説明

流し台シンク一体型生ごみ処理機

【課題】乾燥性能を向上させた流し台シンク一体型生ごみ処理機を提供する。
【解決手段】シンク4を有する流し台1と、前記流し台1に一体的に組み込まれた生ごみ処理機9から構成された流し台シンク一体型生ごみ処理機において、前記シンク4の後方天面に配設されると共に、生ごみを収納し、乾燥処理する内容器13と、前記内容器13の下方を加熱する発熱ヒータ30を設けたもので、縦長内容器13における上部からの吹きつけ乾燥温風の不足を補う加熱作用が得られ、乾燥処理時間の短縮が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみ処理機が流し台シンクに一体化された流し台シンク一体型生ごみ処理機に関するもので、特に、生ごみ処理機部分の内容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の流し台シンク一体型生ごみ処理機として、流し台シンクの側方に生ごみ処理機を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、シンクの側方に設けると大きなスペースを必要とするため、対策として、流し台シンクの後方のスペースを有効に利用する構成が考えられる。但し、流し台シンク後方の天板面に配設するため、限られた小さなスペースでの構成が要求されると共に、ごみ投入時の使い勝手においても、上部開口部寸法が最低限□150mm×100mmが要求されるものとなっている。これら制約された条件の中、生ごみの処理容量においても最低一日分の処理能力を確保しなければならず、容器形状の下方延長に伴う縦長構成が必須となっていた。
【0003】
このような従来の流し台シンク一体型生ごみ処理機について、図6および図7を用いて説明する。
【0004】
図6(a)は、従来の流し台シンク一体型生ごみ処理機の外観斜視図、図6(b)は、同流し台シンク一体型生ごみ処理機の要部斜視図、図7(a)は、同流し台シンク一体型生ごみ処理機の要部断面図、図7(b)は、同流し台シンク一体型生ごみ処理機の内容器の斜視図である。
【0005】
図6、7において、61は流し台シンク60の後方の天板面62に配設された蓋部であり、63は、その直下に配設された内容器である。内容器63の内部下面には、生ごみの攪拌を行うための攪拌手段70が設けられている。64は、内容器63を収納するとともに、流し台シンク60天板面62と連結する外郭容器であり、乾燥風発生手段65ならびに脱臭手段66を保持した構成としている。
【0006】
特に、前記外郭容器64の上部には、乾燥風発生手段65より発生させた乾燥風の噴出口67を設けるとともに、その対面には脱臭手段66に連結され吸引する吸引口68を設けた構成としている。これは前記内容器64を介して乾燥風経路を形成するものであり、上部より乾燥風を吹きつけ、発生した水蒸気を脱臭手段66で吸引し、外部に排気する構成となっている。また、69は、前記内容器63に設けた攪拌手段70を回転駆動するための攪拌モーターであり、外郭容器64の底面より駆動軸69aを貫通させて取り付けられている。
【0007】
次に、図7を用いて内容器63の構成を説明する。
【0008】
内容器63は、内容器本体71と、内容器本体71の上部に形成された□150mm×100mmの寸法形状とした角型開口部75と、下方に約250mm延長して形成された縦長の角柱体容器76から構成されている。内容器63の内部下方に投入された生ごみを攪拌する攪拌手段70は、回転軸70aに、攪拌刃70bを取り付けて構成されている。
【特許文献1】特許第3676796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら前記従来の流し台シンク一体型生ごみ処理機の構成では、内容器63を縦長に構成することにより、上部より吹きつける乾燥温風が内容器63の下部まで届かず、処理温度の低下により、乾燥時間が長くなるといった課題があった。また、縦長の角柱体容器76に回転式の攪拌手段70を設けたことにより、円形軌跡で旋回する攪拌作用に対し、その作用を受けない角柱体容器76の角部に生ごみのこびりつきが発生した。これは攪拌効率の悪化を招き、また内容器63からの乾燥ごみの取り出しに伴う作業性の悪化をもたらすものとなっていた。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、乾燥性能及び作業性を向上させた流し台シンク一体型生ごみ処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の流し台シンク一体型生ごみ処理機は、シンクを有する流し台と、前記流し台に一体的に組み込まれた生ごみ処理機から構成された流し台シンク一体型生ごみ処理機において、前記シンクの後方天面に配設されると共に、生ごみを収納し、乾燥処理する内容器を備え、前記内容器の開口部を含む上部を角柱形状とし、その下部を円筒形状に形成したもので、縦長内容器の攪拌部に生じていた撹拌不可となる角部の排除により生ごみのこびりつきを防止して、乾燥性能の向上並びに投入生ごみの攪拌効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の流し台シンク一体型生ごみ処理機は、攪拌部に生じていた撹拌不可となる角部の排除により生ごみのこびりつきを防止して、乾燥性能の向上並びに投入生ごみの攪拌効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、シンクを有する流し台と、前記流し台に一体的に組み込まれた生ごみ処理機から構成された流し台シンク一体型生ごみ処理機において、前記シンクの後方天面に配設されると共に、生ごみを収納し、乾燥処理する内容器を備え、前記内容器の開口部を含む上部を角柱形状とし、その下部を円筒形状に形成したもので、攪拌部分に生じていた撹拌不可となる角部が内容器に無いので、生ごみの堆積によるこびりつきを防止し、さらに、攪拌効率の向上により乾燥性能の改善が図られる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明において、内容器の上方から温風を供給する温風発生手段と、内容器の下方を加熱する加熱手段を設けたもので、縦長内容器における上部からの吹きつけ乾燥温風の不足を補う加熱作用が得られ、乾燥処理時間の短縮が図れる。
【0015】
第3の発明は、特に、第2の発明の内容器下部の円筒形状部に加熱手段を設けたもので、縦長内容器における上部からの吹きつけ乾燥温風の不足を補う加熱作用が得られるとともに、攪拌部に形成していた撹拌不可となる角部の排除により、生ごみのこびりつきが確実に防止できる。
【0016】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の内容器の底部に投入された生ごみを攪拌する攪拌手段を設け、前記内容器の円筒形状部の高さを、前記攪拌手段の高さと略同じ若しくはそれ以上に設定したもので、攪拌手段の全周が円筒形状なので、生ごみの堆積によるこびりつきの発生をより確実に防止することができる。
【0017】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の内容器上部の角柱形状部と下部の円筒形状部との境界部に、形状変化を序変させるための傾斜部を設けたもので、形状変化に伴う急な段差部が排除され、上部より投入された生ごみの落下移動にひっかかりを生じず、投入された生ごみ全てに攪拌作用を与えることが可能となり、結果攪拌効率の向上が図られる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態における流し台シンク一体型生ごみ処理機の外観斜視図、図1(b)は、同流し台シンク一体型生ごみ処理機の要部斜視図、図2は、同流し台シンク一体型生ごみ処理機の要部断面図、図3は、同流し台シンク一体型生ごみ処理機の内容器の取り付け部の断面図である。
【0020】
図1において、本実施の形態における流し台シンク一体型生ごみ処理機は、下方を収納庫とし、上部に排水口2並びに上水道の蛇口3を設けてなるシンク4を備え付けた流し台1と、流し台1に一体的に組み込まれた生ごみ処理機9から構成されている。
【0021】
シンク4の天面5には、生ごみの投入を可能とさせた開口部6を形成し、乾燥手段を有した生ごみ処理機9をその下部に配設させている。7は、前記生ごみの投入を行うための開口部6を閉鎖する投入口蓋であり、回動軸8を介して流し台1の後方方向に倒立開閉自在に設けられている。
【0022】
次に図2並びに図3を用いて、生ごみ処理機9の構成の詳細を説明する。
【0023】
10は、流し台1のシンク4内に設けられた外容器であり、縦長の容器体で構成され、その上部上端にはフランジ部11を形成している。前記外容器10は、シンク4の上部よりシンク4の天面5に設けた開口部6へ挿入取り付けを行うもので、挿入後、前記フランジ部11にて淵部12を構成する。
【0024】
特に外容器10のフランジ部11の設置構成においては、天面5に設けた開口部6の全周に設けた低段差部51に設置させる構成とし、取り付けたフランジ部11は天面5と同一面となるようにしている。また、下部には、その内部に収納する後述の内容器13に設けた攪拌刃16を駆動連結させるための連結軸15を配設させている。
【0025】
30は、内容器13の側面に配置された板状の発熱ヒータであり加熱手段を構成するものである。なお、発熱ヒータ30を外容器10の外周に巻きつけて加熱手段を構成し、外容器10の下方外郭を加熱して間接的に加熱することも可能である。
【0026】
13は、前記外容器10内に着脱自在に収納装着される内容器であり、シンク4の上方より投入された生ごみの収納並びに乾燥内容器として設けてられている。
【0027】
この内容器13は、外容器10と同様略円筒状の容器状に形成され、その上部には外容器10から取り外した際、その持ち運びをサポートするハンドル52が回動軸14により回動自在に取り付けられている。また、内容器13の内部下方には、投入された生ごみを攪拌するための攪拌手段となる攪拌刃16を固定した回転軸17が回転自在に取り付けられており、回転軸17は、外容器10の下端に突出した連結軸15に、連結部18を介して嵌合連結するようになっている。
【0028】
次に19は、前記外容器10の外郭フレームとした外容器フレームであり、側面に温風発生手段20並びに脱臭排気手段21が配設され、その下方には、前記内容器13に設けた攪拌刃16に回転を与えるための駆動モーター22を具備すると共に、流し台1内部で、外容器10を固定ねじによる締結部23により固定されている。
【0029】
前記温風発生手段20には、空気を加熱する熱源ヒータ31並びに加熱された空気を送出する送風機32を設けると共に、上部送風経路29に連結される送風パイプ33を具備し、前記脱臭排気手段21には、前記加熱作用で発生した水蒸気を凝縮する凝縮装置35並びに、脱臭触媒36を有し、外容器10並びに内容器13の側壁に設けられ互いに連通する連通穴部34を含む経路37により、流し台1の下方外部に排気する構成としている。
【0030】
また、前記投入口蓋7は、概略的に、上部外郭を形成する蓋上27と、閉鎖時のタイトを行うパッキン40を有する蓋下28とで構成され、前記両部材の間に、前記温風発生手段20からの送風パイプ33が連結された上部送風経路29が形成されると共に、蓋下28に噴出し口41を設けている。また、投入口蓋7の開閉を感知する手段が、蓋下28と外容器10のフランジ部11のそれぞれに設けられた磁石スイッチ39で構成され、その開閉感知により生ごみ処理機9の運転のオンオフ制御を行うものとしている。
【0031】
以上のように構成された本実施の形態における流し台シンク一体型生ごみ処理機の動作、作用を、以下に説明する。
【0032】
生ごみを投入した内容器13を外容器10内に入れ、投入口蓋7を閉じて、生ごみ処理機9の運転を開始すると、内容器13内の生ごみが攪拌刃16で攪拌されると共に、発熱ヒータ30で加熱される。熱源ヒータ31で加熱された空気は、送風機32により、送風パイプ33、上部送風経路29を通って、噴出し口41から内容器13内に噴出され、生ごみの表面を加熱する。加熱された生ごみから発生した蒸気を含む空気は、連通穴部34を通って、凝縮装置35に至り、そこで空気に含まれた蒸気が凝縮されて液体になり、接続管42を通して外部に排出される。また、凝縮装置35で蒸気分が除去された空気は、脱臭触媒36に至り、そこで臭い分が除去され、臭気の少ない空気が外部に排出される。内容器13内の生ごみが乾燥し終えたら、ハンドル52を持って内容器13を外容器10から取り出し、廃棄する。
【0033】
以上のように、本実施の形態によれば、流し台1のシンク4後方の天面5に配設し、着脱自在とした内容器13において、その内容器13の下方を加熱する加熱手段となる発熱ヒータ30を設けたことにより、上部からの吹きつける乾燥温風の不足を補う加熱作用により、乾燥処理時間の拡大を防止し課題を解決するものとなる。本構成における効果は、処理時間の短縮による流し台シンク一体型生ごみ処理機の乾燥性能を向上させるがことができる。
【0034】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態における流し台シンク一体型生ごみ処理機の内容器断面図と斜視図、図5は、同内容器の取付け部の断面図である。なお、上記実施の形態1における流し台シンク一体型生ごみ処理機と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
本実施の形態における流し台シンク一体型生ごみ処理機は、図4、5に示すように、内容器13の上部に設けた開口部6を、シンク4の小スペース部への収納配慮と、ごみ投入での使用性を確保するため、開口寸法□150mm×100mmの角型断面に形成し、さらに一日分のごみ処理容量を確保するため下方に延長した縦長構成としている。さらに、内容器13を、上部を角柱形状の角柱体51とし、傾斜部50を経て、略円筒形状の下部円筒体54で構成したものであり、特に、下部円筒体54の高さを、内容器13の下部に設けられた攪拌刃16の高さと略同一以上に設定している。また、本実施の形態では、加熱手段である発熱ヒータ30を、下部円筒体54に設けている。
【0036】
以上のように構成された本実施の形態における流し台シンク一体型生ごみ処理機の動作と作用は、以下の通りである。
【0037】
内容器13の下部の下部円筒体54を円筒状に形成することにより、攪拌作用の受けない角部の排除により生ごみのこびりつき防止が図られると共に、攪拌効率の改善による乾燥性能の向上が得られる。また、下部円筒体54の高さを、攪拌刃16と同一以上の高さにすることにより、確実な生ごみのこびりつき対策が実現する。
【0038】
また、傾斜部50と下方に発熱ヒータ30を設けることにより、形状変化部に生じる段差部の排除で投入された生ごみの落下移動が引っかかりなくスムーズに行え、また、攪拌範囲をすべて下部円筒体54に構成し、発熱ヒータ30を設けるため、攪拌効率の向上ならびに、加熱作用の向上により乾燥性能の向上が得られるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる流し台シンク一体型生ごみ処理機は、加熱手段の配置及び内容器形状の改善により、乾燥性能向上が可能となるので、小型高速乾燥処理機等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態における流し台シンク一体型生ごみ処理機の外観斜視図、(b)同流し台シンク一体型生ごみ処理機の要部斜視図
【図2】同流し台シンク一体型生ごみ処理機の要部断面図
【図3】同流し台シンク一体型生ごみ処理機の内容器の取り付け部の断面図
【図4】(a)本発明の第2の実施の形態における流し台シンク一体型生ごみ処理機の内容器の断面図、(b)同内容器の斜視図
【図5】同内容器の取付け部の断面図
【図6】(a)従来の流し台シンク一体型生ごみ処理機の外観斜視図、(b)同流し台シンク一体型生ごみ処理機の要部斜視図
【図7】(a)同流し台シンク一体型生ごみ処理機の要部断面図、(b)同流し台シンク一体型生ごみ処理機の内容器の斜視図
【符号の説明】
【0041】
1 流し台
2 排水口
3 蛇口
4 シンク
5 天面
6 開口部
7 投入口蓋
8 回動軸
9 生ごみ処理機
10 外容器
11 フランジ部
12 淵部
13 内容器
14 回動軸
15 連結軸
16 攪拌刃(攪拌手段)
17 回転軸
18 連結部
20 温風発生手段
21 脱臭排気手段
22 駆動モーター
23 締結部
30 発熱ヒータ(加熱手段)
33 送風パイプ
34 連通穴部
35 凝縮装置
36 脱臭触媒
37 経路
39 磁石スイッチ
50 傾斜部
51 低段差部
51 角柱体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクを有する流し台と、前記流し台に一体的に組み込まれた生ごみ処理機から構成された流し台シンク一体型生ごみ処理機において、前記シンクの後方天面に配設されると共に、生ごみを収納し、乾燥処理する内容器を備え、前記内容器の開口部を含む上部を角柱形状とし、その下部を円筒形状に形成した流し台シンク一体型生ごみ処理機。
【請求項2】
内容器の上方から温風を供給する温風発生手段と、内容器の下方を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の流し台シンク一体型生ごみ処理機。
【請求項3】
内容器下部の円筒形状部に加熱手段を設けた請求項2に記載の流し台シンク一体型生ごみ処理機。
【請求項4】
内容器の底部に投入された生ごみを攪拌する攪拌手段を設け、前記内容器の円筒形状部の高さを、前記攪拌手段の高さと略同じ若しくはそれ以上に設定した請求項1〜3のいずれか1項に記載の流し台シンク一体型生ごみ処理機。
【請求項5】
内容器上部の角柱形状部と下部の円筒形状部との境界部に、形状変化を序変させるための傾斜部を設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の流し台シンク一体型生ごみ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−142673(P2010−142673A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319240(P2008−319240)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】