説明

波形整形装置、信号生成装置、波形整形方法および信号生成方法

【課題】回路デバイスの温度や電源などが変動しても信号品質を維持すること。
【解決手段】波形整形装置100は、リミッタアンプ112と、バンドパスフィルタ113と、測定部114と、利得制御部115と、を備えている。リミッタアンプ112は、所定の出力振幅を限度として可変の増幅量により入力信号を増幅する。バンドパスフィルタ113は、リミッタアンプ112によって増幅された信号の奇数次高調波を抽出する。測定部114は、バンドパスフィルタ113によって抽出された奇数次高調波の強度を測定する。利得制御部115は、測定部114によって測定された強度に基づいてリミッタアンプ112の増幅量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号の波形を整形する波形整形装置、信号生成装置、波形整形方法および信号生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海底ケーブルを用いる通信システムのように、数千kmの伝送距離を有する長距離通信システムにおいては、S/N(Signal/Noise)特性を向上させるためにRZ(Return to Zero)信号が用いられる場合がある。RZ符号化された光信号においては、ファイバ分散による波形劣化を小さくしたり、S/N特性を向上させたりするために、光信号のデューティ比およびTrTfを適切に制御する必要がある。
【0003】
また、RZ信号を送信装置の電気回路で生成する場合は、NRZ(Non RZ)信号であるデータとクロック信号の論理的AND(乗算)を演算する構成が一般的である。このような構成において、クロック信号のデューティ比を補償するデューティ比補償回路を用いる構成が開示されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
また、データとクロック信号の論理的ANDによってRZ信号を生成する構成において、帯域制限フィルタなどを用いてクロック信号のTrTfを一定にする技術が用いられている。この技術は、クロック信号を通過させる帯域制限フィルタの周波数透過特性の設計によって、クロック信号の波形をなまらせてTrTfを調整するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−252007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、温度や電源などが変動すると、クロック信号のデューティ比やTrTfが変動して信号が劣化するという問題がある。特に、たとえば10Gbps以上の高速な送信信号を生成する場合には、回路デバイスの動作能力マージンが少ないためクロック信号のデューティ比やTrTfが変動しやすい。
【0007】
このため、送信信号の劣化が大きくなり、送信信号の伝送可能距離が短くなったり、送信信号の波形劣化を補償するための機器(アンプや分散補償器など)の追加が必要になったりするという問題がある。また、送信信号のビットレートに対して回路デバイスの動作能力を十分に高くすることも考えられるが、装置のコストが増大するという問題がある。
【0008】
また、データとクロック信号の論理的ANDによってRZ信号を生成する構成において、温度や電源などの変動によってデータとクロック信号の位相関係が最適な状態からずれた場合は、データとクロック信号の波形干渉が発生する。データとクロック信号の波形干渉が発生すると、送信信号が劣化して伝送可能距離が短くなるという問題がある。
【0009】
開示の波形整形装置、信号生成装置、波形整形方法および信号生成方法は、上述した問題点を解消するものであり、回路デバイスの温度や電源などが変動しても信号品質を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、所定の出力振幅を限度として可変の増幅量により入力信号を増幅し、増幅された信号の奇数次高調波を抽出し、抽出された奇数次高調波の強度を測定し、測定された強度に基づいて前記増幅量を制御することを要件とする。
【0011】
上記構成によれば、増幅したクロック信号の奇数次高調波を抽出することでクロック信号のTrTfを監視することができる。そして、監視したTrTfに基づいて増幅量を調整することで、クロック信号のTrTfを一定に制御することができる。
【発明の効果】
【0012】
開示の波形整形装置、信号生成装置、波形整形方法および信号生成方法によれば、回路デバイスの温度や電源などが変動しても信号品質を維持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1にかかる波形整形装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したTrTf制御部によるTrTf制御を示す図である。
【図3】リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(TrTf=50ps)である。
【図4】リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(TrTf=40ps)である。
【図5】リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(TrTf=20ps)である。
【図6】リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(デューティ比=55%)である。
【図7】リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(デューティ比=60%)である。
【図8】実施の形態2にかかる波形整形装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示したデューティ比制御部の構成例を示すブロック図である。
【図10】図9に示したデューティ比制御部によるデューティ比制御を示す図である。
【図11】実施の形態3にかかるRZ信号生成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図12】図11に示した位相制御部の構成例を示すブロック図である。
【図13】図12に示した位相差監視部の構成例を示すブロック図である。
【図14】図12に示した遅延調整部の構成例(アナログ方式)を示すブロック図である。
【図15】図12に示した遅延調整部の構成例(デジタル方式)を示すブロック図である。
【図16】図12に示した可変遅延部の構成例1を示すブロック図である。
【図17】図12に示した可変遅延部の構成例2を示すブロック図である。
【図18】図11に示したRZ信号生成装置の実施例1を示すブロック図である。
【図19】図11に示したRZ信号生成装置の実施例2を示すブロック図である。
【図20】図11に示したRZ信号生成装置の実施例3を示すブロック図である。
【図21】実施例4にかかる光送信装置の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この波形整形装置、信号生成装置、波形整形方法および信号生成方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。この波形整形装置、信号生成装置、波形整形方法および信号生成方法は、リミッタアンプによって増幅したクロック信号の3次高調波を抽出することでクロック信号のTrTfを監視する。そして、監視したTrTfに基づいてリミッタアンプの増幅量を調整することによってTrTfを一定に制御する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる波形整形装置の機能的構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる波形整形装置100は、入力されたクロック信号(CLK_IN)の波形を整形する。波形整形装置100は、TrTf制御部110を備えている。TrTf制御部110は、入力されたクロック信号のTrTfを制御する。
【0016】
具体的には、TrTf制御部110は、閾値設定部111と、リミッタアンプ112と、バンドパスフィルタ113と、測定部114と、利得制御部115と、を備えている。閾値設定部111は、入力されたクロック信号に基づいて、リミッタアンプ112における制限振幅を設定する。具体的には、閾値設定部111は、波高値検出部111aと、波低値検出部111bと、中間値算出部111cと、を備えている。
【0017】
波高値検出部111aは、TrTf制御部110へ入力されたクロック信号の波高値を検出し、検出した波高値を中間値算出部111cへ出力する。波低値検出部111bは、TrTf制御部110へ入力されたクロック信号の波低値を検出し、検出した波低値を中間値算出部111cへ出力する。中間値算出部111cは、波高値検出部111aから出力された波高値と、波低値検出部111bから出力された波低値と、の中間値を算出する。中間値算出部111cは、算出した中間値をリミッタアンプ112へ出力する。
【0018】
リミッタアンプ112は、TrTf制御部110へ入力されたクロック信号を可変の増幅量により増幅する増幅手段である。また、リミッタアンプ112は、閾値設定部111から出力される中間値を制限振幅(リミット振幅)とし、出力信号の振幅を制限振幅以下としてクロック信号を増幅する。制限振幅は、出力振幅の限度である。また、リミッタアンプ112におけるクロック信号の増幅量は利得制御部115によって制御される。リミッタアンプ112は、増幅したクロック信号を外部へ出力する(CLK_OUT)。
【0019】
バンドパスフィルタ113(BPF:Band Pass Filter)は、リミッタアンプ112から外部へ出力されるクロック信号の奇数次高調波(3次高調波,5次高調波,7次高調波…のいずれか)を抽出する抽出手段である。バンドパスフィルタ113は、抽出した奇数次高調波を測定部114へ出力する。ここでは、バンドパスフィルタ113は、クロック信号の3次高調波を抽出するものとする。
【0020】
測定部114は、バンドパスフィルタ113から出力された3次高調波の強度を測定し、測定した強度を利得制御部115へ出力する。測定部114から利得制御部115へ出力される強度は、クロック信号のTrTfを示している(詳細は図3〜図7参照)。利得制御部115には、測定部114から出力された強度と、あらかじめ設定された目標TrTfと、が入力される。利得制御部115は、入力された強度が示すクロック信号のTrTfと目標TrTfが一致するようにリミッタアンプ112の増幅量を制御する。
【0021】
図2は、図1に示したTrTf制御部によるTrTf制御を示す図である。図2の波形図210は、リミッタアンプ112へ入力される前のクロック信号(クロック信号201)の波形を示している。クロック信号201のTrおよびTfはともに50ps(Tr=Tf=50ps)であり、クロック信号201のデューティ比は60%となっている。また、リミッタアンプ112の閾値Refは、閾値設定部111によって、クロック信号201の波高値PHと波低値PLの中間値に設定されている。
【0022】
波形図220は、利得制御部115によってリミッタアンプ112に小さな増幅量が設定された場合にリミッタアンプ112から出力されるクロック信号201の波形を示している。点線221は、リミッタアンプ112のリミッタ振幅が十分に大きいと仮定した場合にリミッタアンプ112から出力されるクロック信号201を示している。
【0023】
実際には、リミッタアンプ112の閾値Refは、クロック信号201の波高値PHと波低値PLの中間値に設定される。そして、クロック信号201はリミッタアンプ112のリミット振幅を限度として増幅されるため、リミッタアンプ112から出力されるクロック信号201は実線222のようになる。ここでは、実線222に示すクロック信号201のTrおよびTfはともに40ps(Tr=Tf=40ps)となっている。
【0024】
波形図230は、利得制御部115によってリミッタアンプ112に大きな増幅量が設定された場合にリミッタアンプ112から出力されるクロック信号201の波形を示している。点線231および実線232は、それぞれ波形220における点線221および実線222と同様であるため説明を省略する。ここでは、実線232に示すクロック信号201のTrおよびTfはともに20ps(Tr=Tf=20ps)となっている。
【0025】
このように、利得制御部115によってリミッタアンプ112の増幅量を変化させることで、リミッタアンプ112から出力されるクロック信号201のTrTfを制御することができる。また、リミッタアンプ112の閾値Refをクロック信号201の波高値PHと波低値PLの中間値に設定することで、リミッタアンプ112の増幅量を変化させてもクロック信号201のデューティ比を60%に維持することができる。
【0026】
図3は、リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(TrTf=50ps)である。図3においては、利得制御部115の制御によってTrTfが50ps(Tr/Tf=50ps)に制御されたクロック信号を図示している。また、クロック信号のデューティ比は50%である(Duty=50%)。波形図310は、リミッタアンプ112から出力されるクロック信号の波形を示している。
【0027】
波形図310に示すように、クロック信号の周期Tは100psである(ビットレート10Gbps)。スペクトル320は、リミッタアンプ112から出力されるクロック信号の周波数スペクトルを示している。スペクトル320における基本波321は、クロック信号の周波数f0の成分を示している。
【0028】
一般的に、クロック信号のTrTfがクロック信号の周期Tの半分未満になると、基本波321の他にクロック信号の高調波(周波数f0の整数倍の高次周波数成分)が発生する。ここでは、クロック信号のTrTf(50ps)がクロック信号の周期Tの半分(T/2=50ps)以上であるため、クロック信号の高調波は発生していない。
【0029】
図4は、リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(TrTf=40ps)である。図4においては、利得制御部115の制御によってTrTfが40ps(Tr/Tf=40ps)に制御されたクロック信号を図示している。図4において、図3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
ここでは、クロック信号のTrTf(40ps)がクロック信号の周期Tの半分(T/2=50)以上であるため、クロック信号の3次高調波411が発生している。3次高調波411は、クロック信号における周波数f0の3倍の周波数の成分である。なお、実際には5次以上の他の高調波も発生するが、強度が小さいため図示を省略している。
【0031】
図5は、リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(TrTf=20ps)である。図5においては、利得制御部115の制御によってTrTfが20ps(Tr/Tf=20ps)に制御されたクロック信号を図示している。図5において、図4に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
ここでは、クロック信号のTrTf(20ps)が図4の場合(40ps)よりさらに大きいため、クロック信号の3次高調波411の強度が大きくなっている。図4および図5に示すように、クロック信号のTrTfの大きさにより、クロック信号の3次高調波411の強度に差が出ることが分かる。したがって、3次高調波411の強度を取得することで、クロック信号のTrTfを監視することが可能になる。
【0033】
図6は、リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(デューティ比=55%)である。図7は、リミッタアンプから出力されるクロック信号を示す図(デューティ比=60%)である。図6においては、TrTfが40ps(Tr/Tf=40ps)に制御(図4と同様)され、デューティ比を55%(Duty=55%)に設定したクロック信号を図示している。図7においては、図6に示したクロック信号に対して、デューティ比を60%(Duty=60%)に設定したクロック信号を図示している。
【0034】
図6および図7において、図4に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図6および図7に示すように、クロック信号のデューティ比が大きくなると、3次高調波411に加えて2次高調波611が発生するようになる。2次高調波611は、クロック信号における周波数f0の2倍の周波数の成分である。
【0035】
また、図4、図6および図7に示すように、クロック信号のデューティ比が変化すると、2次高調波611の強度は変化するが3次高調波411の強度は変化しないことが分かる。同様に、不図示の5次高調波、7次高調波、9次高調波…の強度は、クロック信号のデューティ比が変化しても変化しない。これに対して、不図示の4次高調波、6次高調波、8次高調波…の強度は、クロック信号のデューティ比に応じて変化する。
【0036】
したがって、クロック信号の奇数次高調波の強度を取得することで、クロック信号のデューティ比に関わらず、クロック信号のTrTfを監視することができる。特に、クロック信号の3次高調波は、他の奇数次高調波と比べて強度が大きい。このため、クロック信号の3次高調波の強度を取得することで、測定部114や利得制御部115を実現する回路の性能が低くてもクロック信号のTrTfを精度よく監視することができる。
【0037】
具体的には、バンドパスフィルタ113において、3次高調波帯域の減衰特性を0dBとし、2次高調波帯域および4次高調波帯域の減衰特性を−40dB(1/100)以下とすることが望ましい。これにより、測定部114に対して、クロック信号の3次高調波を透過させるとともに、2次高調波および4次高調波を遮断することができる。
【0038】
このように、実施の形態1にかかる波形整形装置100によれば、リミッタアンプ112によって増幅したクロック信号の3次高調波を抽出することでクロック信号のTrTfを監視することができる。そして、監視したTrTfに基づいてリミッタアンプ112の増幅量を調整することで、クロック信号のTrTfを一定に制御することができる。
【0039】
これにより、回路デバイスの温度や電源などが変動しても、クロック信号のTrTfを自動的に一定に制御して信号品質を維持することができる。また、回路デバイスの温度や電源などが変動してもTrTfに影響が出ない程度に回路デバイスの動作能力を高くする構成に比べて装置の製造コストを低減することができる。
【0040】
また、リミッタアンプ112の制限振幅をクロック信号の波高値と波低値の中間値に設定することで、クロック信号のデューティ比を維持しながらTrTfを制御することができる。なお、クロック信号のデューティ比を維持する必要がない場合には、リミッタアンプ112の制限振幅をクロック信号の波高値と波低値の中間値に設定しなくてもよい。この場合は、たとえばリミッタアンプ112の制限振幅をあらかじめ定められた値にする。
【0041】
なお、ここでは、波形整形装置100の入力信号をクロック信号とする構成について説明したが、波形整形装置100の入力信号をRZ化されたデータ信号にする構成としてもよい。この場合も、リミッタアンプ112から出力されたデータ信号の奇数次時高調波の強度を取得することで、データ信号のTrTfを監視することができる。
【0042】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2にかかる波形整形装置の機能的構成を示すブロック図である。図8において、図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図8に示すように、実施の形態2にかかる波形整形装置100は、TrTf制御部110(図1参照)と、デューティ比制御部810と、を備えている。
【0043】
デューティ比制御部810は、TrTf制御部110の前段に設けられている。デューティ比制御部810は、波形整形装置100へ入力されたクロック信号(CLK_IN)のデューティ比を制御する制御手段である。デューティ比制御部810は、デューティ比を制御したクロック信号をTrTf制御部110へ出力する。TrTf制御部110は、デューティ比制御部810から出力されたクロック信号のTrTfを制御する。
【0044】
上述のように、TrTf制御部110は、リミッタアンプ112の制限振幅をクロック信号の波高値と波低値の中間値に設定することで、クロック信号のデューティ比を維持しながらTrTfを制御する。このため、デューティ比制御部810をTrTf制御部110の前段に設けることで、デューティ比制御部810によって調整したデューティ比を維持しながらTrTf制御部110によってTrTfを調整することができる。
【0045】
図9は、図8に示したデューティ比制御部の構成例を示すブロック図である。図9に示すように、デューティ比制御部810は、ローパスフィルタ910と、リミッタアンプ920と、振幅検出部930と、平均値検出部940と、デューティ比算出部950と、閾値制御部960と、を備えている。ローパスフィルタ910は、入力されたクロック信号の低周波成分を抽出し、抽出したクロック信号をリミッタアンプ920へ出力する。
【0046】
具体的には、ローパスフィルタ910は、抵抗911とコンデンサ912によって実現されている。抵抗911の一端はデューティ比制御部810の入力に接続され、抵抗911の他端はリミッタアンプ920に接続されている。コンデンサ912の一端は抵抗911とリミッタアンプ920の間に接続され、コンデンサ912の他端は接地されている。
【0047】
ローパスフィルタ910はクロック信号の高調波成分を遮断できるように設計する。たとえば、ローパスフィルタ910の透過帯域をクロック信号のビットレート近傍に設定する。ここでは、リミッタアンプ920の前段にRC回路によるローパスフィルタ910を設ける構成について説明したが、ローパスフィルタ910に代えて、クロック信号の高調波成分を遮断するバンドパスフィルタを設ける構成にしてもよい。
【0048】
リミッタアンプ920は、ローパスフィルタ910から出力されたクロック信号を、所定の出力振幅を限度として増幅する(第2増幅手段)。リミッタアンプ920の制限振幅は閾値制御部960によって制御される。リミッタアンプ920は、増幅したクロック信号をTrTf制御部110へ出力する。リミッタアンプ920の増幅量はここでは固定値とする。
【0049】
振幅検出部930は、リミッタアンプ920からTrTf制御部110へ出力されるクロック信号の振幅を検出する。具体的には、振幅検出部930は、クロック信号の波高値および波低値を検出し、検出した波高値および波低値の差分によりクロック信号の振幅を検出する。振幅検出部930は、検出した振幅をデューティ比算出部950へ出力する。
【0050】
平均値検出部940は、リミッタアンプ920からTrTf制御部110へ出力されるクロック信号の平均値を検出し、検出した平均値をデューティ比算出部950へ出力する。デューティ比算出部950は、振幅検出部930から出力された振幅と、平均値検出部940から出力された平均値と、に基づいてクロック信号のデューティ比を算出する。
【0051】
ここで、振幅検出部930によって検出される振幅は、クロック信号の波高値VpH、クロック信号の波低値VpLとすると、VpH−VpLによって示すことができる。また、平均値検出部940によって検出されるクロック信号の平均値Vaveは、クロック信号のデューティ比をDとすると、Vave=(VpH−VpL)×D+VpLによって示すことができる。したがって、デューティ比算出部950が算出するデューティ比Dは、D=(Vave−VpL)/(VpH−VpL)によって示すことができる。デューティ比算出部950は、算出したデューティ比を閾値制御部960へ出力する。
【0052】
閾値制御部960には、デューティ比算出部950から出力されたデューティ比と、あらかじめ定められた目標デューティ比と、が入力される。閾値制御部960は、デューティ比算出部950から出力されたデューティ比が、あらかじめ設定された目標デューティ比と一致するようにリミッタアンプ920の制限振幅を制御する。
【0053】
図10は、図9に示したデューティ比制御部によるデューティ比制御を示す図である。図10の波形図1010は、リミッタアンプ920へ入力される前のクロック信号(クロック信号1011)の波形を示している。閾値1012および閾値1013は、閾値制御部960によってリミッタアンプ920に設定される制限振幅を示している。
【0054】
波形図1020は、閾値制御部960によってリミッタアンプ920に閾値1012(閾値1012>閾値1013)が設定された場合にリミッタアンプ920から出力されるクロック信号1011の波形を示している。この場合(閾値1012)は、クロック信号1011のデューティ比は50%(Duty=50%)となっている。
【0055】
波形図1030は、閾値制御部960によってリミッタアンプ920に閾値1013が設定された場合にリミッタアンプ920から出力されるクロック信号1011の波形を示している。この場合(閾値1013)は、クロック信号1011のデューティ比は60%(Duty=60%)となっている。このように、閾値制御部960によってリミッタアンプ920の制限振幅を変化させることで、リミッタアンプ920から出力されるクロック信号1011のデューティ比を制御することができる。
【0056】
このように、実施の形態2にかかる波形整形装置100によれば、TrTf制御部110が、デューティ比制御部810によってデューティ比を制御されたクロック信号のTrTfを制御する。これにより、デューティ比制御部810によって調整したデューティ比を維持しながらTrTf制御部110によってTrTfを調整することができる。
【0057】
また、ローパスフィルタ910をリミッタアンプ920の前段に設けることで、リミッタアンプ920へ入力されるクロック信号の高周波成分を除去してなまらせ、デューティ比の変換効率を向上させることができる。さらに、デューティ比制御部810はTrTf制御部110の前段に設けられているため、ローパスフィルタ910によってTrTfが変化しても、後段のTrTf制御部110によってTrTfを補償することができる。
【0058】
このように、デューティ比制御部810をTrTf制御部110の前段に設けることで、実施の形態1にかかる波形整形装置100の効果を奏するとともに、クロック信号のデューティ比およびTrTfの両方を一定に制御することができる。
【0059】
(実施の形態3)
図11は、実施の形態3にかかるRZ信号生成装置の機能的構成を示すブロック図である。図11において、図8に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図11に示すように、RZ信号生成装置1100は、波形整形装置100(図8参照)と、位相制御部1110と、RZ化部1120と、を備えている。
【0060】
RZ信号生成装置1100にはデータ(DATA)とクロック信号(CLK_IN)が入力される。RZ信号生成装置1100は、入力されたデータを、入力されたクロック信号によってRZ化する。RZ信号生成装置1100へ入力されたデータはRZ化部1120へ入力され、クロック信号は位相制御部1110へ入力される。
【0061】
位相制御部1110は、RZ化部1120へ入力されるデータと、波形整形装置100からRZ化部1120へ出力されるクロック信号と、の位相差を制御する。具体的には、位相制御部1110は、データの位相に対してクロック信号の位相が進んでいる場合にはクロック信号の遅延量を大きくし、データの位相に対してクロック信号の位相が遅れている場合にはクロック信号の遅延量を小さくする。
【0062】
波形整形装置100は、位相制御部1110から出力されたクロック信号のデューティ比およびTrTfを制御し、制御したクロック信号をRZ化部1120へ出力する。RZ化部1120は、入力されたデータを、波形整形装置100から出力されたクロック信号によりRZ化する。具体的には、RZ化部1120は、データとクロック信号の論理的ANDをとることによってデータをRZ化し、RZ化したRZ信号を外部へ出力する。
【0063】
図12は、図11に示した位相制御部の構成例を示すブロック図である。図12に示すように、位相制御部1110は、位相差監視部1210と、遅延調整部1220と、可変遅延部1230と、を備えている。位相差監視部1210には、RZ化部1120へ入力されるデータ(DATA)と、波形整形装置100からRZ化部1120へ出力されるクロック信号(CLK_OUT)と、が入力される。
【0064】
位相差監視部1210は、入力されたデータとクロック信号の位相差を監視する。そして、位相差監視部1210は、監視した位相差を遅延調整部1220へ出力する。遅延調整部1220は、位相差監視部1210から出力された位相差が小さくなるように、可変遅延部1230におけるクロック信号の遅延量を調整する。
【0065】
可変遅延部1230には、RZ信号生成装置1100へ入力されたクロック信号(CLK_IN)が入力される。可変遅延部1230は、入力されたクロック信号を遅延させ、遅延させたクロック信号を波形整形装置100へ出力する。可変遅延部1230における遅延量は遅延調整部1220によって調整される。
【0066】
図13は、図12に示した位相差監視部の構成例を示すブロック図である。図13に示すように、位相差監視部1210(図12参照)は、遅延回路1310と、フリップフロップ回路1320,1340(F/F:Flip Flop)と、反転回路1330と、排他的論理和回路1350,1360と、を備えている。
【0067】
位相差監視部1210へ入力されたデータ(DATA)は、遅延回路1310、フリップフロップ回路1320およびフリップフロップ回路1340のそれぞれへ入力される。位相差監視部1210へ入力されたクロック信号(CLK_OUT)は、フリップフロップ回路1320および反転回路1330のそれぞれへ入力される。
【0068】
遅延回路1310は、入力されたデータを遅延させ、遅延させたデータを排他的論理和回路1350および排他的論理和回路1360のそれぞれへ出力する。フリップフロップ回路1320は、入力されたデータを、入力されたクロック信号の立ち上がりに合わせて排他的論理和回路1350へ出力する。
【0069】
反転回路1330は、入力されたクロック信号を反転させ、反転させた反転クロック信号をフリップフロップ回路1340へ出力する。フリップフロップ回路1340は、入力されたデータを、反転回路1330から出力された反転クロック信号の立ち上がり(クロック信号の立ち下がりに相当)に合わせて排他的論理和回路1360へ出力する。
【0070】
排他的論理和回路1350は、遅延回路1310から出力されたデータと、フリップフロップ回路1320から出力されたデータと、の排他的論理和を遅延調整部1220へ出力する(EX−OR1)。排他的論理和回路1360は、遅延回路1310から出力されたデータと、フリップフロップ回路1340から出力されたデータと、の排他的論理和を遅延調整部1220へ出力する(EX−OR2)。
【0071】
これにより、データの位相に対してクロック信号の位相が進んでいる場合は排他的論理和回路1350からパルスが出力される(EX−OR1)。一方、データの位相に対してクロック信号の位相が遅れている場合は排他的論理和回路1360からパルスが出力される(EX−OR2)。また、データとクロック信号の位相が一致している場合は、排他的論理和回路1350からも排他的論理和回路1360からもパルスが出力されない。
【0072】
図14は、図12に示した遅延調整部の構成例(アナログ方式)を示すブロック図である。図14に示すように、遅延調整部1220は、ローパスフィルタ1410,1420と、差分回路1430と、を備えている。ローパスフィルタ1410およびローパスフィルタ1420のそれぞれの構成は、図9に示したローパスフィルタ910と同様の構成であるので、ローパスフィルタ910と同様の符号を付して説明を省略する。
【0073】
ローパスフィルタ1410は、排他的論理和回路1350から出力されたパルス(EX−OR1)の低周波成分を抽出し、抽出したパルスを差分回路1430へ出力する。ローパスフィルタ1420は、排他的論理和回路1360から出力されたパルス(EX−OR2)の低周波成分を抽出し、抽出したパルスを差分回路1430へ出力する。差分回路1430は、ローパスフィルタ1410から出力されたパルスと、ローパスフィルタ1420から出力されたパルスと、の差分を制御信号として可変遅延部1230へ出力する。
【0074】
これにより、データとクロック信号の位相ずれの方向に応じて、差分回路1430から出力される制御信号の正負が逆になる。また、データとクロック信号の位相ずれ量に応じて差分回路1430から出力される制御信号の絶対値が変わる。可変遅延部1230は、差分回路1430から出力される制御信号に応じてクロック信号の遅延量を調整する。
【0075】
図15は、図12に示した遅延調整部の構成例(デジタル方式)を示すブロック図である。図15において、図14に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図15に示すように、遅延調整部1220は、ローパスフィルタ1410,1420と、デジタル変換部1510,1520(ADC:Analog/Digital Converter)と、CPU1530と、アナログ変換部1540(DAC:Digital/Analog Converter)と、を備えている。
【0076】
ローパスフィルタ1410およびローパスフィルタ1420は、それぞれ抽出したパルスをそれぞれデジタル変換部1510およびデジタル変換部1520へ出力する。デジタル変換部1510およびデジタル変換部1520は、それぞれローパスフィルタ1410およびローパスフィルタ1420から出力されたパルスをデジタル変換してCPU1530(Central Processing Unit)へ出力する。
【0077】
CPU1530は、デジタル変換部1510から出力されたデジタル信号と、デジタル変換部1520から出力されたデジタル信号と、の差分を算出し、算出した値を制御信号としてアナログ変換部1540へ出力する。アナログ変換部1540は、CPU1530から出力された制御信号をアナログ変換して可変遅延部1230へ出力する。
【0078】
これにより、データとクロック信号の位相ずれの方向に応じてアナログ変換部1540から出力される制御信号の正負が逆になり、データとクロック信号の位相ずれ量に応じてアナログ変換部1540から出力される制御信号の絶対値が変わる。可変遅延部1230は、アナログ変換部1540からの制御信号に応じてクロック信号の遅延量を調整する。
【0079】
図16は、図12に示した可変遅延部の構成例1を示すブロック図である。図16に示すように、可変遅延部1230は、直列に接続されたディレイスイッチ1610、ディレイスイッチ1620およびディレイスイッチ1630を備えている。ディレイスイッチ1610は、遅延部1601と、スイッチ1602,1603と、を備えている。
【0080】
ディレイスイッチ1610には、可変遅延部1230へ入力されたクロック信号(CLK_IN)が入力される。ディレイスイッチ1610へ入力されたクロック信号は、遅延部1601およびスイッチ1603へ入力される。遅延部1601は、入力されたクロック信号を遅延させ、遅延させたクロック信号をスイッチ1602へ出力する。
【0081】
スイッチ1602は、遅延部1601から出力されたクロック信号の通過/遮断を切り替える。スイッチ1602を通過したクロック信号はディレイスイッチ1620へ出力される。スイッチ1603は、入力されたクロック信号の通過/遮断を切り替える。スイッチ1603を通過したクロック信号はディレイスイッチ1620へ出力される。
【0082】
ディレイスイッチ1610において、常に、スイッチ1602およびスイッチ1603のうちの一方がクロック信号を「通過」させ他方が「遮断」するように設計されている。すなわち、ディレイスイッチ1610は、入力されたクロック信号を、スイッチ1602およびスイッチ1603のいずれかを通過させてディレイスイッチ1620へ出力する。
【0083】
スイッチ1602およびスイッチ1603のうちのいずれが「通過」になるかによって、ディレイスイッチ1610を通過するクロック信号の位相が変化する。ディレイスイッチ1620およびディレイスイッチ1630の各構成は、ディレイスイッチ1610と同様であるため同様の符号を付して説明を省略する。
【0084】
ディレイスイッチ1620は、ディレイスイッチ1610から出力されたクロック信号を、スイッチ1602およびスイッチ1603のいずれかを通過させてディレイスイッチ1630へ出力する。ディレイスイッチ1630は、ディレイスイッチ1620から出力されたクロック信号を、スイッチ1602およびスイッチ1603のいずれかを通過させて波形整形装置100(図11参照)へ出力する。
【0085】
このような構成において、遅延調整部1220から出力された制御信号にしたがって、ディレイスイッチ1610,1620,1630のそれぞれにおけるスイッチ1602およびスイッチ1603を切り替える。これにより、位相制御部1110へ入力されるデータ(DATA)とクロック信号(CLK_OUT)の位相差が小さくなるように、可変遅延部1230から出力されるクロック信号の位相を制御することができる。
【0086】
図17は、図12に示した可変遅延部の構成例2を示すブロック図である。図17に示すように、可変遅延部1230は、位相回転回路1710,1720と、リミッタアンプ1730と、を備えている。位相回転回路1710は、位相制御部1110へ入力されたクロック信号の位相を回転させて位相回転回路1720へ出力する。具体的には、位相回転回路1710は、抵抗1701と、可変コンデンサ1702と、を備えている。
【0087】
抵抗1701の一端は位相回転回路1710の入力に接続され、抵抗1701の他端は位相回転回路1710の出力に接続されている。可変コンデンサ1702の一端は抵抗1701と位相回転回路1710の出力の間に接続され、可変コンデンサ1702の他端は接地されている。このような構成において、可変コンデンサ1702の容量を変化させることで、位相回転回路1710を通過するクロック信号の位相が回転する。
【0088】
位相回転回路1720の構成は、位相回転回路1710の構成と同様であるため説明を省略する。位相回転回路1720は、位相回転回路1710から出力されたクロック信号の位相を回転させてリミッタアンプ1730へ出力する。リミッタアンプ1730は、位相回転回路1720から出力されたクロック信号を、所定の出力振幅を限度として増幅し、増幅したクロック信号を波形整形装置100(図11参照)へ出力する。
【0089】
このような構成において、遅延調整部1220から出力された制御信号にしたがって、位相回転回路1710,1720のそれぞれにおける可変コンデンサ1702の容量を変化させる。これにより、RZ化部1120へ入力されるデータ(DATA)とクロック信号(CLK_OUT)の位相差が最適となるように、可変遅延部1230から波形整形装置100へ出力されるクロック信号の位相を制御することができる。
【0090】
このように、実施の形態3にかかるRZ信号生成装置1100によれば、波形整形装置100によってデューティ比およびTrTfを精度よく一定に制御されたクロック信号によって入力データをRZ符号化することができる。このため、データとクロック信号の波形干渉の発生を回避し、生成するRZ信号の品質を向上させることができる。
【0091】
また、RZ化部1120へ入力されるデータとクロック信号の位相差が最適なるようにデータとクロック信号の少なくともいずれかの遅延量を調整する。これにより、回路デバイスの温度や電源などが変動しても、データとクロック信号の位相関係を最適な状態に維持することができる。このため、データとクロック信号の波形干渉の発生を回避し、生成するRZ信号の品質を向上させることができる。
【0092】
また、クロック信号の遅延量を調整する場合には、波形整形装置100の前段においてクロック信号の遅延量を調整し、遅延量を調整したクロック信号を波形整形装置100によって波形整形する。これにより、位相制御部1110の可変遅延部1230においてクロック信号のデューティ比やTrTfが変動しても、変動したデューティ比やTrTfを後段の波形整形装置100によって補償することができる。
【0093】
なお、ここでは図8に示した波形整形装置100をRZ信号生成装置1100に設ける構成について説明したが、図1に示した波形整形装置100をRZ信号生成装置1100に設ける構成としてもよい。この場合も、波形整形装置100によってTrTfを精度よく一定に制御されたクロック信号によって入力データをRZ符号化することができる。
【0094】
(実施例)
図18は、図11に示したRZ信号生成装置の実施例1を示すブロック図である。図18において、図1、図9、図11または図12に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図18に示すように、実施例1にかかるRZ信号生成装置1100は、TrTf制御部110(図1参照)と、デューティ比制御部810(図9参照)と、位相制御部1110と、RZ化部1120と、を備えている。
【0095】
デューティ比制御部810のリミッタアンプ920は、増幅したクロック信号をリミッタアンプ112へ出力する。デューティ比制御部810の波高値検出部111aおよび波低値検出部111bは、それぞれリミッタアンプ920からリミッタアンプ112へ出力されるクロック信号の波高値および波低値を検出する。平均値検出部940は、リミッタアンプ920からリミッタアンプ112へ出力されるクロック信号の平均値を検出する。
【0096】
また、デューティ比制御部810の振幅検出部930(図9参照)は、TrTf制御部110の波高値検出部111aおよび波低値検出部111bによって実現されている。すなわち、波高値検出部111aおよび波低値検出部111bは、それぞれ検出した波高値および波低値を、中間値算出部111cおよびデューティ比算出部950へ出力する。
【0097】
デューティ比算出部950は、波高値検出部111aおよび波低値検出部111bからそれぞれ出力された波高値および波低値と、平均値検出部940から出力された平均値と、に基づいてクロック信号のデューティ比を算出する。これにより、デューティ比制御部810の振幅検出部930を省いた構成にすることができる。このため、RZ信号生成装置1100の製造コストを低減することができる。
【0098】
図19は、図11に示したRZ信号生成装置の実施例2を示すブロック図である。図19において、図18に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図19に示すように、実施例2にかかるRZ信号生成装置1100においては、バンドパスフィルタ113は、RZ化部1120から出力されたRZ信号を取得し、取得したRZ信号の奇数次高調波を通過させる。これにより、RZ信号のTrTfを直接監視することができるため、RZ信号のTrTfをさらに精度よく制御することができる。
【0099】
図20は、図11に示したRZ信号生成装置の実施例3を示すブロック図である。図20において、図19に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図20に示すように、実施例3にかかるRZ信号生成装置1100においては、位相制御部1110の可変遅延部1230は、RZ信号生成装置1100へ入力されるデータを遅延させ、遅延させたデータをRZ化部1120へ出力する。
【0100】
この場合は、位相制御部1110へ入力されたデータとクロック信号の位相ずれの方向に対する可変遅延部1230の遅延量の調整方向を、図19に示した場合と反対にする。すなわち、データの位相に対してクロック信号の位相が進んでいる場合には可変遅延部1230の遅延量を小さくし、データの位相に対してクロック信号の位相が遅れている場合には可変遅延部1230の遅延量を大きくする。
【0101】
このように、位相制御部1110は、RZ信号生成装置1100へ入力されたデータおよびクロック信号のうちの少なくともいずれかの位相を制御すればよい。なお、位相制御部1110がRZ信号生成装置1100へ入力されたデータの位相を制御する場合は、位相制御部1110の可変遅延部1230を図16に示した構成にするとよい。
【0102】
なお、図20に示した構成において、バンドパスフィルタ113は、RZ化部1120から出力されたRZ信号を取得し、取得したRZ信号の奇数次高調波を通過させるようにしてもよい(図19参照)。これにより、RZ信号のTrTfを直接監視することができるため、RZ信号のTrTfをさらに精度よく制御することができる。
【0103】
また、図18〜図20においては、図9に示したローパスフィルタ910を設けない構成について説明したが、可変遅延部1230とリミッタアンプ920の間にローパスフィルタ910を設ける構成にしてもよい。これにより、リミッタアンプ920へ入力されるクロック信号を除去してなまらせ、デューティ比の変換効率を向上させることができる。
【0104】
図21は、実施例4にかかる光送信装置の機能的構成を示すブロック図である。図21に示すように、実施例4にかかる光送信装置2100は、RZ信号生成装置1100(図11参照)と、LD2110と、駆動部2120と、変調器2130と、送信部2140と、を備えている。LD2110は、連続光を生成して変調器2130へ出射する。RZ信号生成装置1100には、データ2101およびクロック信号2102が入力される。
【0105】
RZ信号生成装置1100は、クロック信号2102およびデータ2101に基づいてRZ信号2103を生成する。そして、RZ信号生成装置1100は、生成したRZ信号2103を駆動部2120へ出力する。駆動部2120は、RZ信号生成装置1100から出力されたRZ信号2103に応じた駆動電流を変調器2130へ供給する。
【0106】
変調器2130は、LD2110から出射された連続光を、駆動部2120から供給される駆動電流に応じて変調する。変調器2130は、変調した光信号2131を送信部2140へ出射する。送信部2140は、変調器2130から出射された光信号を、光ファイバなどの光伝送路を介して不図示の光受信装置へ送信する。
【0107】
光送信装置2100によれば、回路デバイスの温度や電源などが変動しても、RZ信号生成装置1100によって生成された高品質のRZ信号によって連続光を変調できるため送信信号の劣化を回避することができる。このため、送信信号の伝送可能距離の拡大や、送信信号の波形劣化を補償するための機器の削減が可能になる。
【0108】
以上説明したように、開示の波形整形装置、信号生成装置、波形整形方法および信号生成方法によれば、リミッタアンプによって増幅したクロック信号の3次高調波を抽出することでクロック信号のTrTfを監視する。そして、監視したTrTfに基づいてリミッタアンプの増幅量を調整することによってTrTfを一定に制御する。これにより、回路デバイスの温度や電源などが変動しても信号品質を維持することができる。上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0109】
(付記1)増幅量が可変であり、かつ、出力信号の振幅を制限振幅以下として入力信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段によって増幅された信号の奇数次高調波を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された奇数次高調波の強度を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された強度に基づいて前記増幅量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする波形整形装置。
【0110】
(付記2)前記入力信号の波高値および波低値を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された波高値および波低値の中間値を算出する算出手段と、
を備え、前記増幅手段は、前記算出手段によって算出された中間値を制限振幅として増幅することを特徴とする付記1に記載の波形整形装置。
【0111】
(付記3)前記抽出手段は、前記増幅手段によって増幅された信号の3次高調波を抽出することを特徴とする付記1または2に記載の波形整形装置。
【0112】
(付記4)前記入力信号のデューティ比を制御するデューティ比制御手段を備え、
前記増幅手段は、前記デューティ比制御手段によってデューティ比を制御された信号を増幅することを特徴とする付記2に記載の波形整形装置。
【0113】
(付記5)前記デューティ比制御手段は、前記入力信号の低周波成分を抽出し、抽出した低周波成分のデューティ比を変化させることを特徴とする付記4に記載の波形整形装置。
【0114】
(付記6)前記入力信号のデューティ比を制御するデューティ比制御手段を備え、
前記デューティ比制御手段は、
所定の出力振幅を限度として前記入力信号を増幅する第2増幅手段と、
前記検出手段によって検出された波高値および波低値の差分と、前記入力信号の平均値と、に基づいて前記入力信号のデューティ比を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出されたデューティ比に基づいて前記第2増幅手段の所定の出力振幅を制御する振幅制御手段と、を備え、
前記検出手段は、前記デューティ比制御手段によってデューティ比を制御された信号の波高値および波低値を検出することを特徴とする付記2に記載の波形整形装置。
【0115】
(付記7)前記入力信号としてクロック信号が入力される付記1〜6のいずれか一つに記載の波形整形装置と、
前記波形整形装置によって波形整形されたクロック信号によって入力データをRZ(Return to Zero)符号化するRZ化手段と、
を備えることを特徴とする信号生成装置。
【0116】
(付記8)前記RZ化手段へ入力される前記入力データと前記クロック信号の位相差を監視する監視手段と、
前記監視手段によって監視される位相差が小さくなるように前記入力データと前記クロック信号の少なくともいずれかの遅延量を調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする付記7に記載の信号生成装置。
【0117】
(付記9)前記調整手段は、前記クロック信号の遅延量を調整し、
前記波形整形装置は、前記調整手段によって遅延量が調整されたクロック信号を波形整形することを特徴とする付記8に記載の信号生成装置。
【0118】
(付記10)付記7〜9のいずれか一つに記載の信号生成装置と、
前記信号生成装置によって生成された信号によって光を変調する変調手段と、
前記変調手段によって変調された光信号を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする光送信装置。
【0119】
(付記11)増幅量が可変であり、かつ、出力信号の振幅を制限振幅以下として入力信号を増幅する増幅工程と、
前記増幅工程によって増幅された信号の奇数次高調波を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された奇数次高調波の強度を測定する測定工程と、
前記測定工程によって測定された強度に基づいて前記増幅量を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする波形整形方法。
【0120】
(付記12)前記入力信号としてクロック信号が入力される付記11に記載の波形整形方法の各工程と、
前記各工程によって波形整形されたクロック信号によって入力データをRZ(Return to Zero)符号化するRZ化工程と、
を含むことを特徴とする信号生成方法。
【0121】
(付記13)付記12に記載の信号生成方法と、
前記信号生成方法の各工程によって生成された信号によって光を変調する変調工程と、
前記変調工程によって変調された光信号を送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする光送信方法。
【符号の説明】
【0122】
112,920,1730 リミッタアンプ
113 バンドパスフィルタ
201,1011,2102 クロック信号
321 基本波
411 3次高調波
611 2次高調波
910,1410,1420 ローパスフィルタ
911,1701 抵抗
912 コンデンサ
1012,1013 閾値
1310 遅延回路
1320,1340 フリップフロップ回路
1330 反転回路
1350,1360 排他的論理和回路
1430 差分回路
1510,1520 デジタル変換部
1540 アナログ変換部
1601 遅延部
1602,1603 スイッチ
1610,1620,1630 ディレイスイッチ
1702 可変コンデンサ
1710,1720 位相回転回路
2101 データ
2103 RZ信号
2131 光信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅量が可変であり、かつ、出力信号の振幅を制限振幅以下として入力信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段によって増幅された信号の奇数次高調波を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された奇数次高調波の強度を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された強度に基づいて前記増幅量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする波形整形装置。
【請求項2】
前記入力信号の波高値および波低値を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された波高値および波低値の中間値を算出する算出手段と、
を備え、前記増幅手段は、前記算出手段によって算出された中間値を制限振幅として増幅することを特徴とする請求項1に記載の波形整形装置。
【請求項3】
前記入力信号としてクロック信号が入力される請求項1または2に記載の波形整形装置と、
前記波形整形装置によって波形整形されたクロック信号によって入力データをRZ(Return to Zero)符号化するRZ化手段と、
前記RZ化手段へ入力される前記入力データと前記クロック信号の位相差を監視する監視手段と、
前記監視手段によって監視される位相差が小さくなるように前記入力データと前記クロック信号の少なくともいずれかの遅延量を調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする信号生成装置。
【請求項4】
増幅量が可変であり、かつ、出力信号の振幅を制限振幅以下として入力信号を増幅する増幅工程と、
前記増幅工程によって増幅された信号の奇数次高調波を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された奇数次高調波の強度を測定する測定工程と、
前記測定工程によって測定された強度に基づいて前記増幅量を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする波形整形方法。
【請求項5】
前記入力信号としてクロック信号が入力される請求項4に記載の波形整形方法の各工程と、
前記各工程によって波形整形されたクロック信号によって入力データをRZ(Return to Zero)符号化するRZ化工程と、
を含むことを特徴とする信号生成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2010−232868(P2010−232868A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77080(P2009−77080)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】