、中間の整流体よりも長く、かつ前後端部が外側方向へ反っている前記(1)に記載の波動水車。
【0008】
(3) 前記各整流体は、平面視で前後の中央部の幅を大とされている前記(1)又は(2)に記載の波動水車。
【0009】
(4) 前記縦軸風車は、左右の整流体における最大厚さ部分の対面間に配設されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の波動水車。
【0010】
(5) 前記波動水車は、1本の縦主軸に対して揚力型ブレードが多段に装着されている前記(1)〜(4)のいずれかに記載の波動水車。
【0011】
(6) 前記揚力型ブレードの上下におけるものの位相を異ならせている前記(5)に記載の波動水車。
【0012】
(7) 前記揚力型ブレードは、上下端部を内側面における前後線を基点として、これに直交して内側方向へ傾斜する傾斜部とした前記(1)〜(6)のいずれかに記載の波動水車。
【0013】
(8) 前記各左右の整流体の上面に軸支持体が架設され、その上面に縦軸と連結される発電機が配設されている前記(1)〜(7)のいずれかに記載の波動水車。
【0014】
(9) 並列した左右側端の整流体は、上流における外側方へ傾斜している前記(1)〜(8)のいずれかに記載の波動水車。
【0015】
(10) 並列した左右側端の整流体は、平面視で前後における両端部が、外側方へ傾斜している前記(1)〜(9)のいずれかに記載の波動水車。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、次のような効果が奏せられる。
【0017】
前記(1)に記載の波動水車は、多数並設された前後に長い垂直の整流体の、隣同士の間に揚力型ブレードを備えた縦軸水車が立設されているので、海中などにおいて、整流体によって集められた波動が、高速化されて、縦軸水車の揚力型ブレードに当って、これを回転させる。上げ潮や引き潮においても、波動は整流体によって縦軸水車に誘導され、揚力型ブレードは、波動の流動する方向に関わらず、同じ方向に回転するので、効率よく回転させることができる。
【0018】
前記(2)に記載の波動水車は、並列されている左右側端部の整流体が、中間の整流体よりも長く、かつ前後端部が外側方向へ反っているので、上げ潮や引き潮における波動を、効率良く縦軸水車に誘導する事ができる。
【0019】
前記(3)に記載の波動水車は、整流体によって水流が整流され、かつ中央の幅が最大とされているため、ここを通過するときに高速化されて、高速水流が縦軸水車の揚力型ブレードに当るので、効率の良い回転をさせることができる。
【0020】
前記(4)に記載の波動水車は、縦軸水車の左右に、整流体の最大幅の部分が位置して隘路となっているため、ここを通過するとき波動は高速化されて揚力型ブレードに当り、回転効率は高められる。
【0021】
前記(5)に記載の波動水車は、1本の縦軸に揚力型ブレードが多段に配設されているので、深い水中においても、水流を有効に利用することができる。
【0022】
前記(6)に記載の波動水車は、上下における揚力型ブレードの位相が違差されているので、回転時に、上下のブレードに当る水流の干渉が生じにくい。
【0023】
前記(7)に記載の波動水車は、揚力型ブレードの上下端部が、内側面における前後線を基点として、これに直交して内側方向へ傾斜する傾斜部としているので、回転に伴い、ブレードに当る水流は、上下の傾斜部方向へ流動し、傾斜部の内側面に沿って斜め上下方向で、回転方向の後方向へ流動するため、その水流の反作用により回転効率を高める。
また、この揚力型ブレードを備えた縦軸水車は、回転時に突然逆方向から波動が来るようになっても、回転方向に変化が無く回転し続ける。
【0024】
前記(8)に記載の波動水車は、整流体の上面に架設する軸支持体の上面に、発電機が配設されているので、水流や波動の高さが変動しても、発電機が水没する虞がなく、メンテナンスが容易となる。
【0025】
前記(9)に記載の波動水車は、並列した左右端部の整流体が、上流側の外側へ傾斜しているので、多くの水流を縦軸水車に誘導することができる。
【0026】
前記(10)に記載の波動水車は、平面視で整流体の前後端部が外側方へ傾斜しているので、何れの方向から水流や波動が来ても、縦軸水車へ効率良く誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る波動水車の平面図である。
【図2】図1の波動水車の正面図である。
【図3】図1の波動水車を水路に配設した状態の平面図である。
【図4】図1の波動水車における揚力型ブレードの正面図である。
【図5】図4におけるV−V線横断平面図である。
【図6】本発明の実施例2の波動水車の平面図である。
【図7】本発明の実施例3の波動水車の平面図である。
【図8】本発明の実施例4の波動水車の平面図である。
【図9】本発明の実施例5の波動水車の正面図である。
【図10】波動水車の縦軸と支持腕の関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明を、実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0029】
波動水車1は、水底に構築する基盤1Aの上に、一定の間隔をおいて左右方向に並設された複数の垂直の整流体2、2aと、左右に隣り合う整流体2、2a間に立設された、揚力型ブレード8を備える複数の縦軸水車4、4とで構成されている。
【0030】
左右外側の整流体2a、2aは、中央部の整流体2よりも前後の長さが長く形成され、その前後端部は外反りに形成してある。各整流体2、2aの上面間に跨って、帯状の軸支持体3が横架されている。
【0031】
縦軸水車4は、図2に示すように、縦軸5に固定された板状の固定部材6に取付けた、水平の支持腕7の先端に、垂直の揚力型ブレード8を装着して構成されている。各揚力型ブレード8の上下端部は、縦軸5方向へ傾斜する、内向き傾斜部8Aとされている。
【0032】
前面から整流体2、2の間に流入して、波動水車1の回転する揚力型ブレード8に当る水流は、下流には抜けることはなく、上下の内向き傾斜部8Aへと移動し、これに当ることによって、傾斜部8Aの内面に沿って斜め下方及び斜め上方へ抜け、揚力型ブレード8を効率良く回転させる。
【0033】
左右に隣り合う整流体2、2の間において、前記基盤1A及び軸支持体3には、互いに対向する上下の軸受9、9が設けられ、上下の軸受9、9により、縦軸水車4の縦軸5の上端及び下端が支持されている。また、軸支持体3の上面には、各縦軸5の上端と連携された発電機10が固定されている。
【0034】
図3は、水路11に波動水車1を配設した状態を示す平面図である。水路11を横断するように、波動水車1の一側端の整流体2を、水路11の1側内壁面に当接し、水路11の他側の側壁から一定間隔をフリーな水路11Aとし、波動水車1が配設されている。
【0035】
この波動水車1の上流側へ、フリーな水路11A側の整流体2から、他側の上流側の水路側壁へかけて、弧状に塵埃除去体12が設けられている。塵埃除去体12は、例えば網状のものである。これによって、水路11に流れて来た塵埃は、塵埃除去体12に引っ掛かるか、これに沿って下流に流れ去ることになる。
【0036】
図4は、図1における揚力型ブレード8の拡大正面図、図5は、図4におけるV−V線横断平面図である。図4に示すように、揚力型ブレード8の上下端部は、内側方向へ傾斜する傾斜部8Aとされている。
【0037】
図5に示すように、揚力型ブレード8の横断面において、内側面8Bは、前縁8Cから後縁8Dへかけて外側方向へやや傾斜している。この内側面8Bにおける前後線8aを基点として傾斜する傾斜部8Aは、前後線8aと直交する内側方向(X矢示)へ傾斜されている。
【0038】
図5において、上流から水流を受けると、縦軸水車4の揚力型ブレード8は、時計回りに回転する。図5においては、内側面8Bに水流を受けることにより、前縁8Cは前進する。その前進に伴い、前縁8Cに当る相対流(Y矢示)は、外側面8Eに沿って流れる。
【0039】
内側面8Bの長さよりも、外側面8Eの長さが長いが、前縁8Cから後縁8Dに達する時間は同じである。従って、内側面8Bよりも外側面8Eを通過する水流の速度が高速となって、負圧になるから、外側面8Eの後縁8D方向から、常圧の水流が押寄せて、揚力型ブレード8を、回転方向へ押すこととなる。
【0040】
回転に伴い、揚力型ブレード8の外周域に遠心力に伴う負圧が生じ、揚力型ブレードの回転半径内の流体は、水圧の差により外側方向へ移動する。その結果、揚力型ブレード8の内面における流体は上下方向へ移動し、傾斜部8Aの内側面に沿って、図4及び図5におけるX矢示方向へ抜けて、反動として回転速度が高まる。
【実施例2】
【0041】
図6は、波動水車の実施例2を示す平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。整流体2は、前後方向の中央部における幅を大とし、その最大厚さ2Aは、図6では前後方向の長さの約12%としてあるが、20%〜35%とする物もある。
【0042】
前後方向の先端は細くしてあり、水流が、前後方向の何れから来ても、隣合う整流体2、2の最大厚部分2Aの対向間は隘路となり、ここを波動が通過する際には加速され、縦軸水車4における揚力型ブレード8の回転速度を大とする。
【実施例3】
【0043】
図7は、本発明の波動水車1の実施例3の平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。この実施例において、左右側端における整流体2a、2aの上流側の端部を、外側方向へ傾斜させてある。
【0044】
これにより、海等において、上流からの水流の多くを、縦軸水車4に誘導することができる。また図示するように、その外側端の整流体2aを長くしておくことにより、より多くの水流を縦軸水車4へ誘導することができる。
【実施例4】
【0045】
図8は、本発明の波動水車1の実施例4を示す平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。
この実施例の波動水車1においては、左右両側端にある整流体2a、2aを前後に長くして、その両端部における内側面を、外側方へ向かって湾曲するように傾斜させてある。
【0046】
これにより、海において、上げ潮と引き潮の双方の波動を、広い範囲から縦軸水車4へと誘導することができる。その場合、この揚力型ブレード8は、何れの方向から波動が来ても、時計回りに回転し、停止するなどのロスが生じることはない。
【0047】
図9は、波動水車1の実施例5を示す平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して、説明を省略する。この波動水車1では、縦軸水車4における1本の縦軸5に、揚力型ブレード8が多段(図では2段)に設けられている。
【0048】
上下における揚力型ブレード8は、上下で重ならないように、位相を相違させてある。1段の揚力型ブレード8が2枚であれば、上下段で45度変位させる。1段の揚力型ブレード8が3枚であれば、上下段で30度変位させる。
【0049】
図10は、縦軸水車4における縦軸5と、支持腕7の関係を示す正面図である。縦軸5は、酸化を防止するために、心軸5Aの表面を被覆層5Bで被覆してある。被覆層5Bの材質としては、カーボン繊維、ガラス繊維などを使用したFRPが使用される。
【0050】
固定部材6は、水平方向に2っ割状とし、ボルト6Aにより固定してある。ボルト6Aの表面には、図示しないFRPの被覆層を形成してある。固定部材6の上面に、支持腕7の基部をボルト7Aにより固定してある。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この波動水車を、海中に設置することにより、波動を利用した水力発電機に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1.波動水車
1A.基盤
2.整流体
2A.最大厚さ部
2a.外側の整流体
3.軸支持体
4.縦軸水車
5.縦軸
5A.心軸
5B.被覆層
6.固定部材
6A.ボルト
7.支持腕
7A.ボルト
8.揚力型ブレード
8A.内向き傾斜部
8B.内側面
8C.前縁
8D.後縁
8E.外側面
8a.前後線
9.軸受
10.発電機
11.水路
11A.フリー水路
12.塵埃除去体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に長く垂直の板状の整流体を、所定の間隔置きに左右方向へ多数並列し、左右に隣合う整流体の対面間に、それぞれ揚力型ブレードを備える縦軸水車を立設したことを特徴とする波動水車。
【請求項2】
前記整流体における左右端部の整流体は、中間の整流体よりも長く、かつ前後端部が外側方向へ反っていることを特徴とする請求項1に記載の波動水車。
【請求項3】
前記各整流体は、平面視で前後の中央部の幅を大とされている事を特徴とする請求項1又は2に記載の波動水車。
【請求項4】
前記縦軸風車は、左右の整流体における最大厚さ部分の対面間に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波動水車。
【請求項5】
前記揚力型ブレードは、1本の縦主軸に対して多段に装着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の波動水車。
【請求項6】
前記揚力型ブレードの上下におけるものの位相を異ならせていることを特徴とする請求項5に記載の波動水車。
【請求項7】
前記揚力型ブレードは、上下端部を内側面における前後線を基点として、これに直交して内側方向へ傾斜する傾斜部としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の波動水車。
【請求項8】
前記各左右の整流体の上面に、軸支持体が架設され、その上面に縦軸と連結される発電機が配設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の波動水車。
【請求項9】
並列した左右側端の整流体は、上流における外側方へ傾斜していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の波動水車。
【請求項10】
並列した左右側端の整流体は、平面視で前後における両端部が、外側方へ傾斜していることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の波動水車。
【請求項1】
前後に長く垂直の板状の整流体を、所定の間隔置きに左右方向へ多数並列し、左右に隣合う整流体の対面間に、それぞれ揚力型ブレードを備える縦軸水車を立設したことを特徴とする波動水車。
【請求項2】
前記整流体における左右端部の整流体は、中間の整流体よりも長く、かつ前後端部が外側方向へ反っていることを特徴とする請求項1に記載の波動水車。
【請求項3】
前記各整流体は、平面視で前後の中央部の幅を大とされている事を特徴とする請求項1又は2に記載の波動水車。
【請求項4】
前記縦軸風車は、左右の整流体における最大厚さ部分の対面間に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波動水車。
【請求項5】
前記揚力型ブレードは、1本の縦主軸に対して多段に装着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の波動水車。
【請求項6】
前記揚力型ブレードの上下におけるものの位相を異ならせていることを特徴とする請求項5に記載の波動水車。
【請求項7】
前記揚力型ブレードは、上下端部を内側面における前後線を基点として、これに直交して内側方向へ傾斜する傾斜部としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の波動水車。
【請求項8】
前記各左右の整流体の上面に、軸支持体が架設され、その上面に縦軸と連結される発電機が配設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の波動水車。
【請求項9】
並列した左右側端の整流体は、上流における外側方へ傾斜していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の波動水車。
【請求項10】
並列した左右側端の整流体は、平面視で前後における両端部が、外側方へ傾斜していることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の波動水車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−241613(P2012−241613A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112232(P2011−112232)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(310023461)株式会社ベルシオン (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(310023461)株式会社ベルシオン (6)
【Fターム(参考)】
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