説明

流体ディスペンサ

流体ディスペンサであって、流体を格納する貯蔵器(2)であって、外部の頂上エッジ(25)と内部の最下部エッジ(26)とを備えた開口(230)を有する前記貯蔵器(2)と、ポンプや弁といった投与部材(3)と、そして、開口(230)内に投与部材を固定するための固定手段と、を有し、特徴となるのは、タンパ防止手段(1)を更に有し、当該手段(1)は固定手段とは別個の構成であると共に、投与手段(3)に固定されており、そして、タンパ防止手段は、投与部材(3)を開口(230)から取り外す試みがあった場合には、内部エッジ(26)と接触状態になることである、という前記ディスペンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を格納する流体貯蔵器と、ポンプや弁などの投与部材とを有する流体ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵器は開口部を、通常はネックの形で有し、これは、外側に頂上エッジ、内側に最下部エッジを形作っている。ポンプまたは弁は開口部に固定されており、通常、外側の頂上エッジに受け止められる形で接するが、間にネックガスケットを置くことも可能である。そうしたポンプまたは弁は、手動で(例えば指を使って)駆動される種類のものである。こうしたディスペンサは、濃度の異なる各種流体を投与する目的で、香水、化粧品、さらには薬剤の分野で頻繁に使用される。
【0003】
こうしたディスペンサに関する権利侵害行為は、特に香水の分野において大きな問題である。それだけの単純な侵害行為に加え、製造者や本来の創作者の権利を侵害するもう1つの形として、タンパリングがある。現在一般的に見られるタンパリングの1つの種類は、ディスペンサを取り外して、貯蔵器および/または投与部材、あるいは流体(特に香水)を再利用する、というものである。そうすると、貯蔵器を元の流体に一致しない別の流体で充填すること、あるいは同様に、真正の流体を別の貯蔵器にパッケージすることが可能である(投与部材まで別のものとすることもありうる)。いずれのやり方も、ディスペンサを取り外すこと、特にポンプまたは弁を取り外すこと(すなわち、貯蔵器からディスペンサを取り外すこと)が必要である。
【0004】
一般に、ポンプまたは弁は、貯蔵器に形成されたネックの上または中に、固定手段(例えば、固定用リングの形を取るもの)を用いて固定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上で述べたような流体ディスペンサに関してタンパリングを防止すること、あるいは、少なくともそれをより困難にすること、を目的とする。そのために、本発明は、貯蔵器からポンプまたは弁を取り外す試みが行われた際、特に固定手段が取り外された後、貯蔵器内に格納された流体を破壊または使用不能にすることを目的とする。本発明はまた、固定手段が取り外しまたは破壊された後、ポンプまたは弁の取り外しを不可能にする、あるいは、少なくとも取り外しを非常に困難にする、ということを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的の達成のために、本発明が提供するのは、タンパ防止手段であり、固定手段とは別個の構成であると共に、投与手段に固定されており、そして、タンパ防止手段は、投与部材を開口から取り外す試みがあった場合には、内部エッジと接触状態になる、というタンパ防止手段である。
【発明の効果】
【0007】
また、効果的な構成として、貯蔵器は肩から突出したネックを有し、当該ネックが内部エッジを備えた開口を形作っており、前記エッジは貯蔵器内部でネックと肩との連結部の位置に形成されており、前記内部エッジが示す径は開口の径よりも大きくなっており、前記ネックは両エッジを一体に接続する内壁を形作っている。また、タンパ防止手段は、開口から投与部材を取り外す試みがなされた際には内部エッジに当接する形で接触するのに適した当接手段を有し、前記当接手段は、挿入状態と展開状態との間で展開可能であり、挿入状態においては開口を通して挿入可能であり、展開状態においては貯蔵器の内側において内部エッジより下の位置で広がり、前記内部エッジと接触状態となることが可能な形で広がる、とするのが効果的である。展開した状態において、当接手段は必ずしも内部エッジと接触している必要はない。そこから距離を置いた状態に留めることも可能である。ただし、開口の径よりも大きな外径を成すこととする。
【0008】
本発明の原理は、貯蔵器の内部エッジに対する当接手段の契合(engagement)を利用して、ディスペンサへのタンパリングを困難にする種類の作用を1つ以上生じさせる(または作り出す)ことである。当接手段は、特に固定手段が取り外された後の時点で、内部エッジに対して受け止められる形に接触した状態にすることができる。
1つの実施の形態では、当接手段は弾性変形可能であり、展開状態に対応する休止状態に戻る形で弾性変形する。また、効果的な構成として、当接手段は弾性変形可能なカラーで成り、当該カラーは、休止状態では、径方向外向きに内部エッジの方を指している。カラーは弾性を有するため、貯蔵器の狭い開口も、弾性変形させることで通すことができる。そうして、開口の通路を通過した後、カラーは径方向外向きに展開する。当然のことながら、こうした展開は、内部エッジのすぐ下に収容されたカラーの外径が大きくなる、という形で実現されるのであり、必ずしも前記内部エッジに接触する必要はない。
【0009】
別の実施の形態では、当接手段は、流体と接触すると膨張する素材で成る。そうして、膨張性の素材は、小さくした状態または非膨張の状態で、貯蔵器の開口を通して挿入することができる。これに対し、当該素材が流体に接触すると、化学反応が生じて素材は膨張し(または広がり)、外径が大きくなって開口部の径を上回る。膨張は他の手段(具体的には放射)によっても実現できる。
【0010】
本発明の別の実施の形態では、タンパ防止手段は取り外し可能な部分を有し、当該部分は、予め決められた閾値を超えて内部エッジに押し付けられる形で接触した場合に取り外され、その際、取り外し可能部分は投与部材から分離する形となる。また、取り外し可能部分は、貯蔵器の内部に自由に沈むこと、とするのが効果的である。また、取り外し可能部分の分離によって、流体と反応するのに適した物質が解放されること、とするのが効果的である。また、取り外し可能部分の分離によって、可視インジケータが目に見える状態になる、とするのが効果的である。取り外し可能部分がタンパ防止手段の全体を構成する、という形にしてもよい。取り外し可能部分は、他の機能を実現する他の部材を含むことにしてもよい。ただし、ディスペンサに手が加えられたことが一目で分かることを可能にするインジケータ(またはトリガ)手段を構成するのは、投与部材からの取り外し可能部分の分離である。
【0011】
また、本発明の他の側面として、タンパ防止手段は、投与部材を開口の中にブロックする。この場合、タンパ防止手段は、投与部材が開口から取り外される(または引き出される)ことを防止するが、それと同時に投与部材を開口に固定する働きをすることはない。
本発明の別の効果的な特性として、タンパ防止手段は、投与部材を囲む形で嵌められた支持部材に固定されている。また、支持部材はID手段を備えており、当該ID手段はRFID(無線自動識別)型であること、とするのが効果的である。そうして、タンパ防止手段は、ID手段と組み合わせて単一の部品の形とすることができる。この部品は、効果的な構成として、頂上エッジと最下部エッジとの間で、投与部材を囲む形に嵌められる(または留められる)、あるいは変形例として、開口の内部に留められる(またはブロックされる)。本発明のもう1つの原理は、貯蔵器の中での内部当接を、投与部材の組立や固定とは無関係な形で実現することであり、投与部材を開口から取り外そうとした場合に当接が効力を発揮するようにする、というものである。言い換えると、効果的な構成として、投与部材は貯蔵器の内部エッジの下での当接状態の実現に関与しない。それに対して、投与部材を開口から取り外そうとすると、タンパ防止手段は内側エッジに当接することとなり、それによって、投与部材の取り外しを防止する、あるいは、タンパ防止手段の一部または全部を投与部材から分離させて、ディスペンサに手が加えられたことを容易に識別できるような、各種作用を生じさせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、非限定的な例として本発明のいくつかの実施の形態を示す図面を参照しながら、本発明に関してより詳細に説明する。
本発明の説明に用いる各種の図面において、本発明のタンパ防止手段は、香水、化粧品、さらには医薬の分野で従来使用されているような流体ディスペンサに実装されている。完全に従来通りの形で、ディスペンサは貯蔵器2および投与部材3を有する。
【0013】
貯蔵器2は、底面壁(図示せず)および側面壁を形作る貯蔵器本体21を有する。その頂上側端部において、本体21には肩22が形成されており、効果的な構成として、肩が延びた先は突出ネック23となっている。ネック23は開口230を形作っており、当該開口を介して貯蔵器の内部と外部とが通じた状態にすることができる。貯蔵器の内部には、流体を格納するための機能空間が形作られている。機能空間の容積は、本体21の種類に応じて、一定にも可変にもできる。本体21を硬い素材で作れば、結果、機能空間の容積は一定にすることができる。また、変形例では、本体21を可撓性の素材から作り、可撓性のポーチまたは変形可能なボトルの形とすることができるが、この場合の機能空間の容積は可変である。一般に、貯蔵器本体21が硬いものであるか変形可能であるかには関りなく、ネック23は硬い(すなわち、変形しない素材で作られている)。図に示す実施の形態では、貯蔵器2は、ガラスや、硬い(または実質的に硬い)プラスチック素材から作ることができ、さらには、金属製とすることもできる。ただし、その他の素材も排除されない。ネック23は、頂上環状エッジ25と、内壁27と、そして内部最下部エッジ26とを有し、当該内部最下部エッジは、ほぼネックと肩22との連結部の位置にある。内部エッジ26の箇所はすでに、貯蔵器によって形作られた機能空間20の内部に位置している。内壁27は頂上部エッジと内部エッジ26との間をつないでいる。内壁27は、全体的に円筒形の形状を示す。ネック23には更に、外側補強部24が形作られている。当該補強部は周縁フランジの形をしているが、外向きに突出しているため、下側に向かって段差が形作られている。これは、香水、化粧品または薬剤の分野で用いられる貯蔵器の場合、完全に従来通りの設計である。
【0014】
投与部材3は投与手段30を有し、手段30は、ポンプ、弁、さらには何らかのストッパシステムの形とすることが可能である。投与手段30は、手動のもの、電気的なもの、または電子機器とすることができる。例えば圧電や超音波の技術など、様々な技術が使用できる。図における投与手段30は非常に概略的に示してあるが、手動ポンプとすることができる。ポンプ30は、実質的に円筒形または段差付きの形状のポンプ本体300を有する。その上側端部において、本体300には保持バンド302を形成することができる。一方、下側端部では、本体300の先にはディップチューブ301が続いており、チューブ301は貯蔵器2の内部に延びている。投与手段は、その種類が何であれ、貯蔵器からの流体の取り出しと取り出した流体の投与とを可能にして、ユーザが流体を塗布面に塗布すること、または空気中に散布することができるようにする、というものでなければならない。
【0015】
ポンプ30は各種の関連部材、例えばプッシャ31や固定手段(fastener means)などを備えている。1本以上の指を用いてプッシャを押下することでポンプ30を駆動することができ、固定手段は貯蔵器にポンプ30を固定する。本実施の形態では、固定手段は複数の部品から成る。すなわち、フェルール32、留めリング33そしてカバーフープ34である。ポンプ本体300のバンド302は、フェルール32に形成されたハウジングの中に静的な様態で嵌められる。フェルール32は、その外側の周囲がリング33の内側に嵌まった形となる。リング33は固定用プロフィール331を1つ以上有し、当該プロフィールは貯蔵器のネック23と協働して、貯蔵器のネックへの固定を実現する。最後に、フープ34は、ネックを囲む形に嵌められたリング33をブロックすることになる。これらは完全に従来からある固定手段であるが、本発明の範囲から逸脱しない形で、他の固定手段を用いることも可能であろう。例えば、ネジ留め手段やクリンプ留め手段の使用が可能であろう。固定手段の目的は、投与手段30を貯蔵器の上に、強固かつ漏れの生じない様態で留めることである。この目的のため、ネックの位置における密封を保証できるように、ネックガスケット35が設けられて、フェルール32とネック23の頂上部エッジ25との間に挟まれた形となっている。各図に示すように、投与部材3が貯蔵器上に設置された段階では、ポンプ本体300は、開口230の中でネック23の内側に延びている。リング33の固定用プロフィール331は、ネック23の外側に形成された補強部24の下側に嵌まっている。フープ34はリングを囲んで延びており、効果的な構成として、肩22に押し付けられる形となる。ネックガスケット35は、フェルール32と頂上部エッジ25との間で圧縮されている。ディップチューブ301は、貯蔵器の内部、底面壁の近傍にまで延びている。プッシャ31を押下すると、投与手段30が駆動され、その結果、投与開口部を通して流体が投与される。投与開口部は図示していないが、プッシャ31に設けられる場合が非常に多い。こうした全体的な機構は、香水、化粧品または薬剤の分野のディスペンサに関して、完全に従来型のものである。
【0016】
本発明におけるディスペンサは、タンパ防止手段または耐タンパ手段を備えている。当該手段は、様々な異なる実施の形態で提示してあるが、全図面において参照番号1で示してある。さらに、各実施の形態において、同一の部材や部品、または、同じ機能を実現する部材や部品については、形が異なっている場合でも、同じ参照番号で示してある。
先ず、図1を参照して、本発明のタンパ防止手段の第1の実施の形態を詳細に説明する。タンパ防止手段1は本体を有し、当該本体は、全体的に円筒形で、下側部分10と上側部分12とが形作られている。上側部分12は、投与部材30の本体300上への固定を実現するための固定用ブッシングとして働く。下側部分10は、延長スリーブとして、また、当接(abutment)手段11用のベースとして働く。これは、本実施の形態では、環状の自由端111を有した円錐台形のカラーの形を取っており、自由端111は肩22(より厳密には内部エッジ26)に向かって、外方向かつ上方向を指している。変形例では、カラー11は切れ目のない形にすることもできるが、カラーと同じ形に方向決めされた複数の弾性変形可能なタブ(またはセクタ)によって形成することも可能である。注目すべき点として、下側部分10には段差部105が形成されており、当該段差部の段差は、固定用ブッシング12の外壁から見て内向きに付けられている。内向き段差部105により当接手段11用のフリースペースを形成することができ、当接手段11が内向きに弾性的な形で押されてカラーまたはタブが部分10に押し付けられる形となる際に、手段11は当該フリースペースに入る。内向き段差部105の効果は特に、タンパ防止手段1が開口230を通して貯蔵器2内に挿入される際に、当接手段11をそこに収容できる、という点である。開口230が形作る通路は、機能空間20よりも狭くなっている。それでもなお、開口230を通してタンパ防止手段1を挿入することが可能であり、それは、当接手段11を内向きに弾性変形させて段差部105の中に入れることができるからである。タンパ防止手段が図面1に示す最終位置に達すると、当接手段11は再びその初期休止状態に戻ることができ、自由端は内部エッジ26の方向を指す状態になる。自由端111は必ずしもエッジ26と接触させる必要はない。端部111とエッジ26との間には狭いギャップが残ってもよい。
【0017】
タンパ防止手段1をポンプ本体300上に保持するための技術としては、様々なもの(接着剤、熱シール処理、または力嵌めなど)を用いることができる。タンパ防止手段1をポンプ本体300に固定する様態は、永続的の形でも取り外し可能な形でもよい。すなわち、タンパ防止手段1を投与手段30に固着させて、単一の分離不能な部品を形成することができる。変形例では、タンパ防止手段1または少なくともその一部が投与手段30から分離する、という形にすることも可能である。
【0018】
タンパ実行者がディスペンサの取り外しを試みる場合は、通常、フープ34を取り外してリング33にアクセスすることから始める。リングを取り外した時点で、投与手段(ポンプまたは弁)も取り外されてしまう。これにより、投与手段30は貯蔵器のネック23の内側で移動させられる。そうすると、容易に理解できることであるが、投与手段が上方向にわずかに移動し、その結果、当接手段11の自由端部111は貯蔵器の内部エッジ26に押し当てられる状態となる。タンパ防止手段1が投与手段30に永続的な形で接続されている場合、当接手段がエッジ26に当接することで、投与手段30をネック23から引き出したり取り外したりすることはできなくなる。変形例において、タンパ防止手段(またはその一部)が投与手段30から分離できる場合、投与手段を引き出すと、タンパ防止手段(またはその一部)は分離されることになり、その結果、タンパ防止手段(またはその一部)は、ネック23内の所定位置に留まるか、あるいは、貯蔵器の内部へ自由落下する。カラーが相当に変形し、その結果、裏返ってカラーの自由端が下を向く状態になる場合でさえ、カラーはなお当接手段としての役割を果たし続け、タンパ防止手段が貯蔵器から引き出されないようにする。いかなる場合でも、当接手段の存在によって、タンパ防止手段1の貯蔵器からの引き出しは不可能となる。図1の実施の形態では、タンパ防止手段は上側部分12と一体の単一部品として作られており、下側部分は下側部分10と一体的に接続されている。タンパ防止手段1は、ポンプ30の本体300に永続的な形で留められるか、あるいは、本体300から完全に分離させることもできる。分離される場合、タンパ防止手段1は貯蔵器の中に自由落下し、流体をその後の使用に適さない状態にする。当接手段は、その存在により、タンパ防止手段がネックを通して貯蔵器から引き出される事態を防止する(あるいは、少なくとも、そうした事態を困難にする)。タンパ防止手段が貯蔵器内を自由に移動できる状態にあるということが、ディスペンサに力が加わったことを、はっきりと目に見える形で示すことになる。
【0019】
図2のタンパ防止手段は、本発明の第2の実施の形態を構成しており、これは変形例と見なすことができる。ここでのタンパ防止手段1も、上側部分12と下側部分10とを有する。上側部分には投与手段30の本体への固定を実現するための固定用ブッシングが形成されている。下側部分は当接手段11用のベースとして働き、当該手段11は、投与手段30を引き出そうとする試みが行われた際に内部エッジ26に当接した状態となる。当接手段11は、図1の当接手段と同一または類似の様態で作られている。すなわち、周縁部にカラーまたはタブを有し、これらはエッジ26に向かって、上方向かつ外方向を指している。当接手段の自由端は、狭い隙間でエッジから隔てられた形とすることができる。ただし、別の形として、当接手段の端部をエッジ26と接触させることもできるだろう。この第2の実施の形態では、下側部分10は上側部分12から分離させることができ、下側部分12は投与手段30の本体および/またはネック23に永続的な形で固定されている。図2において特に留意すべき点は、上側部分12が投与手段30の本体を囲む形で、これと密に接触していることである。固定は、例えば、熱シール処理、接着剤、または力嵌めなど技術を用いることで実現できる。さらに、上側部分12はベアリングリム123を有し、当該リムは、頂上部エッジ25の近くでネック23に載っている。より細かく言えば、ネックには斜角を付けた入り口が形成されており、当該入り口は、頂上エッジ25の内側の周縁部にわたって環状に広がっている。本実施の形態では、上側部分12を永続的な形では投与手段30の本体に固定しないこと、そして、上側部分12をベアリングリム123だけによって所定位置に保持すること、も全く可能である。さらに、本実施の形態において、上側部分12はIDユニット用の支持部材として働く。当該ユニットは、例えば、電子チップ13と投与手段の本体に巻かれたアンテナ12とを有する。一例として、ID手段にはRFID技術を用いることができる。IDユニットは、ディスペンサに関するデータを離れた場所に送ることができる。チップ13はデータの格納を可能にし、一方、アンテナ12は信号を受信および送信する働きをし、この信号はIDユニットに電力も与える。
【0020】
上記のように、部分12は、スナップ留めまたは圧力嵌めの形で作られた連結部において、部分10から分離することができる。上側部分12には、円筒の形または切れ目のあるラグの形でスナップ留め手段100を作ることができ、当該手段100は、永続的でない様態または取り外し可能な様態でハウジング101に嵌まっている。変形例では、連結部は例えば、破壊可能な素材のブリッジまたは弱い熱シール処理部という形で実現することができる。ハウジング101は、スナップ留めまたは圧力嵌めのハウジングとして働くが、それに加えて、物質102を格納する働きもする。当該物質102は、例えば、貯蔵器内部に格納された流体と化学反応しやすいものである。また、物質102として、何らかの種類の放射(例えば日光)と化学反応するものを考えることも可能である。ハウジング101は上方向に開いており、部分10が部分12から分離された状況では、ハウジングはアクセス可能となるため、物質102は流体と接する状態になることができる。先に説明した実施の形態の場合と同様に、下側部分10は、エッジ26の方を指す当接手段11のためのベースとして働く。本実施の形態では、スナップ留め手段100(より一般的に言えば、部分10と部分12との連結部)が、物質102を格納したハウジング101を閉じるための閉鎖手段として働く。タンパ防止手段にはまた、ネック23を通る通過の間、当接手段11を収納しておくための周縁リセスが形成されている。効果的な構成として、リセスは、上側部分および下側部分10の両方にわたって延びている。上側部分12において、リセスには警告表示またはインジケータ125を設けることができ、これは、部分10が部分12から分離された時点で目に見えるようになる。投与手段30を取り外そうとする際、タンパ実行者は上向きに引っ張る力を加える。それによって、当接手段11の自由端は、エッジ26に受け止められる形で接触する状態にされる。予め定められた閾値よりも大きい力が加えられると、部分10は部分12から分離し、自由落下して貯蔵器の中に沈む。分離された状態になると、当接手段11は外れて、部分12の下側部分(具体的にはリセス)が現れる(または覆いが取れる)ので、前記貯蔵器が透明であれば、貯蔵器越しに警告表示またはインジケータ125が目に見えるようになる。そうして、投与手段の抜き取りを単に試みただけの場合でも、下側部分10は上側部分12から分離されて貯蔵器の中に沈む。そうすると、反応性の物質102が流体を「汚染」することになり、様々な形で流体の性質を変化させる。例えば、物質102が流体に色を付ける、その香りを変化させる、粘性を変える、といったことが考えられる。いずれの場合も、部分12が投与手段30に固定されていることが必要であり、それは、部分12が、引張り力を下側部分10に伝えるための部材として働くからである。
【0021】
ここからは、図3(a)、3(b)を参照する。これらが示すのは第3の実施の形態であり、ここでのタンパ防止手段1はやはり、上側部分12と下側部分10とを有し、部分12はポンプ本体への固定を目的とした固定用ブッシングとして働き、部分10は、投与手段を貯蔵器から抜き取る試みが行われた場合、あるいは、投与手段が実際にそこから抜き取られてしまった場合、エッジ26に当接する形となる。本実施の形態でも、上側部分12はやはりIDユニットを備えており、当該ユニットは図2におけるIDユニットと同一とすることができる。上側部分12は、何らかの適切な技術を用いて、永続的な形で投与手段の本体に固定されている。上側部分12にはやはりベアリングリムが形成されており、これは図2のベアリングリムと同一である。しかし、この特徴は必須ではない。本発明では、上側部分12にアンカー手段124が設けられている。当該手段は、切れ目のない環状ビーズの形、または、周縁部に分散配置された不連続なラグの形とすることができる。アンカー手段124は、上側部分12の底に位置している。本実施の形態における下側部分10は、膨張性の素材で製造されており、アンカー手段124の上に、例えばオーバーモールドの手法で作られている。初期状態において、下側部分10が示す外径は、上側部分12の径と実質的に等しく、そのため、タンパ防止手段は、まったく摩擦なしに(または過度の摩擦なしに)貯蔵器の開口を通して挿入することができる。本発明において下側部分10を構成している素材は、貯蔵器内にある流体と、膨張する形で化学反応するのに適したものであり、膨張によって、その外径は図3(b)に見られるように大きくなる。放射または熱と化学反応する素材を用いることも可能である。いずれの場合も、下側部分10は膨張によってサイズが大きくなり、その結果、内部エッジ26の近傍に当接プロフィール11が作られる。プロフィール11は、第1および第2の実施の形態におけるカラーまたはタブと同じ様態で、当接手段として働く。タンパ実行者が投与手段を取り外そうとすると、当接プロフィール11はエッジ26に受け止められる形で接触することになる。そこからは2つの状況がありうる。第1は、下側部分10が上側部分12に強固な形で接続されている場合であり、この場合、投与手段を取り外すことは不可能である。第2は、アンカー手段124が引き裂かれ、下側部分10が上側部分12から分離する場合であり、この場合、投与手段を取り外すことは可能であるが、下側部分10は自由落下して貯蔵器の中に沈む。ここでもまた、タンパ防止手段は、貯蔵器のネックの内部エッジ26に対して当接した状態になるのに適した当接手段を有する。
【0022】
以下、図4を参照する。同図が示すのは、第1および第2の実施の形態の折衷と見なすことの可能な、変形例の実施の形態である。本実施の形態では、タンパ防止手段1は単一の部品として作られている(すなわち、上側部分が下側部分と一体化されている)。下側部分は、ネックの最下部エッジの方向を指す当接手段のための支持部として働く。タンパ防止手段1は、ネックに受け止められる形で接するのに適したベアリングリムを有していない。タンパ防止手段1は、永続的な形で投与手段30に接続されており、永続的な形で投与手段30をブロックすることができる。変形例でも、タンパ防止手段1を投与手段30から分離可能として、投与手段30の抜き取りを試みたり実際にそれに成功したりした場合、タンパ防止手段1が分離し、その後貯蔵器の中に沈む、という形にすることができる。
【0023】
図5は、上側部分を持たない形のタンパ防止手段1を示す。この実施の形態では、タンパ防止手段は下側部分10が全てであり、これが永続的な形または取り外し可能な形で投与手段30の本体に直接的に固定されている。変形例では、タンパ防止手段を投与手段の本体と一体の形にすることも考えられる。取り外しが試みられた場合、本体は、損傷または複数の断片に分裂さえする。
【0024】
図6に示す最後の実施の形態は、図3(a)、3(b)における第3の実施の形態の変形例を構成するものであり、ここでのタンパ防止手段1の下側部分10は、やはり膨張性の素材で作られている。ただし、膨張後の下側部分は、下側エッジの位置でネックに受け止められる形で接触することになる。これによって、タンパ防止手段1は、ネックの内側に固く留められる。この効果は、斜角を付けたネック入り口に受け止められる形で接するベアリングリム125を有する上側部分12によって強化される。タンパ防止手段を永続的な形で投与手段に固定することにより、投与手段30は、タンパ防止手段だけの力で、ネックの内部に確実に固定することができる。この場合、フェルール、固定用リング、そしてフープは省くことが可能である。さらに、投与手段30(例えば、ポンプや弁)については、下側部分に膨張性の素材のシリンダを備えた本体を有し、それが永続的な形でポンプまたは弁を貯蔵器のネックに固定する、というものを考えることも可能である。この場合、タンパ防止手段は純粋に、永続的かつ取り外し不可能な形でポンプを固定する役割を果たす。
【0025】
全ての実施の形態において、タンパ防止手段は、貯蔵器のネックの内部エッジに受け止められる形で接触するのに適した当接手段を含むもの、と考えることができる。当接手段は支持部材に固定され、当該部材は、投与手段の本体またはネック、あるいは同時にそれら両方と契合状態となる。加えて、支持部材は単一の部品として作ることもできるが、2つの部品に分けることもでき、その場合、部品の一方は投与手段の本体、またはネックに固定された状態を保ち、他方は自由落下して貯蔵器の中に沈む。
【0026】
本発明の原理は、部材を貯蔵器の中に、投与装置(ポンプ、弁、ストッパその他)と共に挿入することである。当該部材は、投与装置が取り外された場合、あるいは、取り外しの試みがなされただけの場合でも、もはや貯蔵器から抜き出すことはできなくなる。当然のことながら、ほとんどの場合、除去または除去の試みは、貯蔵器のネックの上または中に投与装置を強く保持する固定手段を取り外しまたは破壊した上でなければ実行できず、固定手段は通常タンパ防止手段とは別個のものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態を構成する流体ディスペンサの上側の部分を示す縦断面図である。
【図2】第2の実施の形態に関する、図1と同種の図である。
【図3】(a)第3の実施の形態に関する、図1と同種の図であり、初期状態において示す図である。(b)第3の実施の形態に関する、図1と同種の図であり、反応後の膨張状態において示す図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態を示す、上述の図と同種の図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態を示す、上述の図と同種の図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態を示す、上述の図と同種の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ディスペンサであって、
・流体を格納する貯蔵器(2)であって、外部の頂上エッジ(25)と内部の最下部エッジ(26)とを備えた開口(230)を有する前記貯蔵器(2)と、
・ポンプや弁といった投与部材(3)と、そして、
・開口(230)内に投与部材を固定するための固定手段と、を有し、
特徴となるのは、
タンパ防止手段(1)を更に有し、当該手段(1)は固定手段とは別個の構成であると共に、投与手段(3)に固定されており、そして、タンパ防止手段は、投与部材(3)を開口(230)から取り外す試みがあった場合には、内部エッジ(26)と接触状態になることである、
という前記ディスペンサ。
【請求項2】
貯蔵器(2)は肩(22)から突出したネック(23)を有し、当該ネック(23)が内部エッジ(26)を備えた開口(230)を形作っており、前記エッジ(26)は貯蔵器内部でネック(23)と肩(22)との連結部の位置に形成されており、前記内部エッジ(26)が示す径は開口(230)の径よりも大きくなっており、前記ネックは両エッジを一体に接続する内壁(27)を形作っていること、
を特徴とする請求項1に記載の流体ディスペンサ。
【請求項3】
タンパ防止手段は、内部エッジ(26)に当接する形で接触するのに適した当接手段(11)を有し、前記当接手段は、挿入状態と展開状態との間で展開可能であり、挿入状態においては開口(230)を通して挿入可能であり、展開状態においては貯蔵器の内側において内部エッジ(26)より下の位置で広がり、前記内部エッジと接触状態となることが可能な形で広がること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の流体ディスペンサ。
【請求項4】
当接手段(11)は弾性変形可能であり、展開状態に対応する休止状態に戻る形で弾性変形すること、
を特徴とする請求項3に記載の流体ディスペンサ。
【請求項5】
当接手段は弾性変形可能なカラー(11)で成り、当該カラーは、休止状態では、径方向外向きに内部エッジ(26)の方を指していること、
を特徴とする請求項4に記載の流体ディスペンサ。
【請求項6】
当接手段(11)は膨張性の材料で成ること、
を特徴とする請求項3に記載の流体ディスペンサ。
【請求項7】
タンパ防止手段(1)は取り外し可能な部分(10)を有し、当該部分(10)は、予め決められた閾値を超えて内部エッジ(26)に押し付けられる形で接触した場合に取り外され、その際、取り外し可能部分(10,12;10)は投与部材(3)から分離する形となること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の流体ディスペンサ。
【請求項8】
取り外し可能部分は、貯蔵器の内部に自由に沈むこと、
を特徴とする請求項7に記載の流体ディスペンサ。
【請求項9】
取り外し可能部分の分離によって、流体と反応するのに適した物質(102)が解放されること、
を特徴とする請求項7に記載の流体ディスペンサ。
【請求項10】
取り外し可能部分の分離によって、可視インジケータ(125)が目に見える状態となること、
を特徴とする請求項7又は8に記載の流体ディスペンサ。
【請求項11】
タンパ防止手段(1)は、投与部材を開口の中にブロックすること、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の流体ディスペンサ。
【請求項12】
タンパ防止手段(1)は、投与部材(3)を囲む形で嵌められた支持部材(12)に固定されていること、
を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の流体ディスペンサ。
【請求項13】
支持部材(12)はID手段(13,14)を備えており、効果的な構成として、当該ID手段はRFID型であること、
を特徴とする請求項12に記載の流体ディスペンサ。
【請求項14】
展開状態において、当接手段(11)は内部エッジ(26)と接触しないこと、
を特徴とする請求項3に記載の流体ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−525076(P2008−525076A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547591(P2007−547591)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/FR2005/051102
【国際公開番号】WO2006/070148
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】