説明

洗剤の製造方法

通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC20−炭化水素を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションの少なくとも一部を水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程、該洗剤炭化水素の少なくとも一部を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤の製造方法に関する。本発明は更に、前記方法で得られる水素化炭化水素を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤の製造方法に関する。更に本発明は、フィッシャー・トロプシュ炭化水素質反応生成物から洗剤又は洗剤炭化水素の製造と燃料の製造とを組合せた方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流、特に通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を多量生成するフィッシャー・トロプシュ生成物流から洗剤を製造する方法に関する。更に詳しくは、この方法は、フィッシャー・トロプシュ法で得られる炭素原子数9〜18、好ましくは10〜17、更に好ましくは10〜13の線状又はほぼ線状のアルカンから誘導された洗剤の製造方法に関する。更に本発明は、炭化水素質フィッシャー・トロプシュ生成物流からの洗剤又は洗剤炭化水素及び燃料の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
フィッシャー・トロプシュ法で製造された線状オレフィンから洗剤、特に生分解性洗剤を製造することは、文献に記載されている。例えばACS Symp.Series No.238,18−33(191 ACS Nat.Meeting Div.Pet.Chem.Symp.New York,13−18,1986年4月)には、低温及び高温フィッシャー・トロプシュ法のC〜C15留分は、ベンゼンをアルキル化してアルキルベンゼンを作り、次いでスルホン化してアルキルベンゼンをアルキルベンゼンスルホネートに転化することが記載されている。鉄系触媒を用いた、これらフィッシャー・トロプシュ法の直接生成物は、むしろ多量のオレフィン及び酸素化物(通常、アルコール)を含有する。例えば高温法では、オレフィンを約70%(60%は、直鎖生成物)含む生成物が得られ、低温法では、オレフィンを約20%(93%は、直鎖)を含む生成物が得られる。またUS 3,674,885には、フィッシャー・トロプシュ法で合成したパラフィン−オレフィン混合物をベンゼンのアルキル化に使用することが記載されている。アルキル化混合物からパラフィンを分離して、塩素化ユニットに再循環し、次いでユニットのパラフィン−クロロパラフィン流出流混合物は、新しいフィッシャー・トロプシュオレフィン−パラフィン混合物と組合わせ、この組合わせ原料は、ベンゼンのアルキル化に使用している。
【0003】
しかし、従来法では、得られる洗剤炭化水素の分離及び使用法は、最適ではない。更に、不飽和化合物が存在すると、保存及び輸送が困難となる。塩素化法を使用するのは望ましくない。
【特許文献1】US 3,674,885
【特許文献2】AU 698392
【特許文献3】WO−A−9934917
【非特許文献1】ACS Symp.Series No.238,18−33(191 ACS Nat.Meeting Div.Pet.Chem.Symp.New York,13−18,1986年4月)
【非特許文献2】“Detergent Manufacture Including Zeolite Builders and Other New Materials”,Sittig編,Noyes Data Corp.,New Jersey,1979
【非特許文献3】International Zeolite AssociationのStructure Commission出版(1978年以降の近年版)、Y.M.Meier及びD.H.OlsonによるATLAS OF ZEOLITE STRUCTURE TYPES
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、フィッシャー・トロプシュ生成物から特定のフラクションを単離した後、水素化及び蒸留を行って、所望の洗剤炭化水素(即ち、洗剤の製造に使用される炭化水素で、多くの場合、C10〜C13及び/又はC14〜C17線状パラフィン)とし、次いで、通常、モノオレフィンを5〜20%含有する混合物を生成する公知の方法を用いて、(接触)脱水素化によりモノオレフィンを含む洗剤炭化水素流とし、更にモノオレフィンを洗剤に転化することを提案する。この提案方法は、水素化生成物の蒸留により、オレフィン及び酸素化物(主としてアルコール)を含むフィッシャー・トロプシュ粗生成物よりも均一な炭素分布パターンとなるので、非常に狭い製造範囲が得られると言う利点がある。しかも、所望数の炭素原子を有する分子のいずれも最後には低沸点又は高沸点のフラクションにならない場合に、最適収率が得られる。これは重要なことで、フィッシャー・トロプシュ法では、生成物の炭素鎖長を最大化する傾向があるため、比較的低沸点の化合物の量は、ますます少なくなるからである。したがって、比較的低沸点の生成物を最適に使用することが望ましい。更に、このような水素化生成物は、未処理の生成物よりも安定で腐蝕性も低いので、輸送及び保存が容易となる。更にまた、フィッシャー・トロプシュ粗生成物の軽質成分だけ使用すれば、多くの場合、重質フィッシャー・トロプシュ生成物を水素かする必要がなくなるので、フィッシャー・トロプシュフラクションを全部水素化する必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC20−炭化水素を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションの少なくとも一部を水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程、該洗剤炭化水素の少なくとも一部を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤の製造方法に関する。
【0006】
第二の実施態様では、本発明は、通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC20−炭化水素を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションの少なくとも一部を水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、及びこうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程により得られた水素化生成物を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得た後、該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る洗剤の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
前記方法では、効率の点から、フィッシャー・トロプシュ軽質フラクションは、C20−生成物を80重量%以上(全フラクションに対し)含有する。この軽質フラクションは、C18−炭化水素を好ましくは90重量%、更に好ましくは95重量%、特にC16−炭化水素を80重量%以上、好ましくは90重量%、更に好ましくは95重量%、更に特にC14−炭化水素を80重量%以上、好ましくは90重量%、更に好ましくは95重量%含有する。軽質フラクションは、大部分、飽和パラフィンを、オレフィン及び酸素化物と一緒に含有する。酸素化物は、主としてアルコールである。パラフィン、オレフィン及びアルコールの炭素骨格は同じで、炭素分岐鎖を通常、2〜20重量%、更に通常、4〜14重量%含有する。分岐鎖構造の量は、実際の処理条件(特に圧力、温度、H/CO比、触媒、触媒活性化剤)に依存する。全分子に対し、通常、15%以下、更に通常、10%以下の分子に存在するメチル基は、分岐鎖の主形態である。
【0008】
フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質生成物流は、軽質フラクション及び重質フラクションを分離する前に、フィッシャー・トロプシュ法で生成したC〜C炭化水素を大部分、好適には80重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する軽質流、特にフィッシャー・トロプシュ法で生成したC〜C炭化水素を大部分、好適には80重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する軽質生成物流と、任意に未転化の合成ガス成分、二酸化炭素及びその他の不活性ガスと、軽質フラクション及び重質フラクションに分離される重質流とに分離するのが非常に好適である。フィッシャー・トロプシュ法の水もなお存在すれば、除去する。他の一実施態様では、フィッシャー・トロプシュ生成物流は、まず軽質フラクションと重質フラクションとに分離し、次いで前記軽質流を除去する。
【0009】
更に好ましい実施態様では、効率化のため、フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質生成物流又は軽質流から軽質生成物も除去する。この軽質生成物流は、C−生成物、好ましくはC−生成物、更に好ましくはC−生成物を主として、特に80重量%以上含有し、特にこの軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有し、更に特にこの軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有し、なお更に特にこの軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する。
【0010】
洗剤炭化水素の最適かつ効率的な使用が得られる好ましい実施態様では、水素化すべき軽質フラクションは、主としてC〜C18炭化水素、好ましくはC〜C18炭化水素を80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有し、特に該軽質フラクションは、C10〜C13炭化水素を主として、C10〜C13炭化水素を好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有し、或いは該軽質フラクションは、C14〜C17炭化水素を主として、C14〜C17炭化水素を好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有する。前記実施態様において、水素化炭化水素の蒸留工程は、必ずしも必要がなく、したがって、任意の特徴である。沸点範囲は、好適には160〜330℃、好ましくは170〜320℃である。特に好ましい沸点範囲は、170〜240℃及び250〜310℃である。
【0011】
フィッシャー・トロプシュ法は、低温法が好適である。フィッシャー・トロプシュ法では、水素と一酸化炭素との混合物が接触的に炭化水素及び水に転化される。フィッシャー・トロプシュ触媒は、当該技術分野で公知である。フィッシャー・トロプシュ法に使用される触媒は、殆どの場合、触媒活性成分として、元素の周期表第VIII族金属を含有する。触媒活性金属としては、特にルテニウム、鉄、コバルト及びニッケルが挙げられる。フィッシャー・トロプシュ重質炭化水素を製造できる点から、コバルトが好ましい接触活性金属である。好ましい炭化水素質原料は、天然ガス及び随伴ガスである。これらの供給原料からは、H/CO比が約2の合成ガスが得られ、またコバルトのような触媒のユーザー比も約2となるので、コバルトは、非常に良好なフィッシャー・トロプシュ触媒である。
【0012】
触媒活性金属は、多孔質担体上に担持することが好ましい。多孔質担体は、当該技術分野で公知の好適な耐火性金属酸化物又はシリケート或いはそれらの組合わせのいずれからも選択できる。特定の好ましい多孔質担体の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、ガリア及びそれらの混合物、特にシリカ、アルミナ及びチタニアが挙げられる。
担体上の触媒活性金属の量は、担体材料100重量部当り好ましくは3〜300重量部、更に好ましくは10〜80重量部、特に20〜60重量部の範囲である。
【0013】
所望ならば、触媒は、促進剤として1つ以上の金属又は金属酸化物も含有してよい。好適な金属酸化物促進剤は、元素の周期表第IIA、IIIB、IVB、VB及びVIB族、或いはアクチニド及びタンタニドから選択できる。特に、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、トリウム、ウラン、バナジウム、クロム及びマンガン、の酸化物が、極めて好適な促進剤である。本発明に使用されるワックスの製造用触媒の特に好ましい金属酸化物促進剤は、マンガン及びジルコニウム酸化物である。好適な金属促進剤は、周期表第VIIB又はVIII族から選択してもよい。レニウム及び第VIII族貴金属は、特に好適で、白金及びパラジウムが特に好ましい。触媒に存在する促進剤の量は、好適には、担体100重量部当り0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜40重量部、更に好ましくは1〜20重量部の範囲である。最も好ましい促進剤は、バナジウム、マンガン、レニウム、ジルコニウム及び白金から選択される。
【0014】
触媒活性金属及び存在すれば促進剤は、含浸、混練及び押出のような、いずれの好適な処理によっても担体材料上に沈着させてよい。金属及び適切ならば促進剤を担体材料上に沈着後、この荷重担体は、通常、仮焼する。この仮焼処理の効果は、結晶水を除去し、揮発性分解性生成物を分解し、また有機及び無機化合物を酸化物に転化することである。仮焼後、得られた触媒は、水素又は水素含有ガスと、通常、約200〜350℃の温度で接触させることにより、活性化してよい。フィッシャー・トロプシュ触媒の他の製造法は、混練/磨砕(mulling)工程、及び引き続き、多くの場合、押出、乾燥/仮焼及び活性化工程を含む。
【0015】
接触転化法は、当該技術分野で公知の従来の合成条件下で行ってよい。接触転化は、通常、180〜270℃、好ましくは200〜250℃の範囲の温度で行ってよい。接触転化法での全圧は、通常、10〜100バール絶対圧、更に好ましくは20〜65バール絶対圧の範囲である。接触転化法では、特にC+炭化水素が75重量%より多く、好ましくは85重量%より多く形成される。触媒及び転化条件によっては、重質ワックス(C20+)の量は、60重量%以下、時には70重量%以下、時には更に85重量%以下であってよい。好ましくはコバルト触媒を使用し、H/CO比が低く(特に1.7又は更にはそれ以下)、温度が低く(190〜240℃)、かつ任意に高圧力と組合せることが好ましい。コークスの生成を回避するため、H/CO比は、少なくとも0.3であることが好ましい。炭素原子数が少なくとも20の生成物を得るため、ASF−α値(Anderson−Schulz−Flory連鎖成長ファクター)が少なくとも0.925、好ましくは少なくとも0.935、更に好ましくは少なくとも0.945、なお更に好ましくは少なくとも0.955となるような条件下でフィッシャー・トロプシュ反応を行うのが特に好ましい。フィッシャー・トロプシュ炭化水素流は、C30+を少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、更に好ましくは少なくとも55重量%含み、またC60+/C30+の重量比は、少なくとも0.35、好ましくは少なくとも0.45、更に好ましくは少なくとも0.55であることが好ましい。
【0016】
この目的に最も好適な触媒組成物は、コバルト含有フィッシャー・トロプシュ触媒である。この種の触媒は、文献(例えばAU 698392及びWO−A−9934917参照)に記載されている。
フィッシャー・トロプシュ法は、スラリーFT法又は固定床FT法、特に多管固定床法であってよい。
【0017】
フィッシャー・トロプシュ生成物流の軽質フラクション及び重質フラクションへの分離は、他の分離法と同様、蒸留、好ましくは周囲圧での蒸留により行う。市販の装置を使用してよい。主として、STPでガス状の化合物を含む軽質流の分離は、気/液分離工程で行ってよい。
【0018】
本発明方法の水素化工程では、軽質フラクションは、水素化触媒の存在下で水素と接触させる。この段階で使用される好適な触媒は、当該技術分野で公知である。この触媒は、通常、触媒活性成分として、元素の周期表第IIB族及び第VIII族から選ばれた1種以上の金属、特に、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、白金及びパラジウムから選ばれた1種以上の金属を含有する。好ましくは触媒は、触媒活性成分として、ニッケル、白金及びパラジウムから選ばれた1種以上の金属を含有する。
【0019】
特に好適な触媒は、触媒活性成分として、ニッケルを含有する。
水素化工程で使用される触媒は、通常、担体として、耐火性金属酸化物又はシリケートを含有する。好適な担体材料としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア及びそれらの混合物が挙げられる。本発明方法で使用される触媒に含まれる好ましい担体材料は、シリカ、アルミナ及びシリカ−アルミナである。
【0020】
触媒は、触媒活性成分を、担体材料100重量部当り0.05〜80重量部、好ましくは0.1〜70重量部の量で含有する。触媒中に存在する触媒活性金属の量は、関係する特定の金属に従って変化する。第一の水素化転化段階で使用される特に好適な第一の触媒は、ニッケルを、担体材料100重量部当り30〜70重量部の範囲の量で含有する。第二の特に好適な触媒は、白金を、担体材料100重量部当り0.05〜2.0重量部の範囲の量で含有する。
【0021】
本発明の水素化工程で使用される好適な触媒は、市販されているか、或いは当該技術分野で周知の方法、例えば前述の炭化水素合成触媒の製造法で製造できる。
【0022】
水素化工程では、炭化水素生成物は、高温高圧下で水素と接触させる。操作温度は、通常、100〜300℃の範囲、好ましくは150〜275℃、特に175〜250℃の範囲である。操作圧力は、通常、5〜150バール、好ましくは10〜50バールの範囲である。水素は、水素化転化段階に、ガスの1時間当り空間速度100〜10000Nl/l/hr、更に好ましくは250〜5000Nl/l/hrで供給してよい。処理される炭化水素生成物は、水素化転化段階に、通常、重量の1時間当り空間速度0.1〜5kg/l/hrの範囲、更に好ましくは0.25〜2.5kg/l/hrで供給する。水素と炭化水素生成物との比は、100〜5000Nl/kgの範囲であってよく、好ましくは250〜3000Nl/kgである。
【0023】
水素化工程は、実質的に原料の異性化又は水素化分解が起こらないような条件下で操作する。実質的に水素化異性化又は水素化分解が起こることなく、所望程度の水素化を達成するのに必要な正確な操作条件は、水素化転化段階に供給される炭化水素生成物の組成及び使用される特定の触媒に従って変化する。第一水素化転化段階で普及する条件の厳密性、したがって、水素化分解及び異性化が起こる程度の目安としては、原料炭化水素の転化の程度を測定すればよい。これに関連して、転化率%は、220℃よりも高い沸点を有する原料フラクションが、水素化転化中、220℃よりも低い沸点を有するフラクションに転化した重量%として定義する。第一水素化転化段階での転化率は、20%未満、好ましくは10%未満、更に好ましくは5%未満である。水素化異性化及び/又は水素化分解が多くなり過ぎた場合には、温度低下がこの問題を解決する。
【0024】
水素化工程後、得られた生成物は、所望の洗剤炭化水素が得られるような方法で蒸留する。市販の装置が使用できる。蒸留は、大気圧で行ってよいが、減圧も使用してよい。
次いで、所望の洗剤炭化水素は、脱水素化する。脱水素化は、当該技術分野で周知の方法を用いて行ってよい。例えば任意にU0PのDEFINE法で補足した(原料中のジエンをモノオレフィンに転化するため)UOPのPACOL法。
【0025】
一般に本発明方法において、洗剤炭化水素の脱水素化は、周知の脱水素化触媒系、又は“Detergent Manufacture Including Zeolite Builders and Other New Materials”,Sittig編,Noyes Data Corp.,New Jersey,1979に記載の触媒及びその他の脱水素化触媒系、例えばUOPCorp.から得られる市販品を含む“従来の脱水素化触媒”
のいずれを用いても実施できる。脱水素化は、水素ガスの存在下で実施でき、また普通は、貴金属が交互に水素なしで存在し、ゼオライト/空気系のような貴金属を含まない脱水素化系が、貴金属なしで使用できる。
【0026】
周知のように、脱水素化は、完全又は部分的でよく、更に通常は、部分的でよい。通常、オレフィンが5〜50重量%、好適には5〜20重量%形成される。部分的脱水素化の場合、オレフィンと未反応パラフィンとの混合物が生成する。このような混合物は、例えばベンゼンのアルキル化工程に好適な原料である。アルキル化工程の終了後、未転化パラフィンは、脱水素処理の出発点に再循環してよい。
【0027】
脱水素化処理には、触媒活性金属として、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、白金又はパラジウム、好ましくはニッケル及び/又はモリブデン、コバルト及び/又はタングステン、白金及びパラジウム、更に好ましくは白金、の1種以上を含む触媒を用いるのが好適である。
脱水素化工程は、好適には300〜600℃、好ましくは400〜500℃の温度、1〜20バール、好ましくは1〜4バールの圧力で行われる。
【0028】
脱水素化後、洗剤炭化水素は、当該技術分野で周知の方法に従って、洗剤に転化される。好適な反応は、以下の反応から選ばれる。
・ベンゼン又はトルエンによりアルキル化した後、任意にスルホン化及び中和する工程、
・フェノールでアルキル化した後、アルコキシル化、スルホン化及び中和、硫酸化及び中和、又はアルコキシル化と酸化との組合わせの少なくとも1つを行う工程、
・ヒドロホルミル化した後、任意にアルコキシル化、グリコシル化、硫酸化、燐酸化、又はそれらの組合わせの少なくとも1つを行う工程、
・スルホン化する工程、
・エポキシ化する工程、
・臭酸化した後、アミノ化及び酸化を行って酸化アミンを得る工程、及び
・燐酸化する工程。
【0029】
特に好ましい選択は、モノ芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物をアルキル化後、スルホン化する工程である。アルキル化法は、触媒として、塩化アルミニウム、HF、弗素化ゼオライト、非酸性カルシウムモルデナイト等を使用する。例えばALCL3アルキル化法の適切な条件は、バッチ式又は連続式反応器中、洗剤炭化水素に対し5モル%のALCL3を、100〜300℃で0.5〜1.0時間反応させることが例示される。他の好適なアルキル化触媒は、形状選択性で中程度酸性のアルキル化触媒、好ましくはゼオライトである。このようなアルキル化工程用触媒のゼオライトは、少なくとも部分的に酸性形態の、モルデナイト、ZSM−4、ZSM−12、ZSM−20、オフレタイト(offretite)、グメリナイト(gmelinite)及びゼオライトβよりなる群から選択するのが好ましい。アルキル化工程用のゼオライトは、実質的に酸形態であり、従来のバインダーを含む触媒ペレット中に含まれ、かつ該触媒ペレットが、ゼオライトを約1%以上、更に好ましくは5%以上、更に通常、50〜約90%含有することが更に好ましい。
【0030】
更に一般に、好適なアルキル化触媒は、通常、少なくとも部分的に結晶性であり、更に好ましくは触媒ペレット、凝結体又は複合体の形成に使用されるバインダー又はその他の材料を含有しない実質的に結晶性である。H形モルデナイトは、好適な触媒である。
【0031】
本発明のアルキル化処理に有用なゼオライトを特徴づける細孔は、約6.2Åの均一な細孔を有するキャンチナイト(canchinite)のように、ほぼ円形であってよく、或いは好ましくはモリブデナイトのように、若干楕円形であってもよい。いずれの場合も、本発明のアルキル化工程で触媒として使用されるゼオライトは、X及びYゼオライトのような大細孔ゼオライトの細孔サイズと、比較的小さい細孔サイズのゼオライトであるZSM−5及びZSM−20との中間の大きな細孔サイズ、好ましくは約6〜約7Åの細孔サイズを有するものと理解すべきである。特定ゼオライトの細孔サイズ及び結晶構造は、International Zeolite AssociationのStructure Commission出版(1978年以降の近年版)、Y.M.Meier及びD.H.OlsonによるATLAS OF ZEOLITE STRUCTURE TYPESに規定されている。ゼオライトには、アルミナ抽出(脱アルミ化)及び1種以上の金属成分、特に第IIB,III、IV,VI、VII及びVIII族金属との結合を含む各種化学処理を行ってよい。また幾つかの場合、ゼオライトは、空気、水素又は不活性ガス、例えば窒素又はヘリウム中での蒸煮又は焼成を含む熱処理を行うことが望ましいとも判る。本発明の所望のアルキル化工程を実施する際、温度及びその他の条件に耐えられる他の材料、例えばバインダー又は母材に、前述の中間細孔サイズの結晶性ゼオライトを取り込むのが有用かも知れない。このような母材としては、合成又は天然産の物質や、粘土、シリカ、及び/又は金属酸化物のような無機材料が挙げられる。母材は、シリカと金属酸化物との混合物を含むゲルの形態であってもよい。
【0032】
本発明方法は、更に、前記フィッシャー・トロプシュ法の軽質フラクションからの洗剤の製造方法に、前記フィッシャー・トロプシュ法の1つ以上の重質フラクションに対する水素化分解/水素化異性化を組合わせることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ法の生成物流から洗剤及び炭化水素燃料を製造する方法に関する。
【0033】
水素化分解/水素化異性化工程では、1つ以上の重質FTTフラクションの炭化水素生成物を、好適な触媒の存在下に水素で水素化分解すると共に水素化異性化することにより、この炭化水素生成物から炭化水素燃料を製造する。通常、触媒は、元素の周期表第VIB及びVIII族から選ばれた1種以上の金属、特にモリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、白金及びパラジウムから選ばれた1種以上の金属を含有する。好ましくは触媒は、触媒活性成分として、ニッケル、白金及びパラジウムから選ばれた1種以上の金属を含有する。触媒活性成分として白金を含む触媒は、第二水素化転化段階用に特に好適であることが見い出された。
【0034】
第二水素化転化段階用の触媒は、通常、担体として多孔質担体又はシリケートを含む。担体材料は、非晶質でも結晶性でもよい。好適な担体材料としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア及びそれらの混合物が挙げられる。担体は、1種以上のゼオライトを単独で、又は前記担体材料の1種以上と組合せて含有してよい。本発明方法で使用される触媒に含まれる好ましい担体材料は、シリカ、アルミナ及びシリカ−アルミナである。特に好ましい触媒はシリカ−アルミナ担体上に白金を担持してなる。
【0035】
触媒は、触媒活性成分を担体材料100重量部当り0.05〜80重量部、好ましくは0.1〜70重量部の量で含有する。触媒中に存在する触媒活性成分の量は、関連する特定の金属により変化する。第二水素化転化段階で使用される特に好ましい触媒は、白金を担体材料100重量部当り0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部の量で含有する。
【0036】
本発明方法の水素化転化/水素化異性化段階に使用される好適な触媒は、市販されているか、或いは当該技術分野で周知の方法、例えば前述の炭化水素合成触媒の製造法について説明した方法により製造できる。
【0037】
本方法の水素化転化/水素化異性化段階では、重質フィッシャー・トロプシュ炭化水素生成物は、触媒の存在下、高温高圧で水素と接触させる。通常、炭化水素燃料を生成するのに必要な温度は、200〜400℃、好ましくは275〜375℃の範囲にある。適用圧力は、通常、20〜250バール、更に好ましくは40〜200の範囲である。水素は、ガスの1時間当り空間速度100〜10000Nl/l/hr、更に好ましくは500〜5000Nl/l/hrで供給してよい。炭化水素原料は、水素化転化段階に、通常、重量の1時間当り空間速度0.1〜5kg/l/hrの範囲、好ましくは0.25〜2kg/l/hrで供給する。水素と炭化水素原料との比は、100〜5000Nl/kgの範囲であってよく、好ましくは250〜2500Nl/kgである。
【0038】
前述のように、水素化分解/水素化異性化段階で起こる水素化分解及び水素化異性化の程度は、370℃より高い沸点を有するフラクションの転化の程度を測定すればよい。通常、水素化分解/水素化異性化段階は、少なくとも40%の転化率で操作する。
以上の2つの水素化転化段階の操作に必要な水素は、当該技術分野で周知の方法、例えば製油所燃料ガスの水蒸気改質により発生させてよい。
【0039】
第二水素化転化段階で生成した炭化水素燃料は、通常、多くの異なる燃料フラクション、例えばナフサ、ケロシン及びガス油のフラクションの沸点を有する炭化水素を含有する。炭化水素燃料を適切なフラクションに分離するには、当該技術分野で周知の蒸留法を用いて行うのが都合がよいかも知れない。
本発明方法では、以上の蒸留法で得られるいかなる不良流も、燃料の製造方法で追加の供給原料として極めて好適に使用できる。
【0040】
本発明は、更に、通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC18−炭化水素、更に好ましくはC16−炭化水素、なお更に好ましくはC14−炭化水素を含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションを水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程、及び任意に該洗剤炭化水素の少なくとも一部を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤炭化水素の製造方法に関する。この方法は、例えば洗剤炭化水素の製造方法において、例えば蒸留法で得られるいずれか1つ以上の不良流を、燃料の製造方法において追加の供給原料として使用することが好ましい。更に好ましい実施態様は、特許請求の範囲の請求項に記載した好ましい実施態様及び請求項1に記載の方法についての説明と一致する。C14〜C17洗剤炭化水素は、水素化したC14〜C17流の塩素化又はスルホン化により洗剤に転化できる。
【0041】
本発明は、更に、前記フィッシャー・トロプシュ法の軽質フラクションからの洗剤炭化水素の製造方法に、前記フィッシャー・トロプシュ法の重質生成物流に対する水素化分解/水素化異性化を組合わせることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ法の生成物流から洗剤炭化水素及び炭化水素燃料を製造する方法に関する。
【0042】
本発明は、更に、洗剤炭化水素を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤の製造方法であって、該洗剤炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC18−炭化水素、更に好ましくはC16−炭化水素、なお更に好ましくはC14−炭化水素を含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションを水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程により製造される該方法に関する。好ましい実施態様は、特許請求の範囲の請求項に記載した好ましい実施態様及び請求項1に記載の方法についての説明と一致する。
【0043】
本明細書で、用語“主として”は、特に規定しない限り、80重量%以上を意味する。生成物又は混合物の量を“重量%”と示した場合、この%は、特に規定しない限り、生成物が存在する全生成物流を基準とする。“通常液体の炭化水素生成物”は、STP(1バール、0℃)で液体生成物である全ての生成物を意味する。飽和炭化水素に対しては、C+炭化水素を意味する。“通常固体の炭化水素生成物”は、STPで固体である全ての生成物を意味する。飽和ノーマル炭化水素に対しては、C15+を意味する。用語C+は、炭素数n個以上の分子に関する。用語C−は、炭素数n個以下の分子を言う。ここで使用した用語“中間蒸留物”は、鉱原油の慣用の大気圧蒸留で得られるケロシンフラクション及びディーゼルフラクションの沸点範囲にほぼ一致する沸点範囲を有する炭化水素混合物を言う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC20−炭化水素を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションの少なくとも一部を水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程、該洗剤炭化水素の少なくとも一部を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤の製造方法。
【請求項2】
通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC20−炭化水素を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションの少なくとも一部を水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、及びこうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程により得られた水素化生成物を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得た後、該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る洗剤の製造方法。
【請求項3】
前記軽質フラクションが、C18−炭化水素を主として、好ましくは90重量%、更に好ましくは95重量%、特にC16−炭化水素を主として、好ましくは90重量%、更に好ましくは95重量%、更に特にC14−炭化水素を主として、好ましくは90重量%、更に好ましくは95重量%含有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質生成物流は、軽質フラクション及び重質フラクションを分離する前に、フィッシャー・トロプシュ法で生成したC〜C炭化水素を大部分、好適には80重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する軽質流、特にフィッシャー・トロプシュ法で生成したC〜C炭化水素を大部分、好適には80重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する軽質生成物流と、任意に未転化の合成ガス成分、二酸化炭素及びその他の不活性ガスと、軽質フラクション及び重質フラクションに分離される重質流とに分離される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質生成物流又は軽質流から軽質生成物も除去され、該軽質生成物流は、C−生成物、好ましくはC−生成物、更に好ましくはC−生成物を主として含有し、特に該軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有し、更に特に該軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有し、なお更に特に該軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水素化すべき軽質フラクションが、C〜C18炭化水素を主として、C〜C18炭化水素を好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有し、特に該軽質フラクションは、C10〜C13炭化水素を主として、C10〜C13炭化水素を好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有し、或いは該軽質フラクションは、C14〜C17炭化水素を主として、C14〜C17炭化水素を好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有し、かつ前記水素化炭化水素の蒸留工程は、任意の特徴である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記モノオレフィンの洗剤への転化工程が、
・ベンゼン又はトルエンによりアルキル化した後、任意にスルホン化及び中和する工程、
・フェノールでアルキル化した後、アルコキシル化、スルホン化及び中和、硫酸化及び中和、又はアルコキシル化と酸化との組合わせの少なくとも1つを行う工程、
・ヒドロホルミル化した後、任意にアルコキシル化、グリコシル化、硫酸化、燐酸化、又はそれらの組合わせの少なくとも1つを行う工程、
・スルホン化する工程、
・エポキシ化する工程、
・臭酸化した後、アミノ化及び酸化を行って酸化アミンを得る工程、及び
・燐酸化する工程、
から選ばれた少なくとも1つの工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7に記載した前記フィッシャー・トロプシュ法の軽質フラクションからの洗剤の製造方法に、前記フィッシャー・トロプシュ法の1つ以上の重質フラクションに対する水素化分解/水素化異性化を組合わせることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ法の生成物流から洗剤及び炭化水素燃料を製造する方法。
【請求項9】
通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC18−炭化水素、更に好ましくはC16−炭化水素、なお更に好ましくはC14−炭化水素を含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションを水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程、及び任意に該洗剤炭化水素の少なくとも一部を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤炭化水素の製造方法。
【請求項10】
前記洗剤炭化水素の製造方法でのいずれか1つ以上の不良流が、燃料の製造方法において追加の供給原料として使用される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載した前記フィッシャー・トロプシュ法の軽質フラクションからの洗剤炭化水素の製造方法に、前記フィッシャー・トロプシュ法の重質生成物流に対する水素化分解/水素化異性化を組合わせることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ法の生成物流から洗剤炭化水素及び炭化水素燃料を製造する方法。
【請求項12】
洗剤炭化水素を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤の製造方法であって、該洗剤炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC20−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC18−炭化水素、更に好ましくはC16−炭化水素、なお更に好ましくはC14−炭化水素を含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションを水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程により製造される該方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC18−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC18−炭化水素を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションの少なくとも一部を水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程、該洗剤炭化水素の少なくとも一部を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤の製造方法。
【請求項2】
通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC18−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC18−炭化水素を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションの少なくとも一部を水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、及びこうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程により得られた水素化生成物を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得た後、該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る洗剤の製造方法。
【請求項3】
前記軽質フラクションが、C16−炭化水素を主として、好ましくは90重量%、更に好ましくは95重量%、更に特にC14−炭化水素を主として、好ましくは90重量%、更に好ましくは95重量%含有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質生成物流は、軽質フラクション及び重質フラクションを分離する前に、フィッシャー・トロプシュ法で生成したC〜C炭化水素を大部分、好適には80重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する軽質流、特にフィッシャー・トロプシュ法で生成したC〜C炭化水素を大部分、好適には80重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する軽質生成物流と、任意に未転化の合成ガス成分、二酸化炭素及びその他の不活性ガスと、軽質フラクション及び重質フラクションに分離される重質流とに分離される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質生成物流又は軽質流から軽質生成物も除去され、該軽質生成物流は、C−生成物、好ましくはC−生成物、更に好ましくはC−生成物を主として含有し、特に該軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有し、更に特に該軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有し、なお更に特に該軽質生成物は、C−生成物を90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水素化すべき軽質フラクションが、C〜C18炭化水素を主として、C〜C18炭化水素を好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有し、特に該軽質フラクションは、C10〜C13炭化水素を主として、C10〜C13炭化水素を好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有し、或いは該軽質フラクションは、C14〜C17炭化水素を主として、C14〜C17炭化水素を好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有し、かつ前記水素化炭化水素の蒸留工程は、任意の特徴である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記モノオレフィンの洗剤への転化工程が、
・ベンゼン又はトルエンによりアルキル化した後、任意にスルホン化及び中和する工程、
・フェノールでアルキル化した後、アルコキシル化、スルホン化及び中和、硫酸化及び中和、又はアルコキシル化と酸化との組合わせの少なくとも1つを行う工程、
・ヒドロホルミル化した後、任意にアルコキシル化、グリコシル化、硫酸化、燐酸化、又はそれらの組合わせの少なくとも1つを行う工程、
・スルホン化する工程、
・エポキシ化する工程、
・臭酸化した後、アミノ化及び酸化を行って酸化アミンを得る工程、及び
・燐酸化する工程、
から選ばれた少なくとも1つの工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7に記載した前記フィッシャー・トロプシュ法の軽質フラクションからの洗剤の製造方法に、前記フィッシャー・トロプシュ法の1つ以上の重質フラクションに対する水素化分解/水素化異性化を組合わせることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ法の生成物流から洗剤及び炭化水素燃料を製造する方法。
【請求項9】
通常液体の炭化水素及び通常固体の炭化水素を生成するフィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC18−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC16−炭化水素、更に好ましくはC14−炭化水素を含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む1種以上の重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションを水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程、及び任意に該洗剤炭化水素の少なくとも一部を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤炭化水素の製造方法。
【請求項10】
前記洗剤炭化水素の製造方法でのいずれか1つ以上の不良流が、燃料の製造方法において追加の供給原料として使用される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載した前記フィッシャー・トロプシュ法の軽質フラクションからの洗剤炭化水素の製造方法に、前記フィッシャー・トロプシュ法の重質生成物流に対する水素化分解/水素化異性化を組合わせることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ法の生成物流から洗剤炭化水素及び炭化水素燃料を製造する方法。
【請求項12】
洗剤炭化水素を脱水素化して、モノオレフィンを含む洗剤炭化水素流を得る工程、及び該モノオレフィンを転化して、洗剤を得る工程を含む洗剤の製造方法であって、該洗剤炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ法の炭化水素質流を、主としてC18−炭化水素を含む軽質フラクション、好ましくはC16−炭化水素、更に好ましくはC14−炭化水素を含む軽質フラクションと、残部炭化水素を含む重質フラクションとに分離する工程、該軽質フラクションを水素化して、不飽和炭化水素及び/又は酸素化物を飽和炭化水素に転化する工程、こうして得られた生成物を蒸留して、洗剤炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを得る工程により製造される該方法。

【公表番号】特表2006−512434(P2006−512434A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563252(P2004−563252)
【出願日】平成15年12月29日(2003.12.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/051106
【国際公開番号】WO2004/058921
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】