流体の通孔を備えた連結管の構成
【課題】大径で長尺（長深度）の既設杭等の地中埋設物の引抜きを容易に行うためのケーシングを提供する。
【解決手段】 複数本の単体ケーシング１aを連結して長尺のケーシングを構成したものであり、各単体ケーシング1aの両端に雌6b又は雄ねじ6aを螺設して、単体ケーシング相互を雌雄ねじの螺合で連結して、各単体ケーシング1aの両端に円周溝7を切設して、単体管相互を螺合連結したときに両単体ケーシングの円周溝7が円周孔8を形成することにより、各単体ケーシング相互の単位通孔2が各円周孔8を介して相互に連通するように備えた連結管の構成によって課題を解決した。
【解決手段】 複数本の単体ケーシング１aを連結して長尺のケーシングを構成したものであり、各単体ケーシング1aの両端に雌6b又は雄ねじ6aを螺設して、単体ケーシング相互を雌雄ねじの螺合で連結して、各単体ケーシング1aの両端に円周溝7を切設して、単体管相互を螺合連結したときに両単体ケーシングの円周溝7が円周孔8を形成することにより、各単体ケーシング相互の単位通孔2が各円周孔8を介して相互に連通するように備えた連結管の構成によって課題を解決した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、流体の通孔を備えた連結管の構成に係り、例えば、各種建造物の建築、構築に先立って行う地盤整備において、コンクリート杭、鋼製杭、コアーその他の地中深く埋設されたまた残存している地中埋設物の周囲を、大径の単体管を連結して設けた長尺のケーシングの回転推進により削孔して、該地中埋設物と周囲の地盤を縁切りすることによって地上へ引抜き除去する、地中埋設物引抜き工法に使用するケーシングであり、また、該ケーシングの管の肉厚部内に流体の通孔を連通して貫設したことを特徴とするものであり、
【０００２】
該ケーシングにより地中埋設物の周囲を削孔するときに、通孔に通した泥土水等をケーシングの先端から掘削地盤に吐出することによってケーシングの内外周面にギャップを形成して、ケーシングの回転推進の摩擦抵抗を減少すると共に周囲の地盤と効率的に縁切りして、もって、ケーシングによる極めて長尺の削孔を容易に行い得るようにすると共に地中埋設物の引抜きを容易に行い得るようにしたことを特徴とする、流体の通孔を備えたケーシング等の連結管を提供するものである。
【０００３】
更に、単体管を連結してケーシング等の長尺管を設けるにつき、単体管相互の連結を雌雄ねじの螺合手段によって連結するように備えて、ケーシング等の長尺管を外部周面にフランジ、厚肉膨出部等の突出部が無い面一でストレートな形状にして、ケーシング等の回転推進の摩擦抵抗を減少すると共にケーシング等の引抜き回収を容易に行い得るようにしたことを特徴とする、ケーシング等の連結管を提供するものである。
【背景技術】
【０００４】
現在、最も大きな課題とされている、コンクリート杭、鋼製杭等の既設杭、コアー等の大径長尺な地中埋設物を大径長尺のケーシングの回転推進により地上へ引抜き除去する工法の場合、
ケーシングの回転推進削孔時に、ケーシングと地盤との回転推進接触摩擦抵抗が極めて大なため、従来の工法では、ある程度以上の長さ（地盤深さ）及び径の既設杭等は削孔及び引抜きが困難であり、また、出来た場合でも大掛かりな設備と時間を要するなど、能力、経費に限界があった。
【０００５】
よって、当然、本発明が目的としている、例えば、径７００ｍｍ〜１０００ｍｍ、長さ（地盤の深さ）４０ｍ以上の既設杭の削孔及び引抜きを、径１０００ｍｍ〜１５００ｍｍ、長さ１０ｍの単体ケーシングを複数本連結した極めて長尺大径なケーシングをもって行うようなことは到底不可能であった。
【０００６】
また、ケーシングによる削孔時にケーシング下端の削孔用チップ付近に給水して削孔することは従来も行われていたが、これは単に削孔の進行と共に給水管等でケーシングの内外に給水するだけであったため、削孔の深度が例えば２０ｍを越すようになると通常手段では有効に給水することができなくなり、それが削孔及び引抜きの深度の技術的限界の一因となるため、給水など流体の効果的な供給手段が課題となっていた。
【０００７】
更に、削孔の進行と共に複数本の単体ケーシングを連結して大径長尺のケーシングを形成していく場合、従来は単体ケーシング相互の連結部の周面に必ずフランジ、厚肉膨出部等の突出部１３が有ったため、その出っ張りがケーシングの回転削進及び引抜き時に地盤との大な接触摩擦抵抗となって、特に大口径長尺のケーシング(例、直径１０００〜１５００ｍｍ、長さ３０ｍ〜５０ｍ)の回転推進による高深度の掘削を阻害する一因となっていた。(図７を参照)
【特許文献１】特開２００１−３４８８７０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
上記の如く、従来の引抜き工法では、大径のケーシングを用いて大径で長尺（長深度）の既設杭等の引抜きを行うことが、主として削孔推進時及び引抜き時における地盤との摩擦抵抗が長さ（深さ）が増すに従って極めて大になるため、ある限度以上全く不可能とされていた課題を、本発明の流体の通孔を備えた連結管、即ち本発明構成の長尺で大径なケーシングによって有効に解決したものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
即ち、本発明は、複数本の単体管を連結して長尺管を構成すると共に、該長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を備えたものであり、
該長尺管の通孔は、各単体管の一方端から他方端の肉厚部内に単位通孔を貫通形成し、連結する単体管相互の単位通孔を流体の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
【００１０】
各単体管の両端の開口部の端面円周に円周溝を切設すると共に該円周溝内に単位通孔端を開口して備え、単体管相互を連結したときに両単体管の円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、各単体管相互の単位通孔が各円周孔を介して相互に連通するように備え、もって、長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を連通して備えるようにしたものである、流体の通孔を備えた連結管の構成によって課題を解決したものである。
【発明の効果】
【００１１】
単位通孔を貫通形成した複数本の単体管例えば単体ケーシングを連結して、一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を備えた長尺の連結管例えばケーシングを構成するようにしたので、該ケーシングの肉厚部内に流体を通し先頭ケーシングの先端から掘削位置(部)に流体を確実に流出供給することが可能となり、よって、ケーシングの回転推進掘削及び引抜き作業の効率を格段に向上し得る多大の効果がある。
【００１２】
従来は単体管例えば単体ケーシング相互の連結部の周面に必ずフランジ、厚肉膨出部等の突出部が有ったため、その出っ張りがケーシングの回転削進及び引抜き時に地盤との大な接触摩擦抵抗となって、特に大口径長尺のケーシングの回転推進による高深度の掘削を阻害する一因となっていたが、
その点、本発明は単体管例えば単体ケーシング相互の連結を雌雄ねじの螺合手段によって連結するように備えて、ケーシングの外部周面にフランジ、厚肉膨出部等の突出部が無い面一でストレートな形状に形成したので、ケーシングの回転推進の摩擦抵抗を減少すると共にケーシングの引抜き回収を容易に行い得る優れた効果がある。
【００１３】
通常、単体管例えば単体ケーシングを複数本を螺合連結する場合、両単体ケーシングの通孔が正確に合致連通するように螺合連結することは極めて国難であるが、
その点、本発明は単体管例えば単体ケーシングのねじを螺設した両端開口部の端面円周に円周溝を切設すると共に通孔両端を該円周溝に開口して備え、単体ケーシング相互を螺合連結したときに両単体ケーシングの円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、両単体ケーシングの通孔が該円周孔を介して連通するように備えたので、両単体ケーシングの通孔を極めて簡単かつ確実に合致連通することが出来る優れた特徴がある。
【実施例】
【００１４】
図２〜図６を参照。
図２は単体管の実施例である単体ケーシングの正面図、及び平面図、図３は実施例単体ケーシングの両端部の一部切断拡大正面図、図４は図３の平面図、図５は実施例単体ケーシング相互を雌雄ねじの螺合で連結した連結部分の一部切断拡大正面図、図６は複数本の実施例単体ケーシングを連結構成した実施例ケーシングの一部の正面図である。
【００１５】
本発明の実施例ケーシング１、即ち、単位通孔２ａを貫通形成した複数本の単体管１ａ例えば単体ケーシング１ａを連結して、一方端から他方端まで流体の流路となる通孔２を備えた長尺の連結管１例えばケーシング１を構成した実施例につき説明する。
【００１６】
地盤３中に埋設されたコンクリート既設杭４等の地中埋設物４の周囲を、大径管の下端円周に削孔用チップを備えたケーシング１を回転推進してその全長に亙り削孔して、地中埋設物４と地盤３の縁を切ったのち、該地中埋設物４をクレーン等で引抜き、またケーシング１を引抜き回収するようにした、地中埋設物４の引抜きに使用するケーシング１であり、
【００１７】
複数本の単体ケーシング１ａを連結して長尺のケーシング１を構成すると共に、該ケーシング１の上端から先端まで泥土水等の流路となる通孔２を備えたものであり、
該ケーシング１の通孔２は、各単体ケーシング１ａの上端から下端の肉厚部５内に単位通孔２ａを貫通形成し、連結する単体ケーシング１ａ、１ａ相互の単位通孔２ａ、２ａを泥土水等の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
【００１８】
各単体ケーシング１ａの両端の開口部に雌ねじ６ｂ又は雄ねじ６ａを螺設して、単体ケーシング１ａ、１ａ相互を雌雄ねじ６ａ、６ｂの螺合で連結して、連結部の外周面が面一なストレートになるように備えると共に、各単体ケーシング１ａの両端の開口部の端面円周に円周溝７を切設して該円周溝７内に単位通孔２ａ端を開口して備え、単体ケーシング１ａ、１ａ相互を螺合連結したときに両単体ケーシング１ａ、１ａの円周溝７、７が対面密着して円周孔８を形成することにより、各単体ケーシング１ａ、１ａ相互の単位通孔２ａ、２ａが各円周孔８を介して相互に連通するように備え、もって、ケーシング１の上端から先端まで泥土水等の流路となる通孔２を連通して備えるようにして、流体の通孔を備えた連結管１即ちケーシング１を構成したものである。
【００１９】
連結管１の通孔２に通す流体９は、液体、気体等任意であり、気体は主としてエアー、であり、液体は水、泥土水、各種掘削・研削用配合液、油、各種掘削・研削用配合油等任意であるが、
実施例において、地中埋設物の引抜きの場合に通孔に通す泥土水９等は、水と掘削土壌から砂、砂利、異物等を除去した粒子の小な土を混合したもの、若しくはベントナイト等の粘土その他を混合したものなどである。
【００２０】
図１を参照。
図１は本発明実施例 ケーシング１(単体ケーシング１ａ・径９００ｍｍ、長さ１０ｍ)を用いて、地表から地盤中４０ｍに略垂直に埋設された径７００ｍｍ、長さ約４０ｍの巨大コンクリート既設杭４(１本のＨ形鋼を溶接して筋材とした)の引抜き処理した実施例の説明図である。
【００２１】
削孔機１０でケーシング１を回転推進駆動し、同時に沈澱池１１の泥土水９をウォーターポンプ１２でケーシング１の通孔２を通して圧送してケーシング１の先端から吐出し、削孔継続の間、常時、ケーシング１の先端→ケーシング１の内・外周面と地盤３、３間→地表→沈澱池１１→ウォーターポンプ１２の順に循環送給し、
【００２２】
設定長の削孔後、削孔機１０をケーシング１から取り外し、既設杭４をクレーン等で引抜くが、長尺の既設杭４は地上側に引抜いた（例、１０ｍ）時点で切断除去し、再び既設杭４をクレーン等で引抜き切断除去することを繰返して、全部の引抜きを完了した後、既設杭４を引抜いた跡孔を貧配合モルタル、砂、土等で埋め戻し、最後にケーシング１を引抜いて、工事を完了するものである。
【００２３】
而して、従来の工法によると３０〜４０時間を要した上記の工事を、本発明ケーシングを用いた実施例によって僅か４〜５時間で完了することが出来たものである。
【産業上の利用可能性】
【００２４】
本発明に係る流体の通孔を備えた連結管の構成は、上記実施例の地中埋設物引抜き工法に使用するケーシング等の他、上下水道、ガス、電気通信線用等の地中管や、その埋設工事に使用するパイロット管、ガイド管、鞘管等の土木建築用に限らず、単体管を連結構成した比較的大径の長尺管であって、その管体の肉厚部内に流体の通孔を連通した構成のものであれば、その用途を限定することなく広く汎用し得るものである。
【００２５】
従って、実施する管の材質も金属、コンクリート、プラスチック等任意である。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】本発明実施例ケーシングを用いた既設杭の引抜きの説明図。
【図２】単体管の実施例である単体ケーシングの正面図、及び平面図。
【図３】実施例単体ケーシングの両端部の一部切断拡大正面図。
【図４】図３の平面図。
【図５】実施例単体ケーシング相互を雌雄ねじの螺合で連結した連結部分の一部切断拡大正面図。
【図６】複数本の実施例単体ケーシングを連結構成した実施例ケーシングの一部の正面図。
【図７】従来の複数本の単体管を連結構成した従来のケーシングの一部の正面図。
【符号の説明】
【００２７】
１ 連結管、ケーシング
１ａ 単体管、単体ケーシング
２ 通孔
２ａ 単位通孔
３ 地盤
４ 地中埋設物、既設杭等
５ 肉厚部
６ａ 雄ねじ
６ｂ 雌ねじ
７ 円周溝
８ 円周孔
９ 流体、泥土水
１０ 削孔機
１１ 沈澱池（若しくは沈殿槽）
１２ ウォーターポンプ
１３ 突出部(従来)
【技術分野】
【０００１】
本発明は、流体の通孔を備えた連結管の構成に係り、例えば、各種建造物の建築、構築に先立って行う地盤整備において、コンクリート杭、鋼製杭、コアーその他の地中深く埋設されたまた残存している地中埋設物の周囲を、大径の単体管を連結して設けた長尺のケーシングの回転推進により削孔して、該地中埋設物と周囲の地盤を縁切りすることによって地上へ引抜き除去する、地中埋設物引抜き工法に使用するケーシングであり、また、該ケーシングの管の肉厚部内に流体の通孔を連通して貫設したことを特徴とするものであり、
【０００２】
該ケーシングにより地中埋設物の周囲を削孔するときに、通孔に通した泥土水等をケーシングの先端から掘削地盤に吐出することによってケーシングの内外周面にギャップを形成して、ケーシングの回転推進の摩擦抵抗を減少すると共に周囲の地盤と効率的に縁切りして、もって、ケーシングによる極めて長尺の削孔を容易に行い得るようにすると共に地中埋設物の引抜きを容易に行い得るようにしたことを特徴とする、流体の通孔を備えたケーシング等の連結管を提供するものである。
【０００３】
更に、単体管を連結してケーシング等の長尺管を設けるにつき、単体管相互の連結を雌雄ねじの螺合手段によって連結するように備えて、ケーシング等の長尺管を外部周面にフランジ、厚肉膨出部等の突出部が無い面一でストレートな形状にして、ケーシング等の回転推進の摩擦抵抗を減少すると共にケーシング等の引抜き回収を容易に行い得るようにしたことを特徴とする、ケーシング等の連結管を提供するものである。
【背景技術】
【０００４】
現在、最も大きな課題とされている、コンクリート杭、鋼製杭等の既設杭、コアー等の大径長尺な地中埋設物を大径長尺のケーシングの回転推進により地上へ引抜き除去する工法の場合、
ケーシングの回転推進削孔時に、ケーシングと地盤との回転推進接触摩擦抵抗が極めて大なため、従来の工法では、ある程度以上の長さ（地盤深さ）及び径の既設杭等は削孔及び引抜きが困難であり、また、出来た場合でも大掛かりな設備と時間を要するなど、能力、経費に限界があった。
【０００５】
よって、当然、本発明が目的としている、例えば、径７００ｍｍ〜１０００ｍｍ、長さ（地盤の深さ）４０ｍ以上の既設杭の削孔及び引抜きを、径１０００ｍｍ〜１５００ｍｍ、長さ１０ｍの単体ケーシングを複数本連結した極めて長尺大径なケーシングをもって行うようなことは到底不可能であった。
【０００６】
また、ケーシングによる削孔時にケーシング下端の削孔用チップ付近に給水して削孔することは従来も行われていたが、これは単に削孔の進行と共に給水管等でケーシングの内外に給水するだけであったため、削孔の深度が例えば２０ｍを越すようになると通常手段では有効に給水することができなくなり、それが削孔及び引抜きの深度の技術的限界の一因となるため、給水など流体の効果的な供給手段が課題となっていた。
【０００７】
更に、削孔の進行と共に複数本の単体ケーシングを連結して大径長尺のケーシングを形成していく場合、従来は単体ケーシング相互の連結部の周面に必ずフランジ、厚肉膨出部等の突出部１３が有ったため、その出っ張りがケーシングの回転削進及び引抜き時に地盤との大な接触摩擦抵抗となって、特に大口径長尺のケーシング(例、直径１０００〜１５００ｍｍ、長さ３０ｍ〜５０ｍ)の回転推進による高深度の掘削を阻害する一因となっていた。(図７を参照)
【特許文献１】特開２００１−３４８８７０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
上記の如く、従来の引抜き工法では、大径のケーシングを用いて大径で長尺（長深度）の既設杭等の引抜きを行うことが、主として削孔推進時及び引抜き時における地盤との摩擦抵抗が長さ（深さ）が増すに従って極めて大になるため、ある限度以上全く不可能とされていた課題を、本発明の流体の通孔を備えた連結管、即ち本発明構成の長尺で大径なケーシングによって有効に解決したものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
即ち、本発明は、複数本の単体管を連結して長尺管を構成すると共に、該長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を備えたものであり、
該長尺管の通孔は、各単体管の一方端から他方端の肉厚部内に単位通孔を貫通形成し、連結する単体管相互の単位通孔を流体の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
【００１０】
各単体管の両端の開口部の端面円周に円周溝を切設すると共に該円周溝内に単位通孔端を開口して備え、単体管相互を連結したときに両単体管の円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、各単体管相互の単位通孔が各円周孔を介して相互に連通するように備え、もって、長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を連通して備えるようにしたものである、流体の通孔を備えた連結管の構成によって課題を解決したものである。
【発明の効果】
【００１１】
単位通孔を貫通形成した複数本の単体管例えば単体ケーシングを連結して、一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を備えた長尺の連結管例えばケーシングを構成するようにしたので、該ケーシングの肉厚部内に流体を通し先頭ケーシングの先端から掘削位置(部)に流体を確実に流出供給することが可能となり、よって、ケーシングの回転推進掘削及び引抜き作業の効率を格段に向上し得る多大の効果がある。
【００１２】
従来は単体管例えば単体ケーシング相互の連結部の周面に必ずフランジ、厚肉膨出部等の突出部が有ったため、その出っ張りがケーシングの回転削進及び引抜き時に地盤との大な接触摩擦抵抗となって、特に大口径長尺のケーシングの回転推進による高深度の掘削を阻害する一因となっていたが、
その点、本発明は単体管例えば単体ケーシング相互の連結を雌雄ねじの螺合手段によって連結するように備えて、ケーシングの外部周面にフランジ、厚肉膨出部等の突出部が無い面一でストレートな形状に形成したので、ケーシングの回転推進の摩擦抵抗を減少すると共にケーシングの引抜き回収を容易に行い得る優れた効果がある。
【００１３】
通常、単体管例えば単体ケーシングを複数本を螺合連結する場合、両単体ケーシングの通孔が正確に合致連通するように螺合連結することは極めて国難であるが、
その点、本発明は単体管例えば単体ケーシングのねじを螺設した両端開口部の端面円周に円周溝を切設すると共に通孔両端を該円周溝に開口して備え、単体ケーシング相互を螺合連結したときに両単体ケーシングの円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、両単体ケーシングの通孔が該円周孔を介して連通するように備えたので、両単体ケーシングの通孔を極めて簡単かつ確実に合致連通することが出来る優れた特徴がある。
【実施例】
【００１４】
図２〜図６を参照。
図２は単体管の実施例である単体ケーシングの正面図、及び平面図、図３は実施例単体ケーシングの両端部の一部切断拡大正面図、図４は図３の平面図、図５は実施例単体ケーシング相互を雌雄ねじの螺合で連結した連結部分の一部切断拡大正面図、図６は複数本の実施例単体ケーシングを連結構成した実施例ケーシングの一部の正面図である。
【００１５】
本発明の実施例ケーシング１、即ち、単位通孔２ａを貫通形成した複数本の単体管１ａ例えば単体ケーシング１ａを連結して、一方端から他方端まで流体の流路となる通孔２を備えた長尺の連結管１例えばケーシング１を構成した実施例につき説明する。
【００１６】
地盤３中に埋設されたコンクリート既設杭４等の地中埋設物４の周囲を、大径管の下端円周に削孔用チップを備えたケーシング１を回転推進してその全長に亙り削孔して、地中埋設物４と地盤３の縁を切ったのち、該地中埋設物４をクレーン等で引抜き、またケーシング１を引抜き回収するようにした、地中埋設物４の引抜きに使用するケーシング１であり、
【００１７】
複数本の単体ケーシング１ａを連結して長尺のケーシング１を構成すると共に、該ケーシング１の上端から先端まで泥土水等の流路となる通孔２を備えたものであり、
該ケーシング１の通孔２は、各単体ケーシング１ａの上端から下端の肉厚部５内に単位通孔２ａを貫通形成し、連結する単体ケーシング１ａ、１ａ相互の単位通孔２ａ、２ａを泥土水等の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
【００１８】
各単体ケーシング１ａの両端の開口部に雌ねじ６ｂ又は雄ねじ６ａを螺設して、単体ケーシング１ａ、１ａ相互を雌雄ねじ６ａ、６ｂの螺合で連結して、連結部の外周面が面一なストレートになるように備えると共に、各単体ケーシング１ａの両端の開口部の端面円周に円周溝７を切設して該円周溝７内に単位通孔２ａ端を開口して備え、単体ケーシング１ａ、１ａ相互を螺合連結したときに両単体ケーシング１ａ、１ａの円周溝７、７が対面密着して円周孔８を形成することにより、各単体ケーシング１ａ、１ａ相互の単位通孔２ａ、２ａが各円周孔８を介して相互に連通するように備え、もって、ケーシング１の上端から先端まで泥土水等の流路となる通孔２を連通して備えるようにして、流体の通孔を備えた連結管１即ちケーシング１を構成したものである。
【００１９】
連結管１の通孔２に通す流体９は、液体、気体等任意であり、気体は主としてエアー、であり、液体は水、泥土水、各種掘削・研削用配合液、油、各種掘削・研削用配合油等任意であるが、
実施例において、地中埋設物の引抜きの場合に通孔に通す泥土水９等は、水と掘削土壌から砂、砂利、異物等を除去した粒子の小な土を混合したもの、若しくはベントナイト等の粘土その他を混合したものなどである。
【００２０】
図１を参照。
図１は本発明実施例 ケーシング１(単体ケーシング１ａ・径９００ｍｍ、長さ１０ｍ)を用いて、地表から地盤中４０ｍに略垂直に埋設された径７００ｍｍ、長さ約４０ｍの巨大コンクリート既設杭４(１本のＨ形鋼を溶接して筋材とした)の引抜き処理した実施例の説明図である。
【００２１】
削孔機１０でケーシング１を回転推進駆動し、同時に沈澱池１１の泥土水９をウォーターポンプ１２でケーシング１の通孔２を通して圧送してケーシング１の先端から吐出し、削孔継続の間、常時、ケーシング１の先端→ケーシング１の内・外周面と地盤３、３間→地表→沈澱池１１→ウォーターポンプ１２の順に循環送給し、
【００２２】
設定長の削孔後、削孔機１０をケーシング１から取り外し、既設杭４をクレーン等で引抜くが、長尺の既設杭４は地上側に引抜いた（例、１０ｍ）時点で切断除去し、再び既設杭４をクレーン等で引抜き切断除去することを繰返して、全部の引抜きを完了した後、既設杭４を引抜いた跡孔を貧配合モルタル、砂、土等で埋め戻し、最後にケーシング１を引抜いて、工事を完了するものである。
【００２３】
而して、従来の工法によると３０〜４０時間を要した上記の工事を、本発明ケーシングを用いた実施例によって僅か４〜５時間で完了することが出来たものである。
【産業上の利用可能性】
【００２４】
本発明に係る流体の通孔を備えた連結管の構成は、上記実施例の地中埋設物引抜き工法に使用するケーシング等の他、上下水道、ガス、電気通信線用等の地中管や、その埋設工事に使用するパイロット管、ガイド管、鞘管等の土木建築用に限らず、単体管を連結構成した比較的大径の長尺管であって、その管体の肉厚部内に流体の通孔を連通した構成のものであれば、その用途を限定することなく広く汎用し得るものである。
【００２５】
従って、実施する管の材質も金属、コンクリート、プラスチック等任意である。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】本発明実施例ケーシングを用いた既設杭の引抜きの説明図。
【図２】単体管の実施例である単体ケーシングの正面図、及び平面図。
【図３】実施例単体ケーシングの両端部の一部切断拡大正面図。
【図４】図３の平面図。
【図５】実施例単体ケーシング相互を雌雄ねじの螺合で連結した連結部分の一部切断拡大正面図。
【図６】複数本の実施例単体ケーシングを連結構成した実施例ケーシングの一部の正面図。
【図７】従来の複数本の単体管を連結構成した従来のケーシングの一部の正面図。
【符号の説明】
【００２７】
１ 連結管、ケーシング
１ａ 単体管、単体ケーシング
２ 通孔
２ａ 単位通孔
３ 地盤
４ 地中埋設物、既設杭等
５ 肉厚部
６ａ 雄ねじ
６ｂ 雌ねじ
７ 円周溝
８ 円周孔
９ 流体、泥土水
１０ 削孔機
１１ 沈澱池（若しくは沈殿槽）
１２ ウォーターポンプ
１３ 突出部(従来)
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数本の単体管を連結して長尺管を構成すると共に、該長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を備えたものであり、
該長尺管の通孔は、各単体管の一方端から他方端の肉厚部内に単位通孔を貫通形成し、連結する単体管相互の単位通孔を流体の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
各単体管の両端の開口部の端面円周に円周溝を切設すると共に該円周溝内に単位通孔端を開口して備え、単体管相互を連結したときに両単体管の円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、各単体管相互の単位通孔が各円周孔を介して相互に連通するように備え、もって、長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を連通して備えるようにしたものである、
流体の通孔を備えた連結管の構成。
【請求項２】
複数本の単体管を連結して長尺管を構成すると共に、該長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を備えたものであり、
該長尺管の通孔は、各単体管の一方端から他方端の肉厚部内に単位通孔を貫通形成し、連結する単体管相互の単位通孔を流体の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
各単体管の一方端の開口部の外周面に雌ねじ、他方端の開口部の内周面に雄ねじを螺設して、単体管相互を雌雄ねじの螺合で連結して、連結部の外周面が面一なストレートになるように備えると共に、各単体管の両端の開口部の端面円周に円周溝を切設して該円周溝内に単位通孔端を開口して備え、単体管相互を螺合連結したときに両単体管の円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、各単体管相互の単位通孔が各円周孔を介して相互に連通するように備え、もって、長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を連通して備えるようにしたものである、
請求項１記載の流体の通孔を備えた連結管の構成。
【請求項３】
地盤中に埋設された既設杭等の地中埋設物の周囲を、大径管の下端円周に削孔用チップを備えたケーシングを回転推進してその全長に亙り削孔して、地中埋設物と地盤の縁を切ったのち、該地中埋設物をクレーン等で引抜き、またケーシングを引抜き回収するようにした、地中埋設物の引抜きに使用するケーシングであり、
複数本の単体ケーシングを連結して長尺のケーシングを構成すると共に、該ケーシングの上端から先端まで泥土水等の流路となる通孔を備えたものであり、
該ケーシングの通孔は、各単体ケーシングの上端から下端の肉厚部内に単位通孔を貫通形成し、連結する単体ケーシング相互の単位通孔を泥土水等の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
各単体ケーシングの両端の開口部に雌又は雄ねじを螺設して、単体ケーシング相互を雌雄ねじの螺合で連結して、連結部の外周面が面一なストレートになるように備えると共に、各単体ケーシングの両端の開口部の端面円周に円周溝を切設して該円周溝内に単位通孔端を開口して備え、単体ケーシング相互を螺合連結したときに両単体ケーシングの円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、各単体ケーシング相互の単位通孔が各円周孔を介して相互に連通するように備え、もって、ケーシングの上端から先端まで泥土水等の流路となる通孔を連通して備えるようにしたものである、
請求項１記載の流体の通孔を備えた連結管の構成。
【請求項４】
長尺管の通孔に通す流体は、液体、気体等任意であり、液体は水、泥土水、各種掘削・研削用配合液、油、各種掘削・研削用配合油等任意であり、
また、地中埋設物の引抜きの場合に通孔に通す泥土水等は、水と掘削土壌から砂、砂利、異物等を除去した粒子の小な土を混合したもの、若しくはベントナイト等の粘土その他を混合したものなどである、
請求項１の流体の通孔を備えた連結管の構成。
【請求項１】
複数本の単体管を連結して長尺管を構成すると共に、該長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を備えたものであり、
該長尺管の通孔は、各単体管の一方端から他方端の肉厚部内に単位通孔を貫通形成し、連結する単体管相互の単位通孔を流体の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
各単体管の両端の開口部の端面円周に円周溝を切設すると共に該円周溝内に単位通孔端を開口して備え、単体管相互を連結したときに両単体管の円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、各単体管相互の単位通孔が各円周孔を介して相互に連通するように備え、もって、長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を連通して備えるようにしたものである、
流体の通孔を備えた連結管の構成。
【請求項２】
複数本の単体管を連結して長尺管を構成すると共に、該長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を備えたものであり、
該長尺管の通孔は、各単体管の一方端から他方端の肉厚部内に単位通孔を貫通形成し、連結する単体管相互の単位通孔を流体の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
各単体管の一方端の開口部の外周面に雌ねじ、他方端の開口部の内周面に雄ねじを螺設して、単体管相互を雌雄ねじの螺合で連結して、連結部の外周面が面一なストレートになるように備えると共に、各単体管の両端の開口部の端面円周に円周溝を切設して該円周溝内に単位通孔端を開口して備え、単体管相互を螺合連結したときに両単体管の円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、各単体管相互の単位通孔が各円周孔を介して相互に連通するように備え、もって、長尺管の一方端から他方端まで流体の流路となる通孔を連通して備えるようにしたものである、
請求項１記載の流体の通孔を備えた連結管の構成。
【請求項３】
地盤中に埋設された既設杭等の地中埋設物の周囲を、大径管の下端円周に削孔用チップを備えたケーシングを回転推進してその全長に亙り削孔して、地中埋設物と地盤の縁を切ったのち、該地中埋設物をクレーン等で引抜き、またケーシングを引抜き回収するようにした、地中埋設物の引抜きに使用するケーシングであり、
複数本の単体ケーシングを連結して長尺のケーシングを構成すると共に、該ケーシングの上端から先端まで泥土水等の流路となる通孔を備えたものであり、
該ケーシングの通孔は、各単体ケーシングの上端から下端の肉厚部内に単位通孔を貫通形成し、連結する単体ケーシング相互の単位通孔を泥土水等の流路となるように連通して備えたことにより設けたものであり、
各単体ケーシングの両端の開口部に雌又は雄ねじを螺設して、単体ケーシング相互を雌雄ねじの螺合で連結して、連結部の外周面が面一なストレートになるように備えると共に、各単体ケーシングの両端の開口部の端面円周に円周溝を切設して該円周溝内に単位通孔端を開口して備え、単体ケーシング相互を螺合連結したときに両単体ケーシングの円周溝が対面密着して円周孔を形成することにより、各単体ケーシング相互の単位通孔が各円周孔を介して相互に連通するように備え、もって、ケーシングの上端から先端まで泥土水等の流路となる通孔を連通して備えるようにしたものである、
請求項１記載の流体の通孔を備えた連結管の構成。
【請求項４】
長尺管の通孔に通す流体は、液体、気体等任意であり、液体は水、泥土水、各種掘削・研削用配合液、油、各種掘削・研削用配合油等任意であり、
また、地中埋設物の引抜きの場合に通孔に通す泥土水等は、水と掘削土壌から砂、砂利、異物等を除去した粒子の小な土を混合したもの、若しくはベントナイト等の粘土その他を混合したものなどである、
請求項１の流体の通孔を備えた連結管の構成。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００６−１５２６４５（Ｐ２００６−１５２６４５Ａ）
【公開日】平成１８年６月１５日（２００６．６．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−３４３６４２（Ｐ２００４−３４３６４２）
【出願日】平成１６年１１月２９日（２００４．１１．２９）
【出願人】（３０４０５６５０１）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年６月１５日（２００６．６．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年１１月２９日（２００４．１１．２９）
【出願人】（３０４０５６５０１）
【Ｆターム（参考）】
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