説明

流体収容容器及びそれを用いた再充填方法

【課題】 流体の導出に伴って流体収容袋体を自由に変形させることが可能な流体収容容
器及びそれを用いた再充填方法を提供すること。
【解決手段】 流体収容容器9は、複数枚の可撓性素材を封止接合した第1,第2の封止
接合部61,62を少なくとも含み、内部に流体が封入された流体収容袋体60を有する
。流体収容袋体60の第1の封止接合部61には流体導出部材63が連結される。流体収
容袋体60及び流体導出部材63は筐体42に収容され、かつ、流体導出部材63は筐体
42に支持される。受入部80が筐体42内に設けられ、流体収容袋体60内の流体が導
出されるに従い変位する第2の封止接合部62を受け入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジ等の流体収容容器及び流体収容容器への再充填方法に関
する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体噴射ヘッドのノズルから液滴を噴射する流体噴射装置として、インクジェッ
ト式プリンタがある。このインクジェット式プリンタには、インクカートリッジをキャリ
ッジ以外の場所に搭載するオフキャリッジタイプのインク供給システムを備えるものがあ
る。このオフキャリッジタイプのインク供給システムを備える場合としては、大判印刷の
ために大容量のインクカートリッジを備える場合、及び、インクカートリッジを搭載しな
いことによりキャリッジを小型化し、インクジェット式プリンタを小型化、薄型化する場
合等がある。
【0003】
このオフキャリッジタイプのインク供給システムでは、例えば、インクカートリッジを
本体側に配設する。そして、インクカートリッジから、インク供給チューブを介して、キ
ャリッジに搭載されたサブタンクまたは記録ヘッド等へインクを供給する。
【0004】
この種のインクカートリッジは、特許文献1等に開示されている。この種のインクカー
トリッジは、下ケース内にインクパックを収容し、空きスペースに発泡スチロール等の弾
性素材を装填して、下ケースの開口を封止フィルムで封止した後に上ケースを固定してい
る。
【特許文献1】特開2002−19136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクの導出に伴いインクパックが加圧空気で潰れるため、充満状態のインクパックと
比較して空状態のインクパックの全長が異なり、インクパックの容量が大型化するほどそ
の差は顕著となる。全長差は、大きいもので例えば1cmほどである。インクパックの後
端は封止接合部であり、接合されていない領域と比べると硬く変形しづらい。
【0006】
従来、インクパックはインクが予め充満した状態で下ケースに収容されることから、さ
らには、容量が小さければ全長の変化はほとんど無視できたことから、インクパックの全
長の変化を特に配慮せずに下ケースの寸法を設計していた。
【0007】
しかしながら、インクパック容量がより大型化され、インクパックの全長の変化が大き
くなると、インクパックからのインクの導出に伴ってインクパックの全長が伸びた際に、
後端の封止接合部が下ケースの内壁に当たってしまう。こうなると、もはや後端の封止接
合部の逃げ場がなくなる。よって、封止接合部は自由に変位できなくなり、インクパック
の自由な変形を阻害してしまう。結果として、インクパックの変形の阻害度合いにより、
内部のインク残量のばらつきが大きくなってしまう。
【0008】
近年は、インクカートリッジ自体に残量検出装置を内蔵させているが、インクパックの
変形の自由度の違いによってインク残量がばらつくと、残量検出装置でのエンド検出また
はニアエンド検出のしきい値の設計が困難となる。結果として、インクパックに残留する
インク量が多くなり、消費者にとっても好ましいことではない。
【0009】
なお、インクパックの変形に伴い変位する封止接合部は、インクパックの後端だけに限
らず、インクパックの種類によっては両側辺も封止接合される。この両側辺の封止接合部
もまたインクの導出に伴って変位することがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、流体の導出に伴って流体収容袋体を自由に変形させることが
可能な流体収容容器を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、使用済み流体収容容器が再充填される際に、再充填後にも流体収
容袋体を自由に変形させることができる流体収容容器の再充填方法を提供することにある

【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る流体収容容器は、可撓性素材を封止接合した第1、第2の封止接
合部を少なくとも含み、内部に流体が封入された流体収容袋体と、
前記流体収容袋体の前記第1の封止接合部に装着された流体導出部材と、
前記流体収容袋体及び前記流体導出部材を収容し、かつ、前記流体導出部材を支持する
筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記流体収容袋体内の流体が導出されるに従い変位する前記第
2の封止接合部を受け入れる受入部と、
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様によれば、流体収容袋体から流体が導出されるに伴い、流体収容袋体の
内部容積が減少し、筐体に支持され流体導出部材が連結される第1の封止接合部は不動で
ある一方で、第2の封止接合部は内部容積の減少に伴い変位する。この変位する第2の封
止接合部は、筐体内に設けられた受入部に受け入れられる。従って、第2の封止接合部の
自由な変位を保障することで、流体収容袋体が自由に変形することができ、内部流体の残
量がばらつくことを低減できる。
【0014】
本発明の一態様では、前記受入部は、前記第2の封止接合部を、直進方向である第1の
方向以外の第2の方向に案内する案内部を有することができる。受入部は、直進する第2
の封止接合部を受け入れることでも良いが、これだと筐体の容積を大きくしなければなら
ない。剛性をもって直進しようとする第2の封止接合部を、案内部によって直進方向であ
る第1の方向以外の第2の方向に進路変更させれば、筐体の容積は変更せず済み、または
最小限の変更で済む。
【0015】
第1の方向を換言すれば、前記受入部がない状態にて、直線状をなす前記第2の封止接
合部がその延長線上に沿って変位する方向と定義できる。第2の方向は、前記第1の方向
と交差する方向を第2の方向と定義できる。ここで、前記第2の方向は、直線方向、湾曲
方向、所定の交差角をなす複数の直線を組み合わせた屈曲方向、またはこれらを2種以上
組み合わせた複合方向のいずれであってもよい。直進方向以外は筐体の容積増大を防止又
は低減できるからである。
【0016】
本発明の一態様では、前記第2の封止接合部は、前記流体収容袋体から流体が導出され
る以前の状態にて、前記案内部と当接して屈曲または湾曲されていてもよい。第2の封止
接合部が変位する前から屈曲又は湾曲されていれば、筐体の容積を縮小することも可能と
なる。
【0017】
本発明の一態様では、前記流体収容袋体は平面視で矩形状に形成され、前記第2の封止
接合部は前記第1の封止接合部が形成される第1辺とは対向する第2辺に形成することが
できる。つまり、第1辺が筐体に保持される前縁側であるのに対して、第2辺は流体収容
容器の後端となる。通常、流体収容容器に最初に流体を充填する作業は、封止接合される
前の後端を開口させて行なわれる。よって、多くの流体収容袋体は後端に第2の封止接合
部を有する。この第2の封止接合部は、長手方向の後端に位置するので変位量が大きいが
、その後端を受入部に受け入れて流体収容袋体の自由な変形を担保できる。これに代えて
、前記第2の封止接合部は、前記第1の封止接合部が形成される第1辺とは交差する第2
辺に形成されていてもよい。
【0018】
本発明の一態様では、前記流体収容袋体内の流体が導出される前の前記流体収容袋体に
て、前記第2の封止接合部の端部が位置する基準位置から、前記第1の方向の先にある前
記筐体の壁部までの距離がS0であり、前記流体収容袋体内の流体の全てが実質的に導出
された後の前記流体収容袋体にて、前記基準位置から前記第2の封止接合部の端部が前記
第2の方向に沿って移動した移動長さをS1としたとき、S0<S1の関係を充足するこ
とができる。つまり、第2の封止接合部を直進させれば、距離(S1−S0)だけ筐体を
大きくしなければ筐体に第2の封止接合部が衝突してしまうので、上記不等式は成立し得
ない。案内部によって第2の封止接合部を直進方向以外に案内することで、上記不等式が
成立し、筐体を拡大する必要はない。
【0019】
本発明の一態様では、前記流体収容袋体の前記流体導出部材の支持位置から、流体が導
出される前の前記流体収容袋体の前記第2の封止接合部の後端までの距離をL0とし、前
記支持位置から、実質的に全ての流体が導出された後の前記流体収容袋体の前記第2の封
止接合部の後端までの距離をL1とし、前記支持位置から前記第2の封止接合部の後端と
対向する前記筐体の内壁面までの距離をL2としたとき、L0<L2<L1を満足するこ
とができる。この場合も、第2の封止接合部を直進させれば、距離(L1−L2)だけ筐
体を大きくしなければ筐体に第2の封止接合部が衝突してしまうので、上記不等式は成立
し得ない。案内部によって第2の封止接合部を直進方向以外に案内することで、上記不等
式が成立し、筐体を拡大する必要はない。
【0020】
本発明の一態様では、前記可撓性素材は第1乃至第3の可撓性素材からなり、前記第2
の封止接合部において、第1,第2の可撓性素材の間に、第3の可撓性素材が折り曲げ線
にて折り曲げられて配置され、前記第3の可撓性素材の前記折り曲げ線上にて前記第1〜
第3の可撓性素材が封止接合され、前記第1,第3の可撓性素材の対向面同士が封止接合
され、前記第2,第3の可撓性素材の対向面同士が封止接合されるものに、好適である。
このタイプは、側辺が封止されないので、全長方向への変位量が大きいからである。
【0021】
この場合、前記第2辺の両隅部は、前記第1,第3の可撓性素材の対向面同士と前記第
2,第3の可撓性素材の対向面同士とがそれぞれ封止接合された領域で切断され、前記第
2辺の長さを前記第1辺の長さよりも短くすることができる。こうすると、移動端の摩擦
抵抗が少なく、移動端をより円滑に移動させることができる。
【0022】
受入部は、次に説明する様々な方法で形成することができる。まず、共通な構成として
、前記筐体は、前記流体収容袋体と前記流体導出部材とを収容する凹所を形成する底壁及
び周囲壁と、開口部とを含むことができる。また、前記流体収容袋体は、前記第2の接合
封止部から中心に向かうに従い厚さが変化する厚さ変化領域を有する。
【0023】
第1の形態として、前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも前記筐体の前記
開口部側に配置され、かつ、前記筐体に支持されるスペーサ部材を有することができる。
このスペーサ部材は、前記周囲壁と対向する対向面を含む。この場合、前記受入部は、前
記周囲壁と前記スペーサ部材の前記対向面との間のデッドスペースを含むことができる。
【0024】
第2の形態として、前記筐体は、前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域に向けて
、前記底壁より突出形成されたスペーサ用突起部を有することができる。このスペーサ用
突起部は、前記周囲壁と対向する対向面を含む。この場合、前記受入部は、前記周囲壁と
前記スペーサ用突起部の前記対向面との間のデッドスペースを含むことができる。
【0025】
第3の形態として、第1の形態とは異なり、前記スペーサ部材は、前記第2の封止接合
部及び前記厚さ変化領域よりも前記筐体の前記底壁側に配置することができる。
【0026】
第1〜第3の形態の何れも、筐体内に形成されたデッドスペースを利用して、受入部を
形成することができる。
【0027】
第4の形態とし、第1の形態に係るスペーサ部材に加えて、前記第2の封止接合部及び
前記厚さ変化領域に向けて、前記筐体の前記底壁より突出形成されたスペーサ用突起部を
さらに設けることができる。この場合、前記スペーサ用突起部が前記案内部を含み、前記
案内部は、前記第2の封止接合部を前記受入部に導くことができる。
【0028】
第5の形態として、第2の形態に係るスペーサ用突起部に加えて、前記第2の封止接合
部及び前記厚さ変化領域よりも、前記筐体の前記開口部側に配置され、かつ、前記筐体に
支持されるスペーサ部材を設けることができる。この場合、前記スペーサ部材が前記案内
部を含み、前記案内部は、前記第2の封止接合部を前記受入部に導くことができる。
【0029】
第6及び第7の形態に共通する構成として、前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領
域よりも、前記筐体の前記開口部側に配置され、かつ、前記筐体に支持される第1のスペ
ーサ部材と、前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも、前記筐体の前記底壁側
に配置され、かつ、前記筐体に支持される第2のスペーサ部材と、を設けることができる
。第6の形態では、前記受入部は、前記周囲壁と前記第1のスペーサ部材の前記対向面と
の間のデッドスペースを含み、前記第2のスペーサ部材は前記案内部を含み、前記案内部
は、前記第2の封止接合部を前記受入部に導くことができる。第7の形態では逆に、前記
受入部は、前記周囲壁と前記第2のスペーサ部材の前記対向面との間のデッドスペースを
含み、前記第1のスペーサ部材は前記案内部を含み、前記案内部は、前記第2の封止接合
部を前記受入部に導くことができる。
【0030】
本発明の述した各態様では、前記筐体を封止して、前記筐体内に加圧流体を導入可能な
加圧室に形成する封止フィルムをさらに有することができる。なお、本発明は加圧で流体
を供給するものに限らず、吸引によって流体を供給しても良い。
【0031】
本発明の上述した各態様では、前記流体導出部材に接続される流体残量検出装置をさら
に有し、前記流体残量検出装置は前記流体導出部材に挿入される接続針と、前記接続針か
ら導出された流体を排出する流体排出部材とを含み、前記接続針と前記流体排出部材との
間で流体残量を検出しても良い。
【0032】
本発明のさらに他の態様は、上述した流体収容容器が、前記流体収容袋内の流体が導出
された後に、前記流体収容袋内に前記流体導出部材を介して流体を再充填する流体収容容
器への再充填方法であって、
前記流体導出部材に流体注入針を挿入して、前記流体導出部材に内蔵された弁機構を作
動させて、前記流体収容袋体に流体を再充填可能にする工程と、
前記流体注入針を介して前記流体収容袋体内に流体を再充填する工程と、
再充填開始前に前記受入部に受け入れられている前記第2の封止接合部を、前記流体収
容袋体の膨張に伴って変位させて、前記受入部よりも前記筐体の内側に引き戻す工程と、
を有することを特徴とする。
【0033】
こうすると、再充填時した後には、受入部に受け入れられていた第2の封止接合部が、
受入部よりも筐体の内側に引き戻されるので、流体収容容器の再利用時にも第2の封止接
合部を自由に変位させることができる。
【0034】
この際、再充填開始前に前記受入部に受け入れられている前記第2の封止接合部を、前
記流体収容袋体の膨張に伴って、前記案内部に沿って変位させて、前記受入部よりも前記
筐体の内側に引き戻すこともできる。こうすると、再充填時に確実に第2の封止接合部を
元の位置に円滑に引き戻すことができる。
【0035】
また、上述の再充填方法は、前記流体収容袋内に前記流体残量検出装置及び流体導出部
材を介して流体を再充填するものにも適用できる。この場合、流体残量検出装置の流体排
出部材に流体注入針を挿入して、流体排出部材に内蔵された弁機構を作動させて、流体収
容袋体に流体を再充填可能に設定すればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施
形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施
形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0037】
(流体消費装置)
本発明の流体収容容器の一例であるインクカートリッジを利用する流体消費装置、例え
ば記録装置について、図面に基づいて説明する。図1は、記録装置の基本構成を平面図で
示したものである。図1に示すキャリッジ1は、キャリッジモータ2によって駆動される
タイミングベルト3を介して移動される。このキャリッジ1は、走査ガイド部材4に案内
されて紙送り部材5の長手方向、すなわち記録用紙の幅方向である主走査方向に往復移動
される。そして、図1には示されていないが、キャリッジ1の紙送り部材5に対向する面
には、後述するインクジェット式記録ヘッド6が搭載されている。
【0038】
また、キャリッジ1には記録ヘッドにインクを供給するためのサブタンク7a〜7dが
搭載されている。このサブタンク7a〜7dは、この実施の形態においては、その内部に
おいて各インクを一時的に貯留するために、それぞれのインクに対応して4個具備されて
いる。そして、この各サブタンク7a〜7dには、ブラック、イエロー、マゼンタおよび
シアンの各インクが供給される。これらのインクは、装置本体に配置されたカートリッジ
ホルダ8に装填されたインクカートリッジとしてのメインタンク9a〜9dから、可撓性
のインク補給チューブ10,10,……をそれぞれ介して供給される。
【0039】
なお、インクカートリッジとしての各メインタンク9a〜9dは、後で詳細に説明する
ようにその外郭構成が偏平状に形成されており、カートリッジホルダ8において、偏平状
の面がそれぞれ垂直方向に向くように、いわゆる縦置き状態で装着されている。
【0040】
一方、キャリッジ1の移動経路上における非印字領域(ホームポジョン)には、記録ヘ
ッドのノズル形成面を封止することができるキャッピング手段11が配置されている。さ
らに、キャッピング手段11の上面には、記録ヘッドのノズル形成面を封止し得るゴム等
の可撓性素材により形成されたキャップ部材11aが配置されている。そして、キャリッ
ジ1がホームポジョンに移動したときに、キャップ部材11aによって、記録ヘッドのノ
ズル形成面を封止することができるように構成されている。
【0041】
キャップ部材11aは、記録装置の休止期間中において記録ヘッドのノズル形成面を封
止し、ノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能する。また、キャップ部材11aには
、図には示されていないが、吸引ポンプ(チューブポンプ)におけるチューブの一端が接
続されている。この吸引ポンプによる負圧を記録ヘッドに作用させて、記録ヘッドからイ
ンクを吸引排出させるクリーニング動作が実行される。そして、キャッピング手段11の
印字領域側に隣接して、ゴムなどの弾性素材によるワイピング部材12が配置されていて
、必要に応じて記録ヘッドのノズル形成面を払拭して清掃することができる。
【0042】
図2は、図1に示した記録装置に搭載されたインク供給システムの構成を模式的に示し
ている。このインク供給システムについて、それぞれ対応する各部を同一符号で示した図
1及び図2を用いて説明する。図1及び図2において、空気加圧ポンプ21により加圧さ
れた空気は、圧力調整弁22に供給される。さらに、この加圧空気は、圧力検出器23を
介して各メインタンク9a〜9d(図2においては代表して符号9として示す)にそれぞ
れ供給される。なお、圧力調整弁22は、空気加圧ポンプ21によって加圧された空気圧
が所定以上に達した時に、圧力を開放して各メインタンク9a〜9dに加わる空気圧を所
定の範囲に維持させる。
【0043】
さらに、圧力検出器23は、空気加圧ポンプ21によって加圧された空気圧を検知し、
空気加圧ポンプ21の駆動を制御するように機能する。すなわち、空気加圧ポンプ21に
よって加圧された空気圧が所定の圧力に達したことを検出した場合には、空気加圧ポンプ
21の駆動を停止させると。また、圧力検出器23によって空気圧が定められた圧力以下
となったことを検出した場合には、空気加圧ポンプ21を駆動させるように制御する。し
たがって、この繰り返しによって各メインタンク9a〜9dに加わる空気圧は所定の範囲
に維持されるようになされる。
【0044】
メインタンク9としてのインクカートリッジの詳細な構成については後述するが、その
概略構成は図2に示されたように、その外郭を構成するケースは気密にシールされている
。メインタンク9の内部にはインクを封入した可撓性素材により形成されたインクパック
60が収納されている。そして、メインタンク9とインクパック60とで形成される空間
が加圧室51を構成しており、この加圧室51内に、圧力検出器23を介した加圧空気が
供給される。この構成により、各メインタンク9a〜9dに収納された各インクパック6
0は、それぞれ加圧空気による加圧を受け、各メインタンク9a〜9dから各サブタンク
7a〜7dに対して所定の圧力によるインク流が発生するように成される。
【0045】
なお、各メインタンク9a〜9dにおいて加圧されたインクは、キャリッジ1に搭載さ
れた各サブタンク7a〜7d(図2においては代表して符号7とする)に供給される。そ
れらの間は、各インク補給バルブ26,26……および各インク補給チューブ10,10
,……で接続されている。
【0046】
図2に示すように、サブタンク7には内部にフロート部材31が配置されており、その
フロート部材31の一部には永久磁石32が取り付けられている。そしてホール素子に代
表される磁電変換素子33a,33bが基板34に装着されて、サブタンク7の側壁に添
接されている。この構成により、フロート部材31に配置された永久磁石32と、フロー
ト部材の浮上位置にしたがった永久磁石32による磁力線量に応じて、ホール素子33a
,33bにより電気的出力が発生されるインク量検出手段を構成している。なお、メイン
タンク9に残量検出装置が具備されている場合等では、サブタンク7を省略することがで
きる。
【0047】
各サブタンク7または各メインタンク9からは、バルブ35およびチューブ36を介し
て記録ヘッド6に対してインクが供給される。記録ヘッド6に供給される印刷データに基
づいて、記録ヘッド6のノズル形成面に形成されたノズル開口6aより、インク滴が吐出
される。なお、図2に示すキャッピング手段11に接続されたチューブは、図示せぬ吸引
ポンプ(チューブポンプ)に接続される。
【0048】
(インクカートリッジの概要)
図3は、本発明に係る流体収容用であるメインタンク9の概観斜視図である。メインタ
ンク9は、蓋体である上ケース41と筐体である下ケース42とを外殻として有する。メ
インタンク9の前面には、例えば上ケース41に設けられたインク導出口43と、例えば
下ケース42に設けられた加圧空気導入口44が設けられている。
【0049】
図4は、上ケース41を除いたメインタンク9の分解斜視図であり、図5は、上ケース
41及び封止フィルム70を除いたメインタンク9の平面図である。下ケース42は、周
囲壁52で囲まれた凹所51に、流体収容袋体であるインクパック60が収容される。周
囲壁52の前面側は隔壁52aとされ、隔壁52aの外側には、図5に示す残量検出装置
53が収容される。さらに、インクパック60の前縁側と後縁側の上方空間にスペーサ部
材70,70が配置される。その後、下ケース42の開口端は封止フィルム54により封
止されて、凹所51が加圧室として密閉される。
【0050】
次に、下ケース42に対するインクパック60及びスペーサ部材70,70の取り付け
方法について説明する。図6に示すように、インクパック60の取り付け前に、隔壁52
aに形成された孔52bに、断面リング状の弾性体にて形成されたシール部材52cが配
置される。このシール部材52cは、例えばゴムパッキンにて形成され、孔52bを気密
にシールして、封止フィルム54で封止された凹所(加圧室)51からのエア漏れを防止
するものである。
【0051】
本実施形態に用いられるインクパック60は、主として大容量容器に用いられるガゼッ
トタイプと呼ばれるものである。このインクパック60には、図7に示すように、インク
パック60の前縁側の第1辺に第1の封止接合部61が、この第1辺と対向する後縁側の
第2辺に第2の封止接合部62が、それぞれ形成されている。第1の封止接合部61には
、インク導出部材63が挟持されている。
【0052】
インク導出部材63は、基端64がインクパック60と第1の封止接合部61を介して
連結され、先端側に設けられた導出端部65の途中にフランジ部66が形成されている。
このインク導出部材63は弁機構を内蔵している。隔壁52aの外側から残量検出装置5
3(図5)がセットされると、残量検出装置53に設けられた接続針(図示せず)が、イ
ンク導出部材63に挿入される。この接続針がインク導出部材63内の弁機構を作動させ
ることで、インクパック60内のインクが導出可能となる。なお、インク残量検出装置5
3はインクパック60のインク導出部材63に挿入される接続針の他、接続針から導出さ
れた流体を排出する流体排出部材(図示せず)を含み、接続針とインク排出部材との間で
インクの残量を検出する。また、インク残量検出装置53にも設けられるインク排出部材
は、インク導出部材63と実質的に同一原理によってインクの排出が可能である。
【0053】
なお、インクパック60は、矩形状に形成された2枚(第1の封止接合部)または3枚
(第2の封止接合部)の可撓性素材、例えばポリエチレンフィルムを熱溶着して形成され
、ガスバリア性の向上のために、例えばアルミ泊等が表面にラミネートされている。
【0054】
インクパック60は、先ず、第1辺にインク導出部材63が介在された状態で例えば熱
溶着によって第1辺が封止されて第1の封止接合部61が形成され、袋形状に形成される
。その後、開封状態にある第2辺からインクが収容される。最後に、第2辺が例えば熱溶
着によって接合されて第2の封止接合部62が形成され、インクパック60が完成する。
【0055】
図8は、図7に示す第2の封止接合部62の断面を模式的に示している。第2の封止接
合部62は、第1,第2の可撓性素材62a,62bと、第1,第2の可撓性素材62a
,62bの間にて、折り曲げ線62dにて折り曲げられた第3の可撓性素材62cと、の
3枚の可撓性素材を有する。そして、第3の可撓性素材62cの折り曲げ線62d上にて
第1〜第3の可撓性素材62a〜62cが封止接合される。また、第1,第3の可撓性素
材62a,62cの対向面同士と、第2,第3の可撓性素材62b,62cの対向面同士
とがそれぞれ封止接合されて、第2の封止接合部62形成される。3枚の可撓性素材62
a〜62cが合流する折り曲げ線62d上での接合力は弱いが、この接合力の弱い部分は
、接合力の強い2枚の可撓性素材の接合領域の内側に位置するので、シール性は十分に確
保される。
【0056】
また、本実施形態では、第2の封止接合部62のうち図7にて破線で示す両隅部62e
,62fが、切断位置62g,62hにて切断されている。これにより、コーナー部に生
ずるバリを除去すると共に、隅部62e,62fが面取りされているため、後述するよう
に第2の封止接合部62の移動先端の移動抵抗を少なくできる。
【0057】
なお、本発明に係る流体収容容器には、図7のガゼットタイプのインクパック60に限
らず、矩形状の2枚の可撓性素材の4辺を封止接合したピロータイプを用いることもでき
る。この場合、封止接合部としては、インク導出部材63が連結される第1辺の第1の封
止接合部の他、第1辺に直交する二辺及びは第1辺と対向する辺の計三辺にも封止接合部
が設けられる。
【0058】
図7や、図5のA−A線断面図である図9に示すように、インクが充填されたインクパ
ック60は、第1,第2の接合封止部61,62からインクパック60の中心に向かうに
従い厚さが変化する厚さ変化領域67,68を有する。つまり、インクパック60は前縁
側と後縁にて、それぞれ厚さが変化している。下ケース42の開口端を封止する封止フィ
ルム54を介して上ケース41を下ケース42に取り付けても、厚さ変化領域67,68
には空間が形成されてしまう。これを放置すると、搬送時に衝撃によってインクパック6
0を破損させる他、加圧される体積も大きくなる。
【0059】
そこで、図6、図9、または下ケース42の平面図である図10に示すように、下ケー
ス42の周囲壁52の内側には、底面55より立ち上がるスペーサ用突起部56,57が
設けられている。下ケース42の前縁側のスペーサ用突起部56は、インクパック60の
前縁側の厚さ変化領域67の下側部分を支持するものである。このスペーサ用突起部56
は、底壁55より隆起した隆起部56aとリブ56bとで構成している。隆起部56a及
びリブ56bの上面は同一角度にて傾斜している。一方、下ケース42の後縁側のスペー
サ用突起部57は、インクパック60の後縁側の厚さ変化領域68の下側部分を支持する
もので、底壁55より隆起した隆起部にて構成されている。
【0060】
(規制部材を用いたインクパックの取り付け方法)
以上の構成を有する下ケース42にインクパック60を取り付ける方法について説明す
る。
【0061】
図6に示した通り、下ケース42の隔壁52aに形成された孔52bには、断面リング
状のシール部材52cが配置されている。インクパック60は、下ケース42の内側より
図6に示すB方向に向けて、インク導出部材63の導出端部65がシール部材52cに嵌
合するように挿入される。
【0062】
ここで、下ケース42には、図6、図10、図11または図9のC部拡大図である図1
2に示すように、底壁55より垂直上方に延びる2つの固定リブ58,58が形成されて
いる。
【0063】
この2つの固定リブ58,58の間隔がB方向(図6)の下流に向かうに従い狭くなる
ように、2つの固定リブ58,58の横断面が「ハの字」になるように形成されている。
この2つの固定リブ58,58は、インク導出部材63の導出端部65をB方向に移動さ
せてシール部材52cに挿入される際に、フランジ部66により弾性変形してB方向と交
差する方向に押し広げられる。そして、インク導出部材63がシール部材52cにシール
される位置に達したときに弾性復帰して、フランジ部65の挿入後端と対向する。つまり
、2つの固定リブ58,58は、インク導出部材63のフランジ部65の挿入後端と対向
して、インク導出部材63の抜け止めストッパとして機能する。
【0064】
一つの課題は、2つの固定リブ58,58が弾性変形するほど薄肉であることから、衝
撃に耐えられるほどのストッパ機能を併せ持たせることが困難なことである。特に、本実
施形態のように容量が大きいインクパック60が使用されるときには、インクカートリッ
ジ9の落下時には2つの固定リブ58,58に過大な荷重が作用する。
【0065】
そこで、本実施形態では、2つの固定リブ58,58が、B方向とは逆方向のE方向(
図12参照)に変形することを規制する規制部材を設けている。この規制部材は、下ケー
ス42と一体で射出成形して形成することも可能である。固定リブ58,58の後端にわ
ずかな距離を隔てて剛体を設置できるからである。固定リブ58,58の後端にわずかな
距離を隔てて突出形成する規制部材を下ケース42に一体で形成するには、固定リブ58
,58と規制部材との間に溝が必要である。一方、その溝を形成するには、金型には逆に
薄板状の突出部が必要である。ただし、その突出部を金型の研削により実現できない場合
には、金型に突出部を形成するための薄板を埋め込み固定することになる。こうすると、
金型が複雑化する。
【0066】
そこで、本実施形態では、インクパック60の装着後に、固定リブ58,58の後端に
わずかな距離を隔てて配置される規制部材を、下ケース42とは別部材で形成した設置す
ることにした。そして、この規制部材の機能を、スペーサ部材70が併せ持つようにした

【0067】
図13(A)〜図13(F)はそれぞれ、スペーサ部材70の正面図、平面図、左側面
図、右側面図、背面図及び底面図である。スペーサ部材70は、例えば合成樹脂にて射出
成形された剛体として形成される。この点、特許文献1のスペーサ部材(押さえ部材)が
発泡スチロールなどの弾性素材で形成されているものとは異なる。
【0068】
図13(A)〜図13(F)に示すように、スペーサ部材70の前面71には、規制部
材として機能する2本の規制リブ72,72が突出形成されている。
【0069】
このスペーサ部材70は、前面71と、上面73と、各面71,73を結ぶ傾斜面74
とを有する横断面の輪郭が略三角形を呈している。上面73は射出成形時の肉厚をほぼ一
定とするために肉抜きされている。傾斜面74は、図9に示すように、インクパック60
の厚さ変化領域67,68の傾斜面にほぼ相応している。
【0070】
また、スペーサ部材70は、下ケース42に位置決め固定される。このために、スペー
サ部材70の両側面にはそれぞれ、ガイドリブ76,77と被係止部78とが突出形成さ
れている。被係止部78は、図13(E)に示すように、水平面78aと、水平面78a
鉛直下方に向かうに従い厚さが漸減する斜面78bとを有する。一方、下ケース42の周
囲壁52には、図4、図6、図11等に示すように、内壁からの突出高さが鉛直下方に向
かうに従い漸増する係止部59aが設けられている。
【0071】
図14に示すように、スペーサ部材70が矢印方向の鉛直下方に向けて押し下げられる
と、斜面78bが係止部59aと当接して、下ケース42の係止部59aを弾性変形させ
て押し広げる。最終的には、図14の実線で示すように、係止部59aの下方に被係止部
78が入り込み、係止部59aが上方への抜け止めストッパとして機能する。
【0072】
下ケース42の周囲壁52には、図4、図6、図11等に示すように、係止部59の長
手方向の一端に溝59bが形成されており、この溝59bに沿ってスペーサ部材70のガ
イドリブ76が案内される。他のガイドリブ77は、係止部59aの長手方向の他端と当
接して案内される。このガイドリブ76,77と係止部59a及び溝59bとで、スペー
サ部材70の前後方向の位置決めがなされる。
【0073】
このように、スペーサ部材70は、下ケース42に対して、少なくともE方向(図12
参照)にて位置決め固定される剛体である。このスペーサ部材70の前面71に形成した
規制リブ72,72が、図12に示すように固定リブ58,58の後端と接して、あるい
はわずかな距離を隔てて配置される規制部材として機能する。
【0074】
インクパック60と共に下ケース42内に収納されるスペーサ部材70が具備され、こ
のスペーサ部材70の体積によりインクパック60に封入されるインク容量が調整された
構成とされる。よって、例えば多種類のスペーサ部材70を用意し、インクパック60に
封入されるインク容量に応じてスペーサ部材70を選択して下ケース42に収納すること
ができる。このため、インクパック60を下ケース42内において大きな隙間を持たせる
ことなく収納することができる。したがって、搬送時における衝撃によってインクパック
60を破損させることを大幅に低減できる。
【0075】
また、下ケース42の加圧室51内に加圧空気が導入される場合には、スペーサ部材7
0が収納される結果、加圧室51内に導入される加圧空気の量を少なくできる。したがっ
て、例えば記録装置に動作電源を投入した後のスタンバイ状態となる時間に遅れを発生さ
せることが回避でき、スループットを向上させることに寄与できる。
【0076】
このように、スペーサ部材70自体は、インクパック60の容量に合わせて設計されて
、加圧室51内で生ずる空きスペースを埋める機能、インクパック60を押さえてインク
パック60の移動を防止する機能などを有するが、それに追加して規制部材の機能を併せ
持たせることができる。
【0077】
なお、下ケース42に位置決め固定されるスペーサ部材70の上面73は、図9及び図
12に示すように、下ケース42の周囲壁52の上端よりも低く位置している。換言すれ
ば、スペーサ部材70は、周囲壁52の上端開口を覆う封止フィルム(図4参照)とは接
触しない。このため、仮に、スペーサ部材70の位置決め固定が完全でなく、衝撃等でス
ペーサ部材70が多少移動したとしても、剛体であるスペーサ部材70により封止フィル
ム54が突き破られることはない。従来、発泡スチロール等の弾性素材で形成されたスペ
ーサ部材を封止フィルム54に溶着固定するものがあったが、封止フィルム54が破断す
る虞が高かった。本実施形態では、スペーサ部材70を剛体としたことから、封止フィル
ム54とは非接触となるように機構上で保障した。
【0078】
(受入部を用いた第2の封止部の変位量の吸収)
図13(A)〜図13(F)に示すスペーサ部材70は、図9に示す下ケース42の前
縁側及び後縁側に共用される共通部品である。後縁側に配置されるスペーサ部材70も同
様にして下ケース42に位置決め固定されるが、規制部材の機能は不要である。
【0079】
後端側に配置されるスペーサ部材70は、インクパック60内のインクが導出されるに
従い変位する第2の封止接合部62を受け入れる受入部80(後述する図16参照)を、
周囲壁52との対向面間に形成する機能を有する。
【0080】
インクパック60は、図15に模式的に示すように、インク導出前の状態と、全てのイ
ンクが導出された後の空状態とでは、特に長手方向の寸法が変化し、空状態では図15に
示す寸法Lだけ長くなる。ここで、インク導出部材63は下ケース42に保持されている
。従って、空状態のインクパック60は、受入部80が存在しない状態では、直線状の第
2の封止接合部62がその延長線上に沿った第1の方向D1に向けて寸法Lだけ変位する
ことになる。上述の受入部80は、第2の封止接合部62の変位寸法Lの長さを受け入れ
るものである。
【0081】
この点、従来技術では何らの対策は施されていなかった。特に、4辺が封止された小容
量のインクパックに採用される上述したピロータイプでは、封止部の変位量はごくわずか
であることから、そのような対策は特に必要なかった。事実、例えば特許文献1の図4に
、インク導出部が封止される第1辺の封止接合部と直交する二辺の封止接合部を含む断面
図が記載されているが、その二辺の封止接合部の先端と筐体との間には極わずかの隙間し
か設けられていない。同図のスペーサ部材と筐体内壁との間にも極わずかの隙間があるが
、封止接合部が直角に曲がってこの隙間に入り込む余地はないし、そのように設計された
とは到底いえない。
【0082】
本実施形態では、図9のD部拡大図である図16に示すようにして受入部80を形成し
、図15に示す変位量Lを受入可能としている。つまり、スペーサ部材70とスペーサ用
突起部57との間の隙間に通された第2の封止接合部62は、案内部81によって直進方
向(第1の方向)D1以外であって、この第1の方向D1と交差する第2の方向D2に向
けて案内している。
【0083】
この第2の方向D2とは、第1の方向D1と交差さえしていれば、直線方向、湾曲方向
、所定の交差角をなす複数の直線を組み合わせた屈曲方向、またはこれらを2種以上組み
合わせた複合方向のいずれでもよい。
【0084】
本実施形態では、案内部81は、図10に示すように、スペーサ用突起部57と周囲壁
52とを結ぶ複数の案内リブ81によって形成されている。
【0085】
特に本実施形態では、図16に示すように、インクパック60が下ケース42に搭載さ
れた当初の時点から、第2の封止接合部62が案内部81(案内リブ81a)によって屈
曲または湾曲されている。従って、インクパック60からインクが導出されるに伴い第2
の封止接合部62が変位する際に、極めて円滑に、スペーサ部材70と周囲壁52との間
の受入部80に進入することになる。従って、加圧室51内に導入される加圧空気によっ
てインクパック60が押されてインクが導出され、それに伴って第2の封止接合部62が
受入部80に円滑に受け入れられる。
【0086】
さらに、図7にて説明した通り、第2の封止接合部62の両端は面取りされており、第
1辺の第1の封止接合部61よりも第2の封止接合部62の端部の幅が狭くなっている。
このため、第2の封止接合部62の移動抵抗を少なくして、円滑な移動を確保できる。特
に、第2の封止接合部62はインク充填後に封止されるため、図7に示す両隅部62e,
62fはバリが発生しやすい。このバリを切断しているので、第2の封止接合部62の移
動抵抗はより低減される。
【0087】
こうして、第2の封止接合部62の変位が妨げられずに、インクパック60内のインク
を全て導出することが可能になる。
【0088】
特に、この受入部80を、スペーサ部材70と周囲壁52との間のデッドスペースに配
置したので、下ケース42を今まで通りの大きさのままとしてデッドスペースを利用して
第2の封止接合部62の変位を吸収可能とした。
【0089】
図17(A)及び図17(B)は、受入部80や案内部81を設けたことの意義を示す
概略説明図である。図17(A)は、特許文献1の図4及び図8のように、第2の封止接
合部62と周囲壁52との間にわずかな隙間を設けた例である。本実施形態では、インク
パック60の先端側に設けたインク導出部材63は、固定リブ58,58に支持されてい
るので、その位置は不変である。図17(A)に示すように、インクパック60が充満状
態であるときに、基準位置例えば固定リブ58から第2の封止接合部62の後端位置P1
までの距離をL0とする。図17(B)に示すように、インクパック60が空状態である
ときに、基準位置から第2の封止接合部62の後端位置P2までの距離をL1とする。図
17(A)に示すように、基準位置から後縁側の周囲壁52までの距離L2が、L0<L
2<L1(第1の不等式)であるなら、第2の封止接合部62の後端は変位の途中で周囲
壁52に衝突してしまい、それ以上は変位が妨げられる。これが従来技術であり、その後
も加圧室51に加圧空気を導入しても、第2の封止接合部62は変位せずにインクを導出
しなければならない。こうなると、第2の封止接合部62の変位なしにインクパック60
を加圧変形させなければならず、第2の封止接合部62の変位規制がインクパック60の
加圧変形の障害となる。
【0090】
図17(B)は、変位前の第2の封止接合部62の後端位置P1と周囲壁52との間に
受入部80を設けた例である。この場合は、変位後の第2の封止接合部62の後端位置P
2までの変位が受入部80によって保障されるので、インクパック60の加圧変形を妨げ
ない。
【0091】
ただし、図17(B)では、図15に示す寸法Lだけ、下ケース42の縦寸法を長くし
なければならない。そこで、上述した案内部81が、第2の封止接合部62を第1の方向
D1と交差する第2の方向D2に屈曲又は湾曲させて案内することで、例えば図17(A
)に示す位置に周囲壁52を設けることを許容でき、それにより下ケース42の長大化の
問題は解決した。
【0092】
図17(A)及び図17(B)については、次のように定義することもできる。図17
(A)に示すように、インクパック60内の流体が導出される前のインクパック60にて
、第2の封止接合部62の端部が位置する基準位置P1から、第1の方向D1の先にある
前記筐体の壁部までの距離をS0とする。S0=L2−L0である。また、図17(B)
に示すように、インクパック60内の流体の全てが実質的に導出された後のインクパック
60にて、基準位置P1から第2の方向D2に沿って移動する移動長さをS1(S1=L
1−L0)とする。なお、図17(B)は第1の方向D1に変位した図であるが、図16
に示すように第2の方向D2への移動長さS1と等しいことは明らかである。以上に定義
したS0,S1を用いると、案内部81を設けることで、S0<S1(第2の不等式)を
充足できる。つまり、基準位置P1から対向壁までの距離S0よりも長い移動長さS2だ
け、第2の封止接合部62の移動を許容できる。
【0093】
なお、第1及び第2の不等式は、上述したピロータイプのインクパックにおいて、イン
ク導出部材63が配置される第1辺と対向する第2辺の封止接合部に対して受入部を設け
た例についても当てはまる。
【0094】
第2の不等式は、上述したピロータイプのインクパックにおいて、インク導出部材63
が配置される第1辺と直交する2つの第2辺の封止接合部に対して受入部を設けた例につ
いても当てはまる。この第2辺については、インク導出部材63の保持位置が基準位置と
はならないので、第1の不等式は成立しないが、第2の封止接合部62の端部を基準位置
とした第2の不等式は成立する。
【0095】
(受入部の変形例)
受入部80の変形例を、図18〜図20に示す。図18では、第2の封止接合部62及
び厚さ変化領域68に向けて下ケース42の底壁55より突出形成されたスペーサ用突起
部57と、それと対向する周囲壁52との間のデッドスペースに、受入部80を設けてい
る。この場合、第2の封止接合部62及び厚さ変化領域68よりも、下ケース42の開口
部側に配置され、かつ、下ケース42に位置決め固定されるスペーサ部材70に、第2の
封止接合部62を受入部80に導く案内部81を設けることができる。
【0096】
図19及び図20では、第2の封止接合部62及び厚さ変化領域68よりも、下ケース
42開口部側に配置される第1のスペーサ部材70aと、第2の封止接合部62及び厚さ
変化領域68よりも下ケース42底壁55側に配置される第2のスペーサ部材70bとを
設けている。これら第1,第2のスペーサ部材70a,70bは共に下ケース42に位置
決め固定される。
【0097】
図19では、周囲壁52と第1のスペーサ部材70aとの間のデッドスペースに受入部
80を設けた。この場合、第2のスペーサ部材70bに設けた案内部81により、第2の
封止接合部62を受入部80に導くこともできる。図20では逆に、周囲壁52と第2の
スペーサ部材70bとの間のデッドスペースに受入部80を設けた。この場合、第1のス
ペーサ部材70aに設けた案内部81により、第2の封止接合部62を受入部80に導く
こともできる。
【0098】
(再充填方法)
上述したインクカートリッジ9は再利用可能であり、インクパック60内のインクが導
出された後に、インクパック60内にインク導出部材63を介して流体を再充填すること
ができる。
【0099】
なお、本実施形態のインクカートリッジ9は、図5に示すようインク残量検出装置53
が設けられている。以下の説明は、インク残量検出装置53を取り外してインクを再充填
するものとする。また、以下の再充填方法は、インク残量検出装置53を有しないインク
カートリッジにも適用できる。なお、インク残量検出装置53を取り付けたままでもイン
クの再充填は可能である。この場合、図3に示すインク導出口43に、後述するインク注
入針を挿入すればよい。
【0100】
まず、インク導出部材63に流体注入針(図示せず)を挿入して、インク導出部材63
に内蔵された弁機構を作動させて、インクパック60に流体を再充填可能にする。インク
導出部材63に内蔵される弁機構及びこれを作動させる針機構は公知であり、例えば特開
2006−312332号公報等に開示されている。
【0101】
次に、インク注入針を介してインクパック60内にインクを再充填する。このとき、図
21(A)に示すように、再充填開始前に受入部80に受け入れられていた第2の封止接
合部62を、インクパック60の膨張に伴って変位させて、受入部80よりも下ケース4
2のより内側に引き戻す。最終的には、図21(B)に示すように、インクバック60へ
の再充填が完了すると、第2の封止接合部62は、図16と同じ位置に引き戻されること
になる。よって、このインクカートリッジ9を繰り返し再利用する際にも、インク導出に
伴って第2の封止接合部62を受入部80にて受け入れることができる。この再充填につ
いては、図18〜図20の実施形態においても全く同様に行なうことができる。特に、案
内部81を設けることで、再充填時に図21(A)から図21(B)に示す第2の封止接
合部62の移動を案内部81に沿わせてより円滑に行うことができる。
【0102】
このように、受入部80さらには案内部81は、インクの導出時だけでなく、インクの
再充填時にも有用であり、インクパック60の収縮時及び膨張時の双方にて第2の封止接
合部62の移動を阻害することがない。
【0103】
以上のことは、インク注入針を図4のインク導出口43に挿入する場合も全く同様であ
る。インク導出口43に対向する位置には、インク残量検出装置53のインク排出部材が
配置されているからである。よって、インク注入針によってインク残量検出装置53のイ
ンク排出部材に設けられた弁機構を作動することができる。インクパック60のインク導
出部材63は、インク残量検出装置53の接続針によって弁機構が開放されている。よっ
て、インク残量検出装置53を経由する点以外に相違はなく、インク残量検出装置53を
経由して再充填が可能である。
【0104】
(変形例)
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効
果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるも
のである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例え
ば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に
記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換
えることができる。
【0105】
本発明に係る流体収容容器の用途は、インクジェット記録装置のインクカートリッジに
限らない。流体噴射ヘッドを備える各種の流体消費装置に流用可能である。
【0106】
また、流体噴射ヘッドを備える流体消費装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレ
ー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプ
レー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)
噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた
装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロデスペン
サ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る流体収容容器を用いた流体消費装置の一例であるインクジェット式記録装置の平面図である。
【図2】図1に示す記録装置におけるインクカートリッジから記録ヘッドに至るインク供給システムを示す模式図である。
【図3】本発明に係る流体収容容器の一例であるインクカートリッジの概観斜視図である。
【図4】図3に示すインクカートリッジの分解組立斜視図である。
【図5】上ケース及び封止フィルムを除いたインクカートリッジの組立平面図である。
【図6】下ケースに対するシール部材の取り付けを示す概略斜視図である。
【図7】流体収容袋体であるインクパックの概略斜視図である。
【図8】図7に示す第2の封止接合部の断面を模式的に示す断面図である。
【図9】図5のA−A断面図である。
【図10】下ケースの平面図である。
【図11】下ケースにシール部材及びインクパックを取り付けた状態を部分的に示す斜視図である。
【図12】図9のC部拡大図である。
【図13】図13(A)〜図13(F)はそれぞれ、スペーサ部材の正面図、平面図、左側面図、右側面図、背面図及び底面図である。
【図14】スペーサ部材の上下方向の位置決め固定を示す概略断面図である。
【図15】インクパックの充満状態から空状態への移行に伴い変位する第2の封止係止部を説明するための概略説明図である。
【図16】図9のD部拡大図である。
【図17】図17(A)及び図17(B)は、第1,第2の不等式の成立を説明するための概略説明図である。
【図18】スペーサ用突起部と周囲壁の間のデッドスペースを受入部とした変形例の断面図である。
【図19】インクパックの上下両側に第1,第2のスペーサ部材を設けて、第1のペーサ部材と周囲壁の間のデッドスペースを受入部とした変形例の断面図である。
【図20】インクパックの上下両側に第1,第2のスペーサ部材を設けて、第2のペーサ部材と周囲壁の間のデッドスペースを受入部とした変形例の断面図である。
【図21】図21(A)及び図21(B)は、本発明に係る再充填方法を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
【0108】
9 流体収容容器(インクカートリッジ、メインタンク)、41 上ケース、42 筐
体(下ケース)、44 加圧空気導入口、51 加圧室、凹所、52 周囲壁、52a
隔壁、52b 孔、52c シール部材、53 残量検出装置、54 封止フィルム、5
5 底壁、56,57 スペーサ用突起部、58 固定リブ、59a,59b スペーサ
部材位置決め固定部、60 流体収容袋体(インクパック)、61 第1の封止接合部、
62 第2の封止接合部、62a〜62c 第1〜第3の可撓性素材、62d 折り曲げ
線、63 流体導出部材、64 基端、65 導出端部、66 フランジ部、67,68
厚さ変化領域、70 スペーサ部材、70a 第1のスペーサ部材、70b 第2のス
ペーサ部材、72 規制リブ、76〜78 被位置決め固定部、80 受入部、81 案
内部、81a 案内リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性素材を封止接合した第1、第2の封止接合部を少なくとも含み、内部に流体が封
入された流体収容袋体と、
前記流体収容袋体の前記第1の封止接合部に装着された流体導出部材と、
前記流体収容袋体及び前記流体導出部材を収容し、かつ、前記流体導出部材を支持する
筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記流体収容袋体内の流体が導出されるに従い変位する前記第
2の封止接合部を受け入れる受入部と、
を有することを特徴とする流体収容容器。
【請求項2】
請求項1において、
前記受入部は、前記第2の封止接合部を、直進方向である第1の方向以外の第2の方向
に案内する案内部を有することを特徴とする流体収容容器。
【請求項3】
請求項1において、
前記受入部がない状態にて、直線状をなす前記第2の封止接合部がその延長線上に沿っ
て変位する方向を第1の方向とし、前記第1の方向と交差する方向を第2の方向としたと
き、
前記受入部は、前記第2の封止接合部を前記第2の方向に沿って案内する案内部を有す
ることを特徴とする流体収容容器。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記第2の方向は、直線方向、湾曲方向、所定の交差角をなす複数の直線を組み合わせ
た屈曲方向、またはこれらを2種以上組み合わせた複合方向のいずれかであることを特徴
とする流体収容容器。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかにおいて、
前記第2の封止接合部は、前記流体収容袋体から流体が導出される以前の状態にて、前
記案内部と当接して屈曲または湾曲されていることを特徴とする流体収容容器。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記流体収容袋体は平面視で矩形状に形成され、
前記第2の封止接合部は前記第1の封止接合部が形成される第1辺とは対向する第2辺
に形成されていることを特徴とする流体収容容器。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記第2の封止接合部は前記第1の封止接合部が形成される第1辺とは交差する第2辺
に形成されていることを特徴とする流体収容容器。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかにおいて、
前記流体収容袋体内の流体が導出される前の前記流体収容袋体にて、前記第2の封止接
合部の端部が位置する基準位置から、前記第1の方向の先にある前記筐体の壁部までの距
離がS0であり、
前記流体収容袋体内の流体の全てが実質的に導出された後の前記流体収容袋体にて、前
記基準位置から前記第2の封止接合部の端部が前記第2の方向に沿って移動した移動長さ
をS1としたとき、S0<S1の関係を充足することを特徴とする流体収容容器。
【請求項9】
請求項6において、
前記流体収容袋体の前記流体導出部材の支持位置から、流体が導出される前の前記流体
収容袋体の前記第2の封止接合部の後端までの距離をL0とし、前記支持位置から、実質
的に全ての流体が導出された後の前記流体収容袋体の前記第2の封止接合部の後端までの
距離をL1とし、前記支持位置から前記第2の封止接合部の後端と対向する前記筐体の内
壁面までの距離をL2としたとき、L0<L2<L1を満足することを特徴とする流体収
容容器。
【請求項10】
請求項6または9において、
前記可撓性素材は第1乃至第3の可撓性素材からなり、
前記第2の封止接合部は、第1,第2の可撓性素材の間に、第3の可撓性素材が折り曲
げ線にて折り曲げられて配置され、前記第3の可撓性素材の前記折り曲げ線上にて前記第
1〜第3の可撓性素材が封止接合され、前記第1,第3の可撓性素材の対向面同士が封止
接合され、前記第2,第3の可撓性素材の対向面同士が封止接合されて形成されているこ
とを特徴とする流体収容容器。
【請求項11】
請求項10において、
前記第2辺の両隅部は、前記第1,第3の可撓性素材の対向面同士と前記第2,第3の
可撓性素材の対向面同士とがそれぞれ封止接合された領域で切断され、前記第2辺の長さ
が前記第1辺の長さよりも短いことを特徴とする流体収容容器。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかにおいて、
前記筐体は、前記流体収容袋体と前記流体導出部材とを収容する凹所を形成する底壁及
び周囲壁と、開口部とを含み、
前記流体収容袋体は、前記第2の接合封止部から中心に向かうに従い厚さが変化する厚
さ変化領域を有し、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも前記筐体の前記開口部側に配置され
、かつ、前記筐体に支持されるスペーサ部材を有し、
前記スペーサ部材は、前記周囲壁と対向する対向面を含み、
前記受入部は、前記周囲壁と前記スペーサ部材の前記対向面との間のデッドスペースを
含むことを特徴とする流体収容容器。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれかにおいて、
前記筐体は、前記流体収容袋体と前記流体導出部材とを収容する凹所を形成する底壁及
び周囲壁を含み、
前記流体収容袋体は、前記第2の接合封止部から中心に向かうに従い厚さが変化する厚
さ変化領域を有し、
前記筐体は、前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域に向けて、前記底壁より突出
形成されたスペーサ用突起部を有し、
前記スペーサ用突起部は、前記周囲壁と対向する対向面を含み、
前記受入部は、前記周囲壁と前記スペーサ用突起部の前記対向面との間のデッドスペー
スを含むことを特徴とする流体収容容器。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれかにおいて、
前記筐体は、前記流体収容袋体と前記流体導出部材とを収容する凹所を形成する底壁及
び周囲壁を含み、
前記流体収容袋体は、前記第2の接合封止部から中心に向かうに従い厚さが変化する厚
さ変化領域を有し、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも前記筐体の前記底壁側に配置され、
かつ、前記筐体に支持されるスペーサ部材を有し、
前記スペーサ部材は、前記周囲壁と対向する対向面を含み、
前記受入部は、前記周囲壁と前記スペーサ部材の前記対向面との間のデッドスペースを
含むことを特徴とする流体収容容器。
【請求項15】
請求項2乃至11のいずれかにおいて、
前記筐体は、前記流体収容袋体と前記流体導出部材とを収容する凹所を形成する底壁及
び周囲壁と、開口部とを含み、
前記流体収容袋体は、前記第2の接合封止部から中心に向かうに従い厚さが変化する厚
さ変化領域を有し、
前記流体収容容器は、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも前記筐体の前記開口部側に配置され
、かつ、前記筐体に支持されるスペーサ部材と、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域に向けて、前記筐体の前記底壁より突出形
成されたスペーサ用突起部と、
をさらに有し、
前記スペーサ部材は、前記周囲壁と対向する対向面を含み、
前記受入部は、前記周囲壁と前記スペーサ部材の前記対向面との間のデッドスペースを
含み、
前記スペーサ用突起部は前記案内部を含み、前記案内部は、前記第2の封止接合部を前
記受入部に導くことを特徴とする流体収容容器。
【請求項16】
請求項2乃至11のいずれかにおいて、
前記筐体は、前記流体収容袋体と前記流体導出部材とを収容する凹所を形成する底壁及
び周囲壁と、開口部とを含み、
前記流体収容袋体は、前記第2の接合封止部から中心に向かうに従い厚さが変化する厚
さ変化領域を有し、
前記流体収容容器は、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも、前記筐体の前記開口部側に配置さ
れ、かつ、前記筐体に支持されるスペーサ部材と、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域に向けて、前記筐体の前記底壁より突出形
成されたスペーサ用突起部と、
をさらに有し、
前記スペーサ用突起部は、前記周囲壁と対向する対向面を含み、
前記受入部は、前記周囲壁と前記スペーサ用突起部の前記対向面との間のデッドスペー
スを含み、
前記スペーサ部材は前記案内部を含み、前記案内部は、前記第2の封止接合部を前記受
入部に導くことを特徴とする流体収容容器。
【請求項17】
請求項2乃至11のいずれかにおいて、
前記筐体は、前記流体収容袋体と前記流体導出部材とを収容する凹所を形成する底壁及
び周囲壁を含み、
前記流体収容袋体は、前記第2の接合封止部から中心に向かうに従い厚さが変化する厚
さ変化領域を有し、
前記流体収容容器は、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも、前記筐体の前記開口部側に配置さ
れ、かつ、前記筐体に支持される第1のスペーサ部材と、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも、前記筐体の前記底壁側に配置され
、かつ、前記筐体に支持される第2のスペーサ部材と、
をさらに有し、
前記第1のスペーサ部材は、前記周囲壁と対向する対向面を含み、
前記受入部は、前記周囲壁と前記第1のスペーサ部材の前記対向面との間のデッドスペ
ースを含み、
前記第2のスペーサ部材は前記案内部を含み、前記案内部は、前記第2の封止接合部を
前記受入部に導くことを特徴とする流体収容容器。
【請求項18】
請求項2乃至11のいずれかにおいて、
前記筐体は、前記流体収容袋体と前記流体導出部材とを収容する凹所を形成する底壁及
び周囲壁を含み、
前記流体収容袋体は、前記第2の接合封止部から中心に向かうに従い厚さが変化する厚
さ変化領域を有し、
前記流体収容容器は、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも、前記筐体の前記開口部側に配置さ
れ、かつ、前記筐体に支持される第1のスペーサ部材と、
前記第2の封止接合部及び前記厚さ変化領域よりも、前記筐体の前記底壁側に配置され
、かつ、前記筐体に支持される第2のスペーサ部材と、
をさらに有し、
前記第2のスペーサ部材は、前記周囲壁と対向する対向面を含み、
前記受入部は、前記周囲壁と前記第2のスペーサ部材の前記対向面との間のデッドスペ
ースを含み、
前記第1のスペーサ部材は前記案内部を含み、前記案内部は、前記第2の封止接合部を
前記受入部に導くことを特徴とする流体収容容器。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかにおいて、
前記筐体を封止して、前記筐体内に加圧流体を導入可能な加圧室に形成する封止フィル
ムをさらに有することを特徴とする流体収容容器。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかにおいて、
前記流体導出部材に接続される流体残量検出装置をさらに有し、前記流体残量検出装置
は前記流体導出部材に挿入される接続針と、前記接続針から導出された流体を排出する流
体排出部材とを含み、前記接続針と前記流体排出部材との間で流体残量を検出することを
特徴とする流体収容容器。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれかに記載の流体収容容器が、前記流体収容袋内の流体が導出
された後に、前記流体収容袋内に前記流体導出部材を介して流体を再充填する流体収容容
器への再充填方法であって、
前記流体導出部材に流体注入針を挿入して、前記流体導出部材に内蔵された弁機構を作
動させて、前記流体収容袋体に流体を再充填可能にする工程と、
前記流体注入針を介して前記流体収容袋体内に流体を再充填する工程と、
再充填開始前に前記受入部に受け入れられていた前記第2の封止接合部を、前記流体収
容袋体の膨張に伴って変位させて、前記受入部よりも前記筐体の内側に引き戻す工程と、
を有することを特徴とする流体収容容器の再充填方法。
【請求項22】
請求項2乃至11のいずれか、または請求項15乃至請求項18のいずれかに記載の流
体収容容器が、前記流体収容袋内の流体が導出された後に、前記流体収容袋内に前記流体
導出部材を介して流体を再充填する流体収容容器への再充填方法であって、
前記流体導出部材に流体注入針を挿入して、前記流体導出部材に内蔵された弁機構を作
動させて、前記流体収容袋体に流体を再充填可能にする工程と、
前記流体注入針を介して前記流体収容袋体内に流体を再充填する工程と、
再充填開始前に前記受入部に受け入れられていた前記第2の封止接合部を、前記流体収
容袋体の膨張に伴って、前記案内部に沿って変位させて、前記受入部よりも前記筐体の内
側に引き戻す工程と、
を有することを特徴とする流体収容容器の再充填方法。
【請求項23】
請求項20に記載の流体収容容器が、前記流体収容袋内の流体が導出された後に、前記
流体収容袋内に前記流体残量検出装置及び流体導出部材を介して流体を再充填する流体収
容容器への再充填方法であって、
前記流体残量検出装置の前記流体排出部材に流体注入針を挿入して、前記流体排出部材
に内蔵された弁機構を作動させて、前記流体収容袋体に流体を再充填可能にする工程と、
前記流体注入針及び前記残量検出装置を介して前記流体収容袋体内に流体を再充填する
工程と、
再充填開始前に前記受入部に受け入れられていた前記第2の封止接合部を、前記流体収
容袋体の膨張に伴って変位させて、前記受入部よりも前記筐体の内側に引き戻す工程と、
を有することを特徴とする流体収容容器の再充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−221675(P2008−221675A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64519(P2007−64519)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】