説明

注入率調整のための温度補償を含む注入ポンプシステム

注入ポンプシステムが開示される。前記システムは、注射器バレルの中にプランジャを有する注射器を含み、前記注射器は、出口端部として、前記注射器に隣接する少なくとも1つの温度決定デバイスと、前記プランジャが前記注射器バレルに対して移動した距離を決定するための少なくとも1つのデバイスと、前記少なくとも1つの温度決定デバイスおよび少なくとも1つの光学センサと通信するポンププロセッサとを有し、前記コントローラが、温度変化および対応するプランジャ移動を決定すると、前記コントローラは、所定の時間の間、所定の量だけ、事前にプログラムされた注入ポンプの基礎率を増加または減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/297,387号(2010年1月22日出願、名称「Infusion Pump Apparatus,Method and System」、代理人整理番号H83)の優先権を主張する非仮特許出願であって、この出願は、その全体が参照することにより本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、医療デバイスに関し、より具体的には、注入ポンプ装置、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景情報)
生物学的製剤を含む、多くの潜在的に貴重な薬剤または化合物は、吸収率の悪さ、肝代謝、または他の薬物動態学的要因により、経口的に有効ではない。さらに、いくつかの治療化合物は、経口で吸収することができるが、頻繁に投与されることを必要とすることがあり、患者が所望のスケジュールを維持することは困難である。このような場合、非経口送達が、多くの場合、採用されるか、または採用することができる。
【0004】
皮下注射、筋肉内注射、および静脈内(IV)投与等、薬剤送達ならびに他の流体および化合物の効果的な非経口経路は、針またはスタイレットによる皮膚の穿刺を含む。インスリンは、数百万人の糖尿病患者によって自己注入される治療用流体の実施例である。非経口的に送達される薬物のユーザは、自動的に、一定時間にわたって、必要とされる薬物/化合物を送達するであろう、装着型デバイスからの恩恵を享受し得る。
【0005】
この目的を達成するために、治療薬の制御された放出のための携帯型かつ装着型のデバイスを設計する取り組みが行われてきた。そのようなデバイスは、カートリッジ、注射器、またはバッグ等のリザーバを有することをよび電子的に制御されることが知られている。これらのデバイスは、故障率を含む、いくつかの欠点を抱えている。これらのデバイスのサイズ、重量、および費用を削減することも、継続的課題である。さらに、これらのデバイスは、多くの場合、皮膚に適用され、適用のための頻繁な再配置の課題を呈する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、注入ポンプシステムが開示される。システムは、注射器バレルの中にプランジャを有する注射器であって、出口端部を有する注射器と、注射器に隣接する少なくとも1つの温度決定デバイス、プランジャが注射器バレルに対して移動した距離を決定するための少なくとも1つのデバイスと、少なくとも1つの温度決定デバイスと、少なくとも1つの光学センサと通信するポンププロセッサとを含み、コントローラが、温度変化および対応するプランジャ移動を決定すると、コントローラは、所定の時間の間、所定の量だけ、事前にプログラムされた注入ポンプの基礎率(basal rate)を増加または減少させる。
【0007】
いくつかの実施形態は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。ポンププロセッサが、上方温度変化および注射器出口から離れる対応するプランジャ移動を決定すると、ポンププロセッサは、所定の時間の間、所定の量だけ、事前にプログラムされた注入ポンプの基礎率を増加させる。ポンププロセッサが、下方温度変化および注射器出口に向かっての対応するプランジャ移動を決定すると、ポンププロセッサは、所定の時間の間、所定の量だけ、事前にプログラムされた注入ポンプの基礎率を減少させる。少なくとも1つの温度決定デバイスは、サーミスタである。プランジャが注射器バレルに対して移動した距離を決定するための少なくとも1つのデバイスは、光学センサである。
【0008】
本発明の一側面によると、注入ポンプシステムが開示される。注入ポンプシステムは、出口端部と、注射器内を移動可能なプランジャとを有する、注射器と、少なくとも1つの温度決定デバイスと、プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスと、温度変化に基づいて、プランジャの移動を補償するためのポンププロセッサとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。ポンププロセッサは、プランジャに、所定の距離だけ、注射器出口から離れるように移動し、温度変化に基づいて、プランジャの移動を補償するように命令する。ポンププロセッサは、温度変化に基づくプランジャの移動に基づいて、所定の時間の間、所定の量だけ、事前にプログラムされた基礎率を減少させる。少なくとも1つの温度決定デバイスは、注射器に隣接して位置する。少なくとも1つの温度決定デバイスは、サーミスタである。プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスは、光学センサである。
【0010】
本発明の一側面によると、注入ポンプシステムが開示される。注入ポンプシステムは、出口端部と、注射器内を移動可能なプランジャとを有する、注射器と、少なくとも1つの温度決定デバイス、プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスと、少なくとも1つの温度決定デバイスおよびプランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスと通信する、ポンププロセッサとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスは、注射器出口から下流に位置する、流量センサである。プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスは、注射器出口から下流に位置する、閉塞デバイスであって、閉塞デバイスは、流路を閉塞し、閉塞デバイスは、ポンププロセッサによって制御される。プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスは、注射器出口から下流に位置する、少なくとも1つのバイナリ弁であって、少なくとも1つのバイナリ弁は、流路を閉塞し、少なくとも1つのバイナリ弁は、ポンププロセッサによって制御される。プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスは、プランジャと力的な関係に位置する歪み梁である。プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスは、少なくとも1つの電位差計である。プランジャは、温度変化事象の間にフェーズ変化を受ける所定の体積の材料をさらに備える。材料は、ワックスであって、ワックスは、フェーズ変化を受け、所定の距離だけプランジャを前方に移動させ、結果として生じた変化は、温度変化による注射器の体積変化を補償する。
【0012】
本発明の一側面によると、注入ポンプシステムが開示される。注入ポンプシステムは、出口端部と、注射器内を移動可能なプランジャとを有する、注射器と、注射器出口から下流に位置する、閉塞器と、少なくとも1つの温度決定デバイスと、閉塞器および少なくとも1つの温度決定デバイスと通信する、ポンププロセッサとを含み、ポンププロセッサは、少なくとも1つの温度決定デバイスからの温度信号に基づいて、閉塞器を起動させる。
【0013】
いくつかの実施形態は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。少なくとも1つの温度決定デバイス信号が、所定の閾値を超える温度変化を示すと、ポンプコントローラは、閉塞器を起動させる。ポンプコントローラは、ポンプ送達間、閉塞器を起動させる。
【0014】
本発明の一側面によると、注入ポンプによる流体の送達のための方法が開示される。方法は、プランジャが、標的体積を送達するように移動すべき距離を決定するステップと、温度が変化するときに送達される流体の体積を決定するステップと、標的プランジャ位置を決定するステップと、温度変化の実際の移動に基づいて、標的プランジャ位置を調節するステップとを含む。
【0015】
本発明の一側面によると、注入ポンプによる流体の送達のための方法が開示される。方法は、温度変化を決定するステップと、変化率が閾値を超えたことを決定するステップと、基礎率を調節するステップとを含む。
【0016】
本発明の一側面によると、注入ポンプの中における温度補償のためのシステム、方法、および装置と、温度補償を有する注入ポンプが開示される。システムは、少なくとも1つの温度センサであって、少なくとも1つのプロセッサと通信する温度センサを含む。プロセッサは、少なくとも温度センサからの通信に基づいて、標的プランジャ位置を決定し、感知された温度に基づいて標的プランジャ位置を修正してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態は、閉塞器および/またはバイナリ出口弁と、少なくとも1つの光学センサと、少なくとも1つの流量センサのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0018】
本発明の一側面によると、注入ポンプの中における温度補償のためのシステムが開示される。システムは、要求または温度変化に基づいて、圧送される流体の体積の特性評価を含む、種々の温度における注入ポンプの特性評価を含む。また、少なくとも1つの温度センサを含み、温度センサは、注入ポンプ内または外の温度を示すデータを収集し、データをプロセッサに通信する。プロセッサは、データを特性評価と比較し、温度に基づいて、標的プランジャ位置を調節するように決定してもよい。いくつかの実施形態は、閉塞器および/またはバイナリ出口弁を含んでもよい。
【0019】
本発明の一側面によると、注入ポンプを絶縁するための装置が開示される。装置は、注入ポンプを収容するための所定のサイズの筐体を含み、筐体は、少なくとも1つの絶縁層を有する。筐体は、管類を収容するための所定のサイズの開口部を含む。
【0020】
いくつかの実施形態は、ストラップ、ストラップが、調節可能である、ストラップが、バックルを含む、装置が、湿潤され、冷蔵または凍結されると、筐体上に冷却効果を提供する材料から構成される絶縁層を含む、のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0021】
本発明の一側面によると、加熱器を有する注入ポンプは、温度が、加熱デバイスを制御し、所定の温度において、注入ポンプの温度を維持するために十分な時間の間、加熱デバイスを起動させるプロセッサに通信されるように、加熱デバイスと、少なくとも1つの温度センサとを含む。
【0022】
本発明の一側面によると、流体のバイアルのための温度ラベルが開示される。温度ラベルは、視覚的に、バイアルの温度を示す。本発明のこの側面のいくつかの実施形態は、温度ラベルが、非可逆性であることを含んでもよい。
【0023】
本発明のこれらの側面は、排他的であることは意味されず、本発明の他の特徴、側面、および利点は、添付の特許請求の範囲ならびに添付の図面と併せて読まれるとき、当業者に容易に明らかとなる。
【0024】
本発明のこれらおよび他の特徴ならびに利点は、以下の詳細な説明を以下の図面と併せて読むことによって、より理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1−1】図1A〜図1Bは、注入ポンプのある実施形態の正面および背面等角図である。
【図1−2】図1C〜1Eは、図1の注入ポンプアセンブリの側面および正面図である。図1Fは、図1の注入ポンプアセンブリの正面等角図である。
【図3】図3は、遠隔制御アセンブリの一実施形態の例示図である。
【図4】図4は、図1の注入ポンプアセンブリの線図である。
【図10】図10A〜10Eは、いくつかの実施形態による、複数の面ファスナ構成を描写する。
【図11】図11は、ホルダの一実施形態の例示である。
【図12】図12は、ホルダを装着するユーザの一実施形態の例示である。
【図13】図13は、ホルダの背面の一実施形態の例示である。
【図14】図14は、温度計/ラベルを有する、バイアルの一実施形態の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(定義)
本説明および添付の特許請求の範囲において使用される場合、以下の用語は、文脈が別段の要求をしない限り、示される意味を有するものとする。
【0027】
「デバイス」には、注入ポンプおよび/またはコントローラ、すなわち、別の医療デバイスの無線制御のためのデバイスを含むが、これに限定されない、医療デバイスを意味するものとする。いくつかの実施形態において、「デバイス」という言葉は、「ポンプ」、「注入ポンプ」、および/または「コントローラ」、および/または「コンパニオン」、および/または「遠隔コントローラデバイス」、および/または「遠隔コントローラアセンブリ」と交換可能に使用される。
【0028】
「コンパニオン」は、別の医療デバイスの無線制御のためのデバイスを意味するものとする。例示的実施形態において、コンパニオンはまた、グルコースメータ/細片読取機を含んでもよい。
【0029】
デバイスの「入力」は、それによってデバイスのユーザまたは他のオペレータ/介護者がデバイスの機能を制御し得る、任意の機構を含んでもよい。ユーザ入力は、機械的配設(例えば、スイッチ、押しボタン、ジョグホイール(単数または複数))、電気的配設(例えば、スライダ、タッチ画面)、遠隔コントローラとの通信のための無線インターフェース(例えば、RF、赤外線)、音響インターフェース(例えば、音声認識との)、コンピュータネットワークインターフェース(例えば、USBポート)、および他の種類のインターフェースを含んでもよい。
【0030】
以下に記載される「ボーラスボタン」と呼ばれるもの等の入力の文脈における「ボタン」は、所望の機能を実施することができる、任意の種類のユーザ入力であってもよく、押しボタン、スライダ、スイッチ、タッチ画面、またはジョグホイールに限定されない。
【0031】
「アラーム」は、それによってユーザまたは第3者に対する警報が生成され得る、任意の機構を含む。アラームは、可聴アラーム(例えば、スピーカ、ブザー、音声生成器)、視覚アラーム(例えば、LED、LCD画面)、触覚アラーム(例えば、振動要素)、無線信号(例えば、遠隔コントローラもしくは世話人への無線伝送)、または他の機構を含んでもよい。アラームは、重複機構(例えば、2つの異なる音響アラーム)もしくは相補的機構(例えば、音響アラーム、触覚アラーム、および無線アラーム)を含む、複数の機構を同時に、並行して、または順々に使用して生成されてもよい。
【0032】
「流体」は、流線を通って流れることができる薬物、例えば、液体を意味するものとする。
【0033】
「ユーザ」は、薬物治療の一環としてであるかないかに関わらず、流体送達デバイスから流体を受容する人もしくは動物、または流体を別のものに注入するためのデバイスのプログラミングに関与するか、ないしは別の方法でデバイスと相互作用する介護者もしくは第3者を含む。
【0034】
「カニューレ」は、流体をユーザに注入することができる使い捨てデバイスを意味するものとする。本明細書で使用される場合、カニューレは、典型的なカニューレまたは針を指してもよい。
【0035】
「使い捨て」は、固定期間使用され、次いで廃棄され、交換されることが意図される部品、デバイス、部分、または他のものを指す。
【0036】
「再利用可能」は、制限のない使用期間を有することが意図される部分を指す。
【0037】
「音響体積測定」は、米国特許第5,349,852号および第5,641,892号(参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)、ならびに他の技法に説明されるもの等の音響技法を使用する、関連体積の定量的測定を意味するものとする。
【0038】
「温度センサ」は、温度を測定し、温度情報をコントローラおよび/またはポンププロセッサに通信するための任意の温度決定デバイス/機構を含む。本明細書に説明されるデバイスは、ユーザの皮膚温度、AVS温度、周囲温度、内部ポンプ温度、プランジャ温度、駆動系温度、および流体温度等を含むが、これらに限定されない、測定するための1つ以上の温度センサを含んでもよい。
【0039】
ここに説明されるデバイス、方法、およびシステムの実施形態の例示的な用途は、糖尿病と生きる人々へのインスリンの送達のためであるが、他の用途には、前述されるように、任意の流体の送達を含む。流体には、痛みを有する人のための鎮痛剤、癌患者のための化学療法、および代謝性疾患を抱える患者のための酵素類を含む。種々の治療用流体は、小分子、天然生成物、ペプチド、タンパク質類、核酸類、炭水化物類、ナノ粒子懸濁液、および関連する薬剤学的に許容可能な担体分子を含んでもよい。治療的に活性な分子は、デバイス内での安定性を向上させるために修飾されてもよい(例えば、ペプチド類またはタンパク質類のペグ化によって)。本明細書の具体的な実施形態は、薬物送達用途を記載するが、実施形態は、ラボオンチップ用途および毛細血管クロマトグラフィ等の高スループットの分析的測定のための試薬の液体分注を含む、他の用途に使用されてもよい。以下の説明のため、用語「治療用」、「インスリン」、または「流体」は、交換可能に使用されるが、しかしながら、他の実施形態において、前述されるように、任意の流体が使用されてもよい。したがって、本明細書に含まれるデバイスおよび説明は、治療での使用に限定されない。
【0040】
流体送達デバイスのいくつかの実施形態は、糖尿病と生きる人々および/または彼らの介護者による使用のために適合される。したがって、これらの実施形態において、デバイス、方法、およびシステムは、糖尿病と生きる人(ユーザと称される)の膵島細胞の作用を補助する、または補う、インスリンを送達するのに役立つ。インスリン送達に適合される実施形態は、基礎レベルの流体送達ならびにボーラスレベルの送達の両方を提供することによって、膵臓の作用を模倣することを追求する。基礎レベル、ボーラスレベル、およびタイミングは、無線手持ち式ユーザインターフェースを使用することによってユーザもしくは介護者によって設定されてもよく、またはポンプを使用することによって直接設定されてもよい。さらに、基礎レベルおよび/またはボーラスレベルは、グルコースメータの出力に応答して、トリガされるか、または調節されてもよく、例示的実施形態において、コントローラに一体化される。他の実施形態において、コントローラは、さらに、血糖グルコースセンサからデータを受信する、グルコース監視デバイスを含む。いくつかの実施形態において、ボーラスは、デバイス上、すなわち、コントローラ上および/もしくは注入ポンプ上に位置する指定ボタンまたは他の入力手段を使用して、ユーザによってトリガされてもよい。さらに他の実施形態において、ボーラスまたは基礎は、流体送達デバイス/注入ポンプの上、および/またはコントローラの上のいずれかに位置するユーザインターフェースを通じてプログラムされるか、または投与されてもよい。
【0041】
画面に与えられる名前および画面の種類、ならびに種々の特徴に与えられる適切な名前に関して、種々の実施形態を通じて、これらの用語は様々であってもよい。
【0042】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、注入ポンプを制御するために使用されてもよい。本説明のため、ユーザインターフェースおよび注入ポンプの種々の実施形態は、インスリンポンプ、またはインスリンを注入するポンプを参照して説明される場合がある。しかしながら、ユーザインターフェースは、注入ポンプ上および/またはコントローラ上にあってもよいことを理解されたい。さらに、説明が注入ポンプ「画面」に関連する場合、この「画面」はまた、コントローラ上にも現れてもよく、もしくはポンプの代わりに、コントローラ上に現れてもよい。
【0043】
本説明によって熟考される注入ポンプは、インスリンを含むが、これに限定されない治療用流体を含むが、これに限定されない、任意の流体をポンプで送り込み得る、ポンプを含む。したがって、本説明がインスリンに関連して例示的実施形態を記載する場合、これは、単に説明のためだけにすぎず、デバイスは、インスリンに限定されることは意図されない。他の流体もまた、熟考される。いくつかの実施形態において、本明細書に説明される方法、システム、およびデバイスは、当技術分野において周知である、インスリン「ペン」および/または流体送達「ペン」と併用されてもよい。
【0044】
注入ポンプは、任意の注入ポンプ、例えば、図1A−1Fに関連して図示および説明されるポンプデバイス、参照することによって本明細書に組み込まれるものであってもよいが、これらに限定されず、かつ参照することによって本明細書に組み込まれるものをを含むが、これらに限定されない。種々の例示的実施形態において、注入ポンプは、注射器−ポンプであって、すなわち、流体は、プランジャが、注射器の中を前進し、注射器内側の流体をカニューレの中に押動させると、ユーザに圧送または送達される。カニューレが、ユーザに接続される場合(すなわち、カニューレは、ユーザの皮下領域の中にある)、流体は、ユーザに皮下送達される。
【0045】
例示的実施形態において、注入ポンプは、コントローラとの無線RF通信のためのハードウェアを含む。しかしながら、種々の実施形態において、注入ポンプは、任意の注入ポンプであってもよい。図1A〜図1Fおよび図2A〜図2Dを参照すると、いくつかの例示的実施形態において、注入ポンプは、ディスプレイアセンブリ104を含んでもよいが、しかしながら、図2A〜図2Dに示されるもの等の他の例示的実施形態において、注入ポンプは、ディスプレイアセンブリを含んでいなくてもよい。これらの実施形態において、図1A、1D、および1Fに示されるものに類似し得る、あるいはより大きいまたはより小さくてもよい、ディスプレイアセンブリは、コントローラまたはコンパニオンデバイス上に含まれる。コントローラまたはコンパニオンデバイスの実施形態を図3に示す。
【0046】
図1A−1Fを参照すると、封入アセンブリ102の中に格納され得る、注入ポンプアセンブリ100の実施形態が示される。注入ポンプアセンブリ100は、封入アセンブリ102を通して可視であり得る、ディスプレイシステム104を含んでもよい。1つ以上のスイッチアセンブリ/入力デバイス106、108、110は、封入アセンブリ102の種々の部分を中心として配置されてもよい。封入アセンブリ102は、カニューレアセンブリ114が、解除可能に連結され得る注入ポートアセンブリ112を含んでもよい。取り外し可能なカバーアセンブリ116は、電源キャビティ118(図1Dにファントムで示される)へのアクセスを可能にしてもよい。
【0047】
図1A〜図1Fに示される注入ポンプアセンブリを参照すると、注入ポンプアセンブリ100は、注入ポンプアセンブリ100が適切に動作するのに必要とされ得る、1つ以上のプロセスを実行する、ポンププロセッサと称されるような処理論理(図示せず)を含んでもよい。処理論理は、1つ以上のマイクロプロセッサ(図示せず)、1つ以上の入力/出力コントローラ(図示せず)、およびキャッシュメモリデバイス(図示せず)を含んでもよい。処理論理を1つ以上のサブシステムと相互接続するために、1つ以上のデータバスおよび/またはメモリバスが使用されてもよい。いくつかの実施形態において、図4に示されるサブシステムのうちの少なくとも1つがまた、図2A〜図2Dに示される注入ポンプアセンブリ200の実施形態の中にも含まれる。
【0048】
ここで、図1A〜図1Fおよび図4を参照すると、処理論理400と相互接続されるサブシステムの実施例は、メモリシステム402、入力システム404、ディスプレイシステム406、振動システム408、音響システム410、モータアセンブリ416、力センサ412、温度センサ(図示せず)、および変位検出デバイス418(プランジャが、注射器バレル/注射器に対して移動した距離を決定および/または検出するためのデバイスと称され得る)を含んでもよいが、これらに限定されない。注入ポンプアセンブリ100は、電源キャビティ118内から取り出し可能および電源キャビティ118の中に挿入可能に構成され、処理論理400の少なくとも一部分およびサブシステムのうちの1つ以上(例えば、メモリシステム402、入力システム404、ディスプレイシステム406、振動システム408、音響システム410、モータアセンブリ416、力センサ412、および変位検出デバイス418)に電力を提供するように構成される、主電源420(例えば、バッテリ)を含んでもよい。
【0049】
注入ポンプアセンブリ100は、注入可能流体422を含有するように構成される、リザーバアセンブリ430を含んでもよい。いくつかの実施形態において、リザーバアセンブリ430は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、2009年3月3日に発行された、名称がOptical Displacement Sensor for Infusion Devicesの米国特許第7,498,563号に説明されるものと類似するリザーバアセンブリ、および/または2007年12月11日に発行された、名称がLoading Mechanism for Infusion Pumpの米国特許第7,306,578号、2009年10月9日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの国際出願第PCT/US2009/060158、および2010年4月15日に公開され、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願公開第US−2010−0094222号である、2008年10月10日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願第12/249,882号に記載されるようなリザーバアセンブリであってもよく、これらはすべて、参照することによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。他の実施形態において、リザーバアセンブリは、流体が、流体の少なくとも一部分がリザーバアセンブリから流出し得るように作用され得る、任意のアセンブリであってもよく、例えば、リザーバアセンブリは、種々の実施形態において、プランジャを有するバレル、カセット、または少なくとも部分的に可撓性膜で構築される容器を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0050】
プランジャアセンブリ424は、注入可能流体422が、ユーザ454に送達され得るように、リザーバアセンブリ430から、カニューレアセンブリ450(注入ポートアセンブリ424を介して、注入ポンプアセンブリ100に連結され得る)を通して、注入可能流体422を変位するように構成されてもよい。本特定の実施形態において、プランジャアセンブリ424は、処理論理400から受信した信号に応答して、モータアセンブリ416によって回転可能であり得る、送りねじアセンブリ428に係合し得る、部分的ナットアセンブリ426によって変位可能であるように示される。本特定の実施形態において、モータアセンブリ416、プランジャアセンブリ424、部分的ナットアセンブリ426、および送りねじアセンブリ428の組み合わせは、リザーバアセンブリ430の中に含有される注入可能流体422の分注をもたらす、ポンプアセンブリを形成してもよい。部分的ナットアセンブリ426の実施例は、例えば、30度だけ、送りねじアセンブリ426の周囲に巻着するように構成される、ナットアセンブリを含んでもよりが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ポンプアセンブリは、2007年12月11日に発行された、名称がLoading Mechanism for Infusion Pumpの米国特許第7,306,578号、2010年4月15日に公開され、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願公開第US−2010−0094222号である、2008年10月10日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願第12/249,882号、および2009年4月16日に公開され、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願公開第US−2009−0099523号である、2008年10月10日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願第12/249,891号に記載されるものと類似してもよく、これらはすべて、参照することによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
(ユーザインターフェース)
本説明を通じて、画面は、「ポンプ」もしくは「コンパニオン」または「コントローラ」に関して参照される場合がある。しかしながら、種々の実施形態において、別のデバイスの上で、同様の画面または同様の方法が達成されてもよい。例えば、画面または方法が「ポンプ」に関して参照される場合、同様に機能的な画面または方法が、他の実施形態において、「コンパニオン」または「コントローラ」上で使用されてもよい。本説明は、ディスプレイを有するポンプおよびディスプレイを有さないポンプの両方に関する実施形態を含むため、実施形態がディスプレイのない注入ポンプを含む場合、任意の画面が、コンパニオンまたはコントローラ上で可視となるであろうことは明白であるはずである。同様に、方法が、ユーザとポンプとの間の相互作用を要求する場合、ポンプがディスプレイのない注入ポンプである場合、相互作用は、ポンプ上のスイッチアセンブリを介して達成されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、図4に関して図示および説明されるように、ユーザまたは介護者から入力を受信するために、少なくとも1つの要素を含む、処理論理が使用される。ユーザまたは介護者は、ボタン/スイッチアセンブリ、容量スライダを含むが、これに限定されない、スライダアセンブリ(例えば、2008年7月24日に公開され、現在は名称がMedical Device Including a Slider Assemblyの米国特許出願公開第US−2008−0177900号である、2007年12月4日に出願され、名称がMedical Device Including a Slider Assemblyの米国特許出願第11/999,268号(これらはすべて、参照することによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に説明される任意のスライダを含んでもよいが、これに限定されない)、ジョグホイール、および/またはタッチ画面のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、1つ以上の入力デバイスまたはアセンブリを使用する。注入デバイスは、加えて、閉塞検出プロセス438、確認プロセス440、容量測定技術(例えば、音響容量感知)を含むが、これらに限定されない、内部システムから入力を受信する。これらの入力を使用して、注入デバイスは、例えば、ユーザへの注入流体送達、またはユーザへのコメント、警報、アラーム、もしくは警告を含むが、これらに限定されない、出力をもたらす。したがって、入力は、直接ユーザからポンプへ、直接ポンプシステムから処理論理へ、または別のデバイス、例えば、遠隔コントローラデバイス(以下により詳細に説明される)からポンプへのいずれかである。したがって、ユーザまたは介護者の相互作用経験には、ディスプレイ上のテキストおよび/または図形を読むこと/見ることを含むが、これに限定されない、ディスプレイ(注入ポンプデバイス自体もしくは遠隔コントローラデバイスのいずれか上、または両方上)との相互作用、例えば、タッチ画面を通じたディスプレイとの直接相互作用、1つ以上のボタン、スライダ、ジョグホイール、1つ以上のグルコース細片読取機との相互作用、ならびに触覚もしくは音響、1つ以上の振動モータ、および/または音響システムのいずれかを通じた感知のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。したがって、「ユーザインターフェース」という用語は、ユーザもしくは介護者が、注入ポンプと相互作用して、注入ポンプを制御する、すべてのシステムならびに方法を包含するために使用される。
【0053】
ここで、図3を参照すると、注入ポンプシステムのいくつかの実施形態において、注入ポンプは、コントローラまたはコンパニオンとも称される遠隔コントローラアセンブリ300を使用して遠隔制御されてもよい。遠隔制御アセンブリ300は、図1A〜図1Fに示される注入ポンプアセンブリ自体の機能性のすべて、またはその一部分を含んでもよい。したがって、前述される注入ポンプアセンブリのいくつかの例示的実施形態において、注入ポンプアセンブリ(図示せず、他の図の中でも特に図1A〜図1Fを参照)は、遠隔制御アセンブリ300を介して構成されてもよい。これらの特定の実施形態において、注入ポンプアセンブリは、注入ポンプアセンブリと、例えば、遠隔制御アセンブリ300との間の通信(例えば、有線または無線)を可能にし、したがって、遠隔制御アセンブリ300に、注入ポンプアセンブリ100を遠隔制御可能にする、テレメトリ回路(図示せず)を含んでもよい。遠隔制御アセンブリ300(また、テレメトリ回路(図示せず)を含んでもよく、注入ポンプアセンブリと通信可能であってもよい)は、ディスプレイアセンブリ302と、入力制御デバイス(ジョグホイール306、スライダアセンブリ310、またはデバイスへの入力のための別の従来のモード等)、およびスイッチアセンブリ304、308のうちの1つ以上を含み得る、入力アセンブリとを含んでもよい。したがって、遠隔制御アセンブリ300は、図3に示されるように、ジョグホイール306およびスライダアセンブリ310を含むが、いくつかの実施形態は、ジョグホイール306またはスライダアセンブリ310、あるいはデバイスへの入力のための別の従来のモードのうちの1つのみを含んでもよい。ジョグホイール306を有する実施形態において、ジョグホイール306は、ホイール、リング、ノブ等を含んでもよく、これらは、少なくとも一部において、ホイール、リング、ノブ等の動きに基づき、制御信号を提供するために、回転エンコーダまたは他の回転トランスデューサに連結されてもよい。
【0054】
遠隔制御アセンブリ300は、基礎率、ボーラスアラーム、送達制限を予めプログラムする能力を含んでもよく、また、ユーザが履歴を見ることをよびユーザ選好を確立することを可能にしてもよい。遠隔制御アセンブリ300はまた、グルコース細片読取機312を含んでもよい。
【0055】
使用中、遠隔制御アセンブリ300は、遠隔制御アセンブリ300と注入ポンプアセンブリとの間に確立される無線通信チャネルを介して、注入ポンプアセンブリに命令を提供してもよい。したがって、ユーザは、注入ポンプアセンブリをプログラム/構成するために遠隔制御アセンブリ300を使用してもよい。遠隔制御アセンブリ300と注入ポンプアセンブリとの間の通信の一部またはすべては、セキュリティレベルの向上をもたらすために暗号化されてもよい。
【0056】
ユーザインターフェースの例示的実施形態において、ユーザインターフェースは、ユーザ確認およびユーザ入力を要求してもよい。ユーザインターフェースの例示的実施形態は、ユーザが種々の相互作用のポンプに及ぼす影響を確実に把握することに重点が置かれる。ポンプの本説明を通じて、ユーザの作用の結果をユーザに通信する、多くの実施例が提示される。これらの特徴は、ユーザがユーザの作用を確実に理解し、したがって、より優れた安全性をユーザに付与する。そのような実施例の1つは、ユーザインターフェースの例示的実施形態を通したものであって、ユーザは、値が変更された後、画面上の戻るボタンを押下し、ユーザインターフェースは、図6に示されるように、変更キャンセル確認画面を標示する。ユーザが、「はい」を選択する場合、ユーザインターフェースは、任意の保留中の変更を破棄し、確認画面を閉じ、前の画面(すなわち、ユーザが戻るボタンを押下した画面の前の画面)に戻る。「変更を取り消しますか?」確認画面上での作用選択が「いいえ」のとき、ユーザは、実施形態に応じて、確定ボタンまたは他のボタンを押下し、ユーザインターフェースは、確認画面を閉じ、保留中の変更を有する画面に戻る。この特徴は、ユーザは変更が実施されたと思い込んでいるが、実際には、それらは実施されていないという結末を防止する。したがって、この特徴は、その状況を防止し、変更が実施されていないことをユーザが確実に理解するようにする。
【0057】
(温度)
注入ポンプの種々の実施形態において、ユーザは、ベルトに取着される、別の物品または衣服、すなわち、デバイスが身体に装着されるような衣類に取着される、あるいは、いくつかの実施形態において、下着に取着されるポケットの中、もしくは、いくつかの実施形態においては、ユーザの皮膚に取着され、注入ポンプを装着してもよい。ユーザは、概して、可能な限り1日24時間近く、注入ポンプを装着し、ある場合には、例えば、デバイスに影響を及ぼし得るMRIまたは他の治療の間、および/またはシャワー/入浴の間であるが、これらに限定されない短時間の間、デバイスを除去する。したがって、ユーザが注入ポンプを装着する通常の過程の間、注入ポンプは、正の温度変動および/または負の温度変動を含み得る温度変動を含む種々の温度に暴露され得る。これらの温度変動は、ユーザが屋外に出る、冷えた部屋に入る、暖かい部屋に入る、および/または毛布または他の加温材下に入った結果であり得る。
【0058】
前述のように、インスリンを含んでもよいが、これに限定されない、ポンプの中にある間、リザーバの中に含有される流体は、一般的に体積熱膨張係数と称され得る熱膨張係数を有する。したがって、温度変動/差動/変化の間、正または負であるかに関わらず、流体、すなわち、インスリンは、膨張または収縮するであろう。温度変化率を含むが、これに限定されない種々の要因が、流体の膨張または収縮に寄与し得る。したがって、いくつかの実施形態において、膨張または収縮量は温度の関数であり得る。
【0059】
さらに、説明されるデバイスの種々の実施形態において、ポンプの構成要素もまた、熱膨張係数を有する。これらの熱膨張係数は、材料に応じて変動し得る。したがって、種々の構成要素が、異なる材料から構成される場合、熱膨張係数は、変動し得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、温度変化は、流体および/または注入ポンプの1つ以上の構成要素の熱膨張または熱収縮に影響を及ぼし得る。例えば、これに限定されないが、温度上昇は、リザーバ/注射器430(例示にすぎないが、図4を参照)の直径の増加をもたらし得る。これは、流体と比較して、注射器の相対熱膨張が、流体が送達または引張されるかどうかに影響力を与えるためであり得る。したがって、これは、次に、リザーバ430に向かって、カニューレ450の中の任意の流体/インスリンを逆流させ得る。この場合、流体/インスリンの体積は、リザーバの中に逆引張される。したがって、処理論理400による後続送達要求は、本待避された体積のみユーザに送達されることになり得る。したがって、流体/インスリンの体積(待避された体積)は、ユーザによる要求または把握を伴わずに、ユーザに送達されてはいない。別の実施例は、温度低下を含む。いくつかの実施形態において、温度低下は、リザーバ430の直径減少をもたらし、流体/インスリンをカニューレ450に流入させ得る。したがって、意図されないボーラス体積が、このユーザに送達される。この場合、流体/インスリンは、ユーザによる要求または把握を伴わずに、ユーザに送達されている。
【0061】
したがって、第1の実施例において、ユーザは、必要または要求されたものよりも少ない流体/インスリンを受容し、したがって、高血糖を経験し得る。第2の実施例において、ユーザは、必要または要求されたものより多い流体/インスリンを受容し、したがって、低血糖を経験し得る。いずれの実施例においても、ユーザは、要求またはプログラムされた療法と同一ではない流体/インスリンの体積を受容し、その相違を通知されない。
【0062】
これらの実施例において、リザーバは、円筒形と仮定される。以下は、円筒形の体積変化の数学モデルである(一定の線形膨張係数αを仮定する)。これは、説明目的のためのモデルである。付加的な数学モデルは、付加的な仮定、例えば、円筒形以外の形状、または可動プランジャを有する注射器に対応するように、以下のように決定され得る。
【0063】
【数1】

これは、αΔT<<1を仮定して、
【0064】
【数2】

と簡略化され得る。
【0065】
したがって、線形の線形膨張係数
【0066】
【化1】

を有する材料であるポリプロピレンに対して、30Cから10Cまで温度が変化する場合、ポリプロピレンから構成される円筒形の体積変化は、
【0067】
【数3】

となるであろう。
【0068】
30Cから10Cまでの水の具体的な体積変化は、約0.40%である。3cc注射器またはリザーバに適用されるその2つの間の差(約0.12%)は、約3.6μLであろう。しかしながら、さらに、注射器プランジャは、プランジャ材料およびポンプの中における注射器の関係(例えば、ポンプ内の注射器保持の設計)に応じて、熱膨張に応答して移動し得る。
【0069】
したがって、流体の送達に及ぼす温度の影響を最小にすることが所望され得る。したがって、流体および/または注入ポンプの構成要素のうちの1つ以上の熱膨張を制限または最小にする、および/または特性評価することが所望され得る。流体および/または注入ポンプの構成要素のうちの1つ以上の熱膨張に及ぼす温度の影響を最小にするための説明されるシステム、方法、および装置は、以下の例示的実施形態のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、予測可能かつ好ましい熱膨張係数を有する材料の選択は、前述のように、流体の過小および過剰の可能性を最小にし得る。いくつかの実施形態において、注射器材料は、例えば、流体の熱膨張と一致するように選択されてもよい。例えば、約20Cにおける水の線形膨張係数は、およそ
【0071】
【数4】

である。
【0072】
したがって、注射器材料は、この値に近い膨張係数を有するように選択されてもよい。例えば、ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(また、「ABS」とも称される)の混成物は、流体の熱膨張係数に一致するように使用され得る。いくつかの実施形態において、例えば、ポリカーボネートであるが、それに限定されない、他のプラスチックは、測される温度変化による、注射器ポンプによって送達される体積が、最小および/または容認可能であるような正確な膨張係数に近くあり得る。いくつかの実施形態において、選択されるプラスチックまたは材料は、流体の熱膨張の勾配に調整されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、プランジャおよび/またはプランジャロッドの材料は、熱差動式に温度変化を補償するように選択されてもよい。いくつかの実施形態において、注射器、プランジャ、およびプランジャロッドのための材料は、熱差動式に温度変化を補償するように選択されてもよい。また、またはそれに加え、いくつかの実施形態において、駆動系の1つ以上の構成要素または注入ポンプの任意の他の構成要素の材料は、熱差動式に温度変化を補償するように選択されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、任意の1つ以上の注入ポンプ構成要素のための材料は、反対熱係数または熱的補償材料を有し、温度の熱膨張影響を最小にするように選択されてもよい。例えば、注入ポンプ注射器が膨張するより高い温度において、流体の流動は、負となり得る。いくつかの実施形態において、駆動系の少なくとも1つの構成要素は、負の熱定数を有し、したがって、反対熱係数を有してもよい。したがって、温度上昇に応じて、注射器は、体積変化を被らない。
【0075】
いくつかの実施形態において、温度変化事象の間、フェーズ変化を受け得る、材料の使用は、注入ポンプに及ぼす温度差動/変化の影響を最小にし得る。例えば、いくつかの実施形態において、プランジャは、所定の体積のワックスを含んでもよく、したがって、温度が上昇するのに伴って、長さまたは位置は、ワックスのフェーズ変化によって増加し得る。付加的ワックス特徴が、いくつかの実施形態において、流動を防止するために追加されてもよい。いくつかの実施形態において、ワックス特徴は、体積の中に結果として生じた変化が、プランジャの直径の平方根に等しくなるように、(所定の)距離、プランジャを前方に移動させるように追加されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、温度/温度変化/差動に応じて、フェーズ変化を受ける、材料の使用は、温度変化による、注射器の体積の変化を補償するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、温度変化に応じて、フェーズ変化を受ける、材料は、熱差動エネルギーを吸収し得、したがって、例えば、注入ポンプの温度上昇ではなく、温度が上昇している場合、ワックスまたは他のフェーズ変化材料は、ワックス/フェーズ変化材料を溶融し、したがって、エネルギー吸い込みとして作用し、熱を吸収し得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、注射器は、温度変化が、プランジャを前進または引抜し、注射器の体積変化を補償させ得るように、制約されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、注射器は、金属ケースの中に保持されてもよく、使用され得る金属は、鋼鉄、アルミニウム、および/またはINVAR(登録商標)としても知られる、FeNi36を含んでもよいが、これに限定されない、低い熱膨張係数を有する任意の金属を含むが、これらに限定されない。プランジャは、高熱膨張係数を有する材料から成ってもよい。したがって、本実施例において、温度低下は、注射器バレルの直径が減少するのに伴って、注射器プランジャを引抜させ得る。したがって、これらの影響を平衡化するために、総体積変化が、最小にされ得る。
【0077】
(特性評価および制御補償)
いくつかの実施形態において、注入デバイスによって圧送される流体の体積に及ぼす温度変化の影響を特性評価することが、想定されてもよい。本実施形態において、ポンプは、温度変動(すなわち、正および負の両方の両方)を受け得、注入ポンプによる対応する応答が、記録されてもよい。特性評価は、変化の変動率(すなわち、摂氏1度/分、正および負であるかどうか等)、総温度変動(例えば、摂氏10度、5度等)、および/または注射器プランジャの位置を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0078】
注入ポンプは、温度を決定するために、1つ以上のデバイスおよび/または構成要素および/またはシステムを含んでもよい。いくつかの実施形態において、注入ポンプは、温度を決定するために、1つ以上のサーミスタまたは他の温度センサを含んでもよい。しかしながら、他の実施形態において、少なくとも1つの抵抗温度デバイス(RTD)および/または少なくとも1つの非接触赤外線デバイス(非接触IR)のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、直接または間接的に温度を決定するための種々の方法および/またはデバイスおよび/またはシステムが、使用されてもよい。1つ以上のサーミスタおよび/または温度決定デバイスの場所は、変動してもよい。1つ以上のサーミスタおよび/または温度決定デバイスの場所は、駆動ねじ、駆動系上の任意の場所、注射器バレル上(注射器バレル、プランジャ、および/または印刷回路基板上に印刷されるを含むが、これらに限定されない)を含んでもよいが、これらに限定されない。種々の実施形態において、1つ以上のサーミスタおよび/または温度決定デバイス場所は、潜在的に誤った示度値をもたらすであろう、熱源から離れた任意の場所であってもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上のサーミスタは、注射器の内側、注射器の外側、ポンプの内側、および/またはポンプの外側を含むが、これらに限定されない、1つ以上の場所の温度を決定してもよい。種々の制御は、これらの場所のうちの任意の1つ以上における温度モデルに基づいて、決定されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、特性評価は、注射器内および注射器の外側の両方において、温度示度値を採取することによって、行われてもよい。他の実施形態において、特性評価は、ポンプの外側およびポンプの内側から温度示度値を採取することによって、行われてもよい。種々の実施形態において、1つ以上のサーミスタおよび/または温度決定デバイスは、好ましくは、特性評価の間、そのままであるように、ユーザによる使用のために、ポンプ上の同一場所の中に設置される。
【0079】
いくつかの実施形態において、特性評価は、温度の関数として、送達される流体の体積を測定することによって、完了されてもよい。いくつかの実施形態において、これは、熱チャンバおよびリザーバ/注射器に接続された注入セット/カニューレを使用して、流体を精密な尺度で送達することによって、達成されてもよい。しかしながら、他の実施形態において、これは、熱チャンバおよびリザーバ/注射器に接続された注入セット/カニューレを使用して、流体を送達し、その後、リザーバ内側のプランジャの位置を決定し、送達された流体の総体積を決定することによって、完了されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、実際は、ポンプの温度(1つ以上の場所において、および/または1つ以上のサーミスタによって採取される)が測定されてもよく、プランジャの標的位置は、温度の関数として変動し、注射器および/またはプランジャの熱膨張を補償してもよい。熱膨張示度値は、前述のように、特性評価データを参照することによって、決定されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、標的位置は、温度に伴う注射器の体積変化のルックアップテーブルまたは関数近似に基づいて、修正されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、注入ポンプは、基礎またはボーラス送達、および/またはその亜種として、流体を送達する。基礎送達は、プログラムされた率または体積/時間である。注入ポンプは、既定持続時間の間、既定間隔で流体の体積を送達する。注入ポンプはまた、ボーラス体積を送達してもよい。ボーラスは、直ちに、すなわち、要求が行われたときに、送達される、要求された流体の体積である。ボーラスおよび基礎送達方法の一実施形態は、2010年4月15日に公開された、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの、国際公開第WO2010/042814号である、2009年10月9日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの国際出願第PCT/US2009/060158号、および、filed、2010年4月15日に公開された、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願公開第US−2010−0094222号である、2008年10月10日に出願され、名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願第12/249,882号に説明されており、これらはすべて、参照することによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。さらに、いくつかの実施形態において、例えば、参照することによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる、2009年3月3日に発行された、名称がOptical Displacement Sensor for Infusion Devicesの米国特許第7,498,563号に説明される実施形態において、注入ポンプは、流体の体積、例えば、基礎体積またはボーラス体積を送達するために移動しなければならない距離を決定してもよい。したがって、注入ポンプシステムのいくつかの実施形態において、注入ポンプは、光学変位センサを使用して、送達の間に移動されるプランジャの距離を確認してもよい。いくつかの実施形態において、注入ポンプは、送達あたりのモータエンコーダカウントの数を決定し、プランジャの移動を確認する。
【0082】
しかしながら、種々の実施形態において、送達方法は、所望の/標的体積を送達するために、プランジャが移動しなければならない距離(標的プランジャ位置と称され得る)の決定を含む。前述のように、これは、モータエンコーダステップの数を決定することによって、行われてもよく、他の実施形態において、他の方法であってもよい。いずれにしても、注入ポンプは、プランジャ距離移動の決定を行う。
【0083】
特性評価および制御補償方法の一実施例は、以下の通りである。第1のステップは、温度が変化するときに送達される体積を特性評価することであってもよい。この体積は、同様に、温度(これをTと呼ぶ)の関数であるプラスチックおよび液体/流体の熱膨張特性における変動による、注射器の中に含有される流体の量(これをVと呼ぶ)の関数であり得る。体積変化を温度変化に関連付けられた関数β(T)
【0084】
【数5】

は、実験的に求められてもよい。
【0085】
係数β(Τ)は、温度の関数として求められるか(上に示されるように)、または可能性として、温度およびプランジャ位置の両方の関数β(Τ,x)として求められる定数として、近似され得る。
【0086】
次に、標的プランジャ位置が、決定および調節され得る。標的位置xは、以下の式
【0087】
【数6】

に基づいて調節され得る。ここで、Dは、プランジャ直径である。
【0088】
【化2】

を代入すると(プランジャが進行端部に到達し、注射器内の流体のすべてを押し出した場合、x=0とする)、その関係は、
【0089】
【数7】

と簡略化され得る。
【0090】
種々の実施形態において、この補正は、以下を含むが、これらに限定されない異なる方法で行われてもよい。いくつかの実施形態において、補正は、例えば、3分毎に1回の送達であり得るが、これに限定されない基礎送達間隔より多い頻度であり得る間隔に基づいて送達することによって行われてもよいが、他の実施形態において、より多いかまたはより少ない頻度であってもよい。さらに、注射器の位置は、温度変化に基づいて調節され、規則的送達、例えば、基礎および/またはボーラス送達間に送達されるゼロ正味体積を維持してもよい。いくつかの実施形態において、これは、低い基礎率のために使用されてもよく、熱的に駆動された体積が、規則的にスケジューリングされた基礎送達を超え得る。しかしながら、これは、いくつかの実施形態において、注射器方向を反転し、送達を防止することを必要としてもよい。
【0091】
別の実施形態は、流体/インスリンが、送達のためにスケジューリングされるとき、補正を適用するステップを含んでもよい。したがって、標的プランジャ位置は、測定された温度変化および予測された熱的に駆動された体積送達に基づいて、補正されてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、補正は、プランジャが、1つの方向にのみ駆動され得るように、限定されてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、モデル化は、変動し得、仮定は、注射器の長さおよび直径の両方に関して行われてもよい。さらに、仮定は、駆動系、プランジャ、プランジャロッド、注入ポンプ筐体、およびカニューレを含むが、これらに限定されない、注入ポンプの1つ以上の構成要素の熱膨張係数に及ぼす温度の影響に関して行われてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態において、プランジャ標的の調節は、注射器の出口により近くなるように、または注射器の出口から離れるように、標的を調節するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態において、プランジャ前進は、修正されてもよい。他の実施形態において、プランジャは、後方に駆動され、温度を補償してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、注入ポンプに応じて、注射器の出口により近いように、調節を限定することが所望されてもよい。これは、バックラッシュの可能性によるものであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、温度依存基礎率は、温度補償のために、ポンプに事前にプログラムされてもよい。これらの実施例において、ポンププロセッサは、少なくとも1つの温度センサからデータを受信する。温度データが、温度または温度変化率が、調節が行われるべきようなものであることを示す場合、プロセッサは、事前にプログラムされた基礎率を改変するように信号伝達してもよい。いくつかの実施形態において、この改変は、既定の割合、例えば、30%の増加または15%の減少だけの基礎率の追加あるいは減少であってもよい。当然ながら、これらは、実施例にすぎず、これらの実施形態において、既定改変は、説明されたものと異なるように決定されてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態において、注入ポンプは、少なくとも1つの温度センサと、少なくとも1つの光学センサとを含んでもよい。いくつかの実施形態において、光学センサは、プランジャが前進したことを決定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、前進の距離もまた、決定されてもよい。いくつかの実施形態において、注入ポンプハードウェアの形状因子に適合する、小型反射光学センサ(以下「光学センサ」)が使用される。光学センサは、プランジャ変位と重複する、感知範囲を有する。例示的実施形態において、Sharp Corporation(大阪、日本)の米国子会社である、Sharp Electronics Corporationによって製造された、Sharp GP2S60を含むが、これに限定されない、任意の光学センサが使用されてもよい。この光学センサは、単一パッケージの中に、赤外線発光ダイオードおよび赤外線感知検出器を含有する。エミッタからの光は、非集束であって、感知表面から跳ね返り、その一部は、検出器に戻され、反射体までの距離/角度の関数として、変動する、光の強度の感知をもたらす。いくつかの実施形態において、センサは、反射表面が、プランジャであるように設置される。
【0096】
いくつかの実施形態において、光学センサは、注射器/リザーバ内の流体のレベルを決定するために使用されてもよい。この情報は、プランジャロッドが前進したかどうかを決定するために使用されてもよい。温度センサ情報とともに、これは、追加データ/情報を提供し、温度依存変化を決定してもよい。
【0097】
2009年3月3日に発行された、名称がOptical Displacement Sensor for Infusion Devicesの米国特許第7,498,563号、2010年4月15日に公開された、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの国際公開第WO2010/042814号である、2009年10月9日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの国際出願第PCT/US2009/060158号、および2010年4月15日に公開された、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願公開第US−2010−0094222号である、2008年10月10日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願第12/249,882号(これらはすべて、参照することによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に開示および説明されるそれらの実施形態を含む、注入ポンプシステムのいくつかの実施形態において、注入ポンプは、光学変位センサを含んでもよい。このセンサは、プランジャロッドが、前方または後方に前進したかどうか、および前進の距離を決定するために使用されてもよい。この変位情報を使用して、1つ以上の温度センサからの情報とともに、プランジャに及ぼす温度変化の影響が、決定されてもよい。次に、この決定は、温度変化を補償するために使用される、制御の正確性を向上させ得る。これは、感知された前方移動によって送達される流体の量を増加させる、および/または感知された後方移動によって送達される流体の量を増加させることを含んでもよいが、これらに限定されない。いずれの場合も、基礎率および/または量および/またはボーラスの量(例えば、意図された量のある割合だけ)の増加および/または減少は、所定の量だけ、かつ所定の時間の間である。
【0098】
いくつかの実施形態において、注入ポンプシステムは、温度変化に基づいて、基礎率および/またはボーラス量を調節するためのシステムおよび/または方法を含んでもよい。したがって、種々の実施形態において、システムが、上方または下方の閾値温度変化が生じたことを決定する場合、システムは、自動的に、および/またはユーザによる要求および/または確認によって、限定周期、例えば、均一既定限定時間周期、例えば、20分を有するモードに入ってもよく、および/またはいくつかの実施形態において、モードは、温度変化閾値が、もはや適用可能ではなくなるまで、継続してもよい。いくつかの実施形態において、例えば、低下温度勾配が、主要な懸念である場合、注入ポンププロセッサは、「低下勾配」モードによって、事前にプログラムされてもよく、注入ポンプは、意図的に、このモード、すなわち、基礎率の自動割合減少において、過小送達してもよく、いくつかの実施形態において、また、ボーラスが、流体の予測された付加的送達を補償するように設定されてもよい。前述のように、インスリン送達の割合変化の決定は、注入ポンプの特性評価に依存してもよい。
【0099】
その後、いくつかの実施形態において、例えば、上訴湯温度勾配が、主要な懸念である場合、注入ポンププロセッサは、「上昇温度勾配」モードによって、事前にプログラムされてもよく、注入ポンプは、すなわち、基礎率の自動割合増加において、意図的に過剰送達してもよく、いくつかの実施形態において、また、ボーラスが、流体の予測された付加的送達を補償するように設定されてもよい。前述のように、割合変化の決定は、注入ポンプの特性評価に依存してもよい。
【0100】
(閉ループ温度補償)
本説明の目的のために、「前進された」という用語は、注射器またはリザーバ本体内のプランジャの移動を指す。前進は、特定の方向における移動に限定されない。注射器は、流体が注射器から外部に向かって内部において移動する注射器の端部である出口端部を有する。
【0101】
いくつかの実施形態において、システムは、を含んでもよい1つ以上のデバイスおよび/またはセンサを含み、注射器に及ぼす温度の影響/プランジャおよび/またはユーザ/カニューレに向かって、またはユーザ/カニューレから離れる、流体の圧送を決定してもよい。これらのデバイスおよび/またはセンサは、1つ以上の流量センサ、1つ以上の閉塞デバイスおよび/または1つ以上のバイナリ弁、および/または1つ以上の歪み梁またはセンサ、および/または1つ以上の光学センサ、および/または1つ以上の温度センサ、および/または1つ以上の超音波範囲センサ、および/または1つ以上の電位差計、および/または1つ以上のロータエンコーダ、および/または1つ以上の線形エンコーダを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0102】
光学センサに関して、いくつかの実施形態において、注入ポンプは、少なくとも1つの温度センサと、少なくとも1つの光学センサとを含んでもよい。いくつかの実施形態において、光学センサは、プランジャが前進したことを決定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、前進の距離もまた、決定されてもよい。いくつかの実施形態において、注入ポンプハードウェアの形状因子に適合する、小型反射光学センサ(以下、「光学センサ」)が使用される。種々の実施形態において、光学センサは、プランジャ変位と重複する、感知範囲を有する。種々の実施形態において、Sharp GP2S60、Sharp GP2S700、およびSharp GP2A240LC(すべて、Sharp Corporation(大阪、日本)の米国小会社である、Sharp Electronics Corporationによって製造)のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、任意の光学センサが使用されてもよい。この光学センサは、を単一パッケージの中に、赤外線発光ダイオードおよび赤外線感知検出器含有する。エミッタからの光は、非集束であって、感知表面から跳ね返り、その一部が、検出器に戻され、反射体までの距離/角度の関数として変動する、光の強度の感知をもたらす。いくつかの実施形態において、センサは、反射表面が、プランジャであるように設置される。
【0103】
いくつかの実施形態において、光学センサは、注射器/リザーバ内の流体のレベルを決定するために使用されてもよい。この情報は、プランジャロッドが前進したかどうかを決定するために使用されてもよい。温度センサ情報とともに、これは、追加データ/情報を提供し、温度依存変化を決定してもよい。
【0104】
注入ポンプシステムのいくつかの実施形態において、注入ポンプは、光学変位センサを含んでもよい。このセンサは、プランジャロッドが、前方(注射器出口に向かって)または後方(注射器出口から離れるように)前進したかどうか、および前進の距離を決定するために使用されてもよい。この変位情報を使用して、1つ以上の温度センサからの情報とともに、プランジャに及ぼす温度変化の影響が、決定されてもよい。次に、この決定は、温度変化を補償するために使用される、制御の正確性を向上させ得る。これは、感知された前方移動による送達される流体の量の減少(すなわち、送達されるようにスケジューリングされた、すなわち、基礎率、または送達されるように要求された、すなわち、ボーラス量の流体の体積の減少)、および/または感知された後方移動による送達された流体の量の増加を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0105】
いくつかの実施形態において、注入ポンプは、出口弁および/または閉塞器を含んでもよい。したがって、これらの実施形態において、注入ポンプは、少なくとも1つのデバイスを含み、注射器からカニューレおよび/またはカニューレからユーザへの流体の送達を防止する。いくつかの実施形態において、デバイスは、少なくとも1つの温度センサが、信号をプロセッサに送信し、プロセッサが、温度変化が、閾値を満たす、すなわち、温度変化が、温度による送達の変化に影響を及ぼすために十分に大きいと決定すると、起動される。いくつかの実施形態において、これは、閉塞器および/または出口弁を起動し、注射器および/またはカニューレの中にあるいはそこから流体が流動するのを防止してもよい。いくつかの実施形態において、閉塞器および/または出口弁デバイスは、少なくとも1つの温度センサが、信号をプロセッサに送信し、プロセッサが、温度変化が、閾値をもはや満たさない、すなわち、温度変化が、温度による送達の変化に影響を及ぼすためにもはや十分に大きくないと決定すると、解除される。いくつかの実施形態において、これは、閉塞器および/または出口弁を解除し、注射器からおよび/またはカニューレおよび/またはユーザに、流体が流動するのを可能にしてもよい。再び、前述のように、いくつかの実施形態において、プランジャ標的は、1つ以上の温度センサからの情報に応答して、調節されてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態において、閉塞器/出口弁は、温度変化による、注射器/リザーバ内への偶発的流体流入またはそこからの流出を防止するように、注入ポンプが、流体を能動的に送達していないときの間隔の間、閉鎖されてもよい。注入ポンプが、流体を能動的に送達していないときの時間の間、少なくとも1つの温度センサは、温度を示す信号をプロセッサに送信し続けてもよい。この情報は、制御システムによって、流体の「次の送達」、すなわち、次のプランジャ標的を修正するかどうか、どのように修正するかどうかを決定するために使用されてもよい。したがって、「次の送達」が行われるとき、閉塞器/出口弁は、開放し、流体が送達されてもよい。
【0107】
したがって、これらの実施形態において、閉塞器/出口弁は、主に、温度変化によって生じ得る、自発的意図されない流体流動を防止するように作用してもよい。制御システムは、送達される流体の体積が、温度変化を補償するように、温度変化に基づいて、体積送達、すなわち、プランジャ標的を調節してもよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、注入ポンプは、適合構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態において、適合構成要素は、注射器/リザーバ内の体積差を変化させる一方、圧力定数を維持してもよい。したがって、これらの実施形態において、コントローラ補償は、温度変化から蓄積された圧力が存在しないであろうため、閉塞器/出口弁が、開放されるとき、温度変化を補償する必要がなくてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、閾値温度変化が決定されると、閉塞器/出口弁は、閉鎖されてもよく、プランジャロッドは、浮遊されてもよく、すなわち、プランジャロッドは、駆動系と係脱されてもよい。したがって、圧力変化は、プランジャを浮遊させ、平衡を得て、したがって、温度変化に応答して、コントローラ補償の必要なく、調節を行うであろう。
【0110】
いくつかの実施形態において、注入ポンプは、出口流路の中に配置される流量センサを含むが、これに限定されない少なくとも1つの流量センサを含んでもよい。流量センサは、流体の流動を検出してもよい。この情報は、送達命令と相関されてもよく、送達される流体が、要求されたものである、および/または適切な送達であるかどうか、決定が行われてもよい。いくつかの実施形態において、流動が検出され、送達された流体が、要求されたものではない、および/または適切な送達ではないと決定される場合、閉塞器および/または出口弁は、閉鎖されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、流量センサは、内方または外方の流体流動を決定してもよく、これが、予測イベントではない場合、注入ポンプは、閉塞器および/または弁を含むが、これらに限定されない、少なくとも1つの機構を起動し、流体の継続流動を防止してもよい。さらに、流動情報は、送達されたまたは内方に流動した量あるいは流体の体積を決定するために使用されてもよく、この情報は、次のスケジューリングまたは要求された送達(例えば、基礎またはボーラス)の間、プランジャ標的を改変するために使用されてもよく、もしくは、いくつかの実施形態において、送達スケジュールを改変するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、これは、ユーザ相互作用を伴わずに、完了されてもよい。いくつかの実施形態において、アラートが、ユーザに送信されてもよく、ユーザは、提案された過程または作用を容認し、流体の過小または過剰送達を軽減させなければならない。
【0111】
いくつかの実施形態において、注入ポンプは、1つ以上の光学センサを含んでもよい。これらのセンサは、注入ポンプの中に設置され、注射器/リザーバ内の流体のレベルを決定してもよい。1つ以上の光学センサは、プロセッサが、駆動系に信号伝達し、プランジャを前進させる前および後に、流体のレベルを決定してもよい。したがって、体積差は、プランジャが前進される前および後に、決定されてもよい。しかしながら、少なくとも1つの光学センサは、いくつかの実施形態において、駆動系が起動されたかどうかに関わらず、既定間隔でデータを収集してもよい。したがって、少なくとも1つの光学センサは、情報を収集し、プランジャが前進したときならびに前進したかどうか、および/または流体が送達されたあるいは引き込まれたときならびに引き込まれたかどうかを決定してもよい。したがって、少なくとも1つの光学センサは、プロセッサが、要求されていない送達イベントが生じ得たときを決定するためのデータを収集してもよい。プロセッサは、この情報を少なくとも1つの温度センサと相関させ、それによって、注入ポンプが、温度関連影響を被っているかどうかを決定してもよい。いくつかの実施形態において、プロセッサは、ユーザにアラートしてもよい。いくつかの実施形態において、情報は、制御アルゴリズムに、例えば、限定されないが、本明細書で論じられる種々の実施形態を使用して、温度変化の影響を補償させるために使用されてもよい。
【0112】
いくつかの実施形態において、歪み梁を使用して、プランジャが、注射器の出口から離れるように移動するのを識別してもよい。これらの実施形態において、歪み梁は、プランジャロッドが、注射器出口から離れるように移動を開始する場合、歪み梁は、歪みを感知するように、プランジャロッドに対して、位置付けられてもよい。注入ポンプシステムのいくつかの実施形態において、注入ポンプは、閉塞を検出および/または識別するために使用され得る、歪み梁を含む。歪み梁および方法は、いくつかの実施形態において、2010年4月15日に公開された、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願公開第US−2010−0094222である、2008年10月10日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの米国特許出願第12/249,882号、および2010年4月15日に公開された、現在は名称がInfusion Pump Assemblyの国際公開第WO2010/042814号である、2009年10月9日に出願された、名称がInfusion Pump Assemblyの国際出願第PCT/US2009/060158号(これらはすべて、参照することによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に説明されるものに類似してもよい。しかしながら、少なくとも1つの温度センサとともに、歪み梁は、特定の温度変化が、プランジャ移動を生じさせたかどうかを決定してもよい。プランジャ移動が、温度変化によって検出される場合、注入ポンプは、ユーザにアラートしてもよい。いくつかの実施形態において、システムは、歪みの変化を温度変化と相関させてもよい。
【0113】
(温度維持)
前述のように、温度変化からの任意の結果を回避するために、注入ポンプの温度を維持することが所望され得る。いくつかの実施形態において、注入ポンプおよび流体の送達に及ぼす温度変化の前述の影響を最小または防止するために、1つ以上の種々の装置および/またはシステムが、注入ポンプの温度を維持するために採用されてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態において、注入ポンプは、加熱デバイスを含む。加熱デバイスは、プロセッサから命令を受信してもよい。加熱デバイスは、注入ポンプ内または上の任意の場所に位置してもよいが、しかしながら、いくつかの実施形態において、加熱デバイスは、注入ポンプ筐体の中に位置する。いくつかの実施形態において、加熱デバイスは、注入ポンプ内側の電源またはバッテリによって、給電される。しかしながら、いくつの実施形態において、電源は、注入ポンプの外側にあってもよい。
【0115】
加熱源は、所望される任意の加熱源であってもよいが、しかしながら、例示的実施形態において、加熱源は、部品番号KH−KIT−EFH−15001のomega.com(登録商標)から市販のKAPTON(登録商標)(Polyimide Film)Heaterキットであってもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの温度センサは、注入ポンプ内または上に位置する。少なくとも1つの温度センサは、プロセッサに情報を通信してもよい。温度センサデータに基づいて、プロセッサは、サーモスタットとして作用し、および電力を加熱源に給電し、所望の温度に注入ポンプの中の温度を維持してもよい。いくつかの実施形態において、所望の温度は、摂氏15と30度との間であってもよいが、他の実施形態においては、維持温度が異なってもよい。いくつかの実施形態において、温度をより高く維持することが望ましくあり得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、注射器/リザーバは、注入ポンプの中の金属ケースの中に含有されてもよい。金属ケースは、加熱要素と注射器/リザーバとの間の熱の伝導を増加させ得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの加熱要素は、注入ポンプ内側の1つ以上の場所に位置してもよく、これらの場所のうちの1つ以上は、注射器、流体、プランジャ、筐体、プランジャロッド、および/または駆動系を含むが、これらに限定されない、注入ポンプの1つ以上の構成要素の温度を維持するように選択されてもよい。
【0118】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの加熱要素は、さらに、注入ポンプの中の電源および/またはバッテリ寿命を延長させ得る。摂氏約35度に温度を維持することは、バッテリ寿命および/または性能に有益であり得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、放熱板として、ユーザの身体を利用し、ユーザの皮膚に近接して、注入ポンプを装着することが望ましくあり得る。これは、以下のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、種々のデバイスおよび装置を使用して、達成されてもよい。
【0120】
例えば、VELCRO(登録商標)USA Inc.(Manchester、NH)によって供給されるものであるが、これに限定されない、面ファスナシステムを利用して、ユーザからの注入ポンプの容易な取着/除去を可能にしてもよい。故に、接着パッチが、ユーザの皮膚に取着されてもよく、外方に面するフックまたはループ表面を含んでもよい。さらに、注入ポンプ114の表面は、相補的フックまたはループ表面を含んでもよい。採用される特定の種類の面ファスナシステムの分離抵抗に応じて、フックおよびループ接続の強度は、皮膚接続に対する接着強度より強力となることが可能であり得る。故に、種々のフックおよびループ表面パターンは、フックおよびループ接続の強度を調整するために利用されてもよい。
【0121】
また、図10A−10Eを参照すると、そのようなフックおよびループ表面パターンの5つの実施例が示される。例示的目的のために、注入ポンプ筐体の1つの表面が、「ループ」材料の中に被覆されると仮定する。故に、フックおよびループ接続の強度は、接着パッチの表面上に存在する「フック」材料のパターン(すなわち、量)を変動させることによって、調整されてもよい。そのようなパターンの実施例として、「フック」材料の単一外円220(図10Aに示されるように)、「フック」材料の複数の同心円222、224(図10Bに示されるように)、「フック」材料の複数の放射状スポーク226(図10Cに示されるように)、「フック」材料の単一外円230と組み合わせた「フック」材料の複数の放射状スポーク228(図10Dに示されるように)、および「フック」材料の複数の同心円234、236と組み合わせた「フック」材料の複数の放射状スポーク232(図10Eに示されるように)を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0122】
別の実施形態において、ホルダ、パウチ、袋、容器、または他の種類の筐体(概して、「ホルダ」と称される)が、注入ポンプを収容するように定寸されてもよい。いくつかの実施形態において、ホルダは、1つ以上の絶縁層を含むが、これに限定されない、多重層を含むように構築されてもよい。いくつかの実施形態において、層のうちの1つ以上は、湿潤および冷蔵または凍結時、層が、冷却効果を提供する、布地を含んでもよい。この層は、ユーザの注入ポンプが、太陽または温暖環境に暴露され得る、より暖かい天候または状況において所望されてもよい。いくつかの実施形態において、材料のうちの1つ以上の層は、高吸収性材料であってもよい。いくつかの実施形態において、ホルダは、採用されると、ホルダの高吸収性材料の中に吸収され、注入ポンプに蒸発冷却を提供し得る、イソプロピルアルコールの1つ以上の容器を含んでもよい。種々の実施形態において、ホルダは、注入ポンプを冷却するための代替および/または付加的方法、システム、および/またはデバイスを含んでもよい。
【0123】
いくつかの実施形態において、ホルダは、注入ポンプおよび/またはコントローラに情報を伝送し得る、1つ以上の温度測定デバイスおよび/または温度センサを含んでもよい。1つ以上の温度センサは、ホルダの温度を通信し、アルコールの1つ以上の容器を配備する、および/または注入ポンプ/ユーザ/コントローラにアラートする、および/または温度センサに基づいて、加熱源をオンにしてもよい。いくつかの実施形態において、加熱および/または冷却は、閾値温度変化に到達することによって、トリガされてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、ホルダは、注入ポンプのための温度を維持するために、閉ループシステムを提供してもよい。
【0124】
次に、図11を参照すると、ホルダ500のいくつかの実施形態は、外側層502と、内側層504と、内側ポケット506とを含む。ポケット506は、付加的クッションまたは絶縁を含み、注入ポンプを外力および/または温度変化から保護してもよい。ホルダ500は、正面、上面、または側面に沿って、ファスナを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ホルダ500は、正面に、プルダウンフラップ(図示せず)を含み、画面および/または入力アセンブリ(例えば、ボタン、スライダ、および/またはジョグホイールを含むが、これらに限定されない)を露出してもよい。いくつかの実施形態において、フラップは、面ファスナシステムを使用して、固定閉鎖されてもよい。他の実施形態において、フラップは、スナップ、ボタン、磁気閉鎖、およびジッパを含むが、これらに限定されない、任意の他のファスナシステムを使用して、固定されてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態において、ホルダ500は、ユーザに取着されるように設計されたストラップ508に取着されてもよい(例えば、図12参照)。しかしながら、種々の実施形態において、ストラップ508は、弾性および/または調節可能であってもよく、少なくとも1つの閉鎖デバイスを含んでもよい。ユーザ510の中央部を中心として装着されるように、図12に示されるが、ホルダ500は、ユーザが所望する任意の場所に装着されてもよい。
【0126】
ここで、図13を参照すると、ホルダ500の背面の実施形態が示されている。いくつかの実施形態において、ホルダは、ベルト、ハンドル、一式の衣服、またはその他にわたって、固定かつ可撤性に嵌合するように構成される、「ベルトクリップ」または別の種類のクリップと称され得る、クリップ512を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ホルダ500は、さらに、管類516が、それを通して、嵌合するための開口部514を含んでもよい。いくつかの実施形態において、注入ポンプ(図示せず)は、ホルダ500の内側に含有され、ホルダは、最小管類516が、外部温度に暴露されるように、ユーザの挿入部位(図示せず)に近接して装着されてもよい。したがって、管類のための開口部514を含む、ホルダ500の実施形態は、管類516および/または管類の中の流体の温度を維持するために有益であり得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、プラスチック材料、例えば、Press n’ Seal、または類似挙動の別の材料を使用して、ユーザの身体に対して、注入ポンプを取着および維持してもよい。他の実施形態において、例えば、ユーザの脚、中央部、または腕に対して嵌合される、カフおよびバンドは、注入ポンプのためのパウチを含んでもよい。他の実施形態において、注入ポンプは、内側ポケット、ブラポケット等を通して、皮膚に対して、適所に維持されてもよい。
【0128】
ユーザの体温および/または加熱要素の両方を利用して、注入ポンプの温度を維持するための種々の実施形態が、本明細書に説明される。しかしながら、付加的デバイスおよび装置も、発明の範囲内である。さらに、注入ポンプの温度を維持するための種々の方法、システム、および装置は、少なくとも1つの温度センサを含んでもよい。
【0129】
(インスリン温度)
本明細書に説明されるのは、注入ポンプの温度を維持するための種々の方法、システム、デバイス、および/または装置である。これらの実施形態のうちの少なくともいくつかに内在するものは、注入可能流体/インスリン温度の維持である。インスリンの製造業者が、インスリンの温度が高温および低温を超えないことを推奨していることは周知である。さらに、バイアルが使用されると、室温/周囲温度(例えば、華氏59から86度)において、即効性を維持することが有益となり得(例えば、HUMALOG(登録商標)、NOVOLOG(登録商標))、すなわち、製造業者は、バイアルが使用されるまで、冷蔵領域、例えば、華氏36から46度に、インスリンを保管することを推奨している。その時点から、バイアルが室温に保管されることが推奨される。
【0130】
インスリンは、非推奨温度に到達すると、低い有効性または無効となり得るため、ユーザが、運搬、冷蔵庫、または使用の間を問わず、インスリンが適切に保管されていたかどうかを把握することは、有益となり得る。
【0131】
図14を参照すると、一実施形態において、貼付式温度計520は、流体のバイアル522上に設置されてもよく、いくつかの実施形態においては、インスリンのバイアル上に設置されてもよい。温度計は、バイアルの現在の温度をユーザに知らせ得る。いくつかの実施形態において、温度は、赤色および青色の種々の陰影として示され、高いおよび低い範囲に向かう種々の温度を示してもよい。いくつかの実施形態において、温度が、最大または最小温度(所定のものであり、および、いくつかの実施形態においては、それぞれ華氏35および87度であってもよい)に到達すると、温度計は、非可逆的となり、したがって、インスリンが、最大または最小温度に到達したことをユーザに瞬時に示す。
【0132】
部品番号TL−3のavailable from omega.com(登録商標)から市販のNon−Reversible Temperature Labels、3 Temperature Ranges、または別の類似温度ラベル等の非可逆的温度ラベルを含む、任意の貼付式温度計が、使用されてもよい。前述のように、いくつかの実施形態において、可逆的ラベルまたは可逆的および非可逆的構成要素の両方を有するラベルが使用されてもよい。
【0133】
本発明の原理が本明細書に説明されてきたが、この説明は、本発明の範囲に関する限定としてではなく、一例としてのみ行われていることが当業者によって理解される。他の実施形態も、本明細書に図示および説明される例示的実施形態に加え、本発明の範囲内で想定される。当業者による修正および代用も、本発明の範囲内であると見なされる。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入ポンプシステムであって、該注入ポンプシステムは、
注射器バレル内を移動可能なプランジャを有する注射器であって、該注射器は、出口端部を有する、注射器と、
該注射器に隣接する少なくとも1つの温度決定デバイスと、
該プランジャが該注射器バレルに対して移動した距離を決定するための少なくとも1つのデバイスと、
該少なくとも1つの温度決定デバイスおよび少なくとも1つの光学センサと通信するポンププロセッサと
を備え、コントローラが温度の変化および対応するプランジャ移動を決定すると、該コントローラは、所定の時間の間、所定の量だけ、該注入ポンプの事前にプログラムされた基礎率を増加または減少させる、システム。
【請求項2】
前記ポンププロセッサが、温度の上昇変化および前記注射器出口から離れる対応するプランジャ移動を決定すると、該ポンププロセッサは、所定の時間の間、所定の量だけ、前記注入ポンプの前記事前にプログラムされた基礎率を増加させることをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ポンププロセッサが、温度の下降変化および前記注射器出口に向かう対応するプランジャ移動を決定すると、該ポンププロセッサは、所定の時間の間、所定の量だけ、前記注入ポンプの前記事前にプログラムされたの基礎率を減少させることをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの温度決定デバイスは、サーミスタであることをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記前記プランジャが前記注射器バレルに対して移動した距離を決定するための少なくとも1つのデバイスは、光学センサであることをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
注入ポンプシステムであって、該注入ポンプシステムは、
注射器であって、出口端部および該注射器内を移動可能なプランジャを有する注射器と、
少なくとも1つの温度決定デバイスと、
該プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスと、
温度変化に基づく該プランジャの該移動を補償するためのポンププロセッサと
を含む、システム。
【請求項7】
前記ポンププロセッサは、前記プランジャに、前記注射器出口から所定の距離だけ離れるように移動するように命令することにより、温度変化に基づく該プランジャの移動を補償する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ポンププロセッサは、温度変化に基づく前記プランジャの移動に基づいて、所定の時間の間、所定の量だけ、事前にプログラムされた基礎率を減少させる、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの温度決定デバイスは、前記注射器に隣接して位置する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの温度決定デバイスは、サーミスタである、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記プランジャの移動に及ぼす前記温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスは、光学センサである、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
注入ポンプシステムであって、該注入ポンプシステムは、
注射器であって、出口端部および該注射器内を移動可能なプランジャを有する注射器と、
少なくとも1つの温度決定デバイスと、
該プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスと、
該少なくとも1つの温度決定デバイスおよび該プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスと通信するポンププロセッサと
を含む、システム。
【請求項13】
前記プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を検出するための少なくとも1つのデバイスは、前記注射器出口から下流に位置する流量センサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を検出するための少なくとも1つのデバイスは、注射器出口から下流に位置する閉塞デバイスであり、該閉塞デバイスは、流路を閉塞し、該閉塞デバイスは、前記ポンププロセッサによって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を検出するための前記少なくとも1つのデバイスは、前記注射器出口から下流に位置する少なくとも1つのバイナリ弁であり、該少なくとも1つのバイナリ弁は、流路を閉塞し、該少なくとも1つのバイナリ弁は、前記ポンププロセッサによって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための前記少なくとも1つのデバイスは、前記プランジャと力的な関係に位置する歪み梁である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記プランジャの移動に及ぼす温度変化の影響を決定するための少なくとも1つのデバイスは、少なくとも1つの電位差計である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記プランジャは、温度変化事象の間にフェーズ変化を受ける所定の体積の材料をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記材料は、ワックスであり、該ワックスは、フェーズ変化を受け、所定の距離だけ前記プランジャを前方に移動させ、それにより、結果として生じた変化は、温度変化に起因する前記注射器の体積変化を補償する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
注入ポンプシステムであって、該注入ポンプシステムは、
注射器であって、出口端部および該注射器内を移動可能なプランジャを有する注射器と、
注射器出口から下流に位置する閉塞器と、
少なくとも1つの温度決定デバイスと、
該閉塞器および該少なくとも1つの温度決定デバイスと通信するポンププロセッサであって、該ポンププロセッサは、該少なくとも1つの温度決定デバイスからの温度信号に基づいて該閉塞器を起動させる、ポンププロセッサと
を含む、システム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの温度決定デバイスの信号が、所定の閾値を超える温度変化を示すと、ポンプコントローラは、前記閉塞器を起動させる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
ポンプコントローラは、ポンプ送達の間において前記閉塞器を起動させる、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
注入ポンプによる流体の送達のための方法であって、該方法は、
プランジャが標的体積を送達するために移動すべき距離を決定することと、
温度が変化するときに送達される流体の体積を決定することと、
標的プランジャ位置を決定することと、
温度変化についての実際の移動に基づいて、該標的プランジャ位置を調節することと
を含む、方法。
【請求項24】
注入ポンプによる流体の送達のための方法であって、該方法は、
温度変化を決定することと、
変化率が閾値を超えることを決定することと、
基礎率を調節することと
を含む、方法。
【請求項25】
注入ポンプの温度補償ためのシステムであって、該システムは、
少なくとも1つの温度センサと、
少なくとも1つのプロセッサであって、該温度センサと通信するプロセッサと
を含み、該プロセッサは、標的プランジャ位置を決定し、および該温度センサからの通信に少なくとも基づいて、感知された温度に基づいて該標的プランジャ位置を修正する、システム。

【図3】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−517841(P2013−517841A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550150(P2012−550150)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022051
【国際公開番号】WO2011/091246
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(594010009)デカ・プロダクツ・リミテッド・パートナーシップ (62)
【Fターム(参考)】