説明

洗濯乾燥機、乾燥制御方法および洗濯方法

【課題】従来よりも熱を有効利用することが可能な洗濯乾燥機、乾燥制御方法および洗濯方法を提供する。
【解決手段】ヒートポンプユニットを備えた洗濯乾燥機であって、乾燥用気体流路は、本流路と、本流路から一旦分岐した後に再度本流路に合流するバイパス流路とを備えており、バイパス流路には、蓄熱ユニットと、蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量の調節が可能な流入量調節ユニットとが備えられ、洗濯乾燥室には、洗濯乾燥室内の温度を測定するための温度測定ユニットが備えられており、温度測定ユニットで測定された洗濯乾燥室内の温度に基づいて流入量調節ユニットを制御して蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量を調節するための制御ユニットをさらに備えた洗濯乾燥機、それを用いた乾燥制御方法および洗濯方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機、乾燥制御方法および洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般家庭で行なわれる衣類の洗濯と乾燥とを同一槽で行なう洗濯乾燥機として、省エネルギー化の観点から、ヒートポンプ装置を用いた洗濯乾燥機が注目されている。
【0003】
図7に、従来の特許文献1に記載の洗濯乾燥機としても用いることができる衣類乾燥装置の主要な構成を示す。図7に示す衣類乾燥装置は、圧縮機120、放熱器121、熱バランス手段129、絞り手段122および吸熱器123を順に接続して再び圧縮機120に冷媒132が循環するように管路124で連結したヒートポンプ装置がを備えている。ここで、ヒートポンプ装置は、乾燥庫127に収容された衣類119を乾燥させる乾燥用空気126を流すための風路125に取り付けられている。
【0004】
図7に示す衣類乾燥装置を用いて乾燥庫127に収容された衣類119を乾燥させる際には、まず、送風機128と圧縮機120とを作動させる。送風機128を作動させることによって乾燥用空気126は風路125を循環し始めるが、乾燥用空気126が放熱器121を通過する際に放熱器121からの放熱により加熱されて乾燥庫127内に送風される。
【0005】
乾燥庫127内で衣類119と接触した乾燥用空気126は、衣類119から水分を奪って衣類119を乾燥して、乾燥庫127から排出される。乾燥用空気126は、衣類119の水分に蒸発のための熱量として顕熱を与えるため温度が低下するが、衣類119から放出されたほぼ同等の潜熱を有する水蒸気を含んで高湿の空気となる。
【0006】
乾燥庫127から流出した高湿の乾燥用空気126は、吸熱器123を通過する際に冷却されて潜熱を奪われ、結露が生じることにより除湿される。除湿されて絶対湿度が低下した乾燥用空気126は、再び放熱器121で加熱される。
【0007】
一方、ヒートポンプ装置では、圧縮機120で圧縮された高温高圧の冷媒132の熱が放熱器121で放熱される。さらに、放熱器121で冷媒132から乾燥用空気126に熱を与えた後の管路124において、熱バランス手段129の熱交換器130および冷却用送風手段131が冷媒132と外部空気との熱交換を行ない、冷媒132の熱の一部が外部に放出される。そして、熱バランス手段129を通過した高圧の冷媒132が、絞り手段122で減圧されて低圧低温となり、吸熱器123で乾燥用空気126から熱を奪い再び圧縮機120に戻る。
【0008】
図7に示す衣類乾燥装置においては、冷媒132が吸熱器123で乾燥用空気126から奪った熱量に圧縮機120の入力によって冷媒132に加えられた熱量を加えた熱量が放熱器121から放出されるが、熱バランス手段129において圧縮機120の入力に相当する熱量が予め外部に放出される。
【0009】
そのため、図7に示す衣類乾燥装置においては、放熱器121から熱を得て高温となった乾燥用空気126の一部を衣類119に接触させる前に外部に排気する必要がないことから、省エネルギー化のより高い乾燥ができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−239549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の衣類乾燥装置においても、熱バランス手段129から熱量の一部を外部に放出しているため、熱を十分に有効利用できているとは言えない。
【0012】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、従来よりも熱を有効利用することが可能な洗濯乾燥機、乾燥制御方法および洗濯方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ヒートポンプユニットと、洗濯乾燥室と、乾燥用気体流路とを備え、ヒートポンプユニットは、圧縮機と、凝縮器と、絞り装置と、蒸発器とを有し、圧縮機と凝縮器とが連結され、凝縮器と絞り装置とが連結され、絞り装置と蒸発器とが連結され、蒸発器と圧縮機とが連結されており、乾燥用気体流路は、凝縮器、洗濯乾燥室および蒸発器をこの順序で乾燥用気体が循環するように設けられた本流路と、凝縮器から洗濯乾燥室までの間に本流路から一旦分岐した後に再度本流路に合流するバイパス流路とを備えており、バイパス流路には、蓄熱ユニットと、蓄熱ユニットの上流側に蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量の調節が可能な流入量調節ユニットとが備えられ、洗濯乾燥室には、洗濯乾燥室内の温度を測定するための温度測定ユニットが備えられており、温度測定ユニットで測定された洗濯乾燥室内の温度に基づいて流入量調節ユニットを制御して蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量を調節するための制御ユニットをさらに備えた洗濯乾燥機である。
【0014】
ここで、本発明の洗濯乾燥機において、乾燥用気体流路はバイパス流路を複数備えていることが好ましい。
【0015】
また、本発明の洗濯乾燥機は、液体供給ユニットと、液体用流路とをさらに備え、液体用流路は液体供給ユニットから流出した液体が蓄熱ユニットを経た後に洗濯乾燥室に流入するように設けられていることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、上記のいずれかの洗濯乾燥機の乾燥制御方法であって、温度測定ユニットによって洗濯乾燥室内の温度を測定する工程と、温度測定ユニットで測定された洗濯乾燥室内の温度に基づいて制御ユニットが流入量調節ユニットを制御して蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量を調節する工程とを含む乾燥制御方法である。
【0017】
ここで、本発明の乾燥制御方法において、乾燥用気体の流入量を調節する工程は、制御ユニットが洗濯乾燥室内の温度が所定の温度以上であると判断したときには、蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量を増大させるように流入量調節ユニットを制御する工程を含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明の乾燥制御方法において、乾燥用気体の流入量を調節する工程は、制御ユニットが洗濯乾燥室内の温度が所定の温度未満であると判断したときには、蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量を低下させるように流入量調節ユニットを制御する工程を含むことが好ましい。
【0019】
さらに、本発明は、上記の洗濯乾燥機を用いた洗濯方法であって、液体供給ユニットから液体用流路に液体を流出させる工程と、蓄熱ユニットによって液体の温度を上昇させる工程と、温度を上昇させた液体を洗濯乾燥室に流入させる工程とを含む洗濯方法である。
【0020】
ここで、本発明の洗濯方法において、液体の温度を上昇させる工程は、液体供給ユニットから液体用流路に流出させた液体を蓄熱ユニットに接触させる工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従来よりも熱を有効利用することが可能な洗濯乾燥機、乾燥制御方法および洗濯方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1の洗濯乾燥機の模式的な構成図である。
【図2】実施の形態1の洗濯乾燥機のバイパス流路近傍の模式的な拡大構成図である。
【図3】実施の形態1の洗濯乾燥機を用いて衣類を洗濯する際のバイパス流路近傍の模式的な拡大構成図である。
【図4】実施の形態1の洗濯乾燥機の制御ユニットによる乾燥制御方法の一例のフローチャートである。
【図5】実施の形態2の洗濯乾燥機のバイパス流路近傍の模式的な拡大構成図である。
【図6】実施の形態2の洗濯乾燥機を用いて衣類を洗濯する際のバイパス流路近傍の模式的な拡大構成図である。
【図7】従来の特許文献1に記載の衣類乾燥装置の主要な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものとする。
【0024】
<実施の形態1>
図1に、本発明の洗濯乾燥機の一例である実施の形態1の洗濯乾燥機の模式的な構成図を示す。ここで、実施の形態1の洗濯乾燥機は、ヒートポンプユニット10と、ヒートポンプユニット10が取り付けられた乾燥用気体流路30と、乾燥用気体流路30に連結された洗濯乾燥室20とを備えている。
【0025】
ヒートポンプユニット10は、圧縮機11と、凝縮器12と、絞り装置13と、蒸発器14とを有しており、圧縮機11、凝縮器12、絞り装置13および蒸発器14の順に冷媒16が循環するように、圧縮機11と凝縮器12、凝縮器12と絞り装置13、絞り装置13と蒸発器14、蒸発器14と圧縮機11がそれぞれ冷媒流路15によって連結されている。
【0026】
ヒートポンプユニット10の凝縮器12および蒸発器14がそれぞれ乾燥用気体流路30の本流路31に取り付けられている。乾燥用気体流路30の本流路31はその中を流れるたとえば空気などの乾燥用気体50が、凝縮器12、洗濯乾燥室20および蒸発器14の順に循環するように環状に形成されている。
【0027】
また、乾燥用気体流路30は、本流路31とともに、凝縮器12から洗濯乾燥室20までの間の本流路31の部分に本流路31から一旦分岐した後に再度本流路31に合流するバイパス流路32を備えている。
【0028】
バイパス流路32は、たとえば電動弁などを備えた流入量調節ユニット41と、たとえば酢酸ナトリウム三水塩などの蓄熱ユニット42とを備えている。流入量調節ユニット41は、蓄熱ユニット42の上流側に設けられて、蓄熱ユニット42に流入する乾燥用気体50の流入量の調節を可能としている。
【0029】
洗濯乾燥室20は、洗濯乾燥室20の内部に洗濯乾燥室20の内の温度を測定するためのたとえばサーミスタなどの温度測定ユニット60を備えている。
【0030】
実施の形態1の洗濯乾燥機は、さらに、バイパス流路32に設けられた流入量調節ユニット41と、洗濯乾燥室20内に設けられた温度測定ユニット60とにそれぞれ接続された制御ユニット70を備えている。
【0031】
以下、図1に示す実施の形態1の洗濯乾燥機を用いた洗濯乾燥方法の一例について説明する。まず、洗濯乾燥室20内に洗濯乾燥の対象物となる衣類80を設置する。
【0032】
次に、乾燥用気体流路30の本流路31に設けられた図示しない送風機を作動させるとともに、ヒートポンプユニット10の圧縮機11を作動させる。これにより、乾燥用気体流路30の本流路31においては乾燥用気体50の循環が開始するとともに、ヒートポンプユニット10においては以下の動作が行なわれる。なお、乾燥用気体流路30の本流路31における送風機の設置箇所は、乾燥用気体流路30の本流路31において乾燥用気体50を循環させることができるものであれば特に限定されない。
【0033】
ヒートポンプユニット10の圧縮機11で圧縮されることにより高温高圧となった冷媒16は冷媒流路15を通って凝縮器12に流れ込み、凝縮器12で凝縮されることにより熱を乾燥用気体流路30の本流路31を流れる乾燥用気体50に放出する。
【0034】
そして、凝縮器12で熱を放出した後の高圧の冷媒16は、絞り装置13で減圧されて低温低圧の冷媒16となり、蒸発器14で本流路31を流れる乾燥用気体50から熱を奪って圧縮機11に戻る。
【0035】
また、乾燥用気体流路30の本流路31を流れる乾燥用気体50は、凝縮器12から放出された熱により低湿高温の気体となって洗濯乾燥室20内に流れ込み、洗濯乾燥室20内の衣類80と接触して衣類80から水分を奪って衣類80を乾燥させる。
【0036】
乾燥用気体50は、衣類80から水分を蒸発させるための熱量として顕熱を水分に与えることから温度が低下するが、衣類80から放出されたほぼ同等の潜熱を有する水蒸気を含む高湿高温の気体となる。
【0037】
そして、高湿高温の乾燥用気体50は洗濯乾燥室20から蒸発器14に流れ込み、蒸発器14で冷媒16に熱を放出して冷却され、潜熱を奪われて結露し、除湿される。その後、低温となって除湿された低湿低温の乾燥用気体50は、凝縮器12で冷媒16から放出された熱によって加熱されて低湿高温の気体となって、衣類80を乾燥するために再度洗濯乾燥室20内に流れ込む。
【0038】
ここで、実施の形態1の洗濯乾燥機においては、凝縮器12で加熱されて低湿高温の気体となった本流路31を流れる乾燥用気体50の一部がバイパス流路32を流れた後に本流路31を流れる乾燥用気体50と合流して洗濯乾燥室20内に流れ込むことを特徴の1つとしている。
【0039】
すなわち、図2の模式的拡大構成図に示すように、本流路31を流れる低湿高温の乾燥用気体50aの一部がバイパス流路32に流れ込み、バイパス流路32に設けられた蓄熱ユニット42に熱を放出して低湿低温の乾燥用気体50bとなる。そして、低湿低温の乾燥用気体50bは再度本流路31に流れ込み、本流路31を流れる低湿高温の乾燥用気体50aと合流して、乾燥用気体50aよりも温度が低く、乾燥用気体50bよりも温度が高い低湿中温の乾燥用気体50cとなって洗濯乾燥室20内に流れ込む。
【0040】
一方、乾燥用気体50aから熱を奪った蓄熱ユニット42はその熱を蓄えておき、たとえば図3の模式的拡大構成図に示すように、洗濯乾燥室20内の衣類80を洗濯するために、たとえば水道などの液体供給ユニット90から液体用供給路91に放出されたたとえば冷水などの液体92aに熱を与えて温度を上昇させ、たとえば温水などの中温の液体92bとすることができる。
【0041】
このように、実施の形態1の洗濯乾燥機においては、従来の特許文献1に記載の衣類乾燥装置のように熱バランス手段において圧縮機の入力に相当する熱量を外部に捨てることなく蓄熱ユニット42に蓄えることができ、蓄熱ユニット42に蓄えられた熱を洗濯乾燥室20内に供給される冷水を温水にするのに有効利用して衣類80の洗濯を行なうことができる。
【0042】
したがって、実施の形態1の洗濯乾燥機においては、上記の熱の有効利用の結果として、たとえば衣類80の洗濯時に衣類80とともに洗濯乾燥室20内に投入される洗剤等を中温の液体92bで溶けやすくすることができるため、衣類80の洗濯効果を高めることができる。
【0043】
図7に示す従来の特許文献1に記載の衣類乾燥装置においては、圧縮機120の入力に相当する熱量を熱バランス手段129で予め外部に放出し、放熱器121で冷媒132から放出される熱量と、吸熱器123で乾燥用空気126から冷媒132に加えられる熱量とを等しくすることによって、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルを安定して継続的に運転している。
【0044】
これは、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルのサイクル数が増えるにつれて、圧縮機120から冷媒132に入力される熱量が増加していくため、放熱器121で冷媒132から放出される熱量が大きくなって冷媒132の温度および圧力が上昇していき、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルを安定して継続的に運転させることができなくなるためである。
【0045】
一方、実施の形態1の洗濯乾燥機は、従来の特許文献1に記載の衣類乾燥装置で外部に放出されていた熱量に相当する熱量を蓄熱ユニット42に蓄えて、衣類80の洗濯時に有効利用することができるため、従来よりも熱を有効利用することが可能となる。
【0046】
さらに、実施の形態1の洗濯乾燥機においては、制御ユニット70によって、温度測定ユニット60で測定された洗濯乾燥室20内の温度に基づいて流入量調節ユニット41を制御して蓄熱ユニット42に流入する乾燥用気体50の流入量を調節できることも特徴としている。
【0047】
図4に、実施の形態1の洗濯乾燥機の制御ユニット70による乾燥制御方法の一例のフローチャートを示す。以下、図4を参照して、実施の形態1の洗濯乾燥機の制御ユニット70による乾燥制御方法の一例について説明する。
【0048】
まず、ステップS1に示すように、温度測定ユニット60によって洗濯乾燥室20内の温度の測定を開始する。次に、ステップS2に示すように、図示しない送風機および圧縮機11をそれぞれ作動させる。
【0049】
次に、ステップS3に示すように、制御ユニット70は、温度測定ユニット60から送信されてくる洗濯乾燥室20内の温度情報に基づいて、洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度(たとえば65℃)以上かどうかを判断する。ここで、所定の温度は特に限定されないが、たとえばヒートポンプユニット10における冷凍サイクルを安定して継続的に運転させることができる温度に設定することが好ましい。
【0050】
そして、ステップS3において、制御ユニット70が、洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度以上でないと判断した場合には、制御ユニット70は、流入量調節ユニット41の電動弁の開閉は行なわずに、再度、洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度以上かどうかを判断する。
【0051】
また、ステップS3において、制御ユニット70が洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度以上であると判断した場合には、ステップS4に示すように、流入量調節ユニット41の電動弁を開いて、蓄熱ユニット42に流れ込む乾燥用気体50aの流入量を増加させる。これにより、バイパス流路32から本流路31に合流する乾燥用気体50bの合流量を多くすることができることから、洗濯乾燥室20内に流入する乾燥用気体50cの温度を低くして、洗濯乾燥室20内の温度を低くすることができる。
【0052】
次に、ステップS5に示すように、制御ユニット70は、温度測定ユニット60から送信されてくる洗濯乾燥室20内の温度情報に基づいて、洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度未満かどうかを判断する。
【0053】
そして、ステップS5において、制御ユニット70が、洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度未満でないと判断した場合には、制御ユニット70は、流入量調節ユニット41の電動弁の開閉は行なわずに、再度、洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度未満かどうかを判断する。
【0054】
また、ステップS5において、制御ユニット70が、洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度未満であると判断した場合には、ステップS6に示すように、制御ユニット70は、流入量調節ユニット41の電動弁を閉じて、蓄熱ユニット42に流れ込む乾燥用気体50aの流入量を減少させる。これにより、バイパス流路32から本流路31に合流する乾燥用気体50bの合流量を少なくすることができることから、洗濯乾燥室20内に流入する乾燥用気体50cの温度を高くして、洗濯乾燥室20内の温度を高くすることができる。
【0055】
ステップS6に示すように流入量調節ユニット41の電動弁を閉じた後には、制御ユニット70が洗濯乾燥室20内の温度が所定の温度以上かどうかを判断するステップS3に戻り、上述したステップS3〜S6が引き続き繰り返して行なわれる。
【0056】
このように、実施の形態1の洗濯乾燥機においては、ヒートポンプユニット10の運転時間の増加に伴い過剰となる熱量を蓄熱ユニット42に蓄えながら、制御ユニット70による流入量調節ユニット41の制御によって洗濯乾燥室20内の温度をほぼ一定に保って洗濯乾燥室20内の衣類80の乾燥を行なうことができ、それに伴い蒸発器14に流れ込む乾燥用気体50の温度の変動も抑えることができる。
【0057】
したがって、実施の形態1の洗濯乾燥機においては、ヒートポンプユニット10における冷凍サイクルを安定して継続的に運転させながら洗濯乾燥室20内の衣類80の洗濯乾燥を行なうことができる。
【0058】
以上のように、実施の形態1の洗濯乾燥機においては、従来よりも熱を有効利用することが可能な洗濯乾燥機、乾燥制御方法および洗濯方法を提供することができる。
【0059】
<実施の形態2>
実施の形態2の洗濯乾燥機は、乾燥用気体流路が複数のバイパス流路を備えている点に特徴がある。図5に、実施の形態2の洗濯乾燥機のバイパス流路近傍の模式的な拡大構成図を示す。
【0060】
すなわち、図5に示すように、実施の形態2の洗濯乾燥機においては、本流路31からまず第1のバイパス流路32aが分岐し、その後、第2のバイパス流路32bが分岐しており、第1のバイパス流路32aおよび第2のバイパス流路32bは本流路31の同一箇所で合流している。
【0061】
第1のバイパス流路32aには、第1の流入量調節ユニット41aと、第1の蓄熱ユニット42aとが設けられており、第1の流入量調節ユニット41aは第1の蓄熱ユニット42aの上流側に設置されている。
【0062】
第2のバイパス流路32bには、第2の流入量調節ユニット41bと、第2の蓄熱ユニット42bとが設けられており、第2の流入量調節ユニット41bは第1の蓄熱ユニット42bの上流側に設置されている。
【0063】
さらに、制御ユニット70は、第1のバイパス流路32aの第1の流入量調節ユニット41a、第2のバイパス流路32bの第2の流入量調節ユニット41b、および洗濯乾燥室20内の温度測定ユニット60にそれぞれ接続されている。そして、制御ユニット70は、温度測定ユニット60から送信されてくる洗濯乾燥室20内の温度情報に基づいて、第1の流入量調節ユニット41aおよび第2の流入量調節ユニット41bをそれぞれ独立に制御することができ、第1の蓄熱ユニット42aおよび第2の蓄熱ユニット42bに流入する乾燥用気体50aの流入量をそれぞれ調節することができる。
【0064】
そして、第1の蓄熱ユニット42aに流入した低湿高温の乾燥用気体50aは、第1の蓄熱ユニット42aに熱を放出して低湿低温の乾燥用気体50bとなる。また、第2の蓄熱ユニット42bに流入した乾燥用気体50aは、第2の蓄熱ユニット42bに熱を放出して低湿低温の乾燥用気体50bとなる。一方、第1の蓄熱ユニット42aおよび第2の蓄熱ユニット42bは、それぞれ、低湿高温の乾燥用気体50aから放出された熱を蓄える。
【0065】
そして、低湿低温の乾燥用気体50bは、第1のバイパス流路32aおよび第2のバイパス流路32bからそれぞれ再度本流路31に流れ込み、本流路31を流れる低湿高温の乾燥用気体50aと合流して、乾燥用気体50aよりも温度が低く、乾燥用気体50bよりも温度が高い低湿中温の乾燥用気体50cとなって洗濯乾燥室20内に流れ込む。
【0066】
このように、実施の形態2の洗濯乾燥機においても、ヒートポンプユニット10の運転時間の増加に伴い過剰となる熱量を蓄熱ユニット42に蓄えながら、制御ユニット70による流入量調節ユニット41の制御によって洗濯乾燥室20内の温度をほぼ一定に保って洗濯乾燥室20内の衣類80の乾燥を行なうことができ、それに伴い蒸発器14に流れ込む乾燥用気体50の温度の変動も抑えることができる。
【0067】
したがって、実施の形態2の洗濯乾燥機においても、ヒートポンプユニット10における冷凍サイクルを安定して継続的に運転させながら洗濯乾燥室20内の衣類80の洗濯乾燥を行なうことができる。
【0068】
さらに、実施の形態2の洗濯乾燥機においては、たとえば、第2の蓄熱ユニット42bを用いる必要がない場合には、第2の流入量調節ユニット41bの電動弁を完全に閉じて第2の蓄熱ユニット42bへの乾燥用気体50の流入を阻止しておき、洗濯乾燥室20内の温度を大幅に低下させる必要が生じた場合には、第2の流入量調節ユニット41bの電動弁を開いて第2の蓄熱ユニット42bに乾燥用気体50を流入させ、本流路31を流れる低湿高温の乾燥用気体50aへの低湿低温の乾燥用気体50bの合流量を増加させて、温度をさらに低下させた乾燥用気体50cを洗濯乾燥室20内に流入させることも可能である。
【0069】
また、たとえば図6の模式的拡大構成図に示すように、洗濯乾燥室20内の衣類80を洗濯するために、たとえば水道などの液体供給ユニット90から液体用供給路91に放出されたたとえば冷水などの液体92aは、第1の蓄熱ユニット42aから熱が与えられて温度が上昇し、たとえば温水などの中温の液体92bとなる。その後、第2の蓄熱ユニット42bから液体92bに熱が与えられて温度がさらに上昇し、たとえば高温水などの高温の液体92cとなって、洗濯乾燥室20内に流れ込む。
【0070】
このように、実施の形態2の洗濯乾燥機においても、従来の特許文献1に記載の衣類乾燥装置のように熱バランス手段において圧縮機の入力に相当する熱量を外部に捨てることなく蓄熱ユニット42に蓄えることができ、蓄熱ユニット42に蓄えられた熱を洗濯乾燥室20内に供給される冷水を温水または高温水にするのに有効利用して衣類80の洗濯を行なうことができる。
【0071】
したがって、実施の形態2の洗濯乾燥機においても、上記の熱の有効利用の結果として、たとえば衣類80の洗濯時に衣類80とともに洗濯乾燥室20内に投入される洗剤等を高温の液体92cで溶けやすくすることができるため、衣類80の洗濯効果を高めることができる。
【0072】
本実施の形態における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、その説明については省略する。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、洗濯乾燥機、乾燥制御方法および洗濯方法に利用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0075】
10 ヒートポンプユニット、11 圧縮機、12 凝縮器、13 絞り装置、14 蒸発器、15 冷媒流路、16 冷媒、20 洗濯乾燥室、30 乾燥用気体流路、31 本流路、32,32a,32b バイパス流路、41,41a,41b 流入量調節ユニット、42,42a,42b 蓄熱ユニット、50,50a,50b,50c 乾燥用気体、60 温度測定ユニット、70 制御ユニット、80 衣類、90 液体供給ユニット、91 液体用供給路、92a,92b 液体、119 衣類、120 圧縮機、121 放熱器、122 絞り手段、123 吸熱器、124 管路、125 風路、126 乾燥用空気、127 乾燥庫、128 送風機、129 熱バランス手段、130 熱交換器、131 冷却用送風手段、132 冷媒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプユニットと、
洗濯乾燥室と、
乾燥用気体流路と、を備え、
前記ヒートポンプユニットは、圧縮機と、凝縮器と、絞り装置と、蒸発器と、を有し、 前記圧縮機と前記凝縮器とが連結され、
前記凝縮器と前記絞り装置とが連結され、
前記絞り装置と前記蒸発器とが連結され、
前記蒸発器と前記圧縮機とが連結されており、
前記乾燥用気体流路は、前記凝縮器、前記洗濯乾燥室および前記蒸発器をこの順序で乾燥用気体が循環するように設けられた本流路と、前記凝縮器から前記洗濯乾燥室までの間に前記本流路から一旦分岐した後に再度前記本流路に合流するバイパス流路と、を備えており、
前記バイパス流路には、蓄熱ユニットと、前記蓄熱ユニットの上流側に前記蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量の調節が可能な流入量調節ユニットと、が備えられ、
前記洗濯乾燥室には、前記洗濯乾燥室内の温度を測定するための温度測定ユニットが備えられており、
前記温度測定ユニットで測定された前記洗濯乾燥室内の温度に基づいて前記流入量調節ユニットを制御して前記蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量を調節するための制御ユニットをさらに備えた、洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記乾燥用気体流路は、前記バイパス流路を複数備えている、請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
液体供給ユニットと、
液体用流路と、をさらに備え、
前記液体用流路は、前記液体供給ユニットから流出した液体が前記蓄熱ユニットを経た後に前記洗濯乾燥室に流入するように設けられている、請求項1または2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の洗濯乾燥機の乾燥制御方法であって、
前記温度測定ユニットによって前記洗濯乾燥室内の温度を測定する工程と、
前記温度測定ユニットで測定された前記洗濯乾燥室内の前記温度に基づいて前記制御ユニットが前記流入量調節ユニットを制御して前記蓄熱ユニットに流入する前記乾燥用気体の流入量を調節する工程と、を含む、乾燥制御方法。
【請求項5】
前記乾燥用気体の流入量を調節する工程は、前記制御ユニットが前記洗濯乾燥室内の前記温度が所定の温度以上であると判断したときには、前記蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量を増大させるように前記流入量調節ユニットを制御する工程を含む、請求項4に記載の乾燥制御方法。
【請求項6】
前記乾燥用気体の流入量を調節する工程は、前記制御ユニットが前記洗濯乾燥室内の前記温度が所定の温度未満であると判断したときには、前記蓄熱ユニットに流入する乾燥用気体の流入量を低下させるように前記流入量調節ユニットを制御する工程を含む、請求項4または5に記載の乾燥制御方法。
【請求項7】
請求項3に記載の洗濯乾燥機を用いた洗濯方法であって、
前記液体供給ユニットから前記液体用流路に液体を流出させる工程と、
前記蓄熱ユニットによって前記液体の温度を上昇させる工程と、
前記温度を上昇させた前記液体を前記洗濯乾燥室に流入させる工程と、を含む、洗濯方法。
【請求項8】
前記液体の温度を上昇させる工程は、前記液体供給ユニットから前記液体用流路に流出させた前記液体を前記蓄熱ユニットに接触させる工程を含む、請求項7に記載の洗濯方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−31503(P2013−31503A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168204(P2011−168204)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】