説明

流体エネルギ回収装置

【課題】流体エネルギの伝達効率を向上することができる流体エネルギ回収装置を提供する。
【解決手段】入側開口部12aから出側開口部12bへ貫通する流路13を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシング12と、ケーシング12の流路13内に配置された複数の羽根部3を有する回転翼11と、回転翼11の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部3で受けることにより得られた回転翼11の回転エネルギを回収する回収部4と、ケーシング12に形成された流路13の入側開口部12a側から回転翼11側までに至る縦断面面積が回転翼11の羽根部3の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部14とを備え、回転翼11の流体が流れ込む側とケーシング12の側壁12cとの幅方向の間隔H1より、回転翼11の流体が流れ込む側の相反する側とケーシング12の側壁12dとの幅方向の間隔H2が広く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の溜まりを軽減して、流体エネルギを効率よく回収することができる流体エネルギ回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の流体エネルギ回収装置は、入水側開口部から排水側開口部へ向かって貫通する水路を有し、流れの生じている水中に水没させて用いるケーシング部材と、各回転軸とそれぞれ一体的に固定されかつケーシング部材の水路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、回転軸の一端部側に設けられた発電機と、ケーシング部材の入水側開口部に設けられ、その開口端の面積を下流側に向かって徐々に減少させるように形成された水流増速部とを備えたものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−177797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の流体エネルギ回収装置において、さらに効率よく流体を回転翼に送り込むためには、一対の回転翼間に至る仕切りを設ける必要がある。しかしながら、このように構成すると流体がケーシングの側壁と仕切りとの間に溜まり、流体の流れが阻害され流体エネルギの回収効率が低減するという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、流体の溜まりを低減して流体エネルギの回収効率を向上することができる流体エネルギ回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から回転翼側までに至る縦断面面積が回転翼の羽根部の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
回転翼の流体が流れ込む側とケーシングの側壁との幅方向の間隔より、回転翼の流体が流れ込む側の相反する側とケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成されているものである。
【0007】
また、この発明は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から回転翼側までに至る縦断面面積が回転翼の羽根部の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
流体の流れ込む側の相反する側のケーシングの側壁は、流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所に開口部を備えたものである。
【0008】
また、この発明は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から回転翼側までに至る縦断面面積が回転翼の羽根部の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
回転翼の流体が流れ込む側とケーシングの側壁との幅方向の間隔より、回転翼の流体が流れ込む側の相反する側とケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成され、
流体の流れ込む側の相反する側のケーシングの側壁は、流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所に開口部を備えたものである。
【0009】
また、この発明は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、
一対の回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から一対の回転翼側までに至る縦断面面積が一対の回転翼に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
各回転翼とケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、一対の回転翼間のケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成されているものである。
【0010】
また、この発明は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、
一対の回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から一対の回転翼側までに至る縦断面面積が一対の回転翼に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
各回転翼とケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、一対の回転翼間のケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成され、
ケーシングの側壁は、流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所にそれぞれ開口部を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の流体エネルギ回収装置は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から回転翼側までに至る縦断面面積が回転翼の羽根部の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
回転翼の流体が流れ込む側とケーシングの側壁との幅方向の間隔より、回転翼の流体が流れ込む側の相反する側とケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成されているので、ケーシング内の流体の溜まりを低減して、流体エネルギ伝達効率が向上する。
【0012】
また、この発明の流体エネルギ回収装置は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から回転翼側までに至る縦断面面積が回転翼の羽根部の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
流体の流れ込む側の相反する側のケーシングの側壁は、流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所に開口部を備えたので、ケーシング内の流体の溜まりを低減して、流体エネルギ伝達効率が向上する。
【0013】
また、この発明の流体エネルギ回収装置は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から回転翼側までに至る縦断面面積が回転翼の羽根部の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
回転翼の流体が流れ込む側とケーシングの側壁との幅方向の間隔より、回転翼の流体が流れ込む側の相反する側とケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成され、
流体の流れ込む側の相反する側のケーシングの側壁は、流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所に開口部を備えので、ケーシング内の流体の溜まりを低減して、流体エネルギ伝達効率が向上する。
【0014】
また、この発明の流体エネルギ回収装置は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、
一対の回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から一対の回転翼側までに至る縦断面面積が一対の回転翼に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
各回転翼とケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、一対の回転翼間のケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成されているので、一対のケーシング内の流体の溜まりを低減して、流体エネルギ伝達効率が向上する。
【0015】
また、この発明の流体エネルギ回収装置は、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、
ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、
一対の回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
ケーシングに形成された流路の入側開口部側から一対の回転翼側までに至る縦断面面積が一対の回転翼に向かって小さくなる流体案内部とを備え、
各回転翼とケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、一対の回転翼間のケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成され、
ケーシングの側壁は、流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所にそれぞれ開口部を備えたので、一対のケーシング内の流体の溜まりを低減して、流体エネルギ伝達効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1の流体エネルギ回収装置の構成を示す上面図である。
【図2】図1に示した流体エネルギ回収装置の構成を示す側面図および正面図である。
【図3】図1に示した流体エネルギ回収装置の回転翼の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1の他の流体エネルギ回収装置の構成を示す上面図である。
【図5】この発明の実施の形態2の流体エネルギ回収装置の構成を示す上面図である。
【図6】図5に示した流体エネルギ回収装置の構成を示す斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態2の他の流体エネルギ回収装置の構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1における流体エネルギ回収装置の構成を示す上面図、図2は図1に示した流体エネルギ回収装置の構成を示す側面図および正面図、図3は図1に示した流体エネルギ回収装置の回転翼の構成を示す図である。
【0018】
図において、入側開口部12aから出側開口部12bへ貫通する流路13を有し、流体中に流路13を浸漬させて用いるケーシング12と、ケーシング12の流路13内に配置された複数の羽根部3を有する回転翼11と、回転翼11の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部3で受けることにより得られた回転翼11の回転エネルギを回収する回収部4とを備えている。そして、ケーシング12には、流路13の入側開口部12a側から回転翼11側までに至る縦断面面積が回転翼11の羽根部3の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部14と、流体案内部14内を流路13の流体の流れる方向と同一方向で仕切るように配設された導流体板15とが形成されている。
【0019】
そして、回転翼11の回転は矢印Aの方向であり、回転翼11の羽根部3は、この方向の流体を受けることができる向きに半円形状が配設されている。尚、この形状はこれに限られることはなく、他の形状でも流体を受けることが可能である形状であればよく、本流体エネルギ回主装置が使用される流体の流れに応じて強度などで適宜決定されるものである。そして、回転翼11の羽根部3が流体の流れ込む側とケーシング12の側壁12cとの幅方向の間隔H1より、回転翼11の流体の流れ込む側の相反する側とケーシング12の側壁12dとの幅方向の間隔H2が広く形成されている。
【0020】
そして、回転翼11は図3に示すように構成されている。第1の中心点Xを中心として回動自在に形成され円板にて形成されている上部板体1と、上部板体1と平行にかつ第1の中心点Xと第2の中心点Yが対向位置となるように配設され第2の中心点Yを中心として回動自在に形成され、円板の中央部に開口部2aを有する下部板体2と、上部板体1に上端3aが下部板体2に下端3bがそれぞれ固着された羽根部3を上部板体1および下部板体2の周方向に等間隔にて複数個有している。羽根部3は流体を受けやすいように、横断面が半円形状にて形成されている。そして、各羽根部3はこの半円形状の凹部方向が周方向において同一方向となるように配設されている。
【0021】
上記のように構成された実施の形態1の流体エネルギ回収装置は、ケーシング12の流路13が河川などに浸漬される。そして、流体としての水が流路13を流れる。この際、ケーシング12の入側開口部12a側では、流体案内部14と導流体板15と間に水が流れる。この水は、流体案内部14が入側開口部12a側から回転翼11側までに至る縦断面面積が回転翼11の羽根部3の流体を受ける側に向かって小さくなるテーパ状にて形成されている。そして、回転翼11の羽根部3がそれぞれ水の流れを受けて回転するこれに伴い、上部板体1および下部板体2は第1および第2の中心点X、Yを中心に回転する。そして、この上部板体1の回転エネルギを回収部4にて回収して、発電等を行う。そして、ケーシング12の出側開口部12bから水は排出される。
【0022】
このように、ケーシング12内の水の流れは図1において矢印にて示すように、出側開口部12bから排出されるが、一部の水は回転翼11の羽根部3の回転によりそのままケーシング12内を移動して、ケーシング12の流体案内部14の流体の流れ込む側の相反する側の溜まり部分Zに至る場合がある。その際、溜まり部分Zに水が残存すると、回転翼11の回転に支障となる。しかしながら、本発明は、回転翼11の流体が流れ込む側とケーシング12の側壁12cとの幅方向の間隔H1より、回転翼11の流体が流れ込む側の相反する側とケーシング12の側壁12dとの幅方向の間隔H2が広く形成されている。よって、回転翼11の流体の流れ込む側とケーシング12の側壁12cとの間を流れることができる水の量より、回転翼11の流体の流れ込む側の相反する側とケーシング12の側壁12dとの間を流れることができる水の量の方が多い。このため、溜まり部分Zに至った水は、回転翼11の流体の流れ込む側の相反する側とケーシング12の側壁12dと間から排出されやすい。よって、溜まり部分Zに水が残存することによる回転翼11の回転に支障が生じることを防止することができる。
【0023】
また、ここでは1つの回転翼11を備える例を示したが、これに限られることはなく、例えば図4に示すように、一対の回転翼10、11をケーシング12内に備えた場合においても同様に構成することができる。図4において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。流体案内部140は、ケーシング12に形成された流路13の入側開口部12a側から一対の回転翼10、11側までに至る縦断面面積が一対の回転翼10、11に向かって小さくなるように形成されている。回転翼10は矢印Bの方向に回転するものである。そして、各回転翼10、11とケーシング12の側壁12c、12dとのそれぞれの幅方向の間隔H3、H4は、一対の回転翼10、11間のケーシング12の幅方向の半分位置Qからのそれぞれの幅方向の間隔H5、H6より広く形成されている。
【0024】
そして、導流体板150は、流体案内部140内を流路13の流体の流れる方向と同一方向で仕切るように配設されたものである。一対の導流体板150の間隔は、入側開口部12a側の間隔および一対の回転翼10、11側の間隔より入側開口部12aから一対の回転翼10、11までの間の間隔が広く流線形にて形成されている。また、導流体板150は、一対の回転翼10、11側の端部が一対の回転翼10、11間に至るように形成されている。
【0025】
よって、上記実施の形態1と同様に、水の流れは図4に示す矢印のようになる。そして、一対の回転翼10、11間を流れることができる水の量より、各回転翼10、11とケーシング12の側壁12e、12fとの間を流れることができる水の量の方が多い。このため、溜まり部分Zに至った水は、各回転翼10、11とケーシング12の側壁12e、12fと間から排出されやすい。よって、溜まり部分Zに水が残存することによる回転翼10、11の回転に支障が生じることを防止することができる。
【0026】
上記のように構成された実施の形態1の流体エネルギ回収装置によれば、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、ケーシングに形成された流路の入側開口部側から回転翼側までに至る縦断面面積が回転翼の羽根部の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部とを備え、回転翼の流体が流れ込む側とケーシングの側壁との幅方向の間隔より、回転翼の流体が流れ込む側の相反する側とケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成されており、または、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、一対の回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、ケーシングに形成された流路の入側開口部側から一対の回転翼側までに至る縦断面面積が一対の回転翼に向かって小さくなる流体案内部とを備え、各回転翼とケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、一対の回転翼間のケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成されているので、ケーシング内の流体の溜まりを低減して、流体エネルギ伝達効率が向上する。
【0027】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2における流体エネルギ回収装置の構成を示す上面図、図6は図5に示した流体エネルギ回収装置の構成を示す斜視図である。図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。流体の流れ込む側の相反する側のケーシングの側壁12dは、流体案内部14が形成されている箇所と対応する箇所に開口部120が形成されている。
【0028】
上記のように構成された実施の形態2の流体エネルギ回収装置は、ケーシング12の流路13が河川などに浸漬される。そして、流体としての水が流路13を流れる。この際、ケーシング12の入側開口部12a側では、流体案内部14と導流体板15と間に水が流れる。この水は、流体案内部14が入側開口部12a側から回転翼11側までに至る縦断面面積が回転翼11の羽根部3の流体を受ける側に向かって小さくなるテーパ状にて形成されている。そして、回転翼11の羽根部3がそれぞれ水の流れを受けて回転するこれに伴い、上部板体1および下部板体2は第1および第2の中心点X、Yを中心に回転する。そして、この上部板体1の回転エネルギを回収部4にて回収して、発電等を行う。そして、ケーシング12の出側開口部12bから水は排出される。
【0029】
このように、ケーシング12内の水の流れは図5において矢印にて示すように、出側開口部12bから排出されるが、一部の水は回転翼11の羽根部3の回転によりそのままケーシング12内を移動して、ケーシング12の流体案内部14の流れと反する側の溜まり部分Zに至る場合がある。その際、溜まり部分Zに水が残存すると、回転翼11の回転に支障となる。しかしながら、本発明は、回転翼11の流体が流れ込む側とケーシング12の側壁12cとの幅方向の間隔H1より、回転翼11の流体が流れ込む側の相反する側とケーシング12の側壁12dとの幅方向の間隔H2が広く形成されている。よって、回転翼11の流体の流れ込む側とケーシング12の側壁12cとの間を流れることができる水の量より、回転翼11の流体の流れ込む側の相反する側とケーシング12の側壁12dとの間を流れることができる水の量の方が多い。このため、溜まり部分Zに至った水は、回転翼11の流体の流れ込む側の相反する側とケーシング12の側壁12dと間から排出されやすい。さらに、本発明は、ケーシング12の側壁12dに開口部120が形成されているため、溜まり部分Zに至った水は、この開口部120からケーシング12外に排出される。よって、溜まり部分Zに水が残存することはほぼなくなり回転翼11の回転に支障が生じることをより一層防止することができる。
【0030】
また、ここでは1つの回転翼11を備える例を示したが、これに限られることはなく、例えば図7に示すように、一対の回転翼10、11をケーシング12内に備えた場合においても同様に構成することができる。図7において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。ケーシング12の側壁12e、12fは、流体案内部140が形成されている箇所と対応する箇所にそれぞれ開口部121、122が形成されている。
【0031】
よって、上記実施の形態2と同様に、水の流れは図7に示す矢印のようになる。そして、一対の回転翼10、11間を流れることができる水の量より、各回転翼10、11とケーシング12の側壁12e、12fとの間を流れることができる水の量の方が多い。このため、溜まり部分Zに至った水は、各回転翼10、11とケーシング12の側壁12e、12fと間から排出されやすい。さらに、本発明は、ケーシング12の側壁12e、12dに開口部121、122が形成されているため、溜まり部分Zに至った水は、この開口部121、121からケーシング12外に排出される。よって、溜まり部分Zに水が残存することはほぼなくなり回転翼10、11の回転に支障が生じることをより一層防止することができる。
【0032】
尚、各開口部120、121、122の形状はこれに限られることはなく、他の形状であっても、流体の排出を行うことが可能であれば同様の効果を奏するものであり、ケーシングの強度および流体の流れの強さなどにより、開口部の形状、および大きさなどは適宜設定するものである。
【0033】
上記のように構成された実施の形態2の流体エネルギ回収装置によれば、入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、ケーシングに形成された流路の入側開口部側から回転翼側までに至る縦断面面積が回転翼の羽根部の流体を受ける側に向かって小さくなる流体案内部とを備え、または、回転翼の流体が流れ込む側とケーシングの側壁との幅方向の間隔より、回転翼の流体が流れ込む側の相反する側とケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成され、または、流体の流れ込む側の相反する側のケーシングの側壁は、流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所に開口部を備え入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に流路を浸漬させて用いるケーシングと、ケーシングの流路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、一対の回転翼の上部側に設けられ流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、ケーシングに形成された流路の入側開口部側から一対の回転翼側までに至る縦断面面積が一対の回転翼に向かって小さくなる流体案内部とを備え、各回転翼とケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、一対の回転翼間のケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成され、ケーシングの側壁は、流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所にそれぞれ開口部を備えたので、ケーシング内の流体の溜まりを一層低減して、流体エネルギ伝達効率がより一層向上する。
【0034】
尚、上記実施の形態2においては、ケーシングの側壁に開口部を備え、かつ、回転翼の上記流体が流れ込む側とケーシングの側壁との幅方向の間隔より、回転翼の流体が流れ込む側の相反する側とケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成されている、または、各回転翼とケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、一対の回転翼間のケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成されているように、間隔を調整する例を示したがこれに限られることはなく、ケーシングの側壁に開口部のみを備えるようにしても開口部による流体の排出による効果を得ることはできるものである。
【0035】
また、上記各実施の形態においては、主軸を有しない回転翼を用いる例を示したが、これに限られることはなく、主軸を有する回転翼を用いても、導流体板により、流速の速度の減速を低減することができる。よって、流体の流量などに応じて適宜回転翼の形状は選択することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
3 羽根部、4 回収部、10,11 回転翼、12 ケーシング、
12a 入側開口部、12b 出側開口部、12c,12d,12e,12f 側壁、
13 流路、14,140 流体案内部、120,121,122 開口部、
H1,H2,H3,H4,H5,H6 間隔、Q 半分位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に上記流路を浸漬させて用いるケーシングと、
上記ケーシングの上記流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
上記回転翼の上部側に設けられ上記流体エネルギを上記羽根部で受けることにより得られた上記回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
上記ケーシングに形成された上記流路の上記入側開口部側から上記回転翼側までに至る縦断面面積が上記回転翼の上記羽根部の上記流体を受ける側に向かって小さくなる上記流体案内部とを備え、
上記回転翼の上記流体が流れ込む側と上記ケーシングの側壁との幅方向の間隔より、上記回転翼の上記流体が流れ込む側の相反する側と上記ケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成されていることを特徴とする上記流体エネルギ回収装置。
【請求項2】
入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に上記流路を浸漬させて用いるケーシングと、
上記ケーシングの上記流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
上記回転翼の上部側に設けられ上記流体エネルギを上記羽根部で受けることにより得られた上記回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
上記ケーシングに形成された上記流路の上記入側開口部側から上記回転翼側までに至る縦断面面積が上記回転翼の上記羽根部の上記流体を受ける側に向かって小さくなる上記流体案内部とを備え、
上記流体の流れ込む側の相反する側の上記ケーシングの側壁は、上記流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所に開口部を備えたことを特徴とする上記流体エネルギ回収装置。
【請求項3】
入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に上記流路を浸漬させて用いるケーシングと、
上記ケーシングの上記流路内に配置された複数の羽根部を有する回転翼と、
上記回転翼の上部側に設けられ上記流体エネルギを上記羽根部で受けることにより得られた上記回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
上記ケーシングに形成された上記流路の上記入側開口部側から上記回転翼側までに至る縦断面面積が上記回転翼の上記羽根部の上記流体を受ける側に向かって小さくなる上記流体案内部とを備え、
上記回転翼の上記流体が流れ込む側と上記ケーシングの側壁との幅方向の間隔より、上記回転翼の上記流体が流れ込む側の相反する側と上記ケーシングの側壁との幅方向の間隔が広く形成され、
上記流体の流れ込む側の相反する側の上記ケーシングの側壁は、上記流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所に開口部を備えたことを特徴とする上記流体エネルギ回収装置。
【請求項4】
入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に上記流路を浸漬させて用いるケーシングと、
上記ケーシングの上記流路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、
上記一対の回転翼の上部側に設けられ上記流体エネルギを上記羽根部で受けることにより得られた上記回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
上記ケーシングに形成された上記流路の上記入側開口部側から上記一対の回転翼側までに至る縦断面面積が上記一対の回転翼に向かって小さくなる上記流体案内部とを備え、
上記各回転翼と上記ケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、上記一対の回転翼間の上記ケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成されていることを特徴とする上記流体エネルギ回収装置。
【請求項5】
入側開口部から出側開口部へ貫通する流路を有し、流体中に上記流路を浸漬させて用いるケーシングと、
上記ケーシングの上記流路内に配置された複数の羽根部を有する一対の回転翼と、
上記一対の回転翼の上部側に設けられ上記流体エネルギを上記羽根部で受けることにより得られた上記回転翼の回転エネルギを回収する回収部と、
上記ケーシングに形成された上記流路の上記入側開口部側から上記一対の回転翼側までに至る縦断面面積が上記一対の回転翼に向かって小さくなる上記流体案内部とを備え、
上記各回転翼と上記ケーシングの側壁とのそれぞれの幅方向の間隔は、上記一対の回転翼間の上記ケーシングの幅方向の半分位置からのそれぞれの幅方向の間隔より広く形成され、
上記ケーシングの側壁は、上記流体案内部が形成されている箇所と対応する箇所にそれぞれ開口部を備えたことを特徴とする上記流体エネルギ回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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