説明

活性化CD4+T細胞の表層上のレセプターに対するリガンド(ACT−4−L)

【課題】CD4+ T−細胞表面上の受容体に対する新規なリガンドの提供。
【解決手段】ATCC HB11483として寄託されているハイブリドーマHBL106により生成される、L106と称するモノクローナル抗体以外であり、しかも、ある特定な配列で示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を有する、ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナー、および、当該特異的結合パートナーをコードする核酸セグメントの提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に活性化CD4+ T細胞の表層上のレセプターに対するリガンド(ACT−4−L)の単離及び特性決定に関する。本発明は更にこのリガンドに対する抗体、免疫応答をモニター及び/又は調節するためにこのリガンド及び抗体を利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫応答は白血球と呼ばれる末梢血液細胞の多様な集団により主に媒介される。白血球にはリンパ球、顆粒球及び単球が含まれる。顆粒球は更に好中球、好酸球及び好塩基球に細分類される。T−リンパ球は胚のリンパ球前駆細胞を起源とする。分化は胸腺の中で起こり、そして前胸腺細胞、皮質胸腺細胞、次いで骨髄質胸腺細胞中間体段階を経て様々なタイプの成熟T−細胞となる。これらのサブタイプには、CD8+ T細胞(細胞障害性/サプレンサーT細胞としても知られる)であって活性化したときに標的細胞を溶解せしめる能力を有する細胞、及びCD4+ T細胞(Tヘルパー及びTインデューサー細胞としても知られる)であって活性化したときにその他の免疫系細胞タイプを刺激する能力を有する細胞が含まれる。
【0003】
免疫系応答はいくつかの異なる状況において誘導される。最も頻繁な応答は感染性微生物に対する所望の防御である。しかしながら、望ましくない免疫応答が、外来組織の移植の後に、又は自己免疫疾患(それにおいては身体自体の抗原の一つが免疫応答に対する標的となる)において生じうる。免疫応答は、マイトジェン又は一定のレセプターに対する抗体によってインビトロにおいて開始させることもできる。
【0004】
これらの各状況において、免疫応答は白血球細胞タイプ間の複雑な相互作用を介する刺激性現象により変換される。しかしながら、関与する細胞タイプ及び細胞タイプ間の相互作用の種類は種々の刺激性現象で異なりうる。例えば、侵入する細菌に対する免疫応答は往々にしてMHC クラスIIレセプターと細菌抗原との間での複合体の形成により変換され、それはその後にCD4+ T細胞を活性化する。一方、ウィルス感染に対する免疫応答は主にMHC クラスI/ウィルス抗原複合体の形成及びそれに続くCD8+ 細胞の活性化により変換される。
【0005】
ここ数年、多くの白血球細胞表層抗原が同定されており、その一部はシグナル変換において機能していることが示されている。シグナルは細胞表層レセプターと、可溶性リガンド又は細胞表層結合型リガンドのいづれかとの間で変換されうることが見い出されている。白血球表層分子のアミノ酸配列はいくつかの特徴的な反復(recurring)配列又はモチーフを含んで成る。これらのモチーフは進化に関与し、類似のフォルディングパターンを有し、そして類似のタイプの相互作用を媒介するものと推定されている。イムノグロブリン及び神経成長因レセプタースーパーファミリーを含むいくつかのスーパーファミリーが述べられている。
【0006】
神経成長因子レセプターファミリーの構成員には、神経細胞上に見い出せるNGFR;B細胞抗原CD40;活性化CD4+ 細胞上に見い出せるラットのOX−40抗原(Malletら、EMBO J. 9:1063-1068 (1990))(引用することで本明細書に組入れる);腫瘍壊死因子(TNF)に対する様々な細胞タイプ上に見い出せる2種類のレセプター LTNFR−1及びTNFR−II;T細胞上に見い出せる4−1BB;ショープ(Shope)フィブロマウィルスのオープンリーディングフレームである SFV−T2;並びに可能性としては fas, CD27及びCD30が含まれる。一般的にはMellet & Barclay, Immunolgy Today 12 : 220-222 (1990) (引用することで本明細書に組入れる)を参照のこと。
【0007】
細胞表層レセプターの同定は、移植拒絶、自己免疫疾患及び炎症の如くの望ましくない免疫応答を抑制するための新たな因子を示唆せしめた。免疫細胞のレセプターが可溶性分子又は細胞結合型レセプターに結合するのを阻止する因子、特に抗体が、免疫応答を損わせることができる。理想的には、因子は望ましくない免疫応答(例えば移植拒絶)のみをブロッキングし、所望の応答(例えば病原性微生物に対する応答性)を及ぼす残留能力は残したままとすべきである。いくつかの因子、例えばCD3レセプター及びIL−2レセプターに対する抗体の免疫抑制作用は既に臨床試験において試験されている。いくつかの試験は良い結果を示しているが、重要な問題が残っている。
【0008】
第1に、患者はこのブロッキング因子に対する免疫応答をもつようになることがあり、これは別の因子を得ることができない限り、持続式の免疫抑制効果を阻止する。
第2に、標的抗原を発現する細胞は、免疫機能を残したまま、その抗原を発現することをやめることによってそのブロッキング因子の存在に適用できるようになりうる。この状況においては、単独の免疫抑制因子による持続式処置は無効となる。
【0009】
第3に、治療剤に関する多くの標的は1種より多くの白血球サブタイプの上に載っているものであり、その結果特定の細胞性サブタイプのみの応答を選択的にブロッキング又は排除し、それ故感染性微生物を打倒するための無傷の残留免疫能力を残すことは一般に可能ではない。
以上に基づき、免疫応答を抑制できる追加の、且つ改善された因子、特に選択的抑制の可能な因子についてのニーズがあることが明らかである。本発明は、活性化ヒトCD4+ T−リンパ球上に局在するレセプターに対するリガンド(ACT−4−L)を提供することにより、このような及びその他のニーズをある程度満足せしめる。
【0010】
図10−1〜図10−2に示す完全アミノ酸配列は Muiraら、Mol. Cell Biol. 11 (1991) 1313-1325 において開示されており、gp 34 タンパク質を含んで成るとなっているが、このタンパク質についての用途は認識されていない。このタンパク質に対する抗体を生起させた。
【発明の開示】
【0011】
本発明は ACT−4レセプターポリペプチドに対する特異的結合性パートナーを提供し、これは
(a)ATCC HB11483として寄託されたハイブリドーマHBL106により生産されるL106と命名されているモノクローナル抗体以外のものである;そして
(b)図10−1〜図10−2に示す完全アミノ酸配列以外のアミノ酸配列を有する。
【0012】
詳しくは、本発明は抗体以外のものである精製 ACT−4−Lリガンドポリペプチドに関する。適切には、この特異的結合性パートナーは図10−1〜図10−2に示すアミノ酸配列のフラグメント、変異体、突然変異体もしくは誘導体、又はその類似体の同族体を含んで成り;任意的にはコンジュゲート又は複合体の形態をとっている。この特異的結合性パートナーは、 ACT−4−L−h−1と命名され、且つ図10−1〜図10−2に示した代表的な ACT−4−Lリガンドのアミノ酸に由来するセグメント、又は少なくとも5個、そして適切には5〜160 個の連続アミノ酸を有するポリペプチドを含んで成りうる。このポリペプチドは通常 ACT−4−h−L−1配列と少なくとも80%の配列同一性を示し、そして往々にして ACT−4−L−h−1リガンドと共通の抗原決定基を共有する。このポリペプチドは通常細胞内ドメイン、トランスメンブランドメイン又は細胞外ドメイン、好ましくは細胞外ドメインを含んで成る。
【0013】
本発明は ACT−4−L−リガンドの精製細胞外ドメインも提供する。これらのドメインは全長 ACT−4−L−h−1細胞外ドメインに由来する少なくとも5個の連続アミノ酸を含んで成る。この細胞外ドメインは、C−末端領域に位置し、図10−1〜図10−2において示す核酸配列の SmaI部位の下流にある。これらの細胞外ドメインの一部は全長型である。その他の細胞外ドメインは全長ドメインのフラグメントである。一部の細胞外ドメインは ACT−4−L−h−1リガンドに特異的に結合する。その他の細胞外ドメインは ACT−4−L−h−1の典型的なレセプターに特異的に結合し、そのレセプターは ACT−4−h−1と命名されている。一部の細胞外ドメインは、特定の機能特性、例えば ACT−4−h−1レセプターに特異的に結合する能力を有するドメインより本質的に成る。従って、本発明は図10−1〜図10−2において示すタンパク質の細胞外ドメイン由来の少なくとも5個の連続アミノ酸配列を含んで成る細胞外ドメイン、又は ACT−4と結合できるその突然変異体、変異体もしくは誘導体も提供する。
【0014】
一部の特異的結合性パートナー、例えば細胞外ドメインは表層上に ACT−4−h−1レセプターを発現するCD4+ T細胞のインビトロ活性化を阻害する。その他の特異的結合性パートナー、例えば細胞外ドメインはかかるT細胞のインビトロ活性化を刺激する。特異的結合性パートナーがリガンドフラグメントであるとき、これは図10−1〜図10−2に示す特異的に結合性のパートナーと、抗体に対する結合について競合しうる。
【0015】
細胞外ドメインを含む上記の任意の特異的結合性パートナーは更に、共有結合的にコンジュゲートされた、又は融合タンパク質の一部を構成しうる連結第2ポリペプチドを含んで成りうる。適当な連続ポリペプチドには、イムノグロブリン重鎖の定常領域、並びに毒素又はラベルが含まれる。
【0016】
本発明の特異的結合性パートナーは適切には可溶性形態であり、且つラベル化されていてよい。特に、本発明は可溶性ポリペプチドを提供し、それは ACT−4に特異的に結合することのできる特異的結合性因子である。かかるポリペプチドは、図10−1〜図10−2のアミノ酸配列を有するであろうが、ただしそのトランスメンブランサブ配列は除く。
【0017】
本発明は更に、 ACT−4−L−h−1リガンドに特異的に結合するドメインより本質的に成る ACT−4レセプターポリペプチドを提供する。
本発明は更に、 ACT−4−L−h−1、好ましくはその細胞外ドメインに特異的に結合する抗体の如くの結合性成分を考慮する。
本発明は更に任意の上記の特異的結合性パートナーに特異的な結合性成分を提供し、その結合性成分は ACT−4レセプターポリペプチド以外のものであり、そして図10−1〜図10−2に示す完全アミノ酸配列を有するポリペプチドとは交差反応性でない。
適切には、この結合性成分は抗体結合性ドメインを含んで成る。
【0018】
更に、本発明は ACT−4レセプターポリペプチドに特異的な結合性成分を提供し、これは(a)ヒトの抗体結合性ドメインの一部もしくは全体、又は(b)抗体のヒト型領域を含んで成る。好適な抗体はヒト型抗体、例えばヒト型領域と非ヒト抗体結合性ドメインを含んで成る抗体、及びヒト抗体である。ヒト型抗体の例は以降により詳しく説明する。
【0019】
この結合性成分は様々な結合特異性を有する。例えば、一部のヒト型抗体はB細胞の表層上の ACT−4−L−h−1リガンドに特異的に結合し、B細胞の活性化を阻害する。その他の抗体はB細胞の活性化を刺激する。その他の抗体はB細胞の表層上の ACT−4−L−h−1リガンドに特異的に結合し、B細胞がCD4+ T細胞を活性化する能力を阻害する。
抗体はモノクローナル抗体であってよい。この結合性成分は抗体のFab 又はF(ab)'2を含んで成りうる。
【0020】
本発明の更なる観点は、 ACT−4レセプターの特異的結合性パートナー、例えば上記のものをコードする核酸セグメント(図10−1〜図10−2に示す完全アミノ酸配列をコードする核酸セグメント以外のセグメント)、又は上記の結合性成分をコードする核酸セグメントを含んで成る。これらの核酸セグメントは、適当な複製可能発現ベクターへの組込み及び原核細胞又は真核細胞であってその後培養せしめる宿主細胞への組込みにより、関連タンパク質の調製において利用できうる。この工程に関与する細胞系及びベクターは本発明の更なる観点を構成する。
【0021】
別の観点において、本発明は薬理組成物に関する。本発明は、ATCC HB11483として寄託されたハイブリドーマHBL106により生産されるL106と命名されたモノクローナル抗体以外のものである ACT−4レセプターに対する特異的結合性パートナーと、薬理学的に許容される担体との組合せを含んで成る薬理組成物を提供する。この薬理組成物は適切には薬理学的に活性な担体と、上記した如くの ACT−4−L−h−1リガンドの細胞外ドメインに特異的に結合する因子とを含んで成る。他方、本発明は図10−1〜図10−2に示すアミノ酸配列を有する ACT−4レセプター又はそのフラグメント、変異体、突然変異体もしくはその誘導体に対する特異的結合性パートナーと、薬理学的に許容される担体との組合せを含んで成る薬理組成物を提供する。適当な結合性成分は上記したものである。
【0022】
適当な組成物は、例えばトランスメンブラン配列を介してリポソーム製剤の表層上に担持された、上記の特異的結合性パートナー又は図10−1〜図10−2に示す完全アミノ酸配列を有する特異的結合性パートナーポリペプチドを含んで成る。
【0023】
本発明は更に患者の免疫応答を改善する方法、例えば免疫応答を抑制する方法を提供し、この方法は有効な量の上記のものの如くの薬理組成物を投与することを含んで成る。この投与は生体外で実施してよい。好適な因子はモノクローナル抗体 ACT−4−Lリガンドポリペプチド及び ACT−4レセプターポリペプチドである。本発明は免疫応答を抑制するその他の方法を提供し、それにおいては該因子は ACT−4−L−h−1リガンドと ACT−4−h−1レセプターに対する特異的結合について競合する。この方法は免疫疾患又は症状を有する患者の処置において有用である。これらの方法が有効でありうる症状の例には移植拒絶、GVHD、自己免疫疾患、炎症、感染症因子、HTVL感染化細胞又はHIV 、並びに炎症性腸疾患又は障害が含まれる。
【0024】
本発明は更に ACT−4を認識することのできる免疫調節因子についてスクリーニングする方法を提供し、この方法は:
ACT−4レセプターポリペプチドに対する特異的結合性パートナーを試験すべき物質と接触させる;そして
この特異的結合性パートナーとこの因子、即ち試験する物質との結合を検出する;
ことを含んで成る。
【0025】
他方、本発明は特異的結合性パートナーによる ACT−4レセプターポリペプチドの認識に影響を及ぼすことのできる免疫調節因子についてスクリーニングする方法を提供し、この方法は:(a) ACT−4レセプターポリペプチドに対する特異的結合性パートナー;(b) ACTレセプター又はその特異的結合性類似体;及び(c)試験する因子;とを互いと接触させ;そして成分(a)と(b)との結合力を検出する;ことを含んで成る。適切には、 ACT−4レセプターに対する特異的結合性パートナーを固相表面に固定する。
【0026】
この方法は免疫抑制因子をスクリーニングするための方法に利用でき、この場合においてはこの方法は、特異的結合性パートナー、特に ACT−4−L−h−1リガンドポリペプチドを潜在性の免疫抑制因子と接触させることを含んで成る。 ACT−4−L−h−1リガンドポリペプチドとこの因子との特異的な結合を検出する。この特異的な結合は免疫抑制活性の指標である。
【0027】
更なる観点において、本発明は選定した抗原に対する免疫応答を誘導する方法を提供し、この方法は
上記の適当な結合性成分を患者に投与する;そして
その患者を選定の抗原に暴露する;
ことを含んで成る。
【0028】
本発明は更に活性化CD4+ T細胞をモニターする方法を提供する。この方法は細胞、例えば患者由来の組織サンプルを、 ACT−4レセプターに対する特異的結合性パートナー、例えば ACT−4−L−リガンドポリペプチドであって ACT−4−h−1レセプターの細胞外ドメインに特異的に結合するものとを接触させることを含んで成る。 ACT−4−Lリガンドポリペプチドと組織サンプルとの特異的な結合は、活性CD4+ T細胞の存在を示唆するために検出する。この方法はインビトロで行うのが好適である。
【0029】
更なる観点において、本発明はひと免疫不全ウィルスによるCD4+ T細胞の感染を阻害する方法を提供し、この方法はCD4+ T細胞を、 ACT−4レセプターの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体と接触させることを含んで成る。
本発明は更に活性化CD4+ T細胞を検出するためのキットを提供し、これは上記の ACT−レセプターに対する特異的結合性パートナーを含んで成る。
【0030】
本発明の別の観点は、図10−1〜図10−2に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド又は請求項1記載の特異的結合性パートナーを、 ACT−4レセプター又はその特異的結合性類似体の認識のための特異的結合性反応に利用することを含んで成る。
他方、本発明は ACT−4レセプター又はその特異的に結合性の類似体を、図10−1〜図10−2に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド又は請求項1記載の特異的結合性パートナーの認識のための特異的結合性反応に利用することを提供する。
【0031】
本発明は更に例えば生検サンプル又は血液サンプルの如くの組織サンプル中の ACT−4レセプターに対する特異的結合性パートナーを含んで成る分析物を検出する方法を提供し、この方法はこの分析物を、その分析物を認識することのできる特異的結合性因子を含んで成る第1試薬と、この分析物に類似又は相補結合特異性の特異性因子を含んで成る第2試薬と接触させ(ここでラベルが第2試薬に施されている)、そしてこの第2試薬のそのパートナーに対する特異的な結合を検出又は定量することを含んで成る。
【0032】
本発明についての更なる方法は、例えば生検又は血液サンプルの如くの組織サンプル中の ACT−4レセプターに対する特異的結合性パートナーに対して相補結合特異性を有する物質を含んで成る分析物を検出するための方法についてであり、この方法はこの分析物を ACT−4レセプターに対する特異的結合性パートナーを含んで成る第1試薬と、この分析物に類似又は相補結合特異性の特異的結合性因子を含んで成る第2試薬と接触させ(ここでラベルが第2試薬に施されている)、そしてこの第2試薬のそのパートナーに対する特異的な結合を検出又は定量することを含んで成る。
【0033】
これらの方法は炎症症状、例えば炎症性腸疾患又は障害の如くの診断又は検出において利用できうる。これらは炎症症状を有するものと推定される患者由来の生検サンプルに基づいて実施できる。
【0034】
更に、本発明は ACT−4レセプターに対する特異的結合性パートナーを含んで成る分析物、又は ACT−4レセプターもしくはその特異的な結合性類似体の検出又は定量のための特異的結合性アッセイを実施するためのキットを提供し、ここでこのキットは前記分析物を認識できる特異的結合性因子を含んで成る第1試薬、この分析物に類似又は相補結合特異性の特異的結合性因子を含んで成る第2試薬、及びこの第2試薬のためのラベル(例えば放射能又は酵素ラベル)を含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
定 義
20種の天然アミノ酸についての略語は慣用の用法に従う(Immunology-A Synthesis, E. S. Golub & D. R. Gren編Sinauer Associates, Sunderland, MA. 第2版、1991)(引用することで本明細書に組入れる)。20種の慣用アミノ酸の立体異性体(例えばD−アミノ酸)、非天然アミノ酸、例えばα,α−ジ置換化アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸及びその他の慣用的でないアミノ酸も本発明のポリペプチドにとって適切な成分である。慣用的でないアミノ酸の例には、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルミン酸塩、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、ω−N−メチルアルギニン並びにその他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば4−ヒドロキシプロリン)が含まれる。
【0036】
本明細書に用いるポリペプチド記述において、左側の方向はアミノ末端方向であり、そして右側方向はカルボキシ末端方向であり、標準の用法及び慣習に従う。同様に、何らかのことわりのない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側先端は5’末端である;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は5’方向と呼ぶ。真性RNA 転写体の5’から3’に至る付加の方向は転写方向と呼ぶ。RNA と同じ配列を有し、且つRNA 転写体の5’末端に対して5’側にあるDNA 鎖上の配列領域を「上流配列」と呼ぶ。RNA と同じ配列を有し、且つRNA 転写体の3’末端の3’側にあるDNA 鎖上の配列領域は「下流配列」と呼ぶ。
【0037】
「ポリヌクレオチド配列」なる語は、5’から3’末端方向で読まれるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖ポリマーを意味する。これは自己複製プラスミド、DNA 又はRNA の感染性ポリマー及び非機能性DNA 又はRNA を含む。
【0038】
以下の用語を2種以上のポリヌクレオチド間の配列関係を説明するために用いた:「対照配列」、「対比枠」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテージ」。「対照配列」は配列対比のための基準として用いる規定の配列である。対照配列は、より大きな配列のサブセット、例えば全長cDNAもしくは配列表に示している遺伝子配列のセグメント、例えば図5−1〜図5−2もしくは図10−1〜図10−2に示すポリヌクレオチド配列のセグメントであってよく、又は完全cDNAもしくは遺伝子配列を構成するものであってよい。一般に、対照配列は長さが少なくとも20ヌクレオチド、しばしば長さが少なくとも25ヌクレオチド、そして往々にして長さが少なくとも50ヌクレオチドである。
【0039】
2種のポリヌクレオチドはそれぞれ(1)これら2種のポリヌクレオチド間で類似である配列(即ち、完全ポリヌクレオチド配列の一部)を含んで成ることがあり、そして(2)これらの2種のポリヌクレオチド間で異なる配列を更に含んで成ることがあり、2種の(又はそれより多くの)ポリヌクレオチド間の対比は、一般に局所的な配列類似性領域を同定及び対比するために「対比枠」で2種のポリヌクレオチドの配列を対比することにより行う。本明細書で用いる「対比枠」は少なくとも20個の連続ヌクレオチド位の観念的なセグメントであってそれにおけるポリヌクレオチド配列が少なくとも20個の連続ヌクレオチドの対照配列と対比できうるものであり、そしてここでこの対比枠の中のポリヌクレオチド配列の一部は対照配列と対比させたときに2種の配列の最適整合に対して20%以下の付加又は欠失(即ち、ギャップ)を含んで成りうる。
【0040】
対比枠の整合に関する配列の最適整合は、Smith & Waterman, Appl. Math. 2 : 482 (1981)の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48 : 443 (1970) の相同性整合アルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85 : 2444 (1988)の類似の方法についての探索により、これらのアルゴリズムのコンピューター化実行により(FASTDB (Intelligenetics), BLAST (National Center of Biomedical Information) 又はGAP, BESTFIT, FASTA 及びTFASTA (Wisconsin Genetics Software Package Release7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI))、又は視察により行うことができ、そしてこの様々な方法により得られる最良の整合性(即ち、対比枠で最高の配列類似性パーセンテージをもたらすもの)を選定する。
【0041】
「配列同一性」なる語は、2種のポリヌクレオチド配列が対比枠で同一(即ちヌクレオチド−ヌクレオチド基準で)であることを意味する。「配列同一性のパーセンテージ」なる語は、2種の最適に整合せしめた配列を対比枠で対比させ、双方の配列において同一の核酸塩基(即ちA,T,C,G,U又はI)が存在する位置の数を決定して対合位置数を得、その対合位置数を対比枠の中の総位置数(即ち、枠のサイズ)で除し、そしてその結果に100 を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。
【0042】
本明細書において用いる「実質的に同一」なる語は、ポリヌクレオチド配列の特徴であって、そのポリヌクレオチド配列が対照配列と対比されたときに、少なくとも20個のヌクレオチド位置の対比枠で、しばしば少なくとも25〜50ヌクレオチドの枠で、少なくとも70,80又は85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、より通常には少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含んで成るという特徴を意味し、ここでこの配列同一性のパーセンテージは、対照配列を、対比枠で欠失又は付加を全部で対照配列の20%未満において含みうるポリヌクレオチド配列と対比させることにより計算する。この対照配列はより大きな配列のサブセット、例えば図5−1〜図5−2に示す全長 ACT−4−h−1配列又は図10−1〜図10−2に示す全長 ACT−4−L−h−1配列のセグメントであってよい。
【0043】
ポリペプチドに適用したときの用語「実質的に同一」とは、2種類のペプチド配列を例えばプログラムBLAZE (Intelligenetics), GAPにより、又はBESTFIT によりデフォルトギャップ(default gap)重みを用いて最適整合せしめたときに、それらが少なくとも70%又は80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%又はそれより高い配列同一性(例えば99%の配列同一性)を共有していることを意味する。好ましくは、同一でない残基位置は保存型アミノ酸置換により相違する。保存型アミノ酸置換は類似の側鎖を有する残基の置換可能性を意味する。
【0044】
例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンであり;脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群はセリン及びトルオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群はアスパラギン及びグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群はフェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群はリジン、アルギニン及びヒスチジンであり;そして硫黄含有側鎖を有するアミノ酸はシステイン及びメチオニンである。好適な保存型アミノ酸置換基は:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、及びアスパラギン−グルタミンである。
【0045】
「実質的に純粋」なる語は、目的物質が、優勢的に存在している物質(即ち、モルベースで、それは組成物中の任意のその他の個別の物質よりも豊富となっている)となっていることを意味し、そして好ましくは実質的に精製された画分は、この目的物質が存在している全ての巨大分子物質のうちの少なくとも約50%(モルベースで)を占めているような組成物をいう。一般に、実質的に純粋な組成物は組成物の中に存在している全ての巨大分子物質の約80〜90%より多くを占めているであろう。最も好ましくは、この目的物質は本質的に均質となるまで精製されており(慣用の検出方法によっては組成物中に夾雑物質が検出できない)、ここでこの組成物は単独種の巨大分子物質より本質的に成る。
【0046】
本明細書において物体に適用する用語「天然」とは、物体が天然において見い出せうるという事実を意味する。例えば、生物(ウィルスを含む)の中に存在し、天然資源から単離でき、そして研究室の中で人偽的に意図的に改変されていないポリペプチド又はポリヌクレオチド配列が天然である。
【0047】
「エピトープ」なる語は、イムノグロブリン又はT細胞レセプターに特異的に結合できる任意のタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は通常アミノ酸又は糖側鎖の如くの分子の化学的に活性な基より成り、そして特異的な三次元構造特性及び特異的な帯電特性を有する。
特異的な結合性は、二量複合体についての解離定数が≦1μM、好ましくは≦100nM 、そして最も好ましくは≦1nMであるときに存在しているといえる。
【0048】
本明細書で用いる「高度同系変異体」なる語は、ヒト及び高等哺乳動物種間で、例えば霊長類、豚類及び牛類間で進化的及び機能的に近縁している遺伝子配列を意味する。この語は、げっ歯類、例えばラット由来の配列は含まない。従って、 ACT−4−h−1遺伝子に対する同系霊長類遺伝子とは、 ACT−4−h−1レセプタータンパク質に対して最大の配列同一性度を有し、且つ ACT−4−h−1タンパク質のそれと類似の発現パターン(即ち、活性化CD4+ 細胞上で発現)を示す発現タンパク質をコードする霊長類遺伝子である。同様に、 ACT−4−L−h−1遺伝子に対する同系霊長類遺伝子とは、その発現タンパク質が ACT−4−L−h−1リガンドタンパク質に対して最大の配列同一性を示し、且つ類似の発現パターン(即ち、活性化B細胞上で発現)を示す遺伝子である。
【0049】
細胞の集団は、選定の細胞タイプが集団の少なくとも30%,50%又は70%を構成するとき、選定の細胞タイプに実質的に富んでいるといえる。
「患者」なる語はヒト及び脊椎対象体を含む。
【0050】
試験物質は、競合アッセイにおいて過剰量の試験物質が対象物の結合を実質的に阻害するとき、対照物質と抗原に対する特異的結合について競合している。莫大なタイプ数の競合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ及びELISA が有用である。Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor (1988) を参照のこと。「実質的に阻害」とは、試験物質が対照物質の特異的結合を通常少なくとも10%,25%,50%,75%又は90%低下させることを意味する。競合アッセイにより同定される試験物質には、対照物質と同一のエピトープに結合するもの、及び対照抗体が結合するエピトープに立体障害が生ずるほどに十分に近い隣接エピトープに結合するものが含まれる。
【0051】
詳細な説明
I. ACT−4レセプターポリペプチド
本発明の一態様に従うと、活性化CD4+ T細胞の表層上のレセプター(ACT−4レセプターと呼ぶ)及びそのフラグメントが提供される。 ACT−4レセプターポリペプチドなる語は、一般に全長タンパク質及びそのフラグメントを包括するように用いられている。 ACT−4レセプターなる語は通常全長タンパク質のために確保されている。特性決定する最初の ACT−4レセプターのアミノ酸配列(以降 ACT−4−h−1)を図5−1〜図5−2に示す。接尾辞hはヒト起源を意味し、そして接尾辞−1は ACT−4−h−1が特性決定される最初の ACT−4であることを示す。 ACT−4レセプターなる語は図5−1〜図5−2に示す配列を有するタンパク質のみを意味するだけでなく、 ACT−4−h−1の対立形質型、非対立形質型及び高度同系の変異体、並びに任意のこれらの天然又は誘導型突然変異体をも意味する。
【0052】
通常、 ACT−4レセプターポリペプチドは ACT−4−h−1配列と実質的な配列同一性をも示すであろう。一般に、 ACT−4レセプターポリペプチドは、 ACT−4−h−1配列由来の少なくとも4個、そしてより一般には、5,6,7,10又は20,50又はそれより多くの連続アミノ酸を含むであろう。機能性ドメイン、例えば結合性ドメイン又はエピトープは4個ほどの少ないアミノ酸より形成されうることが当業界において知られている。
【0053】
ACT−4レセプターポリペプチドは一般に ACT−4−h−1のアミノ酸配列との実質的なアミノ酸配列同一性を示し、そして図5−1〜図5−2に示す ACT−4−h−1をコードするヌクレオチド配列との実質的な配列同一性を示すヌクレオチド配列によりコードされるであろう。 ACT−4レセプタータンパク質をコードするヌクレオチドは一般にストリンジェンシー条件下で ACT−4−h−1配列とハイブリダイズするであろう。しかしながら、これらのヌクレオチドはストリンジェンシー条件下で、Malletら、EMBO J. 9 : 1063-68 (1990)(引用することで本明細書に組入れる)(特にMelletらの文献のFigure 2A を参照のこと)に記載のOX−40レセプターをコードする核酸とは通常ハイブリダイズしないであろう。
【0054】
ストリンジェンシー条件は配列依存性であり、そして種々の環境で異なるであろう。一般に、ストリンジェンシー条件は、規定のイオン強度及びpHにおいて、特異的な配列の熱融点(Tm)より約5℃低くなるように選定される。Tmは標的配列のうちの50%が好適に対合するプローブにハイブリダイズする温度である(規定のイオン強度及びpHで)。一般に、ストリンジェンシー条件はpH7において塩濃度が少なくとも約0.02モラーであり、且つ温度が少なくとも約60℃である条件であろう。数多くの要因、例えばとりわけ相補鎖の塩基組成及びサイズ、有機溶媒の存在、並びに塩基誤対合の程度がハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに有意な影響を及ぼしうるため、任意のパラメーターの絶対値よりもパラメーターの組合せの方が一層重要である。
【0055】
通常、 ACT−4レセプターポリペプチドは ACT−4−h−1と共通の少なくとも1つの抗原決定基を共有しているであろうが、しかしラットOX−40ポリペプチドに対する抗体とは特異的に反応しないであろう。共通の抗原決定基の存在は変異タンパク質と ACT−4−h−1に対して調製した任意の抗体との交差反応により確証される(IV章参照のこと)。交差反応は往々にして ACT−4−h−1に対するポリクローナル抗血清を用いて試験されるが、しかし ACT−4−h−1に対する1又は数種のモノクローナル抗体、例えばL106と命名された抗体を用いて試験されることもできる。
【0056】
往々にして ACT−4レセプターポリペプチドは改質ポリペプチド骨格を含むであろう。改質にはポリペプチドの化学的誘導化、例えばアセチル化、カルボキシル化等が含まれる。これらはグリコシル化改質(N−及びO−連結)並びに一般のポリペプチドのプロセシング変異体も含まれる。これらのプロセシング工程には特に酵素改質、例えばユビキチン化及びホスホリル化が含まれる。例えばHershko & Ciechanover, Ann. Rev. Bioch. 51 : 335-364 (1982) を参照のこと。例えば ACT−4−h−1タンパク質は重度に改質され、アミノ酸配列に基づく推定分子量がわずか27KDa であるのに対し、観察される分子量は約50KDa である。2つの推定グリコシル化部位がその細胞外ドメインにおいて同定された。
【0057】
ACT−4レセプターは ACT−4−h−1に関して見い出せる形態的な特徴の一部又は全てを共有するようである。 ACT−4−h−1についてのアミノ酸配列は22又は24個のアミノ酸の推定N−末端シグナル配列を含む。この24個のアミノ酸配列はvon Heijne, Nucleic Acids Res. 14 : 4683-4690 (1986)(引用することで本明細書に組入れる)の基準に基づく可能性が高い。 ACT−4−h−1レセプターは27個のアミノ酸にわたって広がる残基213-240 の単独の付加疎水性ストレッチを含む。
【0058】
この疎水性ストレッチはおそらくはトランスメンブランに相当し、そしてその存在はI型の膜内在タンパク質である ACT−4−h−1と一致する(即ち、単独のトランスメンブランとドメインと、細胞外領域を含んで成るN末端ドメイン及び細胞内領域を含んで成るC末端ドメインとを有する)。トランスメンブランセグメントに対してアミノ近位である ACT−4−h−1の 189又は 191個のアミノ酸(シグナル切断部位の正確な位置に依存)を細胞胞ドメインと命名し、一方トランスメンブランセグメントに対してカルボキシ近位である37個のアミノ酸を細胞内ドメインと命名する。アミノ末端から、この細胞外ドメインは NH2−末端疎水性推定シグナル配列、及び対合したシステイン残基間でのジスルフィド結合により形成される3本の鎖内ループを有する。
【0059】
ACT−4レセプターポリペプチドの形態的アレンジメントは神経成長因子レセプター族のその他の構成員、特にラットOX−40レセプターのそれに似ている。しかしながら、その他の構成員はいくつかの細胞外ジスルフィドループにおいて、及び細胞内ドメインのサイズにおいて多少の相違を有する。Mallet & Barclay、前掲を参照のこと。
【0060】
上記のドメイン全てが、全ての ACT−4レセプターポリペプチドにおいて存在している必要はないが、細胞外ドメインが存在していることが最も期待される。事実、一部の ACT−4レセプターポリペプチドにおいては、細胞外ドメインのみが存在していることが可能であり、そしてかかるタンパク質の天然の状態は細胞表層結合型タンパク質ではなく、可溶性タンパク質であり、例えば細胞外体液の中に分散されている。可溶性変異形態の存在はその他の細胞表層レセプター、例えば神経成長因子レセプター族の一構成員である SFV−T2に関して観察された。Mallet & Barclay、前掲を参照のこと。
【0061】
実質的に全長のポリペプチドの他に、本発明はポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントを提供する。有意義な生物学的活性にはレセプター結合能、抗体結合能(例えば、フラグメントは抗体に対する特異的な結合に関してインタクト ACT−4レセプターと競合する)、免疫原性(即ち、フラグメントに対するB又はT細胞応答を刺激するエピトープを保有)、及び ACT−4レセプターポリペプチドのためのリガンドへの結合の作動能又は拮抗能が含まれる。 ACT−4レセプタータンパク質又はそのドメインのセグメントは通常少なくとも約5,7,9,11, 13, 16, 20, 40又は 100個の連続アミノ酸を含んで成るであろう。
【0062】
ACT−4レセプターポリペプチドのセグメントは往々にして機能性又は構造性ドメインの境界付近で終結する。かかるセグメントの特定の機能又は構造特性を司るアミノ酸より本質的に成る。構造及び機能性ドメインはヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データー、例えば図5−1〜図5−2に示すものを公共の又は私有の配列データーベースと対比させることにより同定される。好ましくは、その他の公知の構造及び/又は機能のタンパク質において認められる配列モチーフ又は推定タンパク質コンホメーションドメインを同定するコンピューター化対比法を利用する。構造ドメインは細胞内ドメイン、トランスメンブランドメイン及び細胞外ドメインを含み、この細胞外ドメインは3つのジスルフィド結合ループを含む。機能性ドメインは細胞外結合性ドメインを含み、それを通じて ACT−4レセプターポリペプチドは外的可溶性分子又はその他の細胞結合型リガンド及び細胞内シグナル変換ドメインと相互作用する。
【0063】
一部のフラグメントは細胞外ドメインのみ、例えば1又は複数のジスルフィド結合ループのみを含むであろう。かかるフラグメントは往々にしてインタクト ACT−4レセプターポリペプチドの結合特異性を保持するであろうが、しかしそれは膜結合型であるよりは可溶性型であろう。かかるフラグメントは ACT−4レセプター結合性の競合インヒビターとして有用である。
【0064】
ACT−4レセプターは神経成長因子レセプター族の構成員としてのその立場により更に同定される。 ACT−4−h−1のアミノ酸配列は NGF−R, TNF−R,CD40,4−1BB及び fas/AP01に対して少なくとも20%の同一性である。 ACT−4−h−1は、活性化CD4+ 細胞上での選択発現を特徴とするラットOX−40遺伝子と62%のアミノ酸配列同一性を示す。
【0065】
ACT−4レセプターは特徴的な細胞分布によっても同定される。最も顕著には、 ACT−4レセプターは通常活性化CD4+ T細胞上で容易に検出される(発現する細胞の%は通常約25又は50%より高く、そして往々にして約80%である;平均チャンネル蛍光は通常、免疫蛍光染色を経てカルター・プロフィール・フロー・サイトメーターで約10、そして往々にして約20〜25である)。 ACT−4レセプターは通常、休止T細胞、B細胞(PMVで活性化されていない限り)、NK細胞及び単球(PMAで活性化されていない限り)上に実質的に存在しない。実質的に存在しないとは、 ACT−4を発現する細胞の%が通常約5%未満、そしてより通常には約2%未満であり、そして平均チャンネルが通常、細胞の免疫蛍光染色を経てカルター・プロフィール・フロー・サイトメーターで測定して約4未満、そしてより通常には約2未満であることを意味する(実施例2参照のこと)。
【0066】
ACT−4レセプターは通常活性化CD8+ 細胞上では低レベルで発現される(発現する細胞%は約4〜10%であり;免疫蛍光染色を経たカルター・プロフィール・フロー・サイトメーターでの平均チャンネル蛍光は約2〜4である)。CD8+ 細胞上で認められる低レベルの発現は、発現がCD8+ 細胞のサブ集団に限定されることを示唆する。活性化CD4+ 細胞の表層上の ACT−4レセプターの発現は、いくつかの異なる活性化メカニズム、例えば同種異系抗原、破傷風又はマイトジェン(例えばPHA)刺激に関して観察されている。発現は、同種異系抗原又は破傷風毒素刺激の約7日後、及びPHA 刺激の約3日後にピークを迎える。
【0067】
これらのデーターは、 ACT−4レセプターが、休止細胞上には実質的に存在していない初期活性化抗原に分類されうることを示唆する。 ACT−4レセプターが活性化CD4+ 細胞上で優先的に発現され、そして活性化CD8+ 細胞上でははるかに少ない程度で発現され、しかしながらほとんど又は全てのその他のリンパ球サブタイプ上では実質的に存在しない(PMAの如くの高度な非生理学的刺激に対応する応答は除く)という観察は、ヒト白血球上で見い出せるその他の活性化抗原の細胞タイプ特異性に反している。
【0068】
活性化CD4+ T細胞の表層上の ACT−4レセプターの発現は、レセプターがこれらの細胞の活性化において機能していることを示唆する。かかる機能は神経成長因子レセプター族のいくつかのその他の構成員のそれと一致する、例えば、CD40はBリンパ球におけるG1−S相転移を刺激し、そして神経成長因子レセプターはサイトカイン神経成長因子からのシグナルを変換し、これは神経の分化及び生存をもたらしめる(Barde, Neuron 2 : 1525-1534 (1989)(引用することで本明細書に組入れる)。しかしながら、 ACT−4レセプターのその他の機能、例えばその他のリンパ球細胞タイプとの相互作用も想定されうる。かかる機能の存在はその他の神経成長因子レセプター族の構成員、例えば腫瘍壊死因子であってそれと腫瘍壊死因子レセプターとの相互作用は炎症又は腫瘍細胞死をもたらしうるような因子の多彩な機能と一致する。
【0069】
ACT−4レセプターの実質的な1又は複数の機能性ドメイン(例えば細胞外ドメイン)を含んで成るフラグメント又は類似体を異種のポリペプチド配列に結合させることができ、これにより得られる融合タンパク質は ACT−4レセプターフラグメント及び/又はその融合パートナーにより付与される機能的な(1又は複数の)特性を示すようになる。
【0070】
融合パートナーに対する ACT−4レセプターフラグメントの配向は、構築のし易さ、タンパク質分解に対する安定性、熱安定性、免疫反応性、アミノ−又はカルボキシ−末端残基修飾等の如くの実験配慮に依存するであろう。潜在的な融合パートナーには発色原酵素、例えばβ−ガラクトシダーゼ、プロテインA又はG,FLAGタンパク質、例えばBlanar & Rutter, Science 256 : 1014-1018 (1992) に記載のもの、毒素(例えばジフテリア毒素、シュードモナス エクトトキシンA、リシン毒素、又はホスホリパーゼC)及びイムノグロブリン成分が含まれる。
【0071】
ACT−4レセプターフラグメント及びイムノグロブリン成分の融合により形成される組換グロブリン(Rg)に往々にして、利用した特定のイムノグロブリンクラスの定常領域に一体化した生理学的特性のほとんど又は全てを有する。例えば、組換グロブリンは補体を固定でき、抗体依存性細胞毒性を媒介し、B細胞を刺激し、又は血管壁を横断して細胞間空間に侵入できうる。組換グロブリンは通常、 ACT−4レセプター細胞外ドメインのC末端を重鎖イムノグロブリンの定常領域ドメインのN末端に融合させることにより形成され、これにより自生イムノグロブリン鎖のコンホメーションをシュミレートさせる。
【0072】
イムノグロブリン鎖は好ましくはヒト起源とする。特にその組換グロブリンが治療的用途を意図する場合である。組換グロブリンは通常可溶性であり、そして未改質の ACT−4レセプターに対していくつかの有利な特性を有する。これらの特性には、長い血清半減期、 ACT−4レセプターが親和性を有している標的細胞をエフェクター機能によって溶解する能力、並びにこの組換グロブリンを結合分析において固定化するのに利用できるプロテインA及びGの如くの分子に結合する能力が含まれる。
【0073】
II. ACT−4に対するリガンド
本発明は、 ACT−4レセプターポリペプチドに特異的に結合し、且つかかるポリペプチドと、少なくともある程度、非共有結合によって複合体を形成できるリガンドも提供する。 ACT−4−Lリガンドポリペプチドなる語は一般に全長タンパク質及びそのフラグメントを包括するように利用される。この語は通常は ACT−4レセプターポリペプチドに対する抗体を含まない。 ACT−4リガンドなる語は通常全長タンパク質を意味するのに用いる。リガンドは天然でも合成分子でもよく、そして可溶性形態でも、細胞表層に定着されていてもよい。
【0074】
複数種のリガンドが同種の ACT−4レセプターに結合しうる。逆に、一種のリガンドが複数種の ACT−4レセプターに結合しうる。通常、 ACT−4レセプターに対するリガンドの結合は、 ACT−4レセプターを担持している細胞及び/又は ACT−4リガンドを担持している細胞の物理的及び/又は機能的表現型を改変するシグナル発信を開始するであろう。 ACT−4又はそのリガンドのいづれかに対する抗体はシグナル変換をブロック又は刺激する能力を有しうる。むろん、レセプターとしての ACT−4及びリガンドとしてのその特異的結合性パートナーの表示はある程度任意的であり、そしてある状況においてはその逆であってよい。
【0075】
ACT−4−Lリガンドポリペプチドを供給するための起源材料は、種々の細胞タイプ、特にリンパ球及び造血細胞、体液及び組織抽出物を、プローブとしての好ましくは水性可溶性形態におけるラベル化 ACT−4レセプターポリペプチドによるスクリーニングにより同定する。活性化B細胞又はB細胞系が適切でありうる(実施例8参照のこと)。HTLV−I感染化T細胞も適切である。往々にして、 ACT−4レセプター又はその結合性フラグメントを、スクリーニングの目的のために第2タンパク質に融合又は連結させる。特に適切なのは、 ACT−4−h−1の細胞外部分をイムノグロブリン重鎖の定常領域に融合することによって形成される組換グロブリンである。 ACT−4−Lリガンドポリペプチドを細胞又はその他の生物材料からこのスクリーニング法により、伝統的なタンパク質化学技術を利用して同定する。
【0076】
かかる技術には、硫酸アンモニウムによるかかる物質の選択的沈殿、カラムクロマトグラフィー、免疫沈殿法、その他が含まれる。例えば、R. Scopes, Protein Purification : Principles and Practice (Springer-Verlag, NY, 1982) (引用することで本明細書に組入れる)を参照のこと。通常、精製手順はアフィニティークロマトグラフィー工程を含み、それにおいては ACT−4レセプターポリペプチド又はその結合性フラグメントを固定化試薬として用いる。 ACT−4−定常領域はその定常領域成分をプロテインA又はGに結合させることによって簡単に固定化できる。 ACT−4−Lリガンドポリペプチドはアフィニティー試薬として ACT−4レセプターに対する抗−イディオタイプ抗体を用いて精製することもできる。
【0077】
アミノ酸配列を決定するため又はリガンドのポリペプチドフラグメントを獲得するため、リガンドをトリプシンで消化してよい。ペプチドフラグメントは逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離でき、そして気相配列決定により分析できる。当業界に公知のその他の配列決定法も利用できうる。配列データーは ACT−4−LリガンドポリペプチドをコードするcDNA又はゲノムクローンの単離のための縮重プローブをデザインするのに利用できる。
【0078】
他方、 ACT−4−LリガンドポリペプチドをコードするcDNAクローンは発現クローニングにより獲得できる。この手法においては、 ACT−4−Lリガンドポリペプチドを発現する細胞からcDNAライブラリーを調製する。(上記の通りに同定;前掲)。ライブラリーを適当な細胞(例えば COS−7)において発現させ、そして ACT−4−Lリガンドポリペプチドを担持するクローンをラベル化された ACT−4又はその結合性フラグメントによるスクリーニングにより同定し、イムノグロブリン重鎖の定常ドメインに任意的に融合させる。
【0079】
特性決定する ACT−4レセプターポリペプチドに対する第1リガンドのcDNA配列及び推定アミノ酸配列を図10−1〜図10−2に示す。このリガンドを ACT−4−L−h−1と命名し、接尾辞hはヒト起源を示し、そして接尾辞1はこれが特性決定最初のリガンドであることを示す。 ACT−4−L−h−1のcDNA配列のコード領域はgp 34 又はTA 34と呼ぶポリペプチドのそれと同一又はほぼ同一である。Miura らMol. Cell. Biol. 11 : 1313-1325 (1991)(引用することで本明細書に組入れる)を参照のこと。本発明はまた ACT−4−L−h−1の対立形質、非対立形質、スプライス及び高度同系変異性、並びに任意のこれらの天然又は誘導化突然変異体を示すリガンドも含む。
【0080】
かかる変異体は一般に ACT−4−L−h−1配列との実質的な配列同一性を示し、そしてより一般的には、 ACT−4−L−h−1配列由来の5,6,7,10又は20,50又はそれより多くの連続アミノ酸を含むであろう。かかる変異体は更に、図10−1〜図10−2に示す ACT−4−L−h−1をコードするヌクレオチド配列との実質的な配列同一性を示すヌクレオチド配列によりコードされるであろう。かかる変異体をコードするヌクレオチドは更にストリンジェンシー条件下で一般に ACT−4−L−h−1 DNA配列とハイブリダイズするであろう。
【0081】
しかしながら、一部のかかるヌクレオチドはストリンジェンシー条件下では ACT−4−L−h−1の低度同系変異体(例えばラット)をコードするDNA 配列とハイブリダイズしないであろう。 ACT−4−L−h−1の多くの変異体は、 ACT−4−L−h−1リガンドポリペプチドと少なくとも一の抗原決定基を共有するであろう。それは、それに対するモノクローナル又はポリクローナル抗体との交差反応性により確証される。しかしながら、一部のかかる変異体は ACT−4−L−h−1の低度同系変異体に対する抗血清と交差反応しないであろう。
【0082】
多くの ACT−4−Lリガンドポリペプチドは ACT−4−L−h−1と、上記の観点の少なくとも一つにおいて類似性を示すであろうが、 ACT−4レセプターに対する特異的な結合能力を除き、 ACT−4−L−h−1との共通性を示さないその他のリガンド族が ACT−4レセプターに対して存在していることが総合的に可能性である。かかるリガンド族は本発明の中に明確に包含される。
【0083】
往々にして、 ACT−4−Lリガンドポリペプチドは前述のI章の中で説明したタイプの骨格改質を含むであろう。例えば、 ACT−4−L−h−1ポリペプチドは、アミノ酸配列に基づく推定分子量がわずか21KDa であるのに対し、観察される分子量が約34KDa であるほどに重度に改質される。4つの推定N−連結グリコシル化部位が細胞外ドメインの中で同定された。
【0084】
多くの ACT−4−Lリガンドポリペプチドは ACT−4−L−h−1に関して見い出せる形態学的特徴の一部又は全てを共有する傾向にある。 ACT−4−L−h−1アミノ酸配列は推定N末端細胞内ドメイン(aa1−23)、推定疎水性トランスメンブランドメイン(aa24−50)及び推定細胞外C末端ドメイン(aa51−183)を含む。この構造アレンジメントはII型膜内在タンパク質である ACT−4−L−h−1と一致する(即ち、単独のトランスメンブランドメインと、細胞外領域を含んで成るC末端ドメイン及び細胞内領域を含んで成るN末端ドメインとを有する)。
【0085】
ACT−4−Lリガンドポリペプチドは、その他の神経成長因子レセプタースーパーファミリーの構成員と結合するリガンドの構造及び/又は機能特性のうちのいくつかをも共有しうる。かかるリガンドには TNF−α, TNF−β,CO40−L,CD27−L,CD30−Lが含まれる。 ACT−4−L−h−1は,TNF−αとほんのわずかな一次アミノ酸配列同一性しか示さず、そしてその他のスーパーファミリーのリガンドとはより弱い類似性を有するが、これらのリガンド全ての間でのより高い類似性が、より高い次元の構造を形成するその推定能力において明らかとされている。公知のスーパーファミリーリガンドの細胞外ドメインは約 150個のアミノ酸より成り、そしてスリット型の円筒構造へと組立てられるいくつかのβ−プリーツ型シートを形成する(Bazanら、Current Biology 3 :603-606 (1993)により「ジェリーロール」と呼ばれる)(引用することで本明細書に組入れる)。
【0086】
133個のアミノ酸より成る ACT−4−L−h−1の細胞外ドメイン及び推定のフォルディングパターンはβ−プリーツ型シート及び「ジェリーロール」の形成と一致する。明らかに、 TNF−βを除く全てのスーパーファミリーリガンドが、ある程度、II型膜内在細胞表層タンパク質としても存在する。スーパーファミリーリガンドは可溶性タンパク質としても存在し、かかる形態が ACT−4−Lリガンドポリペプチドに関して存在していることを示唆する。 ACT−4−L−h−1のC末端細胞外ドメインは様々なデヒドロゲナーゼと多少の配列同一性を示す。即ち、一部の ACT−4−Lリガンドポリペプチドはデヒドロゲナーゼ活性を有することがありこれは細胞間シグナル伝達において機能する。
【0087】
実質的な全長ポリペプチドの他に、本発明は全長 ACT−4−Lリガンドポリペプチドの生物活性フラグメントを提供する。有意義な生物活性には、 ACT−4レセプター、例えば ACT−4−h−1に対する結合能、第2 ACT−4−Lリガンドポリペプチドに対する結合能、抗体結合能(例えば、フラグメントはインタクト ACT−4−L−h−1リガンドポリペプチドと、抗体に対する特異的結合について競合する)、免疫原性(即ち、フラグメントに対するB又はT細胞応答を刺激するエピトープを保存)、及び ACT−4−h−1の多くの ACT−4レセプターポリペプチドに対する第2 ACT−4−Lリガンドポリペプチドの結合の作動能又は拮抗能が含まれる。
【0088】
全長 ACT−4−Lリガンドポリペプチドのセグメントは通常、図10−1〜図10−2に示すアミノ酸配列由来の少なくとも5個の連続アミノ酸を含むであろうが、しかし 160個より多くの連続アミノ酸は含んで成らないであろう。往々にして、セグメントは図10−1〜図10−2に示す配列由来の約10,20,50,75,100 又は 133個の連続アミノ酸を含み、 150個より多くの連続アミノ酸は含まない。
【0089】
一部のフラグメントは細胞外ドメインのみを含むであろう。かかるフラグメントは天然 ACT−4−Lリガンドポリペプチドの全長ドメインを含む。その他のフラグメントはその成分を含む。かかるフラグメントは往々にしてインタクト ACT−4−Lリガンドポリペプチドの結合特異性を保持しているであろうが、しかし膜結合型であるよりは可溶性であろう。かかるフラグメントはレセプターに対する ACT−4−Lリガンドポリペプチドの競合インヒビターとして有用である。
【0090】
全長 ACT−4−Lリガンドポリペプチドのフラグメントは往々にして機能的又は構造的ドメインの境界付近の(即ち、約5,10又は20aa以内)それらの末端の一方又は双方において終結する。構造的又は機能的境界により両端で終結するフラグメントは本質的に機能的又は構造的特性を司る ACT−4−Lアミノ酸の特定のセグメント(又はドメイン)より成る。構造的及び機能的ドメインは図10−1〜図10−2に示すようなヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データーを公共又は私有の配列データーベースと対比させることにより同定される。
【0091】
好ましくは、その他の公知の構造及び/又は機能のタンパク質において見い出せる配列モチーフ又は推定タンパク質コンホメーションを同定するコンピューター化対比法を利用する。結合性ドメインはエピトープマッピングにより同定できる。前述のVI章を参照のこと。構造ドメインは細胞内ドメイン、トランスメンブランドメイン及び細胞外ドメインを含む。機能性ドメインは細胞外結合性ドメイン(それを通じて ACT−4−Lリガンドポリペプチドは外的可溶性分子又は細胞結合型レセプターと相互作用する)及び細胞内シグナル変換ドメインを含む。
【0092】
ACT−4−L−h−1及び近縁リガンドの発現は細胞タイプ及び活性化状況に依存する。実施例8参照のこと。最も顕著には、 ACT−4−L−h−1は一部の PMA/イオノマイシン活性化B細胞系上で容易に検出される。 ACT−4−L−h−1は新鮮な休止B細胞上には実質的に存在しない。 ACT−4−L−h−1はHLTV−1感染T細胞上でも発現し、そして一定の環境においてはその他のT細胞タイプ上に感染しうる。実施例8参照のこと。
【0093】
ACT−4レセプター(活性化CD4+ 細胞上に優先的に発現される)に対する ACT−4−Lリガンド(活性化B細胞上で発現)の親和力は、リガンドとレセプターとの間での相互作用がCD4+ T細胞及び/又はB細胞の活性化/分解において機能しうることを示唆する。CD4+ T細胞及びB細胞の双方の活性化は抗原特異的及び非特異的刺激を必要とする多段階過程であることが知られる。 ACT−4と ACT−4−Lとの相互作用は、これらの抗原を担持する対応の細胞の一方又は双方に対して有効な非抗原性特異的刺激を構成するようである。
【0094】
この刺激は例えばリガンド−レセプター結合がリガンド及び/又はレセプターにおける細胞内ドメインにおいて酵素活性を誘引するときに検出される。その活性は対応の細胞の一方又は双方における代謝現象のカスケードを開始させる。他方、この刺激は間接的なものであってよい。例えば、 ACT−4と ACT−4−Lとの相互作用は、その他のリガンド−レセプターペアー間の細胞相互作用の起き易さを高めうるか、又は白血球の局在化又は泳動をコントロールしうる。
【0095】
ACT−4と ACT−4−Lとの相互作用は、その他のTH −B細胞レセプター/リガンドペアー、例えばCD2/LFA−3(Moingeonら、Nature 339 : 314 (1988))、CD4/MHCクラスII(Doyle &Stominger, Nature 330 : 256-259 (1987)) 、 LFA−1/ICAM−I/ICAM−2(Makgoba ら、Nature 331 : 86-88 (1988) 及びStauntonら、Nature 339 : 61-64 (1989) 及びB7/CD28(Linsley ら、J. Exp. Med. 173 : 721-730 (1991))の結合と一緒に作用しうる。 ACT−4/ACT−4−L相互作用はCD4+ T細胞及び/又はB細胞に対する可溶性分子の結合により高まったり低まったりもしうる。同様に、可溶性分子はサイトカイン、例えばインターロイキンIL−1からIL−13、腫瘍壊死因子α及びβ、インターフェロンα,β及びγ、腫瘍壊死因子ベーター(TFG−β)、コロニー刺激因子(CSF)、並びに顆粒単球コロニー刺激因子(GM−CSF)である。
【0096】
ある状況における一定のT細胞サブタイプ上の ACT−4−Lリガンドの発現は ACT−4/ACT−4−L相互作用に関する追加の又は代替の機能を授けうる。例えば、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)又はその他のウィルス及び病原体によるT細胞の感染効率は、 ACT−4もしくは ACT−4−Lにより、又はこれら2つの間の相互作用により影響されうる。更に、 ACT−4及び ACT−4−Lは同種の細胞(例えば活性化CD4+ T細胞)により発現されうる。このような状況において、レセプターとリガンドとの相互作用はその対応の細胞の増殖及び活性化状態に影響を及ぼしうる。
【0097】
ACT−4−Lリガンドポリペプチドの実質的に1又は複数の機能性ドメイン(例えば細胞外ドメイン)を含んで成るフラグメント又は類似体は異種のポリペプチド配列に融合又は連結せしめてよく、これにより得られる融合タンパク質は ACT−4−Lリガンドポリペプチド及び/又は融合パートナーにより授けられる(1又は複数種の)機能特性を示す。適当な融合パートナーは前述のI章に記載してある。
【0098】
ACT−4−Lリガンドポリペプチドは対応の ACT−4レセプターをアフィニティー精製するのに利用できる。 ACT−4−Lリガンドポリペプチドは第2 ACT−4−Lリガンド又は ACT−4レセプターの作動因子又は拮抗因子としても有用であり、そして前掲のVII 章に記載した治療法において利用できる。 ACT−4リガンドポリペプチドは ACT−4及び/又は ACT−4−Lの作動因子及び拮抗因子を同定するためのスクリーニングアッセイにおいても有用である。
【0099】
III .ポリペプチドを製造する方法
A.組換技術
図5−1〜図5−2に示す ACT−4−h−1のヌクレオチド及びアミノ酸配列、並びにその他の ACT−4レセプター変異体についての対応の配列は、全長 ACT−4レセプターポリペプチド配列のポリペプチド及びそのフラグメントの製造を可能にする。同様に、 ACT−4−L−h−1のアミノ酸配列及びその他の ACT−4−Lリガンドポリペプチドについての対応の配列は全長及びフラグメントリガンドポリペプチドの製造を可能にする。かかるポリペプチドは ACT−4又は ACT−4−Lをコードするポリヌクレオチド又はこれらのいづれかのフラグメント及び類似体の発現により原核又は真核宿主細胞において製造されうる。
【0100】
クローニングしたDNA 配列は、その配列を発現ベクターの中の発現コントロール配列に作用可能的に連結(即ち、発現コントロール配列が確実に機能するように配置)されると、宿主の中で発現される。発現ベクターは一般にエピソームとして又は宿主染色体DNA の組込部として宿主生物の中で複製可能である。一般に、発現ベクターは所望のDNA 配列で形質転換された細胞の検出及び/又は選択を可能とするために選択マーカー、例えばテトラサイクリン耐性又はヒグロマイシン耐性を含むであろう(例えば米国特許第 4,704,362号参照のこと)。
【0101】
E.コリ(E. coli)は本発明のDNA 配列をクローニングするために有用な一の原核宿主である。利用に適するその他の微生物宿主にはバチルス属(bacilli)、例えばバチルス・スブチリス(B. subtilis)、及びその他の腸内細菌、例えばサルモネラ(Salmonella) 、セラチア(Serratia) 及び様々なシュードモナス(Pseudomonas)種が含まれる。これらの原核宿主において発現ベクターを作ることもでき、これは一般に宿主細胞に適応する発現コントロール配列(例えば複製起点)を含むであろう。更に、任意の数の様々な公知のプロモーター、例えばラクトースプロモーター系トリプトファン(trp)プロモーター系、ベーターラクタマーゼプロモーター系、又はファージラムダ由来のプロモーター系が存在しているであろう。これらのプロモーターは一般に、任意的にオペレーター配列と共に発現をコントロールし、そして転写及び翻訳を開始せしめるためのリボソーム結合部位配列等を有するであろう。
【0102】
その他の微生物、例えば酵母も発現のために利用できうる。発現コントロール配列、例えばプロモーター、例えば3−ホスホグリセリン酸キナーゼ又はその他の解糖酵素に係るプロモーター、並びに複製起点、ターミネーション配列等を所望通りに有する適当なベクターを伴うサッカロマイセス(Saccharomyces)が好適な宿主である。通常はバキュロウィルス(baculovirus)に由来する適当なベクターを伴う昆虫細胞(例えばSF9)も ACT−4レセプター又はリガンドポリペプチドを発現するために適する。Luckowら、Bio/Technology 6 : 47-55 (1988) を参照のこと(引用することで本明細書に組入れる)。
【0103】
高等真核哺乳動物組織細胞培養物も本発明のポリペプチドを発現及び製造するために用いてよい(Winnacker, From Genes to Clones (VCH Publishers, NY, NY, 1987)(引用することで本明細書に組入れる)を参照のこと。真核細胞が実際には好適であり、なぜならヒトタンパク質を分泌及び自生的に改質できる多くの適当な宿主細胞系が当業界において開発されているからである。それにはCHO 細胞系、様々なCOS 細胞系、HeLa細胞、ミエローマ細胞系、ジャーカット細胞等が含まれる。
【0104】
これらの細胞についての発現ベクターには発現コントロール配列、例えば複製起点、プロモーター(例えばHSV tkプロモーター又はpgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター)、エンハンサー(Queenら、Immunol. Rev. 89 : 49 (1986))、並びに必須のプロセシング情報部位、例えばリボソーム結合性部位、RNA スプライス部位、ポリアデニル化部位(例えばSV40大型T Ag ポリA付加部位)及び転写ターミネーター配列が含まれていてよい。
【0105】
好適な発現コントロール配列はイムノグロブリン遺伝子由来のプロモーター、SV40、アデノウィルス、牛パピロマウィルス等に由来するプロモーターである。注目のDNA セグメント(ACT−4レセプターをコードするポリペプチド)を含むベクターは公知の方法により宿主細胞に移入でき、それは細胞宿主のタイプに依存しうる。例えばCaCl2 トランスフェクションが原核細胞のために一般に利用され、一方その他の細胞宿主のためにはCaPO4 処理又はエレクトロポレーションが利用されうる。ベクターはエピソームとして、又は宿主染色体に組入れて存在してよい。
【0106】
B.天然の ACT−4又は ACT−4−Lポリペプチド
天然 ACT−4レセプターポリペプチドはアフィニティークロマトグラフィーの如くの慣用の技術により単離される。例えば、ポリクローナル又はモノクローナル抗体を事前に精製しておいた ACT−4−h−1に対して生起させ、そして公知の技術によって適当なアフィニティーカラムに付加させる。例えばHudson & Hay, PracticalImmunolgy (Blackwell Scientific Publications, Oxfurd, UK, 1980) 第8章を参照のこと(引用することで本明細書に組入れる)。例えば、抗− ACT−4−h−1はそのFcドメインをホモ二価架橋剤、例えばジメチルピメリミデートと架橋させることを介してプロテインAセファロースカラムに固定化できる。
【0107】
次いで細胞抽出物をカラムに通し、そして ACT−4レセプタータンパク質をカラムに特異的に結合させ、例えば 0.5Mのパイロジェン酸pH2.5 で溶出させる。通常、 ACT−4レセプターのインタクト形態がかかる単離技術により得られる。ペプチドフラグメントはインタクト分子の化学的(例えば臭化シアン)又は酵素解裂(例えばVδプロテアーゼ又はトリプシン)によりインタクト ACT−4レセプターから作り上げる。
【0108】
天然 ACT−4−Lリガンドポリペプチドは類似の手法を利用して精製できるが、ただしアフィニティー試薬は ACT−4−L−h−1に特異的な抗体とする。
【0109】
C.その他の方法
他方、 ACT−4又は ACT−4−Lポリペプチドは化学的な方法により合成できるか、又は翻訳を誘導するポリヌクレオチド鋳型を利用するインビトロ翻訳系により製造される。ポリペプチドの化学合成及びインビトロ翻訳のための方法は当業界に公知であり、そしてBerger & Kimmel, Methods in Enzymology、第 152巻、Gnide to Molecular Cloning Techniques Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1987 に更に記載されている。
【0110】
IV.核酸
A. ACT−4又は ACT−4−L核酸のクローニング
実施例5は ACT−4−h−1と命名した ACT−4レセプターのcDNAクローンについての核酸配列データーを提供する。この配列は翻訳領域並びに3’及び5’フランキング領域の双方を含む。この配列データーはプローブをデザインするために利用でき、そのプローブによりその他の ACT−4レセプター遺伝子を単離する。これらの遺伝子には ACT−4−h−1をコードするヒトゲノム遺伝子、並びに高等哺乳動物由来のcDNA及びゲノムクローン、並びに対立形質及び非対立形質、並びにこれらの遺伝子の全ての天然及び誘導化突然変異体が含まれる。詳しくは、本願において開示する全ての ACT−4レセプターポリペプチドをコードする全ての核酸フラグメントを提供する。多くの種のゲノムライブラリーが市販されており(例えばClontech, Palo Alto, CA)、又は慣用の手順により新規に単離できる。cDNAライブラリーは最良には、 ACT−4−h−1を大量に発現する活性化CD4+ 細胞から調製する。
【0111】
クローンを単離するために用いるプローブは一般に図5−1〜図5−2に示すcDNA配列のおよそ少なくとも24個の連続ヌクレオチドの配列(又はその相補体)を含んで成る。例えば、図5−1〜図5−2に示す配列に対応する全長ポリヌクレオチドをラベルし、そして例えばλEMBL4又はλGEM11(Promega Corporation, Madison, WI)の中のヒトゲノムクローンライブラリーからゲノムクローンを単離するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。
【0112】
プラークリフトをスクリーニングするための一般的なハイブリダイゼーション条件(Benton & Davis, Science 196 : 180 (1978)) は、50%のホルムアルデヒド、5×のSSC 又はSSPE,1〜5×のデンハーツ溶液、 0.1〜1%のSDS, 100〜200 μgの剪断異種DNA 又はtRNA,0〜10%の硫酸デキストラン、約1×108cpm/μgの比活性を有する1×105 〜1×107cpm/mlの変性プローブ、並びに42℃で約6〜36時間のインキュベーションとしてよい。プレハイブリダイゼーション条件は本質的に同一であるが、ただしプローブを含ませず、そしてインキュベーション時間を一般に短くする。洗浄条件は一般に1〜3×のSSC, 0.1〜1%の SDS, 50〜70℃とし、洗浄溶液を約5〜30分で変換する。ハイブリダイゼーション及び洗浄条件は一般に、高度同系又は非対立形質変異体の単離に関しては、例えば ACT−4−h−1のヒトゲノムクローンにとってのそれよりも弱いストリンジェンシーとする。
【0113】
他方、プローブはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を採用する方法により ACT−4レセプター遺伝子をクローニングするのに利用できる。PCR 増幅は例えばPCR Technology : Principles and Applications for DNA Amplification (編 H. A. Erlich, Freeman Press, NY, NY, 1992) ; PCR Protocols : A Guide to Methods and Applications(編 Innisら、Academic Press, San Diego, CA, 1990) ; Mattilaら、Nucleic Acids Res. 19 : 4967 (1991) ; Eckert, K. A and Kunkel, T. A., PCR Methods and Applications 1 : 17 (1991) ; PCR (編 McPhersonら、IRL Press, Oxford);及び米国特許第 4,683,202号に記載されている(これらは引用することで本明細書に組入れる)。
【0114】
他方、図5−1〜図5−2に示す配列全体又は一部に対応する合成ポリヌクレオチド配列はオリゴヌクレオチドの化学合成によって構築されうる。ヌクレオチド置換、欠失及び付加を本発明のポリヌクレオチドの中に組入れることができる。ヌクレオチド配列の変異は、遺伝コードの縮重、様々な ACT−4レセプター対立形質の配列多形性、微細な配列決定誤差に由来し得、又は照射もしくはEMS に対する曝露を利用するコード核酸のランダム突然変異により、又は部位特異的突然変異誘発もしくは近代分子生物学のその他の技術により操作して変化させることにより導入することができうる。Sambrookら、Molecular Cloning : A Laboratory Manual (C. S. H. P. Press, NY第2版、1989)(引用することで本明細書に組入れる)を参照のこと。
【0115】
機能性ポリペプチドを生産するように転写及び翻訳されることのできるヌクレオチド配列に関して、遺伝子コードの縮重は同一のポリペプチドをコードするいくつかのヌクレオチド配列をもたらす。本発明はかかる配列全てを含む。一般に、ヌクレオチド置換、欠失及び付加は、ストリンジェンシー条件下で図5−1〜図5−2に示す ACT−4−h−1の配列にハイブリダイズする ACT−4レセプターポリヌクレオチドの能力を実質的に破綻しないものであるべきである。一般に、 ACT−4レセプターポリペプチドは天然 ACT−4レセプター配列(図5−1〜図5−2)と実質的に同一である少なくとも25個の連続ヌクレオチドを含んで成り、より通常には ACT−4レセプターポリヌクレオチドは天然の ACT−4レセプター配列と実質的に同一である少なくとも50〜100 個の連続ヌクレオチドを含んで成る。
【0116】
ACT−4レセプターポリヌクレオチドは短いオリゴヌクレオチド(例えば図5−1〜図5−2に示す ACT−h−1配列由来の約10,15,25,50又は100 連続塩基)、例えばハイブリダイゼーションプローブ用及びPCR(又はLCR)プライマー用のものであってよい。 ACT−4レセプターポリヌクレオチド配列は転写を促進する配列(発現配列)及びコード配列の翻訳を促進する配列を含む大型ポリヌクレオチドの一部を含んで成ってよく、これによりコード化ポリペプチド生成物が生成される。
【0117】
かかるポリヌクレオチドの構築は当業界に公知であり、そしてSambrookら、前掲(C. S. H. P. Press, NY 第2版、1989) に更に記載されている。 ACT−4レセプターポリペプチドは、別のタンパク質(例えばグルタチオン S−トランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ又はイムノグロブリンFcドメイン)をコードする別のポリヌクレオチド配列とイン・フレームで融合して融合タンパク質の発現をコードさせることができる(例えばByrnら、Nature, 344 : 667-670 (1990)を参照のこと)(引用することで本明細書に組入れる)。
【0118】
ACT−4−L遺伝子をコードする核酸は、プローブデザインのための出発材料として図10−1〜図10−2に示す ACT−4−L−h−1 cDNA 配列を用い、類似の手法により製造できる。 ACT−4−L遺伝子には、 ACT−4−L−h−1をコードするヒトゲノム遺伝子、対立形質及び非対立形質変異体、高度同系変異、並びにこれらの遺伝子全ての天然及び誘導型突然変異体が含まれる。詳しくは、本願において開示する全ての ACT−4−Lポリペプチドをコードする全ての核酸フラグメント(ゲノム、cDNA又は合成型)を提供する。
【0119】
天然配列の突然変異を有する核酸フラグメントにおいて、一般に突然変異はストリンジェンシー条件下で ACT−4−L−h−1のヌクレオチド配列にハイブリダイズする ACT−4−Lポリヌクレオチドの能力を実質的に破綻しないであろう。 ACT−4−Lリガンドポリヌクレオチドは短いオリゴヌクレオチド(例えば図10−1〜図10−2に示す ACT−4−L−h−1配列由来の約10, 15, 25, 50又は100 連続塩基)であってよく、例えばハイブリダイゼーションプローブ用及びPCR(又はLCR)プライマー用のものであってよい。 ACT−4−Lリガンドポリヌクレオチド配列は、 ACT−4ポリヌクレオチド配列に関して説明した通り、大型のポリヌクレオチドの一部を含んで成ってよい。
【0120】
V.抗体及びハイブリドーマ
本発明のさらなる態様においては、 ACT−4及び ACT−4−Lポリペプチドに対する抗体が供給される。
【0121】
A.抗体の一般的な特徴
抗体又は免疫グロブリンは典型的には、4種の共有結合されたペプチド鎖から構成される。たとえば、IgG 抗体は2種のL鎖及び2種のH鎖を有する。個々のL鎖はH鎖に共有結合されている。他方、個々のH鎖は、免疫グロブリンコンホーメーションとしても知られている“Y”配置を形成するために他に共有結合される。それらの分子のフラグメント、又はH又はL鎖のみでさえ、抗原を結合することができる。抗体、抗体のフラグメント、及び個々の鎖はまた、免疫グロブリンとしても本明細書において言及される。
【0122】
通常の抗体H又はL鎖は、N−末端(NH2)可変(V)領域及びC−末端(−COOH)不変(C)領域を有する。H鎖可変領域は、VH (たとえばVγも包含する)として言及され、そしてH鎖可変領域はVL (Vγ又はVλも包含する)として言及される。可変領域は抗体の同起源抗原に結合する分子の一部であり、そしてFC 領域(C領域の第2及び第3ドメイン)は抗体のエフェクター機能(たとえば補体固定化、オプソニン作用化)を決定する。完全な長さの免疫グロブリン又は抗体“L鎖”(一般的に25KDa 、約 214個のアミノ酸)は、N−末端で可変領域遺伝子(一般的には約 110個のアミノ酸)及びCOOH−末端でκ(カッパ)又はλ(ラムダ)不変領域遺伝子によりコードされる。
【0123】
完全な長さの免疫グロブリン又は抗体“H鎖”(一般的には約50Kd、約 446個のアミノ酸)は、同様に、可変領域遺伝子(一般的には約 116個のアミノ酸をコードする)及び不変領域遺伝子の1つ、たとえばγ遺伝子(約 330個のアミノ酸をコードする)によりコードされる。典型的には、“VL ”はVL 及び/又はJL (J又は連結領域)遺伝子セグメントによりコードされるL鎖の一部を含み、そして“VH ”はVH 及び/又はDH (D又は多様化領域)及びJH 遺伝子セグメントによりコードされるH鎖の一部を含むであろう。一般的には、Roitt et al., Immunology (2d ed. 1989), Chaptor 6 及びPaal, Fondamental Immunology (Raven Press, 2d ed., 1989)(それらは引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。
【0124】
免疫グロブリンL又はH鎖可変領域は、相補性決定領域又はCDRとも呼ばれる3種の超可変領域により中断されている“骨格”領域から成る。骨格領域及びCDR の程度は定義されている(Kabat et al. (1987),“Sequences of Protein of Immunological Interest,”U. S. Department of Health and Human Services ; Chothia et al., J. Mol. Biol. 196 : 901-917 (1987)(それらは引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと)。異なったL又はH鎖の骨格領域の配列は比較的、種内に保存される。抗体の骨格領域、すなわち構成成分であるL及びH鎖の組合された骨格領域は立体空間においてCDR を位置付け、そして整列するように作用する。CDR は抗原のエピトープへの結合を主に担当している。CDR は典型的には、N−末端から順に出発して番号を付けられている、CDR1, CDR2、及びCDR3として言及される。
【0125】
H としても知られている、H鎖分子の不変領域は抗体のイソタイプを決定する。抗体は、H鎖イソタイプに依存してIgM, IgD, IgG, IgA及びIgE として言及される。イソタイプはそれぞれ、H鎖不変領域のミュー(μ)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)及びエプシロン(ε)セグメントにコードされている。さらに、多くのγサブタイプが存在する。2種のタイプのL鎖、すなわちκ及びλが存在する。それらのサブタイプの決定基の典型的には、一般的にはCL としても言及され、そして特にCκ又はCλとして言及される、L鎖の不変領域に存在する。
【0126】
H鎖イソタイプは抗体の異なったエフェクター機能、たとえばオプソニン作用又は補体固定を決定する。さらに、H鎖イソタイプは、抗体の分泌された形を決定する。分泌されたIgG, IgD及びIgE イソタイプは典型的には、単一の単位又はモノマー形で見出される。分泌されたIgM イソタイプはペンタマー形で見出され;分泌されたIgA はモノマー及びダイマーの両形で見出され得る。
【0127】
B.抗体の生成
ACT−4受容体、 ACT−4−Lリガンド又はそれらのいづれかの結合フラグメントのいづれかを結合する抗体は、種々の手段でより生成され得る。非ヒトモノクローナル抗体、たとえばネズミ、ラット、等のモノクローナル抗体の生成は良く知られており、そしてたとえば ACT−4受容体又はそのリガンド、又はそれらのいづれかの免疫原性フラグメントを含む調製物により動物を免疫化することによって達成され得る。特に、組換え ACT−4又は ACT−4−L遺伝子により安定してトランスフェクトされ、そして ACT−4受容体又はそれらに対するリガンドをそれらの細胞表面上に発現する細胞が特に免疫原として有用である。
【0128】
免疫化された動物から得られる抗体産生細胞は不滅化され、そして ACT−4受容体又はそれらのリガンドに結合する抗体の生成のためにスクリーンされる。Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (C. S. H. P. NY, 1988) (引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。 ACT−4−L−h−1に実質的に類似するか又は同一の一次アミノ酸配列を有するタンパク質に対する多くのネズミ抗体が、Tozawa et al., Int. J. Cancer 41 : 231-238 (1988) ; Tanaka et al., Int. J. Cancer36 : 549-555 (1985) (引用により本明細書に組込まれる)により論ぜられている。
【0129】
ヒトモノクローナル抗体の生成のためのいくつかの技法はまた、記載されているが、しかし一般的には、ネズミ技法よりも一層厄介で且つすべての抗原に適用できない。たとえば、Larrick et al.,アメリカ特許第 5,001,065号(引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。種々の抗原に対するヒトモノクローナル抗体を生成するために都合良く使用されて来た1つの技法は、Ostberg et al.(1983), Hybridoma 2 : 361-367, Ostberg.,アメリカ特許第 4,634,664号及びEngleman et al.,アメリカ特許第 4,634,666号(これらは引用により本明細書に組込まれる)のトリオーマ(trioma) 方法論である。この方法により得られる抗体産生細胞系はトリオーマとして呼ばれる。なぜならば、それらは3種の細胞、すなわち2種のヒト及び1種のマウス細胞から由来しているからである。トリオーマは、ヒト細胞から製造される通常のハイブリドーマよりも一層安定して抗体を生成することが見出された。
【0130】
他のアプローチは、組換えDNA 技法によりヒト不変領域に非ヒト抗体のCDR 領域を連結することによってヒト適合化された免疫グロブリンの生成である。Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 : 10029-10033 (1989)及びWO 90/07861(引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。ヒト適合化された免疫グロブリンは、実質的にヒト免疫グロブリンからの可変領域骨格残基(受容体免疫グロブリンと称する)及び実質的にマウス免疫グロブリン、たとえばL106抗体(例1を参照のこと)からの相補性決定領域(ドナー免疫グロブリンと称する)を有する。不変領域は、存在するなら、実質的にヒト免疫グロブリンからでもあり得る。
【0131】
ヒト可変ドメインは通常、骨髄配列が、CDR が由来するネズミ可変領域ドメインとの高い程度の同一性を示すヒト抗体から選択される。H及びL鎖可変領域骨格残基は同じか又は異なったヒト抗体配列に由来する。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列であり得、又はいくつかのヒト抗体のコンセンサス配列であり得る。Carter et al., WO 92/22653を参照のこと。ヒト可変領域骨格残基からの一定のアミノ酸が、CDR コンホーメーション及び/又は抗原への結合に対するそれらの可能な影響に基づいての置換のために選択される。そのような可能な影響の研究は、特定位置でのアミノ酸の特徴のモデル試験、又は特定のアミノ酸の置換又は変異誘発の効果の経験的な観察によるものである。
【0132】
たとえば、アミノ酸がネズミL106可変領域骨格残基と選択されたヒト可変領域骨格残基との間で異なる場合、ヒト骨格アミノ酸は通常、そのアミノ酸が、
(1)抗原を直接的に非共有結合しているか、
(2)CDR 領域に隣接しているか、
(3)さもなければ、CDR 領域(たとえばCDR 領域の約3Å以内に存在する)と相互作用するか、又は
(4)VL −VH 界面に関与していることが正当に予測される場合、マウス抗体からの同等の骨格アミノ酸により置換されるはずである。
【0133】
置換のための他の候補体は、その位置でヒト免疫グロブリンのために普通ではない受容体ヒト骨格アミノ酸である。それらのアミノ酸は、L106抗体の同等の位置からの又はより典型的なヒト免疫グロブリンの同等の位置からのアミノ酸により置換され得る。
【0134】
ヒトモノクローナル抗体又はその結合フラグメントをコードするDNA 配列を単離するためのさらなるアプローチは、Huse et al., Science 246 : 1275-1281 (1989) により概略されている一般的な方法に従ってヒトB細胞からDNA ライブラリーをスクリーニングし、そして次に、所望する特異性の抗体(又は結合フラグメント)をコードする配列をクローニングし、そして増幅することによるものである。Huseにより記載される手段は、ファージ表示技法を組合してより効果的にされる。たとえばDower et al., WO 91/17271 及びMcCafferty et al., WO 92/01047を参照のこと。ファージ表示技法はまた、 ACT−4受容体又はそれらのリガンドのために親和性を有することが前もって示されている抗体のCDR 領域を変異誘発するためにも使用され得る。改良された結合親和性を有する抗体が選択される。
【0135】
L106抗体と同じエピトープに特異的に結合する抗− ACT−4受容体抗体は通常、競争結合アッセイにより同定される。そのアッセイは、3成分、すなわち ACT−4ポリペプチド(たとえば ACT−4−h−1)、通常ラベルされるL106抗体及び試験下での抗体を有する。しばしば、 ACT−4受容体ポリペプチドは、固体支持体に固定される。試験抗体は、それが ACT−4受容体ポリペプチドに特異的に結合するL106抗体の量を減じる場合、L106抗体と同じエピトープに結合する。そのような抗体を得るために必要なスクリーニングの程度は、L106により結合される特異的エピトープが免疫原として使用される手段により抗体を生成することによって減じられ得る。L106と同じエピトープに結合する抗体は、L106抗体と実質的に(但し完全ではない)同一のアミノ酸配列を示すことができ、又はL106抗体とは無関係な一次構造を有することができる。
【0136】
L106よりも異なった結合特異性を有する(すなわち異なったエピトープに結合する)抗体− ACT−4受容体抗体は相補的アプローチにより同定される。試験抗体は、 ACT−4受容体ポリペプチドに結合するためにL106抗体と競争することへの失敗についてスクリーンされる。スクリーニングの程度は、L106により結合される特異的エピトープを欠いているフラグメントが免疫原として使用される手段により抗体を生成することによって減じられ得る。
ACT−4−Lリガンドポリペプチドに対する選択された抗体に対する同じか又は異なった結合特異性を有する抗体は、類似する方法により同定され得る。
【0137】
CD4+ 又はB細胞の活性化を刺激するか又は阻害する能力を有する抗体は、セクションVIに論ぜられているスクリーニング方法により同定され得る。いくらかの抗体は、ある刺激(たとえばアロ抗原法ではあるが、しかしマイトジェン性ではなく、又は逆も同じである)に応じて活性化を選択的に阻害することができ、そして他に対しては阻害しない。いくらかの抗体の阻害能力は、抗体が添加される時点での活性化の後の時間に依存することができる。いくらかの抗体は他の刺激に無関係にCD4+ 又はB細胞を活性化する能力を有するが、ところが他の抗体はPHA 又は PMA/イオノマイシンにより付与されるような他の刺激の効能を増強する能力を単に有することができる。
【0138】
上記方法により単離された抗体は、たとえば一次抗体による動物の免疫化により抗−イディオタイプ抗体を生成するために使用され得る。抗− ACT−4受容体抗体のためには、一次抗体への結合が ACT−4受容体又はそのフラグメントにより阻害される抗−イディオタイプ抗体が選択される。抗−イディオタイプ抗体及び ACT−4受容体又はそのフラグメントの両者は主要免疫グロブリンを結合するので、抗−イディオタイプ免疫グロブリンはエピトープの“内部像”を表わし、そして従って、 ACT−4−Lリガンドポリペプチドを置換できる。 ACT−4受容体を置換できる ACT−4−Lリガンドポリペプチドに対する抗−イディオタイプ抗体は類似するアプローチにより生成され得る。
【0139】
C.エピトープのマッピング
L106抗体、又は ACT−4受容体に対するいづれか他の選択された抗体により結合されるエピトープは、 ACT−4受容体ポリペプチド、たとえば ACT−4−h−1からの異なったアミノ酸セグメントを含むフラグメントのファミリーを提供することによって決定される。個々のフラグメントは典型的には、少なくとも4,6,8,10,20,50又は 100個の隣接するアミノ酸を含んで成る。集合的には、ポリペプチドのファミリーは、完全な長さの ACT−4受容体ポリペプチドのアミノ酸配列の多く又はすべてを包含する。そのファミリーのメンバーは、たとえばL106抗体への結合について個々に試験される。試験下で抗体に特異的に結合できる最少フラグメントは、抗体により認識されるエピトープのアミノ酸配列を示す。類似するアプローチが、 ACT−4リガンドポリペプチドに対する抗体により結合されるエピトープをマッピングするために使用される。
【0140】
D.抗体のフラグメント及び免疫毒素
本発明のもう1つの態様においては、 ACT−4受容体又はそれらのリガンドに対する抗体のフラグメントが供給される。典型的には、それらのフラグメントは、少なくとも 107M及びより典型的には108 又は 109Mの親和性を有する、 ACT−4受容体又はリガンドに対する特異的結合性を示す。抗体フラグメントは、別々のH鎖、L鎖Fab, Fab',F(ab')2, Fabc 及びFvを含む。フラグメントは、組換えDNA 技法により、又は損なわれていない免疫グロブリンの酵素的又は化学的分離により生成される。
【0141】
さらなる態様においては、免疫毒素が供給される。免疫毒素は、所望する特異性を有する抗体に結合される毒素から成るキメラ化合物である。抗体は毒素のための標的化剤として作用する。一般的には、Pastan et al., Cell 47 : 641-648 (1986) を参照のこと。毒素成分は、化学的又は組換えDNA 技法により損なわれていない抗体又はそのフラグメントに結合される。好ましくは、毒素は、隣接するタンパク質の形で免疫グロブリン鎖に連結される。たとえば、Chovnick et al., Cancer Res. 51 : 465 ; Chaudhary et al., Nature 339 : 394 (1989) (引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。適切な毒素成分の例は前記セクションIに列挙されており、そしてたとえばThe Specificity and Action of Animal, Bacterial and Plant Toxins Ced. P. Cuatrecasas, Chapman Hall, London, 1976) (引用により本明細書に組込まれる)に概説されている。
【0142】
E.ハイブリドーマ及び他の細胞系
上記に論ぜられた抗体及びそれらのフラグメントを生成するすべてのハイブリドーマ、トリオーマ及び他の細胞系は本発明において明白に包含される。それらは、L106マウス抗体を生成する、ATCC HB11483としてAmerican Type Culture Collection, Rockville, MD20852 にブダペスト条約に基づいて寄託されたハイブリドーマ系HBL106を含む。
【0143】
F.抗体の使用
ACT−4及び ACT−4−Lポリペプチドに対する抗体及びそれらの結合フラグメントは、好ましくは種々の組織に由来するヒト又は霊長類cDNAを含むcDNA発現ライブラリーをスクリーニングするために、及び構造的に関連する免疫交差反応性タンパク質をコードする、cDNA挿入体を含むクローンを同定するために有用である。Aruffo & Seed, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 : 8573-8577 (1987) (引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。
【0144】
抗体はまた、天然の ACT−4受容体又は ACT−4−Lリガンドポリペプチドに又は抗体を生成するために使用されるそれらのフラグメントに構造的に又は進化的に関連する免疫交差反応性タンパク質を同定し、そして/又は精製するためにも有用である。抗体、その結合フラグメント、免疫毒素及びイディオタイプ抗体の診断又は治療使用がセクションVII に記載されている。
【0145】
VI.アゴニスト及びアンタゴニストについてのスクリーニング
ACT−4及び ACT−4−Lポリペプチド、そのフラグメント、類似体、抗体及びそれに対する抗−イディオタイプ抗体、並びに他の化学的又は生物学的物質は、そのリガンドに対する ACT−4の結合を阻止し又は増強するそれらの能力についてスクリーンされる。さらに、それらは代謝工程、たとえば ACT−4受容体又はそれらの表面に固定されている ACT−4−Lリガンドポリペプチドのいづれかを担持する細胞におけるDNA 合成又はタンパク質リン酸化を刺激し又は阻害するそれらの能力について試験される。
【0146】
いくつかの方法においては、試験下の化合物は、 ACT−4−Lリガンドポリペプチド(又はその融合タンパク質)の精製された結合フラグメントに対する ACT−4受容体(又はその融合タンパク質)の精製された結合フラグメントの結合性を阻止し又は増強するその能力についてスクリーンされる。そのような実験においては、受容体又はリガンドフラグメントのいづれかが、通常、固体支持体に固定される。次に、試験化合物は、支持体への結合性のために ACT−4又は ACT−4−Lフラグメント(支持体に結合されていてもいなくても)と競争する。通常、試験化合物、又は競争リガンドもしくは受容体のいづれかがラベルされる。
【0147】
他の方法においては、 ACT−4受容体及び ACT−4−Lリガンドポリペプチドの両者、又はそれらの分子の結合フラグメントのいづれかが細胞表面上に発現される。たとえば、 ACT−4−Lリガンドポリペプチドは活性化されたB−細胞上に発現され、そして/又は ACT−4受容体ポリペプチドは活性化されたCD4+ T−細胞上に発現され得る。他方、リガンド又は受容体のいづれかは、たとえば COS−7細胞において組換えDNA から発現され得る(例6を参照のこと)。それらの方法においては、アゴニズム又はアンタゴニズムの存在は、 ACT−4受容体と試験化合物の存在下で存在するそのリガンドとの間の結合性の程度から決定される。他方、試験化合物の活性は、 ACT−4受容体を担持する細胞及び/又は ACT−4−Lリガンドポリペプチドを担持する細胞においてDNA 中への 3H−チミジンの組込み又はタンパク質中への32P−組込みの測定によりアッセイされる。
【0148】
ACT−4又は ACT−4−Lポリペプチド−誘発性DNA 合成又はタンパク質リン酸化を阻止する化合物がアンタゴニストである。 ACT−4受容体又はそのリガンドとの相互作用を通してDNA 合成又はリン酸化を活性化する化合物がアゴニストである。アゴニスト又はアンタゴニストの活性はまた、白血球活性化の他の機能的又は物理学的エンドポイントから、又は臨床学的に所望の又は所望しない結果、たとえば細胞溶解活性、又は血管から組織中への白血球の遊出からも決定され得る。
【0149】
インビトロでのT−細胞増殖をアゴナイズし又はアンタゴナイズする剤の能力は、インビボでの免疫応答に影響を及ぼす能力と相互関係する。インビボ活性は典型的には、適切な動物モデル、たとえばマウス又はラットを用いてアッセイされる。同種移植片拒絶に対する剤の効果をアッセイするために、たとえば可能性ある治療剤が同種組織の導入の前、種々の時間で動物に投与され得;そして動物が移植片拒絶についてモニターされ得る。移植を実施し、そして移植片拒絶についてモニターするための適切な方法は記載されている(たとえば、Hislop et al., J. Thorac. Cardiovasc. 100 : 360-370 (1990)(引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと)。
【0150】
VII .治療及び診断方法及び組成物
A.診断方法
ACT−4受容体又はそのmRNA、又は ACT−4−Lリガンド又はそのmRNAの変更された発生量又は機能的な突然変異に関連する免疫システムの疾患及び状態は、本発明のプローブ及び/又は抗体を用いて診断され得る。 ACT−4受容体又はmRNAの検出は、活性化されたCD4+ T−細胞の他の白血球サブタイプの区別を可能にする。たとえば、 ACT−4受容体は、 ACT−4受容体に特異的に結合する抗体又は ACT−4−Lポリペプチドを用いて検出され得る。
【0151】
活性化されたCD4+ T−細胞の存在は、たとえば侵入する細菌に対してのMHCクラスII誘発性免疫応答の表示である。活性化されたCD4+ 細胞及びCD8+ 細胞の数の比較は、それらのそれぞれの活性化された細胞タイプを卓越的に誘発する、細菌及びウィルス感染間での示差的な診断を可能にする。活性化されたCD4+ 細胞の存在はまた所望しない疾病及び免疫システムの状態、たとえば同種移植片拒絶、移植片−対−宿主疾患、自己免疫疾患、アレルギー及び炎症の表示である。そのような疾病及び状態の処理における治療剤の効能はモニターされ得る。
【0152】
ACT−4−Lリガンド又はそのmRNAの検出は、活性化されたCD4+ T−細胞の出現が今にも起こりそうである活性化されたB−細胞及び/又はシグナルの存在を示す。 ACT−4−Lリガンドはたとえば、 ACT−4−Lリガンドに特異的に結合する抗体又は ACT−4受容体ポリペプチドを用いて検出され得る。 ACT−4−Lリガンド、続く ACT−4受容体の連続的な検出(又は逆も同様である)は、免疫応答における活性化の異なった一時的な段階を通しての経過のモニターを可能にする。
【0153】
診断は、患者から細胞サンプル(たとえば血液サンプル、リンパ節生検又は組織)を除去することによって達成され得る。次に、サンプルは、(1)サンプルの個々の細胞における発現された ACT−4受容体又は ACT−4−Lリガンドの量(たとえば抗体又はFACSTM分析による固定された細胞の免疫組織化学的染色による)、(2)個々の細胞における ACT−4受容体又は ACT−4−LリガンドmRNAの量(ラベルされた相補的なポリヌクレオチドプローブとのin situ ハイブリダイゼーションによる)、(3)RNA 抽出、続くラベルされた相補的ポリヌクレオチドプローブへのハイブリダイゼーションによる細胞サンプルにおける ACT−4受容体又は ACT−4−LリガンドmRNAの量(たとえば、ノーザンブロット、ドットブロット、溶液ハイブリダイゼーション又は定量的PCR による)、又は(4)細胞サンプルにおける ACT−4受容体又は ACT−4−Lリガンドの量(たとえば、細胞破壊、続く得られる細胞抽出物のイムノアッセイ又はウェスターンブロットによる)を決定するための分析にゆだねられる。
【0154】
診断はまた、診断用試薬(たとえば、それぞれ、活性化されたCD4+ T−細胞又はB−細胞のモニターのためにはラベルされた抗− ACT−4又は ACT−4−L抗体)のインビボ投与、及びインビボイメージングによる検出により達成され得る。投与される診断剤の濃度は、標的抗原をそれらの細胞への結合がバックグラウンドシグナルに比較して検出できるのに十分であるべきである。さらに、診断剤は、最良の標的対バックグラウンドシグナル比を付与するために循境システムから急速に除去され得ることが所望される。診断用試薬は、カメライメージングのために放射性同位体により、又は磁気共鳴又は電子回転共鳴イメージングのために常磁性同位体によりラベルされ得る。
【0155】
臨床的に確立された正常なレベルの範囲外である、個人からの細胞サンプルにおける ACT−4受容体又は ACT−4−Lリガンドのタンパク質又はmRNAのレベルの変化(典型的には上昇)は、サンプルが得られる個人における所望しない免疫反応の存在を示すことができ、そして/又はそのような反応を進展せしめる(又はそのような反応を通して進行する)ための個人の素因を示すことができる。タンパク質又はmRNAのレベルは、一定の系統の細胞タイプ(たとえば ACT−4受容体のための活性化されたCD4+ 細胞)及び発生起源を同定するための区分マーカーとして使用され得る。そのような細胞タイプ特異的検出は、所望しない免疫応答の組織病理学的診断のために使用され得る。
【0156】
B.診断用キット
本発明のもう1つの観点においては、前記診断方法のための診断用キットが提供される。キットは、診断用試薬、たとえば ACT−4受容体及び ACT−4−Lリガンドに対するラベルされた抗体、及びラベルを検出するための試薬及び/又は装置を包含する容器を含んで成る。そのようなキットに通常見出される他の構成成分もまた、診断試験を実施するための教示と一緒に含まれ得る。
【0157】
C.医薬組成物
予防又は治療処理のために使用される医薬組成物は、活性治療剤、たとえば ACT−4受容体、 ACT−4−Lリガンド、それらのフラグメント及びそれらに対する抗体及びイディオタイプ抗体、並びに種々の他の成分を含んで成る。好ましい形は、投与及び治療用途の意図されたモードに依存する。組成物はまた、所望する配合に依存して、動物又はヒト投与のための医薬組成物を配合するために通常使用されるビークルとして定義される、医薬的に許容できる非毒性キャリヤー又は希釈剤を含むことができる。希釈剤は、組成物の生物学的活性に影響を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理学的食塩水、リンガー液、デキストロス溶液、及びハンクス液である。さらに、医薬組成物又は配合物はまた、他のキャリヤー、アジュバント、又は非毒性、非治療性、非免疫原性安定剤及び同様のものを含むことができる。
【0158】
D.治療方法
治療方法は、ヒト又は動物、特に脊椎哺乳類における種々の疾病の処理のために上記治療剤を使用する。治療剤は、 ACT−4受容体、その結合フラグメント、 ACT−4−Lリガンド、その結合フラグメント、抗− ACT−4受容体及び抗− ACT−4−Lリガンド抗体、及びそれらに対する抗−イディオタイプ抗体、それらの抗体の結合フラグメント、それらの抗体のヒト適合化されたバージョン、及び前述の他の剤を含む。いくつかの治療剤は、 ACT−4受容体とそのリガンドとの作用を阻止〔又はアンタゴニストすることによって機能する。
【0159】
好ましくは治療剤は、受容体に結合するためにリガンドと競争し、又はリガンドに結合するために受容体と競争する。他の治療剤は、その剤が標的化するポリペプチドを担持する細胞を殺すことによって機能する。たとえば、エフェクター機能を有するか又は毒素、放射性同位体又は薬物に接合される抗− ACT−4受容体抗体は、活性化されたCD4+ T−細胞を選択的に殺すことができる。同様に、抗− ACT−4−Lリガンド抗体は、類似する環境下で活性化されたB細胞を殺すことができる。活性化された細胞の選択的排除は、所望しない免疫応答が、患者が暴露される侵入微生物を攻撃するために不活性化されたB−細胞、CD4+ 細胞及びCD8+ 細胞の形で残存する免疫能力を保存しながら、減じられ又は排除され得るので、特に好都合である。他の治療剤は、 ACT−4受容体と ACT−4−Lリガンドとの間の相互作用のアゴニストとして機能する。
【0160】
1.投与の用量及び方法
治療用途においては、医薬組成物(たとえば、 ACT−4−h−1又は ACT−4−L−h−1に対する抗体を含んで成る)は、病状の進行及びその合併症を治癒し、特に抑制し、又は検出できるように遅延するのに十分な量で、所望しない免疫応答(たとえば移植片拒絶)をすでに有する患者にインビボ又はエクソビボで投与される。これを達成するための適切な量は、“治療的に有効な用量”又は“効果的用量”として定義される。
【0161】
この使用のために有効な量は、病状の重症度、患者の一般的な状態、及び投与の経路、並びに存在するなら、他の免疫抑制薬物との組合せに依存するが、しかし一般的には、用量当たり約10ng〜約1gの活性剤の範囲であり、そして患者当たり10mg〜100mg の一回の用量単位が通常使用される。医薬組成物は、静脈内注入により全身的に又は注射により局部的に投与され得る。後者は、局在化された所望しない免疫応答、たとえば宿主−対−移植片拒絶のために特に有用である。薬物投与のための方法の簡単な再考のためには、Langer, Science 249 : 1527-1533 (1990)(引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。
【0162】
予防用途においては、医薬組成物は、所望しない免疫反応をすでに有さないが、しかし危険性を有する患者(たとえば、移植手術を受ける予定の患者)に投与される。投与されるべく剤の量は“予防学的に有効な用量”であり、この正確な量は患者の健康の状態及び免疫性の一般的なレベルに依存するが、しかし一般的には、用量当たり10ng〜1g、特に患者当たり10mg〜100mg である。
【0163】
本発明の治療剤は従来の免疫調節剤よりも、より選択的であり、且つ一般的には低い毒性であるので、それらは従来の剤により時々観察される副作用をほとんど引き起こさないであろう。さらに、治療剤のいくつかはヒトタンパク質配列(たとえば ACT−4受容体又は ACT−4リガンドの結合フラグメント又はヒト適合化された抗体)であるので、それらは免疫学的応答、たとえばネズミ抗−CD3抗体により観察される応答をほとんど引き起こさないであろう。本発明の治療剤はお互、組合され得る。
【0164】
たとえば、 ACT−4−Lリガンドに対する抗体と ACT−4受容体に対する抗体との組合せはT−細胞活性化に対して特に効果的な阻害を提供する傾向がある。本発明の剤はまた、従来の治療剤と組合され得、そしてそのような剤の用量を副作用に関連しない低レベルの用量に下げるために使用され得る。たとえば、他の免疫抑制剤、たとえばα3ドメインに対する抗体、T細胞抗原(たとえばOKT4及びOKT3,CD28)、B−細胞抗原(B7又はB7−2)、抗胸腺細胞グロブリン、及び化学療法剤、たとえばシクロスポリン、グルココルチコイド、アザチオプリン、プレドニゾンが、本発明の治療剤と共に使用され得る。
【0165】
標的細胞の特定集団の破壊のためには、本発明の治療剤を他の分子に接合することが好都合である。たとえば、前記剤は、特定の免疫抑制剤を含むリポソーム、特定のモノクローナル抗体又は細胞毒素又は細胞活性の他のモジュレーターに連結され、それにより、標的細胞集団への接合体の結合がその集団の変更をもたらすであろう。多くのタンパク質毒素が前記で論ぜられた。化学療法剤は、たとえばドキソルビシン、ダウノルビシン、メトレセキセート、毒胞毒素及び抗−センスRNA を包含する。抗生物質もまた使用され得る。さらに、放射性同位体、たとえばイットリウム−90、リン−32、鉛−212 、ヨウ素−131 又はパラジウム−109 が使用され得る。発射される放射線が標的化された細胞を破壊する。
【0166】
2.処置に敏感な疾病及び病状
上記医薬組成物は、免疫システムのいくつかの疾病及び病状を処理するために適切である。
a.移植片拒絶
最近、組織及び器官、たとえば皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓及び骨髄を移植するための手術技法の効能に関して相当の改良がなされて来た。たぶん、主な目立った問題は、移植された同種移植片又は器官に対して受容体における免疫耐性を誘発するための満足する剤の欠乏である。
【0167】
同種細胞又は器官が宿主中に移植される場合(すなわち、ドナー及び受容体が同じ種からの異なった個体である場合)、宿主免疫システムは移植された組織の破壊を導びく、移植体における外来性抗原に対する免疫応答を開始する傾向がある(宿主−対−移植片疾患)。CD8+ 細胞、CD4+ 細胞及び単球はすべて、移植組織の拒絶に包含される。本発明の治療剤は、受容体におけるアロ抗原−誘発性免疫応答を阻止するのに有用であり(たとえば、 ACT−4受容体又は ACT−4−Lリガンドに対しての抗体によるCD4+ T−細胞のアロゲン(allogen)−活性化の阻止又は排除のために有用である)、それにより、そのような細胞が移植された組織又は器官の破壊に関与することを妨げる。
【0168】
b.移植片−対−宿主疾患
本発明の治療剤についての関連する用途は、“移植片−対−宿主”疾患(GVHD)に関する免疫応答の調節である。GVHDは、免疫学的コンピテント細胞が同種受容体に移入される場合に生じる潜在的に致命的な疾病である。この情況においては、ドナーの免疫適格細胞が受容体における組織を攻撃する。皮膚、腸上皮及び肝臓の組織が時々、標的であり、そしてGVHDの進行の間、破壊され得る。この疾病は、免疫組織がたとえば骨髄移植において移植される場合に特に重大な問題を提供するが、しかし低い重症度のGVHDかまた、他の場合、たとえば心臓及び肝臓移植において報告されている。本発明の治療剤は、ドナーの白血球(特に活性化されたCD4+ T−細胞及びB−細胞)の活性化を阻止し又は排除するために使用され、それにより、宿主における標的細胞を溶解するそれらの能力を阻害する。
【0169】
c.自己免疫疾患
免疫抑制が所望される追加の情況は、自己免疫疾患、たとえばインスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、スティッフマン症候群、リウマチ様関節炎、重症筋無力症及びエリテマトーデスの処理に存在する。それらの疾病においては、身体がそれ自体の抗原の1つに対しての細胞性及び/又は体液性免疫応答を発生せしめ、その抗原の破壊を導びき、そして潜在的に能力の劣る及び/又は致命的な結果を導びく。活性化されたCD4+ T−細胞は、多くの自己免疫疾患、たとえば糖尿病において主要な役割を演ずると思われる。
【0170】
活性化されたB細胞は、他の自己免疫疾患、たとえばスティッフマン症候群において主要な役割を演じる。自己免疫疾患は、CD4+ T−細胞及び/又はB−細胞の活性化を阻止し、そして/又は排除する本発明の治療剤の1つを投与することによって処理される。場合によっては、自己免疫疾患が標的にされる自己抗原又はそのフラグメントが、免疫抑制剤投与の直前、それと同時に又はその直後に投与され得る。この場合、耐性が抑制処理下で自己抗原に対して誘発され、それにより連続した免疫抑制のための必要性を回避する。たとえばCobbold et al., WO 90/15152 (1990)を参照のこと。
【0171】
d.炎症
炎症は、食作用性白血球、たとえば顆粒球及び単球の流体の蓄積及び移動による毛細拡張の結果を表わす。炎症は、種々の感染に対して宿主を防御することにおいて重要であるが、しかしまた、炎症性疾患、たとえば過敏性ショック、関節炎、痛風及び虚血性再灌流の所望しない結果をも有する。活性化されたT−細胞は炎症において重要な調節役割を有し、食作用白血球を活性化するインターフェロンγ及びコロニー刺激因子を放す。
【0172】
活性化された食作用白血球は、内皮細胞を標的化するために食細胞を結合するように作用する、ホーミング受容体(homing receptor)と称する多くの特異的細胞表面分子の発現を誘発される。炎症応答は本発明の治療剤による処理により減じられ、又は排除され得る。たとえば、 ACT−4又は ACT−4−Lに対する抗体は、活性化されたCD4+ 細胞の活性化を阻止し、又はそれを排除し、それにより、食作用細胞型の活性化のために必要とされる分子のそれらの細胞からの開放を妨げる。
【0173】
e.感染剤
本発明はまた、感染剤に起因する疾病及び病状を防止し又は処理することにワクチンの効能を増強するための方法も提供する。CD4+ T−細胞及び/又はB−細胞を活性化する能力を有する治療剤(たとえば ACT−4又は ACT−4−Lリガンドに対する一定のモノクローナル抗体)が、選択された抗原を含むワクチンの投与の直前、それと同時又はその直後に投与される。治療剤は、選択された抗原に対しての免疫応答を高めるように作用する。それらの方法は、免疫欠損性疾病を有する患者において特に好都合である。
【0174】
f.HTLV−I感染
ACT−4−h−L−1に対する抗体はまた、HTLV−I−感染の細胞を殺すためにも有用である。上記のように、そのような細胞は、 ACT−4−h−1と同一であるか又はほぼ同一であるgp 34 抗原を発現する。それらの方法は通常、HTLV−I−感染の個人に対してインビボ又はエクスビボで実施される。しかしながら、その方法はまた、HTLV−I−感染のHIV 細胞をインビトロで殺すためにも効果的である。たとえば、その方法は、分析下での組織サンプルとの接触による感染から病院の労働者を保護するために特に有用である。
【0175】
HTLV−I感染の危険性は、本発明の方法に従ってサンプルを処理することによって減じられ得る(但し、サンプルはHTLV−Iの存在以外の何かについて試験される場合)。 ACT−4−h−L−1に対する抗体及びまた、 ACT−4−h−1に対する抗体は、HTLV−I感染を有する個人に観察される免疫システムの不安の原因を減じ又は排除するのに効果的である。そのような不安の原因は、 ACT−4受容体を通してCD4+ T−細胞と感染されたT−細胞との相互作用を可能にする、HTLV−I感染されたT−細胞上での表面抗原としての ACT−4−h−L−1の存在に起因する。
【0176】
g.AIDSの処理
HIV ウィルスは、CD4受容体に結合することによってヒトCD4+ T−細胞を感染することが知られている。しかしながら、存在する生産性感染のためには、CD4受容体はCD4+ T−細胞の受容体上に存在するもう1つの受容体と相互作用すべきである。活性化されたT−細胞の表面上での受容体としての ACT−4の同定は、 ACT−4及び/又はそのリガンド ACT−4−LがCD4と相互作用し、そしてT−細胞のHIV 感染に寄与していることを示唆する。 ACT−4又は ACT−4−Lに対して標的化される、治療的有効量の治療剤は、HIV 感染を阻止し、そしてそれにより、AIDSを処理することに効果的であり得る。それらの治療剤はまた、HIV 感染されたCD4+ T−細胞をインビボ又はインビトロで殺害するためにも効果的であり得る。インビトロ方法は、上記のように偶発的な感染から病院労働者を保護することに利用される。
【0177】
h.炎症性腸疾患の処理
ACT−4−L−L−1及びその特異的結合類似体及びパートナー( ACT−4を包含する)は炎症性腸疾患に関連して使用され得ることが見出された。
【0178】
ACT−4の組織発現は、直接的なアルカリホスファターゼ免疫組織化学的染色の標準技法を用いて調査された(たとえば、Immunocytochemistry : Practical Applications in Pathology and Biology. J. Polak and S. van Noorden, eds. John Wright and Sons, Bristolを参照のこと)。潰瘍性大腸炎及びCrohn's 病患者からの腸の生検組織サンプルは、抗− ACT−4抗体L106により陽性に染色した。L106+細胞群が、炎症の部位で粘膜を浸潤するリンパ様細胞間に見られた。正常な個人からの腸組織のサンプル又は患者からの単純な腸組織のサンプルにおいては、散乱されたL106+細胞が見られた。
従って、本発明はインビボ及びインビトロ診断方法、及び処理方法を提供する。
【実施例】
【0179】
次の例は例示的であって、本発明を限定するものではない。
例1: ACT−4−h−1に対するモノクローナル抗体
マウスを、 PHA−形質転換T−リンパ芽球により免疫化した。免疫化されたマウスからの脾臓細胞を、SP2/O骨髄腫細胞により融合し、そしてT−細胞クローンに対して特異的な抗体を分泌するハイブリドーマを選択した。ハイブリドーマを限界希釈法によりクローン化した。得られたハイブリドーマの1つにより生成された、L106と称するモノクローナル抗体を、さらなる特徴化のために選択した。L106抗体は、IgG1イソタイプを有することが見出された。HBL106と称する、前記抗体を生成するハイブリドーマは、ATCC HB11483として寄託された。
【0180】
例2:L106抗体により認識されるポリペプチドの細胞分布
抗体L106を含むサンプルが、L106抗体に結合する組織及び細胞タイプを同定するために、Fourth International Workshop and Conference on Human Leucocyte Differentiation Amtigens (Vienna 1989)で一定の関係者に利用された。その研究会からのデータは、Leukocyte Typing IV (ed. W. Knapp, Oxford U. Press, 1989) (引用により本明細書に組込まれる)に示され、そして付随するコンピューターデータベースはWalter R. Gilks, MRC Biostatistics Unit, Cambridge University, Englandから入手できる。この文献は、L106抗体が約50KDa のポリペプチドを結合することを報告する。
【0181】
このポリペプチドは、HUT-102 細胞(形質転換されたT−細胞系)、 PHA−活性化された末梢血液リンパ球、 BBV−形質転換されたB−リンパ球細胞系、及びHTLV−II形質転換されたT−細胞系、 PMA−活性化された扁桃細胞、ConA−又は PHA−活性化されたPBL 及び PMA−活性化された単球上に存在することを報告されている。ポリペプチドは、中でも休止好塩基性細胞、内皮細胞、線維芽細胞、インターフェロンγ−活性化単球、末梢非−T−細胞、末梢顆粒球、末梢単球、末梢単核細胞、末梢T細胞及び末梢赤血球細胞上には実質的に不在であることを報告された。
【0182】
本発明者は、50KDa のポリペプチド(この後、“ ACT−4−h−1受容体”と称する)が活性化されたT−細胞のCD4+ 亜種上に選択的に発現されることを示すデータを得た。1つの一連の実験において、細胞−特異的 ACT−4−h−1発現を、2色染色法により分別されていないPBL に対して分析した。PBL を約2日間、PHA により活性化し(例3に記載される培養条件を用いる)、そして2種の異なってラベルされた抗体(FITC及びPEラベル)による染色により異なった細胞サブタイプ上での ACT−4−h−1の細胞表面発現について分析した。ラベルを、Picker et al., J. Immunol. 150 : 1105-1121 (1993) (引用により本明細書に組込む)により記載されるようにして、FACSTM分析により検出した。
【0183】
1種の抗体L106は ACT−4−h−1に対して特異的であり、他の抗体は特定の白血球サブタイプに対して特異的であった。図1は、L106染色が個々の図のY−軸上に示され、そして抗−CD4、抗−CD8及び抗−CD19染色がそれぞれの図のX−軸として示されている3種の図を示す。抗−CD4により染色された図に関しては、多くの細胞が二重陽性として現われる(すなわち、CD4及び ACT−4−h−1の両者を発現する)。抗−CD8により染色された図に関しては、かなり少数の細胞が二重陽性として現われる。抗−CD19により染色された図に関しては(B−細胞マーカー)、二重陽性細胞は実質的に存在しない。
【0184】
もう1つの一連の実験においては、 ACT−4−h−1の発現を、単離された細胞型に対する単色染色により分析した。細胞を、螢光的にラベルされたL106抗体により染色し、そしてラベルをFACSTM分析により検出した。Engleman et al., J. Immunol. 127 : 2124-2129 (1981)(引用により本明細書に組込む)を参照のこと。いくつかの実験において、細胞を約2日間、PHA 刺激により活性化した(再び、例3に記載される培養条件を用いる)。上記2色染色実験からの結果と共に、この実験からの結果は表1に要約されている。
【0185】
表1は、活性化されたCD4+ 細胞の約80%が、CD4+ 細胞が単離されているか(一色染色)又は分別されていないPBL におけるか(2色染色)に関係なく、20以上の平均チャネル螢光を伴って ACT−4−h−1を発現したことを示す。活性化されたCD8+ 細胞上での ACT−4−h−1の発現のレベルは、2色染色実験において、活性化されたCD4+ T−細胞上でよりも一層低く、そして一色染色においては、ひじょうに低い。従って、活性化されたCD8+ 細胞上での発現の程度は、CD8+ 細胞が活性化の前、他のPBL から分別されているかどうかに依存するように思える。
【0186】
分別されていないCD8+ 細胞においては(2色染色)、細胞の約30%が、約4の平均チャネル螢光を伴って、 ACT−4−h−1を発現する。分別された細胞においては、わずか4%の細胞が、約2の平均チャネル螢光を伴って、 ACT−4−h−1を発現する。それらのデータは、 ACT−4−h−1が活性化されたCD8+ 細胞の小サブタイプ上にのみ発現され、そしてこのサブタイプは、CD8+ 細胞が他のPBL の存在下で活性化される場合、幾分より有力であることを示唆する。
【0187】
表1はまた、 ACT−4−h−1が試験されたすべての休止白血球サブタイプ(すなわちCD4+ T−細胞、CD8+ T−細胞、CD19+ B−細胞、CD14+ 単球、顆粒球及び血小板)上に実質的に不在であり、そしてまた、活性化されたB−細胞及び単球上にも実質的に不在であったことを示す。 ACT−4−h−1はまた、試験されたほとんどの腫瘍細胞系上に実質的に不在であることが見出された。しかしながら、Molt3,Raji及びNC37細胞系は、低レベルの発現を示した。
【0188】
【表1】

【0189】
例3:CD4+ T−細胞活性化に対して敏感な ACT−4−h−1発現の時間経過
CD4+ T−細胞を、種々の活性化刺激に応答しての ACT−4−h−1受容体の発現について試験した。CD4+ T−細胞を、固相免疫吸着により末梢血液単核細胞から精製した。5×104 個のCD4+ T−細胞を、10%ヒト血清により補充されたRPMI培地を含むマイクロタイターウェルにおいて活性剤と共に培養した。3種の異なった活性剤を使用した:(1)5×104 個の照射された(3000ラド)単球、(2)PHA(1μg/ml)及び(3)テタヌストキソイド(5μg/ml)。 3H−チミジンを、収穫の12〜16時間前、培養物に添加した。収穫の後、Engleman et al., J. Immunol. 127 : 2124-2129 (1981) により記載されるようにして、細胞を、種々のラベルされた抗体(L106、抗−CD4及び抗−CD8)と共にインキュベートすることにより細胞表面抗原の発現について試験した。
【0190】
図2はアロ抗原活性化に応答しての ACT−4−h−1の出現を示す。活性化の前、発現は観察されなかった。 ACT−4−h−1受容体を発現する細胞の%は、時間と共に上昇し、アロ抗原活性化の約7日後、約30%のピークを示した。その結果はまた、 ACT−4−h−1を発現する実質的にすべての細胞がまた、CD4受容体を発現し、そしてそのような細胞はCD8受容体を実質的に発現しなかったことを示す。
【0191】
図3はテタヌストキソイド活性化に応答しての ACT−4−h−1の発現についての類似するデータを示す。再び、 ACT−4−h−1を発現する細胞の%は、約7日でピークを示した。しかしながら、この時点で、より高い%(約60%)の細胞が受容体を発現した。図4は、PHA 活性化に応答してのCD4+ T−細胞上での ACT−4−h−1の出現についての類似するデータを示す。この場合、受容体を発現するCD4+ T−細胞の%は、活性化の3日後、約65%でピークを示した。
ACT−4−h−1は種々の活性化刺激に応答して発現されるCD4+ T−細胞活性化抗原であることが結論づけられる。
【0192】
例4: ACT−4−h−1 cDNA のクローニング
ACT−4−h−1受容体のためのcDNAクローンを、Aruffo & Seed(前記)により最初に開発された、わずかに変性されたCOS 細胞発現システムを用いて単離した。RNA を、72時間PHA 活性化されたヒト末梢血液リンパ球から単離した。全RNA を TRI−試薬(Molecular Research Center)により抽出し、そしてポリ(A)+RNA をオリゴdT−磁気ビーズ精製(Promega)により単離した。cDNAを、スーパースクリプト逆転写酵素(Gibco/BRL)及びオリゴdTプライマーを用いて、Gubler & Hoffman, Gene 25 : 263-369 (1982)の方法により合成した。ブラント末端化されたcDNAを、非−自己−相補的BstX1アダプターに連結し、そしてSephacryl S−400 回転カラム上に通し、連結されていないアダプター及び小さなフラグメント(300塩基対以下)を除去した。
【0193】
次に、連結されたcDNAを、BstX1により切断された真核発現ベクター pcDNA−IRL(すなわち pcDNA−I(Invitrogen) の耐アンピシリン性バージョン)中に連結した。その連結反応の沈殿されそして洗浄された生成物を、E.コリ株MW1100 (BioRad) 中にエレクトロポレートした。形質転換された細菌のアリコートのコロニー形成及びコロニー計数は、増幅されていないライブラリーにおいて2百万の独立したクローンの合計数を示した。平均挿入サイズは、1.2kb であることが決定された。多量のライブラリーを、液体培地、すなわち250ml の標準のLB培地において増幅した。プラスミドをアルカリ溶解により回収し、そしてイオン交換カラム(Qiagen) 上で精製した。
【0194】
ヤギ集密性の COS−7細胞を、精製されたプラスミドDNA によりエレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。細胞を100mm の皿上にプレートし、そして48時間増殖せしめた。細胞を PBS−EDTA溶液によりプレートから回収し、モノクローナル抗体L106と共にインキュベートし、そして標準方法に従って処理した。第2回目の処理は、プレートに吸着された多くのCOS 細胞としての富化を示した。エピソームDNA をHirt方法により免疫選択された細胞から回収し、そして増幅のために細菌中にエレクトロポレートした。
【0195】
第2回目のHirt調製物からのプラスミドにより形質転換された細菌を、約100 のコロニーの小さなプール中に希釈した。そのプールを増幅し、そしてそれらのDNA を精製し、そして免疫螢光により COS−7細胞上でのL106抗原の発現を付与する能力について試験した。フィコエリトリン−接合のL106抗体を用いて、 COS−7細胞単相を染色し、そして細胞を手動制免疫螢光顕微鏡により試験した。8つのプールのうち4つのプールからのMiniprep DNAは、発現について試験される場合、陽性であった。最良の発現を有するプール、すなわちプールEを、12のコロニーの小さなプールに分割した。8つのサブプールのうち3つのサブプールは陽性であり、そしてサブプールE1をプレートし、単一コロニーの分析を行った。コロニーE1−27は、トランスフェクトされたCOS 細胞の表面上に ACT−4−h−1受容体の高レベル発現を付与することが見出された。
【0196】
例5:cDNA配列の分析
E1−27と称するクローンからの挿入体をpBluescript 中にサブクローンし、そしてALF スクエンサー(Pharmacia)に基づくT7ポリメラーゼ自動読取り配列を決定キット(Pharmacia)を用いて、ジデオキシ鎖終結方法により配列決定した。制限地図は、サブクローニングのためのいくつかの便利な部位を示した。5つのサブクローンをpBluescript において生成し、そしてM13前進性及び普遍的プライマーにより両鎖を配列決定した。
【0197】
ACT−4−h−1のcDNA及び推定されるアミノ酸配列は図5−1〜図5−2に示される。1,137 個の塩基対の ACT−4−h−1 cDNA は、14−bpの5’−未翻訳領域及び 209−bpの3’−未翻訳領域を含む。AATAAAポリアデニル化シグナルは、 1,041位で存在し、続いて80−bpのポリA末端が 1,057位で開始する。最長の読み取り枠は、15位での最初のATG で始まり、そして 846位でのTGA で終結する。予測されるアミノ酸配列は、典型的なタイプ1膜内在性タンパク質の配列である。疎水性の分析は、開始ATG に続いて推定上のシグナル配列を示し、そして塩基性残基の短い範囲に続いて、疎水性残基の長い範囲が存在した。
【0198】
予測されるシグナルペプチド切断部位は、残基22又は24で存在し(後者は、von Heijne, Nucleic Acids Res. 14 : 4683-4690 (1986)(引用により本明細書に組込む)の基準によりより有望である)、その部位は 253個のアミノ酸残基の成熟タンパク質を切断する(又は低い可能性の部位で切断が生じる場合、 255個のアミノ酸残基が存在する)。疎水性の分析はまた、トランスメンブランドメインであると予測される27個の疎水性残基の単一の大きな範囲を示し、これは189(又は191)個のアミノ酸の細胞外ドメイン及び37個のアミノ酸の細胞内ドメインを予測する。細胞外ドメインはシステインに富んでおり、ここでは、18個のシステインが 135個のアミノ酸の範囲内に見出される。成熟タンパク質のための予測される分子量(Mγ)は27,400であり、そしてアミノ酸残基146 及び160 で2つの可能性あるN−グリコシル化部位が存在する。
【0199】
BLAZE プログラムを用いての、swiss-protデータベースにおける既知の配列と ACT−4−h−1のアミノ酸配列との比較は、神経成長因子受容体超科のメンバーとの配列類似性を示す。アミノ酸配列は、 NGF−R, TNF−R,CD40,41−BB及び fas/APO-1 について少なくとも20%の同一性を示し、そしてOX−40については62%の同一性を示し、ギャップ及び欠失を可能にする。種々のタンパク質の整合は、複数のシステインに富むモチーフの保存を示す。それらのモチーフの3種は ACT−4−h−1及びOX−40に存在し、それに比較して、他の4種のそのようなモチーフは NGF−R及びCD40に存在する。
【0200】
プログラムBLAST 及びFASTDSを用いての、Genbank and FMBLデータベースにおける既知の配列と ACT−4−h−1のヌクレオチド配列との比較は、神経成長因子受容体超科のわずか1種のメンバーOX−40との高い程度の配列類似性を示した。ギャップ及び挿入を可能にした後、配列の同一性は66%である。 ACT−4−h−1及びOX−40ヌクレオチド配列の比較は、両者が14−bpの5’未翻訳領域を含み、そして両者が約80−bpのポリA末端を含むことを示す。
【0201】
しかしながら、 ACT−4−h−1においては、 187−bp〜 209−bpのわずかに延びた3’未翻訳領域が存在し、そして 816−bp〜 834−bpの延びたコード領域、すなわち18−bp又は6個のアミノ酸挿入の差異が存在する。2種のアミノ酸配列の整合は、4個のアミノ酸挿入がシグナル配列切断部位の前に生じることを示す。従って、成熟 ACT−4−h−1受容体タンパク質は、OX−40よりも1つ多くのアミノ酸残基を含む(すなわち 253対 252個のアミノ酸)。注目すべき事には、 ACT−4−h−1ヌクレオチド配列はOX−40配列よりも一層多くのGCに富んでおり(70%対55%)、これは2種の配列が緊縮条件下でハイブリダイズしないであろうことを示唆する。
【0202】
例6:安定した ACT−4−h−1トランスフェクタントの生成
XbaI−HindIII フラグメントを、例4に記載の構造体から切出し、そして XbaI/HindIII −消化された pcDNA−I−neo (Invitrogen)中に挿入し、 ACT−4−h−1−neo と称する発現ベクターを生成した(図6)。このベクターをSf1により線状化し、3種の真核細胞系中にエレクトロポレートした。それらの細胞系は、SP2/O(Balb/O株に由来するマウス骨髄腫)、Jurkat(形質転換されたヒトT−細胞系)及び COS−7(付着性サル細胞系)であった。48時間の回収期間の後、形質転換された細胞を1mg/mlのG418(Gibco)において選択した。
【0203】
3週間の選択の後、 neo−耐性細胞系を飽和濃度のL106抗体と共にインキュベートし、洗浄し、そして ACT−4−h−1を発現する細胞を選択するためにヤギ抗−マウスIgG により被覆された100mm ペトリ皿上に積層した。結合されなかった細胞を洗浄した後、付着細胞を回収し、そして組織培養において拡張した。細胞系はさらに2回のパンニング及び発現を受けた。得られた細胞系を、多くの ACT−4−h−1を表わすために直接的な免疫螢光染色により示した(図7)。
同じ手段及び原理を用いて、 ACT−4−L−h−1を発現する安定した細胞系を得た(例10を参照のこと)。
【0204】
例7: ACT−4−h−1−免疫グロブリン融合タンパク質の合成
ACT−4−h−1の細胞外ドメインがヒト免疫グロブリンの不変ドメインのN−末端にそのC−末端を通して連結されている安定した融合タンパク質を構成した。例4に記載される ACT−4−h−1をコードするベクターを SmaI及び NotIにより切断し、トランスメンブラン、原形質及び3’未翻訳領域を包含する、 SmaI部位の下流のすべての ACT−4−h−1配列を切出した。残る領域は、 ACT−4−h−1の可溶性細胞外部分をコードする(図8)。
【0205】
ACT−4−h−1細胞外ドメインに連結されるべき免疫グロブリン不変領域の源は、5K−41BB−Egl と称するプラスミドであった(Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 89 : 10360-10364)(引用により本明細書に組込む)。このプラスミドは、ヒトIg、イソタイプγ1のヒンジ、CH2及び末端CH3ドメインをコードする。1.3kb のBamHI/EagIゲノムフラグメントを含む。このフラグメントは、ブラント末端連結により形成されるべき SmaI結合を通してペプチド読み取り枠を保存しながら、 ACT−4−h−1ベクターの SmaI/NotI末端中への挿入のために変性を必要とした。
【0206】
ベクター5K−41BB−Egl をBamHIにより切断し、そして得られる5’拡張部をクレノウフラグメントによりフィルインした。次に、ベクターを EagIにより切断し、ブラント及び NotI適合性部位を有する1.3kb のフラグメントを放した。このフラグメントを、 SmaI/NotIにより消化された ACT−4−h−1により連結した。連結混合物をE.コリ中にエレクトロポレートし、そして複数の形質転換クローンを、プライマーとして ACT−4−h−1及びIgG1ヌクレオチドフラグメントを用いてPCR によりスクリーンした。
【0207】
ACT−4−h−1−IgG1コードを含むプラスミドをCOS 細胞中にエレクトロポレートした。細胞を5日間増殖せしめ、この時点で、上清液を収穫し、そして 0.2ミクロンの膜を通して濾過し、殺菌した。上清液を、ドットブロットにより、 ACT−4−h−1−IgG1の発現について試験した。上清液をニトロセルロース上にブロットし、そして5%脱脂ドライミルクによりブロックした。レプリカブロットを抗体L106又はアルカリホスファターゼによりラベルされたヤギ抗−ヒト免疫グロブリンIgG (America Qualex)によりプローブした。抗体L106を、アルカリホスファターゼによりラベルされたヤギ抗−マウスIgG により検出した。 NBT/BCIP(Pierce) は比色基質として使用された。高い生産性の陽性クローンを結合部位で配列決定し、適切なベクター構造を確かめた。得られる融合遺伝子は、図9に示される。
【0208】
例8: ACT−4−h−1に対するリガンドを発現する細胞タイプの同定
ACT−4−h−1に対するリガンドを発現する細胞タイプを、プローブとして、例7に記載される ACT−4−h−1組換え免疫グロブリン融合タンパク質(この後、 ACT−4−h−1−Rgと称す)を用いて、流動細胞計測法と組合しての間接的染色法により同定した。結合された融合タンパク質を、フィコエリトリン接合の抗−ヒトIgを用いて検出した。それらの実験は、 ACT−4−h−1に対するリガンドが、Burkitt リンパ腫細胞系(Jiyoye) 、及び EBV−形質転換されたLCL 9037, 9059及びMSABを包含する、少数のB−細胞系上に低レベルで発現されたことを示した。それらの細胞系は3のMCF を伴って、5%の陽性を示した。表2を参照のこと。
【0209】
細胞系Jiyoyeに関しては、10のMCF を伴って90%の陽性で染色される、細胞系Jo−P5を生成するためにパンニング方法により細胞染色を陽性になるよう富化することが可能であった。新たに単離されたT−細胞、B−細胞、単球、樹枝状細胞、ほとんどのT−細胞腫瘍系及び骨髄性単球細胞系のPBMC及び精製されたサブ集団を包含する、試験される他の細胞系は、 ACT−4−h−1に対するリガンドを実質的に有さなかった。しかしながら、2種のHTLV−Iは、T細胞系、すなわちHUT-102 及び ACT−4−h−1を発現するMT−2を感染せしめ、ここで後者はひじょうに高いレベルで感染せしめた。
【0210】
実験を、PHA 又は PMA/イオノマイシンの組合せのいづれかを用いての細胞の活性化の後にくり返した。3日間、2μg/mlのPHAにより活性化されたPBMCは、ドナーに依存して、 ACT−4−h−1に対するリガンドのために2〜10%の陽性で染色した。PMA(10ng/ml)及びイオノマイシン(500ng/ml)の組合せを用いてのB−LCL細胞及びBurkitリンパ腫系の活性化は、いくつかの細胞系、特に休止状態で低レベルの発現を示したMSABような細胞系のためのリガンドの実質的な発現を誘発した。表2を参照のこと。分別されていないB細胞もまた、リガンドの選択的発現を示した(15%の細胞陽性、 MHC=5)。
【0211】
MSAB細胞に対する時間の経過の研究は、リガンド発現が活性化の2日後に始まり、そして3又は5日目でピークを示すことを示唆した。 PMA/イオノマイシン活性化はまた、赤白血病細胞系及び試験された3種の骨髄腫単球のうち1種、すなわち THP−1においてリガンドの選択的発現を誘発した。 PMA/イノマイシン活性化はまた、T−細胞においてリガンドの低レベルの発現を誘発するが、試験された他のT−細胞系においては誘発しなかった。
【0212】
【表2】

【0213】
【表3】

【0214】
例9: ACT−4−h−1リガンドをコードするクローニングcDNA
リガンドのためのcDNAクローンを、Aruffo & Seed により最初に開発された、わずかに変性されたCOS 細胞発現システムを用いて単離した。RNA を、72時間 PMA/イオノマイシン−活性化されたヒト EBY−形質転換B細胞(細胞系MSAB)から単離した。全RNA を TRI−試薬(Molecular Research Center)により抽出し、そしてポリ(A)+RNA をオリゴdT−磁気ビーズ精製(Promega)により単離した。cDNAを、スーパースクリプト逆転写酵素(Gibco/BRL)及びオリゴdTプライマーを用いて、Gubler & Hoffman, Gene 25 : 263-369 (1982)の方法により合成した。
【0215】
ブラント末端化されたcDNAを、非−自己−相補的BstX1アダプターに連結し、そしてSephacryl S−400回転カラム上に通し、連結されていないアダプター及び小さなフラグメント(300塩基対以下)を除去した。次に、連結されたcDNAを、BstX1により切断された真核発現ベクターpcDNA (Invitrogen)中に連結した。その連結生成物を、沈殿せしめ、洗浄し、そして一千万個の独立したクローンの増幅されていないライブラリーを生成するE.コリ株MC1061/P3中にエレクトロポレートした。ライブラリーにおける平均挿入体サイズは1kbであった。多量のライブラリーを、250ml の標準LB培地において増幅した。プラスミドDNA をアルカリ溶解により回収し、そしてイオン交換カラム(Qiagen) 上で精製した。
【0216】
ヤギ集密性の COS−7細胞を、精製されたプラスミドDNA によりエレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。細胞を100mm の皿上にプレートし、そして48時間増殖せしめた。細胞を PBS−EDTA溶液によりプレートから回収し、モノクローナル抗体 ACT−4−h−1−Rgと共にインキュベートし、そして標準方法に従って処理した。第2回目の処理は、プレートに吸着された多くのCOS 細胞としての富化を示した。エピソームDNA をHirt方法により免疫選択された細胞から回収し、そして増幅のために細菌中にエレクトロポレートした。
【0217】
第2回目の選択からのプラスミドにより形質転換された細菌をクローン化し、そして増幅した。個々のクローンからのDNA を精製し、そして COS−7細胞において ACT−4−h−1に対するリガンドの発現を付与する能力について試験した。フィコエリトリン−接合の ACT−4−h−1−Rgを用いて、 COS−7細胞単相を染色し、そして次に、細胞を、手動制免疫螢光顕微鏡により試験した。クローン#2,26及び30は、 ACT−4−h−1−Rg結合活性の高レベル発現を与えた。
【0218】
例10: ACT−4−h−1に対するリガンドの配列分析
例9におけるクローン26からの挿入体を、HindIII 及び XbaIクローニング部位でpBluescript 中にサブクローン化した。クローンを、ALF スクエンサー(Pharmacia)に基づくT7ポリメラーゼ基礎の自動読取り配列決定キット(Pharmacia)を用いて、ジデオキシ鎖終結方法により配列決定した。3種のサブクローンをpBluescript において生成し、そしてM13前進性及び普遍的プライマーにより両鎖を配列決定した。クローン26のcDNA及び予測されるアミノ酸配列は図10−1〜図10−2に示されている。その予測されるアミノ酸配列により形成されるポリペプチドを、 ACT−4−L−h−1と称する。
【0219】
ACT−4−L−h−1 cDNA 配列は、1079個の塩基対、並びに137bp の5’UTR 及び379bp の3’UTR を含む。AATAAAポリアデニル化シグナルは、1024位で存在し、続いて1049位で開始する20個の塩基のポリA末端が存在する。配列の分析は、21,000の計算された分子量と共に、 183個のアミノ酸ポリペプチドをコードする単一の読み取り枠を示す。その読み取り枠は、 149位で最初のATG で始まり、そして 698位でのTGA で終結する。ATG は、−3位でA及び+4位でGを伴ってKozak コンセンサス開始配列を端に有する。疎水性の分析は、予測されるアミノ酸配列が、タンパク質のアミノ末端部分に約27個のaaの単一のトランスメンブランドメインを有するタイプII膜タンパク質の配列であることを示す。また、分子のC末端部分に4種のN−結合されたグリコシル化部位が存在する。
【0220】
ACT−4−L−h−1のヌクレオチド配列とGenbank and EMBLデータバンクにおける既知の配列との比較は、既知の遺伝子に対して有意な相同性を示さず、但し、Miura et al., Mol. Cell Biol. 11 : 1313-1325 (1991) によるgp 34 と称するタンパク質をコードする遺伝子を除く。 ACT−4−L−h−1のコード領域のcDNA配列は、gp 34 の配列と同一である。しかしながら、 ACT−4−L−h−1は、gp 34 配列と比較して、追加の 112個のヌクレオチドを5’末端で含んだ。追加のヌクレオチドは5’未翻訳領域内で存在するので、それらの存在は、発現生成物をたぶん変えない。おそらく、 ACT−4−L−h−1クローンは、より完全な逆転写物に由来し、そしてインビボ5’末端の代表である。たぶん、余分な配列は、タンパク質の翻訳を調節することに関与している。
【0221】
ACT−4−L−h−1リガンドの予測されるアミノ酸配列とProtein Information Resource (PIR)データベースにおける既知配列とのFast DB プログラムを用いての比較は、gp 34 との同一性及び TNFαとのひじょうに弱い相同性を示した。Chou & Fasman により開発された二次構造予測アルゴリズム(secondary structure precliction algorithm)は、 ACT−4−L−h−1リガンド及び TNF−αが両とも、有意な量のβ構造を形成する傾向があることを予測する。この予測は、タンパク質のTNF ファミリーの他のメンバーがβ構造において富んでいるβジェリーロール(β jelly roll)配置を形成するのに適合され、又は予測される観察と一致する。
【0222】
本発明を明確に理解するために、本発明は例及び上記開示においていくらか詳細に記載されて来た。しかしながら、一定の変更及び修飾が本発明の範囲内で実施され得ることは明らかであろう。すべての出版物及び特許出願は、それぞれが個々に示されているかのように、同じ程度にすべての目的のためにそれらの全体を引用により本明細書に組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】図1は、種々の細胞タイプ上での ACT−4−h−1の発現を分析するための末梢血液の2色染色を示す。
【図2】図2は、同種異系抗原−活性化CD4+ T細胞上での ACT−4−h−1発現の比率を示す。 MCF=平均チャンネル蛍光。
【図3】図3は、破傷風毒素活性化CD4+ T細胞上での ACT−4−h−1発現の比率を示す。
【図4】図4は、PHA 活性化CD4+ T細胞上での ACT−4−h−1発現の比率を示す。
【図5−1】図5−1は、 ACT−4−h−1のcDNA(上行)及び推定アミノ酸配列(下行)を示す。この図はN末端シグナル配列の位置、2つの可能なシグナル切断部位(垂直矢印)、及び2つのグリコシル化部位(gly)を示す。
【図5−2】図5−2は、 ACT−4−h−1のcDNA(上行)及び推定アミノ酸配列(下行)を示す。この図は、トランスメンブランドメイン(TM) 、停止コドン、及びポリ−Aシグナル配列を示す。
【図6】図6は、 ACT−4−h−1を発現する安定形質転換体の生産のための発現ベクターの構築を示す。
【図7】図7は、 COS−7、ジャーカット及びSP2/O細胞系の安定形質転換体上での ACT−4−h−1の発現を示すFACS(商標)分析を示す。
【図8】図8は、 ACT−4−h−1細胞外ドメインとイムノグロブリン重鎖定常領域との組換グロブリンの形成のための融合を示す。
【図9】図9は、組換グロブリンを形成する ACT−4−h−1細胞外ドメインとイムノグロブリン重鎖定常領域との融合より形成される組換グロブリンの模式図を示す。
【図10−1】図10−1は、 ACT−4−L−h−1のcDNA配列及び推定アミノ酸配列を示す。さらに、枠で囲ったトランスメンブランドメイン領域、及び2つのグリコシル化部位を示す。
【図10−2】図10−2は、 ACT−4−L−h−1のcDNA配列及び推定アミノ酸配列を示す。さらに、2つのグリコシル化部位、及びポリ−A−シグナルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ATCC HB11483として寄託されているハイブリドーマHBL106により生成される、L106と称するモノクローナル抗体以外であり;そして
(b)図10−1〜図10−2に示される完全なアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を有する、 ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナー。
【請求項2】
抗体の形でリガンド以外である請求の範囲第1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項3】
図10−1〜図10−2に示されるアミノ酸配列のフラグメント、変異体、突然変異体又は誘導体、又はそれらの相同体又は類似体であり、場合によっては、接合体又は複合体の形で存在する請求の範囲第1又は2項記載の特異的結合パートナー。
【請求項4】
毒素又はラベルをさらに含んで成る接合体又は複合体の形で存在する請求の範囲第1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項5】
図5−1〜図5−2に示されるアミノ酸配列からの少なくとも5個の隣接したアミノ酸のセグメントを有する請求の範囲第3項記載の特異的結合パートナー。
【請求項6】
図10−1〜図10−2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列の同一性を示す請求の範囲第5項記載の特異的結合パートナー。
【請求項7】
図10−1〜図10−2に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質に共通する抗原決定基を有する請求の範囲第1〜6のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項8】
細胞内ドメイン、トランスメンブランドメイン又は細胞外ドメインを含んで成る請求の範囲第1〜7のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項9】
細胞外ドメインを含んで成る請求の範囲第8項記載の特異的結合パートナー。
【請求項10】
図10−1〜図10−2に示される ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーの細胞外ドメインからの少なくとも5個の隣接したアミノ酸を有する細胞外ドメインを含んで成り;図10−1〜図10−2の特異的結合パートナーの細胞外ドメインが、図10−1〜図10−2にまた示される核酸配列の SmaI部位の下流のC−末端領域に位置する請求の範囲第9項記載の特異的結合パートナー。
【請求項11】
前記細胞外ドメインが完全な長さである請求の範囲第10項記載の特異的結合パートナー。
【請求項12】
グリコシル化される請求の範囲第1〜11のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項13】
結合されたポリペプチドをさらに含んで成る請求の範囲第1〜12のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項14】
前記結合されたポリペプチド配列が共有結合される請求の範囲第13項記載の特異的結合パートナー。
【請求項15】
ポリペプチド鎖が、前記特異的結合パートナーに対応するアミノ酸配列及びさらに、前記結合されたポリペプチドに対応するアミノ酸配列を含んでいる融合タンパク質を含んで成る請求の範囲第13項記載の特異的結合パートナー。
【請求項16】
前記結合されたポリペプチドが免疫グロブリンの不変領域である請求の範囲第13項記載の特異的結合パートナー。
【請求項17】
可溶性形で存在する請求の範囲第1〜15のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項18】
ラベル化される請求の範囲第1〜17のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項19】
それらの表面上に ACT−4受容体を発現するCD4+ T細胞のインビトロ活性化を示す請求の範囲第1〜18のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項20】
それらの表面上に ACT−4受容体を発現するCD4+ T細胞のインビトロ活性化を刺激する請求の範囲第1〜19のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項21】
抗体への結合のために図10−1〜図10−2に示される特異的結合パートナーと競争するフラグメントを含んで成る請求の範囲第1〜20のいづれか1項記載の特異的結合パートナー。
【請求項22】
結合成分が ACT−4受容体ポリペプチド以外であり、そして図10−1〜図10−2に示される完全なアミノ酸配列を有するポリペプチドと交差反応しない請求の範囲第1〜21のいづれか1項記載の特異的結合パートナーに対して特異性を有する結合成分。
【請求項23】
抗体結合ドメインを含んで成る請求の範囲第22項記載の結合成分。
【請求項24】
(a)ヒト抗体結合ドメインの一部又はすべて;又は
(b)抗体のヒト適合化された部分、
を含んで成る、 ACT−4受容体ポリペプチドに対する特異性を有する結合成分。
【請求項25】
抗体のヒト適合された部分及び非ヒト抗体結合ドメインを含んで成る請求の範囲第22項記載の結合成分。
【請求項26】
抗体のFab 又はF(ab)'2を含んで成る請求の範囲第24項記載の結合成分。
【請求項27】
モノクローナル抗体を含んで成る請求の範囲第23〜26のいづれか1項記載の結合成分。
【請求項28】
ヒト適合されたH鎖及びヒト適合化されたL鎖を含んで成るヒト適合化されたモノクローナル抗体を含んで成り、
(1)前記ヒト適合化されたL鎖が、 ACT−4−L−h−1リガンドの細胞外ドメインに特異的に結合する非ヒト抗体のL鎖の対応する相補性決定領域からのアミノ酸配列を有し、そしてヒトL鎖可変領域骨格配列に実質的に同一の可変領域骨格配列を有する3種の相補性決定領域(CDR1, CDR2及びCDR3)を含んで成り;そして
(2)前記ヒト適合化されたH鎖が、非ヒト抗体のH鎖の対応する相補性決定領域からのアミノ酸配列を有し、そしてヒトH鎖可変領域骨格配列に実質的に同一の可変領域骨格配列を有する3種の相補性決定領域(CDR1, CDR2及びCDR3)を含んで成り;
ここで前記ヒト適合化された抗体が、107-1の下限及び非ヒト抗体の結合親和性の5倍内である上限を有する結合親和性を伴って ACT−4−L−h−1の細胞外ドメインに特異的に結合する請求の範囲第27項記載の結合成分。
【請求項29】
前記 ACT−4受容体ポリペプチド又は ACT−4−L−h−1リガンドのための特異的結合パートナーがB細胞の表面上に存在し、そして前記特異的結合パートナー又はリガンドへの結合成分の結合がB細胞の活性化を阻害する請求の範囲第22〜28のいづれか1項記載の結合成分。
【請求項30】
前記 ACT−4受容体ポリペプチド又は ACT−4−L−h−1リガンドのための特異的結合パートナーがB細胞の表面上に存在し、そして前記特異的結合パートナー又はリガンドへの結合成分の結合がB細胞の活性化を刺激する請求の範囲第22〜28のいづれか1項記載の結合成分。
【請求項31】
前記 ACT−4受容体ポリペプチド又は ACT−4−L−h−1リガンドのための特異的結合パートナーがB細胞の表面上に存在し、そして前記リガンドへの抗体の結合がCD4+ T−細胞を活性化するB−細胞の能力を阻害する請求の範囲第22〜28のいづれか1項記載の結合成分。
【請求項32】
ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーの細胞外ドメインに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を含んで成る結合成分。
【請求項33】
図10−1〜図10−2に示される完全なアミノ酸配列をコードする核酸配列以外の核酸配列を有する ACT−4受容体ポリペプチドの一部又はすべてのための特異的結合パートナーをコードする核酸セグメント。
【請求項34】
請求の範囲第1〜19のいづれか1項記載の特異的結合パートナーをコードする核酸セグメント。
【請求項35】
図10−1〜図10−2に示される配列の5’−未翻訳領域のヌクレオチド1と112 との間の少なくとも25個の隣接するヌクレオチドを含んで成る請求の範囲第33項記載の核酸セグメント。
【請求項36】
図10−1〜図10−2に示される配列からの15〜500 個の隣接するヌクレオチドを有する請求の範囲第33項記載の核酸セグメント。
【請求項37】
請求の範囲第22〜32のいづれか1項記載の結合成分をコードする核酸配列。
【請求項38】
請求の範囲第33〜37のいづれか1項記載の核酸セグメントを含む複製可能な発現ベクター。
【請求項39】
請求の範囲第38項記載の発現ベクターを含むように形質転換されている原核又は真核宿主生物。
【請求項40】
それらの表面上に ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーを発現するB−細胞に実質的に富んでいる単離された細胞集団。
【請求項41】
その表面上に ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーを発現する単離された安定細胞系。
【請求項42】
ATCC HB11483として寄託されたハイブリドーマHBL106により生成されたL106と称するモノクローナル抗体以外である ACT−4受容体のための特異的結合パートナー、及び医薬的に許容できるキャリヤーを含んで成る医薬組成物。
【請求項43】
医薬的に許容できるキャリヤーと組合して、請求の範囲第1〜19のいづれか1項記載の特異的結合パートナーを含んで成る医薬組成物。
【請求項44】
医薬的に許容できるキャリヤーと組合して、図10−1〜図10−2に示されるアミノ酸配列又はそのフラグメント、変異体、突然変異体又は誘導体を有する ACT−4受容体のための特異的結合パートナーを含んで成る医薬組成物。
【請求項45】
医薬的に許容できるキャリヤーと組合して、 ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーに対して特異性を有する ACT−4受容体ポリペプチド以外の結合成分を含んで成る医薬組成物。
【請求項46】
前記結合成分が請求の範囲第22〜32のいづれか1項記載のようなものである請求の範囲第45項記載の医薬組成物。
【請求項47】
請求の範囲第42〜46のいづれか1項記載の医薬組成物の有効量を投与することを含んで成る、患者における免疫応答を改良するための方法。
【請求項48】
前記投与段階がエクスビボで実施される請求の範囲第47項記載の方法。
【請求項49】
前記患者の免疫応答が抑制される請求の範囲第47又は48項記載の方法。
【請求項50】
移植片拒絶、GVHD、自己免疫疾患、炎症、感染剤、HTVL感染された細胞又はHIV の処理に使用するための請求の範囲第47〜49のいづれか1項記載の方法。
【請求項51】
炎症性腸疾患又は障害の処理に使用するための請求の範囲第47〜49のいづれか1項記載の方法。
【請求項52】
免疫応答の改良に使用するための請求の範囲第1〜21のいづれか1項記載の特異的結合パートナー又は請求の範囲第22〜32のいづれか1項記載の結合成分。
【請求項53】
ACT−4を認識できる免疫調節剤のためのスクリーニング方法であって、
ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーと試験されるべき材料とを接触せしめ;そして
前記特異的結合パートナーと試験下の材料との間の結合を検出することを含んで成る方法。
【請求項54】
その特異的結合パートナーにより ACT−4受容体ポリペプチドの認識に影響を及ぼすことができる免疫調節剤のためのスクリーニング方法であって、(a) ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナー、(b) ACT−4受容体又はその特異的結合類似体及び(c)試験下の剤を一緒に接触せしめ;そして成分(a)と(b)との間の結合を検出することを含んで成る方法。
【請求項55】
前記 ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーが個体表面に固定されている請求の範囲第54項記載の方法。
【請求項56】
選択された抗原に対する免疫応答を誘発するための方法であって、
請求の範囲第30項記載の結合成分を患者に投与し;そして
前記選択された抗原に患者を暴露することを含んで成る方法。
【請求項57】
活性化されたCD4+ T−細胞をモニターするための方法であって、
ACT−4受容体の細胞外ドメインに特異的に結合する ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーと細胞とを接触せしめ;そして
前記活性化されたCD4+ T−細胞の存在を示すために前記特異的結合パートナーと前記細胞との間の特異的結合を検出することを含んで成る方法。
【請求項58】
前記細胞が、患者からの組織サンプルを含んで成り、そして前記方法がインビトロで実施される請求の範囲第57項記載の方法。
【請求項59】
ヒト免疫欠損ウィルスによりCD4+ T−細胞の感染を阻害するための方法であって、 ACT−4受容体の細胞外ドメインに特異的に結合する抗体とCD4+ T−細胞とを接触せしめることを含んで成る方法。
【請求項60】
ACT−4に結合できる、図10−1〜図10−2に示されるタンパク質の細胞外ドメインからの少なくとも5個の隣接するアミノ酸、又はその突然変異体、変異体又は誘導体を含んで成る細胞外ドメイン。
【請求項61】
請求の範囲第1〜21のいづれか1項記載の ACT−4受容体のための特異的結合パートナーを含んで成る、活性化されたCD4+ T−細胞を検出するためのキット。
【請求項62】
患者の免疫応答の改良に使用するための医薬の調製に使用するための、請求の範囲第1〜21のいづれか1項記載の特異的結合パートナー又は請求の範囲第22〜32のいづれか1項記載の結合成分。
【請求項63】
請求の範囲第39項記載の宿主生物を培養することを含んで成る、請求の範囲第1〜21のいづれか1項記載の ACT−4受容体のための特異的結合パートナー又は請求の範囲第22〜32のいづれか1項記載の結合成分を生成するための方法。
【請求項64】
ACT−4受容体又はその特異的結合類似体の認識のために特異的結合反応への、図10−1〜図10−2に示されるようなアミノ酸配列を有するポリペプチド又は請求の範囲第1項記載の特異的結合パートナーの使用。
【請求項65】
図10−1〜図10−2に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド又は請求の範囲第1項記載の特異的結合パートナーの認識のために特異的結合反応への ACT−4受容体又はその特異的結合類似体の使用。
【請求項66】
ACT−4と特異的に結合できる特異的結合剤である可溶性ポリペプチド。
【請求項67】
図10−1〜図10−2のアミノ酸配列を有するが、但しそのトランスメンブランサブ配列を除く請求の範囲第66項記載のポリペプチド。
【請求項68】
トランスメンブラン配列によりリポソームの調製物の表面上に担持される、請求の範囲第1項記載の特異的結合パートナー又は図10−1〜図10−2に示される完全なアミノ酸配列を有する特異的結合パートナーポリペプチドを含んで成る組成物。
【請求項69】
組織サンプル、たとえば生検サンプル又は血液サンプルにおける ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーを含んで成る分析物を検出するための方法であって、分析物を認識できる特異的結合剤を含んで成る第1試薬、及び分析物として類似するか又は相補的な結合特異性の特異的結合剤を含んで成る第2試薬と分析物を接触せしめ、前記第2試薬のためのラベルを供給し、そして前記第2試薬のそのパートナーへの特異的結合を検出し又は定量化することを含んで成る方法。
【請求項70】
組織サンプル、たとえば生検サンプル又は血液サンプルにおける ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーに対して相補的結合特異性を有する物質を含んで成る分析物を検出するための方法であって、 ACT−4受容体ポリペプチドのための特異的結合パートナーを含んで成る第1試薬、及び分析物として類似するか又は相補的な結合特異性の特異的結合剤を含んで成る第2試薬と分析物とを接触せしめ、前記第2試薬のためのラベルを提供し、そして前記第2試薬のそのパートナーへの特異的結合を検出し又は定量化することを含んで成る方法。
【請求項71】
炎症状態、たとえば炎症性腸疾患又は障害をたぶん有する患者からの生検サンプルに対して実施される、炎症状態の検出のための請求の範囲第69又は70項記載の診断方法。
【請求項72】
ACT−4受容体ポリペプチド又は ACT−4受容体のための特異的結合パートナー又はその特異的結合類似体を含んで成る分析物の検出又は定量化のための特異的結合アッセイを実施するためのキットであって、分析物を認識できる特異的結合剤を含んで成る第1試薬、分析物として類似するか又は相補的な結合特異性の特異的結合剤を含んで成る第2試薬、及び前記第2試薬のためのラベル(たとえば放射性ラベル又は酵素ラベル)を含んで成るキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【公開番号】特開2006−254914(P2006−254914A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77210(P2006−77210)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【分割の表示】特願2005−54684(P2005−54684)の分割
【原出願日】平成7年2月6日(1995.2.6)
【出願人】(594095671)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リーランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (3)
【氏名又は名称原語表記】The Board of Trustees of the Leland Stanford Junior University
【Fターム(参考)】