説明

洗剤組成物

乾燥を提供するために食器洗浄機の主洗浄中で使用するための自動食器洗浄機用洗剤組成物が提供され、この洗剤は、一般式(I)
【化1】


(式中、
Rは、8〜16個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
3、R1は、互いに独立して、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
2は、5〜17個の炭素原子を有する非分枝鎖アルキル基であり、
l、nは、互いに独立して、1〜5の数であり、
mは、13〜35の数である)のエステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤と、有機ポリマー、有機ビルダー及びこれらの混合物から選択される分散剤と、を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤の分野に属する。特に、本発明は、洗浄中に乾燥を提供する(すなわち、乾燥補助が主洗浄中に提供され、洗浄物が自動食器洗浄操作の終わりに改善された乾燥を示す)こと及び同時に良好な輝きを提供することができる自動食器洗浄機用洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
未だ満たされていない使用者ニーズの一つは、自動洗浄プロセス後の洗浄済み物品の乾燥である。自動食器洗浄操作の終わりに、物品、特にプラスチック物品は、通常濡れている。使用者は、これらを片付ける前に乾燥させる必要がある。これは、追加工程を必要とする。食器洗浄機の使用者は、常に、物品が汚れたときから物品が食器棚に片付けられるときまでに必要とされる作業の量を最小化することを好む。食器洗浄プロセスにおける乾燥を改善するために、様々な提案がなされてきた。国際公開第2008/110816号は、乾燥を提供するためにアニオン性ポリエステルの使用を提案している。国際公開第2009/033972号は、スルホン化ポリマーと組み合わせて特定の非イオン性界面活性剤を含む組成物を提案している。国際公開第2009/033830号は、2つの異なる時点にて界面活性剤及びアニオン性ポリマーを送達することを伴う食器洗浄プロセスを提案している。国際公開第2008/119834号は、特定のポリカーボネート−、ポリウレタン−及び/又はポリ尿素−ポリオルガノシロキサン化合物を含む組成物を提案している。
【0003】
すすぎ補助剤は物品の乾燥を助け得るが、しかしながら、これは、追加の製品の購入及び使用を意味し、先程指摘したように、食器洗浄機の使用者は食器洗浄作業をできるだけ簡略化することを好む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/110816号
【特許文献2】国際公開第2009/033972号
【特許文献3】国際公開第2009/033830号
【特許文献4】国際公開第2008/119834号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、洗浄時の良好な乾燥(すなわち、すすぎサイクルに別個の製品を添加する必要がない)並びに同時に良好な洗浄及び洗浄した物品の良好な仕上がりを提供する自動食器洗浄機用製品を提供することである。別の目的は、より環境に親和的な食器洗浄プロセス、すなわち、例えば、乾燥時間短縮といった、時間短縮及び/又はエネルギー節約を伴うプロセスを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様によると、食器洗浄機の主洗浄サイクル(本明細書では「主洗浄」とも呼ぶ)での使用のための自動食器洗浄機用洗剤が提供される。自動食器洗浄操作は、典型的には、3つ以上のサイクル−予洗浄サイクル、主洗浄サイクル及び1回以上のすすぎサイクル−を含み、これらのサイクルの後には、通常、乾燥サイクルが続く。本発明の洗剤組成物は、主洗浄中に送達されることになる。
【0007】
本発明の洗剤組成物は、特にプラスチック物品において、良好な乾燥を提供する。プラスチック物品は、これらの疎水性に起因して、乾燥が困難である。本発明の洗剤組成物は、一般式(I)
【0008】
【化1】

(式中、
Rは、8〜16個、好ましくは10〜16個、より好ましくは12〜15個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
3、R1は、互いに独立して、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、好ましくは、Ra及びR1は水素であり、
2は、5〜17個、好ましくは6〜14個の炭素原子を有する非分枝鎖アルキル基であり、
l、nは、互いに独立して、1〜5の数であり、
mは、13〜35の数である)の、エステル化された、アルキルアルコキシル化と、
有機ポリマー、有機ビルダー及びこれらの混合物から選択される分散剤と、を含む。
【0009】
本明細書では、「分散剤」により、カルシウム、鉄などの金属イオン、並びに、洗浄液及び/又は洗浄液中に見られる汚れの中に見られる任意の他の金属イオンのいずれかを分散させる(すなわち、洗浄液への懸濁を維持する)ことができる任意の化合物を意味する。分散剤は、洗浄した物品上へのスケールの付着及び汚れの再付着を防止するのを助け、これにより、良好な乾燥、並びに、同時に洗浄した物品上の膜形成及びしみ形成の不在を提供し、改善された輝きを生じる。
【0010】
本明細書での使用に好ましい分散剤は、有機ポリマー、有機ビルダー及びこれらの混合物の群から選択される。好ましい実施形態では、有機ポリマーは、カルボキシル化ポリマー、特にポリアクリル酸ポリマーである。
【0011】
本明細書での使用に好ましい有機ビルダーとしては、MGDA、GLDA、IDS、カルボキシメチルイヌリン、クエン酸及びこれらの塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの有機ビルダーは、良好な分散剤特性を有し、同時に良好な環境特性を提示する。分散剤特性は、良好な洗浄、仕上がり及び改善された乾燥に寄与する。
【0012】
特に好ましい実施形態では、Rは、12〜15個、好ましくは13個の炭素原子を有し、R3及びR1は水素であり、lは5であり、nは1であり、mは15〜25、好ましくは22であり、R2は、6〜14個の炭素原子を有する。
【0013】
特に好ましい実施形態では、本発明の洗剤は、アルコキシル化されたアルコール界面活性剤を含む。驚くべきことに、これらの2つの界面活性剤(エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤及びアルコキシル化されたアルコール界面活性剤)の混合物を含む自動食器洗浄機用洗剤は、2つの界面活性剤のいずれかを単独で含む組成物よりも良好な乾燥を提供することが判明した。好ましくはアルコキシル化されたアルコール界面活性剤はエトキシル化され、約10〜14個、より好ましくは約13個の炭素原子と、5〜8分子、より好ましくは7分子のエチレンオキシドと、を含有する脂肪族アルコール鎖を有する。
【0014】
本発明の洗剤組成物は、エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤が以下のようであるとき、特に良好な乾燥を提供する:Rは、12〜15個、好ましくは13個の炭素原子であり、R3は水素であり、R1は水素であり、lは5であり、nは1であり、mは15〜25、好ましくは22であり、R2は、6〜14個の炭素原子であり、並びに、エトキシル化されたアルコールは、約10〜14個、より好ましくは約13個の炭素原子と、5〜8分子、より好ましくは7分子のエチレンオキシドと、を含有する脂肪族アルコール鎖を有する。
【0015】
際立つ乾燥は、エステル化されたアルキルアルコキシル化及びエトキシル化されたアルコール界面活性剤が、約1:1〜約10:1、好ましくは約2:1〜約8:1、より好ましくは約4:1〜約6:1の重量比にあるときに、得ることができる。
【0016】
好ましい実施形態では、界面活性剤の合計量は、組成物の約2重量%〜約20重量%、好ましくは約3重量%〜約15重量%、より好ましくは約5重量%〜約12重量%である。
【0017】
好ましい実施形態では、本発明の洗剤は、アミラーゼ、プロテアーゼ及びこれらの混合物から選択される酵素を含む。本明細書で使用するのに好ましいプロテアーゼとしては、Bacillus lentus由来の野生型酵素と、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を呈するプロテアーゼが挙げられ、これには、国際公開第00/37627号に例示されているBPN’番号付与システム及びアミノ酸略号を使用して、下記の位置:68、87、99、101、103、104、118、128、129、130、167、170、194、205及び222のうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上における、変異を含み、場合により、アミノ酸95〜103を含む領域に1つ以上の挿入を含む。好ましくは、変異は、下記:V68A、N87S、S99D、S99SD、S99A、S101G、S103A、V104N/I、Y167A、R170S、A194P、V205I及び/又はM222Sのうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上から選択される。
【0018】
好ましい実施形態では、本発明の洗剤は、Bacillus sp.707由来の野生型酵素(米国特許第6,093,562号の配列番号7)と、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%の同一性を呈するアミラーゼを含み、特に、下記:M202、M208、S255、R172及び/又はM261の変異のうちの1つ以上を含むアミラーゼを含む。好ましくはこのアミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qのうちの1つ以上を含む。特に好ましいのは、M202L又はM202T変異を含むアミラーゼである。本明細書で使用するのに特に好ましいのは、これまでに本明細書で記載したアミラーゼとプロテアーゼの混合物である。プロテアーゼ及び/又はアミラーゼを含む組成物は、改善された洗浄を提供し、これにより洗浄された物品の最終乾燥にプラスに影響する。
【0019】
本発明の洗剤組成物は、固体、液体、ゲルなどの任意の形態であることができる。好ましい実施形態では、洗剤組成物は、固体形態であり、より好ましくは微粒子形態である。微粒子形態は、ルースパウダー又は高密度化粉末(すなわち、錠剤又は水溶性パウチ)であることができる。洗剤組成物が固体形態である場合、エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤は、好ましくは液体として添加され、例えば、粒子上に噴霧される。これは、界面活性剤を予め分散させておいた状態を維持するのを助け、好ましくは微粒子組成物上に噴霧された界面活性剤は、炭酸ナトリウムなどの無機物質をまぶされて、粒子に良好な流動性を付与する。エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤が微粒子組成物上に噴霧された場合に、改善された乾燥の利益が得られることがここに観察された。理論に束縛されるものではないが、予め分散させておいたエステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤は、素早く溶解/分散し、より大きな乾燥効果を提供すると考えられる。
【0020】
好ましい実施形態では、組成物は、単位用量形態(すなわち、一回の洗浄に十分である量)である。好適な単位用量形態としては、錠剤、カプセル、分包剤、パウチなどが挙げられる。本明細書で使用するのに特に好ましいのは、パウチ、単一区画及び多区画パウチである。パウチは、好ましくは約15〜約25グラム、より好ましくは約17〜約22グラムの重量を有する。特に好ましい実施形態は、多区画パウチの形態の単位用量製品を提供する。好ましくは、パウチは、液体を収容する区画と、固体組成物を収容する別の区画と、を備える。一部の実施形態では、本発明のエステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤は、両方の区画に、すなわち、一部は液体収容区画に、一部は固体収容区画に、配置される。
【0021】
本発明の別の態様では、一般式(I)
【0022】
【化2】

(式中、
Rは、8〜16個、好ましくは10〜16個、より好ましくは12〜15個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
3、R1は、互いに独立して、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、好ましくは、Ra及びR1は水素であり、
2は、5〜17個、好ましくは6〜14個の炭素原子を有する非分枝鎖アルキル基であり、
l、nは、互いに独立して、1〜5の数であり、
mは13〜35の数である)のエステル化されたアルキルアルコキシル化を含む洗剤又は本発明の洗剤組成物を、食器洗浄機の主洗浄に送達する工程を含む、食器洗浄方法が提供される。本発明の方法は、良好な乾燥を得るための追加のすすぎ補助剤の使用を除外するものであり、これにより食器洗浄作業を簡略化する。更に、本発明の方法は、乾燥サイクルの時間又は熱の削減を可能にする。
【0023】
本発明の最後の態様によると、自動食器洗浄操作中に乾燥を提供するための、一般式(I)
【0024】
【化3】

(式中、
Rは、8〜16個、好ましくは10〜16個、より好ましくは12〜15個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
3、R1は、互いに独立して、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、好ましくは、Ra及びR1は水素であり、
2は、5〜17個、好ましくは6〜14個の炭素原子を有する非分枝鎖アルキル基であり、
l、nは、互いに独立して、1〜5の数であり、
mは13〜35の数である)のエステル化されたアルキルアルコキシル化を含む洗剤
又は本発明の洗剤組成物の、使用法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤と分散剤とを含む洗剤組成物を考慮する。この組成物は、プラスチック物品であっても優れた乾燥を提供し、並びに、良好な洗浄及び仕上がり(膜形成及びしみ形成の不在、並びに、良好な輝き)を提供する。本発明はまた、食器洗浄操作の主洗浄中に、エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤を含む組成物を使用する食器洗浄方法、又は、本発明の組成物を使用する食器洗浄方法を考慮する。最後に、食器洗浄操作中に改善された乾燥を提供するための、エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤を含む組成物の使用、又は、本発明の組成物の使用も提供される。
【0026】
界面活性剤
エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤
本発明の洗剤組成物は、一般式(I)
【0027】
【化4】

(式中、
Rは、8〜16個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
3、R1は、互いに独立して、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
2は、5〜17個の炭素原子を有する非分枝鎖アルキル基であり、
l、nは、互いに独立して、1〜5の数であり、
mは13〜35の数である)のエステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤を含む。
【0028】
好ましくは、R基は、9〜16個、より好ましくは10〜13個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル基である。分岐度は、好ましくは1〜3である。本発明の目的にとって、用語「分岐度」は、メチル基の数−1を意味するものとして理解される。
【0029】
更に好ましくは、R3、R1は、互いに独立して、水素、メチル及びエチルである。R3、R1がより高い頻度で生じる場合には、それぞれは、更なるR3又はR1とは独立して選択することができる。それゆえに、Ra、R1は、ブロック式に、又は、ランダム分布で、生じ得る。
【0030】
2は、好ましくは、5〜13個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基である。
【0031】
好ましくは、n=1、l=5であり、mは、好ましくは13〜34、より好ましくは13〜33、更により好ましくは13〜30、最も好ましくは17〜27の数である。
【0032】
更に好ましくは、平均分子量は、950〜2300g/mol、より好ましくは1200〜1900g/molの範囲である。
【0033】
本発明のエステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤は、低起泡性界面活性剤である。「低起泡性非イオン性界面活性剤」により、本明細書では、自動食器洗浄操作において食器洗浄液中250ppmの濃度で5cmより低い、好ましくは3cmよりも低い、より好ましくは2cmよりも低い、より好ましくは1cmよりも低い、特に0.5cmよりも低い泡を生じる界面活性剤であると理解される。泡の高さは、汚れのない状態で、定規を食器洗浄機の壁に取り付けて、主洗浄の終わりに洗浄液から泡の頂部までの高さを測定することにより、測定される。
【0034】
エステル化界面活性剤は、アルカリ性環境で安定である。好ましくは、エステル化界面活性剤は、25℃よりも高い、より好ましくは35℃よりも高い融点を有する。
【0035】
本発明のエステル化界面活性剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2008/0167215号の段落[0036]〜[0042]に記載されているように合成することができる。
【0036】
アルコキシル化されたアルコール
アルコキシル化されたアルコールは、アルキレンオキシド基を、脂肪族又はアルキル芳香族の性質であり得る有機疎水性材料と縮合することにより得られる化合物であり、好ましくはEO、PO及び/又はBO部分を有するC2〜C18アルコールアルコキシレートからなる群から選択される化合物である。この部分は、ブロック配置又はランダム分布であることができる。
【0037】
好ましくは、アルコキシル化されたアルコールは、実質的には他のアルコキシル化された基を含まないエトキシル化されたアルコールである(すなわち、エトキシ基以外には、10%未満、より好ましくは5%未満、特に1%未満のアルコキシル化された基)。本明細書で好適なのは、好ましくは8〜18個の炭素原子と、アルコール1モル当たり平均1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を有する第一級アルコールであり、ここで、アルコール基は、直鎖又は2−メチル−分枝鎖であってもよく、あるいは、オキソアルコール基中に典型的に存在するように、直鎖とメチル分枝鎖基の混合物を含有してもよい。好ましいエトキシル化されたアルコールは、例えば、ココナッツ、パーム、タロー脂肪又はオレイルアルコールの、12〜18個の炭素原子と、アルコール1モル当たり平均2〜8個のEOと、を有する天然由来のアルコールの直鎖基を有する。好ましいエトキシル化アルコールとしては、例えば、3EO又は4 EOを有するC12〜14アルコール、7 EOを有するC9〜11アルコール、3EO、5EO、7EO又は8EOを有するC13〜15アルコール、3EO、5EO又は7 EOを有するC12〜18アルコール、及びこれらの混合物、例えば、3EOを有するC12〜14アルコールと5EOを有するC12〜18アルコールの混合物が挙げられる。特定されるエトキシル化度は、特定の生成物についての整数又は分数であり得る統計平均値である。好ましいアルコールエトキシレートは、狭まった同族体分布(狭範囲エトキシレート、NRE)を有する。これらの界面活性剤に加えて、12超のEOを有する脂肪族アルコールを使用することも可能である。この例は、14EO、25EO、30EO又は40EOを有するタロー脂肪族アルコールである。
【0038】
特に好ましいのは、約8〜約14個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルコールと、アルコール1モル当たり平均約6〜約8モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも75%の界面活性剤は、直鎖エトキシル化一級アルコールである。このアルコキシル化されたアルコールのHLB(親水性−親油性バランス)が、約18未満、好ましくは約15未満、更により好ましくは14未満であることも好ましい。本明細書で使用する市販の製品としては、BASFにより提供されるLutensol(登録商標)TOシリーズ、エトキシル化C13オキソアルコールが挙げられ、特に本明細書に用いるのに好適なのはLutensol(登録商標)TO7である。
【0039】
本明細書で使用するのに他の好適なエトキシル化されたアルコール界面活性剤は、ランダム又はブロック分布のいずれかを有し、EO、PO及び/又はBO部分を有するアルコキシル化されたC2〜C18アルコールである。本明細書で使用するのに特に好ましいのは、エトキシル化されたアルコール、好ましくは4〜10個のエトキシ基を有するC10〜C16アルコール、を含む界面活性剤系である。好ましくはアルコキシル化されたアルコールは、洗剤組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約4重量%〜約8重量%の濃度である。
【0040】
本明細書で使用するのに好適な他のアルコキシル化されたアルコールとしては、EO、PO及び/又はBO部分を有するC2〜C18アルコールアルコキシレート、特にランダム分布でEO及びBO部分を含むC2〜C18アルコールが挙げられる。特に好ましいのは、以下の脂肪族アルコールアルコキシレートであり、例えば、Adekanol B2020(Adeka)、Dehypon LS36(Cognis)、Plurafac LF 221(C13〜15、EO/BO(95%))、Plurafac LF 300、Plurafac LF 303(EO/PO)、Plurafac LF 1300、Plurafac LF224、Degressal SD 20(ポリプロポキシレート)(全てBASFから)、Surfonic LF 17(C12〜18のエトキシル化されたプロポキシル化アルコール、Huntsman)、Triton EF 24(Dow)、Neodolエトキシレート(Shellから)である。
【0041】
また本明細書での使用に好適なものは、脂肪族カルボン酸のポリオキシアルケン縮合体であり、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、並びに、不飽和又は飽和のいずれであってもよく、特に脂肪鎖中に約8〜約18個の炭素原子を含有し、約2〜約50個のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を組み込んでいるエトキシル化及び/又はプロポキシル化脂肪族酸である。好適なカルボン酸としては、平均約12個の炭素原子を含有する「ココナッツ」脂肪酸(ココナッツ油から誘導される)、平均約18個の炭素原子を含有する「タロー」脂肪酸(タロー種の脂肪から誘導される)、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸及びラウリン酸が挙げられる。
【0042】
また本明細書での使用に好適なものは、脂肪族アルコールのポリオキシアルケン縮合体であり、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、並びに、不飽和又は飽和のいずれであってもよく、特に約6〜約24個の炭素原子を含有し、約2〜約50個のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を組み込んでいるエトキシル化及び/又はプロポキシル化脂肪族アルコールである。好適なアルコールとしては、「ココナッツ」脂肪族アルコール、「タロー」脂肪族アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール及びオレイルアルコールが挙げられる。
【0043】
他のタイプの例の非イオン性界面活性剤は、米国特許第4,340,766号(BASF)に記載されている、末端基で末端保護された直鎖脂肪族アルコールアルコキシレートである。
【0044】
他のタイプの例としては、式:
HO(CH2 CH2 O)a(CH(CH3)CH2 O)b(CH2 CH2 O)c H;又は
HO(CH(CH3)CH2 O)d(CH2 CH2 O)e(CH(CH3)CH2 O)H
(式中、a、b、c、d、e及びfは、上記ポリマーのそれぞれのポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドブロックを反映する1〜350の整数である)を有する(having)ポリオキシエチレン(polyoxyethylene)−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーが挙げられる。このブロックポリマーのポリオキシエチレン構成要素は、ブロックポリマーの少なくとも約10%を構成する。この物質は、例えば、約1,000〜約15,000、より特定的には約1,500〜約6,000の分子量を有する。これらの物質は、当該技術分野において周知である。これらは、BASF Corporationから商標「Pluronic」及び「Pluronic R」で入手可能である。
【0045】
洗浄活性物質
何らかの洗浄成分を、本発明の製品の一部として使用することができる。所与の濃度は重量%であり、かつ組成物全体について指す(包装又は梱包材料を有する単位用量形態の場合、水溶性材料製の包みは除外する)。組成物はリン酸塩ビルダーを含有し、あるいはリン酸塩ビルダーは含まずに、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、アルカリ源、有機ポリマー、抗腐食剤(例えば、ケイ酸ナトリウム)及び処理剤から選択され得る1つ以上の洗剤活性成分を含むことができる。本明細書で使用するのにきわめて好ましい洗浄成分としては、ビルダー化合物、アルカリ源、有機ポリマー及び酵素が挙げられる。
【0046】
ビルダー
本明細書で使用するためのビルダーは、無機ビルダー(好ましくはリン酸塩)及び有機ビルダーである。存在する場合、ビルダーは、組成物の5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%の濃度で使用する。一部の実施形態では、製品は、無機ビルダーと有機ビルダーの混合物を含む。
【0047】
無機ビルダー
好ましい無機ビルダーとしては、炭酸塩ビルダー及びリン酸塩ビルダー、特に一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩又はオリゴマーポリリン酸塩が挙げられる。これらの化合物のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩は好ましい。特に好ましいビルダーはトリポリリン酸ナトリウム(STPP)である。
【0048】
有機ビルダー
好ましい有機ビルダーとしては、アミノ酸系化合物、特にMGDA(メチル−グリシン−二酢酸)、GLDA(グルタミン酸−N,N−二酢酸)、イミノジコハク酸(IDS)、カルボキシメチルイヌリン並びにこれらの塩及び誘導体が挙げられる。GLDA(この塩及び誘導体)は特に、本発明に従って好ましく、それらの四ナトリウム塩が特に好ましい。好ましくは、MGDA又はGLDAは、本発明の組成物中に、組成物の0.5重量%〜50重量%、より好ましくは約1重量%〜約20重量%、特に約2〜約10重量%の濃度で存在する。
【0049】
他の好適な有機ビルダーとしては、アミノ酸系化合物又はコハク酸系化合物が挙げられる。用語「コハク酸塩系化合物」及び「コハク酸系化合物」は、本明細書において互換的に使用される。他の好適なビルダーは、米国特許第6,426,229号で述べられている。特に好適なビルダーとしては:例えば、アスパラギン酸−N−一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸−N−モノプロピオン酸(ASMP)、イミノジコハク酸(IDA)、N−(2−スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N−(2−スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N−(2−スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N−(2−スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、IDS(イミノ二酢酸)及びN−メチルイミノ二酢酸(MIDA)などのその塩及び誘導体、α−アラニン−N,N−二酢酸(α−ALDA)、セリン−N,N−二酢酸(SEDA)、イソセリン−N,N−二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン−N,N−二酢酸(PHDA)、アントラニル酸−N,N−二酢酸(ANDA)、スルファニル酸−N,N−二酢酸(SLDA)、タウリン−N,N−二酢酸(TUDA)及びスルホメチル−N,N−二酢酸(SMDA)、並びにこれらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0050】
カルボキシメチルイヌリンはまた、本明細書での使用に好適な非リン酸塩ビルダーである。カルボキシメチルイヌリンは、カルボキシル含有フルクタンであり、ここで、カルボキシルはカルボキシメチルであり、フルクタンはβ−2,1結合を有する。カルボキシメチルイヌリンは、典型的には、カルボキシメチルイヌリンナトリウムなどのアルカリ金属塩として供給される。カルボキシメチルイヌリンの好適な供給源は、Thermphos InternationalからのDequest SPE 15625である。カルボキシメチルイヌリンは、約1.5〜約3の範囲の置換度を有してもよく、一部の実施形態では、約2.5であってもよい。
【0051】
好ましくは、有機ビルダーは、組成物中に、組成物全体の少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、更により好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも20重量%の量で存在する。好ましくは、これらのビルダーは、組成物全体の最大50重量%、より好ましくは最大45重量%、更により好ましくは最大40重量%、特に最大35重量%の量で存在する。好ましい実施形態では、組成物は組成物全体の20重量%以下のリン酸塩ビルダー、より好ましくは組成物全体の10重量%以下のリン酸塩ビルダーを含有し、最も好ましくは組成物は実質的にはリン酸塩ビルダーを含まない。
【0052】
他の有機ビルダーとしては、ポリカルボン酸が挙げられる。好適なポリカルボン酸は、非環式、脂環式、複素環式及び芳香族カルボン酸であり、これらの場合において少なくとも2つのカルボキシル基が含まれ、これらはそれぞれ、互いに離れた場所に分離され、好ましくは炭素原子2つ分を超えない程度に互いに離れている。2つのカルボキシル基を含むポリカルボキシレートは、例えばマロン酸、(エチレンジオキシ)二酢酸、マレイン酸、ジグリコール酸、酒石酸、タルトロン酸、及びフマル酸の水溶性の塩を含む。3つのカルボキシル基を含有するポリカルボキシレートとしては、例えば水溶性クエン酸塩が挙げられる。それに相応するものとして、好適なヒドロキシカルボン酸は、例えばクエン酸である。他の好適なビルダーは、国際公開第95/01416号に記載されており、その内容は本明細書において参照として記載される。
【0053】
有機ポリマー
このポリマーは、使用される場合、組成物の約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは0.5重量%〜約20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の任意の好適な量で使用される。
【0054】
本明細書で好ましい有機ポリマーとしては、アクリル酸含有ポリマー、例えば、Sokalan PA30、PA20、PA15、PA10及びSokalan CP10(BASF GmbH)、Acusol 45N、480N、460N(Rohm and Haas)、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、例えば、Sokalan CP5、並びにアクリル/メタクリルコポリマーが挙げられる。本明細書おいて好ましい汚れ剥離ポリマーとしては、アルキル並びにヒドロキシアルキルセルロース(米国特許第A−4,000,093号)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン並びにこれらのコポリマー、及びエチレングリコール、プロピレングリコール並びにこれらの混合物のテレフタレートエステルをベースとする、非イオン性並びにアニオン性コポリマーが挙げられる。
【0055】
スルホン化/カルボキシル化ポリマーは、本発明の組成物に特に好適である。
【0056】
本明細書に記載される好適なスルホン化/カルボキシル化ポリマーは、約100,000Da以下、又は約75,000Da以下、又は約50,000Da以下、又は約3,000Da〜約50,000Da、好ましくは約5,000Da〜約45,000Daの重量平均分子量を有し得る。
【0057】
本明細書に記載されるように、スルホン化/カルボキシル化ポリマーは、(a)一般式(I):
【0058】
【化5】

(式中、R1〜R4は、独立に、水素、メチル、カルボン酸基又はCH2COOHであり、式中、カルボン酸基は中和することができる)を有する少なくとも1つのカルボン酸モノマーから誘導される少なくとも1つの構造ユニット、(b)任意選択的に、式(II):
【0059】
【化6】

(式中、R5は水素、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ヒドロキシアルキルであり、Xは芳香族であるか(Xが芳香族である時、R5は水素又はメチルである)又はXは一般式(III):
【0060】
【化7】

(式中、R6は(R5とは独立に)水素、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ヒドロキシアルキルであり、YはO又はNである)を有するかのいずれかである)を有する少なくとも1つのスルホン酸モノマーから誘導される1つ以上の構造ユニット、及び一般式(IV):
【0061】
【化8】

(式中、R7は少なくとも1つのsp2結合を含む基であり、AはO、N、P、S又はアミド若しくはエステル結合であり、Bはモノ−又は多環式芳香族基又は脂肪族基であり、各tは独立して0又は1であり、かつM+はカチオンである)を有する少なくとも1つのスルホン酸モノマーから誘導される少なくとも1つの構造ユニットを含み得る。一態様では、R7は、C2〜C6アルケンである。別の態様では、R7は、エテン、ブテン、又はプロペンである。
【0062】
好ましいカルボン酸モノマーには、以下:アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、又はアクリル酸のエトキシレートエステル、アクリル酸、の1つ以上が挙げられ、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。好ましいスルホン化モノマーには、以下の1つ以上が挙げられる:(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、スルホン酸ビニル、フェニル(メタ)アリルエーテルスルホン酸ナトリウム又は2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸。好ましい非イオン性モノマーには、以下の1つ以上が挙げられる:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、スチレン又はα−メチルスチレン。
【0063】
好ましくは、ポリマーは以下の濃度のモノマーを含む:ポリマーの約40重量%〜約90重量%の、好ましくは約60重量%〜約90重量%の、1つ以上のカルボン酸モノマー;ポリマーの約5重量%〜約50重量%の、好ましくは約10重量%〜約40重量%の、1つ以上のスルホン酸モノマー;及び任意選択的にポリマーの約1重量%〜約30重量%の、好ましくは約2重量%〜約20重量%の、1つ以上の非イオン性モノマー。特に好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%〜約80重量%の少なくとも1つのカルボン酸モノマーと、ポリマーの約20重量%〜約30重量%の少なくとも1つのスルホン酸モノマーとを含む。
【0064】
カルボン酸は好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは以下のうちの1つである:2−アクリルアミドメチル−1−プロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸(allysulfonic acid)、メタリルスルホン酸(methallysulfonic acid)、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、スルホメチルアクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及びこれらの水溶性塩。不飽和スルホン酸モノマーは、最も好ましくは2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0065】
好ましい市販のポリマーとしては、Alco Chemicalにより供給されるAlcosperse 240、Aquatreat AR 540及びAquatreat MPS、Rohm & Haasにより供給されるAcumer 3100、Acumer 2000、Acusol 587G及びAcusol 588G、BF Goodrichにより供給されるGoodrich K−798、K−775及びK−797、並びに、ISP technologies Inc.により供給されるACP 1042が挙げられる。特に好ましいポリマーは、Rohm & Haasにより供給されるAcusol 587G及びAcusol 588Gである。
【0066】
ポリマーにおいて、全ての又は一部のカルボン酸基又はスルホン酸基は、中和された形態で存在することができ、すなわち、全ての又は一部の酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子は、金属イオンで、好ましくはアルカリ金属イオンで、特にナトリウムイオンで、置換することができる。
【0067】
本明細書での使用に好適な他の有機ポリマーとしては、アクリル酸主鎖及びアルコキシル化側鎖を含むポリマーが挙げられ、このポリマーは、約2,000〜約20,000の分子量を有し、このポリマーは、約20重量%〜約50重量%のアルキレンオキシドを有する。ポリマーは、約2,000〜約20,000、又は約3,000〜約15,000、又は約5,000〜約13,000の分子量を有するべきである。ポリマーのアルキレンオキシド(AO)構成要素は、通常、プロピレンオキシド(PO)又はエチレンオキシド(EO)であり、通常、ポリマーの約20重量%〜約50重量%、又は約30重量%〜約45重量%、又は約30重量%〜約40重量%を構成する。水溶性ポリマーのアルコキシル化された側鎖は、約10〜約55個のAO単位、又は約20〜約50個のAO単位、又は約25〜50個のAO単位を含んでもよい。好ましくは水溶性である、ポリマーは、ランダム、ブロック、グラフト又は他の任意の構成体として構成され得る。アルコキシル化されたアクリル酸ポリマーの形成方法は、米国特許第3,880,765号に開示されている。
【0068】
ケイ酸塩
好ましいケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、例えば二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶性フィロケイ酸塩などである。ケイ酸塩がある場合は、組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは約5重量%〜約15重量%の濃度で存在する。
【0069】
漂白剤
無機及び有機漂白剤は、本明細書において用いるのに適した洗浄活性物質である。存在する漂白剤は、組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは約5重量%〜約15重量%の濃度である。無機漂白剤としては、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩のような過水和物塩が挙げられる。無機過水和物塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和物塩は、追加的保護なしで、結晶性固体として含まれてよい。あるいは、塩はコーティングすることができる。
【0070】
過炭酸のアルカリ金属塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書で用いるのに好ましい過水和物である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に取り込まれる。製品内安定性を提供する好適なコーティング材料は、水溶性アルカリ金属硫酸塩及び炭酸塩の混合塩を含む。このようなコーティングは、コーティングプロセスと共に、過去に英国特許第1,466,799号に記載されている。混合塩コーティング材料の過炭酸塩に対する重量比は、1:200〜1:4、より好ましくは1:99〜19、最も好ましくは1:49〜1:19の範囲である。好ましくは、混合塩は、一般式Na2SO4.n.Na2CO3を有する硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムのものであり、式中、nは0.1〜3、好ましくはnは0.3〜1.0であり、最も好ましくはnは0.2〜0.5である。
【0071】
製品内安定性を供給する別の好適なコーティングは、SiO2:Na2O比が1.8:1〜3.0:1、好ましくはL8:1〜2.4:1のケイ酸ナトリウム及び/又はメタケイ酸ナトリウムを含み、好ましくは無機過水和物塩の2重量%〜10重量%(通常は3重量%〜5重量%)のSiO2濃度で適用される。ケイ酸マグネシウムもコーティングに含むことができる。ケイ酸塩及びホウ酸塩又はホウ酸又はその他の無機物を含有するコーティングも好適である。
【0072】
ワックス類、油類、脂肪石鹸類を含有するその他のコーティングも、本発明内で有利に使用できる。
【0073】
ペルオキシ一過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和物塩である。
【0074】
典型的な有機漂白剤は、ジアシル及びテトラアシルペルオキシドを含む有機ペルオキシ酸、特に、ジペルオキシドデカン二酸(diperoxydodecanedioc acid)、ジペルオキシテトラデカン二酸(diperoxytetradecanedioc acid)、及びジペルオキシヘキサデカン二酸(diperoxyhexadecanedioc acid)である。過酸化ジベンゾイルは、本明細書において好ましい有機ペルオキシ酸である。モノ−及びジペルアゼライン酸、モノ−及びジペルブラシル酸、並びにN−フタロイルアミノペルオキシカプロン酸(N-phthaloylaminoperoxicaproic acid)も、本明細書での使用に適している。
【0075】
ジアシルペルオキシド、特にジベンゾイルペルオキシドは、好ましくは約0.1〜約100μm、好ましくは約0.5〜約30μm、より好ましくは約1〜約10μmの重量平均径を有する粒子の形態で存在すべきである。好ましくは、少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、更により好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%の粒子が10μmより小さく、好ましくは6μmより小さい。上記の粒径範囲内のジアシルペルオキシドは、より大きなジアシルペルオキシド粒子よりも優れた染み除去を、特にプラスチック食器からの除去を提供し、同時に自動食器洗浄機での使用中に、望ましくない付着及び被膜形成を最少化することも見出された。したがって、好ましいジアシルペルオキシドの粒径によって、配合者は低濃度のジアシルペルオキシドでの良好な染み除去を達成することができ、それによって付着及び被膜形成が軽減される。逆に、ジアシルペルオキシドの粒径が増すにつれて、良好な染み除去には更に多くのジアシルペルオキシドが必要となり、食器洗浄方法の間に生じる表面への付着を増やすことになる。
【0076】
更なる一般的な有機漂白剤としてはペルオキシ酸が挙げられ、具体例はアルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸、またペルオキシ−α−ナフトエ酸及びモノ過フタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシへキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸及びN−ノネニルアミドペルコハク酸、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、N,N−テレフタロイルジ(6−アミノペルカプロン酸)である。
【0077】
漂白活性化剤
漂白活性化剤は、一般的に、60℃以下の温度での洗浄過程において漂白作用を増強する有機過酸前駆体である。本明細書で用いるのに好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件(perhydrolysis condition)下で好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸、及び/又は任意に置換された過安息香酸をもたらす化合物が挙げられる。好適な物質は、指定された炭素原子数のO−アシル及び/若しくはN−アシル基並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。好ましいのは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn−ノナノイル−又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−又はイソ−NOBS)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン及び更にはトリエチルアセチルシトレート(TEAC)である。漂白活性化剤は、本発明の組成物に含まれる場合、組成物全体の約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の濃度であり得る。
【0078】
漂白触媒
本明細書で使用するのに好ましい漂白触媒としては、欧州特許第458 397(A)号に記載されているようなマンガン錯体、例えば、Mn−Me TACN;Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連する錯体(米国特許第5114611号);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)(米国特許第4810410号)が挙げられる。本明細書で用いるのに好適な漂白触媒の完全な記述は、国際公開第99/06521号、34ページ、26行〜40ページ、16行に見ることができる。本明細書での使用に好ましい漂白触媒は、マンガン錯体であり、例えば、欧州特許第458 397(A)号に記載されているようなMn−Me TACNである。これは、漂白剤顆粒とは別に封入された形態で存在し得る。漂白触媒は、本発明の組成物に含まれる場合、組成物全体の約0.0001〜約2重量%、好ましくは約0.001〜約1重量%の濃度である。
【0079】
酵素
酵素に関連する用語
アミノ酸修飾に関する命名法
本明細書において酵素変異体を説明する際、参照し易くするために以下の命名法、元のアミノ酸、位置、置換したアミノ酸、が使用される。
【0080】
この命名法に従うと、例えば、195位でグルタミン酸をグリシンに置換したものはG195Eと表示する。同じ位置でグリシンが欠失したものはG195*と表示し、追加のアミノ酸残基、例えばリジンを挿入したものはG195GKと表示する。特定の酵素が他の酵素と比較して「欠失」を含有し、このような位置で挿入が行われる場合、これは、位置36におけるアスパラギン酸の挿入については*36Dというように、示される。複数の変異はプラスにより分離され、すなわち、S99G+V102Nは、位置99と102で、それぞれセリンをグリシンに、バリンをアスパラギンに置換する変異を表わす。ある位置(例えば、102)のアミノ酸が、アミノ酸群から選択された別のアミノ酸、例えば、N及びIからなる基、により置換され得る場合、これは、V102N/Iにより、示される。
【0081】
全ての場合において、一般に認められたIUPACの一文字又は三文字アミノ酸略記を採用する。
【0082】
プロテアーゼアミノ酸の番号付与
本明細書で使用される番号付与は、当該技術分野において一般に使用され、国際公開第00/37627号に例として示されている、いわゆるBPN’番号付与スキームに対比される番号付与である。
【0083】
アミノ酸の同一性
2つのアミノ酸配列の間の関連性は、「同一性」パラメータにより説明される。本発明の目的では、2つのアミノ酸配列のアラインメントは、EMBOSSパッケージ(http://由来の野生型酵素.org)バージョン2.8.0.からのNeedleプログラムを使用することにより、決定される。Needleプログラムは、Needleman,S.B.及びWunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443〜453に記載されている国際的なアラインメントアルゴリズムを実装する。用いる置換マトリクスはBLOSUM62、ギャップオープニングペナルティは10、ギャップエクステンションペナルティは0.5である。
【0084】
本明細書で使用される酵素のアミノ酸配列(「本配列(invention sequence)」)と異なるアミノ酸配列(「異質配列(foreign sequence)」)との間の同一性の度合いは、2つの配列のアラインメントにおける完全一致の数を「本配列」の長さ又は「異質配列」の長さのいずれか短い方で除算して、計算される。この結果を同一度(%)として表す。完全一致は、「本配列」と「異質配列」に、同一のアミノ酸残基が重複部分の同じ位置に備わっている場合に発生する。配列の長さは、配列内のアミノ酸残基の数である。
【0085】
本明細書で使用するのに好ましい酵素としては、プロテアーゼが挙げられる。好適なプロテアーゼとしては、スブチリシン(EC 3.4.21.62)のような、中性又はアルカリ性の微生物セリンプロテアーゼなどの、メタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼが挙げられる。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物由来のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは微生物由来のものであり得る。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学修飾又は遺伝子組み換えの変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであり得る。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、
(a)サブチリシン(EC 3.4.21.62)(Bacillus lentus、B.alkalophilus、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、Bacillus pumilus及びBacillus gibsoniiなどのBacillusから誘導されたものを含む)(米国特許第6,312,936(B1)号、同第5,679,630号、同第4,760,025号、同第7,262,042号及び国際公開第09/021867号に記載)。
(b)トリプシン(例えばブタ又はウシ由来)などのトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ(国際公開第89/06270号に記述されているフサリウムプロテアーゼ、及び同第05/052161号及び同第05/052146号に記述されているCellumonasに由来するキモトリプシンプロテアーゼを含む)。
(c)メタロプロテアーゼ(国際公開第07/044993(A2)号に記述されているBacillus amyloliquefaciensから誘導されたものを含む)。
【0086】
好ましいプロテアーゼとしては、Bacillus gibsonii又はBacillus Lentusから誘導されたものが挙げられる。
【0087】
本発明の洗剤に特に好ましいプロテアーゼは、Bacillus lentus由来の野生型酵素と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を示し、参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第00/37627号に示すようなBPN’番号付与システム及びアミノ酸略称を用いて、以下の位置の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上で変異:
68、87、99、101、103、104、118、128、129、130、167、170、194、205及び222を含み、場合により、アミノ酸95〜103を含む領域での1つ以上の挿入を含むポリペプチドである。
【0088】
好ましくは、変異は、下記:V68A、N87S、S99D、S99SD、S99A、S101G、S103A、V104N/I、Y167A、R170S、A194P、V205I及び/又はM222Sのうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上から選択される。
【0089】
最も好ましくは、プロテアーゼは、PB92野生型(国際公開第08/010925号の配列番号2)又はサブチリシン309野生型(N87Sの天然変異を含むことを除きPB92主鎖と同じ配列)のいずれかと対比される下記の変異(BPN’番号付与システム)を含む群から選択される:
(i)G118V+S128L+P129Q+S130A
(ii)G118V+S128N+P129S+S130A+S166D
(iii)G118V+S128L+P129Q+S130A+S166D
(iv)G118V+S128V+P129E+S130K
(v)G118V+S128V+P129M+S166D
(vi)G118V+S128F+P129L+S130T
(vii)G118V+S128L+P129N+S130V
(viii)G118V+S128F+P129Q
(ix)G118V+S128V+P129E+S130K+S166D
(x)G118V+S128R+P129S+S130P
(xi)S128R+P129Q+S130D
(xii)S128C+P129R+S130D
(xiii)S128C+P129R+S130G
(xiv)S101G+V104N
(xv)N76D+N87S+S103A+V104I
(xvi)V68A+N87S+S101G+V104N
(xvii)S99SD+S99A
(xviii)N87S+S99SD+S99A
【0090】
好適な市販のプロテアーゼ酵素としては、Novozymes A/S(Denmark)により商品名Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)及びEsperase(登録商標)で販売されているもの、Genencor Internationalにより商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)で販売されているもの、Solvay Enzymesにより商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)で販売されているもの、Henkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわち、全てHenkel/KemiraからのBLAP(以下の変異:S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sを有する米国特許第5,352,604号の図29に示されている配列、これ以降ではBLAPと呼ばれる)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP);並びに花王株式会社からのKAP(変異A230V+S256G+S259Nを有するBacillus alkalophilus)が挙げられる。
【0091】
本発明の組成物中の好ましい濃度のプロテアーゼは、組成物1グラム当たり約0.1〜約10mg、より好ましくは約0.5〜約5mg、特に約1〜約4mg、の活性プロテアーゼを含む。
【0092】
本明細書での使用に好ましい酵素としては、バクテリア又は真菌由来のものなどのα−アミラーゼが挙げられる。化学修飾された又は遺伝子操作された変異体(変異型)が含まれる。好ましいアルカリ性α−アミラーゼは、Bacillusの菌種から、例えば、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、又は他のBacillus sp、例えばBacillus sp.NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、DSM 9375(米国特許第7,153,818号)、DSM 12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下のものが挙げられる。
(a)国際公開第94/02597号、同第94/18314号、同第96/23874号、及び同第97/43424号に記載の変異体、特に、国際公開第96/23874号の配列番号2としてリストされた酵素に対して、以下の位置:15、23、105、106、124、128、133、154、156、181、188、190、197、202、208、209、243、264、304、305、391、408及び444のうちの1つ以上が置換された変異体。
(b)米国特許第5,856,164号及び国際公開第99/23211号、同第96/23873号、同第00/60060号、及び同第06/002643号に記載の変異型、特に国際公開第06/002643号で配列番号12として記載のAA560酵素に対して、以下の位置:
26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、203、214、231、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、461、471、482、484のうちの1つ以上が置換された変異体であって、好ましくはD183*及びG184*の欠損を含有する変異体。
(c)国際公開第06/002643号での配列番号4(Bacillus SP722由来の野生型酵素)と少なくとも90%の同一性を呈し、特に位置183及び184で欠損を有する変異体、並びに本明細書に参照により組み込まれる国際公開第00/60060号に記載の変異体。
(d)Bacillus sp.707由来の野生型酵素と少なくとも95%の同一性を呈する変異体(米国特許第6,093,562号に記載の配列番号7)、特に、M202、M208、S255、R172、及び/又はM261の位置の1つ以上に変異を含むもの。好ましくはこのアミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qの1つ以上を含む。特に好ましいのは、M202L又はM202Tの変異を含むものである。
【0093】
好適な市販のα−アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH(Wehlistrasse 27b A−1200 Wien Austria))、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)及びPURASTAR OXAM(登録商標)(Genencor International Inc.(Palo Alto,California))、並びに、KAM(登録商標)(花王株式会社(日本、103−8210、東京都中央区日本橋茅場町1丁目14−10))が挙げられる。一態様では、好適なアミラーゼとしては、NATALASE(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、及びSTAINZYME PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0094】
好ましくは、本発明の組成物は、活性α−アミラーゼを組成物1グラム当たり少なくとも0.01mg含み、好ましくは組成物1グラム当たり約0.05〜約10、より好ましくは約0.1〜約6、特に約0.2〜4mgのα−アミラーゼを含む。
【0095】
金属処理剤
金属処理剤は、金属(アルミニウム、ステンレス鋼、及び非鉄金属(銀及び銅など)を含む)の錆、腐食又は酸化を防止又は低減し得る。好適な例としては、次の1つ以上が挙げられる。
(a)ベンゾトリアゾール又はビス−ベンゾトリアゾールとこれらの置換誘導体を包含するベンザトリアゾール。ベンゾトリアゾール誘導体は、芳香族環上の使用可能な置換部位が部分的又は完全に置換されている化合物である。好適な置換基としては、直鎖又は分枝鎖のC1〜C20−アルキル基と、ヒドロキシル、チオ、フェニル、あるいはフッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などのハロゲンが挙げられる。
(b)金属が酸化状態II、III、IV、V又はVIの1つにある、亜鉛、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルト、ガリウム、及びセリウムの塩及び/又は錯体からなる群から選択される金属塩及び錯体。一態様では、好適な金属塩及び/又は金属錯体は、硫酸Mn(II)、クエン酸Mn(II)、ステアリン酸Mn(II)、Mn(II)アセチルアセトネート、K2TiF6、K2ZrF6、CoSO4、Co(NO3)2及びCe(NO3)3、亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛、水亜鉛土又は酢酸亜鉛からなる群から選択され得る)。
(c)ケイ酸ナトリウム又はカリウム、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、結晶性フィロケイ酸塩、及びこれらの混合物を包含するケイ酸塩。
【0096】
銀/銅腐食阻害剤として作用する更なる好適な有機及び無機レドックス活性物質は、国際公開第94/26860号及び国際公開第94/26859号で開示されている。
【0097】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物全体の0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜4重量%、特に0.3〜3重量%の金属処理剤を含み、好ましくは金属処理剤は亜鉛塩である。
【0098】
単位用量形態
好ましくは、本発明の製品は単位用量製品である。単位用量形態の製品としては、錠剤、カプセル、分包剤、パウチなどが挙げられる。本明細書での使用に好適であるのは錠剤、水溶性フィルムで包装された単位用量形態(包装された錠剤、カプセル、分包剤、パウチなど)及び注入成形容器である。本発明の単位用量形態は好ましくは、水溶性多区画パックである。
【0099】
多区画パックは、複数の区画を形成する複数の水溶性包装材料により形成され、区画の1つは本発明の組成物を収容し、他の区画は液体組成物を収容することができ、この液体組成物は水性であってよく(すなわち液体組成物の10重量%を超える水を含む)、この区画は温水溶解性材料から作製される。一部の実施形態では、本発明の組成物を含む区画は冷水溶解性材料から作製される。異なる成分を分離し、かつ制御放出することが可能になる。他の実施形態では、全ての区画が温水溶解性材料からなる。
【0100】
好ましいパックは、他の区画の上に重ね合わせられた(すなわち上に配置された)、少なくとも2つの隣り合った区画を備え、パウチが特に好ましい。この配置は、パックの小型化、丈夫さ及び強度に貢献し、更にこの配置は、必要とされる水溶性材料の量を最小化する。3つの区画を形成するのに必要とされる材料は3片だけである。パックが丈夫であることで、パックの物理的一体性を損なわずに非常に薄いフィルムを使用することも可能になる。パックはまた、区画を折り畳む必要なく固定形状の機械分配器内で使用できることから、非常に使いやすい。パックの少なくとも2つの区画は、2つの異なる組成物を収容する。「異なる組成物」とは、本明細書では、少なくとも1つの成分が異なる組成物を意味する。
【0101】
好ましくは、少なくとも1つの区画は固体組成物を収容し、他の区画は液体組成物を収容する。これらの組成物の固体対液体の重量比は、好ましくは約20:1〜約1:20、より好ましくは約18:1〜約2:1、更により好ましくは約15:1〜約5:1である。この種類のパックは、パックが広範囲の固体:液体比の値を有する組成物を収容できることから非常に多目的である。洗剤成分の多くは、固体形態での、好ましくは粉末形態での使用に最も好適であることから、特に好ましいものは固体の液体に対する比が高いパウチであることが見出されている。本明細書で定義される固体:液体の比は、パック内の全ての固体組成物の重量と全ての液体組成物の重量との間の関係を指す。
【0102】
好ましい固体:液体の重量比は、約2:1〜約18:1であり、より好ましくは約5:1〜約15:1である。これらの重量比は、洗剤の成分の大半が液体形態である場合において好適である。
【0103】
好ましくは2つの隣り合った区画には、同じものであり得るが、好ましくは異なる液体組成物が収容され、他の区画には固体組成物が、好ましくは粉末形態で、より好ましくは圧密化粉末で収容される。固体組成物は、パックの強度及び丈夫さに貢献する。
【0104】
ディスペンサーへの適合性の理由から、特に自動食洗機では、本明細書の単位用量形態の製品は正方形又は長方形の基材を有し、高さは約1〜約5cm、より好ましくは約1〜4cmである。好ましくは固体組成物の重量は約5〜約20グラム、より好ましくは約10〜約15グラムであり、液体組成物の重量は約0.5〜約4グラム、より好ましくは約0.8〜約3グラムである。
【0105】
好ましい実施形態では、異なる区画を形成するフィルムの少なくとも2つは、同一条件下で異なる溶解度を有し、それらのフィルムが部分的又は全体的に包む内容物(組成物)を異なる時間に放出する。
【0106】
多区画パウチの成分の制御放出は、フィルムの厚さ及び/又はフィルム材料の溶解度を変えることによって達成することができる。フィルム材料の溶解性は、例えば国際公開第02/102,955号の17及び18ページに記載されているようにフィルムの架橋により、遅らせることができる。すすぎ剤を放出するように設計された他の水溶性フィルムは、米国特許第4,765,916号及び同第4,972,017号に記載されている。フィルムのワックス性被覆層(国際公開第95/29982号を参照のこと)は、すすぎ剤放出を補助し得る。pHにより制御される放出手段、とりわけ選択される程度のアセチル化を有するアミノ−アセチル化多糖は、国際公開第04/111178号に記載されている。
【0107】
異なる区画(区画が、異なる溶解度を有するフィルムで作製されている)を有する多区画パウチによる遅延放出を得る他の手段は、国際公開第02/08380号に教示されている。
【0108】
本明細書で示される百分率は全て、特に指定しない限り組成物に対する重量による。
【実施例】
【0109】
以下に一覧表にされた式を有する自動用洗剤粉末を調製した。
【0110】
【表1】

【0111】
(下表に特定されているような)1.9gの界面活性剤と0.8gのスルホン化ポリマーに加えて例示組成物を使用して、自動食器洗浄機においてプラスチックを洗浄した。使用したプラグラムは、Eco 50であった。温水を使用した。プラスチックを以下に特定するように50gの汚れの存在下で洗浄した。物品を乾燥サイクルの終了30分後に等級付けした。等級付け尺度:10:完全に乾燥している、及び、1:完全に濡れている。下表から理解できるように、最良の乾燥結果は、断然、本発明による洗剤組成物が使用されたケースCに対応している。物品はまた、被膜形成及びしみ形成についても良好さを示している。
【0112】
【表2】

SLF18:BASFから入手可能な非イオン性界面活性剤
LF224:BASFから入手可能な低起泡性非イオン性界面活性剤
LF731:本発明によるエステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤。BASFから入手可能。
588:Rohm & Haasから供給されるAcusol 588Gスルホン化ポリマー
【0113】
汚れ組成物及び調製
【0114】
【表3】

【0115】
上記成分を計量してフードプロセッサに入れ、次いで、成分を10分にわたって一緒にブレンドする。
【0116】
本明細書で開示した寸法及び値は、列挙した厳密な数値に厳格に限定されるものとして解釈されるものではない。むしろ、別段の指定がない限り、そのような各寸法は、列挙した値と、その値を包含する機能的に等価な範囲との双方を意味することを意図したものである。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥を提供するために食器洗浄機の主洗浄中に使用するための自動食器洗浄機用洗剤組成物であって、前記洗剤は、一般式(I)
【化1】

(式中、
Rは、8〜16個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
3、R1は、互いに独立して、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
2は、5〜17個の炭素原子を有する非分枝鎖アルキル基であり、
l、nは、互いに独立して、1〜5の数であり、
mは、13〜35の数である)
のエステル化されたアルキルアルコキシ化界面活性剤と、有機ポリマー、有機ビルダー及びこれらの混合物から選択される分散剤と、を含む洗剤組成物。
【請求項2】
前記有機ポリマーがカルボキシル化ポリマー、好ましくはカルボキシル化/スルホン化ポリマーである、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項3】
前記有機ビルダーが、MGDA、GLDA、IDSカルボキシメチルイヌリン及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の洗剤組成物。
【請求項4】
アルコキシル化アルコール、好ましくはエトキシル化アルコール、を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項5】
前記エステル化されたアルキルアルコキシル化及び前記エトキシル化アルコールが約1:1〜約10:1の重量比で存在する、請求項4に記載の洗剤組成物。
【請求項6】
前記エトキシル化アルコールが、約10〜14個の炭素原子と、5〜8分子のエチレンオキシドと、を含有する脂肪族アルコールを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項7】
a)Bacillus lentus由来の野生型酵素と少なくとも90%の同一性を呈するプロテアーゼであって、国際公開第00/37627号に例示されているBPN番号付与システム及びアミノ酸略号を使用して、下記の位置:
68、87、99、101、103、104、118、128、129、130、167、170、194、205及び222のうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上における、変異を含み、場合により、アミノ酸95〜103を含む領域に1つ以上の挿入を含むプロテアーゼ;
(b)Bacillus sp.707の野生型酵素と少なくとも95%の同一性を呈するアミラーゼ(米国特許第6,093,562号に記載の配列番号7)、特に、M202、M208、S255、R172、及び/又はM261の位置の1つ以上に変異を含むもの;並びに
c)これらの混合物、
から選択される酵素を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項8】
前記洗剤の少なくとも一部が微粒子形態であり、前記エステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤の少なくとも一部が前記粒子上に噴霧されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項9】
単位用量形態、好ましくは、液体組成物を収容する区画と固体組成物を収容する別の区画とを備える多区画パウチの形態である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項10】
前記食器洗浄機の主洗浄に請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗剤を送達する工程を含む、食器洗浄機での食器洗浄方法。
【請求項11】
食器洗浄機での洗浄中に乾燥を達成する方法であって、食器洗浄機の主洗浄に
一般式(I)
【化2】

(式中、
Rは、8〜16個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
3、R1は、互いに独立して、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
2は、5〜17個の炭素原子を有する非分枝鎖アルキル基であり、
l、nは、互いに独立して、1〜5の数であり、
mは13〜35の数である)
のエステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤を含む洗剤又は請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗剤を送達する工程を含む
方法。
【請求項12】
自動食器洗浄操作の洗浄中に乾燥を提供するための食器洗浄機の主洗浄時の、
一般式(I)
【化3】

(式中、
Rは、8〜16個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
3、R1は、互いに独立して、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖アルキル基であり、
2は、5〜17個の炭素原子を有する非分枝鎖アルキル基であり、
l、nは、互いに独立して、1〜5の数であり、
mは13〜35の数である)
のエステル化されたアルキルアルコキシル化界面活性剤を含む洗剤製品又は請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗剤の使用。

【公表番号】特表2013−513701(P2013−513701A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543246(P2012−543246)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059470
【国際公開番号】WO2011/072017
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】