説明

洗浄剤組成物

【課題】多量の界面活性剤を必要とせず、簡便な操作で皮脂やメイクアップ化粧料等の皮膚や毛髪上の汚れを洗浄除去できる新たな洗浄剤を提供する。
【解決手段】皮脂等の油性成分の新たな除去手段として、比表面積が大きく、かつ多孔質である無機粉体と揮発性液状油剤と水とを組み合わせによる下記粉体乳化組成物が、油性成分を皮膚や毛髪から効率良く除去できる。次の成分(A)〜(C):(A)比表面積が600〜2000m2/gの多孔質無機粉体、(B)室温で揮発性の液状油剤(C)水を含有する洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物、詳細には粉体乳化系洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚や毛髪上には、通常の汚れ以外に皮脂やメイクアップ化粧料があるため、皮膚及び毛髪用の洗浄剤には、通常の汚れ以外に油性成分を除去するために種々の界面活性剤、油性成分、スクラブ剤等を配合した洗浄剤が用いられている。これら従来の洗浄剤に用いられるスクラブ剤としては、食塩、ポリエチレンビーズ、クルミ等の植物種子破砕物、結晶セルロース、ワックス粒子、ポリエチレン造粒粒子、エリスリトール等が用いられている(特許文献1〜5)。
【0003】
一方、皮脂やメイクアップ化粧料を除去するための洗浄剤としては、これらの成分を可溶化するために多量の非イオン界面活性剤、油性成分等を配合した組成物が用いられている(特許文献6、7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−123732号公報
【特許文献2】特開平10−338625号公報
【特許文献3】特開2004−189612号公報
【特許文献4】特開2003−261436号公報
【特許文献5】特開2011−121891号公報
【特許文献6】特開平6−16523号公報
【特許文献7】特開2008−184415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多量の界面活性剤を配合した洗浄剤はすすぎのために多量の水と手間が必要であり、またスクラブ剤配合洗浄剤においても皮脂やメイクアップ化粧料を除去するには多量の水を必要とし、すすぎの手間の問題は解決されておらず、さらに水の使用量の少ない地球環境にやさしい洗浄剤が望まれている。また、多量の油性成分を配合した洗浄剤は、洗浄後の皮膚上に油性成分が残存するため、後の洗浄が必要になり、手間が増えるという問題がある。
【0006】
従って、本発明の課題は、多量の界面活性剤を必要とせず、簡便な操作で皮脂やメイクアップ化粧料等の皮膚や毛髪上の汚れを洗浄除去できる新たな洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は、皮脂等の油性成分の新たな除去手段について検討したところ、比表面積が大きく、かつ多孔質である無機粉体と揮発性液状油剤と水とを組み合わせれば、粉体乳化系組成物が得られ、当該組成物を用いれば、油性成分を吸着して皮膚や毛髪から効率良く除去できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C):
(A)比表面積が600〜2000m2/gの多孔質無機粉体、
(B)室温で揮発性の液状油剤
(C)水
を含有する洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物を皮膚や毛髪に適用すれば、皮膚や毛髪上の皮脂汚れやメイクアップ化粧料が粉体乳化系に吸着され、水で洗い流すことなく、単に汚れを吸着した粉体を除去するのみで、洗浄操作が完了する。
従って、本発明の洗浄剤組成物を用いれば、全く新しい洗浄操作により皮膚や毛髪の汚れを除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)比表面積が600〜2000m2/gの多孔質無機粉体、(B)室温で揮発性の液状油剤、及び(C)水を含有する洗浄剤である。
【0011】
本発明に用いられる(A)比表面積が600〜2000m2/gの多孔質無機粉体としては、直径2〜50nmの細孔を有するメソポーラス多孔質無機粉体であるのが、乳化のしやすさ、皮脂やメイクアップ化粧料の洗浄性の点から好ましい。また、より好ましい比表面積は粉体乳化系の形成性、洗浄性、使用感の点から800〜1500m2/gであり、さらに好ましい比表面積は900〜1300m2/gである。ここで、比表面積が600m2/g以上の多孔質無機粉体を用いると、皮脂やメイクアップ化粧料の洗浄性が顕著に向上する。また、多孔質無機粉体の細孔の直径は、粉体乳化系の形成性、洗浄性及び使用感の点から、2〜30nmが好ましく、2〜10nmがより好ましい。ここで、比表面積は、液体窒素を用いるBET法で測定することができる。また、細孔の直径は、比表面積と同様に液体窒素を用いるBET法で測定することができる。本発明において粉体乳化系とは、水中油型又は油中水型の乳化系における乳化剤の役割を粉体がしている乳化系をいう。
【0012】
成分(A)の多孔質無機粉体としては、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、メソポーラス酸化金属、メソポーラスシリカ・酸化金属複合体等が挙げられる。ここで、酸化金属としては、Al、Ti、Zn、Fe、Ag、Mg、Liなどの金属の酸化物が挙げられる。このうち、メソポーラスシリカが洗浄性、乳化性の点でより好ましい。メソポーラスシリカの合成方法ならびに細孔構造に特に制限はないが、界面活性剤やトリブロックポリマーを鋳型とした分子鋳型法により製造された規則的な細孔を有するものが好ましい。具体的には、MCM41型メソポーラスシリカ(C. Kresgeら, Nature, 359, 710 (1992).)、FSM16型メソポーラスシリカ(S. Inagakiら, Chem. Mater, 8, 2089 (1996).)、SBA15型メソポーラスシリカ (D. Zhaoら, Science, 279, 548 (1998).)、HMS型メソポーラスシリカ(P. T. Tanevら, Science, 267, 865, (1995).)などが挙げられる。この中でMCM41型またはFSM16型が乳化性の点で特に好ましい。これらの多孔質無機粉体の市販品としては、例えば、TMPS(太陽化学製)、サンスフェアH31(AGCエスアイテック製)等が挙げられる。
【0013】
成分(A)の多孔質無機粉体は、吸油性を有するものが好ましく、その吸油量は洗浄性、および乳化のしやすさの点から、150〜600mL/100gであるのが好ましく、150〜500mL/100gであるのがより好ましく、150〜400mL/100gであるのがさらに好ましい。ここで吸油量は、JIS K5101-13-2(煮あまに油法)によって測定できる。
【0014】
成分(A)の平均粒子径は、洗浄性、使用感の点から、0.1〜50μmが好ましく、0.3〜10μmであることがより好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。ここで平均粒子径は、電子顕微鏡画像の画像処理により測定でき、その平均は50個以上の粒子の最大長の平均値である。
【0015】
また、成分(A)の多孔質無機粉体は、種々の油剤との親和性を向上させ、乳化性及び洗浄力を向上させる点から、その表面が疎水化処理されているのが好ましい。疎水化処理手段としては、シリコーン処理、金属セッケン処理、アルキル処理、フッ素処理、樹脂ポリマー処理等が挙げられ、特にシリコーン処理、アルキル処理がより好ましい。
【0016】
本発明洗浄剤組成物中の成分(A)の含有量は、乳化のしやすさ、洗浄性、乾燥後の肌や髪からの除去のしやすさの観点から、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜7質量%がより好ましく、1〜4質量%がさらに好ましい。
【0017】
本発明に用いられる(B)室温で揮発性の液状油剤としては、室温(25℃)で揮発性の炭化水素、鎖状シリコーン、環状シリコーンが挙げられる。これらの液状油剤としては、沸点が常圧において250℃以下のものが好ましく、150℃以上、245℃以下のものがより好ましい。炭化水素としては、炭素数6〜16、特に8〜15の直鎖又は分岐鎖の炭化水素が好ましく、特に使用時のべたつきを抑制し、サラッとした感触を与える観点から、炭素数10〜13のイソパラフィンが好ましい。具体的には、インドデカン、軽質流動イソパラフィン等が挙げられる。
鎖状シリコーンとしては、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン等の鎖状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。特に使用時のべたつきを抑制し、サラッとした感触を与える観点から、オクタメチルトリシロキサンが好ましい。
環状シリコーンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。特に使用時のべたつきを抑制し、サラッとした感触を与える観点から、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。
これら室温(25℃)で揮発性の炭化水素、鎖状シリコーン、環状シリコーンは、1種又は2種以上用いることができる。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物中の成分(B)の含有量は、乳化のしやすさ、洗浄力、使用感、肌や毛髪上での乾き速さの観点から、10〜80質量%であるのが好ましく、20〜70質量%であるのがより好ましく、30〜60質量%であるのがさらに好ましい。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物は(C)水を含有し、その含有量は乳化のしやすさ、洗浄性、使用感、肌や毛髪上での乾き速さの観点から10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。
【0020】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、乳化安定性、皮脂やメイクアップ化粧料の洗浄性、の観点から、(D)不揮発性油剤を含有するのが好ましい。本発明で言う不揮発性油剤とは、常圧下での沸点または昇華点が251℃以上の油剤を指す。本発明で用いる不揮発性油剤は、常温で液状であっても、固体状、ペースト状であっても構わない。固体状、ペースト状の油剤を用いる場合では、一度別の油剤や溶媒に溶解してから用いることが好ましい。本発明で用いる当該不揮発性油剤としては、動粘度が25℃で5mm2/s以上のシリコーン油、炭素数17以上の炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油(油脂を含む)、エーテル油、鉱油、フッ素油等が挙げられる。中でも、洗浄を速める観点から、シリコーン油、炭化水素油、エステル油がより好ましい。具体的には、動粘度が25℃で5mm2/s以上のジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン油、流動パラフィン、ワセリン、スクワランなどの炭化水素油、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル等のエステル油が挙げられ、動粘度が25℃で5mm2/s以上、500mm2/s以下のジメチルポリシロキサンがより好ましく、動粘度が25℃で6mm2/s以上、200mm2/s以下のジメチルポリシロキサンがさらに好ましい。
これら室温(25℃)で不揮発性油剤は、1種又は2種以上用いることができる。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物中の成分(D)の含有量は、乳化安定性、洗浄性の点から、成分(A)の吸油量以下の量であるのが好ましく、成分(A)の吸油量の1%以上、50%以下含有することが好ましい。成分(A)の吸油量の0.1質量%以上、70質量%以下の量の成分(D)を含有することがより好ましく、成分(A)の吸油量の1質量%以上、50質量%以下の量の成分(D)を含有することがさらに好ましい。
また成分(A)と成分(D)の質量割合(A/D)は、0.05〜10が好ましく、0.1〜5がより好ましく、0.5〜4がさらに好ましい。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物には、さらにエタノール、増粘剤、保湿剤、植物エキス、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、香料等を含有させることができる。また、本発明の洗浄剤組成物は、成分(A)、(B)及び(C)の3成分又は成分(A)、(B)、(C)及び(D)の4成分により粉体の乳化を可能としており、界面活性剤は、洗浄操作後の粉体状態の除去性向上の点から4質量%以下が好ましく、中でも3質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以下がよりさらに好ましく、0.01質量%以下が好ましく、実質的に配合しないこともできる。
ここでいう界面活性剤とは、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を示し、配合する場合は、ノニオン界面活性剤が好ましい。
【0023】
本発明の洗浄剤組成物は、成分(A)、(B)及び(C)、さらに必要により成分(D)を混合することにより、粉体乳化系組成物、さらに好ましくは水中油型粉体乳化系組成物とすることができる。
【0024】
本発明の洗浄剤組成物を皮膚や毛髪に適用すれば、成分(A)、(B)及び(C)が、皮膚や毛髪上の皮脂汚れやメイクアップ化粧料に均一になじみ、その後、粉体乳化系中の成分(A)に吸着され、水で洗い流すことなく、単に汚れを吸着した粉体を除去するのみで、洗浄操作を完了することができる。
また、本発明の洗浄剤組成物を皮膚や毛髪に適用すれば、成分(A)、(B)、(C)及び(D)が、皮膚や毛髪上の皮脂汚れやメイクアップ化粧料に均一になじみ、特に成分(D)が前記汚れや化粧料をしっかり溶解し、その後、粉体乳化系中の成分(A)に吸着され、水で洗い流すことなく、単に汚れを吸着した粉体を除去するのみで、洗浄操作を完了することができる。
従って、いずれの系においても、本発明の洗浄剤組成物を用いれば、全く新しい洗浄操作により皮膚や毛髪の汚れを除去することができる。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物は、静置した状態においては、水中油型乳化組成物であっても、多層(たとえば、油相と、水相の2層)に分離しており、相互に乳化はしていないものでも良い。多層に分離した多層液状洗浄剤を使用する際には、洗浄剤組成物を振とう混合することにより乳化する。具体的には、洗浄剤組成物が入った容器を手に握り、約10〜30cmの幅で、5〜20回程振り混ぜることで、分離した洗浄剤を乳化させることができる。得られた乳化物はO/W型エマルジョンとなる。この乳化物はメイキャップの施された肌等に塗布して、洗浄剤として使用される。使用者が本発明の洗浄剤組成物を皮膚又は毛髪に塗布している間は、乳化状態を維持する。さらに、所定時間経過すると、多層液状洗浄剤は再び、多層に分離する。なお、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物の洗浄対象としては、汗・皮脂などの油成分やメイクアップ化粧料が存在するもの、例えば皮膚、毛髪が好ましい。より具体的には、顔、手、足、全身、毛髪等が挙げられる。従って本発明の洗浄剤組成物は、皮膚又は毛髪用洗浄剤として有用である。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物を用いて皮膚又は毛髪を洗浄するには、例えば必要により振とうして、皮膚又は毛髪に本発明の洗浄剤組成物を塗布し、洗浄操作(例えば擦る、マッサージする等)を行い、次いで残存した粉体状物を除去すればよい。洗い流す操作を行ってもよいが、特に洗い流す操作を行わなくても良い。これは、例えば皮膚上の汚れが乳化した多孔質無機粉体に吸着し、揮発性液状油剤は揮発し、その後乾燥により皮膚上には汚れを吸着した多孔質無機粉体が残存することによる。
【0028】
次に、本発明の洗浄剤組成物の製造方法を示す。具体的には、油相成分(成分(A)、(B))を均一に混合し、その後、攪拌しながら水相((C)成分)を添加し、洗浄剤組成物を得る。
また、成分(D)を含む場合は、油相成分(成分(A)、(B)、(D))を均一に混合し、その後、攪拌しながら水相((C)成分)を添加し、洗浄剤組成物を得る。なお、本発明はこの製造方法に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0030】
実施例1〜11及び比較例1〜4
表1及び2に示す成分を混合して洗顔料を製造した。得られた洗顔料を用いて、乳化安定性の評価、及びメイクアップ化粧料を施した女性を対象にして洗顔試験を行った。その結果を表1及び2に示す。
【0031】
(1)乳化安定性の評価
透明プラスチックボトルに洗顔料を入れ、振とう混合した後静置し、油相、水相の分離度合いを目視で評価した。5名が、各1〜5点で評価し、その合計点を表1及び2に示した。
5:10分後でも明確な液層の分離がみられない
4:10分後に液層がわずかに分離している
3:3分以上、10分未満で明瞭に液層が分離する
2:1分以上、3分未満で明瞭に液層が分離する。
1:1分未満に明瞭に液層が分離する。
【0032】
(2)クレンジングの評価
プラスチックボトルに入れた洗顔料を充分振った後、1gを手にとり、顔に塗布し、顔をマッサージし、その後乾燥して、残存した粉体をはらうことにより除去した。その後に、油性汚れの落ち具合、肌の残留性、洗浄後のさっぱり感について評価した。評価は、5名が各1〜5点で行い、その合計点を表1及び2に示した。
油性汚れ落ち、残留感、さっぱり感、粉体除去性を次の基準で評価した。
5:極めて良好
4:良好
3:やや良好
2:あまり良くない
1:良くない
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
表1及び2から明らかように、比表面積600〜2000m2/gの多孔質無機粉体、揮発性油剤及び水を含有する洗顔料は、乳化安定性が良好であり、油性汚れ等の洗浄性に優れ、かつ洗浄後の感触も良好であった。一方、比表面積が500m2/gの多孔質無機粉体を含有する比較例1は、油性汚れに対する洗浄性も洗浄後の感触も十分でなかった。
【0036】
実施例12(ボディ洗浄剤)
シリコーン表面処理メソポーラスシリカ(*1) 3質量%
(油相)
トリエチルヘキサノイン(T.I.O「日清オイリオ製」) 2質量%
セタノール 2質量%
シクロペンタシロキサン 33質量%
(水相)
水 55.0質量%
エタノール 5質量%
*1:前記と同じ。
(調製方法)
シリコーン表面処理メソポーラスシリカを油相に添加し一晩浸漬する。ディスパで攪拌しながら水相を添加する。10分間攪拌をした後、攪拌球入りの容器に移す。
(使用方法)
洗浄剤を肌に十分なじませた後、過剰な液体をタオルで除去する。その後乾燥させて粉体をはらう。
【0037】
実施例13(毛髪洗浄剤)
水 55質量%
エタノール 10質量%
シクロペンタシロキサン 30質量%
イソドデカン 10質量%
ジメチルポリシロキサン(KF−96A−6cs「信越シリコーン製」)
1質量%
シリコーン処理メソポーラスシリカ(*1) 4質量%
*1:前記と同じ。
(使用方法)
洗浄剤を髪に十分なじませた後、過剰な液体をタオルで除去する。その後乾燥させて粉体をはらう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C):
(A)比表面積が600〜2000m2/gの多孔質無機粉体、
(B)室温で揮発性の液状油剤
(C)水
を含有する洗浄剤組成物。
【請求項2】
さらに、(D)不揮発性油剤を含有する請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(A)が、直径2〜50nmの細孔を有するメソポーラス多孔質無機粉体である請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(A)が、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、メソポーラス酸化金属又はメソポーラスシリカ・酸化金属複合体である請求項1〜3のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
成分(A)が、吸油量150〜600mL/100gを有するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
成分(A)を0.1〜10質量%、成分(B)を10〜80質量%、成分(C)を10〜80質量%含有するものである請求項1〜5のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
成分(D)を、成分(A)の吸油量以下の量含有する請求項2〜6のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
成分(A)が、疎水化処理されているものである請求項1〜7のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
成分(A)の平均粒子径が0.1〜50μmである請求項1〜8のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
成分(A)と成分(D)の質量割合(A/D)が、0.05〜10である請求項1〜9のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項11】
皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物である請求項1〜10のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2013−82768(P2013−82768A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221879(P2011−221879)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】