説明

波長選択スイッチ

【課題】本発明は、回折格子の分解能が高く、波長透過帯域特性に優れ、小型な波長選択スイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】波長選択スイッチ10は、レンズアレイ20と、第一レンズ30と、第一レンズ30を間にして光入出力ポート101の反対側、かつ、第一レンズ30と第一レンズ30の焦点30aとの間に配置され、第一レンズ30の焦点30aにおいて、光入出力ポート101の配列方向では第一レンズ30からの収束光をそのまま収束させ、光入出力ポート101の配列方向と直交する方向では第一レンズ30を透過した光をより大きく収束させるビームエキスパンダ40と、回折格子60と、複数のミラー80と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光波長多重通信において、異なる波長の光を分岐し又は結合することが可能な波長選択スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
光波長多重通信の普及に伴い、波長毎に光信号を合波又は分波する波長選択スイッチが光通信のキーデバイスとなっている。
【0003】
ここで、図5に従来の波長選択スイッチの概略構成図を示す。
【0004】
図5の波長選択スイッチ200は、焦点位置に配置された光入出力ポート101cから出力される光を平行光にするマイクロレンズアレイ102と、マイクロレンズアレイ102からの光を収束させる高開口数レンズ103と、高開口数レンズ103と焦点位置を共通に配置された第二レンズ104と、第二レンズ104からの光を波長ごとに異なる角度に反射する回折格子105と、第二レンズ104の焦点位置に配置され回折格子105から第二レンズ104を透過した光を第二レンズ104に向けて任意の角度で反射するアレイミラー106と、を備える(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
【0005】
これにより、アレイミラー106において任意の角度で反射された光は、アレイミラー106の個々のミラーの角度に応じて波長ごとに異なる光入出力ポートに収束させることができる。このように、高開口数レンズ103は、アレイミラー106で反射した光のうち回折格子105で再び反射して第二レンズ104を透過した光の角度を変えるとともに光入出力ポート101cからの光の光軸にオフセットを付与する機能を有している。
【特許文献1】特開2003−101479号公報
【特許文献2】特開2006−276216号公報
【特許文献3】特開2006−284740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6に、図5の反射型の回折格子を透過型の回折格子に置き換えた波長選択スイッチの概略構成図を示す。図6において、P5−1、P5−2及びP5−2’は共焦点光学系である。また、マイクロレンズアレイ102の焦点距離をf1とし、第一レンズ103の焦点距離をf2とすると、像倍率は式1で表せる。
(式1)像倍率=f2/f1
【0007】
光入出力ポート101のモードフィールド径をM1とすると、P5−2におけるビームスポットサイズは式2で表せる。ここで、P5−2及びP5−2’は、同じ第二レンズ104が配置された共焦点光学系なので、像倍率は1倍となり、P5−2及びP5−2’におけるビームスポットサイズは等しくなる。
(式2)ビームスポットサイズ=M1×f2/f1
【0008】
また、アレイミラー106の反射角をθとすると、光入出力ポート101とマイクロレンズアレイ102のポート間ピッチは式3で表せる。ここで、アレイミラー106の反射角θには限界があるため、所定のポート間ピッチを得るためには、第一レンズ103の焦点距離を長くする必要があった。
(式3)ポート間ピッチ=tan(2θ)×f2
【0009】
従って、上記式1よりアレイミラー106でのビームスポットサイズが大きくなり、アレイミラー106の各反射ミラーの面積を拡大しなければ波長透過帯域特性が不十分になる問題があった。ここで、アレイミラー106の各反射ミラーの面積を拡大すると、波長透過帯域特性を満足することができるが、アレイミラー106が大型化する問題があった。さらに、回折格子105の分解能を向上させるためには、回折格子105に照射するビームサイズを拡大し、第二レンズ104の焦点距離を十分に長くする必要があり、波長選択スイッチ200が大型化する問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、回折格子の分解能が高く、波長透過帯域特性に優れ、小型な波長選択スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る波長選択スイッチは、ビームエキスパンダを第一レンズと第一レンズの焦点との間に配置したことを特徴とする。
【0012】
具体的には、本発明に係る波長選択スイッチは、一以上の波長を含む光を入出力し、横並び直線状に設けられた複数の光入出力ポートに対向して前記光入出力ポートからの光を平行光にするように配置されたレンズアレイと、前記レンズアレイを間にして前記光入出力ポートの反対側に配置され、前記レンズアレイからの光を収束光にする第一レンズと、前記第一レンズを間にして前記光入出力ポートの反対側、かつ、前記第一レンズと前記第一レンズの焦点との間に配置され、前記第一レンズの焦点において、前記光入出力ポートの配列方向では前記第一レンズからの収束光をそのまま収束させ、前記光入出力ポートの配列方向と直交する方向では前記第一レンズを透過した光をより大きく収束させるビームエキスパンダと、前記ビームエキスパンダからの光を平行光にするように配置された第二レンズと、前記光入出力ポートから入出力される光のうち前記第二レンズを透過した光を受ける面上に前記光入出力ポートの配置方向に平行な複数の格子が形成された格子面において前記第二レンズを透過した光を波長ごとに異なる角度で反射する回折格子と、前記光入出力ポートから出力され前記回折格子で反射し前記第二レンズを透過した光をそれぞれ反射し、反射された光のそれぞれが前記第二レンズを透過し前記回折格子で反射し再び前記ビームエキスパンダ、前記第一レンズ及び前記レンズアレイを透過して前記光入出力ポートのいずれかに収束するように光の反射角度がそれぞれ設定された複数のミラーと、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記波長選択スイッチは、回折格子の分解能が高く、波長透過帯域特性に優れ、小型である。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る波長選択スイッチは、ビームエキスパンダを第一レンズと第一レンズの焦点との間に配置したことを特徴とする。
【0015】
具体的には、本発明に係る波長選択スイッチは、一以上の波長を含む光を入出力し、横並び直線状に設けられた複数の光入出力ポートに対向して前記光入出力ポートからの光を平行光にするように配置されたレンズアレイと、前記レンズアレイを間にして前記光入出力ポートの反対側に配置され、前記レンズアレイからの光を収束光にする第一レンズと、前記第一レンズを間にして前記光入出力ポートの反対側、かつ、前記第一レンズと前記第一レンズの焦点との間に配置され、前記第一レンズの焦点において、前記光入出力ポートの配列方向では前記第一レンズからの収束光をそのまま収束させ、前記光入出力ポートの配列方向と直交する方向では前記第一レンズを透過した光をより大きく収束させるビームエキスパンダと、前記ビームエキスパンダからの光を平行光にするように配置された第二レンズと、前記光入出力ポートから入出力される光のうち前記第二レンズを透過した光を受ける面上に前記光入出力ポートの配置方向に平行な複数の格子が形成された格子面において前記第二レンズを透過した光を波長ごとに異なる角度で透過させる回折格子と、前記回折格子を間にして前記第二レンズの反対側に配置される第三レンズと、前記光入出力ポートから出力され前記レンズアレイ、前記第一レンズ、前記ビームエキスパンダ、前記第二レンズ、前記回折格子及び前記第三レンズを透過した光をそれぞれ反射し、反射した光のそれぞれが前記第三レンズ、前記回折格子、前記第二レンズ、前記ビームエキスパンダ、前記第一レンズ及び前記レンズアレイを再び透過して前記光入出力ポートのいずれかに収束するように光の反射角度がそれぞれ設定された複数のミラーと、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記波長選択スイッチは、回折格子の分解能が高く、波長透過帯域特性に優れ、小型である。
【0017】
本発明に係る波長選択スイッチでは、前記回折格子は、前記光入出力ポートの配列方向と直交する方向の長さが前記光入出力ポートの配列方向より長いことが好ましい。
【0018】
上記波長選択スイッチは、より小型化できる。
【0019】
本発明に係る波長選択スイッチでは、前記ミラーは、前記光入出力ポートの配列方向と直交する方向の長さが前記光入出力ポートの配列方向より短いことが好ましい。
【0020】
上記波長選択スイッチは、より小型化できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、回折格子の分解能が高く、波長透過帯域特性に優れ、小型な波長選択スイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、具体的に実施形態を示して本願発明を詳細に説明するが、本願の発明は以下の記載に限定して解釈されない。なお、以下の実施形態では、1つの光入出力ポート(後述の光入出力ポート101d)から光が出力され他の光入出力ポート(後述の光入出力ポート101a〜101g)に光を波長ごとに分けて出力する構成について説明するが、当該他の光入出力ポート101a〜101gのいずれかから出力される光を波長ごとに分けて当該1つの光入出力ポート101dに入力する形態についても同様に説明できる。光入出力ポート101というときは、光入出力ポート101a〜101gの総称を表す。
【0023】
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態に係る波長選択スイッチの概略構成図を示す。図1(a)は、x−z面での波長選択スイッチを示し、図1(b)は、y−z面での波長選択スイッチを示している。図1では、光入出力ポート101dから出力して回折格子60で反射し、ミラー80bに至るまでの光路についてはレンズアレイ20、第一レンズ30、ビームエキスパンダ40及び第二レンズ50の作用を表すために破線で光束の広がりを示し、実線で主光線を示している。他の光路については図の錯綜を避けるため主光線のみを一点鎖線で示すことがある。
【0024】
波長選択スイッチ10は、反射型の構成、つまり、回折格子60で光を反射する構成である。第1実施形態に係る波長選択スイッチ10は、一以上の波長を含む光を入出力し、横並び直線状に設けられた複数の光入出力ポート101に対向して光入出力ポート101からの光を平行光にするように配置されたレンズアレイ20と、レンズアレイ20を間にして光入出力ポート101の反対側に配置され、レンズアレイ20からの光を収束光にする第一レンズ30と、第一レンズ30を間にして光入出力ポート101の反対側、かつ、第一レンズ30と第一レンズ30の焦点30aとの間に配置され、第一レンズ30の焦点30aにおいて、光入出力ポート101の配列方向では第一レンズからの収束光をそのまま収束させ、光入出力ポート101の配列方向と直交する方向では第一レンズ30を透過した光をより大きく収束させるビームエキスパンダ40と、ビームエキスパンダ40からの光を平行光にするように配置された第二レンズ50と、光入出力ポート101から入出力される光のうち第二レンズ50を透過した光を受ける面上に光入出力ポート101の配置方向に平行な複数の格子が形成された格子面62において第二レンズ50を透過した光を波長ごとに異なる角度で反射する回折格子60と、光入出力ポート101から出力され回折格子60で反射し第二レンズ50を透過した光をそれぞれ反射し、反射された光のそれぞれが第二レンズ50を透過し回折格子60で反射し再びビームエキスパンダ40、第一レンズ30及びレンズアレイ20を透過して光入出力ポート101のいずれかに収束するように光の反射角度がそれぞれ設定された複数のミラー80a,80bと、を備える。
【0025】
光入出力ポート101は、複数備えている。図1では、光入出力ポート101a〜101gと7つ記載しているが、これ以上又はこれ以下の任意の数で配置可能である。光入出力ポート101a〜101gには、例えば、図1に示すように光入出力ポート101a〜101gごとに光ファイバ140a〜140gが接続され、又は、光導波路(不図示)が接続される。また、光入出力ポート101a〜101gは、それぞれ光ファイバ140a〜140gを伝搬する一以上の波長を含む光を入出力する。また、光入出力ポート101a〜101gは、横並び直線状に設けられる。図1(b)に示すように、光入出力ポート101a〜101gは、光入出力ポート101a〜101gから出力される光の向きがz軸方向に平行となるように配置されているが、レンズアレイ20において平行光に変換されるのであれば、いずれの向きに向いていてもよい。
【0026】
レンズアレイ20としては、例えば、マイクロレンズアレイがある。
【0027】
第一レンズ30及び第2レンズ50としては、例えば、凸レンズ、光学収差を低減させるために適切な凸レンズと凹レンズを接着して組み合わせたダブレットレンズ、及び、トリプレットレンズのように複数のレンズを組み合わせたレンズがある。
【0028】
格子面62上には、図1(b)のy軸方向に平行な格子が図1(a)のx軸方向に平行に複数形成される。格子は、格子面62上に形成された複数の凹凸形状の溝であってもよいし、光を反射する部分と吸収する部分とを交互に配置してもよい。これにより、図1(a)に示すように、第2レンズ50を透過した光は、回折格子60の格子面62上で反射してx軸方向に波長ごとに異なる角度で反射する。なお、図1(b)のz軸方向にはそのまま返送される。図1では簡単のため回折格子60の格子面62は、第二レンズ50に正対しているが、一般的には格子面62の法線がxz面内にあるように光軸(z軸)に対して傾斜している。
【0029】
ミラー80a,80bは、図1では2つ記載しているが、光ファイバ140内を伝搬する光の波長数に応じて波長ごとに複数配置するとよい。以下、ミラー80aを中心に説明するが、ミラー80bも同様である。ミラー80aが光入出力ポート101cに、ミラー80bが光入出力ポート101eに、それぞれ光を収束するように設定されているが、角度に応じて光入出力ポート101a〜101gのいずれにも収束させることは可能である。例えば、ミラー80aのように反射する方向を図1(b)上で下方に傾けると入出力ポート101cに収束させることができ、一方、ミラー80bのように反射する方向を図1(b)上で上方に傾けると光入出力ポート101eに収束させることができる。このように、ミラー80aの角度を変えることで波長選択が可能となる。ミラー80aとしては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを適用して小型の波長選択スイッチを実現することができる。
【0030】
波長選択スイッチ10は、レンズアレイ20と第一レンズ30が、また第二レンズ50と回折格子60がそれぞれ共焦点光学系を構成するように配置することが好ましい。
【0031】
図1(a)、図1(b)において、光ファイバ140dからの波長多重された光は、光入出力ポート101dから出射し、レンズアレイ20で平行光になり、第一レンズ30によって収束され、ビームエキスパンダ40によって進行方向に垂直な面上で、第一レンズの焦点位置30aではx軸方向が短い楕円形のビームとなり、第二レンズ入射面ではx軸方向が長い楕円形のビームとなる。さらに、第二レンズ50により、x軸方向が長い楕円形の平行光に変換され、回折格子60の回折面62で波長ごとにx軸方向に異なる角度で反射される。反射された光は第二レンズ50で収束され、例えばミラー80aに向かう波長の光はミラー80aで反射され、所望の方向に向けられる。ミラー80aで反射された光は第二レンズ50で平行光になり、回折格子60の回折面62でx軸方向に先と同じ角度で反射され、第二レンズ50で収束され、ビームエキスパンダ40で円形のビームに戻される。円形のビームに戻った光は第一レンズ30で平行光になり、レンズアレイ20で収束され、光入出力ポート101cに入射する。入射した光は光ファイバ140cを伝搬する。また、例えばミラー80bに向かう波長の光はミラー80bで反射され、光入出力ポート101eに入射する。
【0032】
ビームエキスパンダ40としては、例えば、凸面シリンドリカルレンズ、プリズムがある。図1では、ビームエキスパンダ40として、凸面を第一レンズ30に向けて凸面シリンドリカルレンズを配置している。図1(a)に示すように、ビームエキスパンダ40は、光入出力ポート101の配列方向と直交する方向、すなわち、x軸方向では第一レンズ30を透過した光をより大きく収束させる。一方、図1(b)に示すように、ビームエキスパンダ40は、光入出力ポート101の配列方向、すなわち、y軸方向では第一レンズ30からの収束光をそのまま収束させる。このため、第一レンズ30からの収束光は、第一レンズ30の焦点30aではx軸方向が縮小された楕円形のスポットになり、第二レンズ50に近づくほどx軸方向に拡大し、第二レンズ50にて平行光となる。第二レンズ50における光の断面は、x軸方向に拡大された楕円形となる。
【0033】
また、図2に、格子面側から見た、光が入射した状態の回折格子の概略図を示した。図2では、回折格子60の格子面に形成された格子を破線で示した。図2に示すように、第1実施形態に係る波長選択スイッチ10では、回折格子60は、光入出力ポートの配列方向と直交する方向の長さが光入出力ポートの配列方向より長い、すなわち、x軸方向の長さがy軸方向の長さより長いことが好ましい。このため、回折格子60は、格子の本数を多く設けることができる。また、x軸方向に拡大された楕円形の光aが回折格子60に入射することから、断面の形状が円形の光に比べ、多くの格子に光を照射することが可能となる。波長選択スイッチ10は、回折格子60の分解能を確保しつつ、より小型化できる。
【0034】
また、図1の回折格子60で反射された光は、再び第二レンズ50を透過し、x軸方向により大きく収束された楕円形となり、ミラー80aに入射する。図3に、反射面の側から見た、光が入射した状態のミラーの概略図を示した。図3に示すように、第1実施形態に係る波長選択スイッチ10では、ミラー80aは、光入出力ポートの配列方向と直交する方向の長さが光入出力ポートの配列方向より短い、すなわち、x軸方向の長さがy軸方向の長さより短いことが好ましい。ミラー80aでは、光aがx軸方向により大きく収束されているため、波長選択スイッチ10は、波長透過帯域特性を満足しつつ、ミラー80aのx軸方向の長さを短くしてより小型化できる。
【0035】
以上のように、波長選択スイッチ10は、回折格子60の分解能が高く、波長透過帯域特性に優れ、小型化を図ることができる。波長選択スイッチ10は、光入出力ポート101a〜101gのいずれかから出力される複数波長の光を他の光入出力ポート(光入出力ポート101a〜101gのいずれか)に振り分け、光入出力ポート101a〜101gのうち複数から出力される光を他の1つの光入出力ポート(光入出力ポート101a〜101gのいずれか)で合波することができるため、光波長多重通信ネットワーク実現の際の波長多重用の光合分波回路や波長再配置型のadd−drop波長多重回路として適用できる。
【0036】
(第2実施形態)
図4に、第2実施形態に係る波長選択スイッチの概略構成図を示す。図4(a)は、x−z面での波長選択スイッチを示し、図4(b)は、y−z面での波長選択スイッチを示している。なお、図4において図1と同じ符号のものは相互に同じものであるため、その部分の説明は省略する。
【0037】
波長選択スイッチ11は、透過型の構成、つまり、回折格子65が光を透過する構成である。第2実施形態に係る波長選択スイッチ11は、一以上の波長を含む光を入出力し、横並び直線状に設けられた複数の光入出力ポート101に対向して光入出力ポート101からの光を平行光にするように配置されたレンズアレイ20と、レンズアレイ20を間にして光入出力ポート101の反対側に配置され、レンズアレイ20からの光を収束光にする第一レンズ30と、第一レンズ30を間にして光入出力ポート101の反対側、かつ、第一レンズ30と第一レンズ30の焦点30aとの間に配置され、第一レンズ30の焦点30aにおいて、光入出力ポート101の配列方向では第一レンズ30からの収束光をそのまま収束させ、光入出力ポート101の配列方向と直交する方向では第一レンズ30を透過した光をより大きく収束させるビームエキスパンダ40と、ビームエキスパンダ40からの光を平行光にするように配置された第二レンズ50と、光入出力ポート101から入出力される光のうち第二レンズ50を透過した光を受ける面上に光入出力ポート101の配置方向に平行な複数の格子が形成された格子面67において第二レンズ50を透過した光を波長ごとに異なる角度で透過させる回折格子65と、回折格子65を間にして第二レンズ50の反対側に配置される第三レンズ70と、光入出力ポート101から出力されレンズアレイ20、第一レンズ30、ビームエキスパンダ40、第二レンズ50、回折格子65及び第三レンズ70を透過した光をそれぞれ反射し、反射した光のそれぞれが第三レンズ70、回折格子65、第二レンズ50、ビームエキスパンダ40、第一レンズ30及びレンズアレイ20を再び透過して光入出力ポート101のいずれかに収束するように光の反射角度がそれぞれ設定された複数のミラー80a、80bと、を備える。
【0038】
波長選択スイッチ11は、第二レンズ50と第三レンズ70が共焦点光学系を構成すること、すなわち、第二レンズ50と回折格子65との距離と等しい距離で第三レンズ70を配置することが好ましい。
【0039】
図4(a)、図4(b)において、光ファイバ140dからの波長多重された光は、光入出力ポート101dから出射し、レンズアレイ20で平行光になり、第一レンズ30によって収束され、ビームエキスパンダ40によって進行方向に垂直な面上で、第一レンズの焦点位置30aではx軸方向が短い楕円形のビームとなり、第二レンズ入射面ではx軸方向が長い楕円形のビームとなる。さらに、第二レンズ50により、x軸方向が長い楕円形の平行光に変換され、回折格子65の回折面67で波長ごとにx軸方向に異なる角度で回折される。回折された光は第三レンズ70で収束され、例えばミラー80aに向かう波長の光はミラー80aで反射され、所望の方向に向けられる。ミラー80aで反射された光は第三レンズ70で平行光になり、回折格子65の回折面67でx軸方向に先と同じ角度で回折され、第二レンズ50で収束され、ビームエキスパンダ40で円形のビームに戻される。円形のビームに戻った光は第一レンズ30で平行光になり、レンズアレイ20で収束され、光入出力ポート101cに入射する。入射した光は光ファイバ140cを伝搬する。また、例えばミラー80bに向かう波長の光はミラー80bで反射され、光入出力ポート101eに入射する。
【0040】
図1の波長選択スイッチ10と同様に回折格子65のx軸方向を長くすることで、波長選択スイッチ11は、回折格子65の分解能を確保しつつ、より小型化できる。また、回折格子65を透過した光を収束させる第三レンズ70を備えることが図1の波長選択スイッチ10と異なる。ビームエキスパンダ40によって第三レンズ70を通過した光がx軸方向により大きく収束された楕円形となる。このため、図1の波長選択スイッチ10と同様にミラー80aのx軸方向の長さを短くすることで、波長選択スイッチ11は、波長透過帯域特性を満足しつつ、より小型化できる。以上のように、波長選択スイッチ11は、回折格子65の分解能が高く、波長透過帯域特性に優れ、小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の波長選択スイッチは、異なる波長の光を分岐し又は結合することができ、光波長多重通信ネットワーク実現の際の波長多重用の光合分波回路や波長再配置型のadd−drop波長多重回路として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1実施形態に係る波長選択スイッチの概略構成図である。
【図2】格子面側から見た、光が入射した状態の回折格子の概略図である。
【図3】反射面の側から見た、光が入射した状態のミラーの概略図である。
【図4】第2実施形態に係る波長選択スイッチの概略構成図である。
【図5】従来の波長選択スイッチの概略構成図である。
【図6】図5の反射型の回折格子を透過型の回折格子に置き換えた波長選択スイッチの概略構成図である。
【符号の説明】
【0043】
10,11 波長選択スイッチ
20 レンズアレイ
30 第一レンズ
30a 焦点
40 ビームエキスパンダ
50 第二レンズ
60,65格子
62,67 格子面
70 第三レンズ
80a,80b ミラー
101,101a〜101g 光入出力ポート
102 マイクロレンズアレイ
103 高開口数レンズ
104 第二レンズ
105 回折格子
106 アレイミラー
140,104a〜104g 光ファイバ
200 波長選択スイッチ
a 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の波長を含む光を入出力し、横並び直線状に設けられた複数の光入出力ポートに対向して前記光入出力ポートからの光を平行光にするように配置されたレンズアレイと、
前記レンズアレイを間にして前記光入出力ポートの反対側に配置され、前記レンズアレイからの光を収束光にする第一レンズと、
前記第一レンズを間にして前記光入出力ポートの反対側、かつ、前記第一レンズと前記第一レンズの焦点との間に配置され、前記第一レンズの焦点において、前記光入出力ポートの配列方向では前記第一レンズからの収束光をそのまま収束させ、前記光入出力ポートの配列方向と直交する方向では前記第一レンズを透過した光をより大きく収束させるビームエキスパンダと、
前記ビームエキスパンダからの光を平行光にするように配置された第二レンズと、
前記光入出力ポートから入出力される光のうち前記第二レンズを透過した光を受ける面上に前記光入出力ポートの配置方向に平行な複数の格子が形成された格子面において前記第二レンズを透過した光を波長ごとに異なる角度で反射する回折格子と、
前記光入出力ポートから出力され前記回折格子で反射し前記第二レンズを透過した光をそれぞれ反射し、反射された光のそれぞれが前記第二レンズを透過し前記回折格子で反射し再び前記ビームエキスパンダ、前記第一レンズ及び前記レンズアレイを透過して前記光入出力ポートのいずれかに収束するように光の反射角度がそれぞれ設定された複数のミラーと、
を備える波長選択スイッチ。
【請求項2】
一以上の波長を含む光を入出力し、横並び直線状に設けられた複数の光入出力ポートに対向して前記光入出力ポートからの光を平行光にするように配置されたレンズアレイと、
前記レンズアレイを間にして前記光入出力ポートの反対側に配置され、前記レンズアレイからの光を収束光にする第一レンズと、
前記第一レンズを間にして前記光入出力ポートの反対側、かつ、前記第一レンズと前記第一レンズの焦点との間に配置され、前記第一レンズの焦点において、前記光入出力ポートの配列方向では前記第一レンズからの収束光をそのまま収束させ、前記光入出力ポートの配列方向と直交する方向では前記第一レンズを透過した光をより大きく収束させるビームエキスパンダと、
前記ビームエキスパンダからの光を平行光にするように配置された第二レンズと、
前記光入出力ポートから入出力される光のうち前記第二レンズを透過した光を受ける面上に前記光入出力ポートの配置方向に平行な複数の格子が形成された格子面において前記第二レンズを透過した光を波長ごとに異なる角度で透過させる回折格子と、
前記回折格子を間にして前記第二レンズの反対側に配置される第三レンズと、
前記光入出力ポートから出力され前記レンズアレイ、前記第一レンズ、前記ビームエキスパンダ、前記第二レンズ、前記回折格子及び前記第三レンズを透過した光をそれぞれ反射し、反射した光のそれぞれが前記第三レンズ、前記回折格子、前記第二レンズ、前記ビームエキスパンダ、前記第一レンズ及び前記レンズアレイを再び透過して前記光入出力ポートのいずれかに収束するように光の反射角度がそれぞれ設定された複数のミラーと、
を備える波長選択スイッチ。
【請求項3】
前記回折格子は、前記光入出力ポートの配列方向と直交する方向の長さが前記光入出力ポートの配列方向より長いことを特徴とする請求項1又2に記載の波長選択スイッチ。
【請求項4】
前記ミラーは、前記光入出力ポートの配列方向と直交する方向の長さが前記光入出力ポートの配列方向より短いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の波長選択スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−9073(P2009−9073A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191459(P2007−191459)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】