説明

洗浄システム

【課題】化石燃料の使用量の削減を図ることができ、ランニングコストおよびCO排出量を抑制することができ、且つ作業者の作業環境の改善を図ることが可能な洗浄システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる洗浄システムの構成は、湯を用いて被処理体(番重102)を洗浄する洗浄システム100であって、被処理体を移動させる被処理体移動経路104と、被処理体移動経路の下方に配置され、湯を貯留する貯湯槽110aおよび110bと、貯湯槽に接続され、貯留された湯を被処理体に散水する散水手段120aおよび120bと、空気を熱源として貯湯槽に供給する湯を生成するヒートポンプ130と、ヒートポンプで冷却された空気を被処理体移動経路が設置される室内の所定位置に噴出する冷気噴出器108a〜108cと、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯を用いて被処理体を洗浄する洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品等(以下、単に食品と称する)を生産する工場や配送センターでは、生産後の食品を載せる皿や、食品運搬用の運搬容器(以下、これらを被処理体と称する)を洗浄する洗浄装置が設置されていることがある。かかる洗浄装置の一般的な構成としては、特許文献1に開示されている食器の連続洗浄装置を例示することができる。特許文献1の洗浄装置では、コンベアに載置されて移動する食器(被処理体)を、洗浄室において散湯管を用いて温湯や高温湯(以下、単に湯と称する)を注湯することにより洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−313424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1にも記載されているように、一般的な洗浄装置では、その内部または近傍に設けたボイラによって得た蒸気を用いて、洗浄に使用する湯を生成している。しかし、ボイラのように化石燃料を燃焼させる設備であると、蒸気生成時(燃焼時)にCOが発生するため環境負荷への観点において好ましくない。また、ボイラでは蒸気を生成するための化石燃料に莫大なランニングコストを要するため、コスト削減も要請されている。
【0005】
また他の課題として、上述したように洗浄装置では湯を大量に使用するため、かかる洗浄装置が設置されている室内、特に被処理体の洗浄工程ラインである洗浄装置近傍の温度は著しく上昇し、常温よりも極めて高い状態である。このため、そこで作業している作業者が不快に思う場合があり、その作業環境の改善が求められていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、化石燃料の使用量の削減を図ることができ、ランニングコストおよびCO排出量を抑制することができ、且つ作業者の作業環境の改善を図ることが可能な洗浄システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる洗浄システムの代表的な構成は、湯を用いて被処理体を洗浄する洗浄システムであって、被処理体を移動させる被処理体移動経路と、被処理体移動経路の下方に配置され、湯を貯留する貯湯槽と、貯湯槽に接続され、貯留された湯を被処理体に散水する散水手段と、空気を熱源として貯湯槽に供給する湯を生成するヒートポンプと、ヒートポンプで冷却された空気を被処理体移動経路が設置される室内の所定位置に噴出する冷気噴出器と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成では、従来のボイラに替えて、ヒートポンプによって湯の生成を行う。これにより、洗浄システムにおける化石燃料の使用量の削減を図ることができ、ランニングコストおよびCO排出量を抑制することが可能となる。むろん、熱源を単にボイラーからヒートポンプに代替しただけであれば、特に目新しい話ではない。しかし、更に上記構成では、ヒートポンプで冷却された空気(冷風)は冷気噴出器によって室内の所定位置に噴出され、スポットクーラとなる。ここで、貯湯槽や散水手段が近傍に配置される被処理体移動経路(以下、これらを総じて洗浄装置と称する。)の周辺は熱気が立ちこめるため、作業者にとっては不快となりやすい温度である。また、洗浄装置では被処理体の補充、装置内部や操作パネルの監視など、作業者の位置(移動範囲)は限定的である。そこで、そのような作業上の定位置(所定位置)を局所的に冷却することにより、効果的に作業者に冷風を供給することができ、その作業環境の改善を図るとともに、ヒートポンプで冷却された空気の有効活用が図られる。すなわち本発明は、ヒートポンプを利用して洗浄装置ならではの利益を得た洗浄システムということができる。
【0009】
上記の貯湯槽内の湯を補助的に加熱する電気ヒータを更に備えるとよい。これにより、洗浄工程ラインにおいて複数の貯湯槽を設置して被処理体を連続洗浄する場合に、その複数の貯湯槽の温度設定が各々異なっても個別の温度調整が可能となる。また仮にヒートポンプの熱源となる空気の温度が低かった場合等に熱量の不足が生じても、貯湯槽の湯を確実に所望の温度まで加熱することができる。
【0010】
上記のヒートポンプの熱源となる空気は、被処理体移動経路が設置される室内の空気であるとよい。洗浄装置の周辺は熱気が立ちこめるため、室内空気をヒートポンプの熱源として有効利用することができる。したがって上記構成により、室内、すなわち作業現場の空気の熱を有効利用しつつ、ヒートポンプの熱源となる熱量を効率的に得ることができ、エネルギーロスの削減と洗浄システム全体のエネルギー効率向上を同時に達成することが可能となる。
【0011】
上記の貯湯槽には、既設のボイラによって生成された湯が供給されるボイラ供給経路が接続されていて、ヒートポンプが生成した湯は、ボイラ供給経路を介して貯湯槽に供給されるとよい。
【0012】
かかる構成によれば、既設のボイラを使用している設備であっても、大規模な改造を伴うことなく、本発明にかかる洗浄システムの導入が可能となる。またヒートポンプが生成した湯を供給する経路として既設のボイラ供給経路使用することにより、かかる湯を供給する経路の新設分を削減することができるため、コストを削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、化石燃料の使用量の削減を図ることができ、ランニングコストおよびCO排出量を抑制することができ、且つ作業者の作業環境の改善を図ることが可能な洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態にかかる洗浄システムの構成を示す図である。
【図2】第2実施形態にかかる洗浄システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる洗浄システム100の構成を示す図である。なお、以下の説明では、被処理体として、食品運搬用の薄型容器(番重やプラスチックコンテナと称されることもある。以下、番重102と称する)を例示するが、これに限定するものではない。
【0017】
図1に示す洗浄システム100では、湯を用いて被処理体である番重102の洗浄を行う。洗浄室100a内に移動された番重102は、被処理体移動経路104aおよび104b(以下、これらを総じて被処理体移動経路104と称する。)に載置され、これによって移動させられる。すなわち被処理体移動経路104aおよび104bは、番重102の移動手段であり、洗浄工程ラインと換言することができる。かかる被処理体移動経路104aおよび104bとしてはベルトコンベア等を好適に用いることができる。
【0018】
なお、本実施形態においては、番重102(被処理体)は、被処理体移動経路104上を図面右側(上流)から図面左側(下流)に移動するものとする。また本実施形態の洗浄システム100では、2つの被処理体移動経路104aおよび104bを設けたが、これに限定するものではなく、それらは一体であってもよいし、更に細分化されていてもよい。
【0019】
被処理体移動経路104の下方には貯湯槽110a、110bが配置されている。これらの貯湯槽110aおよび110bには、後述する散水手段120aおよび120bによって番重102に散水するための湯が貯留されている。例えば図1に示すように、貯湯槽110aには70℃〜80℃の湯が貯留されていて、貯湯槽110bには60℃〜70℃の湯が貯留されている。
【0020】
なお、上記の貯湯槽の数はあくまでも例示であり、これに限定するものではなく、任意に定めることが可能である。また貯湯槽110a〜110bに貯水される水の温度についても、これに限定するものではなく、理解を容易にするために具体的な温度を例示したに過ぎない。
【0021】
貯湯槽110aおよび110bには、それぞれ散水手段120aおよび120bが接続されている。散水手段120aおよび120bは、接続された貯湯槽110aおよび120bに貯留された湯を被処理体である番重102に散水する。
【0022】
散水手段120aおよび120bには、それぞれ散水経路122aおよび122bが接続されていて、これらの散水経路122aおよび122bには、それぞれ散水ポンプ124aおよび124bが設けられている。これにより、散水ポンプ124aおよび124bを動力として、散水経路122aおよび122bから散水手段120aおよび120bに貯湯槽110aおよび110bの水がそれぞれ供給され、かかる散水手段120aおよび120bによる番重102への散水が行われる。
【0023】
本実施形態では、番重102は、被処理体移動経路104aによって移動して散水手段120aからの貯湯槽110aの湯に浸漬されることによって1段階目の洗浄(浸漬洗浄)が行われる。そして、被処理体移動経路104aの終点において番重102は被処理体移動経路104bに移され、かかる被処理体移動経路104bによって移動して散水手段120bからの貯湯槽110bの湯が散水されることによって2段階目の洗浄(低圧洗浄)が行われる。
【0024】
なお、本実施形態においては、2つの散水手段120aおよび120bによって番重102を洗浄する構成を例示したが、これに限定するものではない。例えば、例示した散水手段120aおよび120b以外にもそれを更に追加し、ラベル剥離工程や循環すすぎ工程、高圧洗浄工程を設けてもよいし、それら以外の工程を追加することも可能である。
【0025】
散水手段120aおよび120bによって番重102に散水された湯は、そのまま落下して貯湯槽110aおよび110bに戻る。このとき、貯湯槽110aの上方にはストレーナ112aが、貯湯槽110bの上方にはストレーナ112bが設置されていて、これらにより、貯湯槽110aおよび110bに戻る湯に含まれる異物が除去される。
【0026】
上記の貯湯槽110aおよび110bに貯留される湯は、ヒートポンプ130によって生成される。ヒートポンプ130は、内部の一次冷媒循環経路130aに一次冷媒が循環していて、空気を熱源として貯湯槽110aおよび110bに供給する湯を生成する。一次冷媒循環経路130a上には、蒸発器132、圧縮手段134、凝縮器136および膨張手段138が設けられている。
【0027】
蒸発器132は、一次冷媒と空気との熱交換を行う。これにより、一次冷媒は空気の熱を吸熱して蒸発し、空気は一次冷媒に放熱して冷却される。この蒸発器132(ヒートポンプ130)に供給される空気は、被処理体移動経路104が設置される室内、すなわち洗浄室100a内の空気であるとよい。洗浄装置の周辺は熱気が立ちこめるため、室内空気をヒートポンプの熱源として有効利用することができる。これにより、室内(作業現場)の温度が高い空気の熱を有効利用しつつ、ヒートポンプ130の熱源となる熱量を効率的に得ることができる。したがって、エネルギーロスの削減と洗浄システム100全体のエネルギー効率向上を同時に達成することが可能となる。
【0028】
また本実施形態の特徴として、蒸発器132に供給され、そこでの一時冷媒との熱交換によって冷却された空気、すなわちヒートポンプ130で冷却された空気は、洗浄室100a(室内)に設けられた冷気噴出器108a、108bおよび108cに供給される。
【0029】
冷気噴出器108a〜108cは、洗浄室100a内に設けられた被処理体移動経路104(洗浄工程ライン)の近傍の所定位置に配置され、かかる洗浄室100a内に冷風を噴出する、いわゆるスポットクーラである。冷気噴出器108a〜108cを配置する所定位置とは、番重102の補充、装置内部や操作パネルの監視など、作業上の定位置(作業者の滞留時間が長い位置)である。
【0030】
これにより、被処理体移動経路104近傍の高温な環境下において作業に従事する作業者に局所的に冷風が供給され、その作業環境の改善を図ることができる。そして、かかる冷気噴出器108a〜108cが噴出する冷風として、ヒートポンプ130で冷却された空気を用いていることにより、その空気の有効活用が可能となる。すなわち、洗浄システム100に熱源としてヒートポンプを用いること、およびその冷風をスポットクーラとして利用することは、ヒートポンプを利用した洗浄装置ならではの利点を有している。
【0031】
なお、本実施形態においては、冷気噴出器108a〜108c(スポットクーラ)を100a内に3つ設置する場合を例示したが、その数は任意に変更可能であり、設置場所においても、必ずしも被処理体移動経路104の近傍である必要はなく、洗浄室100a内の他の箇所や、屋外に設置されてもよい。またヒートポンプ130で冷却された空気が供給される冷気噴出器は、洗浄室100a内に局所的に冷風を供給するスポットクーラでなくてもよく、他の装置や設備であってもよい。例えば、ヒートポンプ130で冷却された空気は、洗浄室100aの全館空調を行う空調機(不図示)に供給されてもよい。
【0032】
続いて、蒸発器132での熱交換後の一次冷媒は、圧縮手段134において電力を利用して圧縮されることにより、高圧状態となって高熱を発する。そして、圧縮手段134で圧縮された一次冷媒は、凝縮器136において、給水経路105から供給される水との熱交換を行う。これにより、一次冷媒は水に放熱して凝縮し、水は一次冷媒から吸熱して加熱されて湯となる。生成された湯は、給湯経路106を通じて貯湯槽110aおよび110bに供給され、貯湯される。また貯湯槽110aには、ヒートポンプ130によって生成された湯が洗剤タンク103を経由することにより洗剤が混合された洗剤水も供給される。
【0033】
一方、凝縮器136における熱交換後の一次冷媒は、膨張手段138において減圧状態とされて膨張冷却されることにより再度空気の熱を吸収することが可能となり、一次冷媒循環経路130aを循環して蒸発器132において空気との熱交換を再度行う。
【0034】
上述したように、貯湯槽110aおよび110bに貯湯する湯をヒートポンプ130によって生成することにより、従来湯の生成に用いられていたボイラが不要になる。したがって、洗浄システム100における化石燃料の使用量の削減を図ることができ、ランニングコストおよびCO排出量を抑制することが可能となる。なお、本実施形態においては、ヒートポンプ130を洗浄室100a内に設置する場合を例示したが、これに限定するものではなく、ヒートポンプ130を屋外に設置することも可能である。
【0035】
更に本実施形態では、上述したヒートポンプ130で生成された後に貯湯槽110aおよび110b内に貯湯された湯を補助的に加熱する電気ヒータ114aおよび114bを、貯湯槽110aおよび110bの各々に設けている。これにより、複数の貯湯槽110aおよび110bを設置して番重102を連続洗浄する場合において、それらの貯湯槽の温度設定が各々異なっても個別の温度調整が可能となる。
【0036】
例えば、上述したように貯湯槽110aには70℃〜80℃の湯が、貯湯槽110bには60℃〜70℃の湯が貯留される場合、ヒートポンプ130で生成する湯の温度を60℃〜70℃に設定する。そして、その湯を貯湯槽110aおよび110bに供給し、貯湯槽110aにおいて電気ヒータ114aによって補助加熱を行えば、貯湯槽110aに貯湯される湯の温度を所望の温度に到達させることができる。
【0037】
上記説明したように、第1実施形態にかかる洗浄システム100によれば、ヒートポンプ130によって湯の生成が可能であるため、従来のようにボイラによって湯を生成する場合に比べて、化石燃料の使用量の削減、ひいてはランニングコストおよびCO排出量を抑制することが可能となる。またヒートポンプ130で冷却された空気(冷風)を冷気噴出器108a〜108cによって室内(洗浄室100a)に噴出することにより、作業者に冷風を供給してその作業環境の改善を図るとともに、ヒートポンプ130で冷却された空気の有効活用が図られる。
【0038】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態にかかる洗浄システム200の構成を示す図である。なお、上述した洗浄システム100と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。図2に示す第2実施形態の洗浄システム200は、既設のボイラ202を有する設備を改変する場合を例示している。ボイラ202からは、そこで生成された湯を供給するボイラ供給経路205と、そこで生成された蒸気を供給する蒸気供給経路206とが、貯湯槽110aおよび110bに接続されている。
【0039】
第2実施形態の洗浄システム200では、給湯経路106をボイラ供給経路205に接続し、ヒートポンプ130が生成した湯を、かかるボイラ供給経路205を介して貯湯槽110aおよび110bに供給する。このような構成であれば、既設のボイラ202を使用している設備であっても、大規模な改造を伴うことなく上述した洗浄システム100と同様の利点を得ることができる。また給湯経路106をボイラ供給経路205に接続することで、ヒートポンプ130が生成した湯を供給する経路である給湯経路106の新設分を減らせるため、コストの削減を図ることが可能となる。
【0040】
次に、本実施形態にかかる洗浄システム100の効果について説明する。ここで、生成する湯の設定温度である洗浄機(洗浄装置)設定温度を60℃、給水経路105によってヒートポンプ130に供給される水の温度である供給水温度を15℃、洗浄システム100において1分当たりに使用される水量(湯量)である洗浄機使用水量を10L/時と仮定する。なお、これらの数値はいずれも理解を容易にするための例示であり、限定するものではない。
【0041】
上記の各パラメータを用いると、洗浄システム100における給水熱量(厳密には、給湯熱量)は、「洗浄機使用水量(10L/分)×(洗浄機設定温度(60℃)−供給水温度(15℃))」の式から、27000kcal/時と算出される。蒸気の熱量を0.4MPaのときに656kcal/時であると仮定すると、この給水熱量を「656kcal/時−洗浄機設定温度(60℃)」で除算することにより蒸気量に換算され、かかる蒸気量は45.3kg/時と算出される。また、給水熱量を860kcal/kWで除算することにより電力量に換算され、かかる電力量は31.4kW/時と算出される。
【0042】
上述したように、給水熱量を換算した電力量すなわち湯の生成に要する電力量が31.4kW/時であるとき、ヒートポンプのCOPが4であったとする。すると、かかる電力量のうち3/4は空気からの熱で賄われるため、実質的にヒートポンプが消費する電力量は7.9kW/時となる。このように、湯の生成に要する熱量を従来の1/4まで削減することができ、ランニングコストの飛躍的な削減を図ることができる。また、化石燃料の使用量の削減、ひいてはCO排出量の抑制を図ることができる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、湯を用いて被処理体を洗浄する洗浄システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
100…洗浄システム、100a…洗浄室、100b…板金、100c…排気口、102…番重、103…洗剤タンク、104…被処理体移動経路、104a…被処理体移動経路、104b…被処理体移動経路、105…給水経路、106…給湯経路、108a…冷気噴出器、108b…冷気噴出器、108c…冷気噴出器、110…貯水槽、110a…貯湯槽、110b…貯湯槽、112a…ストレーナ、112b…ストレーナ、114a…電気ヒータ、114b…電気ヒータ、120…散水手段、120a…散水手段、120b…散水手段、122a…散水経路、122b…散水経路、124a…散水ポンプ、124b…散水ポンプ、130…ヒートポンプ、130a…一次冷媒循環経路、132…蒸発器、134…圧縮手段、136…凝縮器、138…膨張手段、200…洗浄システム、202…ボイラ、205…ボイラ供給経路、206…蒸気供給経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を用いて被処理体を洗浄する洗浄システムであって、
前記被処理体を移動させる被処理体移動経路と、
前記被処理体移動経路の下方に配置され、前記湯を貯留する貯湯槽と、
前記貯湯槽に接続され、前記貯留された湯を前記被処理体に散水する散水手段と、
空気を熱源として前記貯湯槽に供給する湯を生成するヒートポンプと、
前記ヒートポンプで冷却された空気を前記被処理体移動経路が設置される室内の所定位置に噴出する冷気噴出器と、
を備えたことを特徴とする洗浄システム。
【請求項2】
前記貯湯槽内の湯を補助的に加熱する電気ヒータを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記ヒートポンプの熱源となる空気は、前記被処理体移動経路が設置される室内の空気であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記貯湯槽には、既設のボイラによって生成された湯が供給されるボイラ供給経路が接続されていて、
前記ヒートポンプが生成した湯は、前記ボイラ供給経路を介して前記貯湯槽に供給されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−152656(P2012−152656A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11302(P2011−11302)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】